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日本天文学会 早川幸男基金による渡航報告書 Australia Telescope Compact Array (ATCA), Australia Telescope National Facility (ATNF)

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Academic year: 2021

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519 第105巻 第8号

雑 報

日本天文学会 早川幸男基金による渡航報告書

Australia Telescope Compact Array

ATCA

),

Australia Telescope National

Facility

ATNF

渡航先̶豪州

期 間̶

2012

1

10

–20

私は

Australia Telescope Compact Array

ATCA

) による観測,および

Australia Telescope National

Facility

ATNF

)におけるコロキュウムを目的と して豪州に渡航しました. 私は大質量星形成過程,特に原始星ジェット/ アウトフローに着目して研究を行っています.こ れらの質量放出現象は大質量原始星周囲の円盤か ら駆動されると考えられており,直接観測の困難 な原始星近傍環境の重要な手がかりです.私は先 行研究

Motogi et al.

2011b

)において大質量原始 星候補天体

G353.27

0.6

に対し,

VLBI

Explora-tion of Radio Astrometry

VERA

)および北海道 大学苫小牧

11 m

電波望遠鏡による

22 GHz

帯水 メーザーの長期モニター観測を行い,同天体の水 メーザー非常に間欠的な強度変動をしていること を明らかにしました.さらに変動の時間スケール (

1

年程度)やメーザー源の加速現象,光度変動 がメーザー分布の空間変動を伴うという事実か ら,観測された強度変動が視線方向に沿った原始 星ジェットの間欠的な駆動によって引き起こされ ている可能性が示唆されました.この仮説が事実 であれば水メーザーのモニターを通じて非常に簡 便に,かつ高い時間分解能でジェットの変動性を 調査できるということになります. そこで仮説を検証するため豪州の電波干渉計

ATCA

に対して電波ジェットの観測を提案し,採 択されました.観測は

1

13

日にナラブライ観 測所において新設の広帯域バックエンド(

2 GHz

×

2

)を用いて行われ,

18

および

23 GHz

帯の電 波 連 続 波 を 同 時 探 査 し ま し た. 当 初

6

台 あ る

22 m

アンテナのうち

1

台が受信機切り替え装置 の不具合で使用できないというトラブルに見舞わ れましたが,現地スタッフの協力のおかげで観測 中盤から復帰し,無事観測を終えることができま した. 現地の滞在研究者の協力の元に即座にデータ解 析を行った結果,無事

G353.27

0.6

に付随する 電波ジェットを検出することに成功しました (

Motogi et al., 2012, in prep.

).

18, 23 GHz

の両 周波数帯のフラックス比から求めたスペクトル指 数は+

1.5

となり,電波ジェット特有の光学的に 厚い

free-free

放射を示唆しています.また検出さ れたジェットは南北方向に伸びた構造をしてお り,

Motogi et al.

2011b

)における水メーザー源 の速度勾配および固有運動から予想されるジェッ トの伝播方向と見事に一致していました. その後

1

15

日からは採れたての観測結果を 抱えてシドニーにある

ATNF

のオフィスに移動 し,コロキュウムを行ったほか,現地の大質量星 形成研究者とも直接議論し交流を深めることがで きました.またその延長上で渡航のもう一つの目 的であった南半球の共同研究者を得ることもでき ました. 今後

ALMA

時代を迎えるにあたり,数少ない 南天の電波干渉計である

ATCA

の重要性が増し てくることは明らかです.観測の成功それ自体も もちろん喜ばしいことですが,今回の渡航により

ATCA

の観測運用事情(トラブルなども含む)を 体験できたことは,今後の観測時間獲得に大いに 役立つものと思われます. 以上を踏まえまして今回早川基金からご援助い ただけましたことを心より感謝いたします. 元木業人(北海道大学

PD

参照

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