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高効率発電を目指す溶融炭酸塩型燃料電池発電システム

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Academic year: 2021

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特集

環境調和を目指した火力発電新技術

高効率発電を目指す溶融炭酸塩型

燃料電池発電システム

MottenCarbonateFue】CellforHighEfliciencyPowerGenerationSystem

加原俊樹*

大塚馨象**

竹内牌人***

藤村秀和****

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加圧25kW級溶融炭酸塩型燃料電池 電極有効面積l万2′100cm2のセルを22枚積層した燃料電池本体部を示す。

MCFC(Molten Carbonate FuelCell:溶融炭酸

塩型燃料電池)による発電システムは,クリーンで高

効率であるという特徴を持っており,H.■1t製作所は

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の

委託研究として,この発電システムの研究開発を進

めている。電池の大容量化を図るためには,電極有

効面積の拡大とセルの高積層化が必要であり,口立

製作所はこれに対処するために,独自のセル構造で

ある複合大容量形セルを開発するとともに,中間へ

ッダ積層モジュール構造を開発した。複合大容量形

セルは1枚のセパレータ上に4個の単位セルを配置

するものであり,これによって世界最大級の電極有

効面積1万2,100cm2を達成した。この複合大容量形

セル22枚を積層して,加止25kW級MCFCを開発

し,このクラスの長時間運転記録である5,700時間の

試験に成功した。この成果から,今後100kW級,

1,000kW級MCFCの研究開発,および実用化に向

けて明るい見通しを得ることができた。

*日立製作所日立工場 **日立製作所口立、1二場+二学博士 ***「1立製作所日立研究所 ****日二、工製作所機械研究所

(2)

n

はじめに

最近の地球環境問題,特に温暖化防止に関してCO2の 低減が大きな課題として取-)上げられている。化石燃料

を円いる発電方式のCO2発生量を低減するためには,発 電効率の高い発電方式を開発しなければならない。

MCFC(Molten Carbonate FuelCell:溶融炭酸塩巧竺燃

料電池)は50∼60%という高い発電効率が期待でき,燃料

の多様化が可能であり,環境との調朴性が優れるなど数

多くの特徴を持っている。このため将来の有望な発電方

式として注目されており,わが国と米国が小心となって 研究開発を続発に行っている1)。わが国では通商産業省 ⊥業技術院のムーンライト計画の一環として研究開発が

取り上げられており,日立製作所は石川島播磨垂_T業株

式会社,三菱電機株式会社とともに,NEDO(新エネルギ

ー・産業技術総合開発機構)から委託を受けて電池本体

の研究開発を続けている。 H立製作所は,これまでに1kW級,10kW級MCFCの

開発を経て,ここで述べる電極有効両横1万2,100cm2の

セルを22枚積層した25kW級スタックを開発した。現在,

これらの成果をもとに100kW級スタックを製作中であ

る。前報2)でMCFCの要素技術開発状況を中心に述べた ので,ここでは大容量化要素技術,スタック技術,今後 の展望などについて述べる。

発電原理と特徴

MCFCは電解質としてLi2CO3とK2CO3の混合物を∩い,

燃料ガス(アノードガス)としてH2を,酸化剤ガス(カソー ドガス)として02とCO2を円いる発電方式である。発電憤 埋を図1に示す。MCFCの遵奉云温度は65n℃付近である。 電池反応は同国に併記したように,H2と02が反応して水 を生成するものであー),その過程で直流電力を発生する。 MCFCの単位電池(セル1枚)電圧は,定格発電時で約 0.8Vである。したがって,実際の発電ではセルを多数積 層することによって電柾を高くする。また,発電電流値 を大きくするためには,電極有効面積を拡大する。 MCFC発電システムを図2に示す。MCFCでは発電時 に発熱するので,冷却のために過剰の空気をカソードに 供給して冷却する。MCFCからの排カソードガス温度は 約7()00cである。この排熱を有効に利用するために,ガス タービンや蒸気タービンを組み合わせたポトミングサイ クルが設けられる。 MCFC発電システムの特徴は,発電効率がボトミング アノード 電解質 (Li2CO3十K2CO3) カソード 燃料ガス(H2) (H20+CO2)

l

⊂こ

二=ノ

1竿詣子ン

′一ノ

二=\

酸化剤ガス (02+CO2) 電池運転温度:650〇c 炭酸塩の融点:4910c 電池反応 アノード:H2+CO当 ̄→H20+CO2+2e カソード:CO2+÷02+2e ̄一CO弓 ̄ ̄

e)

負荷 全反応:H2+÷02→H20 図I MCFCの作動原‡里 燃料である水素と酸化剤である空気 中の酸素および炭酸ガスが反応して,水を生成する過程で電気が得 られる。 サイクルの組み合わせによって50∼60%と高いこと,CO も燃料として使用できるため石炭ガスが使用できるこ

と,環境との調朴性が優れ需要地に隣接して設置できる

ことなどであり,西暦2000年初期にこの発電システムの 実現が其朋寺されている。

大容量化に対する要素技術

3.1大容量化スタック構造 MCFCの大容量化を図るためには,電極有効面積の拡 大とセル積層数の増加が必要である。電極有効面積の拡 大は電流値を大きくし,セル積層数の増加は電虹値を高 くする。電極有効面積の拡大およびセル積層数を増加し たときの課題は,セル面内および各セルへのガスのどJ一 供給と温度分布の均一-イヒ,およびアノードガスとカソー

ドガスの差庄低減である。R立製作所はこの問題を解決

するためのセル構造として,独白の複合大容量形セル構 造を開発した3)。複合人容量形セル構造を図3に示す。4 偶の単位セルを同一平面内に配置して,新たに4倍の面 積を持つセルを作るものであり,この栴造によって世界

(3)

高効率発電を目指す溶融炭酸塩型燃料電池発電システム 835 蒸気 燃料 (天然ガスなと') 石炭 酸素 リフォーマ 「 ̄ ̄「

l 1 1 1 1 1 1 1

石炭ガス化炉 熱回収ポイラ ス精製装置 アノード 600■ノC 700℃

[]

燃料 電池 インバータ 700■+C カソード 700、C ガスタービン

←単空気

リサイクル圧縮機 触媒バーナ 7000c 380Uc 蒸気 蒸気 タービン 排熱回収ポイラ 復水器 排ガス 130Cc 燃料電池 ポトミングサイクル 発電割合 9 1 発電機 図2 MCFC発電システム 電力事業用を想定した大規模発電システムであり,燃料として天然ガスや石炭ガス化ガスを用い・排熱を回収す るボトミングサイクルが備えられている。 / 最大級の電極有効面積1 ̄ノノ2,100cm2を開発した。 また,高積層化に対しては各セルへのガス供給を均一一一 にするために,図4に示す積層セルの小間にガスヘッダ を設ける小間ヘッダ構造を開発した4)。 3.2 電解質基板 電解質某板はLiAlO2微粉末にA1203繊維を混合したス ラリーを作り,ドクターブレード(テープキャスティン グ)法で製作する。帖l.6mの電解質基枇を連続製造でき る技術を開発してお-),A1203繊維の混合によって機械

的強度が大で,耐ヒートサイクル件に優れた基板を製作

している5)。 カレントコレクタ / _ / アノード 琶$ く≡会 く≡蒙 r電解質板

%

重要 雫ゝ く≡今 参考 //カソード レントコレクタ \セパレータ 竿ミ; 図3 複合大容量形セル構造 単位セル4個を同一平面上に 配置し,4倍の面積を持つ新たな阜セルを構成する。 くも eご くも §§ 虐ク g:フ アノード ガス入口

二項

ア/-ド ガス入口 丘ク 丘ク

空::)

カレントコレクタ アノード 一/電解質板

r

g:) カソード _ / 一カレントコレクタ 一/セパレータ 一/中間ヘッダ カソードガス入口 図4 中間ヘッダ積層構造 カソードガスを供給する中間ヘ ッダの上下にセルを寿責層して,各セルヘのガス供給の均一化を図る。 3.3

電極はNi粉末にバインダーを混合したスラリーを作

り,これを心材の両面に添着する方法で連続製造してい る。心材を用いているために強度が大であり,取り扱い が容易である。特に,カソードは外部で酸化やりチウム

(4)

化ができるという特徴を持っている。

日.)土製作所では電極の大形連続製造化とともに,その

性能向上のための基礎研究も重点的に進めている。アノ ードの耐クリープ性や耐シンタリング性を向上させるた めに,Al,Mg,La,Zrなどの第二元素の添加が有効で あること6),およびアノード性能やカソード性能が電極 細孔小の電解質量によって異なることを明らかにし,そ

の適正値について検討している。

3.4 セパレータ セパレータはアノードガスとカソードガスを分離する

とともに,電極からの集電とセル間の電気的接続を兼ね

備えている。このために,高耐食性と電気導電性が要求 される。日立製作所では数多くの金属材料の小から, SUS310S鋼および25Cr-30Ni-Al-Y鋼がセパレータ材と

して優れていることを見いだした7)。外寸約1.5mの綬介

大容量形セパレータの製作状況を図5に示す。 3.5 スタック冷却 スタックの大容量化に伴う課題として,スタック温度 分布の均一化とガス供給の均一化がある。この課題を解 決するために,日立製作所では各椎の運転条件を想定し てシミュレーションを行い,有効なスタック冷却設計や

ガスの均一流配技術を検討している。スタックの温度分

布についてシミュレーションした結果の一例を図6にホ す。電流密度150mA/cm2,人口ガス温度5500c,スタッ ク同国温度6000c,アノードガス利用率60%,カソードガ ス利用率20%の条件で計算した結果である。 図5 複合大容量形セパレータの製作状況 フレーム,中心 楓波板を真空中で加熱し,l体に接合してセパレータを製作して いる。

8

スタック技術

4.1加圧25kW級スタック 加圧25kW級スタックは67ページの写真に示したとお りである。電極有効面積1万2,100cm2の複合大容量形セ ルを22枚積層している。 加は25kW級スタックは,反応ガスを加拝して発電試 験をするため,圧力容器中に設置した。止力容器をスタッ ク上方に持ち上げた状態を図7に示す。この幅力容器は,

100kW級スタックにも使用できるように製作されてい

る。J丈応ガス旺力5.9×105Pa,アノードガス利用率,カ ソードガス利用率ともに40%の条件下で運転したときの

スタック性能を図8に示す。定格電流密度150mA/cm2

付近で出力30kWを得ることができたが,セル電圧には ±5%程度のばらつきがあった。今後,セル電圧のばら つきを低減する必要がある。加圧25kW級スタックはこ のクラスでは件界最長である5,700時間の運卒去を達成し た8)。この結果から,100kW級スタックおよび1,000kW 級スタックの開発に明るい見通しを得ることができた。 4.2100kW級スタック

ムーンライト計画第Ⅱ期中間評価用100kW級スタッ

クは,カソードガスを供給する中間ヘッダの上下に電極 最低温度領域 カソード

ガスQ

\/ 6q4℃ / \ \ \/ /\ Oc ナ\ 657 ノ、\ \ ℃ //、\ ヽこ、 \/ > \ / \\

芸碧

・ノーノー

rγノ/㍑

′ / / / / ′

腎イ・ノー

レl/■レ■「 / / /一 / / / 〆ソ \ \ \ \ \ \ \ ,\℃、 \・∩ワ・ レ \メ′ 最高温度領域 図6 電池温度分布のシミュレlション結果 カソードガ ス冷却を行うため,カソードガス入口側の温度が低く,出口側が高 くなる。電池は】2セル積層したものである。

(5)

高効率発電を目指す溶融炭酸塩型燃料電池発電システム 837 勾もト 少 1毎、 ゝ㌢へ∨

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図7 加圧25kW級スタック スタックの周囲を断熱材で覆 い,圧力容器中に収納する。この写真は圧力容器を持ち上げた状態 を示したものである。二の圧力容器は川OkW級も収納できる大きさ に製作している。 3,025cm2 /ペ く鞄

攣攣言

単セル 上ガスヘッダ

虚中間ヘッダ

ガスヘッダ \-、 (22セル) (a)25kWブロック \ §L /〈\ 轡て 1.2 1.0 8 6 4 0 0 0 (>) 出師ミヤ 2 0 / / く=====コセル電圧

叫≒毎ミ貝

/ ノ) ′ / / ′ ′ ′ ′ / / ′ ′ 加熱時聞 達転圧力 ガス利用享 ガス組成 アノート 出力=宅> ′′・○ ′ ノ■ ノ■ J′ ′

+

最高 ○ 最低 520‥ 5.9×105pa Uイ=40きロ,Uox=40チ。 H2/CO〕=80/2〔) (加i塁:32%) カソード:Alr/CO2=7(〕/30 30 「nJ 2 (き三 只 召 0 5 nU 0 50 100 150 電流密度(mA/cm2) 図8 加圧25kW級スタックの性能 測定した電流密度の範 囲では,電流密度の増加とともに出力も増加している。 有効嫡横1万2,1()()c1112の複介入容量形セル22枚を横層 し,さらにアノードガスを供給する上下ヘッダを備えて 50kWモジュールを作り,これを2個積層する子宝であ る。4.1節で述べたように,可 ̄】問ヘッダを境にした22セル 積層ハーフモジュールに相当するもので,所定の性能を 得ることができたので,この構造に明るい見通しを持っ ている。

B

大容量化への展望と課題

MCFCの開発は平成5年度の小間評価,平成9年度の 1,()()nkW級プラント建設,実証試験が計画されており, /二>\

\ 上ガスヘッダ J \ 中間ヘッダ 下ガスヘッダ 野二 \§葛 で喪 \ モシ子_-ル (.2、:巳 50kW

25k\吋ブロック (22セル) (b)100kWスタック \ミ ミきゝ /プぞ メ≪ /イ / l モジュール し耳、・

′′イ

モジ子 ̄ル

′′////享、

モジュール し≧〕

ムkW

モジューノレ か ← / 31.25kWブロック (25セル) (c)250kWスタック 図9 MCFCスタックの大容量化計画 電極面積l万2′100cm2のセルを積層したモジュールを単 位とし,モジュール積層数を増加することによって大容量化を図る。

(6)

この成功によって西暦2000年以降の商用プラントへと嫉 望が開けていくものと一世、われる。口_屯製作所では,図9 に示すような計幽でスタックの人容量化を図っていく予 定である。1,000kW級スタックは250kW級スタック4 基から構成する計由であり,積層数を200セルにする子左 である。 今後,引き続きセル間のばらつきを低減し,副生能化 と長寿命化のための基本的な要素研究を継続すること, および実什J化に向けてのコスト低減を図っていくことが 大きな開発課題である。

l司

おわりに

MCFCは高い発電効率が得られることから,大容量火 ノJ代替剤として期杵されるとともに,コージェネレーシ ョン川としても期待が大きい。しかし,社会に先行した 研究データがないことから,多くの難しい問題を抱えて おり,実†円化までには長期にわたる地道な研究開発を継

続する必要がある。日立製作所はMCFCの実相化に向け

て鋭意努力を傾注する考えである。

終わりに,この研究開発はムーンライト計画の一環と

してNEDOの委託研究として実施したものであり,通商

産業省_ ̄「業技術院殿,NEDO殿をはじめ,関係各位のご

指導,ご鞭櫨(べんたつ)に対し謝意を表す次第である。

参考文献 l)広瀬:高温型燃料電池の研究開発について,エネルギー, Vol.24,N().4,24(1991) 2)加憤,外:添融災酸塩型燃料電池発電装帯の開ヲ邑,l_ト立評 論,72,6,573-580(平2-6) 3)人様:複合大容量型燃料電池,OHM,節78巻,第11-し∴ 31(1991) 4)加悦,外:中間ヘッダ方式10kW級溶融炭酸塩巧せ燃料電 池の特性,電気化学,Ⅴ()1.59,No.4,308(1991) 5)加悦,外:ドクターブレード法電解質椒を用いた溶融炭 酸塩型燃料電池の特性,,86竜気化千秋李人会講演要旨 集,131(1986) 6)什内,外:溶融炭酸塩巧当燃料電池川アノードのシンタリ ングおよびクリープ変形の抑制,マグネシウムの添加効 果,R本化学会誌,1988-No.7,1067(1989) 7)槍山,外:溶融炭酸塩に対するオーステナイト系ステン レス鋼の耐食性,BoshokuGijutsu,Vol.39,409(1990) 8)S・Takashima,etal.:MCFCStack Technologyat Hitachi,TheInternationalFuelCellConferencePro-Ceedings,265(1992)

参照

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