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情報リテラシーとしてのGIS

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(1)

帝塚山大学現代生活学部紀要 第1号 61~69 (2005)

R

リテラシーとしての

GIS

落 合 史 生

高等学校での教育課程が変更され,平成18年度から高等学校で情報教育を受けた学生が入 学してくる。今までの大学での情報リテラシー教育ではコンビュータの経験がない者を対象と して,コンピュータに慣れさせることを目的のーっとして教育が実施されてきたが,その教育 内容を大きく変更する必要に迫られている。 この小論で,新しい情報リテラシー教育の一つの可能性として,

GIS

(地理情報システム) についての教育がありえることを提案したい。

GIS

とは情報を地図などの空間情報に関連づ け分析する手法である。

GIS

は狭く地理学の分野にとどまらず,考古学,生態学,土木学, 経営学など広い分野においても活用されている。学術的な分野だけでなく,ビジネスにおいて も重要な手法になっており,例えば,新規の庖舗の立地条件を考える場合などに広く活用され ている。また,レジャーにおいても登山,旅行での活用,あるし刈まドライブでのカーナピゲー ションなどの広い分野で利用されている。

1 . は じ め に

多くの大学で情報リテラシーが実施されているが,その内容は時代とともに変化してきた。 パソコンが普及し始めた頃には,

BASIC

によるプログラム言語教育が主流であったが,既成 ソフトとしてワープロソフト,表計算ソフトなどが普及しはじめると,それらのアプリケーシ ヨンソフトの使い方を教えることが広く行なわれるようになった。また,インターネットの普 及に伴い,メールの使い方,ホームページの検索,作成などが取り入れるようになってきた。 帝塚山大学においては情報教育研究センターが中心となって,そのときどきの要望に応じた情 報リテラシーのテキスト1)を作成してきた。 平成

1

5

年度の高等学校での教育課程の変更により,教科として「情報jが導入され,

I

情 報

AJ

I

情 報

BJ

I

情 報

CJ

のいずれかの授業が実施されている。どの授業が履修されると しても,基本的にはコンピュータ(パソコン)の扱い方については基本的に習得できているも のと考えられる。したがって,大学において情報リテラシー教育は必要ないと言う意見もある が,ほんとうにそうだろうか。また,この新しい状況において大学での情報リテラシー教育と はどのようにあるべきか検討される必要がある。 従来の情報リテラシー教育においても,情報リテラシー教育として何を教えるべきかについ ては,人によって意見が分かれるところであった。例えば,学部によって情報リテラシーの内 容は変える必要があるという意見,あるいは学部に関係無く共通の情報リテラシーがありえる

(2)

という意見が両立していた。また,情報リテラシー教育の根幹はプログラミング教育であり, プログラミング教育を実施しない情報リテラシー教育は欠陥教育であると言う極端な考え方も ある。一方,コンビュータは使えればよく,アプリケーションソフトの発達した現在では情報 リテラシー教育としてプログラミング教育は必要ないという考えもある。 従来の大学での情報リテラシー教育はパソコン・リテラシーであって,情報リテラシーでな いという意見も存在している。情報リテラシー教育を担当してきた者の多くは,今までは情報 リテラシーを行うために,まずパソコンに慣れていない学生に,まず慣れてもらうために,パ ソコン・リテラシーが必要であり,パソコン・リテラーを実施することを通して,情報リテラ シーを行ってきたと考えているのではないだろうか。 平成 18年度以降,パソコシ・リテラシーは基本的には必要なくなる。そのとき学部に依存 しない情報リテラシー教育は必要であるのかについての議論が必要である。私見を述べると, 情報リテラシー教育は学部に依存していると考えている。何をするかの目的なしの情報は存在 しないと同様,何をするかの目的を抜いた教育は存在しないと考えている。しかし,受講する 学生が何を目的としているかを意識しながら,最低限必要であろうと想定される情報リテラシ ーの内容を決めることも不可能でないとも考えている。 共通する情報リテラシー教育の可能性としては,現行の情報リテラシー教育のアドバンス・ コース,プログラミング教育,データベースなどの情報検索教育,数値データに対する統計教 育などが考えられる。また,学部学科においては図形教育を情報リテラシーと位置付けること も可能であろう。それらのーっとして,ここで述べる

GIS

教育がありうると考えている。 なぜなら,

GIS

は利用分野が人文科学,社会科学,自然科学と広いこと,情報検索,統計 処理の要素も含んでいることなど総合的な機能を備えているからである。しかし,

GIS

が共 通する情報リテラシーとして採用する場合でも,題材としては学部に関連する情報を選ぶべき である。そのことは

GIS

以外の情報リテラシーが実施されても同様である。

2

.

GIS

とは

共通する情報リテラシー教育の一つの可能性として

GIS

教育がありえることを理解して いただくために,

GIS

とは何かについて概説するとともに

GIS

の歴史を振りかえてみる2)。

GIS

とは情報を地図などの空間情報に関連づけ分析する手法である。そのことにより,数 値のみでは把握できなかった情報間の関連を把握できるようになる。空間情報を表す方式とし て,大きく分けて,ベクタ一方式とラスター方式の2方式がある。ベクタ一方式のデータは ポイント(点),ライン(線分),ポリゴン(面)などの図形要素によって空間情報を表す。ま た,ラスター方式は空間をグリット(格子)に分割した要素によって空間情報を表す。それら の空間情報は何層かに積み重ねられたレイヤー構造で管理されることが多い。 空間情報とその属性情報を関連付けることが

GIS

の重要な要素である。その関連付けがで きれば,属性情報を空間情報上で表現すること,逆に空間情報を指定することで,空間情報に -

(3)

62-関連する属性情報を表示することが可能となる。このことで情報開の関連を明確に捉えること ができる。そのことにより,

GIS

は実世界と情報の世界を繋ぐシステムとして注目を浴びる ようになったのである。このような

GIS

がどのような経過を経て構築されてきたかを以下に 述べる。 人間は太古の昔から地図を作り続けてきた。それらの地図の多くは紙の上に描かれることが 多かったが,地図は絶えず変化するものであり,その紙の上の改訂作業は地図作成作業に劣ら ず大変な作業を必要とした。コンピュータが発明されて以後,コンビュータを用いて地図を表 現し,修正および処理することが可能になれば,紙の上での問題が解決されると考えられ,多 くの試みがなされてきた。 その最初の試みとして,

1

9

5

0

年代の東西冷戦のもと,北米上空のミサイルを監視すること を目的として,北米防空管制局のシステム

SAGE

が構築された。このシステムは最初にコン ピュータグラフィックスを利用した例であるとともに,コンビュータマッピング技術あるいは

GIS

の原型ともなっている。

1

9

6

0

年代になると,

GIS

として一般に認識されるようになる最初のシステムが登場する。 それはカナダ政府が農業復興開発計画ために構築したカナダ地理情報システム

(

1

9

6

4

)

であ り,ニューヨーク州によるニューヨーク土地利用・天然資源情報システム(

1

9

6

7

)

である。 これら初期のシステムの多くが,比較的狭い特定の問題を解決するために開発されたものであ った。それら開発と並行して,ハーバード大学コンビュータグラフィックス空間分析研究所

(LCGS)

が中心となって

GIS

の基礎研究が行なわれ,多くの研究成果を挙げるとともに,多 くの

GIS

開発者を輩出した。

1

9

7

0

年代からコンピュータマッピング技術はデータベース機能が加わり

GIS

に移行すると ともに,コンピュータによる幾何学の研究が進み,図形処理の基礎体系が整えられていく。

LCGS

に よ り そ れ ら の 成 果 を 取 り 込 み , ベ ク ト ル デ ー タ を 使 っ た 統 合 的 な

GIS

ソフト

ODYSSEY

が開発された。しかし,多くの成果を挙げたのにもかかわらず,

LCGS

は閉鎖に 追い込まれ,研究者達は他大学あるいは企業へ移っていくことになる。

1970

年代は地球観測 衛星からの画像を利用するリモートセンシング盛んになりはじめた時期でもあり,リモートセ ンシングの画像情報と

GIS

情報を組み合わせることも行なわれるようになった。

1

9

8

0

年代に入ると,ワークステーション,パソコンが普及し,身近にコンピュータを設置 できるようになると,

ESRI

社,インターグラフ社など多数の

GIS

ベンダーが安価な汎用

GIS

ソフトを発売するようになる。特に,

ESRI

社は前述の

ODYSSEY

を発展させ,汎用ベクタ ー型

GIS

ソフト

ARCIINFO

の開発する。

ARC

NFO

は独白のトポロジー構造を有し機能面 で優れていたため,

GIS

業界標準のソフトウェアに成長していった。教育用として,クラー ク大学で開発された

GIS

ソフト

IDRISI

(ラスターデータ型

G

I

S

)

3)が大学を中心に普及して

いく。

1

9

8

8

年にはカリフォルニア大学サンタバーパラ校を中心に

3

大学のコンソーシアム,

NCGIA

(国立地理情報システム分析センター)4)が設立され,

LCGS

に変わって

GIS

基 礎 研

(4)

のツールとして多くの現場で活用されるようになった。

1990

年代に入るとインターネットが急速に普及し,インターネット上での地図情報が公開 されるようになってくる。また,

GPS

によるカーナピゲータの普及により地図データが整備 され,個人でも膨大な地図情報を利用できるようになってきた。

2000

年代では,空間精度が上昇した衛星画像が入手可能となり,その画像から地図を作成 することも可能となった。また スペースシャトルからのレーザーによるスキャンにより地球 全域の精密な標高データが得られるようになるとともに,ヘリコプターなどからのレーザーに よるスキャンにより都市部の建物の高さ情報が容易に入手可能となり,

3

次元

GIS

が注目さ れるようになった。

1980

年代からのアメリカにおける急速な

GIS

の普及に対して,日本での普及は遅れたが,

1995

年の阪神・淡路大震災の反省等をきっかけに,政府において

GIS

に関する本格的な取り 組みが始まった。その中核となる取り組みが,国土空間データ基盤の整備である。学術面では

1991

年に地理情報システム学会5)が設置されとともに,

NCGIA

のような

GIS

研究のセンタ ーの設立が東京大学都市工学科を中心としてすすめられ,

1998

年に東京大学に空間情報科学 センター6)が誕生した。 このような状況を受けて,日本の大学でおいても地理学科,環境学科,土木学科などで

GIS

教育を行うところが出てきたが,学生数だけ揃えるには

GIS

ソフトの高価であったこと,地 図データ,統計データなどが高価であったことなどにより,あまり普及していないのが現状で ある。また,この小論で述べるような情報リテラシー教育として位置付け

GIS

教育を行って いる大学はまだ存在していない。 しかし,国土空間データ基盤の整備事業の一環として,国が持つ地図データ,統計データの 一部が無料でホームページ7)からダウンロードできるようになり,あるいは,それらのデータ を活用するためのフリーのソフトも公開されるなど状況は変化してきている。また,次章で述 べるように日本において独自の

GIS

ソフトが開発され,フリーのソフトとして公開され出し たことから,今後大学で

GIS

教育を盛んに行われる下地が整い出したと言える。

3

.

情;幸日リテラシーとしての

GIS

筆者は帝塚山大学の人文科学部人間文化学科

2

年配当科目「情報処理論

I

J

を担当してき た。この科目は情報リテラシー教育を履修した学生を対象に 表計算ソフトを用いて統計処理 の 初 歩 を 習 得 さ せ る こ と を 目 指 す 科 目 で あ る 。 講 義 に 用 い た 表 計 算 ソ フ ト の 一 つ で あ る

M

i

c

r

o

-

S

o

f

t

杜の

EXCEL

には

MAP

機能があり 表計算のデータに応じて地域別に色塗りす るなどの簡易

GIS

機能があった。この機能を用いて,統計データを地理空間上で把握させる こ と に 利 用 し て き た が 残 念 な が ら

MAP

機能は

2003

年版以降の

EXCEL

からは削除されて いる。

現在,

EXCEL

MAP

機能に変わるものとして,筆者は

ESRI

社のAr

c

E

x

p

l

o

r

e

r

を用い

(5)

64-ている。Ar

c

E

x

p

l

o

r

e

r

GIS

ソフトで世界第

1

のシェアを誇る

ESRI

杜が開発したフリーの

GIS-Viewer

ソフトである。日本語化は

ESRI

杜の代理庖でもある

PASCO

(株)が行ってお り,

PASCO

のホームページ8)から入手できる。また, Ar

c

E

x

p

l

o

r

e

r

で表示できる

Shape

式の市町村別の境界地図も入手可能である。

Ar

c

E

x

p

l

o

r

e

r

では

EXCEL

MAP

機能にはない検索機能があるので,

GIS

教 育 に は 都 合 がよいが, Ar

c

E

x

p

l

o

r

e

r

のデータベースの部分が

dBaseIV

形式になっており,

EXCEL

のデ ー タ を 用 い る に は デ ー タ の 変 換 作 業 が 必 要 で あ る 。 そ の た め

EXCEL

との連係が面倒であ る。また,地図データ作成機能がないので,既存の地図データを利用するか,

ESRI

社のAr-cView

などの

GIS

ソフトで作成したデータを用意する必要がある。

研 究 室 で は

GIS

ソフトとして,

MapInfo

9),

MacGrafix

10)Ar

cView

ll)などを購入して,

卒業論文の作成などに利用してきた。例えば,スーパーマーケットの立地問題,近畿圏の市町 村別地域分析などに,これらの

GIS

ソフトを利用してきた。データの扱い方などで疑問が生 じた場合に参考にしたのが

GIS

実習テキスト12),ホームページの情報13)であった。 帝塚山大学においても授業での本格的な

GIS

ソフトの導入が検討され,

ALSOFT

社の

G

e

o

-Concep

t

1

4)が導入されることになり,教職員,学生を対象に講習会が実施された。その後,筆 者の担当する人文科学部人間文化学科2年生配当科目「環境情報論j の講義において利用す るはずであったが,諸般の事情により「環境情報論jの担当から離れることになり,残念なが ら実施するところまで至っていない。 新しいソフトを教育に導入するとき問題になるのが,学生が自宅で自習できるかである。

GIS

ソフトの多くは個人で買うには高価である。学生に対して

1

万円以上のソフトの購入を強制 することは困難である。学生が自宅で自習できるためにはフリーのソフトが望まれる。

GIS

の入門としての十分な機能をもったフリーのソフトの登場しはじめた。一つが埼玉大 学教育学部谷謙二よって開発された

MANDARAI5)

である。そのソフトはフリーの普及版とシ ェアウェア版とが存在している。新しいソフトを利用するとき,使い方の情報が多いかどうか は重要な点である。

MANDARA

はすでに多く人によって利用されており,鳴門教育大学立岡 裕士16),富山大学人文学部大西宏治17)は

MANDARA

を用いて行った実践結果をホームペー ジ上で紹介している。また,作成者の谷謙二らがテキスト

rMANDARA

EXCEL

による市 民のための

GIS

講座j18)の出版を行い,

MANDARA

の普及に努めている。

MANDARA

が教育

GIS

ソフトとして優れている点は「①フリーソフトである。②ソフト が公開されている。③地図の作成修正機能を持っている。④

EXCEL

との連係がしやすい。⑤ テキストが発売されている。

J

などである。 筆者も今年の後期から試しに,現在担当している

3

年対象の「情報処理論

I

I

J

で使ってみ たいと思っている。ただ,テキストの例が埼玉県のデータであるので,授業で使う場合は近畿 圏の市町村の地図とデータと取り入れる必要があると考えている。全国の詳細な地図データが 総務省統計局・統計

GIS

プラザのホームページ19)から入手可能である。地図データと同時に 国勢調査の結果などの統計データも公開されている。また,街区レベルの緯度経度などの位置

(6)

参照情報が国土交通省国土計画局の

GIS

ホームページ

2

0

)

から入手可能である。あるいは

CSV

アドレスマッチングサービスのホームページ

2

1

)

においては,調べようとする位置の町丁目を 入力すると,緯度経度へ変換するサービスを行っている。 学生に

GIS

ついて興味を持ってもらうためには,身近な利用例があることが望ましい。国 土交通省国土計画局では,一般家庭・教育分野における

GIS

(地理情報システム)の利用の 推進を目指して,企画公募方式により,夢があって,親しみやすいアプリケーションの開発を 行う「一般家庭・教育分野における

GIS

アプリケーシヨン開発事業」を平成

1

4

年度に実施 した。各種企業・団体から 65件のユニークな提案が寄せられ,その中でも特に優れた 10種 類の

GIS

アプリケーションの開発を行い,

I

なるほど便利!

GIS

道具箱」としてホームペー ジ

2

2

)

で公開している。それらのソフトとして,ウォーキング・ジョギングの友,デジタルア ルバム,自分の足跡記録マップ,ケータイ日記など興味がそそられそうなタイトルが並んでい る。それらのソフトの利用方法を紹介した『地図で遊ぼう

GIS

でつくる本格地図J1

2

3

)

も出版 されている。最近では

GPS

付きカメラ携帯電話があるので,撮影した画像を地図上に関連付 けることもさらに容易になってきているので,おもしろい利用例である。 登山家が中心となって,パソコン通信

N

i

f

t

y S

e

r

v

e

の山の展望と地図のフォーラムが作ら れ,その活動を紹介する本として,

r

パソコンで楽しむ山と地図J1

2

4

)

が出版され,登山家の間 だけでなく一般の人にも好評であった。そのなかでも代表的なソフトがカシミール25)であ る。カシミールは地図情報だけでなく

GIS

の考えが取り入れられ,いろんな角度から地図を 楽しむことができる。また,カシミールを紹介する本26)も出版されている。 いろんな分野おいて

GIS

教育を展開する条件が整ってきたと言える。環境問題に関して MANDARAのテキストにヒートアイランド現象の分析の例が示されている。それ以外にも特 に環境教育を意識した

GIS

ソフトとして,横浜国立大学小池文人によって作成された「みん なで

G

I

S

J

2

7

)

を挙げることができる。そのホームページからフリーで入手できるとともに,汚 染物質の拡散予測,生物のマッピングなどでの

GIS

の活用例が紹介されている。 埼玉大学工学部大沢研究室では,従来の

GIS

は時間に関する概念をほとんど考慮されてい な い と し て , 空 間 情 報 に 加 え 時 間 情 報 を 取 り 扱 う こ と が 可 能 な 時 空 間 地 理 情 報 シ ス テ ム

(STIMS)

を開発して,フリーソフト

2

8

)

として公開している。さらに

STIMS

の普及版とし て,

STIMS

ディジタルアルバム

GIS

アプリケーション

(STIMSf

o

r

e

d

u

c

a

t

i

o

n

)

の開発をす すめ,

GIS

についての詳しい知識がない者でも,手軽に

GIS

ソフトを体験できることをねら っている。具体的には,デジタルカメラで撮影した写真を地図に貼り付けることや,ビデオカ メラで撮影した

MPEG

動画を撮影場所にはりつけることや,旅行などで訪れた場所の感想な どをテキストのメモとして地図上に貼り付ける機能などを備えている。 最後に多くの分野における

GIS

の活用例を紹介した本およびホームページを挙げてこと で,この章をとじることにする。地理学への

GIS

の利用としては

2

9

)

,考古学への応用

3

0

)

,歴 史学への応用

3

1

)

,地球科学への応用

3

2

)

,森林学への応用

3

3

)

,行政とビジネスへの応用

3

4

)

,マ ーケテイングへの応用35)などである。また,インターネット上に分散・点在する地理情報の -

(7)

66-所在情報を一斉に検索するための地理情報クリアリングハウスとして,国土地理院のシステ ム36)を挙げることができる。

GIS

の教育における普及に関しては教育

GIS

フォーラム37),地理情報システム学会の学校 教育委員会において取り組みが行われている。

4

.

お わ り に

地理の分野では

GIS

に関して

IGIS

はツールか,それとも科学か

?

J

の論争が続けられて きた38)。ツールではなく科学であると捉える人は

GIS

S

はシステム

(

S

y

s

t

e

m

)

S

では なく,サイエンス

(

S

c

i

e

n

c

e

)

S

であると考えている。それは地理情報科学,空間情報科学 あるいはジェオマティックス

(

G

e

o

m

a

t

i

c

s

)

, ジ ェ オ イ ン フ ォ マ テ ィ ッ ク ス (

G

e

o

i

n

f

o

m

a

t

i

c

s

)

などともよばれ,空間情報を扱う科学の分野であり,地理情報システム

(

G

I

S

)

,測地学,測 量,地図学,

GPS

,ナピゲーション,リモートセンシング等を含む科学あるいは工学と考え られている。また 空間的な位置や領域を明示した自然・社会・経済・文化的な属性データ (=

I

空間データ J) を,系統的に構築→管理→分析→総合→伝達する汎用的な方法と,その汎 用的な方法を諸学問に応用する方法を研究する学問であるとも位置付けられている39)0

GIS

はそのように科学として捉えられるとともに,ツールである側面があるのも事実であり,その ために広い分野で利用されているともいえる。

GIS

教育を行う場合においても

IGIS

教育はツール教育か

?

J

の論争が起こりうる可能性 がある。今までの情報リテラシー教育においても「情報リテラシー教育はツール教育か

?

J

の 疑問が投げかけられてきた。必要とあれば,ツール教育をしっかり行うことは,学生にとして も望むところであろう。そのとき,なんのためのツール教育かを意識して教育を行うことが重 要であると考える。その点が十分に検討されずに,ツール教育が導入される場合が多いように 思われる。 なぜ,その教育を導入するかの議論が必要なのは,大学での情報リテラシー教育に止まら ず,高等学校での情報教育導入についても同様である。高等学校での情報教育に関連して議論 してきたが,現在では高等学校での情報教育以前に,すでに小学校,あるいは幼稚園からツー ル教育としてコンピュータ教育が行なわれている。果たして低年齢からの子供達にコンピュー タ教育が必要であろうか。テレビゲームが出現以降,子供達は外で遊ばなくなって久しい。そ れにともない子供達のコミュニケーション能力が低下してきているとも言われている。十分に リアルの世界での実体験を体験してから,コンピュータのバーチャルの世界に係わるのであれ ばよいが,テレビゲームと同様に,実体験を十分に積まないうちからツール教育としてコンピ ュータ教育を行うことは害の方が多いのではないだろうか。 長崎県での小学生による同級生殺害事件において,加害者,被害者ともホームページを作成 し,パソコンでチャットを行っていた。ホームページの内容に関するトラブル,チャットでの やりとりが殺意の一因であったと言われている。チャットは文字のみ情報であり,顔の表情,

(8)

音声の抑揚の情報が欠落した会話であるため,成人においてもチャットで相手の感情を無視し た言葉を発して, トラブルを起こす場合が多いが,実体験を十分に積んで、いない子供の場合, 発言をそのまま受け取り, トラブルが生じる可能性がさらに高い。パソコンでチャットを教え るまえに,実生活でのコミュニケーションのトレーニングが先ではないだろうか。 すでに子供達は実生活では人間関係を求めず,顔の見えないインターネットなとミバーチャル の世界に人間関係を求めることが増えてきている。しかし,バーチャルの世界の世界は,情報 の欠落した世界であることを十分に把握しておく必要がある。そして,バーチャルの世界が実 生活と関係ない夢の国のように見えても,リアルの世界と深く係わっており,いつ現実が牙を 剥くかもしれないのである。そして,一見心地よさそうに見えても,人間は決してバーチャル の世界では生きられないことを十分に理解する必要がある。それらの点を踏まえて,小学校な どでコンピュータ教育が行なわれているのだろうか。 大学での情報リテラシー教育においても,学生達が十分に実体験を積んでいるなら,コンビ ュ ー タ の バ ー チ ャ ル の 世 界 の み の 教 育 で よ い が , そ う で な い 学 生 が 増 え て い る の も 現 実 で あ る。教育のなかでリアルの世界をも体験させることを取り入れる必要があるように思える。そ のことを可能にするツールを与えるものとして,ここで取り上げた

GIS

が可能性を秘めてい ると思われる。 しかし,どのようなツールを使い,どのような教材を使おうと,その教育の実施如何によっ て,プラスにもマイナスにもなる。チャットに関して否定的なことを述べたが,チャットも教 育の実施如何によって,本来のコミュニケーションの道具にもなり,コミュニケーションを破 壊する道具ともなりえる。 今まで情報リテラシー教育を実施してきて,バーチャルの世界とリアルの世界を結ぶことの 難しさを実感している。教育を行っていてもときとして,バーチャルの世界のみに頼ってしま う場合が多いことを反省しながら,この小論を終えたいと思う。 参考文献 1 )横見博之,落合史生,高橋晴子 1990 rELEMENTARY FORTRAN 77.1京阪奈情報教育出版 情報教育研究センター編 1990 rBeginner's Lotus 1-2-3.1京阪奈情報教育出版 情報教育研究センター編 1992 rBeginner's一太郎 Harmony.l京阪奈情報教育出版 情報教育研究センター編 1992 rELEMENTARY BASIC.I京阪奈情報教育出版 情報教育研究センター編 1994 rBeginner's C.I京阪奈情報教育出版 情報教育研究センター編 2004rパソコンソフト入門』 2 )久保幸夫1996 r新しい地理情報技術』古今書院 矢野桂司 1999 r地理情報システムの世界』ニュートンプレス 野上,阿部,貞広,隈元,西川 2001 r地理情報学入門』東京大学出版会 3) IDRISI・ホームページ http://www.clarklabs.org/ 4) NCGIA・ホームページ http://www.ncgia.ucsb.edu/ 5 )地理情報システム学会・ホームページ http://wwwsoc.nii.ac.jp/gisa2/ 6 )東京大学空間情報科学センター・ホームページ http://www.csis.u-tokyo.ac.jp/japanese/ 7 )統計 GISプラザ・ホームページ http://gisplaza.stat.go.jp/GISPlaza/ 68

(9)

8) ArcExplorer.ダウンロードhttp://www.esrij.com/products/arcexplorer/exp_dl.shtml 9) MapInfo・ホームページ http://www.mapinfo.jp/

10) MapGrafix・ホームページ http://www.comgrafix.com/mapgrafix_gis.html 11) ESRI Japan .ホームページ http://www.esrij.com/index.shtml

12)ジオマチック研究会1999 rGIS実習マニュアルArcView版

J

日本測量協会 大場 享 2001 r ArcViewによる地域分析入門

J

成文堂

13)てくてく GIS.ホームページhttp://home.csis.u-tokyo.ac.jprakuri/

14) GeoCocept.ホームページhttp://www.gis.ctc-g.co.jp/geo/ 15) MANDARAホームページhttp://www5c.biglobe.ne.jprmandara/

16)富山大学人文学部 大西宏治http://www.hmt.toyama-u.ac.jp/geog/ohnishi/

17)鳴 門 教 育 大 学 立 岡 裕 士http://www.naruto-u.ac担rtatuoka/mandara/main.html

18)後 藤 真 太 郎 , 谷 謙 二 , 酒 井 聡 ー2004rMANDARAとEXCELに よ る 市 民 の た め の GIS講 座

J

古今書院 19)統 計GISプラザ・ホームページhttp://gisplaza.stat.go.jp/GISPlaza/ 20)国土交通省国土計画局の GISホームページhttp://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/gis/ 21)空間情報科学研究センター 相 良 毅http://spat.csis.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/geocode.cgi 22)な る ほ ど 便 利 !GIS道具箱http://w3land.mlit.go叩/nrpb-gisbox/ 23) TnT Project 2003 r地図と遊ぼう GISでつくる本格地図

J

九天社 24)山と地図のフォーラム 1997 rパソコンで楽しむ山と地図』実業之日本社 25)カシミール・ホームページ http://www.kashmir3d.com/ 26)杉 本 智 彦2002 rカシミール3D入門』実業之日本社 杉本智彦2002 rカシミール 3DGPS応用編』実業之日本社 杉本智彦2003 rカシミール 3Dパーフェクトマスター編』実業之日本社 27) Minna de GIS小 池 文 人http://www13.ocn.ne.jprminnagis/ 28) STIMS埼玉大学工学部大沢研究室http://www.mm.ics.saitama-u.ac.jp/stims/index.html 29)高阪宏行,村山祐司2001 rGIS地理学への貢献』古今書院 30)金田明大,津村宏臣,新納 泉2001 r考古学のための GIS入門

J

古今書院 31)人 文 科 学 と デ ー タ ベ ー ス 実 行 委 員 会 : 過 去 を 知 る た め の GIS 地 理48-7 (2003) P 56~49-4 (2004) P 66 / 32)地球科学における GRASSGIS入門httゆp: //www.sci.o凶saka一cu.ac.担

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-ma柑 旧a邸sumo叫to/vuni討v99即

33引)木平勇吉,西川匡英,田中和博1998 r森 林GIS入門

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日本林業技術協会 34)高阪宏行1994 r行政とビジネスのための地理情報システム

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古今書院 35)平下 治1998 rGISマーケテイング入門

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ダイヤモンド杜

36)地理情報クリアリングハウス・ホームページhttp://zgate.gsi.go.jp/ 37)教育GISフォーラム http://www.e-gis-forum.jp/forum/

38) D. J. Wright, M. F. Goodchild and J.D. Proctor 2002 GIS: Tool or Science? Space, Society and Geographical Thought 7 P 48-66

参照

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