スイスのゲマインデにおける直接民主制--カントン
・チュ-リッヒの場合を中心として
著者
関根 照彦
著者別名
T. Sekine
雑誌名
東洋法学
巻
27
号
1
ページ
33-58
発行年
1984-03
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00003603/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.jaスイスのゲマインデにおける直接民主制
ーカントン・チューリッヒの場合を中心としてー
関 根
照 彦
はじめに スイス人はスイス国民である前にカントン民であり、カントン民である前にゲマインデの市民である。そして、ス イス国家も又、ゲマインデ⋮←カントン←ブントという形で下から積み上げられた民主的な国家である、といわれ ている。スイス民主主義の堅固さは、それが抽象的な国家を基盤とするのではなく、具体的な﹁ハイマート︵故郷︶﹂ ︵1︶ ︵譲Φ巨繋︶、すなわちゲマインデに根ざしている点にある。 本稿は、スイス民主主義の伝統的色彩を色濃く残すこのゲマインデの直接民主制を、カントン・チューリッヒの場 合を例にとって紹介するものである。東洋法学
三三1
スイスのゲマイソデにおける直接民主制 スイスにおけるゲマインデ 三四 カントン・チューリッヒのゲマインデにおける直接民主制を紹介するに先立ち、スイスにおけるゲマイソデの種類、 組織、自治、民主主義などについて簡単にふれておこう。8種類・組織
①スイスのゲマインデは、その長く複雑な歴史を反映して種類も豊富で数も多い。一般に、各カントンは数種類 のゲマインデを持っているが、なかでも歴史的にみて特に重要なものに、﹁政治ゲマインデ﹂︵ぎ毎ぎぎQ・彰。置号︶、 ﹁市民ゲマインデ﹂︵頃βお㊦茜o臼鉱&⑦︶、﹁教会ゲマインデ﹂︵渥8凝・簿oぎ8︶などがある。 政治ゲマインデは、地域に居住する全ての住民から構成される、一定の地域を基盤とした、一般的目的を持つ共同 ︵2︶ 体である︵一般ゲマインデ︶。 政治ゲマイソデは地域共同体である。 それは、その地域に居住する人々により構成される。 それは法律上の権限内において、その地域に存在する全ての人々と事物についての高権を行使する︵グラウビ凱ンデソGG第霧・
政治ゲマインデは、あらゆるゲマイシデのうちで最も優越的で重要な地位を占めている。その権限は、全ての種類の ゲマインデのうちで最も包括的である。法律により他の種類のゲマインデに属さない権限は全て政治ゲマインデの権︵4︶ 限とされ、所属が不明な事項は政治ゲマインデの権限に属すると推定される︵カントン・チューリッヒ︶。スイス全土 は三〇〇〇を越す政治ゲマインデによって余すところなく分割されているが、この政治ゲマインデの数はドイッ語圏 カントンに多い。なかでも最も多いのはカントン・ベルンであり、その数は四九〇を越えている。カントソ・チュー リッヒにおいては、一七一の政治ゲマインデが存在する︵一九七四年︶が、その中心であるチューリッヒ市はズイス 最大の人隣︵四〇万余︶を擁する政治ゲマインデである。政治ゲマインデは、カントンにより、﹁住民ゲマインデ﹂ ︵5︶ ︵禦麟≦o財琴お・暴。ぼ号︶、﹁オルツゲマインデ﹂︵○議Gq①簿oぼ留︶、﹁ゲマイソデ﹂︵Q・琴Φ汐脅︶などと呼ばれている。 市民ゲマインデは、地域に居住するゲマインデの市民権保持者から構成される、特別の目的を持った共同体である ︵6︶ ︵特別ゲマインデ︶。それは四〇〇年以上の歴史を持ち、初期においては貧民救済活動を主たる目的としていたが、時 代とともに当初の目的は失われ、現在においては、ゲマインデの市民権の付与、共同体財産の管理運営などをその主 たる役割としている。市民ゲマインデは二〇のカントンにおいて存在する。カントソ・チューリッヒにおいては、こ のゲマインデは政治ゲマインデに統合され、政治ゲマインデの特別な部門がその役割を遂行している。 教会ゲマインデは、地域に居住するキサスト教信者から構成される、特別の目的を持った、地域共同体である。教 会ゲマイソデの役割は宗教活動に限定されており、教会財産、施設物、基金の管理運営、牧師︵司祭︶の選任などが 主な活動とされている。教会ゲマインデの範囲は政治ゲマインデと一致する場合もあるが、いくつかの政治ゲマイン デに跨がって存在する場合もある。教会ゲマインデはほとんど全てのカントンに存在するが、固有の意味での教会ゲ マインデが政治ゲマインデに吸収されているカントンもある。チ論ーリッヒにおいては、現在、プ憐テスタントの教
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三五スイスのゲマイソデにおける直接民主制 三六 ︵7︶ ︵8︶ 会ゲマインデが一七五、カソリックの教会ゲマイソデが七〇存在する︵一九七四年︶。 これら三種類のゲマインデのほか、スイスにはなお多くの種類のゲマインデが存在する。チューリッヒをはじめと するいくつかのドイッ語圏の地域では﹁学校ゲマインデ﹂︵G Q9巳αQ①9。ぎ留︶と呼ばれるゲマインデがみられるし、二 ード・ヴァルデンなどには﹁救貧ゲマインデ﹂︵≧鷺のお。9。営号︶があり、グラールスでは﹁選挙ゲマインデ﹂︵≦筈劉 σq 。欝。汐号︶が存在する。カントン・チューリッヒには﹁ツィヴィル・ゲマインデ﹂︵鰻く凝。ぎo欝8︶という伝統的な ︵9︶ 地域の事務を処理する特別なゲマインデも存在する。 又、ゲマインデとは別に﹁ベツィルク﹂︵浮N算︶と呼ぼれる行政区画も多くのカントンに存在する。 以下においては、これらのゲマインデのうちで特に重要な政治ゲマインデに焦点をしぽって話を進めていく。 ② 政治ゲマインデは大別して二つの組織形態をとりうる。﹁集会制度﹂︵<。壼蓉簿ごおω。 ・選。筥︶と﹁議会制度﹂ ︵蜀鶏¢9⑦纂ω。 陰誘$鷺︶である。 ︵⑳︶ 集会制度のもとでは特に二つの機関が重要である。﹁住民集会﹂︵O。簿飢鑑薯霧帥蓉邑麟お︶と﹁執行部﹂︵Q。鍔鉱&? ︵11︶ ︿o簗魯塞9嬰︶である。集会制度は、スイス全体のほぼ九〇%のゲマインデが採用する組織形態であり、とりわけド ︵1 2︶ イッ語圏の地域で支配的である。この組織は二つの主要な機関を持つところから、馨。禦猛σq。O⑦舅鉱鼠8お碧爵蝕9 と呼ばれる場合もある。 ︵13︶ ︵蕉︶ 議会制度においては、一般に住民集会が廃止され、代わりに﹁議会﹂︵Qo簿鉱&①麗匿簿窪け︶が設置される。ここで ︵蔦︶ の主要な機関は、有権者の総体としての﹁ゲマインデ﹂︵の・欝。ぎ留︶と﹁執行部﹂と﹁議会﹂である。議会制はジュ
ネ璽ブを中心としたフランス語圏カントンと大都市ゲマインデでみることがでぎる。カントン・チューリヅヒでは三 ︵蔦︶ つのゲマインデが議会制度をとっている。議会制は三つの主要な機関を持つところから母駐葺8。Q・き鉱鼠8茜欝− 一鶏瓢豊と呼ばれている。 以上の形態のほか、集会制度を維持しつつ、いわゆる﹁投票︵箱︶制度﹂︵¢彗。霧誤茜菖を導入し、一定条件のもと ︵17︶ に特定の事項をレファレンダム︵住民投票︶に付する方式も多くのカントンでみることができる。 口 自治・民主主義 ①スイスのゲマインデはカントンに対する関係で二重の地位にある。それは一方ではカソトソの非独立的な地位 にある執行機関であるが、他方それは自治体としての地位を有する独立性の強い国家機関でもある。 これらの地位にもとづき、ゲマインデは一般に、8連邦法、カントン法が義務づけている全ての事項、口連邦法、 カントン法がゲマインデにその自由意思にもとづく解決を開確に委ねた全ての事項、日カントン自らによって究極的 には秩序づけられない事項で、他の高権主体の権限とされていない全ての事項を処理する。連邦憲法は、ブソトとカ ソトソ間の管轄権の分配に関して、 カソトンは、その主権がブソト︵連邦︶の憲法によって制限されない限り主権を有し、かつブソトの権力に委ねられていな い全ての権力を主権者として行使する︵第三条︶ と規定しているが、カントンにより管轄権の分配がまちまちでありうるスイスでは、この一般原則がカソトンーゲマ ︵⑱︶ インデ間で適用されることは困難と考えられている。
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三七スイスのゲマイソデにおける直接民主制 ” 三八 ゲマインデの自治は、カントソ憲法やカントソ法のなかで明確に保障されている場合が多い。 ︵B︶ ゲマイソデは憲法と法律の範囲内において独立してその事務を秩序づける︵チュ⋮リッヒ憲法第四八条︶。 しかし、カントソ憲法が自治を明文で保障しない場合であっても、ゲマイソデの自治は連邦憲法における﹁不文の憲 法上の権利﹂︵毒σQ窪。冴δぎ器く窪酵鍔お馨似累一鴨男9騨。︶として保障されるものと解釈され、その侵害に対しては ︵2 0︶ ﹁国法訴願﹂︵o Q聾器器魯島9。綴窪げ壽鼠。︶が認められている。ゲマインデの自治が﹁憲法と法律の範囲内において﹂ 認められるということは、それがカントンによりまちまちでありうることを示している。事実、一般にドイッ語圏カ ントンではフランス語圏カントγに比べて広い範囲の自治が保障され、チューリッヒは、広範囲の自治を保障するカ ︵鉱︶ ントンのひとつと考えられている。 ところで、かつてスイスでは、ゲマイソデの事務は﹁固有の活動領域﹂︵。蒔窪窪≦巳塗お・ ・ξ籔︶と﹁委任された活 動領域﹂︵菩。誉お窪窪≦誉ざお。 ・ξ籔︶とに区別され、自治の範囲は﹁固有の活動領域﹂と同一のものと考えられてい ︵22︶ た。そして判例もこの理論を採用していた。しかし、このような考え方に対しては、そもそも固有の活動領域と委任 ︵23︶ された活動領域を明確に区別する基準は存在しえないのではないか、という疑問が提出された。その結果、連邦最高 裁判所は一九六七年以降の一連の判決においてそれまでの見解を改め、カントン法がゲマインデに︽比較的相当な決 定の自由﹂︵邑薮く。浮。漂9。麟旨9色身轟・ ・中。酵簿︶を認めている場合ゲマイソデは自治権を有する、という新しい 立場をとることになった。このさい、なにをもってカントソがゲマイソデに比較的相当な決定の自由を認めていると 判断しうるのかの問題が生じるが、これはカソトン法の解釈の間題とされる。そして、この新判断以降、固有の活動
︵2 4︶ 領域と委任された活動領域をどう区別するかの問題や裁量統制の有無に関する問題はその重要性を失った。 ②スイスのゲマインデは、それぞれ独自の歴史と伝統を持っている。したがって、そこで実現されている直接民 主制のルーッを全て明らかにすることは容易ではない。チューリッヒの場合に限定してみても、その起源は複合的で ︵器︶ ある。それはイデオロギー的にみても、国民主権の理論と啓蒙主義的理念、ラソズゲマイソデの民主主義、中世のッ ︵2 6︶ ンフトによる都市共和国などにさかのぼることがでぎる。 小地域性はスイスの民主主義を育て、多くの特徴を付与したが、この特徴はゲマインデにおいて凝縮された形で実 現している。ゲマインデにおいては、自由と独立、責任と互助などの観念が支配するゲノッセンシャフト的民主主義 ︵27︶ が今なお生き続けている。力の政治や命令原理は嫌われ、話し合い・信頼二妥協の政治が行なわれている。 ﹁素人による政治﹂︵ζ一瀞︶が最もよく残されているのもゲマインデの民主主義の特色である。政治は職業政治家の 手で行なわれるのではなく、住民自らによって、あるいは住民から選ばれた政治に精通したアマチュアの手で運営さ れている。ゲマインデは﹁民衆国家﹂︵<9厨舞縁︶︵F・フライナー︶ではあるが、そこではあらゆる権威が否定され ているわけではない。有権者集団としての人民は、執行部などの政治に精通した小規模集団との相互理解のもとに、 そしてその助言と指導のもとに、彼らと協同して政治を行なっている︵涙o鼠蔚溝U・簿oぎ蝕。︶︵M・イソボーデソ︶。 ゲマイソデの直接民主制は、カントンの民主制と多くの共通性を持つが、それはカソトソで行なわれている直接民 主制の単なるコピーではない。ゲマインデで圧倒的な統治形態である集会制度は、カントン段階ではわずかに五つの ランズゲマインデ・カントンでみられるにすぎない。カントソの直接民主制の中心は立法の分野にあるが、ゲマイン
東洋法学 三九
スイスのゲマイソデにおける直接民主制 四〇 ︵2 8︶ デのそれは行政の分野にある。 広範な直接民主制が実現され、人民に多くの権力が集中し、重要な立法・行政活動が機関相互の協働によって行な われる場合、それは権力の分立に重大な影響を及ぼす。スイスにおいては司法権がブソトとカソトンに吸いあげられ ている結果、ゲマインデが司法の分野で活動する余地はわずかの例外をのぞいてほとんど存在しない。独立した固有 の司法機関も存在しない。集会制度のもとでは、執行部の長である﹁プレシデント﹂︵準鐘α窪暦︶が立法部としての住 ︵29︶ 民集会を主宰し、ゲマイソデの政治に大きな影響力を及ぼしている。総じていえば、ゲマインデの統治機構は権力の 分立と抑制にもとづくのではなく、融合と協力にもとづいている。ゲマインデにおいても構力の分立が実現している ようにみえる場合があるが、それは多くの場合近代的な意昧での分立論にもとづいて実現されたものではない。それ は、現実的で技術的な合目的性を考慮した伝統方式であるにすぎない。スイスのゲマインデは、近代的意味での権力 の分立が叫ぽれる以前から存在していた土着的制度である。ゲマインデは、今日でもなお厳格な権力を必要としない と考えられているが、その理由としては、ゲマインデにおける諸関係が小規模であるということ、ゲマインデの管轄 ︵30︶ 権が比較的限定されているということ、直接民主制が行き渡っていること、などがあげられている。 ∬ カントン・チ識ーリッヒにおける直接民主制 一 集会制度における直接民主制 集会制度における直接民主制を述べることは、 集会の権限と住民によるイニシアティブの権利を検討することにほ
かならないα だが、ここでこれらの問題に入る前に、集会の召集・議事手続などについてふれ、集会とならぶ重要な機関である 執行部についても簡単にふれておこう。 ① 住民集会は、ゲマインデの最高機関である。それは審議機関であると同時に最終的議決機関でもある。集会は 満二〇歳以上のスイス人の男女有権者から構成される。 集会は一般に執行部の要請で召集されるが、有権者の六分の一以上がその開催を要求する場合、前回の集会が延期 された場合に召集されることもある。集会の日時は﹁できるかぎり多くの有権者の参加を可能とする﹂方向で決定さ れなければならない。その結果、教会での礼拝が行なわれる日曜日の午前中の住民集会の開催は禁止され、祝日や繁 忙期、軍事教練日、有権者の動員が予想される他の集会の開催碍なども避けて開催される。会場は、普通、教会、学 ︵綴︶ 校、体育館などが利用されている。集会への出席は、カントン法上の﹁市民の義務﹂︵雲茜霧覧ぎ算︶とされている が、罰金をともなう﹁参加強制﹂︵o Q鋤簿欝馨鋤お︶を行なうか否かは各ゲマインデの自治に委ねられている。 集会の議題は開催日の一週問前までに公けにされなければならない。予め公知されない議題が当日、集会の場で議 決に付されることはない。有権者は、執行部に対して、﹁公益に関わりを持つ行政﹂︵Q9霧獣号お導鐵葺茜く舅毘鵯− 簿・一琴導ぎ8§器︶に関して集会の場で質問をすることができるが、質間は予め書面で執行部に提出しておかなけれ ばならない。集会は原則として公開であり、決定は起立、挙手などの方法により多数決で行なわれる。議事の進行、 集会の秩序維持はプレシデント︵執行部の長︶の役割である。 東洋法学 四一
スイスのゲマインデにおける直接民主制 四二 ② 執行部はゲマインデの固有の執行機関であり、最高の行政機関である。それは集会の準備機関でもある。 執行部はプレシデントを含めて五人以上のメζハーから構成され、﹁投票︵箱と方式により住民によって直接選挙 される・執行部をはじめとする重要職には﹁公職就任強制﹂︵︾臼露≦鋤お︶が行なわれている。 執行部の主な役割は、集会に付される全ての事項を準備し、集会の決議を執行し、ゲマイソデの財産を管理、運営 するところにある。とりわけ、ゲマインデの総合経済行政は執行部の重要な業務であるが、そのほか、集会への法案 の提出や、篠、繋の分野での立法・行政活動も執行部の手で行なわれている。集会制度のもとでは、執行部は集会およ びその他の機関の権限に属さない全ての事項を引ぎ受けるため、その権限は非常に包括的なものとなる︵淳坤器首鳥窪 ︽32︶ Q。琴乾霞鈴霧鮎鑑酔誇磯餌馨霞鱒影彰角讐魯︶。この点で、集会制をとるゲマイソデでは﹁行政国家的な権力の一元化﹂ ︵33︶ ︵窪簿纂一憂舞象窪建O窒聾窪簿○旨簿霧︶現象がみられる、ということもでぎる。 8 住民集会の権限 住民集会は、ゲマインデの最高機関として、立法、行政の分野における最重要事項についての決定権を持つ。住民 集会の行なう重要な活動のひとつとして、ゲマインデの組織に関する立法があげられる。チューリヅヒのGGにょれば、 集会は、ゲマインデの存立、組織、および個々の機関の権限についての決定権を持ち、これらの事項は必ず﹁ゲマイ ︵誕︶ ンデ規則﹂︵○。讐鉱包8a壼鑛︶のなかに規定されなければならない。一般に、組織の大綱はカントン法たるGGのなか に規定されるが、そこに規定されていない重要な事項については集会が決定権を持つ。ゲマインデの雇用関係、給与、 建築、帯域秩序、総合プラン等の分野における立法も集会の権限内にある。又、チューリッヒの癒とんどのゲマイγ
デにおいては、いわゆる﹁一般的性質を持つ規則﹂︵く窪oa壼お霞く雲巴曹欝。ぎ窪ご ご&。葺藝磯︶の制定、改正権は集 ︵35︶ 会の権限とされている。 集会の活動でとりわけ重要なものとして財政事項に関する決定がある。GGによれぱ、予算の決定、税の承認、年度決算 および特別な建設決算の検査は必ず集会がこれを行ない、GOの定める一定額を超過する支出やクレジットZ鋤9鐙謎q Q− ζ。島叶の承認、第三者企業への財政参加、不動産の売買、貸付金の調達などは、他の機関の権限とされていない限り、 集会の権限に属する。特に重要な予算について、集会は執行部の作成した予算を単に承認、反対するだけでなく、執 行部にさし戻し、変更する権限を与えられている。 このほか、住民集会は行政全体︵内閣およびその下部機関︶の監督を行ない、GOが特別の規定を設けない限り、ゲ マインデの境界線の変更、新たな事務の引き受け、およびその管轄機関の決定、市民︵権︶の承認、財産証明の付与な どを行なうことがでぎる。 ロ イニシアティブの権利 集会の場での意思表明とは別に、有権者各人は﹁イニシアティブの権利﹂︵ぎ釜碧ぎ9F︽&○同鰻a漣齢︶を通じて その意思を政治に反映させることができる。 有権者各人は、ゲマイソデ集会の権限に属する事項についてイニシアティブの権利を行使しうる︵㏄第五〇条︶ イニシアティブの手続を簡単に述べると以下の通りである。 まずイニシアティブは、それを行使する有権者︵単一人でも複数人でもよい︶により、書面の形式で執行部︵実際 東洋法学 、 四三
スイスのゲマインデにおける直接民主制 四四 ︵36︶ 上の取扱いは事務局が行なう︶へ提出される。提出されたイニシアティブは、執行部によりその形式と内容の審査を 受ける。審査を通過したイニシアティブは執行部によるイニシアティブの受領後三ヶ月以内に集会の議に付されるが、 失格したイニシアティブは集会に付されることはない。特に形式的要件を満たしているイニシアティブが有権者の六 分の一以上の署名による支持を受けている場合、イニシアティブは一ヶ月以内に集会に付されなければならない。執 行部による審査の結果に不満な者は、ベツィルクおよびカントンの執行部へ菊。算湊を行なうことがでぎる。 イニシアティブは、一般的提案の形式においても、完成された草案の形においても行なうことがでぎる。一般的な 提案の形式において行なわれる場合、まず集会においてイニシアティブ行使者による口頭での提案理由の説明が行な われる。集会によりその理由が﹁相当なものと宣言される﹂︵国浮・び濠9匿晋舅αq︶と、執行部は提案の目的に沿った 具体的な草案を起草する義務を負う。起草された草案は再度集会に付され、そこで最終的決定が行なわれる。 完成された草案の場合、集会において相当宣言が行なわれることはない。この場合、執行部は自己の鑑定結果を付 したイニシアティブ草案を︵場合によっては、やはり執行部の作成した反対箪案とともに︶集会の決定に付する。 集会の権限に属するあらゆる事項はイニシアティブの対象となりうるが、過去一年以内に集会がとり扱った事項に ついては、再度とりあげるに相当する新事実が存在しない限り、それをイニシアティブの対象とすることはできない ︵再考イニシアティブ≦δ牙窓挙凝に轟臨風瓜帥薯①︶。相当な新事実が存在せずイニシアティブが行なわれた場合、ベッ ィルクの執行部は、ゲマイソデの執行部の申し立てにもとづいて、﹁認容でぎず﹂︵藏震焦鐘蒔︶と宣言することがで ぎる。
国 投票制度の導入 ︵37︶ 住民集会は、﹁直接民主主義の最上の、最も美しい表現﹂であるが、ゲマインデの人臼や事務が増加し、あるいは ︵38︶ 集会への参加率が一割にも満たないとなると、集会制度そのものの修正が必要となってくる。 ㏄によれば、ゲマインデは人口が二〇〇〇人を越えた場合、投票制度を導入することがでぎる。集会制度のもとに おける投票制度としては、﹁直接投票﹂︵島邑奮¢導窪菩鼠簿臼鐸お︶と﹁追随投票﹂︵頚鼠霞凝ぎぎd露。醤ぴ。 ・けぎ鋸g鑛︶ のふたつの方式が可能である。直接投票制度は集会事務の軽減、住民の政治負担の軽減に役立ち、追随投票制度は決 ︵39︶ 定の再考、誤った決定の補正、住民集会の寡頭化防止等に奉仕する。 ①直接投票制度は、住民集会の機能のうち、議決機能あるいは審議機能と議決機能の双方を放棄させる制度とい うことができる。 直接投票にはふたつの方式がある。ある事項について住民集会は審議を行なわず、決定が直接、住民投票︵レファ レンダム︶によって行なわれる場合と、集会での審議が必須的とされ、最終決定が投票の場にもち込まれる場合であ る。集会の負担軽減という点からすれば前者の方式が後者よりすぐれているが、住民の政治的権利の保障という点で は後者の方式がよりすぐれている。しかし、いずれの方式も集会が最終決定権を持たないという点で共通性を持ち、 この点でオーソドックスな集会制度とは異なっている・ 第一の方式も第二の方式も、法案は法の手続にしたがって必ず住民投票に付されるという意味で義務的レファレソ ダムの性質を持つ。義務的レファレンダムの対象はふたつある。ひとつはG Oである。人口二〇〇〇人以上のゲマイン
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入イスのゲマイソデにおける直接民主制 四六 デではGOは必ずレファレンダムに付されなければならない。これは、いわゆる憲法レファレソダムに相当する。他の ひとつはGOの定める一定額を超過する支出︵もしくはそれに相当する収入の減少︶である。このいわゆる﹁支出レフ ァレンダム﹂︵︸霧αq書。謹Φ響窪費導︶は、人口二〇〇〇人以上のゲマインデにおいても必ずしも制度化される必要は ないが、特にGOがその規定を設けている場合は義務的レファレンダムに付される。ゲマインデ・キルヒベルクにおけ る支出レファレンダムの場合を例にとると、新らたな一回限9の支出については一〇〇万フラン以上、新らたな毎年 くり返される支出については一〇万フラン以上の支出︵もしくはそれに相当する収入の減少︶の決定は投票に付され なければならない。これに対して三万フラソ以上一〇〇万フラン以下の一回限りの支出︵ただし、ガス・水道事業に ︵40︶ 関しては五万フラソ以上︶および一万フラン以上一〇万フラン以下の毎年くり返される支出は集会の決定に付される。 ②追随投票制度は、カントン・レヴェルではみることのない珍しいレファレンダム制度ということができる。そ れは一種の任意的レファレンダムの性質を持つ。 有権者の半数以上が参加しない住畏集会の決定は、その決定に居合わせた有権老の三分の一がその場で投票︵C擁濤葛募鶏準 蓉戯譲︶を要求する場合、レファレソダムに付することができる︵GG第二六条第一項第二号︶ 追随投票は、だれか他人が別の場でくだした決定に不満を持つ人々により要求されるものではない。それは、正にそ の決定の場に居合わせた当事者達によって要求される。それは、一般の任意的レファレンダムにみられるように、後 日、一定数の有権者の署名を収集して要求されるものでもない。決定が行なわれた集会の場で即要求されなければな らない。そして、その要求を行ないうるためには、有権者の出席率が五〇%に満たない集会で決定が行なわれたこと
が要件とされている③ 住民集会のあらゆる決定はこの追随投票の対象となりうるが.以下の事項はレファレンダムに付しえないとされて いる。すなわち、予算の決定、GOなどによって制約された特別の支出の決定、ゲマインデの一般税の税率の決定、年 度決算の検査、その他GOが特に規定する事項などがこれである。これらの事項は、いかなる場合においても必ず住民 集会の場で決定されなければならない。 二 議会制度における直接民主制 カントン・チューリッヒにおいては、ゲマインデの人臼が二〇〇〇人を越えると議会制度を導入することがでぎる。 ただ例外的に大都市であるチューリッヒ市とヴィンタートゥール市は議会制の採用を義務付けられている。 議会制における重要な機関は、有権者の総体、執行部、議会の三機関である︵前述︶。 ①議会制のもとにおいても有権者の総体は、なおゲマインデの最高機関ということがでぎる。ただしこの場合、 有権者の総体は、イニシアティブとレファレンダムの権利を通じてのみ自らの意見を政治に直接反映しうるに止まる。 議会制における執行部の地位は、集会制における場合よりは幾分か低い。管轄権の範囲も縮小されている。しかし、 その性格、役割、組織などは基本的には集会制度の場合と変わらない。執行部と他機関の問における権限の分配は、 ︵娠︶ 集会制の場合と同様の原則︵前述︶が適用されている。 ② ゲマインデ議会は、比例代表制のもとで選挙された議員から構成される一院制議会である。任期は四年で、議 員は同時に執行部のメンバーたることはできない。定数は各ゲマインデにより異なるが、一般に三六ー四五名の間
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スイスのゲマインデにおける直接民主制 四八 ︵42︶ ︵娼︶ ︵ただしチューリッヒ市は一二五名︶である。特にゲマインデの市民権を有する議員は、議会内における﹁市民部会﹂ ︵鐸お。島9。︾び鼠ぎお︶を構成する。議会は必要に応じて開催され、いわゆる会期制はとられていない。議事は原則 として公開である。議事手続、議決方法、その他多くの点はカントン議会の方式がモデルとされているが、不逮捕特 権、免責特権などの議員特権は、カントン議員の場合と異なり、認められていない。 議会の主な権限としては以下のものがある。予算、税率および義務的レファレンダムの対象とならない額の支出の 決定。行政全体の監督。年度決算、活動報告の検査。集会制のもとで集会の権限とされているその他全ての事項につ いての決定、ただし法律又はG Oが他の機関に留保ないしは委譲していないもの。住民投票に付される全ての法案とイ ニシアティブの鑑定。選挙委員ならびに地租委員会の委員数の決定。 ︵45︶ 議会と有権者の総体の問の管轄権の分配は次の観点に立って行なわれている。ω重要事項については、有権者の総 体のみが決定権を有する︵義務的レファレソダム︶。これらの問題について議会は法案提出権と鑑定権を持つにすぎ ない。ω重要性の低い多くの事項については、議会が決定権を有する。ただし有権者の総体は、これらの間題につい てもレファレンダムを要求しうる︵任意的レファレンダム︶。⑥法律とGOの規定する一連の事項については、議会が 独自の最終決定権を有する。 8 義務的レファレンダム 議会制度における義務的レファレソダムの範囲は直接投票制度における範囲よりも広い。㏄によれば、議会制度下 における義務的レファレソダムの対象は四つある。
第一は、GOの制定と改正である。集会制のもとでは、人口二〇〇〇人以上のゲマインデに限りGOは義務的レファレ ンダムに付されていたが、議会制の場合、︵ゲマインデの人口は常に二〇〇〇人以上なので︶GOの制定と改正は必ず住 民投票に付されなければならない。 第二は、GOの定める一定額を超過する支出︵もしくはそれに相当する収入の減少︶に関する議会の決定である。チ 訟ーリッヒ市を例にとると、特別な目的のための新らたな一回限りの文出については、一〇〇〇万フラン以上、特別 な目的のための新らたな毎年くり返される支出については、五〇万フラン以上の支出︵もしくはそれに相当する収入 ︵46︶ の減少︶の決定は住民投票に付されなければならない。 第三はGOのなかに特に記載されている事項である。たとえば、前記のチューリッヒの場合、収益をもたらさない一 〇〇〇万フラソを越える投資、企業への参加、保証、および無利子の貸付は義務的レファレンダムに付され、他のゲ マインデとの協定︵自由意思によるチューリッヒ市との合併に関する協定、憩壽舞お号きαの設立に関する協定︶、人 口稠密なゲマインデの領域の変更、その経営が法律上の義務でない学校の設立および引き継ぎなども義務的レファレ ︵葬︶ ンダムの対象となる。 第四の対象はイニシアティブである。すなわち、ωイニシアティブがGOの定める一定数の有権者︵チューリッヒ市 の場合は四〇〇〇人︶の署名を得て行使される場合︵複数人イニシアティブ︶、あるいはイニシアティブが単一人の 有権者によって行使され︵単一人イニシァティブ、個人イニシアティブ︶それがGOの定める一定数の議員︵チューリ ッヒ市の場合は三〇人︶の支持を得た場合で、かつωイニシアティブが義務的レファレンダムの対象に関して行なわ
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スイスのゲマインデにおける直接民主制 五〇 れた場合、そのイニシアティブは必ず住民投票に付せられなければならない。 口 任意的レファレンダム 追随投票の対象が集会の全ての決定に及んでいたと同様、議会制における任意的レファレンダムも議会のあらゆる 決定をその対象とすることができる。ただし、この場合にも住民投票に付されることのない一定の例外事項が認めら れている。例外事項としては、追随投票の場合にみられたのと全く同様の事項のほか、議会の行なう選任行為、活動 報告の検査、緊急決議などが含まれている。特に緊急決議の場合、出席議員の五分の四以上が決議に同意し、さらに 執行部が特別決議の形でそれを了解することが必要とされている。緊急決議の対象は時間的に猶予しがたいもので、 ︵娼︶ かつ任意的レファレソダムの対象に限定されている。連邦憲法は、連邦の緊急決議の有効期問には期限が定められな ければならないとする他、内容上憲法に抵触する緊急決議は後日、義務的レファレンダムに付すべしとし、内容上憲 法に抵触しない決議は任意的レファレンダムに付すると規定している︵第八九条漉︶が、チューリッヒのゲマインデ においては、このような形での民主的コソトβ肇ルは少なくとも実定法上は存在しない。 ところで、議会制のもとにおいては、住民投票に付される全ての法案は一般に議会の鑑定をうけるごととなってい る。執行部は、集会制における場合とは異なり、自己の法案を直接、有権者の総体に提示する機会を与えられていな い。しかしここに例外がある。執行部は、ω自己の提出した法案が議会により否決または変更され、かっω議会案が 住民投票︵義務的レファレンダム、任意的レファレンダムを問わない︶に付される場合に、議会案とともに自らの法 案を住民投票に付する権利を認められている。いわゆるコ一重法案﹂︵ご○℃鷲騨馨欝σq︶提出権である。この二重法案提
ヤ ヤ ヤ 出権は、集会制のもとでの執行部の包括的な法案提出権のなごりであり、住民によるイニシアティブ法案に対する議 会の﹁反対法案提出権﹂︵O。σQ窪ぎ匿包謎・ ・器。簿︶に対比することができる。 任意的レファレンダムは、ωGOの定める一定数の有権者︵チューリッヒ市の場合は四〇〇〇人︶が議会の議決が公 示されてから二〇日以内に執行部に書面で投票の実施を要求した場合、ω議員の三分の一が同じく二〇β以内に投票 の実施を要求した場合、あるいは⑥議決の際に居合わせた議員の過半数が同一会期中に投票の実施を決議した場合に ︵5 0︶ 実施される。レファレンダムの要求が行なわれると、執行部がその要求の形式と内容の審査を行なう。要求が審査を 通過した場合は住民投票が行なわれるが、失格した場合は行なわれない。執行部の審査結果に不満な者は、ベツィル クおよびカントンの執行部へ沁①算駿を行なうことがでぎる。 投票は、ゲマインデに居住する全てのスイス人男女有権者によって行なわれる。ただし、﹁市民的事項﹂︵宴お。島3・ ︸謎鉱お露冨δが投票に付せられる場合は、ゲマインデに居住するゲマインデの市民権保持者のみが投票権を有する。 レファレンダムの要求から何日以内に住民投票が行なわれるべきかにつぎGGは何らの規定も設けていないが、執行部 はカントソおよびブントの例を参考にしつつ、過度の遅滞のないよう投票期日を決定する。各有権者には投票日の二 〇日前までに法案解説書が配布されるが、ここには法案の条文、具体的事業計画、﹁解説﹂︵≦①ぎ轟︶、法案について の議会および執行部の意見などが記載され、有権者の意見形成の一助とされている。 日 イニシアティブの権利 イニシアティブの権利は、その大要において、集会制の場合とそれ程異なるところはない。イニシアティブの権利
東洋法学 五一
スイスのゲマインデにおける直接民主擬 五二 は有権者各人によっても行使されるし、複数人によっても行使されうる。それは一般的提案の形においても、完成き れた草案の形式においても行なうことができる。又、過去一年以内に有権者の総体がすでにとり扱った事項について も、再びとりあげるに相当する新事実が存在しない限り、それをイニシアティブの対象としてとりあげることはでき ない。 しかし、議会制度のもとでのイニシアティブが、いくつかの点で集会制度の場合とは異なっているということも事 実である。たとえぼ、集会制度のもとにおいてはイニシアティブの対象は集会の権限に属するあらゆる事項に及んで いたが、議会制度のもとではそれは義務的レファレンダムと任意的レファレンダムの範囲に限定されている。又、議 会という機関が設置されたため、イニシアティブは執行部ではなく議会の議長宛︵実際上は議会の事務局︶に提出さ れる。法の規定に反するイニシアティブに対して無効宣言を行なうのも、再考イニシアティブに対して申し立てを行 なうのも、やはり議会である。一般的提案を具体的なテキストの形に直すのも、同意できない住民のイニシアティブ 法案に対して反対草案を作成するのも議会の権限とされている。 一般に、議会制のもとでの複数人イニシアティブは以下の手続にしたがって処理される。まず、イニシアティブの 対象が義務的レファレンダムの範囲にある場合、イニシアティブは書面の形式で議会の議長宛に提出される。提出さ れたイニシアティブは執行部に送られ、それが必要署名数︵チューリッヒ市の場合、四〇〇〇人の有権者の署名が必 要︶を備えているかの審査をうける。このさい、法定署名数を満たしていない複数人イニシアティブは単一人イニシ アティブとして処理される。すなわち、議員の一定数︵チューリッヒ市の場合三〇人︶がそれを支持した場合に限り、
イニシアティブは成立したものと認められる。成立したイニシアティブは更に執行部の審問に付される。執行部はイ ニシアティブに関する報告と提案を行ない、議会はこの結果に基づいて実質的審議を行なう。全てのイニシアティブ は提案理由を付すことを義務付けられているが、この理由づけは一般に書面で行なわれる。しかし、イニシアティブ の行使者が特にβ頭での理由づけを議会で行ないたい︵頴拳α巳8ぽ膨お葺&ご鑛︶と欲する場合、この要求は出席議 員の四分の一以上の同意があれば実現される。 イニシアティブが一般的提案の形式において行なわれる場合、議会が提案の目的に同意すれば、議会は提案の目的 に沿った具体的草案を起草する。しかし議会が目的に同意しない場合、まず提案をうけ入れるか否かについての住民 投票︵先決投票︶が行なわれ、ここで賛成の結果︵騨冨窪9窪綻似箋謎︶が得られると、議会は提案の目的に沿った具 体的な草案を作成する義務を負う。起草された草案は、︵場合によっては議会の反対草案とともに︶、二回目の住民投 票に付され、最終決定が行なわれる。 イニシアティブが完成された草案の形式で行なわれる場合、先決投票は行なわれず、住民の法案は直接、住民投票 に付される。議会が住民案に同意しない場合、議会による反対草案も住民投票に付される場合がある。 イニシアティブの対象が任意的レファレンダムの範囲にある場合も、その手続の大筋は右の場合とほぼ同様である。 しかし、住民投票が実施されるのはイニシアティブに対する議会の決定について任意的レファレンダムの条件︵前述︶ ︵斑︶ が満された場合に限られる。
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五三スイスのゲマインデにおける直接民主制 五四 むすび 以上、カントン・チュ肇リッヒのゲマインデにおける直接民主制を概観してきたが、その仕組みはわれわれ外国人 にとって大変わかりにくい。 ゲマインデの政治は特に慣習法に支配される部分が多く、実定法の規定を忠実に解釈するだけではその実態を十分 把握することはでぎない。いわんや、多様性に富むスイスのあらゆるゲマイソデにおける直接民主制を総合的に把握 することはたやすいことではない。だが、スイスの民主主義を理解するためには、ゲマインデの民主主義を深く、正 確に理解しておくことは是非とも必要なことである。 ここで残された課題については今後の研究を期したいと思う。
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) ︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ ︵6︶ スイスにおける﹁ハイマー︸﹂の概念については次の書を参照のこと。 麟gび鶏︾鎧帥雑麟鉱簿霧gp傷↓簿島臨opN蔚一〇げる鳶。 箋σ90濤蝕器Oo鷺o嘗8︵α繊∼、o器巴σ磯oきo貯留︶ QΦ簿鉱且薦霧簿N瓢窪魏きけo器Q毒菩言α窪ぎ鋸悼鋳︾℃議一S堅以下においてはOΦ欝①凶&薦霧①欝は㏄と略す。 冨簿浄さ鎮畏◎O器N旨島鶏Qゆ簿ゆぎα潟窪簿N.N驚陣号お薯︶G Q・一S 瞬お鱒薄瓢︶覆8舞伽9冒oも Q8岡ξお伽Rのo簿Φぎ脅・Nも o憐2弼一8︵お謡﹀ども o●器oo噛 び①8舞留8Qo箏鉱簿号︵o a℃8一鋤面oき①営母︶︵7︶ ︵8︶ ︵9︶ ︵10︶ ︵11︶ ︵⑫︶ ︵13︶ ︵14︶ ︵15︶ ︵掲︶ ︵1 7︶ ︵綿︶ 犀く弩αq①灘鼠動。欲触巨o旨o匿零凝o欝①鐵留 拶α琴一ψo磐凶鶏ぴ○一一8ぎ渓騨9鴨琴①貯号 カントソ・チューリッヒにおいては、政治ゲマイソデ、教会ゲマインデ、学校ゲマイソデ、ツィヴィル・ゲマインデの四 種類が存在する。このうち前三者は広く一般的にみられる形態であるが、ツィヴィル・ゲマインデはいわぽ歴史的遺物で あり、それは今日政治ゲマインデの内部においてのみ例外的に存在しうるにすぎない。 ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ これは、いうまでもなく、集会制度のもとでは二つの機関しか存在しない、という意味ではない。 カソトソ・チューリッヒの政治ゲマインデの執行部は、一般にはO。欝¢籔α簿彗と呼ばれ、都市部では砿欝伽霞蹄︵チュ⋮ リッヒ市︶と呼ばれている。 図亀窪び。茜・♪護畏鳴90い弩籔αq。欝。欝山窪αR。 。9≦爵。議魯。訪魏きεま・N晋凶魯搭OPo o・c 。・ カントン・チューリッヒの議会は、一般には9霧角O。簿①貯留蚕叶と呼ばれ、都市部ではOΦ露蝕民窪舞︵チ識璽リッヒ 市︶と呼ばれている。 ただし、集会と議会の併存を認めるカソトソもわずかではあるが存在する。たとえぽカソトン・ベルソ。 oQo夢題富霧窪︶拶窪φご綜象器騨8ごo欝○簿蝕⑦貯α窪ぎ簿覧窪窪頃o擁導窪伽舞O窪器欝脅o轟餌鉱。 a舞陣8。G の賞Ω匙窪一Sc Q︾ oQ ’樽恥鯵 以下においては用語の混乱を避けるため、この意味でのゲマインデについては﹁有権者の総体﹂という語を用いる。 灘o一一窪ぴoお窪︸鉾鉾○●ω,O, カソトソ・チューリッヒのゲマインデに関する法律︵O霧。欝警窪傷霧O。導¢貯譲霧窪ぎ欝9冒駄お器・なお、テキス トは一九七四年版使用︶においては、集会制度は○鉱o導浮嘗Q①箏蝕鼠8茜弩置鋤蓼pと呼ばれ投票制度を採用する集会 制度および議会制度は︾鐸馨8箆。曇瀬9Q。窮。ぎ留oお鋤旨慧睾と呼ばれている。又、後二者はそれぞれ○茜簿鉱。 ・&8 彰営d導①欝ぼ鋤簿窮qβσq、○お勲昆鶏鋤8騨魏08誘○簿Q⑦導O鍵α霧霧と呼ばれている。 Gっ 魯騨鵠津貰。 Qoさ鉾鉾○。o ゆ’08鴇●
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五五( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( 30 29 28 27 26 25 24 23 22 21 20 王9 ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) スイスのゲマイソデにおける直接民主制 五六 <R勢。 ・きαQα窪鉱凝窪禽。 貸蓉ゲ窪ω鼠&9N驚一96響蕊。︾嘆一二〇〇8λテキストは一九八二年版使用︶。 O貯8導簿FN80鶏ダU霧幹鐸韓9窪傷窪の9≦臨器勢3窪錦慧8瓢o。N弩一9お濠︵d昌く。蘇峯留講窪293響ぎ犀おお︶︶ ω。刈恥。 鼠騨誉一︾類§幹U富尊 っ欝帥錺89霞地o浮闘窪魯≦R号︵轡︸二ぬ謎o︶・ご ご霧。一鐸昌江o o葺鴬αq鎚博おお︶G o・な 。ρな 。S O貯8旨①偉お鉾騨○’ω●醤◎ O貯8導9F鉾鉾○●o Q9刈刈。 ジャコメッティは、この基準として上級国家機関による﹁裁量統制﹂︵響簿霧。髪ぎ鱒3蔚︶の有無をあげていた。 Q鑓8糞簿P鉾鉾○●の。刈窃● ω3齢題ぽ簿霧o♪鉾鉾○◎o o.①い鶏. カントン・チュミリッヒには、一七九八年までゲノッセンシャフト的に組織されたラソズゲマイソデが存在していた。 ○皇ぎαq窪︾菊oぴ霧嘗U一〇回塁凱葺甑o⇒窪鳥窪無講ぎ象Uo導○ξ鶏凶③一簿溶曽糞o⇒N旨一9.N宥一3鯵禽︶o o。蕊ド 中世においては、チューリッヒ市やヴィソタートゥ⋮ル市は都市共和国を形成していた。 Q亀汐σq2印・鈴●Po Q。蕊⑩。 ゲノッセソシャフト的民主主義については、たとえば次の論文を参照のこと。 Q霧。 つoぴ>αoヌUO欝○ぎ㌶一①巴。 。。 Qo犀≦o一器ユる 。o悶窪ωoぼo器巴。導 ご器鉱欝土。 O猷8奪傘F勲斜○。o 農。出O● 国家権力を一個人に集中することを嫌う伝統のあるスイスにおいて、このような強い影響力を持つプレシデソトは一種の 例外的存在である。 置簿亀①詳勲鉾○。o o●Oo oいOO。 回影ぴ○号P霞舞●U綜O①蓉①ぎα窪○臓簿注終欺o誉騨”U一〇Q①き。営蜘o男8g舅凶9<⑦&穿β饒3信離αq窪儀窪o Q。ゲ≦臥Nの募9g <R≦鉱ε轟。 。悶弩。 Q①きα窪類き脅訂ぎ。冨9鉱oo a章Q匙⑦P切§瓢9裟霧凶aoぎ、錦αぎ一逡ρo o﹂Oρ
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講の溝圃霧“壁攣O.る 楼。ε雛⋮¢ o・ 畷②鷲 範欝圃欝碁鵡欝奮α獣鼠魯聯緩團鼠甑鶏零器o騨貯翻鍵N鐙簿霧QO簿③鞍象豊N簿陣魯窃蕊︶Q o8㌶㏄。 雛縫簿︶拶鷺①渓鍵簿の静α欝Q①饗Φ貯脅︿霧舞簿糞欝轟睡箏ぴg曾脅灘鐸困簗麟φ無器騨欝⇔働饗鉱瓢脅留簿○貯繋獄鍵鳥鍵 Q祭 6騨譲鉱賊・麟驚撤綱鐙総︶も 雌燈駆凝な Φド 認Φ慧擢び鎚蟄O。難 吟.鱒黛ひ 参照㌶簿餓簿“黛舞ρQ Q⑤鷺ρ認轡 ⇔Φ黛簿胤⑱霞回魯馨薦び鉱N欝筈押螢の欝戴注?O鑓諜轟∼、Q鯵ま・O鯉畠簿罎総︵テキストは一九八二年版使用︶.第三条、 第九条。 譲簿瓢⇔び鋤藩●Oり○ 嚢●鋤瀦鳩転 9も 心編②夢 篶甑篇霧︸欝轡⇔俸鯵な ⑬慰, 購民権の授与を中心とした、いわゆる﹁市民的事項﹂︵鐸側薦亀答誉艶轟蟻露鐸ぎ陣僅︶は、議会の市民部会︵集会擬の場合 は.やはり市民権者のみから構成される騨瀞護ぐ簑巖簿駄齢︶と執行部の市民部会︵潔轟霧誉簿>瓢雛馨鵬甑駿⇔鶯謹貯蜘舞舞霧︶ の手によって処理されている。 むり 鰹齢題び勲霧霧︸勲鉾○嶋c ◎。黎轡 の亀綴難α萄霧︾鉾勲○’も Q“函αo o。 QΦ縫鉱賎8鑓蒙お伽霧○ り鍵簿N錠陣3ぎ簿鵠⇔鋳隠隷箒擦●第一〇条G東洋法学 五七
︵紹︶ ︵狢︶ ︵49︶ ︵50︶ ︵駁︶ スイスのゲマイソデにおける直接民主制 五八 チューリッヒ市GO第一〇条。 護2鶏oさ鉾鈴●○。o o6鱒OO⋮な 心09 鍵露瓢○さ鋤●鉾○◎G 弓●な 08ー轡 O⑦難誤σ登oさ黛騨●○.o o。5?①ド ただし、議会の市昆部会の決定に対して住民投票が要求される場合、有権者の必要署名数は一般の場合よりも少なくとも よい︵チュ蓬リッヒ市の場合は二〇〇〇人︶。議員が要求を行なう場合も市民部会の構成メとハーの三分の一で足りる。 ⑥の場合におけるレファレソダムは、チ嵩!リッヒのGGにおいては、任意的レファレンダムの一形態に分類されている が、講学上は義務的レファレソダムの一種とされている。鐵。鼠霧︾欝鉾ρ鯵な ゆ鎗, ぞ隔禽器 ぴ勲欝○“Q っ●な ρ8占一な 9。 噂oな Q触鉱霜蝕v鉾●勲○魯o o。一鴇ー蕊。