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山形鋼筋かい端接合部の背面付加材による乾式補強

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Academic year: 2021

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(1)

山形鋼筋かい端接合部の背面付加材による乾式補強

梶間夏美

1)

、吉敷祥- 2 )

、薩川

- 3 ) 1)学 生 会 員 東京工業大学大学院修士課程、 学士(工学) e-mail

ima.0624@伊lai.lcom 2)正会 員 東京工業大学未来産業技術研究所、 准教授博士(工学) e-mail:k凶[email protected]

j

.

p 3)非 会 員 愛 知 工 業 大 学 工 学 部 建 築 学 科 、 教授博士(工学) e-mail:k剖 [email protected]

j

.

p 要 約 高い耐震性能が要求される屋内運動場のような低層建築物では、山形鋼筋かいが耐震要素と して広く使用されている。しかし、新耐震設計法以前の山形鋼筋かいは接合部の耐力が不足 しているため、近年の地震被害調査でも山形鋼筋かい端接合部の破断被害が多く報告されて いる。耐震補強の早急な実施普及のためには、簡便かっ有効な補強が必要となる。本論では 高力ボルト接合のみを用いた乾式の補強方法を提案し、実験からその補強効果を確認した。 また、本論で提案した補強方法は概ね保有耐力接合を満たす程度の十分な補強効果が得られ た。 キーワード: 山 形 鋼、耐震補強、高力ボルト、保有耐力接合

1

はじめに 屋内運動場のような低層建築物は、災害時に避難所として使用されるため、高い耐震性能を確保する 必要がある。筋かいは主要な耐震要素の一つで、あり、特に山形鋼筋かいはこの種の建築物に広く使用さ れている。筋かいの耐震性能を確保するためには軸部降伏耐力を発揮するまで接合部を破断させない保 有耐力接合を施す必要がある九しかし、新耐震設計法以前の山形鋼筋かいは無効突出脚部分を有効断面 積に算入しているため、接合部の耐力が不足しており、近年の地震被害調査では山形鋼筋かい端接合部 の破断被害が多く報告されている九したがって、耐震補強の早急な実施普及が必要であり、その促進に は簡便かっ効果的な補強方法が求められている。

2

補強概要 これまでに隅肉溶接の付加による補強川こおいて、突出脚側に溶接補強を行うことで十分な耐力上昇(補 強効果)が得られることが分かつている。しかし、溶接補強は火気の使用による危険性に加え、施工品質 の確保が難しいといった問題がある。本研究では溶接を使用せずに、高力ボ、/レト接合のみを用いた乾式 の補強方法を提案し、その効果と設計法を検討する。 本研究で提案する

2

種類の補強法を図

1

に、接合部各部の名称の定義と補強概念を図

2

に示す。図

1

(a)

(2)

正面 側面 (a)並列タイプ スベーサー 価 プ イ タ せ わ ム 口 背 似 W 面 正 図

1

提案する補強方法 既存ボルト 連結ボルト 正面

L o

.o

G

ブ 戸

=

-

=

-既存ボルト 連結ボルト 正面

L│

且 置 且 量

a

T

l

-

J

ー)

補強材を介して応力を伝達 側面 (a)Sパターン 図

2

に示す並列タイプは、補強材と既存材の突出脚側を接合することで突出脚の拘束による有効突出脚部の 増大を図るとともに、突出脚部から補強材に応力を伝達することで既存材の応力負担を低減して耐力上 昇を図る。 図1(b)に示す背合わせタイプは、文献4)を援用し、既存材の背面にスベーサーを介して補強 材を取り付けて2面摩擦とする。こちらも背面から補強材に応力を伝達することで既存材の応力負担を 低減して耐力上昇を図る。本論では、並列タイプを対象とした前報5)に引き続き、背合わせタイプの補強 方法を対象とした実験を行い、その効果を把握する。 背合わせタイプの補強方法は、Sパターンと0パターンの2種類が考えられ、どちらも補強材を介して 応力を伝達している。図

2

(a)の

S

パターンは既存材と補強材の応力を既存ボ、ルトだけでガセットプレー トに伝達するのに対して、 図2(b)のOパターンは既存材と補強材の応力を既存ボ、ルトと補強ボ、ルトに分 散してガセットプレートに伝達し、ガセットプレートの応力集中を避ける。また、 Sパターンは既存ボ、/レ トを取り外して補強を行うのに対して、0パターンは既存ボ、ルトを取り外さなくても補強可能である。た だし、 0パターンはガセットプレート後方に補強ボルトを追加するためその分材長が長くなる。 3. 実験計画

3

.

1

載荷計画 試験体のセットアップを図3に示す。試験体はブレース材軸方向を縦向きに設置し、試験機とは上部 治具と下部治具を介して接続する。載荷は試験体の上部に引張力を与える単調載荷とし、接合部に破断 今 中

7

4

(3)

が確認できるまで、載荷を行った。 載荷中、荷重Pはオートグラフに内蔵されたロード、セルにより計測した。また、接合部変形δは、反 力床から接合部とガセットプレートの絶対変位を計測し、両者の差分から算出した。

3

.

2

試験体とパラーメーター 試験体の概要を図 4に、試験体接合部の詳細を図 5に示す。さらに山形鋼とガセットプレートのJIS-5 号試験片による材料試験結果を表

1

、試験体一覧と接合部耐力の計算値を表

2

に示す。試験体は山形鋼 (L75x6)の両端部にガセットプレート (SS400t=6)を高力ボ、ルト摩擦接合したもので、ボ、ルトはナット回 転法によって締め付け、摩擦面は黒皮のままとした。また、いずれの試験体も補強材と既存材には同一 ロットの山形鋼を使用している。接合部のボ、/レトピッチは60m mとし、端あき距離は 40mmを基本とし、 A-3 (無補強)のみ 30mmとした。また、補強材聞の距離を300mm、最後尾の既存ボ、ルト位置のガセットプ レートの板幅を 160m mとし、 3本ボ、/レト以上の板幅長さを確保し上下部接合部をともに試験対象とした。 また、試験体は比較用の無補強と、文献4)の試験体も含めた計6体とし、既存ボ、ルトと連結ボルト、 補 強ボノレトの本数と補強材の長さをパラメーターとした。 連結ボ、ノレトの本数に関しては、既存ボノレトが2本のS-2と0-2の試験体では3本とし、既存ボ、ルトが3 本の S-3と0-3の試験体は2本とした。これはボルト 5本で規定される突出脚有効率が保有耐力接合の条 件を満足するためであり、既存ボルトと連結ボルトの合計本数が5本となるように連結ボルトの本数を 決めた。 また補強ボルトの本数に関しては、Sパターンで、は補強ボルトを取り付けないため、ガセットプレート のボ、ルト本数が変化せず、さらに2章で想定したガセットプレートへの過大な応力集中のため、耐力の 確保が難しい。したがって、ガセットプレートの耐力についても検討するためにプレートの厚さを 6mm オートグラフ オートグラフ 反力床 正面 側面 図3 セットアップ 表

1

材料試験結果

~

鋼種 σy σ u YR [N/lllln2] [N/凹n2] [%] L75x6 316 440 72 PL-6 SS400 276 407 68 PL-9 284 422 67 使用試験片:nS-5号試験片

c

r

降 伏 点 0;,・引張強さ,YR:降 伏 比 e "u・破断伸び

-

3

-e"u [%] 36 40 45 dS.6 d3.4 d7.8

(4)

とし、ガセットプレートで破断するように設計した。 0パターンは補強ボ、ルトの本数を0-2は3本、 0-3は2本とした。これは連結ボ、ルトの本数分の応力を ガセットプレートに伝達する必要があるため、補強ボ、ルトと連結ボ、ルトのボ、ノレト本数は同数とした。ガ セットプレートのボノレト本数は 0-2と0-3し、ずれも5本に増加するため、ガセットプレートの耐力も上昇 すると考えられ、 Sパターンと比較するためプレートの厚さを 6mmとした。 文献4)の補強ノ号ターンは、 Sパターンと同様に既存材の前方に連結ボノレトを追加して補強材を既存ボ ルトと連結ボルトで接合している。また、ガセットプレートの厚さは 9mmとし、補強材はプレートとし ガセットプレート 1='6 (SS400) 試験体 接合部 300 1360 正面 既存材 試 験体 接合部 スペーサー PL-6 (SS4曲)

|… ;rR/~

1011 ~ 10 補強材 L7 5 X 6 (SS400) 側面 正面 スペーサー スベーサー 側面 (a)Sパターン (b) 0パターン 図

4

試験体の概要 40 40 ---、』 40 40 40 @60 90 60 40 40 60 90 @ 60 40 40 60 90 @ 60 90 60 40 40@60 90 60 90 @ 60 40 正面

n

量 言 言 語 │

H

旦言旦言 且害且曹且曹│

~nWJ詩書 H|

~

) 曹曹日 且里│且吉亘白 色園且田且園│ 側面 (a)S-3 (b) S-2 (c)0-3 (d) 0-2 図

5

試験体接合部の詳細 表

2

試験体一覧と接合部耐力の計算値 既 存 の 接 合 部構成 補 強 の 接 合 部構成 ",Pu[kN] 試 験 体 有 効 断 面 は し ぬ け 破 断 断面 ボ ル ト ガセット 断面 連結ボノレト 補強ボ‘ノレト 筋 か い ガセット 筋 か い ガセット プレート プレート プレート A-3 L75x6 3-M16 t=c9 237 477 238 475 S-3 3-M16 3-M16 287 318 317 L75x6 t~6 L75x6 528 S-2 2-M16 2-M16 287 135 211 0-3 3-M16 2-M16 2-M16 L75x6 t~6 L75x6 287 776 528 0-2 2-M16 3-M16 3-M16 文献4) L75x6 3-M16 t=c9 PL-6 2-M16 287 477 528 475

-4-76

(5)

有効断面破断 はしぬけ破断 300

P [位ぜ] 275kN 221kN 200 200 100 100 ゑ補強 (a)S-3

δ[mrnl d[mrnl

10 20 30

10 20 30

l

?

?

(b)S-2 (a)S-3 (b)S-2

¥

-

-

-

-

-

-

-

-

-

-

有効断而破断 有効断而破断 己主号~:I@I@I@lli@l@li 300

P rkNl 284kN 300寸 PfkNl 280kN 200十万 ~ ¥ ¥ 200 100斗r 1'*輔j藍, 100 d[mrnl δ[mrnl 10 20 30

10 20 30 / 門 白 門 ld 白 白d d ¥

T

f

- F - t

(d) 0-2 (c)0-3 (d)0-2 図6 接合部の荷重一変形関係と載荷後の様子 表3 実験結果一覧 calPU [kN] 試 験 体 有 効 断 面 はしぬけ破 断 expPu yexp 破 壊 形 式 破 壊 位 置 ガセット ガセット 凹河 [ー] 筋かい プレート 筋かい プレート A-3 237 477 238 475 225 0.46 有 効 断 面 破 断 第一既存ボルト S-3 287 318 317 275 0.71 有 効 断 面 破 断 第一連結ボルト 528 S-2 287 135 211 221 0.44 はしぬけ破断 ガセットプレート 0-3 284 0.76 287 776 528 有 効 断 面 破 断 第一連結ボルト 0-2 280 0.74 文献4) 287 477 528 475 283 0.75 有 効 断 面 破 断 第一連結ボルト

-5

(6)

-ている。補強材をプレート(PL-6)としており、アングルに比べて面外剛性や偏心が大きく影響するもの と考えられる。

4

実験結果と考察 4. 1 荷重一変形関係と破断状況 実験より得られた接合部の荷重変形関係と載荷後の様子を図6に示し、これら実験結果を表3にまと める。図6中、第一連結ボ、/レトにおける有効断面破断を・、ガセットプレートにおけるはしぬけ破断を ・にて示す。なお、高力ボノレトのすべりが発生した部分を図から削除し、初期すべり発生点を

O

で示し ている。また、図中の灰色線はA-3(既存ボノレト3本の無補強)の試験体であり、補強の有無による耐力の 差を確認している。以下にパラメーターごとの試験体の結果と考察を示す。 Sパターンの最大耐力については、 A-3(既存ボ、/レト3本の無補強)が225kNで、あったのに対して、 S-3で 275kN、 S-2で221kNとなった。S-3は無補強から 50kN(22%)耐力上昇したが、 S-2は4kN無補強時を下 回っている。破壊形式は無補強は第一既存ボ、ルトから亀裂が発生し破断に至ったが、補強を施したら3は 第一連結ボ、/レトから亀裂が発生し破断に至った。一方、S-3と同様の補強を施したS-2は、ガセットプレー トのはしぬけ破断に至り、 S-2の最大耐力は既存ボ、ルトの本数分のはしぬけ破断耐力と同程度であった。 また、計算値ではガセットプレートの有効断面破断耐力のほうがガセットプレートのはしぬけ破断耐力 より小さかったが、後者の破断形式で、最大耐力に至った。これは、応力が板幅長さまで広がり有効断面 が増加したためと考えられる。Sパターンはガセットプレートのはしぬけ破断耐力に対しては補強効果が 得られないと言える。 0パターンの最大耐力については、 0-3で284kN、 0-2で280kNとなり、それぞれ無補強からの耐力上 昇は0-3は59kN(26%)、0-2は55kN(24%)である。破壊形式は0-3、0-2のいずれも第一連結ボ、ルトから 亀裂が発生して破断に至った。既存ボ、ルトの本数に関係なく同程度の耐力上昇による補強効果が得られ た。また、 Sパターンと比べても同程度の補強効果が得られた。 さらに文献4)の試験体における最大耐力は283kNとなり、無補強からの耐力上昇は58kN(26%)である。 l.0下 y[-] 0.9

d

l

1

1

卜 ・ 二・1;t

LJ

や 図

7

無補強山形鋼における有効断面 保有耐力接合を満たす 0.8 --1 -0.7上一一一一一一一一一一一 .一一一一一一一一一一・一一一一一・一一一一一・一一一一一一 5本 ~4 本 0.6 0.5 0.4 3本

.

0.3--l一 一2本 0.2 --l 0.1 0.0 A-3 S-3 S-2 0-3 0-2 文献4) 図8 突出脚有効率とその必要値の比較 -6 -78

(7)

破壊形式は第一連結ボ、ルトに亀裂が発生して破断に至っている。こちらもS-2を除いた他の試験体と同程 度の補強効果が得られたことから、補強材の形状は最大耐力への影響が小さいと言える。 4. 2 突出脚有効率による保有耐力接合の検討 最後に、保有耐力接合の条件について検討する。突出脚有効率の算出は等辺山形断面を対象として、図

7

に示す簡略化された形状にて行う。実験より得られた突出脚有効率を、その必要値と併せて図

8

に示す。 図中の実験結果に対する表現は図6と同様である。また、鋼構造接合部設計指針1)のボノレト本数で規定さ れる突出脚有効率を破線で示す。 ここで保有耐力接合を満たすのに必要な突出脚有効率は、保有耐力接合の条件式を突出脚有効率につ いて整理することで得られる3)。 yと(α・印Fーl)(2- L)+(l-fl) ・・・(1) d' , d ここで、 YRF:鋼材の基準強度の降伏比 α :接合部係数(1.2) また、突出脚有効率の実験値y"xpは、最大耐力P11を次式を用いて変換することで得られる。

P

U

・103 _

o

p=一一一一一

(

1

-

T.一一) ・・・ (2) σu.t.d ' d d 本実験結果では、 A-3(無補強)とS-2の試験体を除く、連結ボ、/レトで有効断面破断した試験体が保有耐 力接合を満たす結果となった。なお、 S-2の試験体については必要な突出脚有効率まで上昇する前に、ガ セットプレートではしぬけ破断したため保有耐力接合を満たさなかったと考えられる。また、既存ボノレ トの本数に関係なく必要な保有耐力接合を満たすことから、保有耐力接合の条件を満たすには追加した ボルトを含めた既存材のボ、ルト本数を5本にしておく必要があると言える。

5

.

まとめ 本研究では山形鋼筋かいに対して乾式の補強方法を提案し、補強効果を載荷実験により確認した。本 実験で得られた結果を以下にまとめる。 [l]Sパターンについては、ガセットプレートのはしぬけ破断耐力に対する補強効果を得られなかった。 [2]補強を施すことで、既存ボルトと連結ボルトの合計本数で規定される突出脚有効率が得られる。 [3]Sパターンにおける補強材の形状は、最大耐力への影響が小さい。 謝 辞 本研究は日本鋼構造協会平成28年度鋼構造研究助成事業による成果です。ここに記して謝意を表 します。 参考文献 1 )日本建築学会.鋼構造接合部設計指針, 2012 2)伊山潤ほか:東北太平洋沖地震等による鉄骨造文教施設鉛直ブレースの震動被害,日本建築学会技 術報告集,第19巻,第41号, pp.153-158, 2013.2 3)吉敷祥一,河野由佳:山形鋼高力ボ、ルト接合部に対する隅肉溶接の付加による補強,日本建築学会 構造系論文集,第719号,pp.1l1-121, 2016.1 4)石井大吾ほか:引張ブレース接合部の火無し耐震補強工法の提案,日本建築学会大会学術講演梗概 集, pp.743-744, 2016.8 5)梶間夏美ほか:山形鋼筋かい端接合部に対する乾式補強に関する実験,関東支部研究報告集 ,2017.3

-

7

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