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社会の動きを数学する 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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社会の動きを数学する

著者

佐分利 豊

雑誌名

共通教育フォーラム

9

ページ

6-6

発行年

2008-06-30

URL

http://hdl.handle.net/10098/7942

(2)

Center for Interdisciplinary Studies,University of Fukui 6 OECD PISA は、21世紀に生きる人々に求められる数 学的リテラシーとして次のように提案しています。つまり、 (1) 現実世界において数学が果たすことのできる役割を見 つけ理解できること、(2)建設的で思慮深い市民として の生活の場において、数学を用い、たずさわり、そして確 実な数学的根拠に基づいた判断を行うことのできる力であ る、としています。 私が担当している「社会の動きを数学する」という授業 も数学教育に対するこうした要求と無関係ではありませ ん。しかし、実際の授業の組立てということになりますと、 なかなか難しいものがあり、四苦八苦しているところでも あります。 今現在とりくんでいる課題は人口問題です。近年、人口 爆発と言われるほどの増加率を示していますが、それがど ういった意味で危機状況と理解されなければならないのか ということを学んでみたいということです。 授業では、過去数世紀にわたる人口の推移をグラフで表 したり、データ比較を行うことで、それが一定期間ごとに 指数関数的な増大を示していることをつきとめるところか ら始めました。 さらに、この問題をより幅広い視点からとらえるために、 受講生に次のようなレポート課題にとりくんでもらいまし た。つまり、人口増加と食糧の供給、産児制限に伴う諸問 題の調査、異なる国の間の人口増加の比較、人口増加と環 境汚染、人口爆発に対する対処の仕方などについて調べる ということです。レポート提出者に資料提示機を用いて発 表してもらいましたが、インターネット情報が充実してき ていることもあり、思いのほか、豊かで多面的な調査を聞 くことができ、私自身ずいぶんと勉強をさせてもらいまし た。たとえば、産業革命以来の人口増加は工業化の進行と 並行したものであったが、近年では、工業化地域では人口 減少が始まっており、むしろ途上国と呼ばれる地域の方の 人口増大が急激になってきており、この問題を貧困とだけ 結びつけて理解することはできないということ。あるいは、 一人っ子政策などの産児制限政策が、さまざまな人権問題 をひき起こしていることなどの調査もありました。環境や 食糧や水の問題での調査も多かったのですが、植物の光合 成の効率と耕地面積の限界から、地球が人類の生存を支え るキャパシティの限界を導き出した計算などは、荒っぽさ もありつつ、ことの本質に迫るひとつの視点かとの印象を 受けました。 こうして人口問題の深刻さと複雑さを学ぶ中、今の増加 率が続いたとして、人口が地球のそのキャパシティに迫る のはあと何年ぐらいだろうかという計算を指数関数の逆関 数、すなわち対数関数を用いて行うと、せいぜい数十年ぐ らいだろうとの結論に至ります。 以上が、人口問題に関して数学を行った授業の概略です が、上でも述べましたように、受講生にレポート課題にと りくんでもらったことは大変よかったと考えています。と は言え、反省点も多く、今後の改善のために、それも記し ておくことにします。一番の問題としては、受講生の人数 が多いため、発表に十分な時間がとれなかったり、討論の 時間を取れなかったことがあげられます。たとえば「温暖 化によって植物の生育が良くなるのだから、それは悪いこ とではない」といった意見や、上述の植物の光合成の効率 や耕地可能面積によって、地球が人類の生存を支えること のできるキャパシティを割り出すということの有意性につ いては、突っこんだ議論をしたいところですが、私自身の 授業の組織力の限界もあってできませんでした。今後の改 善点としては、レポート作りをグループで行ってもらうこ とにより、発表数を少なくするということが考えられます。 それによって、グループどうしの討論が期待できるという こともあるかもしれません。また、レポートの発表では、 人口増大や環境問題に関するさまざまなシミュレーション が紹介されていましたが、それらの数学的根拠を調べてみ るということについても今後の課題として残されています。 このように、不完全燃焼かつ突っこみ不足の授業という ことになってはいるのですが、このレポート課題の調査は、 次なる「社会の動きを数学する」動機を与えてくれている のではないかとも考えてもいます。たとえば、この先の課 題として「環境の産業連関分析」といった経済政策の分析 手法を学ぶのもひとつの方向ではないかと考え、前期の残 された時間で、それに挑戦してみようと思っているところ です。

社会の動きを数学する

教育地域科学部 理数教育講座 

佐分利 豊

参照

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