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164 章血管炎 紫斑 その他の脈管疾患 表皮 A-2 B-3 真皮 A-1 B-2 A-1: 皮膚白血球破砕性血管炎 A-2:IgA 血管炎 B-1: 結節性多発動脈炎 B-2: 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 B-3: 多発血管炎性肉芽腫症 皮下組織 B-1 図.2 炎症の主座となる血管の深さと血

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.皮膚白血球破

さ い

性血管炎 

cutaneous leukocytoclastic angiitis;CLA

類義語:皮膚小血管性血管炎(cutaneous small vessel vasculitis;

CSVV),cutaneous leukocytoclastic vasculitis,白血球破砕性

血管炎(leukocytoclastic vasculitis),壊え し死性血管炎(necrotizing

vasculitis),皮膚アレルギー性血管炎(cutaneous allergic

vas-culitis),過敏性血管炎(hypersensitivity vasculitis)

●好中球の皮膚小血管周囲への細胞浸潤を特徴とし,症状が皮 膚に限局するもの. ●血管炎の生じる深さによって,紅斑や紫斑,丘疹,水疱,潰 瘍などさまざまな臨床像を呈する(図 11.1). 定義 皮膚白血球破砕性血管炎は,真皮の小血管(毛細血管および 細動静脈)に血管炎が生じたもの(図 11.2)であり,全身の 血管炎症状はなく皮膚に限局しているものをさす.ただし,特 徴的な症状を呈する蕁麻疹様血管炎など(後述)は含めない.

血管炎 

vasculitis

A.小血管の血管炎 vasculitis in small vessels

図 11.1① 皮膚白血球破砕性血管炎(cutaneous leu-kocytoclastic angiitis 紫斑,丘疹,結節,膿疱が混在する局面.疼痛を伴う. 血管炎はその炎症の主座となる動・静脈径,およびその皮膚における深度より数種類に大別されている(図 11.2参照).皮膚の血管炎では臨床的に紫斑や潰瘍を形成することが多く,紫斑の出現によって重篤な全身性の 血管炎の早期発見にもつながる場合があるため,皮膚科医の果たす役割は重要である. 紫斑は,真皮ないし皮下組織への出血により,外見上赤紫色の皮膚変化をきたしたものの総称で,その出血の 大きさから点状出血(petechia;直径 2 mm 程度まで),斑状出血(ecchymosis;直径 10 mm 以上)などと呼 ばれる.紫斑を生じる原因としては,①血管の異常(血管炎,ないし外的刺激による損傷),②血流の異常(高 ガンマグロブリン血症など.全身性疾患に伴うことが多い),③血小板の減少や機能異常によるもの,④凝固因 子の異常によるもの,などがあげられるが,原因不明のものも少なくない.本章ではこれらの病態を呈する疾患 と,動静脈やリンパ管の循環障害による疾患について解説する.

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章 血管炎・紫斑・その他の脈管疾患

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症状 とくに両側下肢において,紫斑,蕁麻疹や多形紅斑に類似し た紅斑性病変,丘疹,結節,膿疱,水疱,びらん,潰瘍などが 生じる(図 11.1).瘙そう痒ようや疼痛を伴うことが多いが,自覚症状 に乏しいこともある.発熱・腹痛・関節痛など全身症状を伴う 場合は,全身性血管炎の可能性を考慮する. 病因 細菌やウイルス,薬剤などの抗原と抗体との反応した免疫複 合体が,細動静脈の血管壁に沈着することで血管炎を生じる (Ⅲ型アレルギー反応).外来抗原としては,ペニシリン系など の抗菌薬,各種化学物質,レンサ球菌,ウイルスなどがある. 他の膠原病や悪性腫瘍に伴う抗原も原因となりうる. 病理所見 真皮のとくに上層〜中層において血管炎を認める.血管周囲 に好中球の浸潤を認め,白血球由来の核破片〔核塵(nuclear dust)〕を伴うことが多い.また,血管が破壊された結果,血 管壁や血管内腔に好酸性物質が沈着する〔フィブリノイド変性 (fibrinoid degeneration)〕.また,血管外への赤血球漏出や血 管内皮の腫大像もみる(図 11.3).この病理所見を白血球破砕 図 11.1② 皮膚白血球破砕性血管炎(cutaneous leukocytoclastic angiitis 紫斑,紅斑,血疱,出血斑など多彩な皮膚症状を伴 う局面を呈する. 図 11.2 炎症の主座となる血管の深さと血管炎の種類 表皮 真皮 皮下組織 A-1:皮膚白血球破砕性血管炎 A-2:IgA 血管炎 B-1:結節性多発動脈炎 B-2:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 B-3:多発血管炎性肉芽腫症 A-2 A-1 B-3 B-2 B-1 皮膚小血管に生じる血管炎

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性血管炎(leukocytoclastic vasculitis)という. 検査所見 赤沈亢進,白血球増多,高ガンマグロブリン血症などがみら れる. 診断 皮膚生検所見による.病理組織学的に本症と同じ所見をとる 基礎疾患は多いので,その鑑別が重要となる. 治療・予後 薬剤,感染による場合は原因を除去する.下肢病変に対して は足の挙上や保温安静を行う.皮膚病変に対してはステロイド 外用,NSAIDs 内服や DDS が有効である.症状が強い場合は ステロイド内服も考慮する.

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.IgA 血管炎 

IgA vasculitis

同義語:Henoch-Sヘノッホ シェーンラインchönlein紫斑(Henoch-Schönlein purpura;

HSP),アナフィラクトイド紫斑(anaphylactoid purpura) ●IgA 免疫複合体が真皮上層の血管壁に沈着して発症する.一 種のⅢ型アレルギー. ●浸潤を触れる点状出血(palpable purpura)が下肢に多発する. 関節痛,腹痛,腎炎などの全身症状を伴うことがある. ●治療は安静が中心.成人では腎不全への進行に注意. 定義 両側の下腿中心に浸潤を触れる紫斑が多発し,関節痛や消化 管症状,腎炎を呈する.病理組織学的には白血球破砕性血管炎 (前項参照)であるが,そのなかでも血管壁への IgA 沈着を認 めるものをいう. 症状 小児に好発するが,成人例もみられる.頭痛,咽頭痛,感冒 図 11.1③ 皮膚白血球破砕性血管炎(cutaneous leukocytoclastic angiitis 浸潤を触れる(palpable)紫斑.深い潰瘍など,病期, 侵される血管の太さによりさまざまな皮膚症状を呈 する. 図 11.3 皮膚白血球破砕性血管炎の病理組織像 真皮上層血管壁のフィブリノイド変性,好中球を伴 う出血像.核塵(矢印)を認める.

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様症状が先行する.両側の下腿や足背を中心に,ときには大腿 〜上肢〜腹部にまで,直径数〜 10 mm 以内の浸潤を触れる (palpable)紫斑が播種状に生じる(図 11.4).水疱や潰瘍,新 旧の皮疹が混在することもある.ときに軽度の圧痛がみられる. また,足,膝,手,肘などの関節痛,疝痛様〜びまん性の腹痛 や下血などの消化管症状,糸球体腎炎を認めうる. 病因 小児では上気道感染後に発症する例が多く,レンサ球菌との 関連性が指摘されている.薬剤(ペニシリン,アスピリン), 食物(牛乳,卵)も抗原として知られる.これらの抗原が体内 の抗体(IgA 型が主体)と結合し,その免疫複合体が血管壁に 沈着,免疫反応が惹起されて血管炎や紫斑をきたす. 病理所見 真皮上層の血管壁にフィブリノイド変性を伴う白血球破砕性 血管炎の像がみられる.蛍光抗体直接法では,血管壁周囲に IgA の沈着を認める(図 11.5). 検査所見 レンサ球菌感染による場合は,ASO および ASK 値が上昇す る.ときに血液凝固第因子の低下がみられる.腎病変は予後 との関連が深いため,血尿や蛋白尿を認めた場合は注意を要す る. 鑑別診断 若年で上記の特徴を備えた紫斑をみた場合は,本症の可能性 も考えて他症状の有無について問診し,各種検査や必要に応じ て皮膚生検を施行する.血小板減少性紫斑病,結節性多発動脈 炎,抗糸球体基底膜腎炎,ウイルス感染症(papular purpuric gloves and socks syndrome),SLE などを鑑別する.とくに成 人例では顕微鏡的多発血管炎との鑑別が重要である. 治療 安静を第一とし,血管強化薬,止血薬を用いる.軽度の腹痛 には NSAIDs が有効である.症状が強い場合はステロイド内 服も考慮する.血液凝固第因子製剤の投与が効果を示すこと もある. 予後 基本的に皮疹の予後は良好で,多くは数週間のうちに消退す るが,再発することも少なくない.ときに重篤な他臓器合併症

図 11.4① IgA 血管炎(IgA vasculitis)

浸潤を触れる紫斑(palpable purpura).血疱を伴う 場合がある.

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(紫斑病性腎炎,腸出血,腸重積,腸管穿孔,脳出血)をみる. 成人例では腎不全に至るリスクが高く,注意を要する.

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.蕁麻疹様血管炎 

urticarial vasculitis 24 時間以上持続する蕁麻疹様皮疹をみた場合は本症を疑う. 蕁麻疹様あるいは多形紅斑様の皮疹を繰り返し,紫斑や色素沈 着を伴う(図 11.6).病理組織学的には真皮上層に白血球破砕 性血管炎の像を認める.本症は特発性のものと,基礎疾患(と くに SLE)を有するものがある.多くは低補体血症を伴い〔低 補体血症性蕁麻疹様血管炎(hypocomplementemic urticarial vasculitis) 〕,関節痛や腹痛,腎症などの他臓器症状を呈する 場合もある.

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.持久性隆起性紅斑 

erythema elevatum diutinum;EED

中年以降の男女に好発し,肘や膝などの関節伸側に対称性に 出現する.最初は軽度隆起した赤紫色の局面であるが,次第に 線維化をきたしケロイド状となる.まれに水疱や潰瘍を形成す ることもある(図 11.7).関節炎を伴うこともある.病理組織 学的に白血球破砕性血管炎がみられる.自覚症状はほとんどな く慢性に経過する.血液疾患(とくに単クローン性 IgA 血症) などを合併することがある.治療は DDS が有効である.

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.顔面肉

に く

腫 

granuloma faciale 顔面に境界明瞭な紅褐色の局面や小結節を呈する(図 11.8). 日光曝露が関与するとされるが原因不明である.病理組織学的 に肉芽腫はみられず,白血球破砕性血管炎の像を呈する.色素 レーザー療法,ステロイド局所注射や DDS などが行われるが 治療抵抗性である.

図 11.4② IgA 血管炎(IgA vasculitis)

図 11.5 IgA 血管炎の蛍光抗体直接法

病変部の真皮上層の血管壁に IgA が沈着している.

図 11.6 蕁麻疹様血管炎(urticarial vasculitis)

紫斑を伴う紅斑が多発しており,膨疹を伴っている.

図 11.1① 皮膚白血球破砕性血管炎( cutaneous leu- leu-kocytoclastic angiitis ) 紫斑,丘疹,結節,膿疱が混在する局面.疼痛を伴う.血管炎はその炎症の主座となる動・静脈径,およびその皮膚における深度より数種類に大別されている(図11.2参照).皮膚の血管炎では臨床的に紫斑や潰瘍を形成することが多く,紫斑の出現によって重篤な全身性の血管炎の早期発見にもつながる場合があるため,皮膚科医の果たす役割は重要である.紫斑は,真皮ないし皮下組織への出血により,外見上赤紫色
図 11.5 IgA 血管炎の蛍光抗体直接法

参照

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