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下咽頭癌と咽喉頭異常感の検討

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Academic year: 2021

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Title

下咽頭癌と咽喉頭異常感の検討( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

稲川, 明俊

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)乙 第1199号

Issue Date

1999-03-17

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/15075

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 稲Jtl朋 俊(岐阜県)

士(医学) 乙第1199 号

平成11年

3 月17 日 学位規則第4条第2項該当

下咽頭癌と咽喉頭異常感の検討

(主査)教授 宮 田 英 雄 (副査)教授 恵 良 聖 一 教授 立 松 意 親 論 文 内 容 の 要 旨 下咽頭癌は肺癌,胃癌などと比較し発生頻度が低いため一般に認識が低く,初発症状として咽喉頑異常感をき たすことがあってもそれだけでは直ちに苦痛や日常生活に支障を来さないため,この初発症状は軽視されがちで ある。なんらかの痛みや囁下降書などの症状が出現するまで医療機関を受診しないで,初診時すでに病期Ⅲ, Ⅳの進行例が多く,早期での診断治療にいたる例はまれである。また咽喉頭異常感を訴えて早期に受診しても診 断が困難であり見落とされるといった危険がある。こういった現状により.下咽頭癌は頭頸部領域において予後 不良な疾患の一つとして手術方法や化学療法の進歩した今日においても予後の著しい改善にはいたっていない。 そこで,今回下咽頭癌の治療成績の改善の一助とするペく,当科を受診した下咽頭癌患者の病歴をレトロスペク ティプに調査し,下咽頭癌患者の初期症状としての咽喉頭異常感と確定診断にいたる経過を中心に検討した。 研究対象と方法 岐阜大学病院耳鼻咽喉科において1991年1月から1996年1月までの5年間に,初回治療を行った症例のうち確 定診断までの病歴が明確であった下咽頭扁平上皮癌31例を対象とした。 検討事項は,性差,年齢,病期,発生部位,症状,経過,特に咽喉頑異常感との関連について統計的検討を行っ た。 結果 1.性別,年齢 性別では男性21例(68%)に対し女性は10例(32%)であった。年齢は,40歳代1例(3.2%),50歳代14例 (45.2%),60歳代9例(29.0%),70歳代6例(19.4%),80歳代1例(3.2%)で,男性は50∼80歳(平均64歳), 女性は43∼69歳(平均54歳)で全体の平均は62歳であった。 2.発生部位と性別 発生部位は梨状陥凹 男11例,女3例,輪状後部 男5例,女1例,後壁 男5例,女6例であった。 3.TNM分類と病期分類 TNM分類はT1 6例,T2 9例,T3 5例,T4 11例,NO 12例,N1 6例,N211例,N 3 2例であった。病期分類では,Ⅰ期3例,Ⅱ期4例,Ⅲ期4例,Ⅳ期20例であった。 4,初発症状 主な初発症状は,咽喉頑異常感が15例,他は咽頭痛6例,嘆声4例,頚部腫瘡3例,囁下痛2例,頚部圧痛1 例であった。 5.初診時症状 初診時では咽喉頑異常感単独を主訴としての受診は4例と少なく,噴下障害・囁下宿・咽頭痛などの障害や痛 みを伴ってから受診する例が多かった。初診時での囁下障害は梨状陥凹に原発する例に多かったが,初発症状・ 初診時症状ともに発生部位による症状に特徴は認められなかった。 初発症状として咽喉頭異常感を自覚した15例の異常感の内容を調べると,異物感・つかえ感・ひっかかり感・ 痍がからむ・のどの違和感・のどの乾燥感といった比較的軽度な症状であったが,初診時ではただの異物感やひっ かかり感ではなく,囁下時痛や囁下障害といったより深刻な症状を伴っての受診であった。 6,初回受診料および経由した施設数 初回受診科として耳鼻咽喉科を受診した症例は31例中16例,内科12例,外科2例,口腔外科1例であった。 初診から診断確定までに径由した施設は.1施設14例,2施設10例,3施設2例,4施設2例で平均では1.7 施設,2カ所以上の施設を経由した症例が14例と45%を占めた。なお、当科初診は3例であった。 7,症状出現から初回受診・診断確定までの期間 初発症状自覚から初診までの期間は1カ月以内17例,2∼3カ月以内9例と31例中26例(84%)が3カ月以内

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-129-に受診しているが,4カ月以上が5例でそのうち6カ月以上放置していた症例も3例認めた。診断確定までに 要した目数は1カ月以内16例(52%),2∼3カ月以内4例(13%),4∼6カ月以内6例(19%),7∼12カ月 4例(13%),1年以上1例(3%)であった。今回の症例31例中16例は初診時に下咽頭癌の掛、またはなんら かの異常を指摘され,精査のため当科を紹介されていた。 発生部位別にみると,初診後確定診断までの期間は差を認めなかったが,初発症状自覚から初診までの期間で は梨状陥凹部の発生では平均1.7カ月,後壁では2.2カ月であったのに対し輪状後部では4.4カ月と長期間を要して いた。 考察 下咽頭癌は発症率が低いために集団検診等スクリーニング制度が無く.また一般にも認識が低いため受診また は診断が遅れ,確定診断時すでに進行例が多くなっているものと考えられる。他の頑頸部癌と比べて治療成績が 劣っている下咽頭癌の予後を改善するためには早期診断,早期治療が必須である。スクリーニング制度が確立し ていない現在では,せめてなんらかの訴えをもって受診した患者の中から下咽頭癌患者を見落とさないことが治 療成績の向上につながると考えられる。こういった観点から経験例をレトロスペクティプに検討を加えた。 年齢では,器質的疾患を認めない真の咽喉頑異常感では30から50歳代に多いと言われているのに対して,今回 の下咽頭癌症例では男女ともに50歳代が最も多く,50から70歳代で94%を占め,男女比では約2:1と男性に多 い傾向を認めた。特に梨状陥凹部の癌では14例中11例を男性が占めた。 病期は,Tl,T2症例が15例で全体の48%であったが,その内9例に頸部リンパ節への転移が認められ,病 期Ⅲ,Ⅳの進行例が全体の77%を占めた。 初発症状および初診時症状についてみると,初診時症状で最も多い訴えとしては囁下障害と囁下痛や咽頭痛と いったなんらかの痛みを伴ったものが多かったのに対し,初発症状としては咽喉頑異常感が31例中15例(48%) を占めていた。この15例を詳細に調べると単なる異物感や違和感は6例のみで,9例はやはりつかえ感やひっか かり感など他の症状を伴っていた。初診時では咽喉頑異常感のみで受診している例はわずか4例で,他は囁下障 害や痛みを伴ってからの受診であった。症状を自覚後医療機関を受診するまでの期間は9例が1カ月以内であっ たにもかかわらず,9例中7例は病期Ⅲ,Ⅳの進行癌として診断されている。この9例の初診から診断確定ま でには平均で5.7カ月を要しており,この原因としてほ解剖学的に観察が困難な部位であるために診断が遅れた 例,または他の疾患として治療が行われていた例,十分なフォローアップが行われていなかった例が認められた。 また,今回の症例31例の中でなんらかの症状を自覚してから1カ月以内に診断が確定した症例は6例で,そのう ち5例がⅣ期の進行癌であったことは,下咽頭癌の進行の速さと,早期においては無症状で経過する症例が少 なからず存在することを示し,これが下咽頭癌の診断と治療をさらに困難なものとしている。 すべての咽喉頑異常感症例において悪性腫瘍を見逃さないために出来うる限りの精密検査を行うことは望まし いことであり,食道直達鏡も積極的に行われるべきではあるが,日常診療ではそれは不可能に近い。そのためマ イナートランキライザーと消炎酵素剤の併用投与などの診断的治療は精査すべき症例を選択するシステムになり 効果的であると思われる。また,ファイバースコープの先にフードを付けて下咽頭・頸部食道を直接観察する方 法は外来診療中にも行うことが可能であり,下咽頭食道造影とともに有効な方法であり,さらなる普及が望まれ る。 下咽頭癌の早期診断と治療成績の改善のためには,耳鼻咽喉科医の責務は重大であるが,他科医師及び咽喉頑 異常感を訴える患者への下咽頭癌の啓蒙が重要である。 咽喉頭異常感を軽微な症状と放置せず,早期の耳鼻咽喉科への受診を患者に促す努力と,早期診断のためには 新たな症状が出現するまで漫然と経過を観察するのではなく常に下咽頭癌の存在を念頭にいれ,頑強に咽喉頭異 常感を訴える症例の診察に当たっては.気のせいにせず一度の検査だけでなく定期的に繰り返して検査をする必 要がある。 論文審査の結果の要旨 申請者 稲川明俊は,予後の悪い下咽頭癌の診断を向上させる一助とするべく,下咽頭癌例の病歴と経過を検 討した。その結果としてt50歳代の男性に多く,咽喉頑冥常感単独の主訴ではなく,何らかのつかえ感,痛みを 伴っていることに注意することが早期の診断に大切であることを示した。この知見は∴F咽頭癌臨床に少なから ず寄与するものと認める。 ー130-[主論文公表誌] 1)F咽頭癌と咽喉頭異常感の検討 平成11年3月発行予定 岐阜大医紀

参照

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