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コウホウブンケンケンキュウ

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Kyushu University Institutional Repository

コウホウブンケンケンキュウ

大橋, 洋一

九州大学法学部助教授

勢一, 智子

九州大学大学院法学研究科修士課程

原田, 久

九州大学大学院法学研究科修士課程

甲斐, 朋香

九州大学大学院法学研究科修士課程

https://doi.org/10.15017/1999

出版情報:法政研究. 61 (1), pp.151-199, 1994-07-31. 九州大学法政学会 バージョン:

権利関係:

(2)

紹 介

公法文献研究

九州公法理論研究会

    一九九三年度の冬学期以降︑九州大学法学部助手・同大

  学法学研究科の大学院生子一〇名と共に︑週一回のペース

  で書評会が開催された︵全一二回︶︒そこでは︑報告者が

  興味をもっている著書・論文を紹介し︑それを全員で討議

  することがなされ︑第二回目の報告では︑とくに報告者が

  予め提出した書評文を様々な角度から批判的に分析するこ

  とが試みられた︒選定された著書・論文の範囲は参加者の

  専攻を反映して︑公法学のものが中心となっている︒この

  ように公法の分野に限定されるとはいえ︑熱心な参加者か

  ら成る研究会は︑憲法学・行政法学・行政学に関する近時

  の外国理論の動向を知るうえで大変有意義な機会となつ

  た︒従来︑判例研究は別としてこうした外国文献の研究成

  果を公表する⁝機会は必ずしも一般的なものではなかった

  が︑研究会が扱った問題のいずれもが現在のわが国で解明       ︵大橋洋一︶ る︒ 今回の紹介がそのうえで︑一つの礎石となれば幸いであ 研究・論文批評の試みを一層推進していくこととしたい︒ 位からのご意見・ご批判を参考にしながら︑こうした文献 の論稿からも読みとれるものと期待する︒一今後は︑読者各 の各分野で大きく揺らぎ転換点を迎えている現状がいずれ も見られるが︑伝統的な法体系・法原則・法思想が公法学 メリカの市民権の概念︶の計七編である︒なお不充分な点 編︵ケルゼン理論をめぐる近時の論争︑福祉国家論及びア と発電所設置に関する事例研究︶︑憲法学に関するもの三 改革と環境法︶︑行政学に関するもの二編︵行政学教科書  書評の内容は︑行政法学に関するもの小編︵行政法総論 することとした次第である︒ に第三回目の報告を実施して︑右の研究成果をここに公表 の待たれる重要課題である点に鑑み︑本年度に入ってさら

61 (1 ●151) 151

(3)

 霜○罵ひq三口ひQ 閏︒四日鋤コ亭空Φ日菊Φho﹃8

鋤Φω巴茜ΦヨΦぎ8<2毛巴ε口ひq興8算ω巴ω

﹀鼠ひq旧びΦ1>ロω馨N①鋤ヨbu虫ω営9αΦω

d︼B類①犀ωOげロ旨Φω1 >同〇三くα①ω0−hhΦロヴ      導浮力口端Φo耳ω一㊤㊤ρω﹂OO古ミ●

 國 本論文は︑行政法総論の改革を主題としたボレー

ミッシュな論稿である︒筆者のホフマン・リーム教授︵ド

イツ・ハンブルク大学︶は︑公法︑特に行政法や放送法の

領域で精力的な活動を展開されている方であり︑とりわ

け︑アメリカでの在外研究の経験をもち同国の法制度に詳

しい点︑及び︑社会学︵行政学︶に通じている点で︑現在

のドイツ公法学会でトップクラスに位置する︒近年では︑

こうした見地から公法学の変革を積極的に主張し︑学会の

新しい潮流を代表する一人であるといえる︒したがって︑

アメリカ法とドイツ法との相違・接点に関心をもち︑他

方︑公法学への行政学・社会学の知見の応用を模索してい

るわが国の公法学者にとって︑その動向が最も興味深い研

究者の一人である︵同教授の米独行政法比較に関する見解 については︑参照︑藤田宙靖﹁ドイツ人の観たアメリカ公法﹂望月礼次郎他編﹃法と法過程﹄四文社・一九八六年五二〇頁以下︶︒ 二 現在のドイツ公法学で活発に論じられている問題として︑法律の執行の欠鉄︑非公式的行政活動など新しい行政手法の登場がある︵参照︑大橋洋一﹁行政手法からみた現代行政の変容﹂ジュリスト一〇三〇号八八頁以下︶︒換言すれば︑法と現実との乖離の克服が法治国の現代的課題として注目を集めているのである︒こうした研究が最も進展している中・10領域は環境法の分野であり︑本稿もこの行政領域を研究対象とする︒本論文は五つの章から構成される︒まず︑新しい手法の登場や法と現実との乖離が顕著に見られる環境法分野において行政法総論の有用性を吟味し︑本論文の目的︵行政法総論改革︶が一般的に提示されている︵以下三で扱う︶︒続いて︑行政法学が行政過程の最終結果の統制から過程自体に目を向けること︑つまり裁判規範学としての体系に行為規範学としての機能をも加えること︑そして法律や行政行為などの機能諸条件を探求する操作学︵ω8¢①﹃⊆昌ひqω三ωωΦコωoげ鋤hけ︶として構築される必

要性を強調する︵四︶︒具体的な検証の第一として︑従来

61 (1 ●152) 152

(4)

  の行政法学が法的毅疵の除去・回避といった消極面への対

  応に終始した裁判規範学であった点を指摘し︑その限界を

  具体的に論じている︵五︶︒これは︑換言すれば︑行政活

  動の適切性の担保という視点が欠如していたことを意味す

  る︒今後の行政法改革の視点として︑合法性︑法的活動間

  の選択関係︑効率性︑合意形成といった四点を挙げている

   ︵六︶︒最後には︑環境保護行政の活動類型を整理し︑そ

  れがもつ行為規範としての機能を論じている︒これが本論

  文の核心部分を構成する︵七︶︒以下︑論文の叙述の順序

  に従って︑具体的に見ていくこととしよう︒

   三 法改革の課題︵Qo﹂OOムOω︶

   法律学︑とくに総論といわれる体系は具体的な問題状況

  からの抽象化を特色とするため︑変化した状況の包摂を可

  能にする反面で︑現実面の変化を体系に反映することを難

  しくしている︒新しい問題状況への適合は多くの分野で要

  請されるが︑これが特に顕著に現れているのが環境法の分

  野である︒この分野では︵従来の行政法学が射程において

  こなかった︶新しい手法が発見され分析されているが︑こ

介  れは伝統理論の機能不全を示す一例である︒環境法分野で

紹  生起している諸問題を素材に︑これを適切に解決するうえ で行政法理論が充分な潜在能力をもつかを問い︑それが期待できない場合には一歩進めて︑行政法理論の改革の必要性を論じることとする︒ 四 操作学としての機能をも備えた行政法学︵ψお海ムミ︶ 法の機能分析という視点からは︑次に挙げた諸点の考察が肝要である︒第一に︑法規範が目標を達成できなかったり有害な副作用を伴う場合には︑プログラム﹁策定﹂の不足︵牢○ひq冨ヨ自Φヨ昌σq巴Φh凶N一8︶が認められる︒第二に︑既存の法規範が適用されない時に︑プログラム﹁適用﹂の不足︵牢︒ぴq鎚ヨヨ鋤冨≦8αロ轟ωαΦ唾凶N凶θo︶が見られる︒とくに︑決定の正当性等について利害関係者の理解を得られず不服従を招く場合には︑受容の不足︵Φぎ﹀吋N①℃冨コ苧αΦh凶臥叶︶が存在する︒第三に︑不服従が制裁を受けない場合には︑﹁統制・制裁﹂の不足︵函05需oF彗ユω磐算凶︒づ甲α①h巨8︶が語られることとなる︒第四に︑右の不足に直面して︑規範の策定や規範の適用が見直されないなどフィードバックに欠ける場合には︑﹁学習・刷新﹂の不足

(】tO﹃昌−口口α 一昌昌O<餌什同O昌ωα①h一N臨けΦ︶が認められる︒筆者に

よれば︑環境法で見られる不備は︵これまで説かれてきた

61 (1 ・153) 153

(5)

よヶな︶統制・制裁の不足に止まらず︑したがって︑たん

に制裁強化の対応では問題の解決とはならない︒むしろ︑

インプリメンテーション研究を中心としつつ︑行政法学も

個人・団体の行動を操作・指導する学として確立される必

要がある︒換言すれば︑法律や行政措置の機能条件に言及

し︑決定結果のみならず決定過程・執行過程にも着目する

ことが肝要である︒現行の行政手続法はこうした観点から

は不充分であり︑例えば人事・組織・資金など︵行政学で

重視される決定の規定因子が︶射程から除外され︑また増

分主義の観点からする︑目標選定・基準選択・活動選択の

分析も充分にはなされていない︒現在の行政手続法理論は

行政手続の暇疵理論に限定され︑手続過程を念頭に置いた

操作理論とはなっていない︒換言すれば︑行政決定に焦点

をあてた権利救済の形成・監視・制裁手段に重点が置か

れ︑規範の執行に重要な要素である受容・動機付け・フィー

ドバックといった諸要因には考慮が及んでいないのであ

る︒ 五 司法統制の可能性と限界︵ω.らO刈i幽Hトの︶

 これまで︑行政法は違法性判断基準とされ︑行政法学は

蝦疵理論に限定されてきた︒行政法規が目標・手段・制限 を挙げるなど行為規範としての機能を予定しているにもかかわらず︑違法行為の回避のみが消極的に論じられ︑行政活動の最適性が語られてこなかった︒規範の分析や理論化の重点は行為規範にではなく︑裁判規範に置かれてきたのである︒裁判は確かに権利救済を与えることにより訴訟事件以外の事案についてもシグナル効果をもち︑間接的な行為統制機能をもつものである︒しかし裁判所の関与は例外事例における緊急の補助者としての機能に限定されるものである︒さらに︑保護規範理論︵9Φωoげ暮N昌︒﹁3昏Φ9ユΦ︶による限定のため︑重要であるにも関わらず個別化の困難な保護法益については司法審査から外れる結果となっている︒さらに︑裁量・判断余地が認められる場合に司法審査は限界の逸脱という点に限定される︒また︑司法統制は出訴を前提とするため︑出訴が放棄される場合には審査の⁝機会を失うこととなる︒その他にも︑訴訟では最終段階である判決の言い渡しまで結果が不透明であるという限界がある︒ 六 行政活動の規範的標準︵ω・卑湿自①︶ 以上の考察から明らかとなったことは︑行政法学の課題は︑司法審査基準理論に加えて︑行政決定の適切性を保障

61 (1 。154) 154

(6)

  するための操作機能を高めることである︒その際には︑次

  の四点が重要である︒

  の 合法的行政活動 法治国においては︑行政活動の法律

  適合性は放棄できない視点である︒

  口 選択的行政活動 行政裁量や不確定法概念が認めら

  れ︑目的だけを提示した目標プログラムが増大する現代法

  では︑手段の選択可能性が行政と私人の双方に認められ

  る︒こうした選択関係の中で特定の行政活動が捉えられる

  必要があり︑例えば︑許可申請についても許可・不許可の

  二者択一か月離れ︑負担による解決︑申請変更︑行政指導

  などの選択肢を視野に入れることが必要となる︒

  ⇔ 効率的行政活動 しかし︑複数のオプションの間で自

  由に行政が選択できるわけではなく︑むしろ最善に利益の

  適合を図るよう自己の裁量を行使しなければならない︒つ

  まり︑消極性に標準を合わせた司法統制とは異なり積極的

  な行動任務に拘束されるのである︒ここで言う効率とは︑

  時間・財政・量の各側面における最善化を意味する︒

  画 同意確保型行政活動 環境法の分野では関係者の同意

介  が極めて重要な要因となる︒同意の要請を通じて︑決定過

紹  程に関係者の利害が取り入れられ公正な利益調整がなされ ることが肝要である︒これにより︑一方的になされた決定に比較して質の高い決定が下されることが期待できる︒ 七 行政活動による環境保護・操作の立脚点︵Qっ・自①ム島︶ 以下では︑複数の選択肢の間で行政任務の最適な履行を図るための立脚点を論ずることとしたい︒H 命令型行政活動︵ω・業晒①1斜一刈︶ 命令や禁止︑制裁措置を伴った命令型の法は環境法では時代遅れになったと説く見解が見られるが︑これは誤っている︒むしろ︑制裁の利用はできるだけ控え︑他の手法の補完として用いることが巧みな方法である︒つまり︑社会の自己制御を促すような法が優先すべきである︒⇔ 刺激型行政活動︵ω.至刈ムMω︶ 社会の自己制御として現在要請されているのは︑規制緩和︑民営化︑経済市場を通じた指導である︒社会の自己制御をできるだけ促進するために︑通常の場合︑当事者が利害計算のうえ服従を示すようにその利害構造に合わせて法を形成することが望まれる︒ 第一は︑特別税であり︑これは税収入に重点があるのではなく︑行動規制に重点がある︒第二は環境マークの制度

61 (1 ●155) 155

(7)

であり︑これは社会の自己規制を促す高度に発展した規制

手法である︒第三は︑命令型手法とインセンティブ型手法

の組み合わせである︒例えば︑許容値が規定され︑これを

下回る場合には経済的な謝礼を出す方法である︒このよう

な組み合わせば両方の手法を強化することともなる︒例え

ば︑排水税により規制効果があがると共に︑経済界は税金

の回避のための措置をとるよう促されるのである︒第四

に︑規制がイノベーション阻止効果をもつ点に着目する必

要がある︒つまり︑規制値がいったん定まるとそれを下回

るような努力は放棄されがちであるから︑むしろ今後は改

善努力を助長する方途が探求されねばならない︒

⇔ 同意型行政活動︵ω.轟Mω1轟ωoo︶

 関係者の同意を獲得することは︑インセンティブ型行政

活動をはじめその他の行政指導にとっても助力となる︒合

意形成は︑多極的な利害状況のなかで︑利益のスクリーニ

ングといった法的課題を達成するものであり︑当事者に利

益︵これはより規制的な措置の回避であることもある︶を

もたらす︒合意形成の努力は環境法分野でも広範に見ら

れ︑とくに︑一九八○年代にはインフォーマルな行政活動

といった見出し語の下に盛んに論じられたものである︵参 照︑ヴィンフリート・ブローム﹁インフォーマルな行政活動−法治国の変遷について﹂本誌六〇二三・四号︵一九九四年︶八七−一一〇頁︶︒ただし︑こうした手法には法的拘束を回避するとか︑一面的な利害だけを考慮し︑非参加者の利害が反映されないという危険を内包する︒したがって︑司法審査で結果において蝦疵がないことだけを問題にするのは誤っている︒ しかし︑合意型の行政実務が暗示していることは︑一方的な決定がとくに複合的な利害状況には適切ではないということである︒こうした状況下で︑右の実務により︑結果の適切さを確保する責任が当事者に転嫁され︑その分︑国家の負担が軽減されたと考えることも可能である︒しかし︑社会による自己制御︵αq①ω①=ω9臥島9①ωΦ一げωヴおひq邑臼門外ひq︶という考え方が社会的法治国と適合できるのは︑国家が公益の受託者として︑ないしは私人による権力濫用の回避機関として︑︵一定の︶枠組みを設定する場合である︒ ω 同意の形成と権力の投入︵ω︒蔭Nα一軽boOQ︶ 環境政策の過程で行政が学ばざるをえなかったことは︑

一方的な規制権限の行使だけでは規制効果が上がらないと

61 (1 ・156) 156

(8)

  言うことである︒監督措置でさえ︑筆規聖者の情報やイニ

  シアチブに依存している︒行政との交渉において︑被規制

  者は自己の見解を伝え︑交渉の前提事項に影響を及ぼし︑

  より規制的でない措置の宣伝を行い︑一定のボーナスの取

  得に努めるのである︒もっとも︑相互交渉は支配から自由

  な討論ではなく︑その時々の力関係の表現でもある︒私人

  が多大な影響力を行使すると︑利益選択に危険が生じ︑と

  くに訴訟放棄がなされる場合には統制の⁝機会が欠けること

   にもなる︒また︑多極的利害構造の中でなされる交渉は交

  回者の二局構造に着目したものとなり︑交渉非関与者の影

  響力が失われるといった犠牲のもとに成立する︒そこで︑

  こうした交渉を開かれたものとするために︑参加権や訴権

   の承認︑非関与が違法原因となることの承認が必要であ

  り︑また︑交渉過程における権力の不平等を是正するため

   に︑弱者にも情報へのアクセスを保障することが肝要であ

  る︒

   ② 個別決定型の行政活動︵ω●ら悼Q◎1膳ωα︶

   同意の獲得は︑個別決定に関しても︑規範制定に際して

介  も要請される︒個別決定に係る事前の同意は後続の行政契

紹  約や同意型行政行為︵パ8ω99詳①<9妻①罫引ひqω9︒耳Φ︶な どにつながるため︑その法形式も拘束力の強度もさまざまである︒従来のように︑決定の結果に蝦疵がなければよいといった見方では︑右の合意が行政活動の選択において濫用等の危険をもたらす点を看過することとなる︒例えば︑

一時的に法律の執行を停止し︑他方で古い施設の改善を促

す行政実務のように︑ドイツの行政は︑企業との共演の下

で︑理論的には過剰規制禁止原則に依拠しながら︑同意形

成に創造性を発揮してきた︒実務家の中には︑こうした運

営をシステム化するよう要請する意見も見られる︒しか

し︑こうした合意型の活動は裁判所による審査を回避し︑

したがって学説の批判をも免れるという問題点をもつ︒こ

のように︑柔軟な活動形式に対する行政実務の需要に配慮

すると︑かかる現実的要請にも応えうる行政法の改革が必

要である︒.事実上の効力をもつごうした合意型行為について︑連邦

行政裁判所は有名な板ガラス判決で適法性基準を提示して

いる︵<ひqピじd<q箋O国歩ω8るNOhh●︶︒つまり︑客観的に

正当化され︑︵計画︶権限が遵守され︑内容的に︵つまり

結果の点で︶異議のないものであることの三点である︒こ

れは計画審査に関するものであるが︑一般化可能である︒

61 (1 ●157) 157

(9)

しかし︑この基準は司法審査に適したもので︑決定の最適

化には関心を払っていない︒とくに︑利害関係者が排除さ

れて合意が形成された場合には︑この合意は選択結果に影

響を及ぼすわけであり︑結果が衡量の雷門を伴わないこと

では足りないのである︒より実効的な活動可能性への志向

が行政実務で認められる点に鑑みると︑そのための行政法

改革が必要となろう︒このことは︑法定の連結禁止原則

︵行政手続法三六条三項︶の緩和を検討することに関連す

るが︑それは立法者の任務である︒他方︑オットー・マイ

ヤーの影響の下に依然利用されていない行政契約の再生に

もつながるかもしれない︒さらに︑交渉により内容の合意

された行政行為︵Φ冒⇔ロωぴqΦ冨ロα色8﹃二口αぎゲ巴島︒ゴ評︒苧

ω①算δ暮9<Φ﹁≦設け§ひqω鋤簿︶は施設許可の分野に多く見

られるが︑これを助言や情報提供︵行政手続法二五条︶と

いった既存の概念にあてはめるのは行政法学の無力を示す

ものである︒むしろ︑継続的で相互的な権利・義務関係の

束である交渉法関係を背景にした特別なカテゴリーとして

認めることが大切である︒その上で︑交渉型と非交渉型の

特質を比較し︑例えば︑司法審査の場では︑交渉参加者の

利害は既に考慮されたであろうから︑非参加者の利益が充 分考慮されたのか︑を特に集中的に吟味することが要請されよう︒EC法によりもたらされた環境アセスメントは︑多極的・合意的利益解明にとって手助けとなるものである︒特に︑第三者の関与を促している点が参考になるが︑もっとも公衆参加は従来の計画確定にみられるような公聴会に止まり︑早期性・多極性という点でなお改善の余地がある︒ 多極的な利害の間で合意を形成することに︑行政庁はあまり成功していない︒また︑従前からの制約等のために行政官の中立化も難しいところがある︒そこで︑当事者から第三者性を認められた外部者たる紛争調停者︵閑︒邑貯壁邑什二臼︶が︑利害をスクリーニングし︑合意点を探し︑解決の提案をするといった制度を設けることが適切である︒これは︑社会的力関係の混入を排除する試みである︒ ⑧ 規範制定に関する合意形成︵ω6心ω㎝1らωQQ︶ ここでは︑外部法規範の他︑行政規則︑私人の定立する技術指針︑業者間の自粛申し合わせも扱われている︒実務では︑厳格な法規命令の制定等を行政が断念するかわりに︑業者間で自粛の申し合わせがなされ︑こうした自粛協

定が官報に掲載されることもある︒この協定は政府の負担

61 (1 ●158) 158

(10)

紹介

を緩和する一方で︑業者に自己の意図を規制に盛り込むこ

とを可能とすることから歓迎される傾向がある︒技術指針

は科学技術上の知見のほかにも︑科学の重要性︑安全基

準︑受忍されるべき危険︑目的設定など︑専門家や業者に

は任せられない政策決定を含むものである︒先取りされた

専門家鑑定として指針を性格づける考えはこうした価値判

断の側面を隠すものであり︑他方︑規範具体化行政規則と

いった構成は司法審査に標準を合わせたものである︒

 関係者の聴聞は情報収集手段と捉えられてきたが︑今後

は︑現実的・潜在的利害関係者の利益主張の場として拡大

することが必要である︒とくに︑行政が囚われの身となる

ことのないような措置が必要となろう︒従来から業界関係

者が容易にアクセスできるのに対し︑潜在的な危険を受け

る者の代表や公益を利他的に代表する者が参加できなかっ

た行政のコミュニケーション:不ットワークを拡張してい

くことが肝要である︒参加の可能性ではアメリカ法が参考

になり︑とくに︑紛争調停者の関与のもとに交渉システム

を構造化し︑その中で行政規則を制定する試みなどが興味

深い︒ 画 補償型行政活動︵ω.昏ωoolお斜一︶ 合意型の行政活動が成功するのは︑実質的な利害調整が可能な場合である︒つまり︑さまざまな利害の調整を図りうる選択肢に着目する必要がある︒合意形成はできるだけ初期になされることが前提となり︑この点では現行の分節化した行政過程を分析し直すことが肝要である︒具体的には︑申請の事前修正︑補完措置の要請︑さらには法定の補償を越えた補償給付の提供である︒この補償は侵害の軽減を意味し︑こうした手法は現行法でも連邦遠距離道路法一七条四項︑行政手続法七四条二項二文︑廃棄物法八条四項二a文に見られる︒自然保護のための補償金が示しているように︑補償給付は個別化されずとも︑環境保護といった法益のために利用可能である︒優遇された私的事業者からの補償給付がマイナスの影響を取り除き︑合意形成に役立つこともある︒利益調節が異なった施設問でワンセットとしてなされることは実務上頻繁に見られる︒今後は︑ある施設についての不利益が他の施設についての利益とどの程度調整されうるのかが解明されねばならない︒連結禁止が法的な限界を設定するとしても︑事実上の連結を排除する

ものではない︒利害調整のための特別な措置が必要である

61 (1 ・159) 159

(11)

ことが事業者に明確になり︑その者が侵害的でない代替案

を採用するようになると︑外部費用の内部化といった望ま

しい状況が生じることとなる︒環境法で承認された原因者

主義も︑こうした利害調節に役立つものである︒調整が決

定過程に組み込まれることがとりわけ重要であるが︑その

前提はすべての重要な関係者︵ここには他者のために公益

を主張する団体も含む︶がこうした交渉・取引関係に関与

することである︒つまり︑個人の権利救済を拡張すること

以上に適切な方途は︑例えば保護規範理論を放棄するなど

して団体の参加や団体訴訟を可能にすることである︒

国 危険志向型行政活動︵ω■斜斜一−斜トα︶

 危険防止といった伝統的な警察法の手法の活用には︑環

境保護の分野では限界がある︒ここでは︑国家の規制を受

けた社会の自己責任・自己制御といった考え方が大切であ

る︒環境に危険を及ぼす行動の利益・不利益を調整する団

体主義的なシステム︑危険共同体の形成が有用である︒こ

れは保険法の構想を公法に導入したものであり︑具体的に

は基金方式である︒これは危険克服のための国家による資

金調達を提案するものでなく︑危険のきっかけを作った者

の間で利害調整を図るものである︒ ㈹ 見直しに開かれた行政活動︵ω.轟斜㎝1斜斜刈︶ 不確実性・複合性・時間の切迫といった三要因により︑環境法分野における決定は後の見直しを留保して初めて下されうることがある︒これは動態的基本権保護・法益保護といった考え方であり︑また︑科学茂術の発展に開かれた柔軟な規定が置かれることもある︒これに対しては︑民主的な正当性をもたない専門家︵集団︶に決定を委ねるものだという批判が見られる︒そこで︑一定の期間後には決定権を取り戻す手続を拡張することが必要である︒ここでは︑既成事実によって見直しが妨げられることのないように︑例えば︑危険施設に対する信頼保護原則の排除の規定を参考にすることが望まれる︒また︑手続的には︑報告義務やローリング審査などが配慮されよう︒ 七 以上が本稿の概要である︒簡単な紹介からも明らかなように︑著者であるホフマン.・リーム教授は時代の要請・行政環境の変化に極めて鋭敏な研究者であるといえよう︒例えば︑八一年のドイツ公法学会報告で同教授が非公式的行政活動の実態を提示したことが︑その後のこの問題に関する活発な議論を呼び起こしている︒さらに︑ここに

紹介した論文を受けて行政法総論改革の問題に関しては︑

61 (1 ・160) 160

(12)

  ここ数年間で紹介者が知るだけでも十を越える著書・論文

  が公刊され︑各地でシンポジウムの開催が相次いでいる状

  況にある︒このように︑行政をめぐる理論や実務が進むべ

  き方向性を提示する創造性及び同教授の改革志向性は︑本

  稿でも随所に見られるところである︒なかでも︑行政法学

  への社会学の知見導入の必要性は近年のわが国でも提唱さ

  れているものであり︵この問題に関し︑参照︑大橋洋一

   ﹁行政学と行政法学の融合試論︵序説︶ードイツを素材と

  して﹂季刊行政管理研究六六号︹一九九四年︺四頁以

  下︶︑ここに日置に共通した問題領域を見いだすことが可

  能である︒今後この課題と取り組むにあたり︑本稿は日本

  人の研究者・実務家によって繰り返し参照されるべき文献

  であると考え︑紹介に及んだ次第である︵本稿の簡単な紹

  介として村上博﹁ドイツにおける行政法改革論議﹂法政論

  集一四九号︵一九九三年︶九三頁以下も︑あわせて参照い

  ただきたい︶︒なお︑本稿はその後︑妻●=o頃ヨ睾亭空Φβ

  国●Qり魯ヨ生壁﹀ゆヨ①p昌︵=﹃ωσq・︶閑臥︒円ヨαΦω≧侭ΦヨΦヨΦ昌

  ︿9≦巴ε昌σqω﹃①9けω⁝Ω歪コ段鑓ひqΦP一・﹀自r一8ω博ω●一嵩自

介  に一部修正のうえ収録されている︒

紹      ︵大橋洋一︶

 乏①3臼=8b①\竃母二三切①6犀ヨきp

⊂日≦・色q①Oげ一 ︵﹈≦魯目冨戸ρ口・じd①葵﹂O︒︒P×××戸㎝◎︒Oω・︶ 一 環境法は︑ドイツの公法学会で︑近年︑最も研究が盛んな領域の一つであり︑数多くの優れた環境法の教科書が相次いで公刊されている︵代表的なものとして︑ζ・固︒Φ風Φびdヨ≦出戸8耳鴇一㊤︒︒㊤門島●しu﹃2①さCヨ≦Φ犀ω9暮苧お︒拝凶pH︿.ヨ言書\国・Qっ9巨鼻−﹀ゆ§①弓︵=笏ひq.︶しd①ωo昌αΦ﹃Φ︒D︿Φ﹁芝p︒犀二日σqω﹁①oゴ戸ρ﹀信hr目り㊤N︶︒そのうちの一冊である本書は︑環境法全般を対象とした教科書であり︑多くの具体例を交えている点を特徴としている︒ ドイツにおいて︑一九七〇年代から環境問題に対する取り組みが本格化し︑連邦政府は︑︸九七一年に環境政策の指針となる環境プログラム︵¢白≦①甘﹁oαq轟日ヨ︶を定め︑環境状況や環境条件を定期的に鑑定する目的で︑環境問題専門家委員会︵幻p︒けく8ω鋤︒げくΦ道辺昌aσq①ロ密﹁Cヨ≦Φ録惹σqΦづ︶を設置した︒そこでは︑複雑な環境問題に対応すべく︑法令改正や新法の制定が検討され︑それに

61 (1 ●161) 161

(13)

応じ︑学問システムとしての環境法の体系化が試みられた

のである︒その中で︑環境法理論を総論部分︵≧7

αqoヨ①営興↓①一一︶と各論部分︵じU①ωO口α①﹁Φ﹁ 一門①臨︶に区別

し︑さらに国際法︑及びヨーロッパ法を考慮する形が確立

した︒本書もまたこの形式を踏襲している︒

 本書の視点は︑度重なる法律等の改正により︑法規定が

肥大化して概観が困難となった環境法の混沌とした現状を

解消することにある︒これは︑著者が以前から強調してい

る問題意識でもある︒

 本書は︑学者と実務家である二人の執筆者による共著で

ある︒著者の一人であるホッペ教授︵勺﹁o勢O﹁・零ΦヨΦ﹁

国○薯Φ︶は︑現在︑ミュンスター大学に勤務し︑これま

で長年にわたり都市計画法に関する研究に従事しており︑

この分野では第一人者とも呼ぶべき研究者である︒同教授

は︑衷た︑一九八七年には連邦の環境問題専門家委員会の

メンバーを務めるなど環境法にも近年精力的に取り組んで

いる︒もう一人のペックマン博士︵U﹁.︼≦胃諏昌ゆΦo写

声g︒琶︶は︑弁護士として活動している︒

 二 本書は大きく分けて二つの部分から構成される︒

8 総論部分では︑環境法の基本概念と体系︑基本法上の 諸問題︑目的︑基本原則︑手法︑権利救済︵民事・刑事も含む︶を扱う︒さらに︑国境を越えた︵αqお自二び①﹁ωo訂Φや8巳︶環境保護︑環境に関する賠償責任︵⊂ヨ≦①犀冨やε昌σq︶︑環境保護の行政組織についても言及されている︒著者は︑環境法の持つ動態性︵U旨①劇評︶︑横断的特質

︵ρ¢Φ﹃ωo産生ω霞餓αqΦ﹃O冨蚕簿①﹁︶という性格が必然的に

もたらす法領域の拡大化が︑この分野における法問題の理

解を困難にしていることに着目し︑環境法の諸領域に認め

られる共通点の発見に主眼を置いている︒

口 各論部分は︑環境保護対象により分けられる︒この部

分はプロイアー教授による分類︵bd﹁2①び¢3≦響けωo﹃葺N−

お9戸凶昌﹂・三重口口9︵=﹁ω瞬︶讐buoω8α9Φω<①﹁≦巴町§ひq甲

お︒ケr︒︒●﹀二戸一㊤︒︒︒︒ω.①認ま前掲の第九版でもこの分類

が用いられている︶を参照して記述されている︒本書で

は︑まず︑古典的な環境媒体といわれる土壌︵じdo傷Φロ︶︑

水︵♂<蝉ωω9︶︑大気︵い鼠樽︶を取り上げ︑それぞれ︑自然

保護並びに景観保護に関する法︵U霧Z讐霞ω07旨N−§α

いp︒昌αωo冨津ω嘗一Φひq霞Φo耳−第一七章から第一九章︶︑水域

に関する法︵U鋤ω○①芝似ωω臼ω魯¢9お︒耳−第二〇章から第

二三章︶︑イミッション防止に関する法︵U鋤巴∋巨ωωδ昌ω−

61 (1 ●162) 162

(14)

  ωoゴ暮Nお︒ぼ1第二四章から第二六章︶として論じる︒こ

  こでは︑中心となる法律のみならず︑各環境媒体と関連す

  る諸分野の法律も扱われている︒その他に︑因果関係を重

  領した︵惹ロω巴環境保護に重点を置き︑個々の環境媒

  体を越えた視点からの把握が必要とされるものとして︑具

  体的に︑危険物質︑廃棄物︑原子力に関する法︵U鋤ω

  O①融ぼω8︷戸﹀び融F℃ニコα>8∋お6耳−第二七章から第二

  九章︶を概観している︒

   三 以上述べたように︑本書の内容は広範囲に及ぶが︑

  その中で特に注目すべきは︑ドイツの環境行政が用いる手

  法を分析した部分であろう︒ここに見られる手法は︑環境

  法の特色に応じたものであるが︑これは環境法に止まら

  ず︑他の行政領域にも広く認められるものでもある︒新し

  く登場した行政手法の研究では︑環境法の分野が最も進ん

  でいるといわれ︑手法論を発展させるのに大きな寄与をな

  している︒他方︑行政法学の変容を指摘し︑伝統的な思考

  枠組の再構築を試みる観点からも︑環境法は大きな関心を

  集めている︵零・=o律ヨ鋤コロー空Φβ 勾駄︒﹁ヨαΦω巴7

介αq①ヨ①貯Φづ︿①﹁≦鋤犀ロ昌ひqω﹁ΦOび房巴ω﹀⊆hひq鋤σΦ1>昌ω警N①①∋

紹一W虫ω嘗巴αΦω⊂ヨ≦Φ犀ωoゴニθNΦρ﹀α閑一嵩藁㊤りρω﹂OOhh︶︒ このような点に留意して︑以下では︑手法について扱っている部分を紹介したい︒ 環境手法については︑まず︑環境保護に関する法的手法の分類方法について触れ︵第六章︶︑続いて︑その区別に従い︑環境法の計画手法︵第七章︶︑直接的操作手法︵第八章︶︑間接的操作手法並びに国家自身によるサービス提供︵第九章︶について︑意義︑概念︑関連法律︑諸事例について分析がなされている︒ それぞれの手法について︑順次︑見ていくこととする︒e 著者は︑直接的操作手法︑及び間接的操作手法が計画のもとに体系化されていることに着目し︑最初に計画手法を扱っている︒計画手法は︑予防的環境保護の手法として優れており︑事前配慮原則︵<o誘︒﹁σq①只ヨN昼︶の実現に寄与するものと位置づけられている︒行政法システムにおける計画の法的性質付けには議論のあるものの︑この手法の意義は高く評価されるところである︒環境法領域における計画手法は︑建設法領域で発展した計画システムをモデルとしている︒そのため本書でも︑総合計画︵Ω①ω鋤ヨ学豆き§ひq︶︑及び部門計画︵聞①09一p︒口§ひq︶に見られる環境保護について︑国土整備法︵菊9︒¢ヨ︒﹁曾§σqωσq①ω①けN︶や

61 (1 ●163) 163

(15)

建設法典︵じdp︒二ひqΦωo訂び雪面︶の条文をあげて解説してい

る︒また環境法令の関連規定の提示により︑景観計画や廃

棄物処理計画等の環境計画が︑各分野において︑明文化さ

れていることが窺える︒

⇔ 直接的操作手法に関しては︑中心的な四つの手法形式

を題材としている︒

 一つめは環境に関する命令と禁止で︑環境法上の給付義

務︵目Φ凶ωε昌σqωO簑︒耳Φ昌︶︑受忍義務︵U巳α藍嵩σqω冨=07

8昌︶︑不作為義務︵d暮Φ二日ωω毒oqωO爵︒ゴけ①コ︶が挙げられ

ている︒これらは伝統的な危険防止型の手法である︒

 二つめは環境法上の許可手続である︒許可手続に特徴的

に見られるように︑許可を留保すること︵国ユ自︒二び巳ω<o雫

σΦ冨εにより︑行政は予防的な管理︑統制が可能とな

る︒著者は計画確定手続︵℃冨昌hΦωけωけ巴§ひqω<①H富汀Φ⇒︶

と環境アセスメント手続︵¢ヨ≦①円く①#贔σq平げ評9什甲

只墓畔σq︶も許可手続の一形態と捉え︑ここで扱ってい

る︒計画確定手続についての記述は︑行政手続法における

その概念︑過程︑法的諸効果に加え︑計画確定手続の関連

法令にも言及している︒このような多方面にわたる記述が

右の制度の概観を容易にしている︒ドイツの環境アセスメ ント制度は︑一九八五年のヨーロッパ共同体の環境アセスメントに関する理事会指令︵閑一6げ二曹巳Φα①ω勾簿Φω鶴げ臼臼①dヨ≦①犀くΦ囲穀σqぎゴ評Φ房〇三貯5σqぴ①凶げΦω鼠ヨヨ8昌αい

hΦ昌島6びΦ昌§ユOユく讐①昌℃﹃o冨耳Φ昌︶に基づいて国内法化

されたもので︑一九九〇年には環境アゼスメント法

︵OΦω①霞尋興臼Φ¢日≦①犀く①詳﹃餌σq浮冥①房事母巷αq︶が制

定されている︒この法律によるアセスメント体制は︑それ

自体別個の独立した制度とはならず︑既存の許可手続の中

に取り込まれ︑関連法律の改正の形で実現された︒本書で

は︑当時草案段階であったこの法律を取り上げ︑その条文

に沿う形で新たな制度について解説を加えている︒この制

度について紹介したものとしては︑草案段階とはいえ詳細

なものの一つといえよう︒

 三つめに環境法上の監視のその他の手法として︑環境法

上の情報提供義務︵﹀¢ωざ老けωO匪︒葺Φ昌︶と環境保護につ

いての企業監督者︵buΦ三ΦげωぴΦ三面鋤σq梓g︶の選任が挙げ

られている︒前者は︑私人に対して行政への情報提供を義

務づけるもので︑事業活動と関連して規定される︒後者

は︑環境保護に関する事項について︑許認可の条件等の遵

守の監督︑改善措置の提案︑環境影響に関する情報の提供

61 (1 ●164) 164

(16)

  などを担当する監督者を企業内に置き︑環境保護を図ろう

  とするもので︑企業の自主規制に期待した制度である︒

   四つめとして︑社会状況の変化に対応するために︑行政

  が介入する手法である︑環境法の規制的処分︵お嘆Φωω貯①

  <臼旨σq⊆昌σqo昌︶が挙げられている︒

  ㊨ 第九章では︑間接的操作手法と国家自身によるサービ

  ス提供が解説されている︒著者は︑命令及び禁止︑管理の

  遂行並びに監視といった直接規制は︑危険防止やリスク配

  慮の観点から不可欠であるとしながらも︑この手法の欠点

  を間接的手法や国家自身によるサービス提供によって補完

  することの必要性を指摘している︒間接的手法としては︑

  環境政策的に望ましい行為の誘導をねらったものとして︑

  経済的インセンティブ︵α犀OうOヨ凶ωOプ① ﹀づ﹁①一N①︶︑環境税

   ︵d虎毛Φ犀四σひq潜び①口︶︑環境許可証︵dヨ≦Φ犀NΦ﹃ユ鵠

  犀讐①︶︑環境に好意的な行為に対する資金助成︵霊津昌−

  N凶Φ毎春ひqωゴま①昌︶︑インフォーマルな国家行為︵言h古画

  ヨ①=Φωω富讐ω冨昌α色昌︶が取り上げられている︒ところ

  で︑国家の環境保護手法は︑これまで紹介した環境関連計

介  画や直接的操作手法︑あるいはここで扱う間接的操作手法

紹  に限定されるわけではない︒公共機関は多くの領域におい て環境保護のために自ら活動し︑行政として︑廃棄物処理に代表されるような無数の小規模なサービスを提供している︒このような国家自身によるサービス提供も環境法上の手法に含まれる︒ この手法でとりわけ注目を集めているものを少し補足したい︒環境の使用に対して金銭的負担を課す手法として環境税があり︑これにより︑環境対策費が環境税額を下回るときには︑汚染軽減への努力がなされ得る︒また︑汚染が完全に改善されない限り税を払い続けなければならないため︑事業者を改善へ向け続けることが可能となる︒このことは︑一定基準以下の汚染は問われない直接規制手法と異なり︑環境税の長所とされる︒もちろん︑事業のリスクをすぐに考慮できないことや︑適切な税額設定が難しいこと︑税の支払で改善対策を免れた場合には向上が望めないことなど︑問題点は見られるが︑既に水質管理法︑汚水税法などいくつかの環境法に規定されている︒著者は税目的に応じて︑環境融資税︵dヨ奢⑦三ぎ讐N凶雪§ぴqωp︒σ−σq

lび①昌︶︑環境誘導税︵dヨ≦①三Φ鼻§σq慈げαq普①昌︶︑環境

利用税︵dヨ≦Φ犀づ葺N二つひqω曽ぴσq鋤びΦ口︶︑環境調整税

︵dヨ≦Φ犀飴二ωαq葱6げω①びひq曽び①づ︶という四類型を挙げてい

61 (1 ・165) 165

(17)

る︒ 環境許可証は︑ある程度の環境利用については︑高権的

に許されたものと位置づけ︑それをライセンスとして︑所

有権に類似の原則によりその市場取引を認める手法であ

る︒市場価格は自由経済により決定されるが︑免許の市場

売却コストが自己の排出削域コストを上回る場合には︑排

出削減傾向が期待できる︒これについては排出権の分配や

局地的な汚染等の問題が提起されている︒

 インフォーマルな国家行為は︑環境法上の協働原則を具

現化したものであり︑本書では︑インフォーマルな行政活

動︵一鼠霞日①一一①ω<臼≦巴εコσqω楽日α①一⇒︶と紛争回避型の協

定︵ぴq①ωΦ9Φω暮≦Φ巳Φ民①<①邑口び碧§σq窪︶が解説され

ている︒インフォーマルという付加語で特徴付けられた行

政活動は︑環境保護の領域で主として︑許可・監督行政庁

と事業者の問の環境協定の形で見られる︒この協定は︑拘

束力のない紳士協定であるが︑双方に重要なメリットをも

たらし得る︒行政側は事業者に法定以上の環境保護行為等

をさせることや合意解決によって手間のかかる訴訟を回避

することが可能になり︑また︑事業者も訴訟回避の他︑所

管行政庁との友好的な関係を維持することによって︑将来 の事業許認可の際の煩わしさを軽減することができるのである︒他方で︑このような事前交渉や協定に対して︑著者は︑法的な要求が形骸化し︑第三者の利害関係までも予め決定するなどの危険性を指摘している︒しかし︑それでもなお︑この手法が意義を有する理由として︑これが正規の行為形式以外に︑付加的な利用手段を備えるというメリットを挙げている︒例えば︑新しい施設の許可申請の際に︑インフォーマルにその事業者の既存施設に関する環境保護措置について交渉を行い︑事業者はそこでの普段は達成できない改善の実施の代償として︑新施設の許可手続に関して行政庁の好意的な態度の約束を取り付けることも可能である︒紛争回避型の協定としては︑個々の経済領域における自主規制協定が挙げられており︑ここでは︑必ずしも国家は協定主体となるのではなく︑そのような協定実現の仲介役としての役割も担うとされている︒ 四 以上が︑本書の環境手法の紹介である︒環境問題はその複合性のため︑従来の法システムでは十分な効果が得られない︒そこで︑制度の創設・運用に工夫が必要となり︑ここで取り上げた手法が意味を持つ︒例えば︑既に紹

介した︑環境法上の情報提供義務︑及び環境保護について

61 (1 ・166) 166

(18)

  の企業監督者選任制度は︑本来行政の任務とされてきた監

  督や情報収集を私人に委ねるもので︑伝統的な手法に対す

  る工夫の一つとして興味深い︒この中でも︑近時︑特に重

  要性を増してきているのは︑経済的インセンティブによる

  間接的手法であろう︒人間の生活や産業活動が多様化し︑

  経済︑科学技術等の高度な専門性を要する情報や問題が氾

  濫する中で︑それらをすべて行政が把握し︑対応すること

  は到底不可能である︒また︑行政の執行コストを軽減する

  ためには︑私人の協力を取り付けることが不可欠といえ

  る︒それ故︑このような手法により︑行政と私人が協働し

  て︑効率的に現状に即した問題解決を図ることは︑既に見

  たように有益である︒

   現在も︑ドイツでは︑環境にやさしい製品につけるエコ

   マーク︵⊂自P≦①一什N①一〇7Φ口︶の普及や二酸化炭素の排出抑

  制法として導入が検討されている新たな環境税など経済的

  インセンティブによる政策が前向きに進められている︒こ

  の傾向は︑ドイツに特有のものではない︒同じくヨーロッ

  パ共同体主導で環境保護を行っている他のヨーロッパ諸国

介  も︑同様の対策を講じている︒また︑アメリカにおいて

紹  も︑経済的観点の導入は関心を集めており︑既に課徴金制 度が運用され︑ここで取り上−げた環境許可証と類似の手法も見られる︒このように︑この手法には発展可能性が窺える︒本書では︑例として挙げた手法について︑関連の各論部分で説明しているものもあるが︑手法論の一般論として︑より詳細な取り扱いを期待したいところである︒ 五 今回︑本書のようなドイツ環境法を扱った文献を紹介した理由は︑環境行政に関し近年目覚ましい研究成果の見られるドイツの理論や行政実務が︑日本法にとっても︑大いに参考になるであろうと考えたためである︒ドイツでの環境に対する意識は高く︑環境保護への取り組みは積極的で︑前記の他にも︑一九九一年︐に施行された包装廃棄物の抑制に関する行政命令︵<臼︒﹃α昌§σq qσ臼 臼Φ <①﹁−日①置ロロσq<8<Φ壱9︒oさ昌αqω四び鍛一一①口︶など多岐にわたる︒

エネルギー消費量︑並びに一人当たりの自動車保有台数が

ヨーロッパ共同体内で最大である︑先進工業国ドイツにお

いて生じている環境問題は︑類似の産業構造を有する日本

にも少なからず共通するものと思われる︒

 わが国では︑第一二八回国会で念願の行政手続法が成立

し︑また︑環境そのものを総合的に捉えることの必要性か

ら︑科学技術︑環境アセスメント︑計画の活用︑経済的手

61 (1 ●167) 167

(19)

法による誘導策等にも目を向けた環境基本法も制定され

た︒このように︑日本の環境法制は︑公害対策としての事

後救済型制度から環境破壊の未然防止型システムへの進展

を模索しつつある︒このため︑以前から予防的手法を導入

しているドイツ行政実務の現状は︑環境保護政策の遅れが

指摘されているわが国にとっても︑一つの参考例となり得

るといえよう︒

       ︵勢一智子︶

O熔巨2℃黛9⑦びく費二巴ε昌σq巴①げ器

       ︵bの・﹀ロ自●︶

 ︵﹈≦⇔昌99\ρ口●uごooぎ同O◎︒O﹂×る謹ω・︶

 一 近年︑日本行政学は︑従来疎遠であった行政法学へ

の関・10を強めつつある︒昨年度の行政学会では︑﹃行政法

と行政学との対話﹄というテーマが取り上げられた︵諺噸轄

細緻噺玉藍乳量配管講曄の︶︒本来︑このような対話は双

方の側からなされることが望まれよう︒この点で興味深い

素材として︑わが国の公法学の母国ともいうべきドイツに は︑行政法学者が行政学も専攻する例が見られる︵例えば︑︿臼≦巴ε昌ひq巴Φぼρ心・﹀¢︷r同O︒︒蔭の著者であるW・ティーメ︵<8日ゴ凶①H口Φ︶がそうである︶︒本書も︑行政法学を主専攻とするギュンタi・ピュットナー︵チュービンゲン大学教授︶の手による行政学テキストであり︑初版

(一

續ェ二年︶以降の各領域の成果をフォロレした改訂版

である︒本稿では︑まず本書の全体的な体系を示した

︵二︶後︑各部ごとに全章を簡潔に紹介し︵三〜八︶︑こ

れを踏まえて全体を通じた検討を行う︵九〜十︶︒

 二 本書は︑第一部:基礎理論と基本的状況︑第二部:

行政の任務︑第三部:行政組織と行政の構成︑第四部:行

政の資源及び手段︑第五部:行政の活動−計画と決定︑第

六部:行政の統制という六部二十一章からなる︒すなわ

ち︑行政︵学︶の基礎理論︑行政の組織・構造︑行政の活

動︑行政の統制という順序で論述が進められているのであ

る︒このような構成を採用した理由や各部相互の関連性に

ついて本書には何ら述べるところがない︒おそらくは︑今

日のドイツ行政学教科書の通例的な体系に従ったのであろ

う︒ 三 第一部は︑第一章:行政学︵<①﹁≦里さ品目Φ︐﹁Φ︶

61 (1 ・168) 168

(20)

  と行政科学︵<Φ﹁ミ価洋⊆コoqωミ謝ωωΦコω◎70津︶︑第二章:行政

  学の歴史と現状︑第三章:個別の行政科学上の諸分野︑第

  四章:行政︵諸︶科学の対象に分節され︑行政学の意義︑

  行政の概念︑ドイツ行政学の方法論議など行政学の基礎理

  論が簡潔に分析されている︒まず方法論的問題に関して︑

  著者は︑かつてW・イエリネック︵白﹂Φ一一ヨ①評︶によって

  なされた行政法学・行政学・行政政策という三区分は通常

  想定される用語法と異なり︑また実用的でもないと批判す

  る︒彼によれば︑行政学ないしは行政科学とは︑行政を考

  察対象にする諸分野︵法学︑社会学︑政治学︑財政学な

  ど︶から構成されるものとして理解することができるし︑

  統一的な分野としての行政科学やそれについての統一的な

  理論は想定されない︒彼は学問の多様性と分化こそ︑学問

  が高いレベルに到達する基盤を形成すると考えているので

  ある︒むしろ︑決定︑システム︑情報などの一定の中心

  的概念を理論的出発点として考察することが可能であ

  り︑かつ有意義だと述べている︒

   四 第二部では︑公的任務の性質・体系・射程距離︵第

二  五章︶と行政の任務と行政の構成︵第六章︶が墨型に載せ

紹  られる︒行政の果たすべき任務の範囲は︑学問的には結論 付けられず︑いずれにせよ実務上は政治的に法律によって決定されねばならないという事実を重要視する︒そして公的任務の体系化は行政学的には困難であるという立場から︑行政の省編成に基づいて構想するほうが実用的でかつ便利だとしている︒さらに︑近年議論されている行政の簡素化措置の問題については︑行政学が直接寄与する余地は少ないと考えており︑むしろ長期的な行政の任務計画

︵﹀鼠σq①び①唇冨コロロひq︶についての理論を展開する必要が

あると述べている︒次の第六章では︑ドイツの連邦制や地

方自治制度から生じる任務配分理論が検討される︒そし

て︑連邦・州・ゲマインデの間の任務配分に関する諸原理

︵生活関係の統一性や任務配分の均衡性など︶やそれぞれ

の任務内容が分析された後︑ゲマインデや郡の領域区画に

関する改革︵︵甲①ぴ一Φ甘ω﹃①hO﹃5P︶及び州内部の任務配分の改

革︵閃⊆コ評月蝕O昌①一﹁①hO﹁ヨ︶という行政改革の実務が紹介さ

れている︒

 五 第三部は︑行政組織の諸原理︵第七章︶︑ドイツ行

政の構成の歴史と現在︵第八章︶︑行政の調整と協調︵第

九章︶︑そして行政単位の内部構成︵第十章︶からなる︒

第七章で彼は︑行政の構成に関する一般的原理︵概観可能

61 (1 ●169) 169

(21)

な行政単位の編成︑最適の業務遂行規模の可及的達成︑部

分的行政単位の有意義な連関︶や︑連邦制︑行政の水平レ

ベルの編成︑行政単位の同一規模性及び行政単位相互の画

定などについての具体的原理を展開する︒これを踏まえ

で︑第八章では現在のドイツ行政機構︵連邦・州・ゲマイ

ンデ︶が概観される︒その記述からは︑一九六〇年代以降

の一連の行政改革︵地方制度改革・行政組織改革︶がドイ

ツ行政学に与えた影響がいまなお大きいことをうかがい知

ることができる︒続いて第九章では︑調整の問題が︑官庁

内部のレ.ベル及び独立した行政単位相互のレベルに二分さ

れて論じられている︒彼は︑調整︵内ooaぎ四ユ︒昌︶が連

邦制と地方自治制の正統性や機能を左右するとして︑その

重要性に着眼する︒また︑インフォーマルな調整実務がド

イツ国家・行政の分権的構成を非常に良好に機能させてい

ることが高く評価されている︒最後の第十章では︑意思決

定に関する階統制及び官僚制原理並びに合議制原理︵丙︒一−

一Φひq巨胃三N一〇︶の問題︑スタッフ・ラインの関係及び行政

官庁の独立性の問題が取り扱われている︒また︑これらの

問題に関する記述のなかには︑︐一九六〇年代末に設置され

た﹃政府・行政に関する改革プロジェクト・グループ ︵勺細く勾︶﹄が省庁行政に関して提示した数度の改革案も

紹介・検討されている︒

 六 第四部の総論部分をなす第十一章︽資源と資源調達

−概観1︶では︑行政任務実現のために必要な人的・物

的・財政的資源が考察される︒そこでは︑業者に対する受

注手続が命令で制定されるなど︑整序された資源調達方法

に関する行政実務が紹介されている︒また国民経済を衡導

する手段としての資源調達の機能分析もなされている︒各

論的考察の第一は︑第十二章の人事︑人事経済及び人事政

策である︒まずは章題に関する歴史と現況が詳述される︒

これと関連して︑行政学の総論的問題である政治と行政の

関係が検討され︑行政には単に政治に奉仕する役割のみな

らず︑議会に対する専門性を備えた対抗勢力︵OΦひQΦ亭

ひqΦao茸︶としての意義が承認されている︒人的資源の経営を論じた部分では︑職位と号俸との関係が公務員

制における最も解決困難な問題の一つと位置付けられた上

で︑職位の要請に応じた等級付け及び給与支払の原理が一

定範囲で評価される︒第二の各論的考察は物的手段と技術

的補助手段︵第十三章︶である︒ここでは︑行政が自らに

課された任務・目的を遂行する際に用いられる物的技術的

61 (1 ●170) 170

(22)

  諸手段が簡潔に分析される他︑自動データ処理の問題が視

  野に入れられる︒著者は︑行政と技術の関係は行政におけ

  る分業と共同の問題に帰着するという認識を示し︑分権化

  したドイツのデータ処理施設が行う業務を調整する幾つか

  の⁝機関を紹介している︒第十四章の資源の取扱いでは︑主

  として行政活動の経済性がクローズアップされる︒経済性

  原理は法治国家原理・社会国家原理などと並ぶ諸原理の一

  つど位置付けられ︑その判断に際しては全経済的視野をも

  考慮すべきことが述べられる︒だが行政の経済性の実現に

  は予算法的・組織的・公務員法的制約が障害となるため︑

  その改善には経済的な行政行動を積極的に動機付けること

  が必要だとされる︒さらに具体的な経済性分析手法として

  費用便益衡量・能率性分析・有効性分析などが検討される

  が︑いずれにも限界が見出だされている︒措定される上位

  目的を実現するための下位目的や手段の発見と体系化がま

  ずもって肝要であり︑その次に初めて経済性分析が重要に

  なるというのが著者の結論である︒最後に企業を通じた

  行政としての公企業︵第十五章︶が扱われ︑主としてそ

介  の手段的観点からの考察が簡潔に展開される︒︐著者は︑合

舞  目的的で適切な公企業の管理に関する理論の未発達を改善 することが急務だと述べている︒ 七 第五部は︑行政の活動と題されており︑具体的には︑管理の諸原則と管理技術︵第十六章︶︑政策決定組織

︵﹀⊆①象︒﹁σqoユωg馴︒コ︶の諸原則︵十七章︶︑他官庁及び

市民の参加︵十八章︶︑計画と決定︵十九章︶といった章

に分かたれる︒第十六章では︑まず︑行政管理︵閃口7

﹁§ひQ︶論における官僚制的管理モデルと結果志向的管理

モデルとを対置させた上で︑官僚制の問題が検討される︒

著者は︑ドイツ行政のあらゆる分野に任務志向的な行政活

動が見出だされるなどかなりの範囲で非官僚的な行動

の余地が存在するとして︑単純な官僚制批判に与しない︒

また︑全体としての行政の管理構想については︑ドイツ独

自のモデルであるハルツブルガーモデル︵国費Nぴ霞ひQΦ﹁

ζoα①一一︶や行政簡素化に関する自治体共同機関︵内Oωけ︶

によるモデル︵内Ωωサリ自︒山①=︶の実用化の可能性が探ら

れている︒続いて十七章では︑行政の政策決定過程の組織

に関わる諸問題が検討される︒著者によれば︑政策決定組

織を構想する場合に考慮されるべきは︑効率性・安定性・

経済性・迅速性を考慮した事務処理という観点である︒そ

して︑連邦レベルでこれらの諸原則が連邦各省共通規則総

61 (1 ・171) 171

(23)

則︵ΩOO同︶の制定により具体化されている実態が紹介さ

れている︒行政決定への他の官庁や市民の参加の問題を対

象とする十八章では︑参加には︑なされる決定の質にのみ

ならず行政全体の調整にも寄与する要素があるという立場

から論述が進められている︒ここでは︑行政計画︑大規模

プロジェクト及び各種の公法上の諸機関における市民参加

についての具体的制度が紹介されており︑かの地の﹁市民

・に身近な︵ぴ葺ぴqΦヨ四げ①︶行政﹂の実態が浮彫りにされ

る︒そして本章の最後を締め括る十七章では︑計画←意思

決定←計画及び意思決定の公表︵じdΦ顔弓けヨ9︒魯§σq︶並

びに実現という行政の意思決定プロセスに沿って論述が展

開されている︒著者は︑計画は︑他と区別された独自の任

務及び機能ではなく︑具体的任務︵ωpoゴ①焦σq鋤σΦ﹀の一部

ないしはそれらの結合であると捉えている︒行政の意思決

定については︑決定の前提となる情報収集とそれに基づく

将来予測に関わる問題が検討されるが︑合理的な意思決定

の発見には懐疑的である︒

 八 本書の最終部には︑典型的な日本の行政学テキスト

と同様︑行政統制が当てられ︑統制の原則と統制機関︵二

十章︶及び個々の統制︵二十一章︶とが配置されている︒ 二十章では︑まず︑行政活動の成果が監督されつつもできる限り業績モチベーションを低下させぬよう︑必要最小限の統制が形成される必要があるという基本的認識が示される︒そして︑統制の概念と種類が概観された後︑統制の欠陥は任務充足の統制および行政活動の成果の統制に見出だされている︒著者は︑最終的には︑いずれの統制に関する改革も未解決の問題だとする︒これを受けた二十一章では︑官庁内部の統制︑下級行政の統制︑議会による統制︑財政統制︑裁判所による統制︑一般大衆による統制の現状がそれぞれ簡潔に紹介・分析される︒中でも︑ドイツではしばしば統制︵︸︵O旨け噌O一一①︶それ自体をさす財政統制が重要視されている︒ここでは︑連邦会計検査院長が行政の経済性に関する連邦受託官の地位を兼ねることにより︑個々の措置あるいは行政の経済性につき意見を述べる権限が与えられているなどの行政実務が紹介されている︒ 九 単一著者によるドイツ行政学のテキストとしては︑本書は前出のティーメ﹃行政学﹄に続き二冊目にあたる︒その全体としての特徴は︑ドイツの行政関連諸科学で展開されている理論がコンパクトに纏められていることであ

り︑かつ︑今日のドイツ行政学に決定的な影響を与えてき

61 (1 ●172) 172

参照

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