幼生研究のための小テクニック集 (3)
文献の収集と整理
小 西 光
一
幼生研究における小テクニックの中で,これま でに微小なサンプルの観察と幼生飼育に関して述 べた (小 西 ,2000, 2001 ).
ここで脇道に外れる かも知れないが,得たデータをまとめる際に不可 欠なものの 一つ,すなわち文献について考えてみ 論文を書くことが研究活動における大きな節目 であるのは ,分野を問わず異論はないであろう. 最近では論文作成術に関する本やサイ トが数多く 見 ら れ る が (たとえばサイト 1 )' その中に必ず 入っているのが文献の収集 ・整理の項目であり, これはそれだけ需要があることを反映しているの かも知れない.文献の扱いこそは,予想外に労力 と時間を費やすものであり,それ故に 他 人がどう 対処しているか知りたい部分ではないだろうか? 一方,文献も含めたデー タ整理に関しては,デー タベースソフ トという 言 葉 を良く耳にする. し かし各研究者が これを具体的にどう使 っているか についてはほとんど聞くことがない .そこで今回 は少し趣を変えて , 自分なりの文献収集とデータ ベースソフトを使った整理法について,参考例と して供したい .1.
文 献 の 収 集 文献を集めるポイン トは 「何が必要で ,それを どう手に入れるか」 である .一般論で言 えば,必 要 な 文 献 に つ い て は ,現 在 オ ン ラ イ ン 検 索 サ ー ビスが発達しているので,単にキーワードからリ ストア ップするだけならば,それほど大変なこと ではない .次にその文献をどこから手に入れるか についてであるが,これも全国規模で所在情報のKooichi K ONISHI:
M iscalleneous techniques for
studies of decapod larvae
(3)Collection and filing
of literatures
オンライン検索が可能なのであまり不自由はない と思われる.この様にして所在を確認した後,雑 誌や本の膳入あるいはコピーなどの手段で入手す ることになる.また最近では学術雑誌もデジタル 化 されてオンライン出版のものがあり,インター ネット上のサイトからP D Fファイルなどの形で ダウン ロー ドするという形で,以前 よ りはるかに 迅速かつ直接的な入手も可能である .こ の様にい つでも欲しい文献が得られる環境ならば, 一つの 研究テ ーマを終えた後,廃棄して次に進むという 「文献使い捨て」方式も可能となり,大量の文献 を後生大事に抱え込むこともない . しかしこのパターンがすべての研究分野に 当て はまる訳ではない .残念なことに幼生の,特に記 載発生学の分野では上記の検索サービスの範囲外 にある文献が多い.具体的にはインパクトファク ター(impact factor)
がある様な学術誌で ,かつ1980
年代以降のものであれば良いが,これ以前の 年代,あるいは発行部数の少ない雑誌や和文の紀 要・報告書類はオンラインで探し出せない場合が 多い .古い年代のものについては,1930
年代まで であれば,Gurney (1939)
に よる十脚目全般を扱 っ た幼生文献抄録があるが,その後の1940- 1970
年 代については「Zoological Record
」等でたんねん に調べて行くほかはない . ただし , カニ類につい ては,文献抄録ではないが,いくつかの図鑑や総 説(Rice,1980;
Ingle, 1992;
Pohle
et
al.,
2000)
があるので,その中の文献データが使える.次に紀 要 ・報告書等ではまったくアクセスの手がかりが ない場合もあり , これに対しては日頃から研究者 間の別刷交換等も含めて ,積極的に文献を集める 努力が必要である.他の分野でもしばしば「∼の 文献抄録集」が出されるのは,やはりこの様な研 究上の需要があるからであろう.
2.
文 献 の 分 類 と 保 管 集めた文献をいかにして上手に分類し ,す ぐ 取 り出せる様に保管するかということは研究上必 要 な技術の 一 つと思われる. 一般的な分類法として は , 著 者 別 と 項 目 別 が あ る (図lA, l B).
どち ら の 方 法 も 数 が 増 え て 保 管 の た め の 入 れ 物 と 場 所が増えてしまうと,その文献データが把握しき れなくなる .数ある研究者の中には記憶力に秀で た方がいて ,文献を「著者名順」にファイルした だけで,後はすべて頭の中で整理されている方も 知 っているが,これはなかなか真似できることで 図1 文献の分別と保管.A : 項目別 にファイル した例 で.この場合は科別に幼生文献 を入れてある, B : 著者別のフ ァイル. C : 入手 した別刷やコピー の左上にゴム印 で連番を付ける.o:
番号順にポ ックスフ ァイルに入れて保管.はない .そこで出てくるのが,「入手した順」に 保管すること,すなわち文献カードを作ることに よって分類と保管を 別 々にする方法である.具体 的には, 別刷 や コピ ーについて入手順に通 し番号 を付け(図1 C ), ボ ックス型ファイ ルに入れて 保管する(図1 D ). 次に 一件について2枚の同 じカードを作り,著者別と項目別の 二通りでそれ ぞれを専用カ ードボ ックスに入れて保管する . こ の方法ではどれだけ使いやすい所蔵文献カ ー ドの 目録を作れるかがポイン トとなる.この時に,文 献かカードどちらでも良いが, どこかに「∼ 氏か らコピー 」とか「 ∼研究室から」といった様 に入 手先やその方法をメモしておくと,後日役に立つ ことが多い. この入手順の整理法は所蔵数が増えても一元的 に管理できるが,それでもある程度以上に数が多 くなると ,特に項目別での分類が困難になり ,や がては第 二,第三のカードを作る羽目になる . こ の点を克服するためには一つの文献デ ータを複数 のキーワードから同時に検索可能なシステムが必 要である .場所もとらず,迅速にそれが可能なの は電子化,すなわちデータ ベース化しかない こと になる.ここで,所蔵数が増えて行 った場合,個 人レベルではどの段階でデータペースが必要に なるかを考えてみる .籠者の経験では,扱う件 数 が100 - 300程度であ れば,手書きのカ ード等 の方が間違いなく効率的でかつ安価である .コ ン ピュータによるデー タ管理がその力を発揮し始め るのは大体1,000件 を超えるあた りからというの が正直な感想である. 改めて述べる までもないが,文献の置き場所と 環境には気をつけたい .湿度が嵩い (50% 以上) 所ではすぐにカビが生え,また日光に当たると 褪色してし まう. さらに旧来の酸性紙では時の経 過と共に褪色するだけでなく紙自体がボ ロボロに なってしまいがちであり,そうなる前に上質紙に コピーしておくなどの対策が必要である .筆者 は 別刷・コピー類は取り出しやす く,ま た持ち運び も便利なので ,前述の様にボックス型ケース(フ 夕付き ) に50- 100冊単位で収納し,これを事務 用書棚に並べている .場所によるのかも知れない が,それでも長期間気付かずにいると,紙魚が走 り回ることになりかねない .経験上,文献は乾燥 した暗所に保管し,時々チェックも兼ねて取り出 して読むクセを付けるのがベストと言える .いず れにしても 文献は読 まれてこそ存在価値があるこ とを忘れてはならない.
3.
文 献 カ ー ド の 電 子 化 と 実 際 上 の 問 題 点 カードや住所録等の整理に向いているのはも ちろんデータベースソフトである . この 種のソ フトで文献整理をする場合,カードをそのまま電 子ファイル化したもの,いわゆるカード型データ ベースが直感的に分かりやすい.箪者の場合も同 様で,当初は所蔵文献カ ード の内容 「文献番号, 著者,年,タ イトル」の4項目について 当時の P Cパソコン用ソフト「μC O S M S O S ( 日本オフィ ス機器 )」にそのまま入力しただけのものであっ た. これによって確かに4
つもあったカード用 木箱が1
枚の5
インチ(当時) フロッピーに変っ たが,その内にこれではコンピュ ー タらしい機能 がほとんど生かされていないのに気付いた .そこ で,その文献が扱っている「分類群,分野別キー ワード」の2
項目を,さらに日本語が扱える様に なった時点で「邦文タイトル」の項目を追加 した . その後何度かソフトの変遷を経て ,現在はハード ウェアがMacintoshT Mである関係もあり,ソフ ト ( ファイルメ ーカー 社)」を使っている.ちなみにデータベースソフ トは以前に比べれば使いやすくて低価格のものが 入手可能で,ウィンドウズ系であれば「A C E S S (マ イクロソフト社)」等が良く知られている .さ らに文献整理だけが目的ならば「EndNote 4 (ISi Research Soft社)」とい う専 門ソフトもある. 筆 者の場合は後述の様にデータに画像も含み,また データベースソフトを使っている次第である .な お各ソフトの具体的操作法については ,こ こで述 べるスペースはないので ,それぞれのマニュアル や市販されている解説書を参照されたい. こうして出来た文献所蔵ファイルの画面表示 例を図2 A
に示す . このファイルではどの項目 からでも自由に検索可能であり,ここの例では 「Kurata」という 文字列で引いている .こ の検索結果 はた とえば発行年によって昇順あるいは降順 に並べ替え,テキストファイルとしてワープ ロソ フ トヘ出力可能である.これは確かに便利 である が,こ こま でで感じたいくつかの問題点を述べる . 第一 には ,一つのファイルでの「入力項目数は 少なくまとめた方が良い」ということである.そ のためには,いわゆる任意の文字列検索が可能な 項目 はできる限り 一 つにまとめた方が効率的で, これはフ ァイルの構造 (項目数,項目名,デー タ 形 式) を決める時点で考えておいた方が良い .意 出力の時に何が本 当に 必要になるかを予想してお くことである . 第二 にデー タベース 化 で「最も労力を要するの はデー タ入力」であるのは間違いなく,おそらく 全 労力の
90%
以上がこれに割かれる .入力の省力 化 については, O C R (文字認識)ソフ トがあれば, スキャナ ーやデジタルカメラで取り込んだ文字の 画像をテキス トファイルに変換することも可能で ある . しかし ,実際の作業時間を考えると,摘要 (abstract) でも入れない限りは,自分でキーボー ドから入れた方がはるかに速い . またデータベー スに似た機能があるのが表計算ソフトであり,場 合に よって はこち らで入力してから,データ変換 によりデ ー タベ ース フ ァ イ ル に 取 り 込 ん だ 方 が. 簡単でかつ入カミスも少なくなる . また 入力に当 た っては,特に全角 漢字 などの2
バイト系文字で は,O Sな ど に よ り コ ー ド が 異 な る 場 合 が あ る の で,特殊な文字を避けるのがコツである .同じ理 由で文字データには太字や斜字体等の制御コ ード 付 き の 文字列も避 けた方が良 い. 第三 には間違いチェックなどの「データの保守 が大変」なことである .データ ベ ースとは常に “生 きている"べきものであり ,時間を重ねるほどそ の力を発揮するものであるから,途中で投げ出し てし ま う様であれば,結果として時間の浪費であ り,最初 か らやら ない 方が良い .ま さに「継統は 力な り」である.他人のデー タを検索するのはい とも簡単であるが,そこには1
人にせよ多人数に せよ膨大な 労力と時間がつぎ込まれて いる .商業 データベースで検索すると,かな り高 額の請求が 修正作業をした者にはA
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~-·- '"心 匝ョコ Eニコ 図 2 データペ ースフ ァイルでの検索画 面例.A : 所蔵文献データのファイル,s:
幼生文献抄 録データのファイルで,検索結果を 一覧表形 式で画面に出している,c:
同 じフ ァイルで 画像も含めたカード形式 で一件ずつ画面に出 している . この根拠が,それこそ頭ではなく体で理解できる と思う .4.
リレーショナル機能の利用
データベースで件数が増えて来ると,ファイル が巨大化してデータの保守も大変になり, また使 用 時 に 「 重 く 」 な っ て 来 る . こ の 様 な 場 合 に は, 大きなファイルを 内容別に 複数のファイルに分散 させ,それらのデータ項目をリンクさせてまとめ ることに よ り,データ の重複入力による無駄を大 幅にi
咸らすことが可能 になる . この結果 ,入力 ・ 保守面の労力はかなり軽減される.これを実現さ せるのがデ ー タベ ースソフトのリレーショナル機 能であり ,会社 ・製品によってそれぞれ用語が異 なるが,その基本概念は共通している . ファイル をリレ ー ショ ナル化すると単に扱いが楽になるだ けでな< . 用途別に次々とフ ァイルを派生さ せて 行くことが可能になる . さて話を元に戻す.前出の所蔵文献デー タベ ー スを作った後,十脚目の幼生発生を扱った文献が 増えると共に ,過去の幼生記載に関する未入手文 献ファイルや成体の分類情報の関連情報が必要に なって来た .そこでこれら関連フ ァイルを 別々に 作成・入力し始めたが,その内 に, これでは非効 率 的ではないかと感じた .そこで リレ ー ショ ナル 機能を使い,ファイル間で重複 した項目 をキ ーと して リンクさせて一体化 を試みた. さらに幼生 の イメージがつかみやすい様に原 図例等の ファイル を加 えて行った結果,現在では合計4つのファイ ルから構成されるものとな った .検索 ・出力のた めの主ファイ ル (Larva-N) は今の 所 ,画面表示 用に4
種類のレイアウトを 設定しており ,例とし て図2に一 覧 表 形 式 (2 B ) とカ ー ド形式 (2 C ) の 表 示 例 を 示 す .こ の主フ ァイルで は 種 名 や 著 者 名 , 齢 期 な ど 項 目 数 は18にお よぶが,図3に 示した様に,このフ ァイル自 身の項目は5つしか なく (SPECIES, S f A G E, L O C A L ! 官 ,D E V E L O P , O T H E R S), 残 り は 他 の フ ァイル の 項 目 を い わ ば 「 窓 」 を 通 し て の ぞ い て い る に 過 ぎ な い .こ の主ファイ ルを開 くと同時に「所蔵文献ファイル (Library-L)」, 「成体分類フ ァイル (Adult-N)」,「原 図例ファイル (Figures-L)」の3つ の フ ァ イ ル が 画面表示のレイアウトに応じてリンクしつつ開か れるようになっている . ここでキー項目となって い る の は 「 種 名 (S P E C I E S)」,「文献番号 (REF. また,それぞれのファイルには操作する度に「最 終更新 (修正)日」が自動入力され,後々でのデー タチェックに役立つ.以上の4 つのファイルは, さらにこれらに関連する情報を まとめたいくつか のファイルにリンクしている . この様なフ ァイル の分散とリレ ー ショナル化 により,そのまま単独 にファイル化した場合に 比べて,おそらく入力は 数分の 一以下に押さえられていると考えられる . またファイル群 全体の サイズも7 M B
前 後 と 比 較 的コ ンパク トにな っている .ここで注意しなけれ ばならないのは, リンクしている項目間 では一つ を修正すれば,関連ファイルでも同時にその項目 が修正されることであり ,便利 であると同時に, これが思わぬトラブルを起こすことがあるので 注 意しなければならない .5.
デ ー タ ベ ー ス を ど う 使 う か ? せ っかくデータベ ースファイルを作 っても ,使 わ な け れ ば 意 味 が な い . そ の 利 用 法 の 第 一 は研 究 の た め の 文 献 検 索 で あ り , こ れ が 最 も 一般 的 であろう .ただ,これだけのためのデータベース では電子化された情報の活用という面からは少々 寂しいものにな ってし まう.第二 には論文原稿で の引用文献リストの半自動的作成がある.これは その原稿内容に必要な文献をリストアップし ,投 稿先のスタイルに応じて並べ替えなど必要な処理 をした後にテキス ト出 力 し,ワー プ ロ文書内に流 し込むという操作である.先に触れた「EndNote4
」 などはこの様な目的に特化 したソフ トである. 第 三 は 研 究 (者 )の 動 向 分 析 で あ る . た か が 文 献 デ ー タ の 集 ま り で は あ る が , そ の 使 い 方 に よ っ て は 研 究 (者 )そ の も の が 数 値化 さ れ て 意 外 な 面 が 浮 き 上 が る こ と も あ り 得 る . 籠 者 の 如 き 微小 な デ ー タ ベ ー ス は さ て お き , あ る 程 度 の 業 務 規 模 の も の に な れ ば,かな りの副次的情報を引き 出すことが可能である .こ の様な分野は計醤書誌 学 (bibliometrics) と呼ばれ, 一般 社 会 で も 活 用 されている (例: D e Bruin, et al., 1991 ). 実際に Rice (1993) はカニ類幼生について欧米の2世紀 にわたる研究動向とその要因を分析している.で多人数によ って 運 営 さ れ る 分 散 型 デ ー タ ベ ー ス へ の 動 き も 活 発 で あ る . さ ら に こ の 傾 向 が 強 ま れ ば,ネ ッ ト ワ ー ク 上 で お 互 い の デ ー タ を 操 作 す る こ と に よ り , わ ざ わ ざ 個 人 が デ ー タベースを作る 必 要 が な く な る か も 知 れ な い . 個 人 が 作 っ た デ ー タ ベ ー ス も , や が て 一般 向 け に デ ザ イ ン し 直 し ネ ッ ト ワ ー ク 上 で 公 開 さ れ て 多 く の 研 究 者 に 役 立 って 行 く 場 合 が あ る (浜野他,
2000;
サ イ ト2).
イ ン タ ー ネ ッ ト が こ れ だ け 普 及 し た 今 , ア リ や 原 生 動 物 な ど で 試 み ら れ て い る 様 に (今井, 1997; サ イ ト 3), ネ ッ ト ワ ー ク 上 ファイル名: Adult-N ファイル名: Larva-N ファイル名: Library-L□
二
□
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二
三
ロ
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フ ァ イル名: Figures-L三
: : リンクのみの項 目 実際にデ ータが入力 されている項 目三
*画像ファイル リレーショナルデ ータ ベースに おけるファイル間の項目の対応関係の例. それぞれのファイルは互いに共通のキー項目を介してリンクしている . 図36.
お わ り に 一 文 献 を 捨 て る と き 今回紹介したデータベースは個人用のごく 小 さ なもので,また単なるエンドユーザーの使用法の 一 つ に 過 ぎ な い が,何かの 参考になれば幸いであ る. この幼生文献ファイルは項目や関連ファイル の新規作成に よ り,現在もわずかずつであるが成 長を続けている .その様な中で改めて感じたのは , コンピュータは大量かつ高速にデータを扱っては くれるが, デ ー タ そ の も の の 質 は 変 わ らないし , 何かを創造してくれるわけでもないという 事 実 で ある.さらには人手で行っている作業を楽にして くれるとは限らず,逆に能率が下が っている場合 すらある.あくまで主役はデータを扱うヒ トその ものであることを忘れてはならない. さて最後に ,文 献 を 収 集 し 整 理 ・保管する場合, 私たちは案外無意識の内に無限の時間を想定して はいないだろうか?長い時間をかけ苦労して集め た文献を「捨てる」または「捨てられる」時は必 ずやって来る.籠者自身,かなり貴重な文献がゴ ミとして捨てられる現場を何度も見てきたし , こ れは古今東西を問わず人類史上無数にくり返され て来たことである . これに対しては,欲しい研究 者に譲渡したり , あるいは公的機関に寄贈すると いう手がある . しかし最善 の 手 段 と な る と , 文 献 を学術論文という情報媒体の中に入れて「保存」 し後代に伝えて行く 他 はないと考えているが, 如 何なものだろうか?くり返すが,個人の研究の時 間は残念ながら有限なのである .古しえの ローマ 人の「話された こ とは飛び去り,也かれたものは とどまる (Verba volunt, scripta m a n e n t)」という 言葉が何か説得力をもって感じられる.文 献
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