チーム医療としての栄養療法
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(2) 674. 理学療法学 第 42 巻第 8 号 JSPEN では,栄養サポートチーム専門療法士認定資格制度 (NST 専門療法士)を設けており,より高度な栄養療法の提供 をめざしている。当院は 5 名の理学療法士のうち 1 名が資格を 取得(四国初)し,コアスタッフとして NST を牽引している。 全国的には理学療法士の専門療法士取得者はまだ少ないが,今 後発展していくことを期待する。 とかく,チーム医療のメンバーとなると医師や看護師が中心 になりがちであるが,けっしてそうではない。チームに多職種 のメンバーが存在するということは,各専門職が自身の専門分. 図 1 NST プロジェクト・ガイドラインによる NST 看護 師の役割. 野をいかし,もっとも患者に即した医療を提供する目的がある ためである。医師に頼りきりにならず,専門性を発揮した活動 が求められている。当院には言語聴覚士が存在せず,摂食嚥下 の分野は理学療法士が中心となり活動をしてきた。しかし対象. なく,患者の背景や嗜好,今後の治療方針や家族の希望などの. 患者の増加に伴い,スクリーニングとして看護師がまず介入す. 情報を看護師が聴取しておくことで,より患者に則した具体的. ることも増えている。安全に正しく判定・評価するため,理学. な栄養療法を提供することが可能となる。リハビリに関してい. 療法士がマニュアル作成や看護師対象の研修会を数回開催し,. えば,PT によるリハビリ内容を把握し,その能力を患者の日. 手技を指導している。また,先に述べた NST 合宿では,摂食. 常生活に活かすように看護展開をするのが理想である。. 嚥下の分野はもちろん,栄養学の基礎の分野も幅広く担当し講. 一般的に,急性期病院では救命することが最優先であり,今. 師を務めている。専門性を発揮した活動は,患者だけでなく,. すぐ命に影響を与えにくいと思われている栄養の分野は後回し. チームメンバーにも大きな影響を与える。. にされがちである。超急性期の栄養療法は大変重要であること はすでに知られているが,なかなか実施できてはいない。看護. めざすチーム医療. 師のみでなく,医師など多職種の栄養療法の関心を高めていく. チーム医療が大事といっても,形だけのカンファレンスや回. 必要がある。. 診では意味がなく,自分の業務が最優先,面倒なことには目を. 理学療法士と NST. つぶる,ではチーム医療は成り立たない。個々が“自分がやら ねば”という意識をもち行動することが大事なのではないだろ. 恵まれていることに,当院の NST は設立時より理学療法士. うか。それらの活動の支えにあるのは,知識であり,知識の向. がチームメンバーとして活躍し,特に,平成 24 年度から 3 年. 上がなければ,患者のサポートは不完全で,自分の専門性も発. 間はチームリーダーを理学療法士が務めている。NST の中心に. 揮することはできない。. 理学療法士が存在し,リハビリテーションと栄養は離せない分. 多職種が集まったチームでは,一人ひとりが各チームで培っ. 野として考えられてきた。一般的には,NST に理学療法士が参. た専門的知識を所属部署に持ち帰り,スタッフ全体のレベルの. 画していることはまだまだ少ないようであるが,栄養療法にお. 底上げを行い,多くの専門知識の裾野を広げていく作業が繰り. ける理学療法士の役割は重要である。すでに低栄養に陥ってい. 返される。メンバー各々が専門的視点をもち,患者とかかわる. る患者に不適切なリハビリテーションを提供しても十分な効果. ことで,必要なときにタイミングを逃すことなく,他(多)職. が得られないばかりか,逆効果となり患者に不利益となる場合. 種へアプローチができる。各施設によりその体系は異なるであ. がある。リハビリテーション対象としてオーダーがでた患者の. ろうが,患者中心で質の高い医療が提供できることが大切なの. 中には,栄養障害の患者も多く存在する。リハ栄養の重要性は. ではないだろうか。. もちろん,栄養評価の方法や低栄養・サルコぺニアに対する運 動と栄養の関係など,ぜひとも理学療法士が中心となり,チー. NST が全国的に普及し,その活動内容も変革してきた。全. ムに反映させて患者に最適な栄養療法が提供できるようにして. 国的に,まずは NST を広めようとしていた立ち上げ当初と. いただきたい。また,肺気腫など慢性閉塞性肺疾患(Chronic. は違い,現在は NST 活動の質が問われている。重要なのは,. obstructive pulmonary disease:COPD)の患者では,禁煙や. NST をすることではなく,患者のための栄養管理をどのよう. 薬・呼吸方法・排痰方法・適切な運動・栄養療法など,多方面. に NST でするかということである。チームのための活動では. から改善を試み管理していく「包括的呼吸リハビリテーショ. なく,患者のための栄養療法提供をめざした看護実践が要求さ. ン」の提供は有用である。理学療法士が急性期リハ栄養を行う. れている。理学療法士も同様であり,運動療法を実施するうえ. ことで,その後の生活・ADL に多大な影響を与え,慢性期・. で基本的な栄養療法やときには専門性の高い栄養療法の提供が. 回復期につなぐために重要なポイントとなる。さらに低栄養が. 求められる。多くの理学療法士にも,運動と栄養を連携したこ. ADL やリハの帰結に影響を与える。私たち NST は栄養療法の. とによって QOL 向上につながる症例を経験してほしい。. 方面から患者を観察しているが,リハビリと栄養は切って考え ることはできず,けっして栄養療法だけではうまくいかない。 患者・家族にとっても,NST にとっても,栄養療法を習得して いる理学療法士は,大変頼もしいチームメンバーといえる。. 文 献 1) 日本静脈経腸栄養学会 NST プロジェクト実行委員会(編):NST プロジェクトガイドライン.医歯薬出版,東京,2001,p. 32..
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