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Academic year: 2021

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(1)

野球の試合結果と株式収益率の関係

~試合結果が株価変動に与える影響について統計的分析~

九州大学経済学部 内田ゼミ 有木 健人 宮崎 勝利

(2)

目次

• 研究背景 • 研究目的 • 分析対象と考察概要 • 仮説 • 使用データと分析方法 • 分析 • 結論

(3)

はじめに

• 企業はテレビや新聞、雑誌、インターネットなど様々な情報伝達媒体に広告をだして おり、それを広告費として計上している。 • 日本において広告は企業価値を高めるという先行研究がある。(田中他(2010)) – 分析対象である2007年3月末の企業価値と一年間の広告関連費用の間に統計的に有意 な正の相関があることが示唆されている。 – 広告は費用としての認識だけではなくブランドの構築というプラスの効果がある。

(4)

スポーツとブランド構築

• プロスポーツチームはオフィシャルスポンサーに対してブランド認知効果が示 されている。(藤本(2007) ) – この研究ではサッカーを用いた日本における企業の認知度の変化について分析を行っ ている。 – 同業種間比較においてブランド認知向上効果が確認されている。 • すなわちスポーツには企業の広告としての役割があり企業価値に影響を与え ると推測される。

(5)

スポーツの特性

• スポーツはニュース等で試合結果が報道される機会が多い。

• またどのスポーツにおいても優勝が持つ意味はとても大きく、そのため日々 の勝敗は企業価値に何らかの影響があると考えられる。

(6)

プロ野球についての分析

• 私たちはスポーツの中でも特にプロ野球について取り上げ分析を行ってい く。理由は三点。 – 中央調査社による第26回「人気スポーツ」調査(2018)によると人気プロスポ ーツランキングの一位がプロ野球であったため。 – 試合数が多く、サンプルの確保が容易であったため。 – 知名度が高く、報道の機会も多いため。

(7)

目次

• 研究背景 • 研究目的 • 分析対象と考察概要 • 仮説 • 使用データと分析方法 • 分析 • 結論

(8)

目的

• プロ野球の試合結果は株価にどのような影響を与えるのか、統計的な分析 を通じて検証していく。

(9)

目次

• 研究背景 • 研究目的 • 分析対象と考察概要 • 仮説 • 使用データと分析方法 • 分析 • 結論

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分析対象

• プロ野球球団のうち親会社が明確でかつ上場している企業について分析をおこな う。 • 対象は8球団:西武、ソフトバンク、日本ハム、オリックス、楽天、ヤクルト、DeNA、 阪神 – 西武HDについては分析期間中に再上場(2014.4.23)を行っているためデータに含ま れていない期間が存在する。 – ロッテ、読売新聞社、中日新聞社については上場を行っていないため分析の対象外。 広島については親会社が存在しないとされているため同じく分析を行っていない。

(11)

分析概要

• 2013年から2017年の日時株式収益率データ及び試合結果のデータを分 析し、勝敗により超過収益率が発生するか分析をおこなう。 • 効率的市場仮説に基づき、株価は前日の試合結果に影響をうけると仮定 する。(スポーツの試合結果は最新のものが重要であるため) – 試合結果が確定するのは株式市場での取引終了後のため、試合当日の株価は影響 をうけないと考えられる。 • 異常収益率が観測された場合、それにどのような特徴があるのか分析をお こなう。

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目次

• 研究背景 • 研究目的 • 分析対象と考察概要 • 仮説 • 使用データと分析方法 • 分析結果 • 結論

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仮説

• ①「プロ野球の試合において勝利した場合、翌日の株価に正の影響を与える」 • ②「プロ野球の試合において敗北した場合、翌日の株価に負の影響を与える」 • 理由 • →勝利を積み重ね、シーズンの優勝を勝ち取ることが親会社において広告効 果を一番得ることのできる方法であると考えられ、敗北は優勝から遠ざかるも のであるため。

(14)

目次

• 研究背景 • 研究目的 • 分析対象と考察概要 • 仮説 • 使用データと分析方法 • 分析結果 • 結論

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サンプルとデータ

• プロ野球の試合のデータ:npb公式サイト(2013~2017の5年間 対象試合 541) • 日次株価データ:NPMデータ • Book-to-Market:日経Cgesデータ 後述のレファレンスポートフォリオ作成に使用

• Fama-French ファクターリターン:Kenneth French web-site 後述のカレンダータイムポートフォリオ回帰に使用

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超過リターンの分析方法

①レファレンスポートフォリオを用いた超過リターン分析

– 超過リターン=株式リターン-レファレンスポートフォリオリターン 今回の株式リターンはwinner portfolio 、loser portfolioを用いる。

分析期間のサンプル企業のパフォーマンスのベンチマークとして、上場全銘柄の日次株 式収益率データ、株式総額及び簿価時価比率(以降B/M)を用いてレファレンスポートフ ォリオを作成する。(鄭 (2007))

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超過リターンの分析方法

規模 B/M 12 3 4 51 低 11グルー プ ヤクルト 2 日本ハム 西武 DeNA Softbank 楽天 3 阪神 4 オリックス 5 高 15グ ループ Winner超過リターン =(西武リターン-52グループ平均リターン +Softbankリターン-52グループ平均リターン +阪神リターン-53グループ平均リターン) ÷Winner数 Loser超過リターン =(ヤクルトリターン-51グループ平均リターン +日本ハムリターン-52グループ平均リターン +DeNAリターン-52グループ平均リターン +楽天リターン-52グループ平均リターン +オリックスリターン-54グループ平均リターン) ÷Loser数 注: 赤字は勝利チーム (winner portfolio) 黒字は敗北チーム (loser portfolio)

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超過リターンの分析方法

②カレンダータイムポートフォリオ回帰 – 先行研究で日本市場での最もバイアスの少ない測定方法として確認されている(山崎 山口 (2011)) – 3ファクターモデルで調整した時の回帰分析 𝑅𝑝𝑑-𝑅𝑓𝑑=𝛼𝑑+𝛽𝑝(𝑅𝑚𝑑-𝑅𝑓𝑑)+𝑆𝑝(𝑆𝑀𝐵𝑑)+𝐻𝑝(𝐻𝑀𝐿𝑑)+𝜀𝑝𝑑 𝑅𝑝𝑑はポートフォリオのd日の日次収益率である。𝑅𝑚𝑑はTOPIXの日次収益率 を用い、安全資産収益率(𝑅𝑓𝑑)はd日時点のコール・レートを用いている。 𝑆𝑀𝐵𝑑は小型株ポートフォリオと大型株ポートフォリオの日次収益率の差であり、 𝐻𝑀𝐿𝑑は高B/Mポートフォリオと低B/Mポートフォリオの日次収益率の差である。

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目次

• 研究背景 • 研究目的 • 分析対象とポートフォリオ • 仮説 • 使用データと分析方法 • 分析結果 • 結論

(20)

全チームの結果

• レファレンスポートフォリオを用いた分析結果 ポートフォリオ 平均(%) T値 メディアン(%) Z値 N Winner 0.004 0.094 -0.015 -0.798 541 Loser -0.015 -0.371 -0.038 -1.114 541 Winner-Loser 0.020 0.323 0.001 0.834 541 平均、メディアンについては日次平均異常収益率 (%) 例えばWinner については一日0.004%の異常収益率があった。

(21)

カレンダータイムポートフォリオ回帰

ポートフォリ オ MKTRF SMB HML α R-sq N Winner 0.926 -0.447 -0.441 0.029 0.456 541 18.83 -4.17 -3.76 0.54 Loser 0.933 -0.347 -0.578 -0.008 0.491 541 20.45 -3.49 -5.31 -0.16 Winner-Loser -0.006 -0.099 0.137 0.377 0.001 541 -0.11 -0.79 1 0.59 全チームの勝敗データは株式リターンにほとんど影響を与えない

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考察

• 全チームの分析結果では有意な結果が得られなかった。 何故か? →広告宣伝効果が一番あるといえるのは優勝あるいはそれに準じた成績を 収めることであると考えられる。 →勝率の低い球団は優勝から遠ざかっていると考えられるため、勝敗が株価 に与える影響は小さいと仮定。 →勝率による分類が必要。

(23)

勝率による分類

ここでは簡単のため勝率5割以上の球団とそれ未満の球団に分割してポート フォリオを作成し、それぞれの特徴について分析を行った。

(24)

勝率5割以上のチームの結果

• レファレンスポートフォリオを用いた分析結果

ポートフォリオ 平均(%) T値 メディアン(%) Z値 N

Winner 0.005 0.111 -0.034 -0.749 494 Loser -0.048 -0.865 -0.736 -1.252 479

(25)

勝率5割以上のカレンダータイムポートフォリオ

ポートフォリ オ MKTRF SMB HML α R-sq N Winner 0.917 -0.566 -0.622 0.040 0.465 497 17.69 -5.18 -5.07 0.70 Loser 0.884 -0.383 -0.623 -0.037 0.410 485 15.89 -3.30 -4.77 -0.62 勝率の条件を加えても有意なものは確認されなかった。

(26)

勝敗の与える影響が大きくなる要因

• 勝率の他に勝敗の与える影響が大きくする要因⇒残り試合数 • 優勝直前となると普段スポーツを見ない層からの注目が集まる可能性があ り、より大きな広告効果が期待できる。 • →シーズン序盤の勝敗は投資家が判断する優勝確率にそれほど影響しな い可能性がある。 • 残り試合数が少なくなり優勝争いが佳境を迎える9月は勝敗が与える影響 が大きくなるのでは?⇒勝率5割以上のチームの9月の分析

(27)

勝率5割以上のチームの結果(9月)

• レファレンスポートフォリオを用いた分析結果 ポートフォリオ 平均(%) T値 メディアン(%) Z値 N Winner -0.177 -1.262 -0.185 -1.657 79 Loser -0.353 -3.2391*** -0.377 -3.146 83 *** 1%有意

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勝率5割以上のカレンダータイムポートフォリオ回帰(9月)

ポートフォリ オ MKTRF (%) SMB(%) HML(%) α(%) R-sq N Winner 0.759 -0.605 -0.325 0.015 0.456 79 5.25 -1.89 -0.84 0.11 Loser 0.906 -0.338 -0.682 -0.247 0.584 83 7.52 -1.25 -2.18 -2.17** ** 5%有意

(29)

目次

• 研究背景 • 研究目的 • 分析対象と考察概要 • 仮説 • 使用データと分析方法 • 分析結果 • 結論

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分析からわかること

• プロ野球の試合結果は勝率五割以上の球団が9月に負けた場合、有意に 負の影響を与える。 • ※そのほかの月についても同様の分析を行ったがいずれの月に関しても 有意な結果を得ることができなかった。同様に勝率5割未満のものについて も分析を行ったが有意な結果は得られなかった。

(31)

仮説検証

• ①「プロ野球の試合において勝利した場合、翌日の株価に正の影響を与える」 • →今回の検証では有意な結果は得られなかった。

• ②「プロ野球の試合において敗北した場合、翌日の株価に負の影響を与える」 • →今回の検証で有意な結果を得ることができた。

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結論

• 広告宣伝効果はある条件に基づくと存在する。 • →株価と野球の試合結果に関して、勝利した場合のプラスの効果は見られ なかったが、敗北した場合のマイナスの効果はシーズン終盤の比較的勝率 の高い球団において観測された。 • そのため毎日の試合結果で株式価値が大きく変化することはないが、優勝 が期待される球団において重要な局面における敗北の持つ株式に対する 影響力は大きい。

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原因分析

• 試合結果について過敏に反応してくるのは9月。すなわち最終順位確定直前 である。 • また勝率5割以上の条件についてはCS争いや優勝争いなどプロ野球特有の 性質がかかわっており、その試合結果を株価に反映させやすい可能性があ る。 • 開幕前に、株価に順位予想結果が反映されていると考えると、試合に敗北し たことによる損失のほうが勝利によるメリットより大きいと考えられる。

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今後の課題

• より長期間でかつ日時ごとの順位やゲーム差といった情報についても考慮 していく必要があるだろう。

• 前項株価についての仮説は今回研究対象とされていない期間における仮 定に過ぎないためそれが真であるのか改めて検証する必要がある。

(35)

参考研究

• 田中秀幸・榊原理恵・佐藤訓・長野晋也・井出智明・馬渡一浩 (2010)「広告 と企業価値の関係に関する時系列分析」『日本社会情報学会全国大会研 究発表論文集』、日本社会情報学会 第25回全国大会、pp. 427-430。 • 藤本淳也(2007)「スポーツ・スポンサーシップ効果に関する研究」『大阪体 育大学紀要』 第38巻、pp.1-10。 • 鄭 義哲(2007)「研究開発投資と株式収益率」『経営財務研究』第25巻第1 号、pp.2-15。 • 山﨑尚志・山口聖(2011)「わが国株式市場における株価の長期パフォーマ ンスの測定方法の評価―BHAR法とCTP法の検証― 」『神戸大学経営学研 究科Discussion paper』。

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参照

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