船陸間情報通信の現状と将来
近年のインターネット通信・携帯電話などによるIT情報通信の技術革新はとどまると ころを知らず、国民生活全体に大きな変容と享受をもたらしている。 一方、海上においては徐々に改善されてきているが、陸上に比して情報通信化の流れは 大きく遅れ、インマルサットやその他の衛星通信が機能し活躍しているとはいえ、通信速 度・容量などの限界の問題もあり、また利用料金は比較的に高額で個人支出に負える額で はない。船舶の航行安全を担う船員社会は、海運・水産業界のいずれも後継者の育成確保 対策が急務である中、優秀でやる気のある若手を確保し船舶の安全運航に資する意味でも、 陸上並みの船陸間情報通信を確保したいものである。 そこでインターネット通信・携帯電話など、個人生活をベースとした船陸間における情 報通信の現状と将来への取り組みなどを追ってみた。 (本号は専門用語が多数出てくることから、用語解説集を13P から15P に一括して掲載し ています) 写真左上から、春徳汽船㈱ RORO 船・神川丸、栗林商船㈱ RORO 船・神泉丸、宇部興産海運㈱セメント船・興山丸、川崎近海汽船㈱大型カー フェリー・シルバークィーン、FOC 船 IVS KANDA 号、FOC 船 Morning Cedar 号、日正汽船㈱ VLCC·NICHIO、飯野海運㈱ LPG 船・AL-THEA GAS、川崎汽船㈱自動車専用船・INDIANA HIGHWAY【特集】船陸間情報通信の現状と将来
特集以外の記事
海保だより/海洋汚染の現状とその対策/海上保安庁────●
56 海外情報/着任のご挨拶と最近の活動/シンガポール事務所────●
60 海守便り/大しけの海・必死の救出/海守事務局────●
61 海難速報値/主な海難/海上保安庁提供────●
62 日本海難防止協会のうごき/編集レーダー────●
63 カラーグラビア/~船と陸を結ぶ~誌上座談会 船員にとっての船陸間情報通信の現状と課題
日本郵船株式会社 一等航海士 石井 洋一郎 飯野海運株式会社 一等航海士 原田 純 川崎汽船株式会社 一等機関士 栗崎 慎士 太洋日本汽船株式会社 船 長 小泉 登美夫 山友汽船株式会社 一等航海士 松林 祐馬 新日本海フェリー株式会社 二等機関士 比良 長志 日本水産株式会社 船 長 岩中 正博 聞き手:情報誌「海と安全」編集部 藤丸 徹──❷
用語解説
────●
13船陸間情報通信の変遷とこれから
鳥羽商船高等専門学校商船学科 准教授 鈴木 治────●
16外航商船での船陸間情報通信の現状と将来
日正汽船株式会社 船員グループ課長 永尾 隆典────●
20外航クルーズ客船における船陸間情報通信
郵船クルーズ株式会社 飛鳥Ⅱ次席一等航海士 御厨 研一────●
24内航船で取り組む船陸間情報通信の先進例
宇部興産海運株式会社 管理本部購買・システム企画部長 宮崎 和博────●
28取材 個人レベルの船陸間コミュニケーションの今
────●
32超高速インターネット衛星「きずな」の洋上ブロードバンド通信実験と将来展望
宇宙航空研究開発機構 衛星利用推進センター 冨井 直弥、鈴木 智美────●
40海事衛星通信の現状と将来
KDDI株式会社 MSATビジネス営業部長 高山 譲────●
44船舶や海外に向けたNHKの放送
NHK技術局計画部 齋藤 進────●
48海上無線通信の現状
総務省 総合通信基盤局電波部衛星移動通信課 海上係 末次 正幸────●
52 2011春
No.548目 次
かつて東京・神戸の両商船大学では「船員論」が講座のひとつとして存在していた。 また、海上労働科学研究所やその他の海事関係の研究団体が現在より多数存在し、様々な 視点から海上を職場とする船員社会の改善と対策に取り組んでいた。その中で「船員労働の 特殊性」の解消に向けた研究も活発に行われていた。船員労働の特殊性については研究者の 研究対象や分析アプローチなどの違いにより、種々の見解や論文が発表され論争の対象にも なった。しかし「船員労働の特殊性論」としてほぼ共通し、一致していたのは長期の職場拘 束すなわち離家庭性・離社会性に関してであった。 今日、IT 技術の飛躍的な技術革新と進歩は社会生活を大きく変貌させ、地球の隅々までの 情報通信が瞬時に可能な時代となっている。そうした変貌と恵沢が、船上にどのように反映 されているのか、各航路で活躍している船員代表に集まっていただき現状を聞いた。 = 最初に、皆さん方が乗船してきた主な 船種、航路などから紹介してください。 石井 北米、欧州間の三国間航路、世界一 周航路などの PCC(自動車専用船)、日本 ∼中東の原油運搬船、それから日本∼中東、 インドネシア、マレーシア就航のLNG船 などに乗ってきました。 原 田 私 の 場 合、VLCC、LPG、LNG な どでは中東∼極東航路、石炭運搬船では東 豪州∼日本間に就航していました。 栗崎 入社以来、陸上勤務を挟みながら、 これまでコンテナ船、LPG 船、LNG 船な どに乗船してきました。 小泉 PCC を主に乗っています。世界中 に日本車を運び、ドイツ車、アメリカ車、 イタリア車、韓国車などを外国から日本、
船員にとっての船陸間情報通信の現状と課題
――外航、内航、カーフェリー、大型漁船船員に聞く――
日本郵船株式会社 一等航海士 飯野海運株式会社 一等航海士 川崎汽船株式会社 一等機関士 太洋日本汽船株式会社 船 長 山友汽船株式会社 一等航海士 新日本海フェリー株式会社 二等機関士 日本水産株式会社 船 長 聞き手:情報誌「海と安全」編集部 いし い よ う い ち ろ う石井 洋一郎
はら だ じゅん原田
純
く り さ き し ん じ栗崎
慎士
こ い ず み と み お小泉 登美夫
まつばやし ゆ う ま松林
祐馬
ひ ら た け し比良
長志
い わ な か ま さ ひ ろ岩中
正博
ふ じ ま る とおる藤丸
徹
誌上座談会
外国から別の外国へと運搬するのが中心で した。 松林 12,500総トンクラスの内航 RORO 船では大阪・名古屋・東京・仙台・北海道 航路に就航していました。セメント船や石 灰石運搬船では九州・瀬戸内・京浜・北海 道方面へ、総トン数が499トンクラスの貨 物船にも乗ったこともあります。海上実歴 は8年くらいです。 比良 福井県・敦賀、京都府・舞鶴、新潟か ら秋田、北海道・小樽、苫小牧を結ぶ日本海 の長距離フェリーです。大体18∼20日乗船、 10∼12日休日下船のローテーションで勤務 をしています。入社して11年になります。 岩中 主に乗船してきたのは遠洋大型ト ロール漁船で、全世界の主要漁場で漁労に 従事してきました。海上で働いて35年にな ります。
本船から家族などへの連絡手段
= 船から陸上へ携帯電話もしくはイン ターネットなどでコミュニケーションをと る場合、どのようにしているのか本船での 状況を紹介してください。 石井 家族とは、基本的にインマルサット* (衛星回線)を利用したEメールが主です。 というのは当社の船員が乗船する船では、 Eメールは添付ファイルなしのテキスト形 式という条件の下、開放されたからです。 各社によって多少事情が違うと思います が、このサービスは ITF(国際運輸労連) の協約事項でもあり、日本人用に始められ たのではなく、あくまでも船に乗り組む船 員全体の福利厚生のために導入されたシス テムです。 かつては、家族から FAX で毎日 A4の 用紙一枚にびっしりと書いて送ってもらっ たこともありました。しかし、秘匿性に問 題があることや、それでも1枚数百円から 1,000円程度かかり高額なものでした。電 話という選択肢はよほどの緊急性を除き、 始めからありませんでした。やはり高額料 金がひっかかります。 また、日本沿岸で携帯電話の通信圏に入 った際には各自の携帯電話を利用していま す。若い船員は、インマルサットでも時間 に関係なく連絡を取っているようですが、 私は友人・知人などとの連絡にはEメール が基本です。ただ、船上では船毎にメール アドレスが変わるので、定期的に連絡がと りたい相手には、乗船後それらの相手に一 斉にメールアドレスを知らせる必要があり、 不便さも感じます。一方でEメールは、本 船時間と日本時間の時差があっても、考慮 しなくても良いから便利に使っています。 原田 国内外を問わず、沿岸航行中は自前 の携帯電話を主に使っています。ただし沿 岸が視認できる程度に接近しないと使用で きません。それでも船内で使用するには、 感度の良いところを探さなければ通話でき ません。状況によっては自室での使用も可 日本郵船㈱ 一航士 石井さん能な時もありますが、大洋航海中は Smart Link(海外の衛星電話)で電話しています。 これは船内には数台しかなく、また、外国 人クルーも使用するので、週末になると順 番待ちの列ができてしまいます。これは主 に、アジア圏でのみ使用が可能な電話で、 指向性アンテナの角度調節やプリペイドカ ードの購入・承認などの手間がかかります。 インマルサットでの E メールはテキス ト程度の送信が普通です。写真などの容量 の大きなものの送信は不可能ですね。それ でも緊急時は、従来どおりインマルサット で電話をしています。 栗崎 現在は、本船上では乗組員に個人 メールを無料で開放していますので、これ を利用しメールで家族とコミュニケーショ ンをとる事が出来ます。但し、VSAT*な どの定額料金制の海上ブロードバンドを利 用した常時接続サービスが設置されていな い場合、例えば、海上ブロードバンドが設 置してあっても料金従量制のプロバイダー 契約の場合や、従来の衛星回線を利用した インマルサット B*などでは、利用料金が 非常に割高になることから容量の大きい写 真などを添付してメールの送信受信が行な えないのが実状です。 また、日本で通常使っている携帯電話で も、購入時に国際ローミング対応機種を選 別し携帯電話会社と契約にする事で、入港 中や日本以外の沿岸航行中でも電話や携帯 のメールが利用できます。しかし、電話は 時差などの関係から電波の状態が良くても、 何時でも話せるという訳にはいきません。 小泉 当社でも、全船に乗組員用のメール 専用パソコン1台を設置して、勤務時間外 にはいつでもメール送信が可能です。殆ん どの外国人乗組員は朝と夕方の2回、家族 と送受信をしているようです。この費用は 会社負担となっています。緊急の用事があ る時は、インマルの衛星電話を使っていま す。この場合は有料です。船によっては、 娯楽費を使って無線アンテナを設置したり して、安く通話できる電話機を購入して、 各自は安いテレホンカードを購入して電話 をしている船もあります。これはアジア周 辺海域に限定されますが。
1人で複数の携帯電話を持って
くる者も
小泉 最近は、海外で使える携帯電話が数 多く出回っているので、個人で購入して港 に入ると早速電話をしています。一人で2 ∼3台の携帯電話を持ってくる者もいます。 太洋航海中は船のパソコンで連絡しあい、 港に入れば携帯電話で連絡し合うなど、昔 と比べると大変密に連絡できるようになり ました。 松 林 私の場 合 は、も っ ぱ ら DOCOMO FOMA*の最大1万円弱のデータ通信定額 プランに加入してデータ通信用機器を USB*で PC(パソコン)に接続 し、イ ン 川崎汽船㈱ 一機士 栗崎さんターネットやメールをしていました。 比良 停泊中の休憩時間や沿岸に近いとこ ろを航行している時に、携帯電話でコミュ ニケーションを取っていました。しかし入 港が深夜なので、家族や友人は寝ていたり で連絡には困りました。昼間であっても、 陸近くを航行していて電波の届く海域に合 わせて連絡を取っていました。 しかし私たちの就航している近海航路は 結構、陸岸と離れていますので、瀬戸内海 などの沿海区域と比べてコミュニケーショ ンが取りにくいのが実態です。またイン ターネットの使用では、停泊時は FOMA カード*などを使ってモバイルパソコンで インターネットをしている人がいます。 岩中 トロール漁船の通信手段は、漁場が 陸地から何百マイルも離れている漁場が多 い為、インマルサットを利用しています。 南氷洋などの海域によっては衛星が一個し か利用できない個所もあります。プライ ベートでの交信は、インマルサットを利用 した電話かメールで行っています。個人の 携帯電話では陸岸近くを航行中、または外 地入港中に日本にかけることが可能です。
陸上に比して、通話料が高い、
容量・通信速度が遅い
= 船陸間での通信連絡で困った事とか、 失敗した事例などがありましたら。 石井 やはり通信料金が高額であることが 一番困ります。また沿岸船舶電話やインマ ル電話では、タイムラグが大きいのが問題 です。このタイムラグが影響して、スムー ズな会話が難しく、話せば話すほどイライ ラすることもあります。そのため要点を簡 潔に相手に伝えるにはEメールのほうがコ スト的にも良いのかなと思います。 一方で、Eメールでは PC 環境の違いか ら「文字化け」することが多いようです。 また、お互いのサーバー同士がうまく会話 できないこともあるようで、送れないこと も多々ありました。 原田 せっかく陸岸に接近し通話が可能な 圏内に入ったのに、当直中だったり他の仕 事をしている時などで、どうしても家族と 連絡が取れなかったことがあり、残念な思 いをしたことは何度もありましたね。また、 外地沿岸航行中や外地寄港中に携帯電話を 使用したりしましたが、後で予想外の請求 がきてしまって驚いたこともあります。 栗崎 やはり、通信費が高い事でしょうか。 例えば、外地入港中に携帯電話を利用し、 PC のネット環境を確立する事ができます。 しかし、これを利用してインターネットや E メールを使うと携帯会社に支払うパケッ ト通信*費用がかなり高額となります。 小泉 大洋航海中にインマル衛星での電話 で、航路によっては衛星の切り替えが巧く いかず、衛星への接続ができなくなること 新日本海フェリー㈱ 二機士 比良さんもあり、通話ができなくなることもありま した。地球上空に4個の衛星でカバーして いるのですが、相互の受信エリアが重なる ところで接続不具合が発生するようです。 松林 着岸中でも港によっては、電波状態 が悪く個室では接続が切断されることがあ り、ブリッジに PC を持って行って使用す る事もありました。航海中は、陸から離れ ると電波の入りが悪く、使用できない事が 多いです。 山友汽船㈱ 一航士 松林さん 10年程度前は、船内衛星電話にテレホン カードで使用できる公衆電話が備えてあり ましたが、携帯電話の普及により、公衆電話 を撤去され、私用で使う事が難しくなって います。
通話に時間差がありイライラ
比良 携帯電話の場合ですが、航行してい る時に電波がぎりぎりで、相手との通話が 何度も切れる事があったりしました。お店 や保険会社などから携帯電話に連絡があっ ても、通信圏外が多く、向こうの方が困っ てしまうこともありました。また沿岸船舶 電話を使用する際は、衛星を経由して通話 するので相手との通話に時間差があります。 このことを知らずに陸上の方は普通の電話 と同じように通話されるので、会話がかぶ ることが多々ありました。 岩中 私の乗った船の場合ですと、インマ ルを使った衛星電話では船の針路変更が頻 繁に行われると、通信が中断し、最初からや り直すことが結構あり厄介なこともありま した。立ち遅れている船上のネット環境
= 国内就航船の方にお聞きしますが、携 帯電話もしくはインターネットの通話や通 信可能範囲はどうなっていますか。 松林 場所によって異なりますが、陸上か ら6∼7マイル程度離れたら、電波感度が 悪く、個室での使用が難しくなる場合が多 いです。また、京浜・名古屋・阪神などの 主要港での電波状況が非常に悪いです。 比良 携帯電話会社のアンテナ基地局の 状況にもよるのでしょうが、日本海の場合、 陸から良くて8∼9海里ぐらいの範囲内で 個室での使用が可能です。ただし海・気象 やその日の伝搬状況、携帯電話会社により 差があります。乗組員もある程度 それを 参考にして携帯電話会社を選んでいるよう です。個人のインターネット使用に関して は、港に停泊中に限られています。ただし 船と会社などでやり取りしている公共的な インターネット通信に関しては、会社は NTT ワールドエンジニアリングマリーン ㈱と設備契約をし、現在スカパー*を利用 しています。しかし、通信料がすごく高額 で、スピードもかなり遅いです。陸上のイ ンターネット環境から考えると、ありえな いレベルだと思います。昔は、国際郵便か電報
今はEメールが主流
= 外航就航船の方にお聞きしますが、洋 上での情報通信で、以前と現在を比較して 改善されてきていることがありましたらお 話しください。 石井 当社では、やはりEメールの普及が 大きかったように思います。さらに短波や 衛星回線を利用したFAXなどを利用して の天気図なども含む業務情報などは、明瞭 に印刷できる電子情報が多くなり、ある意 味では改善されていると思います。先ほど 通信料金が高額といいましたが、今ではイ ンマルもBからF*、FB*と料金形態が改 善され安くなってきています。さらに、も う一歩の改善が望まれますね。 原田 データ通信に関しては、インマルサ ットの通信速度が速くなり、容量の大きな データのやり取りも以前に比べてスムーズ になりましたね。それまではFAXでやり 取りしていた写真やスケッチなどの画像情 報が鮮明になりましたね。 最近の携帯電話は海外でもそのままの番 号で使えるようになっているお陰で、外地 寄港中でも家族と連絡が取れるようになっ たのは大きな進歩です。また、船によって は無線室に出向かなくても電話ができるよ うになりました。 飯野海運㈱ 一航士 原田さん 小泉 現在では衛星を使った情報通信です ので、衛星の能力が改善されない限り、特 に大きな改善は見られませんが、衛星用の 通信機器が色々と改善されてきているので 送受信が早くなっていることは確かです。 岩中 インターネットや携帯電話の進歩に よって以前と比べてはるかに便利になって いるのは確かでしょう。具体例を挙げます と全世界の天気図、水温図が見たい時に瞬 時に見ることができ、衛星回線によるメー ルのやりとりで会議もできるし、好きな時 に電話をかけることができ、衛星テレビも 見られるようです。 = 外航就航船の船種、航路あるいは船籍 の違いによる船陸間情報通信にかかわる装 備に違いはありますか。 石井 日本∼アジア間であれば N―STAR* を使用できる範囲はかなりの海域で通話可 能です。しかし1ヶ月に1回程度の日本寄 港船であれば、その高額なレンタル費から、 沿岸船舶電話そのものを撤去されている場 合も多くあります。最近では、LNG船な ど高額な船舶では、船社が100%オーナー とは限らずに顧客や商社から出資を受けて 宇部興産海運所属、興山丸の船員室に設置されている PC建造している場合が見受けられます。これ らの形態はそのプロジェクトなどにより異 なりますが、この場合、船社ごとにもって いる基準としての標準設備が搭載されない 場合があります。船社の標準設備より良い 場合もあるのでどちらが乗組員にとって良 いかは判断し切れません。これは通信設備 に限らず、居住設備・荷役設備などにおい ても同じことがいえますね。 原田 日本籍船には NTT の船舶電話が搭 載されています。これは日本近海を航行し ている場合のみ使用が可能で、インマルサ ットより安価な通話ができるので重宝して います。 栗崎 VSAT などの定額料金制の海上ブ ロードバンドが、商品化され実用化された 事により、VSAT 搭載船か否かで通信量 や質の上でも随分と差が出てきています。 最近まで総務省から認可されず日本籍船へ の搭載が遅れていましたが、これから増え てくるのではないかと思います。 小泉 船種、航路、船籍の違いによる違い は特にないのではないですか。同様の機種 で世界をカバーできていると思います。ま た、乗組員がどの船に乗っても扱い方が同 じなので、誰でもすぐに使用できるように なっていると思います。 岩中 良く分かりませんが、国籍で大きく 違うようです。大雑把にいうと米欧の船社 は進んでいて、日本の船社は一歩遅れてい る感じがしてなりません。
外国船社の方が進んでいる情報
通信環境
= 外内航とも先進的な事例があれば紹介 してください。 石井 外国の船社などでは、VSAT を利 用したブロードバンド化、インターネット 回線の常時接続、船内の各部、各個室をL AN*で結ぶなど様々な試みがあるようで す。また、これらを単なる通信手段として ではなく、運航データを陸上で常時確認で きる手段としても活用されているようです。 原田 弊社では、船上のインマルサット通 信機器を二重化する計画が進められていま す。これにより一つの機器が故障しても通 信は常に確立できるようになります。また、 いままで CD ロムを郵送して行っていた、 船内 PC のウイルス定義やその他 PC 上の システムなどの up date(自動更新)を E メールの送受信だけで実施することも実現 しつつあります。 比良 私が乗船していた船では機関運転 データを船橋、機関長室、パッセージなど の公共スペースで閲覧が可能で、オンタイ ムでの状況確認ができるようになっている ようです。また各部署の連絡やデータのや り取りを船内 LAN で行なえるようにして います。公共のインターネット通信に関し ては会社がスカパーと契約しており、常時 通信可能です。 岩中 混乗で北欧の船員とも乗船すること があります。彼らの中には自分のノート PC で家族とテレビ電話で会話している人 もいます。設備環境さえ整えれば何でもで きるわけです。 = 船陸間の情報通信について会社が、取 り組んでいることなどがあれば紹介してく ださい。 原田 当社では、船員の私用 E メールをより使いやすくしたり、また船内 LAN の 構築、船内パソコンや航海機器、機関整備 など、陸上サイドからのメンテナンス支援 や監視システムの導入に取り組んでいます。 小泉 公用通信と私用通信の扱い、搭載機 器の送受信容量、速度なども検討している ところです。乗組員各自は、自分で使用し 慣れているパソコンを持参したいとの意向 も強いのですが、会社が公用として設置す るパソコンのスペック、海上に理解のある プロバイダ*の選定なども検討しているよ うです。 栗崎 会社の計画については、企業戦略も 絡んでいますので個人ではいいにくいとこ ろがあります。別途各社にアンケートされ たらどうでしょうか。 松林 先程お話ししました、FOMA デー タ通信機器を船に設置し、停泊中は、会社 とメールによって、情報を交換できるよう にしている船もあります。 比良 外航船と違って、会社として特に取 り組んでいるものはありません。 岩中 当社もそうですが、これといった取 り組みや対策を講じているわけではありま せん。どうしても会社はコストを優先して いるので、最低限度の事しかやっていない ような気がします。 = 船陸間の情報通信について、個人的に 取り組んでいることなどがあれば。 石井 個人的には乗船後は数日に1回、家 族に携帯電話でメールを打つ程度です。人 によっては、海外で使用できる携帯電話を 持参して、各国の沿岸部において接続、メー ルチェックや通話をしているようです 小泉 私どもは「便りがないのが元気な便 り」といっていた世代です。個人で使用す る通信料金がとても高価でした。ですから、 インターネットや携帯電話が普及した今日 でも、業務で使用する以外に、私的なこと で若い皆さん方のようにこれといって取り 組んでいるものはありません。 太洋日本汽船㈱ 船長 小泉さん 松林 特にありませんが、携帯電話を主に 使用して、携帯端末を使った PC による E メールのやり取りをしていますね。しかし、 情報通信に取り組もうにも、電波が届かな ければ何もできませんが。 比良 私も松林さんと同じですね。 岩中 特にありませんが、最近の携帯電話 は機種によっては外国の陸上からでもかけ られます。通信料金が高くつきますが。
テレビの地上デジタル化が心配
= 現在のテレビ放送の受信状況について お話しください。 石井 未だアナログ受信が主です。一部の プロジェクト船では BS 放送を受信できる 自動追尾アンテナを搭載している船舶もあ ります。アナログでスキャニングする方法 がメインですが、海外でもデジタル化が進 んでいるようで設備の整備を早急にお願い したいところです。原田 テレビ放送は、日本近海でのみ受信 が可能です。船によっては衛星アンテナを 搭載していて、大洋航海中でも NHK ワー ルドなどが見ることができるようです。そ ういう船は、まだ少ないですね。 栗崎 外航船の場合、すでに各国で放送方 式が違う現状があり、日本の方式に変えた ところで、外地で受信できるのか不明な点 があります。ですから一概に地デジ対応に 切り替えるのが得策かどうか難しいところ です。 小泉 現在のアナログ放送に関していえば アンテナを良いものに変えさえすれば、日 本国内の港でも十分に受信は可能です。 松林 航海中は、BS・CS 放送のみが頼り です。BS 放送の民間番組は、地上波に比 べショッピング番組などが多く内容が劣っ ています。また、CS 放送は有料ですので 会社の理解がないと導入できません。 比良 当社では、現在地上波デジタルとア ナログ放送、BS 放送を受信しています。 岩中 設備さえ整っていれば衛星放送を見 られるそうです。外国船を訪船した時に初 めて知りました。 = テレビ放送は、来年には地上デジタル 放送が全面的に運用開始され、すでに運用 化されていますが、海上での受信状況でア ナログ放送との違いはありますか。 石井 今後、どのように改善されるのか期 待しています。地デジ方式も各国で異なる との情報があり、本船サイドにとっては、 あらゆる方式が受信可能となる製品が出る かが問題です。もちろん高額になれば当然 会社のコスト負担としてはね返ってくるの で、各船への支給もスムーズにはいかない でしょう。 原田 地上波を受信できる範囲は変わって ないように思います。 栗崎 娯楽の少ない船上で、テレビ番組が 見られれば良い程度です。船上では、テレ ビよりも衛星を通じたブロードバンド回線 の容量アップの方に期待しています。昨今 のインターネットを利用した動画配信サー ビスなどを利用する方が、世界中の海に従 事する外航船にとっては、航行位置や時間 を気にする必要もなく利用できます。また、 電波の到達距離など物理的な制約の多い地 上波のテレビは、整備を行なったとしても 限界があり、あまり期待していません。
アナログ放送は、微弱な電波も
OK
デジタルの受信電波は
小泉 アナログ放送では、微弱な電波でも 雑音が入りながら受信できますが、デジタ ルは受信電波が弱いと何も映し出さない、 愛知県の豊橋港沖に錨泊中の時の事ですが、 海上の方に向いた電波を発射していないた め殆んど受信できない状態でした。 松林 着岸中と港内では辛うじて地デジは 映りますが、航海中は受信困難です。アナ ログ放送は、雑音が入りますが何とか映像 日本水産㈱ 船長 岩中さんが見られる分、アナログ放送の方が良いよ うな気がします。現場ではアナログ放送が 終了するまで、航海中はアナログ放送を受 信します。 比良 そうですよね。デジタル放送は航行 し始めると、すぐに視聴できなくなります。 この現状であればアナログ放送の方がマシ です。現在まだアナログも視聴できますが、 これができなくなる2011年7月のことを考 えると心配です。もし海上でデジタル放送 を視聴できないのであれば、このままアナ ログ放送も暫定的に残すべきだと思います。 船員にとってテレビは大きな娯楽ですから 福利厚生の面からもかなりのマイナスにな ります。 = 今後、船陸間の情報通信に関して希望 や意見などがあれば。 石井 まずは、今後携帯電話の通信圏が海 の方向に拡大するのを期待しています。次 に海事関係の多くの皆さん方に他国の船内 通信設備を見ていただきたい。その上で、 日本人船員を今後どのように位置づけるの かによって、船員の待遇・扱い方、つまり 通信設備を福利厚生の一環としてどのよう に整備すべきか自ずと判明するでしょう。 これから日本人船員を確保し継続的に雇用 する上で、また、海上や一部の陸上でのデ ジタルディバイド*(情報格差)の解消と いう点で、船陸間の情報通信のあり方をど う定義づけるかは大切な要素のひとつにな ると思います。 原田 陸上の通信環境が飛躍的に向上した のに比して、船陸間通信は、まだまだ発展 途上といわざるを得ません。この通信格差 を埋めることは、船務の簡略化や船員の定 着率向上に直結すると思います。今後、よ り安価で簡便なシステムの導入に期待した いです。 栗崎 通信費についてもインマルより安価 であると同時に24時間の常時接続でリアル タイム通信が可能な VSAT に代表される 定額料金制の海上ブロードバンドを搭載す れば、家族とのコミュニケーションに限ら ず職務上活用したい資料などが、タイム リーに閲覧可能で非常に有益です。また、 会社とのメールのやり取りによる作業効率 の向上が格段に進歩するのは明らかです。 海上での生活環境改善は、次世代を担うべ き若手後継者の定着率向上にも重要な要素 と考えます。その一環としての、海上ブロー ドバンドの早期設置は、船員の魅力回復の 為にも是非とも必要な事項ですね。今後乗 ってくる船員は、「定額料金制の海上ブロー ドバンドが搭載していなければ乗船拒否」 の時代が来るかもしれませんね。(笑) 小泉 船長の立場でいいますと、日本人乗 組員が日本に帰って入港着岸しても、一晩 も停泊することがない現状では、乗組員に とって沖待ちが休養をとることのできる唯 一の機会となっています。その貴重な沖待 ち中に、十分な携帯電話の接続やテレビの 見える環境があれば精神的にも安らぎます。 松林 情報通信技術が急速に発達している 現代社会において、『海洋国日本』でありな がら、船舶に対する通信手段の現状は異常 ですよね。せめて、沿岸航行中に、どの携 帯電話でも、インターネットや E メール が安心して利用できる環境を整備して欲し いですね。アンテナなどの受信機器の設置 は資金面で解決できるものもあるので、国
の援助や支援、さらには船主や雇用主の船 舶、船員に対する誠実な対応を期待したい。 比良 現在の船舶からの情報通信には、費 用がかかりすぎます。例え通信料がこの先、 違うシステムで安くなったとしても、アン テナや端末機器の設置など、それらに伴う 会社側の設備投資に多大なコストがかかる のでは、普及しないと思います。もし、若 手船員の確保や船員の福利厚生の充実を図 るのであれば、国がかなり資金面を含めた 援助をしなければならないと思います。 岩中 同感です。これからの福利厚生の一 環として、力を入れて取組まなければなら ない事項だと思います。
船員確保のためにも船陸間の情
報通信手段への政策支援と助成
は必要
= 特にこの際話したいことがあれば。 原田 今後、通信やテレビの視聴が陸上で 行われているのと同等に船上でも行えるよ うになったら素敵だと思う。業務上も福利 厚生面でも格段に環境は変わると思います。 業務上では、陸上からの船内機器や航海 計器の保守状況確認、PC のウイルス対策 や各ソフトの Up date など、主機運転状 態や速力などの船舶自体の状況や、気象・ 海象のリアルタイムな陸上からの監視や Weather routing、狭水道での航路管制な どさまざまな用途が開けます。また、福利 厚生面では、毎日家族と会話ができ、イン ターネット環境を個人単位で享受できるよ うになれば、船内がより住み心地の良いも のになる。しかし、毎日毎日、妻と話す話 題がありますかね(笑) 松林 船主や雇用主だけに船内での通信環 境の整備や対策を求めるのは、企業体力の ない企業もあるので限界があると思います。 船員税制の確立も必要ですが、若手船員の 確保対策の一環として、昨年、政府が省エ ネ家電や自動車に実施したようなポイント 還元制度などを海上にも立ち上げ、船員の 福利厚生環境の整備に力を入れるべきだと 思います。 比良 私がフェリー会社に入社した理由の 一つは、陸上にいる家族や友人との連絡が 毎日できるという事が挙げられます。若者 にとって彼女、家族、友達と連絡が取れな い事は、非常につらい事です。また連絡は 取れるが、船舶電話などの通話料が非常に 高く長話もできない。まず、ここを解消し なければ、若手船員の確保に繋がらないと 思います。 岩中 他社の方々との会話の中で「若者が 直ぐ辞めていく」という話を良く耳にしま す。船舶の特性上ある程度仕方のない事で はありますが、できるだけこれからの若者 達に閉塞感や孤立感を与えないためにも、 また「魅力のある職場」を提供するために も、陸上と同様な情報通信ができるように 進歩させなければならないと思います。 数年前、海員組合内部で「船員職業の将 来ビジョン検討委員会」が立ち上げられま した。この中で、ブロードバンド化につい ても2年間にわたって議論が交わされまし たが、何も進展しませんでした。本誌のこ の特集を機会に、本格的な将来ビジョンを 描いてもらいたいですね。用語解説
(アルファベット順)
ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line):一般の電話線を利用した高速インターネッ
ト通信技術
ADSL モデム:ADSL 通信において、PC のデジタル信号と ADSL のアナログ信号を変換する
ための機器
AIS(Automatic Identification System):船舶自動識別装置
ARPA(Automatic Radar Plotting Aids):自動衝突予防援助装置を搭載するレーダー AUV(Autonomous Underwater Vehicles):自立型無人潜水機
bps(bit per second):通信回線などのデータ転送速度の単位。ビット毎秒。1kbps は1000
bps、1Mbps は1000kbps である。8ビットで1バイト
C/No(Carrier to Noise density ratio):単位周波数当たりの雑音電力に対する無変調時の搬
送波電力の比
C―band(C 帯):マイクロ波の周波数帯の名称のひとつで、帯域は、4∼8GHz。用途は、
通信衛星・固定無線・無線アクセスなど
DBHz(decibel hertz):デシベルヘルツ。受信感度の単位。デシベルは音の大きさ、ヘルツ
は周波数
Dopa(DoCoMo Packet data communication):NTT ドコモの第2世代の携帯電話を使った
通信である PDC(Personal Digital Cellular)方式を利用したパケット通信サービス。送受信 したデータ量に応じて課金する仕組みで、2008年9月に新規契約の受け付けを終了している
DSB(Double Side Band):抑圧搬送波両側波帯変調。両側波帯で同じ情報を伝送するもの ESV(Earth Stations on board Vessels):船上地球局。C 帯または Ku 帯の固定衛星業務の
宇宙局を利用し、海上において高速・大容量の通信を行うシステム。
FOMA(Freedom Of Mobile multimedia Access):NTT ドコモの携帯電話サービス。アナロ
グ方式、PDC 方式に次ぐ第3世代に位置する。高品質な音声通話と高速データ通信が特徴 FOMA カード:「FOMA」対応の端末で利用者の識別に使われる、着脱可能な小型の IC カード HD(High Definition):高精細 IP(Internet Protocol):ネットワーク上の機器に個別に住所を割り当て、データ転送の方法 を定義する約束ごと。IP によって世界規模で相互に接続されたコンピュータネットワーク がインターネット IP カメラ(ネットワークカメラ):撮影した情報を IP によってネットワークへ転送する機能 を持っているカメラ。遠隔地からも内容を確認できる IP 電話:IP を利用して提供される電話サービス。インターネット網を利用するので、格安で 通話できる
ISDN(Integrated Services Digital Network):電話や FAX、データ通信などのさまざまな
サービスを統合化するデジタル通信網。2000年には定額料金で利用できるサービスも開始さ れたが、最近のブロードバンドサービスの普及で加入者数は減少
JAMSTEC(Japan Agency for Marine―Earth Science and Technology):独立行政法人海洋
研究開発機構
JAXA(Japan Aerospace Exploration Agency):独立行政法人宇宙航空研究開発機構 Ka 帯:マイクロ波の周波数帯の名称のひとつで、帯域は、26GHz∼40GHz。用途は、通信衛
星など
レビ放送・通信衛星など
LAN(Local Area Network):ケーブルや無線などを使って、同じ建物の中にあるコンピュー
タや通信機器、プリンタなどを接続し、データをやり取りするネットワーク。同軸ケーブル、 光ファイバーなどで配線するものを「有線 LAN」、電波を用いるものを「無線 LAN」という
LTE(Long Term Evolution):第3世代携帯電話の高速データ通信規格をさらに進化させた
高速なデータ通信仕様のひとつで、3.9G とも呼ばれる
L バンド(L 帯):マイクロ波の周波数帯の名称のひとつで、帯域は、0.5GHz∼1.5GHz。用
途は、テレビ放送・携帯電話・インマルサット衛星放送など
NICT(National Institute of Information and Communications Technology):独立行政法人
情報通信研究機構
NK 情報:NK(日本海事協会)船級船の管理者・所有者、並びに ISM/ISPS を NK に登録し
ている管理者向けのインターネット情報サービス
N―STAR: NTT と NTT ドコモによって打ち上げられた通信衛星の名称。NTT ドコモでは衛
星移動電話サービス「WIDESTAR」の運用のために N―STAR を運用している
NTSC(National Television System Committee):全米テレビジョン放送方式標準化委員会。
同委員会が策定した放送映像方式
OCTANS:フランス IXSEA 社製の船舶などの方位、姿勢計測機器。常に衛星方向にアンテ
ナ指向軸を向けることから、この計測機器の情報によりアンテナ指向制御を動揺補償台で実 施している
SKYPE(スカイプ):Skype Technologies 社が開発・公開している音声通話ソフト。ユーザ
同士で音声による通信を行うことができる。有料で固定電話や携帯電話に電話をかける機能 もある
SNS(Social Networking Service):交友関係を構築する Web サービスのひとつ。誰でも参
加できる一般的な掲示板やフォーラムとは異なり、すでに加入している人からの紹介で参加 できる
SSAS(Ship Security Alert System):船舶警報通報装置。船舶に海賊やテロなどの危害行
為が発生した場合、陸上機関に隠密裏に通報できる装置で、SOLAS 条約によって、2004年 7月1日以降、国際航海に従事する一定条件の船舶に対し順次義務付けられている
SSB(Single Side Band):抑圧搬送波単側波帯変調。情報を片側の側波帯のみで伝送するも
の。短波帯の業務無線やアマチュア無線などで利用される
TELEX(teleprinter exchange):テレックス。電話回線でつながれている相手を呼び出し、
テレプリンターによって通信する方式。また、その機械、加入電信
UHF(Ultra High Frequency)帯:極超短波。帯域は、0.3GHz∼3GHz。携帯電話を始め、
多種多様な移動通信システムを中心に幅広く利用
USAT(Ultra very Small Aperture Terminal):超小型地球局
USB(Universal Serial Bus):パソコンと周辺機器との間でデータを伝送するインターフェー
スの規格のひとつ
VSAT(Very Small Aperture Terminal):衛星通信で用いられる電波を地上で受ける基地局
(地球局)のうち、口径がきわめて小さなパラボラアンテナを使用する地球局の総称。また、 これを使った VSAT サービスの通信料金は、定額課金制を採用
Wimax(Worldwide Interoperability for Microwave Access):ワイマックス。無線通信技術
の規格のひとつで、直近のネットワーク中継地点から末端機器までのラストワンマイルで利 用できるワイヤレスブロードバンド
Xi:クロッシィ。NTT ドコモが提供する次世代通信 LTE サービス。「高速・大容量・低遅延」
(五十音順)
イリジウム:通信衛星を使った移動通信サービス。北朝鮮やスリランカといった一部地域では
利用できないが、基本的に、地球全体をカバーする
インテルサット(Intelsat):国際電気通信衛星機構。通信衛星の打ち上げ・利用を目的とし
て組織された。また、その通信衛星
インマルサット(Inmarsat : International Maritime Satellite):衛星通信や端末を手がける企
業、またはそのサービスのこと。一部の地域を除き、ほぼ全世界で通信が可能となる。音声 通話のほか、パケット通信も可能
インマルサット B:音声電話、テレックス、ファックス、データ通信が利用できる。データ通
信速度は64kbps(FAX 通信:9600bps)。デジタル通信方式を採用
インマルサット BGAN(Broadband Global Area Network):小型・軽量な BGAN 端末を利
用し、音声通信、64kbps の ISDN 通信、2種類の高速 IP パケット通信を利用できる。また、 音声通信と IP パケット通信が同時に利用できる インマルサット C:テレックス、ファックス・データ通信端末にメッセージを送信することが できる。蓄積交換方式で、着信まで5∼10分程度かかる。電話をかけることはできないが、 通信料が最も安い インマルサット D+:双方向パケット通信システムで、メッセージは蓄積パケット交換方式に より伝送される。送信してから受信するまでおおむね2分程度時間がかる インマルサット F:音声電話および電話回線を利用したファックスのほか、HSD サービスや インターネットパケットデータサービスがご利用できる。データ通信速度は64kbps(FAX 通信:9600bps) インマルサット FB(Fleet Broadband):音声電話、データ通信、IP データ通信が利用でき る。電話と最大432kbps のデータ通信を同時に利用できる ウエアラブルカメラ:人物に装着して使用することが可能なカメラ 従量制:通信サービスにおける課金方法のひとつで、利用時間やデータ転送量に応じて料金が 課金されていく料金制度のこと
スカパー JSAT(SKY Perfect JSAT Corporation):スカパー JSAT 株式会社。日本で唯一、
アジア最大の有料多チャンネル放送・衛星通信事業者 デジタル・ディバイド:一般に、対象間における放送・通信の情報量に差があること。また、 情報技術(IT)を使いこなせる者と使いこなせない者の間に生じる格差のことを指す パケット通信:一連のデータを細切れのパケット(情報の単位で、1パケットは128byt)に分 割して伝送する通信方式 ハンドヘルド型:片手で持てる程度の大きさのもの プロバイダ:インターネットに接続するサービスを提供する通信事業者 マリサットシステム:マリサット衛星による海事衛星通信サービス モデム:コンピューター通信で、コンピューターが送り出す信号を電話回線などで送れる形の 信号に変え、一方送られて来た信号をコンピューターが読み取れる形の信号にもどす装置 ルーター:ネットワーク上を流れるデータを他のネットワークに中継する機器 ワイドスター:NTT ドコモの衛星携帯電話サービス。2機の静止衛星(N―STAR)が日本全 土をカバーしている ワンセグ:地上デジタル放送の電波を利用した放送のことで、「ワンセグ放送」を省略化した 言葉。日本の地上デジタル放送は、1つの放送局の周波数帯域幅を13のセグメント(部分) に分割した構造となっており、その中の1つのセグメントがモバイル端末用に割り当てられ ていることから、「one segment=ワンセグメント」を省略してワンセグといわれる 3G:第3世代の携帯電話方式の総称
なんのための船陸間通信か
陸上から洋上の船舶へ電話ができるよう になって30年。これからどのようなことが 可能となり、望まれるでしょうか。筆者は 航海訓練所との共同研究で船で受信した AIS*と ARPA*のデータを陸に伝送するシ ステム(1)を船に実装しています。これを使 うとどうなるでしょうか。近い将来の話(かも?)
当直中の3等航海士(3/O)に電話が… (船舶運航管理室)「3/O、なにやってる んだ!こっち(図1のこと)で見ていたら、 旋回してるじゃないか。ムダなことはする なよ!なんでも相談してくれよ。」 (3/O)「えっと、航路上に避けられない 船とレーダに写っていない漁船もいまして、 それに今は、機関を減速できないので…」 (船舶運航管理室)「それならいいのだが …気をつけてくれよ…(ガチャ)」 (3/O)(つぶやき)「気をつけろっていっ てもねぇ。そっちが気を使ってくれなきゃ。 意味ないんだけど。」通信では限界も
船のデータを陸に伝送できるようになる と積極的に船隊管理に利用されるはずです。 しかし、使い方を間違えば以上の例のよう に、意味のない通信となるばかりでなく、 乗員に不信感を与えてしまいます。これまでの情報通信と船上生活
本校の学生は、すべて平成生まれです。 授業で「平成元年っていう時代は、今の生 活からインターネットと携帯電話を除けば 同じだ。テレビも、ラジオも、電話もファ ックスもあった。」というと、学生は「で も、テレビを除けば、ラジオも電話もファ ックスも使いませんよ」と言うのです。船からの電話とファックス
陸上の電話が日本中どこへでもダイヤル するだけで繋がるようになった頃の1970年 代には、日本沿岸で内航船舶電話が整備さ船陸間情報通信の変遷とこれから
―よりパーソナルなテレビと携帯電話、そしてインターネットへ―
すず き おさむ鈴木 治
鳥羽商船高等専門学校商船学科 准教授 図1 電子海図上に表示された旋回して避航した様子と他船の様 子(上)と、船上のデータを陸へ配信するシステム(練習 船「大成丸」と練習船「鳥羽丸」に実装中)(下)れ、インマルサットの前身のマリサットシ ステム*が利用できるようになりました。 そして、平成までには、船へもダイヤルす れば繋がる沿岸船舶電話となり、インマル サットは全世界対応となりました。
ファックスから始まったデータ
通信
1980年代∼1990年代前半、電話回線に特 殊な装置を使って陸上よりは低速ながら データ通信としてのファクシミリ(FAX) の利用が始まりました。 1990年代になると、パソコン通信や電子 メールが陸上では利用されるようになりま したが、船では内航船舶電話を使えば1.2 ∼2.4kbps*程度で通信できましたが、一 部の船や詳しい船員らが利用したに留まり ました。1990年代後半になるとデジタル化 されたインマルサット B(2)や衛星船舶電話 が登場しましたが、現在のようなインター ネット接続サービスはありませんでした。 遅延を見込んだモデムの調整などをしてイ ンマルサット B のみなし音声で1.2kbps(3) 程度と、6秒毎の高額な利用料金なため、 利用は進みませんでした。船からの電子メール
2000年以降になると、陸上では家庭にも 電話回線を利用した ADSL モデム*により 定額でインターネットへ常時接続できるよ うになりました。船ではインマルサット B が普及し、インマルサット C*による電子 メールサービスが開始されるなど、船陸間 で電子メールが一般的になり始めました。 初期の頃(今も?)は、船長や船に一つだ けのメールアドレスを利用する限定的な利 用でした。携帯電話と今どきの若者
今の学生は、早ければ携帯電話を小学生 で、遅くとも高校生では持つ世代です。電 子メールでの連絡は当り前、初めて会った 人とはメールアドレス交換、さらには自分 自身の SNS*への招待やプロフィール交換 などと好きな人だけの間でのインターネッ トを使ったコミュニケーションが得意です。 現在の洋上での船上では、そのどれもでき ません…。「携帯とネット」の使えない環 境に望んで来てくれるでしょうか。船陸間情報通信の現状と課題
利用者は衛星であろうが、無線であろう が、有線であろうが、回線の種類には興味 はありません。簡単に接続できて安定して いて、安価であればいいのです。期待できる技術的将来
衛星通信回線を使ったインターネット接 続には陸上と比較して遜色ない技術が利用 されています。通信技術的には、携帯電話 の通信速度で見ると十年前は、9.6kbps だ ったのが、現在は実質的には数100kbps 程 度と数十倍程度、高速になりました。イン マルサットも十年前の9.6kbps から数100 kbps 程度と10倍程度は高速になっていま す。携帯電話回線を使った定額インターネ ット接続サービスが2007年から始まってい ます。図2はそれを使った画像伝送を行っ た例(1)で、静止画像を数 k∼数十 k バイト /秒で伝送可能でした。近い将来衛星回線も同様なサービスが可能となるでしょう。
管理は誰が?
図3は、学生寮からのインターネットへ の通信量を時系列で表したものです。この ようなグラフ表示可能な通信機器は少なく、 現時点では、インマルサットを使ったイン ターネット接続の場合、定額ではなく高額 であるため、通信料を少なくしようと必死 になって航海士が通信パケット量をワッチ している…という話を聞きます。 無線通信を使ったインターネット接続に は電波から PC、ネットワークまで多岐に わたる知識と技術が必要です。 電子メールは配送されないこともありま す。そしてその仕組みは法律では規定され ていません。さらに管理には資格は不要で す。暗号化しないかぎりシステム管理者な ら電子メールは読めますし、これらを知っ て使う人と管理する人はどれだけいるでし ょうか。船上で管理する人は、電子メール や通信設備を管理するのは誰でしょうか。 「通信長」という専門職がほとんど居なく なり、航海士らが“兼務”で通信長を行う 時代ですが、兼務通信長の資格試験の項目 には PC やネットワーク管理はありません。 ウィルスや外部からの攻撃への対応はど うでしょうか。毎週、毎日、数時間ごとの コンピュータの基本ソフト(OS)のバー ジョンアップ、ウィルスのアップデート。 バージョンアップで調子が悪くなることも あります。これらの対応を、兼務通信長に 任せてよいのでしょうか。法的課題
外国製携帯電話、外国製衛星携帯電話の 利用が身近と思います。同様に、現状では 個人の携帯電話は洋上の船内で利用できま せん。技術的には、中継局を船上において、 転送すればいいだけのことです。しかし、 法的には各国の事情、営利目的、コストが それぞれ絡み合っていると聞きます。 家族にとって身内の人が乗る船がどこに いるかは重要です。インターネット上にあ る AIS の表示サイト(4)を利用することもで きますが、法令上の問題(5)が多くあり、日 本沿岸に受信機の設置が進まないのが現状 です。メールのヘッダーに挿入するシステ ムの提案(6)もしていますが、導入は進んで いません。情報入手手段としてのテレビ
「いやぁ、メキシコ沖はテレビが良く受信 できるよ。そうねえ、沿岸にいけば、どの 国でもとりあえずテレビはつけるね。そう そう、船の場合、“地デジ化”ってどうす 図2 web カメラによって自動記録された船上の様子(練習船 「鳥羽丸」) 図3 データ通信速度の変化の可視化るの?」 図4は、日本の地上デジタルテレビ放送 の受信への対応とその問題点を示したもの です(7)。放送形式は、日米欧で異なるので 各国へ航海する船はテレビをそろえるだけ でも大変です。
まとめ
日本が日曜日、船橋での会話… 3/O「いやぁ、今日は日本が日曜日だから、 メールが来なくていいわ。ゆっくりワッチ ができる。この前は、ワッチ中、管理会社 から来たメールには添付ファイルに備品チ ェックリストがあって大至急を作れって…。 ほんと、大変だった。よく考えたら、備品 って管理会社が買ったんだから、あっちが 知ってるんじゃないか。」 操舵手「まぁ、まぁ。最近、前を見てない 航海士が多いって聞きますね…。PC を入 力したり、AIS で行先を入力したり、見た り、一昔前からすると航海士って忙しいと 思いますよ。情報化 って 考 え も の で す ね。」 居眠り防止装置も 実用化となっていま す。さらなる技術開 発で、陸上からの船 内の様子が詳細にわ かるようになります。 船員が望む船陸間 通信は、必要な情報 が労なく手に入り、 かつ、過重労働とな らず、プライベート な通信(携帯電話、電話、電子メール)も 可能であることです。 謝辞:データ伝送装置など、実装につきま しては、(独)航海訓練所の皆様にお世話 になりました。また、船での実際の話につ いては、卒業生を中心とする関係者の皆様 からの情報提供によるものです。関係した 皆様には感謝の意を表します。 (参考文献) !1 鈴木治 他:“海上交通流把握のための陸と船からのデータ 収集システム”、日本航海学会論文集、123号、2010年9月 !2 鈴木治:船舶通信の基礎知識、成山堂、pp.18―2―1、p.195、 2008年2月 !3 鈴木治、安田明生:“電子メールを使った船舶位置通報シス テム”、1997年電子情報通信学会総合大会論文集、p.B―255 !4 紺頼英雄:“東京湾の水先業務と AIS 、海と安全、545号、pp.16 ―19、2010年5月 !5 鈴木治 他:“航海士から見た AIS と法律”、日本船舶海洋 工学会、講演論文集、第10号、pp.281―284、2010年6月 !6 鈴木治 他:“インターネット標準技術を使った船員のため の電子メールシステムの提案”、日本航海学会論文集、第104号、 pp.25―32、2001年3月 !7 鈴木治 他:“船舶における地上デジタル放送の受信方法の 研究”、pp.27―33、日本航海学会論文集、第119号、2007年3月 図4 地上デジタル放送の課題当社は1943年5月26日に設立されました。 開業当初は近海における海上輸送サービス を行っていましたが、1951年に社名を現在 の日正汽船株式会社に改称し、外航海運業 に進出。現在は JX 日鉱日石エネルギー㈱ のグループ会社として中東からの原油輸送 をはじめ石油化学製品、銅鉱石、ニッケル、 材木などの幅広い分野で海上輸送サービス を提供しています。また、「We Love Sea」 (Safety,Environment,Activity)をカン パニーモットーに、グローバルに海上輸送 を展開し、VLCC3隻、MR プロダクト 船6隻、ケミカル船14隻、その他バルカー も含め、計38隻を運航しています。
これまでの船陸間情報通信
遠い過去、遥か洋上を航行している外航 船と陸上との船陸間通信手段は電信(モー ルス)によるものが主流でした。そのため 情報の相互交信内容も端的に短く制限され た規則性のあるものであり、今日のような 膨大な情報や詳細な内容まで情報を伝達す ることはできず、また陸上基地局を経由し て送られるので時間的ロスがありました。 やがて人工衛星が打ち上げられ、インマ ルサットの出現により従来の船陸間の通信 システムが大きく変化し、ほぼ全世界のど の海域からでも電話、FAX、TELEX*で の通信が可能となりました。これにより船 陸間の情報通信は飛躍的に発展し、情報伝 達内容や情報量の増加、スピード化が図ら れ、非常に便利なものとなりました。同様 に今日では船舶電話も日本沿岸での通話可 能範囲が衛星通信技術によって以前より広 範囲で使用可能となっています。このよう に船舶における情報通信は通信技術、シス テムの発展により大きく変化しました。携帯電話とインターネットの普及
一方、陸上でも当初、高価であった携帯 電話が、今では手ごろな価格で入手できる こともあり、世間に普及し誰でも持てる時 代となりました。また、通話が中心用途で あった携帯電話は、メール、ゲームなどバ ラエティーに富んだ多くの機能が付加され るようになり情報収集も携帯電話一つで容 易に入手できる時代です。 さらにインターネットの普及により膨大 な量の情報がリアルタイムに簡単に入手で きるようになっています。陸上社会での情 報通信網、システムの発展と進化は目まぐ るしいものがありますが、外航船における 陸上との情報通信手段は人工衛星を介して の通信となります。 陸上のようにはいきませんが、今日では 電子メールの利用が可能となり、情報通信 容量、通信スピードの向上が図られ、コス ト面、利便性から、以前の TELEX,FAX 通信から電子メールでの通信が一般的とな って現在に至っています。外航商船での船陸間情報通信の現状と将来
なが お た か の り永尾 隆典
日正汽船株式会社 船員グループ課長VSAT による情報通信
これまで、洋上における通信手段として インマルサットの利用によるものであった が、当社では2009年1月新造プロダクト船 に法定装備のインマルサットの他に Mar-link Networks AS 社:Norway の VSAT を搭載しました。 VSAT アンテナ 従来のインマルサットとの大きな違いは どの海域においてもインターネット回線が、 常時接続されており利用が可能であること。 また、大容量のデーター通信が可能である ことです。当社では船籍を問わず全ての VLCC3隻とプロダクト船の2隻の計5隻 に VSAT を搭載しています。 搭載船の中には日本籍の VLCC1隻も含 まれますが外国籍船と設備、機器は同じで VSAT の運用は旗国の発行する免許状を 取得すれば可能です。 現在、世界中を航行している船舶で衛星 通信設備の設置を必要とする船舶(客船、 商船、観測船、軍関係、漁船など含む)の うち8,200隻弱が VSAT を搭載しており、 そのうち商船は3,000隻強がすでに搭載さ れ、運用していると言われています。(メー カー、機種を問わず VSAT と呼ばれる通 信機器の搭載船数。この中にはローカル衛 星のみに対応できる機種も含まれる)日本 では近海船が約60隻、Mini VSAT と呼ば れるサービス範囲が限定された VSAT を 搭載しているとのことです。当社が設置し ている VSAT は基本的にはグローバルで ど の 海 域 で も カ バ ー で き る 点 が Mini VSAT と異なります。
VSAT の特徴
1)インターネットに接続できる。 (24時間、常時接続されている) 2)LAN により公室、各居室など同時に 複数場所で利用が可能。 3)従来の通信設備と比較して大容量の データーの送受信が可能 4)1台の VSAT で複数の電話(通話) が同時に使用できる。 5)使用可能範囲は、ほぼ全海域をカバー している。 6)データ送受信、インターネット利用料 金(契約にもよる)が定額で費用軽減に つながる。 7)インマルサットへの切り替えが可能で あり、操作も容易である。 これらの特徴を生かして船陸間の情報通 信はこれまで以上に便利となり、船上での 情報収集量、内容も向上しました。 特に、インターネットを利用することで 気象・海象情報、台風情報、港湾情報、航 路交通情報などの航海における有益な情報 やその他の情報がアップデイトで必要な時 に入手することができるようになりました。 これらの情報を有効に活用することにより、 安全航行の一助となり非常に有効であると思います。 また、船舶管理、運航管理、マネージメ ントの面からも詳細な情報提供、データー の共有化、整理など、今後の運用方法によっ て幅広い管理ができることも期待できます。 ただし、ITU(国際電気通信連合)の規 定によ り 批 准 国 の 地 域、海 域 に お い て VSAT の使用(電波発信)の制約があり ます。例えば、日本の電波法では沿岸から 300Km 以 内 で は C―band*(4∼8GHz) の電波発信は禁止されており、VSAT は 使用できないこととなっています。これは 日本籍船、外国籍船を問わずこの周波数帯 の使用を禁止されています。(このような 場合は、インマルサットへの切り替えを容 易に行うことができるので通常の一般業務 通信は特に不便さを覚えません。) また、航行海域によって衛星の切り替え が必要となります。これはインマルサット の太平洋衛星、インド洋衛星などの切り替 えと同じです。この利用衛星の切り替えは 事前に本船より契約会社への事前通知が必 要となります。従って、限られた航行範囲 で衛星の切り替えが必要でない船舶には、 これらの作業は不要となります。