八判例評釈
V
民法二一
三条の囲縫地通行権と囲綾地の承継
最 高 裁 平 成 二 ・ 一 一 ・ 二O
判決 ( 昭 六 一 側 一 八 一 号 ・ 第 三 者 異 議 、 土 地 明 渡 等 請 求 事 件 ﹀ 民 集 四 四 巻 八 号 一O
一 二 七 頁米
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73一一『奈良法学会雑誌』第5巻4号(1993年3月〉 一民法一二三条は土地の分割によって袋地が生じた場合、他の分割者の所有地のみを通行することができると規定する。囲繰一 一地に特定承継が行われた場合にも民法一二三条は適用されるかどうかにつき最高裁判所のはじめての判例である。下級審の判一 一 例 、 お よ び 学 説 は 分 れ て い た 。 一 一 ︹ 参 照 条 文 ︺ 民 法 一 二 三 条 一 ︽ 事 実 ︾ A は、元来、ィ土地、ロ土地およびハ土地を所有して、そこに居住していた。そして、 A は、隣接する本件土地一およ び本件土地ニを B から賃借し、野菜の栽培などに利用していた(その後、 B は、本件土地一をもに贈与し、本件土地二をもに遺贈 し た ) o A は、ィ土地、ロ土地およびハ土地を更地にし、本件通路部分を整地して通路としての体裁を整え、残りの本件土地一およ び本件土地ニに車庫を建築した。その上で、イ土地、戸土地およびハ土地を合筆して一筆の土地とし、直ちに、それを甲土地と乙 土地に分筆した。そして、甲土地を X に売却し、さらに、乙土地を C に 売 却 し た 。 X の購入した甲土地は、袋地であるが、乙土地を購入した C は、甲土地との境界に高さ一ないし二メートルの石垣を設置した。 その結果、本件通路部分を通行する以外には、甲土地から公道に至る方法は、事実上、なくなった。そこで、 X は、本件通路部分第5巻 4号 一 一74 ,、土地 A
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新 路 本件通路部分 通 E U 本件土地 通 に つ い て 、 民 法 二 一O
条の通行権を主張し、本訴におよんだ。 原 審 は 、 X が A から甲土地を譲り受けた時点で、乙土地に対する民法一一一一二条の通行権を取得し、その後、乙土地が A か ら C に 譲 渡 さ れ て も 、 C が通行受忍義務を承継するとして、 X の 主 張 を 排 斥 し た 。 こ の た め 、 X が 上 告 し た 。 ︽判旨︾本判決は、四対一で意見が分かれている。 多数意見は次のとおりである。﹁共有物の分割又は土地の一部譲渡によって公路に通じない土地(以下﹁袋地﹂という。)を生じ た場合には、袋地の所有者は、民法一二三条に基づき、これを囲続する土地のうち、他の分割者の所有地又は土地の一部の譲渡人75一一民法二一三条の四銭地通行権と囲銭地の承継 芳しくは譲受人の所有地(以下、これらの閤緩地を﹁残余地﹂という。)についてのみ通行権を有するが、同条の規定する函篠地通 行権は、残余地について特定承継が生じた場合にも消滅するものではなく、袋地所有者は、民法二一
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条に基づき残余地以外の囲 能地を通行しうるものではないと解するのが相当である。けだし、民法二O
九条以下の相隣関係に関する規定は、土地の利用の調 整を目的とするものであって、対人的な関係を定めたものではなく、同法一二三条の規定する間続地通行権も、袋地に付着した物 権的権利で、残余地自体に課せられた物権的負担と解すべきものであるからである。残余地の所有者がこれを第三者に譲渡するこ とによって閤緩地通行権が消滅すると解するのは、袋地所有者が自己の関知しない偶然の事情によってその法的保護を奪われると いう不合理な結果をもたらし、他方、残余地以外の囲緩地を通行しうるものと解するのは、その所有者に不測の不利益が及ぶこと になって、妥当でない﹂。(多数意見、裁判長坂上蕎夫、裁判官佐藤庄一郎、裁判官可部恒雄) 反対意見(園部逸夫裁判官)は次のとおりである。﹁同条︹一二三条のことi
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大島注︺が民法二一O
条一項の例外的な規定で あることに加えて、間続地通行権が土地の物理的な属性のほか、対人的要素をも考慮して定められていることにかんがみれば、民 法二一三条は、残余地が共有物の分割又は土地の一部譲渡をした当時の所有者の所有に属する限りにおいて、袋地所有者が残余地 を無償で通行しうる旨を規定したに止まり、残余地が当時の所有者から第三者に譲渡されるなどして、その特定承継が生じた場合 には、同条の規定する回繰地通行権は消滅し、民法一二O
条一一項の規定する囲繰地通行権を生ずるものと解するのが相当である。 多数意見は、右のとおりに解すべきものとすれば、袋地所有者が自己の関知しない偶然の事情によってその法的保護を奪われる という不合理な結果をもたらし、他方、残余地以外の囲緩地の所有者に不測の不利益が及ぶことになって、妥当でないというが、 民法二一三条の規定する困撲地通行権が残余地の特定承継によって消滅するとしても、特定承継を生ずる前、既に袋地所有者が残 余地を通行しているなどの事情があれば、袋地所有者のために必要にして、かっ、間繰地のために損害が最も少ない通行の場所及 び方法として、従前の残余地を選ぶべきものと解されるから、多数意見の批判はあたらないというべきである。かえって、共有物 の分割又は土地の一部譲渡によって公路に通じない袋地が生じたにもかかわらず、袋地所有者が残余地を現に通行することもなく、 また、残余地の所有者と通行のために折衝することも、囲繰地通行権を主張することもなく推移してきたというような事情がある 場合にも、その後に残余地の所有権を取得した第三者が図焼地通行権を当然に受忍しなければならないというのも不合理であ⋮出。第5巻4号一-76 ︹ 研 究 ︺ 本判決は回繰地通行権の一般理論につき検討しているところが少い。多数意見も少数意見も同様である。筆者は囲緩地通行権理 論につき比較法的にドイツ民法理論を参照し、その精徹化を試みる。 ハ円、回続地通行権の規範目的向、囲綾地通行権の前提、局、他人の土地利用の適法性、個、接合の必然性、伺、国情腕地通行権の受 益者、刷、囲篠地通行権の法的性質、回、囲緩地通行権の方向と範囲、刷、通行料につき考察する。 一ハ円囲緩地通行権の規範目的 この権利は法定の隣地所有権の制限であり、判決によって構成してゆく
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である。争訟に関する判決は宣 言的にして、新しい権利を創設するのではなく、受忍義務とその範囲を確定する。相隣理論のなかに位置づけることができる。相 隣理論は個々の所有権が拘束されていないことを問うことはない。土地所有権は接合しているので土地所有権の﹁共同体理念﹂か ら発生する契機をみとめなければならない。相互に依存しているので、多くのことを放棄し、また、受忍しなければならない。 この相隣理論に対して全開白o m
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部分的強制収用権能)を含んでいる。公用徴収理論は後期中世の法伝統を召喚した ものであり、国家権力の干渉によってこの通行権を許容し、土地所有権への侵害を構成した。回続地通行権は土地登記簿に登記さ れなければその範囲と方向が疑われるので、土地登記簿に役権として登記される場合にのみ許容されることができる。 立法者は相隣理論に賛同したが、民法施行後二O
年ほど議論は休むことはなかった。判例は、立法者の判断は囲続地通行権の実 務的処理にふさわしいとした。立法者は所有権の内容と限界は判定法によって定めなければならないと決定した。袋地所有者は閉 経地通行権の許容の債権的請求権を取得し、制限は制定法を通して行われるのではなくして、私法上の法律行為の完成化をもって ハ 2 ) 行われる。したがって、この制限は立法による制限のための憲法上の要請と一致しない。 同囲緯地通行権の前提 この前提は袋地が公路に通じないために発生している苦境である。公路からの、あるいは公路への到達で公的取引に捧げられる 通行路が保護されるのであって私道F
守主唱認に通ずる通行路は保護されない。公路に通ずるという意味は明示に公的交通に捧77一一民法二一三条の囲畿地通行権と囲畿地の承継 げられているのではないが、その道がすべての関係人ハ所有権者、道路工事人、道路保安庁)によって黙示に一般的交通のために 定められていることにあてはまる。私道の所有者による一般的・公的交通の忍容では充分でない。一つの通路がもっ公的性質ある いは私的性質への問いかけは公的
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法的先行問いかけとして裁判所の管轄の問題になる。公的なの相当帥gR
へ通ずることは保護 さ れ な い 。 土地が公路から完全に隔離され、公路から直接に通ずることが排除されている。たとえ土地の一部が公路から利用されうるとし ても残余地の利益のために必要な接合が欠如していることがありうる。当該の土地は公路への接合をもっているのであるが、個々 の土地の秩序正しい経営は各々の利用者のために第二の通路の設定を担保することができる。同様に、現在の通路が秩序正しい経 営のために充分でないとき、あるいは、利用の変更のために充分でないときにも袋地の苦境が承認される。囲務地通行権はその土 地に公路との接合が欠如していることを前提とするのではなくして、秩序正しい土地の利用に必要な接合が存在していないという ことを前提とするのである。現在存在する道路の適当性に対して、この通路の事実上の状態のなかにある障碍と同様に会的l
法 的 にささげることの限界のなかにある障碍が対立することがありうる。 囲櫨腕地通行権は道路の欠如が他の方法で除去されるならば与えられることはない。この方法が囲繰地通行権よりもより煩墳で、 より不便で、より費用がかさむとしても、土地所有者はこれを利用しなければならない。しかし、この方法を通して土地利用の経 済性が著るしく侵害されるならば、利用しなくてもよい。必要経費が土地の全収益と比例しないとき、必要経費が囲綾地通行権の 費用と比例しないときも同様である。債権契約によって通行権が設定されるときも囲綾地通行権は発生しない。囲縫地通行権は通 行が汎濫によって停止されるとき、あるいは吹雪、道路工事作業によって短期間停止されるときにも発生する。消防車、救急車の ハ 3 ﹀ 通行妨害の際土地所有者は緊急避難の原則によってその通行を受忍しなければならない(山由記切の恩。 同土地利用の秩序適合性 一つの利用が秩序に適合しているかどうかの物差しは客観的に価値判断されるべき実際の経済の事実上の必要性が決定する。し たがって土地所有権者の思惑的投機的あるいは個人的な必要性は顧慮されない。土地はその性質にしたがって主張された利用のた めに定められなければならない。必要性の物差しは、土地の最高の利用を確保し、また、変化した経済的必要性への適応を可能に第5巻4号一一78 するために、広く解釈されなければならない。土地の利用の種類、大きさ、その周囲、それ以外の個々の事案の事情が基準を与え る。従来の利用の仕方に依拠するのではない。囲櫨腕地通行権は、所有権者が土地の利用の仕方を変更し、そのためにはじめて間続 地通行を主張することが必要になる場合にもまた与えられる。この選択された利用の仕方は客観的に、また理性的裁量に従って土 地の自然に与えられた関係に一致しなければならない。回線地通行権はこの範囲において工学的進歩、あるいはそれ以外の要件を 通して時代に条件づけられた利用の仕方の変更に対して自由で妨げられるとはない。ただし、苦境が客観的に怒意的な利用の変更、 理性的考察の仕方の際不相当、あるいは一義的に非目的的利用の変更を通してもたらされない場合である。 所有権者自身あるいはそれ以外の債権的、物権的権利者が土地を利用しているかどうかは意味のないことである。その理由は、 ハ 4 ) 法は土地の苦境を顧慮しようと欲しているのであり、使用者の個人的需要を顧慮していないからである。大審院の判例によれば、 所有権者は、囲櫨腕地通行路のない土地は適当な価格で賃貸することができないがゆえに、囲篠地通行路を求めることはできない。 ところで、囲篠地通行権は土地の苦境を救済することであり、特定の使用権者の苦境を救済することは目的ではなく、利用してい L る人は意味がないので、大審院は具体的に行使された利用が秩序にふさわしいかどうかを検討しなければならなかった。 土地が公路と通じていない場合、所有権者と異なる物権的使用権者もまた囲続地通行権を主張することができる。所有権者は利 用の譲渡の権限があるので、譲受人によって具体的に行使された利用が決定的であり、利用の秩序適合性が検討されなければなら な L 企業経営の際には収益性を維持するための利用が秩序適合的である。建物建築が公法によって許容されなければ、土地の建築的 利用は秩序適合的でない。建築が承認されるならば、建築施設の建築法違反は利用の秩序適合性に異議を唱えることはできない。 土地の秩序適合性は、乗用車がその土地を走行し、そこに停止することができるときにのみ担保されることができるかどうかは、 ハ 5 ﹀ ︿ 6 ﹀ 判例と教説において長く争われた。連邦通常裁判所は、この争いにつき、住宅地での自動車と乗用車の意味により必要な走行は住 民の一般的生活水準の一部の必需品として秩序適合的土地利用とみられることはもちろんであると住宅地のために決定したが、そ の土地に公路への必要なむすびつきが欠如しているかどうかの、囲篠地通行権を承認するための意味のある問いかけのために決定 ︿ 7 ﹀ しなかった。連邦通常裁判所は、囲揖腕地通行路の必然性を問いかける際、定着した判例に従い、厳格な物差しを設けている。すな
79一一民法二一三条の囲緩池通行権と図務地の承継 わち、この裁判所はより大きい都市において住宅敷地は、しばしば自動車で到達することはできないので、その地所を秩序適合的 に住宅敷地として利用することができるために、自動車のための通行可能性が一般に必要でめるという見解を拒否している。地所 が都市の中核部に存在するか、あるいは、周辺部に存在するかどうかは区別を生じない。これに反して、隣地に、境界に近い位置 のために共同利用されることができる車庫の通路があるならば、この通行を許るすことは二つの地所の秩序適合的な利用である。 この場合、囲綾地通行権が肯定されることができる。 ドイツでは住宅敷地以外のための最高裁の決定はでていない。乗用車を停車させることは秩序適合的地所利用の一部であること は理由づけられる。回桂腕地通行権の承認は囲緩地通路の公路への接合の必然性を問いかけるのである。囲綾地通行権の立法者は隣 人に最高の綜合利用を達成させること、また 1 乗用車を道路に停めることは建築法の見地から望ましくないという原則から出発す るので、乗用車を排除することは包括的な利益衡量に従つてのみ許容される。切実に求められた因縁地通行権を一面的な利益価値 評価の根拠からのみ拒否することは欠点を示している。利益衡量の際には次のことが注目される。
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休止している交通の公路からの距離の安全性の利益、ω
、場所に条件づけられた特殊性(例えば、主として居住目的に役立つ地所、ω
、 土 地 利 用 の 種 類 、ω
、期待される利用の強度と隣地に対するその作用効果、 仰、自己の地所の外部に存在する適当な停車地面の存在。 個、公路へ通ずることが欠如していることの必然性 その欠如の際にのみ囲緩地通行権が発生することができる接合の必然性につき、立法者は隣地所有権者を排除することに役立つ 管理道具を導入した。公路へ通ずることが欠如していることの必然性につき囲務地通行路が自ずともたらす侵害の重大さに際して 厳格な要請が置かれなければならない。便利性と合目的制性の根拠からのみ隣地の負担は正しいとみられない。必然性の問いかけ の基準時点は争いがある場合には口頭弁論終結時である。 岡、図続地通行権の受益者第5巻4号一-30 閤漉地通行権の受益者は苦境に苦しむ地所の所有権者である。永小作権者(開与宮島可巾円伊丹)、小さな農地の所有者
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、鉱物所有者(﹀2
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切の切の回てその他の物権的 利用権者も所有権者と同様に取り扱われる。判例は反対である。困緯地通行権の必然性は彼等によって実践された土地利用にした がって測定されるからである。強制管理が指図されると、強制管理人は所有権者の代りに閉緩地通行権を訴訟上主張することがで きる。共有者は各々が回繰地通行権を独立に主張することができる。反対説は、囲緩地通行権とともに定期金義務を伴う負担が発 生するので共有者全員の共通の行為を要求するという。しかし、この負担は、回繰地通行権と同様に、法律によって発生するので、 反 対 説 は 拒 否 さ れ る 。 閤緩地通行権は土地の苦境を救済せんと欲する。所有権者がその利用を第三者に譲渡しても囲繰地通行権は彼に帰属する。物権 的あるいは債権的利用権者は自己固有の囲繰地通行権を有しないので所有権者に帰属するこの権利を行使することができる。 公路との接合を妨げている土地の所有権者は受忍義務を負う。多くの共有権者に対しては囲漉地通行権は共通に主張される (申毘﹀ Z-fNH吋 色
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N 旬。)。多くの所有権者の異なる囲漉地に対して囲繰池通行権者は共同訴訟人に対して共通に訴えることが で き る ニE
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-物権的あるいは債権的権利者はこの通行権の相手方であることはでき時 V o 同、囲纏地通行権の法的性質 間続地通行権は民法(日本民法二一O
条以下、山由戸吋切の切)の定める前提に適応する苦境の存在を契機として発生する。これ は憲法の定める所有権の制限に一致しなければならない。ところで、このようにして発生した囲緩地通行権は利用の種類、時、態 様に関して内容的な具体化を必要とする。 争訟を決定する判決は単に宣言的意味を持つにすぎない。判決は法により存立している所有権の制限を確認し、回繰地通行権の 態様を確定する。法により理由づけられる土地所有権の制限としての囲緩地通行権の法的性質の承認はーーそのかぎりで構造的に 等しい境界除越建築(ゆS
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切の恩と比較されることができる││実際的に意味のある教義学的帰結を招くのである。 利用権は、契約による確認または判決による確定を必要とすることなく、発生する。権利者は囲緩地を、回繰地通行権の前提が 存在する瞬間から利用することができる。利用権はその方向と範囲に関して法的内容に一致する枠に制限される。権利者が係争事81←ー民法二一三条の図緩地通行権と囲農地の承継 件において判決によって確認されるべき利用権を織越するならばその容態が緊急避難によっで なければ、違法である。 隣人は苦境に苦しむ所有権者に囲緩地通行路に立ち入ることを拒絶することはできない。隣人の不作為の訴に対して囲縫地通行 権は抗弁的に異議をとなえることができる。 囲緩地通行権は法的前提の存在とともに発生するので苦境に苦しむ所有権者は隣人の土地をその意思に反して利用することがで きる。回線地通行権(申由戸斗∞の切)は所有権者に隣地の占有妨害を許容する。ここには自力救済はみられることはできない。その 利用が囲緩地通行権の方向と範囲を裁判所が確認する以前あるいは契約による確定以前に行われでも同様である。法による所有権 限の制限と同時に占有のための権利の制限が発生する。強者の権利(司
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↓ 。 円 ) は 開 か れ な い 。 し か し 判 例 は 反 対である。両者は実際には差異はない。判例が自力救済に対して函緩地の占有保護の訴を提起しても囲縫地通行権受忍の反訴がゆ る さ れ る か ら で あ る 。 囲縫地通行権は登記されない。この囲繰地通行権はいかなる物的権利も含まなくて、法的に保護された土地所有権者の自由の範 囲の内容的決定をあらわしている。通行権の内容に関する隣人間の約定は債権的意味を持ち、権利承継人に対しては効果を及ぼさ ない。通行権の約定の物権化︿m a
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は地役権の登記という道筋によってのみ可能である。囲繰地通行権の方向と範囲に 関する争訟において回繰地通行路は訴訟で主張される。原告は訴の提起を囲篠地通行権の方向に関しても、また、範囲に関しても ( 立 ) 理由づけることはできない。裁判所が適当な道を確認しなければならない(山由ロ﹀宮・ H ω -N 切 の 切 ) 。 伯、囲緯地通行路の方向と範囲 通行路を必要とする所有権者は特定の通行路に対する請求権を持つのではない。回繰地通行路の方向は関与する土地隣人の利益 を顧慮して確定されるべきである。苦境に苦しむ所有権者は、囲焼地通行路がその土地と公路との最も近い接合をつくりだすこと に対する請求権を持たない。より多くの土地が考慮されるならば、すべての隣人は受忍義務を連帯債務者として負担する。ところ が、この連帯債務的義務づけは、場所的関係、状況に条件づけられた関係にしたがって受忍義務を負う所有権者の利益の衡量のも とにすべての考慮される回繰地通行路が同等に適当であり、また、期待可能と思われるときにのみ存立する。例えば、耕やされて ( 山 由 { ) 九 日 切 の 切 ) 正しいと認められ第5巻4号一一-82 いない土地は経済的に利用されている土地に対して﹁自然にしたがって﹂通行権の負担にとってよりよいと考えられる。判例が考 慮される所有権者の連帯債務的義務づけを拒否するかぎり、これは事実上の根拠から行われる。その理由は、土地所有権者の義務 づけの同価性と同位性は種々異なる土地にふさわしい与件のために否定されるからである。所有権者の決定を通して特定の通行路 が選ばれるならば、この通行路によって関係させられない隣人は受忍義務から解放される。 特定の通行路を確定する際、苦境に苦しむ土地の所有権者にはより多くの考慮される土地のうちでの選択権は帰属しない。方向 の決定は次の基準に従って行われなければならない。 まずはじめに、土地が公路との接合を欠如しておれば、それは土地の一部の譲渡の成りゆきであるかどうかが検討されなければ ならない。その場合、譲渡された土地あるいは留保された地所の到達のない所有権者は従来の隣人の土地を請求することはできな い(宮
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切の恩。接合が従来行われていた地所の所有権者によりかかることができる。その際、土地所有権者が譲渡まで 彼の残余の土地への通行を事実上譲渡された地所の上に採っていたということに依拠するのではない。法的評価によれば、土地所 有権者は過去において自己に属さない隣人の土地の上を通って残余の土地に到達した場合、第三の隣人は利害関係人の怒意によっ て創造された苦境に苦しむべきではない。 譲渡された地所あるいは留保された地所の所有権者ばこの地所の上を通つての到達の法的、あるいは、事実上の可能性が与えら れたならば、たしかに負担を背負わされなければならない。囲緩地通行権の契約による放棄はこの地所の譲受人の負担になるので あって、他の地所を持つ隣人である第三者負担にみちびくことはできない︿申由民﹀Z
・ 同 切 の 切 ) 。 さらに、囲緩地通行路を具体化する際、以前に存在した通行路関係を顧慮すべきであるという意義において歴史的に成育したそ の地方特邑の与件が注目されなければならない。この観点は民法典に明示に沈澱しなかったとしても、この結節点はあきらかであ る。その理由は、以前に物権的あるいは債権的通行権が遮断された地所への適当な到達を可能にしていたならば、その他の隣人の 第三者負担は正しいとして承認されないからである。右お﹀宮 -N 切の切の意義において所有権関係が変更された場合と同様に通 行路関係が変更した場合には、従来長く当該地所への到達を承認した所有権者は囲緩地通行の受忍を義務づけられる。このことは 実際的考量からも命ぜられると思われる。けだし、この場合には恐らく既に存在する通行路が頼りにされ、通路の新設備は余計であ る か ら で あ る 。 上述の観点があたっていないとしても、因縁地通行権は隣人にむけられるのであり、受忍義務は最少限の負担を伴うのである。 このことがあてはまるとき、比較衡量の顧慮のもとにおいてのみ認容する囲緩地通路の種類(車道、歩道)と同じく負担を背負わ されるべき地所の状態と利用の種類が価値判断されることができる。衡量の重要な基準として客観的観点だけが参考にされるべき である。通行路権利者の隣人に対する個人的関係は無視されなければならない。 権利者が最も短い通路を使用するならば、最少の負担が隣人にしばしば与えられる。しかし、このことは必ずしもあてはまると は限らない。むしろ地所の利用の種類、体裁を顧慮すれば、まさにより長い通路が隣人にとって最少の負担を意味することがあり う る 。 83一一民法二一三条の囲繰地通行権と図鏡地の承継 隣人のできうるだけ少い負担の原則を守ることとならんで、回続地通行路の決定は回続地通行路の効率性の原則(すなわち、権 利者の経済的需要に一致する到達を可能にすること﹀に方向づけられなければならない。そのかぎりにおいて衝突する利益の間の 利益衡量が命ぜられる。囲緩地通行路の具体的位置は力の平行線からの﹁結果﹂として生ずるのであり、﹁苦境に苦しむ﹂所有権 者と﹁奉仕してゆく﹂所有権者の利益からつくられるのである。 この利益衡量には二重の意味が帰属する。一つは上述の観点、最も少ない負担の原則から成りゆきとしてでてくる囲綾地確定を 訂正することができる。他方においてそれは囲緩地通行権の決定のための根源的決定基準をあらわすことができる。このようにし て、他の土地が必要な接合の開設のためによりよく適しておれば、従来の所有権関係と通路関係から無理矢理に出発すべきではな い。このことは、囲綾地通行権の権利者にとって設備、維持のために比較にならないほどの費用を伴うならば、あてはまるのであ る。そのことを通して経済的需要に一致する接合が開設されなければ、権利者は隣人にとって最も侵害の少い囲緩地通行路を指示 されなければならない。 負担を負わされた隣人の利害を顧慮すれば囲綾地通行路受忍義務の﹁、氷久化﹂を排除する。諸々の関係が本質的に変更する際に は隣人は囲緩地通行路を必要とする土地のために適当した場所に図畿地を設置することを要求することができる。本質的変更とは 負担を負わされた土地の予測される損害が権利を与えられた土地のための効用を凌賀することである。この費用は設置を欲する土
第5巻4号一-84 地所有権者が負担しなければならない。 苦境に苦しむ土地所有権者が隣地に対して持つ利用権の範囲は必要性の物差しにしたがう。そのかぎりにおいて分離された土地 の秩序に適合した利用を通して呼びだされた、客観的に価値判断されるべき事実上の経済の需要が基準を与える。 利用権は分離された土地への到達を与えることに限定される。権利者は土地を歩き、車でゆき、輸送手段でゆくことができるが、 トラックに荷物をつみ、あるいは、荷物をおろすことはできない。すなわち、継続的使用の目的と何の関係もない仕方で通路を使 用することはできない。窓口切の切は分離された土地への通路を他人の土地の地表に限定するのではない。一つの土地の秩序に適 応した経営のためにガス、水、汚水の導管への接続が必要であれば、囲瞳腕地通行権は導管の設置のために要求されることができる。 ( M 悶 ﹀ そのかぎりにおいて窓口切の切は囲緩地導管設置権に準用することができる。 付 囲 篠 地 通 行 料 囲議地通行権の負担を負った所有権者は囲緩地通行料の請求権を持っている
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切の思。この通行料は土地の本質的 構成部分であり、法定の所有権制限をあらわしている(
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登記簿への記入は可能でもないし、また、必要でもない。けだし、登 記簿の公信力は法定の所有権制限にとっては意味がない。通行料の放棄(契約によるその確定﹀は申窓口・﹀Z
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切の回﹀にしたがって登記しなければならない。囲緯地通行料の債務者は囲綾地通路を通して利益を受ける土地所有権者だけである。 第三者が債務上の利用契約にもとづき地面を経営している場合も同様である。 いかなる時点が通行料支払義務の開始にとって基準となるかにつき、争われている。立法者は申由弓﹀Z
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によって明ら かにしていない。境界総越を決定する時点は囲線地通行権において類似なものを見出しえない。隣人に間続地通行路の負担を負う 地面につき利用の喪失が発生しているための調整を承認する通行料支払義務の目的思想に一致して、隣人には忍容義務を課された ために財産上の不利益が発生する時点が狙われる。これは忍容義務が発生する時点ではない。なぜなら、この時点には、権利者が 閤緩地通行権を要求するかどうかは確定していないし、また、隣人に忍容義務を通して負担させられた侵害の範囲も確定していな い。同様に、一通行料義務の開始は間続地通行路の争いを決定してゆく判決の既判力の発生とむすびつけられるべきではなく、その 理由は、既に以前から法定の図畿地通行権の合法的利用は行われることができるのであり、またそれとともに通行料の請求を理由づけなければならない。正鵠をえた見解によれば通行料の額に関して通行路の事実上の適法な請求の時点が決定的である。決定の 評価によればその後の価値の減少は顧慮されないままにとどまるべきである。その際おそらく発生してゆく苦しい負担を立法者は 背負いこまなければならないのであり、それは要求された地面のそのおりおりの価値に関する﹁確定した関係﹂を創造することで あり、また﹁継続した隣人の争い﹂を切断するためである。憲法的な所有権担保の評価とこの規律はむすびっくのである。しかし、 価値の高騰の場合を顧慮しているかどうかは疑問である。この高騰につき、民法典の編纂者は、その当時、公法的利用制限の変更 の際登場する大きさの基準において知られず、また、予見しなかったことであった。この憲法的次元は適応することを避けがたい も の と 思 わ せ る 。 85一一民法二一三条の囲務地通行権と閤焼地の承継 利用料の額に関しては個人的な物差があてはまる。利用料算定義務は損害賠償義務とみられてはならない。それは、むしろ、発 生している利用の喪失を囲繰地通路を負担させられた地面に従って調整させられるべきである。受忍義務のある所有権者のために 発生している侵害の範囲が基準を与える。受忍義務のある所有権者を侵害していることが個々の事案で確認されることができない とすれば、利用料請求権は脱落する。耕やされていない地所は集約的に利用されている地所よりもより少く算定される。それゆえ、 個人的な、事実上の利用の喪失は、囲縫地通行路が通っている地形のために解明され、また、利用料算定の際見積られなければな らない。個別的な地片の特殊な価値を酌量し、また、回繰地通行路を背負わされた地面の利用の喪失を算定するために、当該地片 の賃貸価格から流出する純益が基礎とされる。それに反して要求された地面の売買価格は算定の要因としてふさわしくない。その 理由は、この価格は必然的に個別化してゆく考察の仕方とむすびつかない。 図繰地通行料は雑費総計を除き比例的に回繰地地面に落ちてゆく地代収益に一致しなければならない。図続地通行料の支払まで (悶 M ﹀ その地所の隣人は回繰地通路の受忍を拒絶することができる。 二袋地または残余地につき特定承継があった場合、二一一一一条が適用されるかどうかにつき、日本の判例、学説をあげる。 け 下 級 審 の 判 例 高裁の判決で本判決と関係するものをとりあげた。すべて東京高裁判決ということになった。本判決の多数意見は次の判例の うち 1 、 2 、 3 の一二三条適用説を踏襲した。
第5巻4号 86 東京高判昭和三
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年三月三一日判タ五O
号 二 七 頁 。 本件は、袋地・第三囲綾地問紛争型で、双方承継型である。袋地は、分筆後コ一年ほど放置されていた。その後、袋地を取得した 者は、取得後すぐに第三回繰地所有者に対して一二O
条の遥行権を主張した。本判決は、袋地の特定承継があっても、一二三条の 適用を肯定した。とくにその理由を述べていない。 2 東京高判昭和三七年一月三O
日 下 民 一 二 一 巻 一 号 一O
四 頁 。 本件は、袋地・残余地問紛争型で、双方承継型である。分筆後、袋地所有者は、残余地を通行してきた。その後、残余地所有者 が通路に柵をした。本判決は、袋地の特定承継があっても、二一三条の適用を肯定した。その理由は、次のとおりである。 ﹁民法第二百十一二条:::による被通行地所有者の義務も民法第二百十条による受忍義務と同様に相隣関係から生ずるところの土 地に付着する一種の負担であって被通行地の所有権を譲受けた者においてこれを承継するものと解するのが相当である。もっとも 民法第二百十三条には通行権者は償金を支払うを要しないとされているから、前日記のように解するときは、右規定による通行権の あることを知らずに被通行地の所有権を取得した者に損失を及ぼすことも考えられないではないけれども、右承継人は買受の際隣 地との関係につき調査をすればこれを知り得べきものであり、土地の価格もその負担の存在に応じ減じられている筈であるから、 右の点をとらえて前記結論を左右すべきものとも考えられない。むしろ右のように解しない場合、被通行地の処分により前記規定 による隣接地所有者の保護は容易に失われる結果をもたらすことになるのであるが、承継人の利益のため右第三者の保護を失わし めるのは妥当でないと考えられる。﹂ 3 東京高判昭和田一年一O
月一四日判時四六八号四七頁。 本件は、袋地・第三囲緩地問紛争型であり、袋地承継型である。袋地所有者は、袋地の取得後、第三囲篠地を通行してきた。そ して、現在の袋地所有者が開設したのではないが、通路が存在する。本判決は、袋地の特定承継があっても、一一一三条の適用を肯 定した。その理由は、次のとおりである。 ﹁当裁判所は一二三条はそのおかれている位置、その立法趣旨からみて、右両地そのものの利用の調整をはかったものであり、 したがって付の説︹肯定説のこと│大島注︺こそ正当であると考える。この前提を採用する以上、右両地の一方または双方に特定 187一一兵法二一三条の囲緩地通行権と西農地の承継 承継が起こることによって土地所有権に内在するとされた負担や利益が消えてなくなるというようなことはとうてい理解すること ができない。実際問題を考えてみよう。土地の一部譲渡によって生じた袋地に関する通行の問題を、袋地を生じさせたことに関係 のない第三者所有の土地の負担において解決する
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民 法 一 ごO
条によるべしとする以上そういう結果を招くこともある│ことは適 当でないから、当裁判所の考え方は実際上の結果においても妥当であるといえる。ただ、このように考えると、通行権の負担のつ く土地を、そのことを知らずに譲り受けた者が不測の損害一をこうむることが起こることはあろう。しかし、それは、このような負 担について公示方法が定められていないことから起ることであって、やむをえないことである。通行権の負担を無償でしょい込む ということもこまることであるが、これを土地を一部譲り渡すことによって土地そのものがそのようなものとして性格づけられた ものであるから、やはりいたし方ないことといわなければならない。土地譲受人のこうなる損害はかし担保の規定の活用によって ある程度救済することができるのである。﹂ 4 東京高判昭和五O
年二月二七日判時七七九号六三頁。 本件は、袋地・残余地問紛争型であり、双方承継型である。袋地所有者は、袋地の取得後、しばらく放置していた。そして、残 余地の特定承継があった後、はじめて、二一三条の通行権を主張した。本判決は、特定承継があれば原則的に一一一一一一条の適用を否 定した。ただし、例外的に残余地の通行が認められることがある。判決理由は、次のとおりである。 ﹁けだし同法条は土地の一部を譲渡することによって袋地を生じた場合には、その譲渡の当事者は当然そのことを予見している が故にその当事者聞に無償の通行権を生ぜしめ、他の西緩地に累を及ぼさないことを趣旨とするものであって、右法条は譲渡の直 接当事者聞において形成される回繰地通行権についての特則であって、その後に特定承継のあった場合にまで及ぶものではないこ とは右の趣意に照らし、かっその明文上その規定のないことからみて明らかであり、その承継人の善意悪意によって結論を異にせ ず、この場合は同法一二O
条の原則に帰れば足りるものと解ずべきであるからである。もっとも、すでにいったん譲渡の当事者に 対しこの通行権を主張すればこれによって直ちにこの通行権は生ずるものであり、その後に右当事者に特定承継を生じた場合は、 承継人は当然これを承継すべきものとしなければならないことはいうまでもない。さもないと譲渡の当事者特に譲渡人に対して右 通行権の主張を受けたものが、その最終的確定を受ける前に自己の土地を他に譲渡し、転々特定承継を生ぜしめて右請求を免れる第 5巻 4号 88 という不合理を生ずることとなるからである。また譲渡に関与しない隣地の第三者は右譲渡当事者の特定承継により不測の通行権 の対抗を強いられることとなることを避けえないが、その損害は償金によって償われることをもって受認(ママ)するほかはない。﹂ 5 東京高判昭和五六年八月二七日判時一
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一 六 号 六 二 頁 本件は、袋地・第三回綾地問紛争型であり、双方承継型である。袋地所有者の前主以来、第三回繰地を通行していた。ところが、 第三一間続地の特定承継人は、この通行を否認した。本判決は、特定承継があれば一二三条の適用を否定した。その理由は次のとお り で あ る 。 ﹁思うに民法一二三条が土地の分割又は一部譲渡のような土地所有者の任意の行為によって袋地を生じた場合、袋地所有者には 同 法 一 二O
条による囲繰地通行権を認めないとした趣旨は、右の場合には、土地所有者において、分割又は一部譲渡の結果袋地の 生ずることを予期しながら、敢えてかかる行為をなしたのであるから、その結果発生する通行権の問題は分割又は一部譲渡の当事 者内部で処理すべく、周辺の土地所有者に累を及ぼすべきでないとしたことにあると解され、しかも囲畿地通行権に関する本則は あくまで民法一二O
条 及 び 一 一 一 一 条 で あ っ て 同 法 一 一 一 一 -一 条 は そ の 特 則 で 例 外 的 な 規 定 で あ る か ら 、 分 割 又 は 一 部 譲 渡 行 為 の 当 事 者 でない特定承継人についてまでなお同条が適用されると解するのは相当でないといわなければならない。若しこれを反対に解し、 特定承継人についても同法一一一三条が適用されると解するならば、例を被通行地の特定承継人にとってみるに、同条によって認め られる通行権は無償とされている(同条一項但書)から、右通行権のあることを知らずに被通行地の所有権を取得した者が不測の 損害を蒙ることになり(もっとも、右承継人において買受の際隣地との関係を調査すればこれを知り得る筈であるとの反論があり 得るが、袋地又は被通行地の所有権が転々譲渡された場合、転得者においてこれを的確に調査することは必ずしも容易ではないと 考えられ、殊に本件の場合のように、袋地所有者において一時期被通行地以外の土地を賃借して同地上を通行し、囲櫨腕地通行権の 問題が潜在化していたような場合には、前記の調査にはかなりの困難を伴うことが予想されるのである。)承継人の利益を不当に害 することになって妥当ではないと考えられる。従って、本件の場合には、同法一二三条にはよらず、同法一二O
条及び二一一条の ( 路 ) 原則に則って、通行の場所及び方法を決すべきことになる。﹂ω
、学説は分肢している。袋地または残余地に特定承継があった場合にも一二三条は適用されるとする見解である。その理由は次のと 89一一民法二一三条の図緩地通行権と囲緩地の承継
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、単純肯定説 お り で あ る 。 第一点。民法二O
九条以下の相隣関係に関する規定は、土地利用の調整を目的とするものであって、対人的な関係を定めたもの で は な い 。 第二点。民法一一一一一一条の規定する園緩地通行権は、袋地に付着した物権的権利で、残余地自体に諜せられた物権的負担と解すべ き も の で あ る 。 第三点。残余地の所有者がこれを第三者に譲渡することによって囲緩地通行権が消滅すると解するのは、袋地所有者が自己の関 知しない偶然の事情によってその法的保護を奪われるという不合理な結果をもたらすことになり、適切ではない。 第四点。残余地の所有者がこれを第三者に譲渡することによって、袋地の所有者が、残余地以外の囲緩地を通行しうるものと解 (押 μ ﹀ するのは、その所有地に不測の不利益が及ぶことになって妥当ではないと。 この理由づけはドイツ民法の囲篠地通行権理論に包摂される。囲櫨腕地通行権は法定債権であって支配権ではない。第二点の物権 的負担と解すること及び第四点には賛同できない。前述した。筆者はドイツ理論の精徴さを顧慮しながら第一点及び第三点の理由 づけに結論的に従う。ω
単純否定説袋地または残余地について特定承継があった場合、一二三条は適用されることなく、一二O
条 が 適 用 さ れ る 、 ( 胞 ) という見解である。分割によって袋地が生ずれば第三の隣人は利害関係人の洛意によって分割前の通行受忍義務と分割後の通行受 忍義務という二重の負担を負うことになるので、この見解は疑わしい。袋地通行権の受忍は苦境に苦しむ土地のために秩序正しい 土地の利用を確保するため公路との接合が欠如していることを前提とするので対人的要素は顧慮されない。前述した。 分割・一部譲渡によって袋地が生じたにもかかわらず、袋地所有者が残余地を現に通行することもなく、また、残余地の所有者 と通行のために折衝することも、囲縫地通行権を主張することもなく推移してきたというような事情がある場合にも、その後に残 余地の所有権を取得した第三者は、囲情腕地通行権の受忍義務はないという見解がある。所有権者自身、あるいはそれ以外の債権的、 物権的権利者が土地を利用しているかどうかは意味のないことである。その理由は、法は土地の苦境を顧慮しようと欲しているの第 5巻 4号 90 であり、使用者の個人的需要を顧慮していないからである。前述した。 分割によって袋地が生じたのであるから、特段の定めがなければ分割前の所有者は袋地の所有者あるいはその譲受人に対し無償 の通行受忍義務を負担する。
ω
中間説 的単純否定説に修正を加えた中間第一説(修正否定説﹀、無償通行権は、特定承継人に承継されないことを原則とするが、この 通行権が以前から行使されていたときは、被通行地は民法一一一一条一一項の適用として当然にひきつずき通行権の負担を受ける︿広 ( 加 ) 中俊雄﹁物権法三八三頁)。前述により前段は疑問である。 帥単純肯定説に修正を加えた中間第二説(修正肯定説)(玉田弘毅﹁判批﹂明治大学法制研究所紀要人号一四七頁)、通行場所 ( 沼 ︾ の制限という面では、特定承継後も一二三条の適用はあるが、無償性は特定承継人にはひきつがれない。疑わしい。 け、中間第三説(東孝行﹁判批﹂司究創立二O
周年記念論文集一巻八七頁)。特定承継の場合に、民法一一二ニ条を類推適用する ことを肯定するが、前に分割、一部譲渡があったこと(民法一二三条の通行権の発生要件事実)をその特定承継人が予期しえた、 ︹ 2 ) という要件を加えるべきものと考える。﹂と。疑わしい。対人的要素は顧慮すべきでない。 。、中間第四説(津井裕﹁批判﹂判評二七九号二一頁﹀。分割・一部譲渡の当事者以外の者に対抗するには通路開設という公示を ハ お ﹀ 必要とする。この説を支持するものとして、永田真三郎・不動産取引判例百選︿増補版)二四O
頁がある。通路開設は袋地所有者 の必要性にもとづく請求によるのであって第三者の登場後すなわち対抗問題発生後にもありうる。 帥、中間第五説(篠塚昭次﹁判批﹂判評一一一一一一号二八頁)。袋地の所有者が、袋地を放置している場合には、残余地の特定承継人 は、二一一二条の通行権を見落しがちになる。その問題解決は、具体的なケ l スごとに、利益衡量できめるしかないとして、四つの ( 畑 出 ﹀ 基準を挙げている。袋地を放置するかどうかは袋地所有者の権利行為である。 付、中間第六説(鈴木禄弥﹁判批﹂判評一三七号二六頁﹀。袋地の所有権につき特定承継が生じた場合には、譲受人が償金なしの 通行権を承継することが妥当である。囲繰地所有権につき特定承継が生じた場合には、譲受人がその土地の上に通行受忍義務の負 担の存することを知りえない状況であることが少なくない点を考慮すると、通行受忍義務はかれに承継されないと解することが妥91一一民法二一三条の囲続地通行権と囲緯地の承継 当であり、これによって償金なしの通行権を失う袋地所有者の不利益も、回線地所有者からの金銭的補填がえられるような法的構 ︹ お ) 成を案出しうるならば、耐えがたいものとはいいえないと。疑問である O F囲穣地通行権は法定債権であり、対人的要素を顧慮しない。 また、不動産取引の注意義務は登記簿、図面の閲覧その他その地域の住民に権利関係をたずねることなどを要求しているからであ る 。
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、大島私見ω
、袋地または残余地に特定承継があった場合にも一二三条の適用を肯定すべきか否かの問題である。 第一類型││残余地に通路が存在し、袋地所有者が、実際に残余地を通行していた場合。このような場合、単純肯定説。修正肯 定説によれば、当然、その通行は残余地に限定される。また、修正否定説によっても、第三囲綾地を通行することは認められず、 ハ お V 残余地に通行が限定される。したがって、この類型については特段の異論はないものと恩われると。 しかし、既存の通行路の種類(例えば歩道﹀が車道に適していない場合、残余地の秩序により車道の敷設が困難であれば、第一一一 囲緩地の通行権は承認される。 第二類型││袋地が未使用で、通路の開設・使用がなく放置されていた場合。本件がこれに当たる。各説によって、結論の別れ る類型である。私見は、この場合にも、二一一二条の適用を肯定すべきものと考える。したがって、通行は残余地上に制限されるこ ハ 訂 ) とになると。しかし、必ずしもそうではない。残余地に通行路を設ければその地所の侵害が大きく、権利者の経済的需要に一致し ない場合、第三回繰地の通行権は承認される。 第三類型l
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第三囲繰地に通路が存在して、袋地所有者が実際に第三囲緩地を通行していた場合。この場合には、残余地上の通 行を認める必要はなかろう。しかし、これまで通行を容認してきた第三囲緩地所有者が、袋地所有者は残余地上に一二三条の通行 権を有するということを理由として、通路を閉鎖した場合は問題である。袋地所有者は、通行地役権の時効取得によって(二八三 条参照)、通行権を維持できる場合もあろうが、それでも救済できない場合は問題である。利益衡量によってハすなわち、第三囲 縫地所有者が通路を閉鎖し、通行を認めないことによって得る利益と、残余地所有者が新たに通行を受忍しなければならないこと ハ 咽 品 ﹀ によってこうむる不利益を比較して)決定すべきものと考えると。第5巻 4号一一92 しかし、袋地所有者が実際に第三回線地を通行していたとしても、残余地が公路まで最短距離であり、歩道としてではなく車道 として効率的であれば残余地の通行を認めなければならないであろう。 M W 無償から有償への変更 無償通行権が永遠に続くことが不合理であることは、広中教授および津井教授によって、つとに指定されてきたところである。 無償通行権をある時期に有償に転換させるべきものと考える。囲綾地について特定承継のあった時を基準として有償に転換させる ことは(中間第一説︹玉田教授説︺)、すぐれた着想である。私見は、この見解を支持する。また岡本教授は、このように解するこ とは、二一一二条の沿革から見て妥当であるとしている(岡本詔治﹁判批﹂私法判例リマ I スク一九九二年上︹四号︺一五頁、同 ﹁囲緩地通行権の史的展開﹂島大法学三五巻一号以下参照)。たしかに、特定承継という時期において無償から有償に転換させるこ ハ 加 ) とが適切でない場面も予想されるがハ津井教授の説くところである)、私見は、対価額の高低によって調整すべきものと考えると。 囲櫨腕地(残余地)通行権が無償から有償に転換する時点を特定承継の時とするのは疑問である。残余地所有権者の通行受忍義務 の永久化はありえないことは前述した。特定承継人は通行路を利用しないこともありうる。事情変更の原則によることもできるの ではなかろうか、と考える。 三本件の判例評釈大島・法律時報六四巻一
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号以外に、津井裕﹁判批﹂平成二年度重要判例解説ジュリ九八O
号六五頁、安藤 一 郎 ﹁ 判 批 ﹂ NBL 四六七号一四頁、岡本詔治﹁判批﹂法学教室一二九号九O
頁、岡本詔治﹁判批﹂私法判例リマ l p ス 一 九 九 二 年上︹四号︺一五頁、本田純一﹁判批﹂法セミ四三七号二一O
頁、深谷格﹁判批 L 名 古 屋 大 学 法 政 論 集 一 一 一 一 入 号 四 八 二 具 、 滝 津 孝 ( 羽 ﹀ 匡﹁判解﹂法曹時報四四巻二号五O
一 頁 。 ︿ 1 ﹀ 大 島 俊 之 ・ 民 法 二 二 二 条 の 囲 績 地 通 行 権 と 囲 畿 地 の 承 継 法 律 時 報 第 六 四 巻 一O
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