面内スピンバルブ構造によるスピントリプレット状 態の検出

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

面内スピンバルブ構造によるスピントリプレット状 態の検出

大西, 紘平

九州大学理学研究院物理学部門

https://doi.org/10.15017/4398965

出版情報:九州大学低温センターだより. 14, pp.2-6, 2020-03. 九州大学低温センター バージョン:

権利関係:

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図1. トリプレット生成の機構の模式図。

面内スピンバルブ構造によるスピントリプレット状態の検出

大西紘平

九州大学 理学研究院 物理学部門 九州大学 量子ナノスピン研究センター

1. はじめに

電子は、電荷のみならず、スピンという自由度をもつ。スピントロニクスでは、そのスピン角運 動量の流れであるスピン流の伝導特性を調べることより、新奇物性の観測や新機能デバイスを実現 してきた。そのようなスピン流の研究は、近年、非磁性金属、半導体、絶縁体に加え、超伝導体に まで舞台を広げつつある[1,2]。

超伝導体中のスピン流は、拡散スピン流と超伝導スピン流に分類される。拡散スピン流は、電気 化学ポテンシャルの勾配によるスピン偏極した準粒子の流れであり、拡散方程式によって記述され る[3]。一方、超伝導スピン流はトリプレットクーパー対の流れであり、量子力学的物理量である位 相の勾配によって記述される[4,5]。したがって、コヒーレントな状態(巨視的量子状態)による無 散逸のスピン流を実現するとともに、量子力学的な干渉効果によるスピン流の効率的な生成[3,6,7]、 スピン依存した量子現象の検出[7,8]、新奇量子物質の探索[8]といった新機能性も期待されている。

トリプレットクーパー対は、UPt3やSr2RuO4といった一部のトリプレット超伝導体においてのみ、

実現しているとされてきた[9]。しかしながら近年の研究成果によれば、AlやNbといった従来のシ ングレット超伝導体と強磁性体からなる複合ナノ構造においても、不均一な磁化状態[10-12] や強い スピン軌道相互作用[13-16]により、シングレットクーパー対からトリプレットクーパー対が生成さ れることが報告されている。これは、未だ微細加工技術が限られたトリプレット超伝導体に代わっ て従来の超伝導体を用いることで、超伝導スピン流の応用可能性を大きく切り拓くものである。

本稿ではおもに、そのようなシングレット超伝導体中でのトリプレットクーパー対生成、および、

それに関する実験について紹介する。また、本実験の多くが筆者の英国ケンブリッジ大学での長期 滞在中に行われたことから、本稿の後半ではケンブリッジ大学での寒剤利用についても触れたい。

2. ケンブリッジ大学での研究に至る経緯

先に、ケンブリッジ大学にて長期滞在型共同研究を 行うに至った経緯を、簡単に説明しておく。

筆者は超伝導体に関するスピン依存伝導現象の研 究を継続的に行い、とくに面内構造を中心にスピン流 の操作や検出について実験を行ってきた。一方、超伝

導スピン流の実験は、積層構造での測定のみ行われており、他の手法による報告は未だ見られてい ない。超伝導スピン流の応用には既存のスピントロニクス技術との融合は不可欠であることから、

筆者は面内構造における超伝導スピン流の操作・検出がその第一歩になり得ると考えていた。

そのためにまずはトリプレットクーパー対生成のノウハウを得ようとしていたところ、JSPS「頭 脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラム」(現「国際的な活躍が期待できる 研究者の育成事業」)によって、海外での長期滞在型研究の機会が得られた。滞在先の選出にあた

図2. スピントリプレット状態の検出を可能とする(a)細線型、および、(b)ピラー型面内スピンバルブ構 造の電子顕微鏡像と模式図。両構造ともに、スピン流の注入と検出には2つの強磁性体を用い、スピ ン流の伝導チャネルは多層膜構造をしている。(c)非局所電圧の面内磁場依存性の測定結果の例。赤矢 印の抵抗差がスピン信号と呼ばれる。

って、幸いにも、超伝導スピン流に関する実験を世界的に牽引するケンブリッジ大学のBlamire教

授とRobinson教授のグループを紹介していただき、長期滞在を受け入れていただく運びとなった次

第である。

3. スピントリプレット超伝導電流の生成

スピントリプレット状態にあるクーパー対の観測は、超伝導体/強磁性体/超伝導体ジョセフソ ン接合における長距離相関によって確認された[17-20]。常伝導体が2つの超伝導体に挟まれたジョ セフソン接合では、常伝導体のチャネル長がコヒーレンス長程度以下であるとき、超伝導電流が観 測される。一般に、強磁性体中のコヒーレンス長は数nm程度であるが、超伝導体/強磁性体界面 に不均一な磁化状態が生じている場合に限り、数十nmの強磁性体を含むジョセフソン接合であっ ても超伝導電流が観測される。これは、界面における非平行なスピン交換相互作用によってトリプ レットクーパー対が形成された結果として、説明される[19,20]。また近年では、ケンブリッジ大学 の同グループにおいて、強いスピン軌道相互作用を示すPtを接合することにより、トリプレットク ーパー対の生成を示唆する実験結果が得られている。これは、強いスピン軌道相互作用の超伝導体 への染み出しによると考えられている[21-23]。

このように複数の実験によって従来型超伝導体中のトリプレットクーパー対の存在が示唆され ているが、トリプレットクーパー対への変換効率などに関しては未だ報告がない。これは超伝導電 流の有無のみではシングレットクーパー対と分けた議論が困難であり、トリプレットクーパー対の 成分のみの定量的評価方法がなかったためである。そこで筆者は、面内スピンバルブ構造における スピン吸収手法を組み合わせることにより、そこに生成されるトリプレットクーパー対を定量的に 見積もることを目指し、実験を行った。

4. 面内スピンバルブ構造によるスピン吸収を用いた検出

スピンバルブ構造は、注入端子および検出端子となる2つの強磁性体と、スピン伝導チャネルと なる非磁性体からなる。実際に用いた2つの面内構造を図2に示す。両構造とも、注入端子から非 磁性体に電流を流すことで、非磁性体中にスピン流を誘起することが可能である。さらに面内スピ ンバルブ構造の特徴として、図2に示す端子配置で測定することで、2つの強磁性体の磁化配列(平

研究ノート①

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図1. トリプレット生成の機構の模式図。

面内スピンバルブ構造によるスピントリプレット状態の検出

大西紘平

九州大学 理学研究院 物理学部門 九州大学 量子ナノスピン研究センター

1. はじめに

電子は、電荷のみならず、スピンという自由度をもつ。スピントロニクスでは、そのスピン角運 動量の流れであるスピン流の伝導特性を調べることより、新奇物性の観測や新機能デバイスを実現 してきた。そのようなスピン流の研究は、近年、非磁性金属、半導体、絶縁体に加え、超伝導体に まで舞台を広げつつある[1,2]。

超伝導体中のスピン流は、拡散スピン流と超伝導スピン流に分類される。拡散スピン流は、電気 化学ポテンシャルの勾配によるスピン偏極した準粒子の流れであり、拡散方程式によって記述され る[3]。一方、超伝導スピン流はトリプレットクーパー対の流れであり、量子力学的物理量である位 相の勾配によって記述される[4,5]。したがって、コヒーレントな状態(巨視的量子状態)による無 散逸のスピン流を実現するとともに、量子力学的な干渉効果によるスピン流の効率的な生成[3,6,7]、 スピン依存した量子現象の検出[7,8]、新奇量子物質の探索[8]といった新機能性も期待されている。

トリプレットクーパー対は、UPt3やSr2RuO4といった一部のトリプレット超伝導体においてのみ、

実現しているとされてきた[9]。しかしながら近年の研究成果によれば、AlやNbといった従来のシ ングレット超伝導体と強磁性体からなる複合ナノ構造においても、不均一な磁化状態[10-12] や強い スピン軌道相互作用[13-16]により、シングレットクーパー対からトリプレットクーパー対が生成さ れることが報告されている。これは、未だ微細加工技術が限られたトリプレット超伝導体に代わっ て従来の超伝導体を用いることで、超伝導スピン流の応用可能性を大きく切り拓くものである。

本稿ではおもに、そのようなシングレット超伝導体中でのトリプレットクーパー対生成、および、

それに関する実験について紹介する。また、本実験の多くが筆者の英国ケンブリッジ大学での長期 滞在中に行われたことから、本稿の後半ではケンブリッジ大学での寒剤利用についても触れたい。

2. ケンブリッジ大学での研究に至る経緯

先に、ケンブリッジ大学にて長期滞在型共同研究を 行うに至った経緯を、簡単に説明しておく。

筆者は超伝導体に関するスピン依存伝導現象の研 究を継続的に行い、とくに面内構造を中心にスピン流 の操作や検出について実験を行ってきた。一方、超伝

導スピン流の実験は、積層構造での測定のみ行われており、他の手法による報告は未だ見られてい ない。超伝導スピン流の応用には既存のスピントロニクス技術との融合は不可欠であることから、

筆者は面内構造における超伝導スピン流の操作・検出がその第一歩になり得ると考えていた。

そのためにまずはトリプレットクーパー対生成のノウハウを得ようとしていたところ、JSPS「頭 脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラム」(現「国際的な活躍が期待できる 研究者の育成事業」)によって、海外での長期滞在型研究の機会が得られた。滞在先の選出にあた

図2. スピントリプレット状態の検出を可能とする(a)細線型、および、(b)ピラー型面内スピンバルブ構 造の電子顕微鏡像と模式図。両構造ともに、スピン流の注入と検出には2つの強磁性体を用い、スピ ン流の伝導チャネルは多層膜構造をしている。(c)非局所電圧の面内磁場依存性の測定結果の例。赤矢 印の抵抗差がスピン信号と呼ばれる。

って、幸いにも、超伝導スピン流に関する実験を世界的に牽引するケンブリッジ大学のBlamire教

授とRobinson教授のグループを紹介していただき、長期滞在を受け入れていただく運びとなった次

第である。

3. スピントリプレット超伝導電流の生成

スピントリプレット状態にあるクーパー対の観測は、超伝導体/強磁性体/超伝導体ジョセフソ ン接合における長距離相関によって確認された[17-20]。常伝導体が2つの超伝導体に挟まれたジョ セフソン接合では、常伝導体のチャネル長がコヒーレンス長程度以下であるとき、超伝導電流が観 測される。一般に、強磁性体中のコヒーレンス長は数nm程度であるが、超伝導体/強磁性体界面 に不均一な磁化状態が生じている場合に限り、数十nmの強磁性体を含むジョセフソン接合であっ ても超伝導電流が観測される。これは、界面における非平行なスピン交換相互作用によってトリプ レットクーパー対が形成された結果として、説明される[19,20]。また近年では、ケンブリッジ大学 の同グループにおいて、強いスピン軌道相互作用を示すPtを接合することにより、トリプレットク ーパー対の生成を示唆する実験結果が得られている。これは、強いスピン軌道相互作用の超伝導体 への染み出しによると考えられている[21-23]。

このように複数の実験によって従来型超伝導体中のトリプレットクーパー対の存在が示唆され ているが、トリプレットクーパー対への変換効率などに関しては未だ報告がない。これは超伝導電 流の有無のみではシングレットクーパー対と分けた議論が困難であり、トリプレットクーパー対の 成分のみの定量的評価方法がなかったためである。そこで筆者は、面内スピンバルブ構造における スピン吸収手法を組み合わせることにより、そこに生成されるトリプレットクーパー対を定量的に 見積もることを目指し、実験を行った。

4. 面内スピンバルブ構造によるスピン吸収を用いた検出

スピンバルブ構造は、注入端子および検出端子となる2つの強磁性体と、スピン伝導チャネルと なる非磁性体からなる。実際に用いた2つの面内構造を図2に示す。両構造とも、注入端子から非 磁性体に電流を流すことで、非磁性体中にスピン流を誘起することが可能である。さらに面内スピ ンバルブ構造の特徴として、図2に示す端子配置で測定することで、2つの強磁性体の磁化配列(平

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図3. 細線型スピンバルブ構造での測定結果。(a) 非局所抵抗の温度依存性。3 Kで、非局所抵抗はほぼ ゼロとなることから、Nb層は超伝導状態になっている。(b) Nb層がない試料(赤)とNb層が接合さ れた試料(黒)でのスピン信号。1.6 K でのスピン信号は常伝導状態のものよりも大きいが、測定時 の非局所抵抗は0.07 であり、実効的な試料温度は7 K程度であったと予想された。

行・反平行)に依存した非局所電圧を測定できる。磁化配列による抵抗差は、スピン信号と呼ばれ、

非磁性体中のスピン流の量に比例する[1,2]。

ここでスピン流チャネルとなる非磁性層が超伝導体を含む多層膜である場合を考える。超伝導体 がシングレットクーパー対からのみ成る状態であるとき、スピン流のスピン偏極成分は超伝導体中 に侵入することはできない[24]。一方、超伝導体中にトリプレットクーパー対が形成された場合、

スピン偏極成分であっても超伝導体中に吸収されるため、検出端子で測定されるスピン信号は減少 することが期待される。したがって、この減少分を測定することにより、超伝導体中に形成されて いるトリプレットクーパー対を見積もることができる。

実際の試料においては、強磁性体としてCoFeAl合金もしくはNiFe合金を用い、非磁性常伝導体 としてCu、超伝導体としてNb、スピン軌道相互作用を示す物質としてPtを用いた。

5. スピンバルブ測定の結果および考察

まず図2(a)の試料構造(細線型)の測定結果を図3に示す。ただし本試料では、Pt/NiFe層は接合 せず、スピン伝導チャネルはCu/Nbの二層膜となっている。図3(a)に示すように、非局所抵抗は温 度の減少に伴い、7.5 K付近から減少し、3 Kにおいてほぼゼロとなった。このことから、本試料の 超伝導転移温度は3 Kであると考えられ、超伝導状態である1.6 Kでスピン信号を測定した。その 結果を、Nb層のないCu細線のみの結果(赤丸)とともに、図3(b)に示す。図から明らかであるよ うに、常伝導状態でスピン信号は0.1 mであり、Nb層の接合によって大きく減少していた。これ は、細線中のスピン流が常伝導Nb層へ吸収・緩和され、検出端子におけるスピン流が少なくなっ たためである。一方、1.6 Kで測定した結果、そのスピン信号は0.2 mであった。この値は常伝導 状態の値より大きい一方で、Nb層のない試料と比較して小さく、スピン流の一部が吸収されている ことがわかる。しかしながらこのとき、図3(a)の縦軸に相当する非局所抵抗の値は0.07 程度であ り、図3(a)から、実効的な試料温度は7 K程度であったと予想される。このことから、強磁性体細 線において生じるジュール熱により、実効的な試料温度が上昇し、超伝導状態が抑制されているこ とを示唆された。

そこで次に、超伝導転移によるスピン信号の変化をより明瞭に観測するため、図2(b)の構造(ピ

図4. ピラー型スピンバルブ構造での測定結果。 横軸は温度、縦軸がスピン信号である。比較 のため、それぞれ、超伝導転移温度と常伝導 状態でのスピン信号で規格化している。

図5. ケンブリッジ大学で使用していた液体へリウムの ベッセル(上)と測定インサート(下)。

ラー型)を作製し、測定を行った。本構造では 強磁性体を面直方向に電流が流れるため、ジュ ール発熱を最小限に抑えられるという特徴があ る[24]。図4にスピン信号の温度依存性の結果 を示す。黒丸と赤丸は、それぞれ、スピン流の 伝導チャネルをCu/Nb/Pt/NiFe多層膜と

Cu/Nb/Pt多層膜とした試料での結果であり、

NiFe層を接合した試料においてのみ、スピント リプレット状態の形成が期待される。両試料と もに温度の減少に対してスピン信号が明らかに 増大しており、効果的に超伝導状態によってス ピン吸収量が抑制されている様子が観測できた。

しかしながら、NiFe層の有無による有意な差異

は見られず、本試料においてNb層中のトリプレット状態の形成は確認できなかった。

現在、上記結果と先行研究[21]を比較することにより、NiFe層とNb層の間のPt層が強磁性近接 効果を抑制し、トリプレット状態の形成を妨げている可能性を考えている。そこで今後、Pt層をよ り薄膜化した構造や、Pt層とNiFe層を入れ替えた多層膜による実験を進める予定である。

6. 九州大学とケンブリッジ大学における寒剤利用環境の比較

最後に、ケンブリッジ大学での寒剤(液体ヘリウム)の利用環境について、述べておく。

実は滞在期間中にちょうど液体ヘリウムの供給価格が値上がりし、それに伴う注意喚起のグルー プメールを筆者は受け取った。そのメールによれば、値上がりの理由は、日本と同じく、世界的な ヘリウム不足からくるものであったが、価格は約1,600円/Lから段階的に約2,100円/Lまで引き上 げられるとのことであった。これは、九大での供給価格と比較して、

3倍以上も高いことになる。また液体ヘリウムを供給する会社からの 供給量(取引量)についても、30%の削減が決定したとのことであっ た。他国を含めた研究機関における平均価格等について筆者は十分な 知識を持ち合わせてはいないが、世界の大学ラインキングで上位にあ るケンブリッジ大学のおいても、液体ヘリウムを安価に大量には使用 できないことに大変驚いた。

とくに九大との比較になるが、このような価格差の原因は、やはり おもに使用環境(回収設備)にあるように思わる。筆者が滞在・研究 していた建物は、ケンブリッジ大学のなかでも新しい地区にあり、供 給元となっている物理学科から比較的近くに位置していたが、ヘリウ ムガスの回収ラインが整備されているとは言えない状況であった。実 際、滞在期間中、回収ラインが不調の

ために使用できない状況が、断続的に、

半年間に渡って続き、その間は一時的 にバルーン等を使用するわけでもな く、すべて大気放出していた。

(5)

図3. 細線型スピンバルブ構造での測定結果。(a) 非局所抵抗の温度依存性。3 Kで、非局所抵抗はほぼ ゼロとなることから、Nb層は超伝導状態になっている。(b) Nb層がない試料(赤)とNb層が接合さ れた試料(黒)でのスピン信号。1.6 K でのスピン信号は常伝導状態のものよりも大きいが、測定時 の非局所抵抗は0.07 であり、実効的な試料温度は7 K程度であったと予想された。

行・反平行)に依存した非局所電圧を測定できる。磁化配列による抵抗差は、スピン信号と呼ばれ、

非磁性体中のスピン流の量に比例する[1,2]。

ここでスピン流チャネルとなる非磁性層が超伝導体を含む多層膜である場合を考える。超伝導体 がシングレットクーパー対からのみ成る状態であるとき、スピン流のスピン偏極成分は超伝導体中 に侵入することはできない[24]。一方、超伝導体中にトリプレットクーパー対が形成された場合、

スピン偏極成分であっても超伝導体中に吸収されるため、検出端子で測定されるスピン信号は減少 することが期待される。したがって、この減少分を測定することにより、超伝導体中に形成されて いるトリプレットクーパー対を見積もることができる。

実際の試料においては、強磁性体としてCoFeAl合金もしくはNiFe合金を用い、非磁性常伝導体 としてCu、超伝導体としてNb、スピン軌道相互作用を示す物質としてPtを用いた。

5. スピンバルブ測定の結果および考察

まず図2(a)の試料構造(細線型)の測定結果を図3に示す。ただし本試料では、Pt/NiFe層は接合 せず、スピン伝導チャネルはCu/Nbの二層膜となっている。図3(a)に示すように、非局所抵抗は温 度の減少に伴い、7.5 K付近から減少し、3 Kにおいてほぼゼロとなった。このことから、本試料の 超伝導転移温度は3 Kであると考えられ、超伝導状態である1.6 Kでスピン信号を測定した。その 結果を、Nb層のないCu細線のみの結果(赤丸)とともに、図3(b)に示す。図から明らかであるよ うに、常伝導状態でスピン信号は0.1 mであり、Nb層の接合によって大きく減少していた。これ は、細線中のスピン流が常伝導Nb層へ吸収・緩和され、検出端子におけるスピン流が少なくなっ たためである。一方、1.6 Kで測定した結果、そのスピン信号は0.2 mであった。この値は常伝導 状態の値より大きい一方で、Nb層のない試料と比較して小さく、スピン流の一部が吸収されている ことがわかる。しかしながらこのとき、図3(a)の縦軸に相当する非局所抵抗の値は0.07 程度であ り、図3(a)から、実効的な試料温度は7 K程度であったと予想される。このことから、強磁性体細 線において生じるジュール熱により、実効的な試料温度が上昇し、超伝導状態が抑制されているこ とを示唆された。

そこで次に、超伝導転移によるスピン信号の変化をより明瞭に観測するため、図2(b)の構造(ピ

図4. ピラー型スピンバルブ構造での測定結果。

横軸は温度、縦軸がスピン信号である。比較 のため、それぞれ、超伝導転移温度と常伝導 状態でのスピン信号で規格化している。

図5. ケンブリッジ大学で使用していた液体へリウムの ベッセル(上)と測定インサート(下)。

ラー型)を作製し、測定を行った。本構造では 強磁性体を面直方向に電流が流れるため、ジュ ール発熱を最小限に抑えられるという特徴があ る[24]。図4にスピン信号の温度依存性の結果 を示す。黒丸と赤丸は、それぞれ、スピン流の 伝導チャネルをCu/Nb/Pt/NiFe多層膜と

Cu/Nb/Pt多層膜とした試料での結果であり、

NiFe層を接合した試料においてのみ、スピント リプレット状態の形成が期待される。両試料と もに温度の減少に対してスピン信号が明らかに 増大しており、効果的に超伝導状態によってス ピン吸収量が抑制されている様子が観測できた。

しかしながら、NiFe層の有無による有意な差異

は見られず、本試料においてNb層中のトリプレット状態の形成は確認できなかった。

現在、上記結果と先行研究[21]を比較することにより、NiFe層とNb層の間のPt層が強磁性近接 効果を抑制し、トリプレット状態の形成を妨げている可能性を考えている。そこで今後、Pt層をよ り薄膜化した構造や、Pt層とNiFe層を入れ替えた多層膜による実験を進める予定である。

6. 九州大学とケンブリッジ大学における寒剤利用環境の比較

最後に、ケンブリッジ大学での寒剤(液体ヘリウム)の利用環境について、述べておく。

実は滞在期間中にちょうど液体ヘリウムの供給価格が値上がりし、それに伴う注意喚起のグルー プメールを筆者は受け取った。そのメールによれば、値上がりの理由は、日本と同じく、世界的な ヘリウム不足からくるものであったが、価格は約1,600円/Lから段階的に約2,100円/Lまで引き上 げられるとのことであった。これは、九大での供給価格と比較して、

3倍以上も高いことになる。また液体ヘリウムを供給する会社からの 供給量(取引量)についても、30%の削減が決定したとのことであっ た。他国を含めた研究機関における平均価格等について筆者は十分な 知識を持ち合わせてはいないが、世界の大学ラインキングで上位にあ るケンブリッジ大学のおいても、液体ヘリウムを安価に大量には使用 できないことに大変驚いた。

とくに九大との比較になるが、このような価格差の原因は、やはり おもに使用環境(回収設備)にあるように思わる。筆者が滞在・研究 していた建物は、ケンブリッジ大学のなかでも新しい地区にあり、供 給元となっている物理学科から比較的近くに位置していたが、ヘリウ ムガスの回収ラインが整備されているとは言えない状況であった。実 際、滞在期間中、回収ラインが不調の

ために使用できない状況が、断続的に、

半年間に渡って続き、その間は一時的 にバルーン等を使用するわけでもな く、すべて大気放出していた。

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個人的な印象ではあるが、ケンブリッジ大学から度々送られてくるグループメールから、世界ト ップクラスの研究環境がそろっている大学で、また潤沢な研究費を有するグループであっても、液 体ヘリウム代が大きな負担となっている現状が垣間見えた。このことからも、九大の低温センター の方々の努力によって支えられている寒剤供給環境のありがたみを、改めて、強く感じた。

7. 謝辞

本研究は、M. G. Blamire教授(University of Cambridge)およびJ. W. A. Robinson教授(University of

Cambridge)のグループとの共同研究に基づくものです。本研究に関わったすべての方々に感謝申し

上げます。また、JSPS「国際的な活躍が期待できる研究者の育成事業」(JPMXS05R2900005)の助 成を受けています。

引用文献

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