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<論説>アメリカ連邦議会における証人の自己負罪拒否特権

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(1)アメ リカ連邦議会 における証人 の自己負罪拒否特権. ア メ リカ連 邦議 会 にお け る証 人 の 自己負 罪 拒 否 特 権. 土. 1.問. 屋. 孝. 次. 題 の所 在. 2006年1月17日,衆. 議院国土交通委員会において耐震強度偽造問題に関. す る証 人 喚 問 が 行 わ れ た。 証 人 で あ る マ ン シ ョン販 売 業 者 社 長 は,「 刑 事 訴 追 の お そ れ が あ ります の で,証 言 は控 え させ て い た だ き ま す」 等 述 べ て 30回 に わ た って 証 言 を拒 否 した ω。 直 前 の 参 考 人 招 致 に お い て は 多 弁 で あ った 証 人 が 一 転 して 証 言 を 拒 否 した こ とに対 して,委 員 か ら厳 しい発 言 が 相 次 い だ。 マ ス メデ ィア もま た,証 人 の態 度 につ いて 「余 り に も無 責 任」 (読 売 新 聞,平 成19年1月18日. 社 説)と. し,さ ら に,「 根 拠 が は っき り しな. い 証 言 拒 否 を許 した とす れ ば,国 会 の 権 威 に もか か わ る の で は な い か。 も っ と鋭 い追 及 で事 実 に迫 って も らい た い。」(神 戸 新 聞,平 成19年1月18 日社 説)と,国. 政 調 査 権 の行 使 方 法 自体 につ い て も批 判 が見 られ た。30年. 前 に 発生 した ロ ッキ ー ド事 件 に お い て は,衆 議 院 予 算 委 員 会,両 院 に設 置 さ れ た ロ ッキ ー ド問題 調 査 特 別 委 員 会 が 元 総 理 大 臣 に関 わ る疑 惑 を厳 し く 追 及 し,国 民 は 国政 調 査 権 が持 つ 情 報 提 供 機 能 の威 力 を知 っ た。 しか しな が ら,以 後 の 国政 調 査 権 の行 使 につ い て の評 価 は芳 し くな い。 今 回 の 証 人 喚 問 に お い て も,肝 心 な質 問 に対 して 証 言 拒 否 を 繰 り返 す 証 人 と,国 民 注 視 の事 件 につ い て有 効 な質 問 を行 え ず 真 相 を 解 明 で きな か った 国 会 議 員 に 一37一.

(2) 近畿大学法 学. 第55巻第2号. よ り,国 政 調 査 権 の 存 在意 義 が 問 わ れ る事 態 とな った の で あ る。 議 会調 査 の実 効 性 に つ い て の疑 問 は,我 が 国 の国 政 調 査 権 の モ デル と 目 され,世 界 で も っ と も活 発 に行 使 され て い る ア メ リカ連 邦 議 会 に お いて も 指摘 され て い る。2001年 末,当 時 全 米 第7位 の 巨大 企 業 エ ンロ ン社 が 不 正 経 理 問題 を き っか け に 巨額 の 負債 を抱 えて 破 綻 した事 件 は,連 邦 議 会 の16 の 委 員 会 に よ っ て調 査 対 象 と され た(2)。エ ン ロ ン社 が 多 額 の 政 治 献 金 を 行 って い る点 も注 目を集 め た。 とこ ろが,2002年2月12日,上 会 の証 人 喚 問 に お い て 同社 の レイ前CEOは,「. 院商業委員. 本 委 員 会 お よ び小 委 員 会,. さ らに他 の議 会 委 員 会 お よ び小 委 員 会 に よ るす べ て の 質 問 に対 して,合 衆 国憲 法 修 正5条. に基 づ き証 言 を拒 否 す る」 と述 べ,一 切 の 質 問 に対 す る回. 答 に応 じな か っ た の で あ る(3)。ア メ リカ 国 民 は,委 員 会 所 属 の上 院議 員 が 入 れ替 わ り立 ち代 り質 問 に立 ち,証 人 を 非 難 す る映 像 を1時 間 以 上 見 続 け る こ と に な った。 ワ シ ン トン ・ポ ス ト紙 は,「 上 院 議 員 を テ レ ビに 映 す と い う重 要 な 意 義 が あ った」 と,成 果 の な い調 査 を皮 肉 に 報 道 した(4)。さ ら に,数. ヵ月 後,7月8日,エ. ンロ ン社 の 記 録 を 塗 り替 え 全 米 最 悪 の 負 債 総. 額 で倒 産 した ワー ル ドコ ム社 のCEOバ 同様 に修 正5条. ー ニ ズが 下 院 委 員 会 に 喚 問 され,. に基 づ く証 言 拒 否 を お こな った 。 バ ー ニ ズ は,重 要 な 質 問. へ の証 言 を拒 否 しつ つ,自. らの 職 務 に対 す る誇 りを 口に し,同 社 が 合 衆 国. 国 民 お よ び合 衆 国 政 府 に と って 重 要 な 通 信 サ ー ビ スを 提 供 し続 け る こ とを 確 信 す る と発 言 して い る(5)。 議 会 委 員 会 が証 人 に 対 す る証 言 強 制 の場 で は な く,証 人 の 自 己宣 伝 の 場 と化 した の で あ る。 現 在,ア. メ リカ連 邦 議 会 は,調 査 の 場 に お け る証 人 の 自己 負 罪 拒 否特 権. を巡 って 二 つ の 批 判 に さ らされ て い る。 ま ず は,議 会 証 人 へ の 自己 負罪 拒 否 特 権 の 適 用 性 を 肯 定 す る通 説 に対 して,そ の 憲 法 的 根 拠 を 再確 認 す べ き で あ る との主 張 で あ る(6)。 本 来,自. 己 に不 利 益 な供 述 を 強 制 され な い特 権. の 援 用 は,有 罪 を 認 め る もの で は な い 。 しか し,そ の 発 言 は一 般 的 に は罪 38一.

(3) ア メ リカ 連 邦 議 会 に お け る証 人 の 自己 負罪 拒 否特 権. を認 め た もの とみ な され,社 会 的 非 難 を 回避 で き な い(7)。この た め従 来 の 議 会 証 人 は,当 該 特 権 の 行 使 を 慎 重 に考慮 し,決 定 して い た の で あ る。 し か しなが ら,近 時 見 られ る よ うな 自己 負罪 拒 否 特 権 の安 易 な行 使 が議 会 に よ る真 実 探 求 を 制 約 して い る との 批 判 が起 き,一 部 で特 権 の適 用 性 に つ い て の 再 検 討 が 始 ま った 。 そ こで は,議 会 証 人 の 自己 負罪 拒 否 特 権 は,非 米 活 動 調 査 と い う異 常 事 態 の 中 で 例 外 的 か つ政 策 的 に容 認 され た もの と位 置 づ け られ,そ の 適 用 を 議 会 裁量 に よ るべ き で あ る と再 定 義 され て い る。 他 方,議 会 証 人 の 自己 負罪 拒否 特 権 に 関 して は,議 会 が与 え る刑 事 免 責 付 与 の あ り方 が議 論 され て い る⑧。 ア メ リカ に お い て は,自 己 負 罪 拒 否 特 権 を 主 張 した証 人 に 対 して,事 後 の刑 事 免 責 を付 与 す る こ とに よ り証 言 を 強 制 す る手 続 が設 け られ て い る。 この点 につ き,免 責 付 与 が事 後 の刑 事 訴 追 手続 の妨 げ に な るた め控 え るべ き との主 張 が強 く,事 実,エ ン ロ ン事 件, ワー ル ドコム事 件 と もに,議 会 側 は証 言 強 制 を断 念 し免 責 付 与 手 続 を利 用 して い な い。 そ の結 果 と して,刑 事 裁 判 に お い て両 社 幹 部 に有 罪 評 決 が下 され て い るの で あ るが,こ の よ うな刑 事 手 続 の優 先 は,議 会 調 査 の地 位 低 下 の 象徴 と もみ な され て い る の で あ る。 そ こで本 稿 は,ア メ リカ連 邦 議 会 に お け る証 人 の 自 己負 罪 拒 否 特 権 を め ぐ る法 的 問題 を取 り上 げ,現 代 議 会 に求 め られ る調 査 権 の意 義 を確 認 し, そ の行 使 の あ り方 を検 討 す る こ とにす る。. 2.議. 会調 査 と 自己負罪拒 否特 権. (1)議 会 調 査 権 の意 義 ア メ リカ合 衆 国憲 法 は,連 邦 議 会 の調 査 権 につ いて 明 記 して いな い。 そ れ に もか か わ らず 議 会 の上 下 両 院 は,そ れ ぞ れ 連 邦 建 国 直 後 か ら調 査 を 行 って き て い る。1792年3月27日,ジ 一39一. ェー ム ズ ・マ デ ィソ ン率 い る議 会 下.

(4) 近畿大学法学 院 は,ネ. 第55巻第2号. イテ ィ ブ ・ア メ リカ ン との戦 闘 に敗 北 した セ ン トク レア将 軍 の行. 動 を 調 査 す るた め に,「 必 要 な人 物,文 書,記 録 を 要 求 す る権 限 」 を 調 査 特 別委 員 会 に 付与 した⑨。 これ に対 して ジ ョー ジ・ワ シ ン トン大 統 領 は,国 務 長 官 トー マ ス ・ジ ェフ ァー ソ ンの ア ドバ イ ス を受 け入 れ て,下 院 に提 出 す る文 書 の 範 囲 を協 議 す るた め 閣 僚 を 招 集 した⑩。 そ の結 果,財 務 長 官 ア レグ ザ ンダ ー ・ハ ミル トン,陸 軍 長 官 ヘ ン リー ・ノ ック ス の下 院 で の証 言 を許 可 し,最 終 的 に要 求 され た全 て の 資 料 を 引 き渡 した の で あ るaD。この よ うに,独 立 宣 言,憲 法 起 草 にか か わ っ た建 国 の 父 た ち は,か つ て の 本 国 で あ る イ ギ リスの 議 会 お よ び植 民 地 議 会 の 調 査 権 の 伝 統 を 慣 行 と して 継 受 し,議 会 の 調 査 権 限 行 使 を 容 認 した こ と にな る。 以 後,連 邦 議 会 の 調 査 権 は,立 法 調 査 の み な らず 行 政 監 督 や 国 民 に対 す る情 報 提 供 を 目的 と して 広 範 に利 用 され て い る。 そ して,連 邦 最 高 裁 判 所 も,こ の よ うな 調 査 権 行 使 の 慣 行 を 憲 法 上 の 議 会 権 限 に含意 す る もの で あ る との解 釈 を 示 し,追 認 し た の で あ る⑫。 も っ と も,連 邦議 会 が 広 範 な調 査 権 を保 持 す る と して も,そ れ は無 制 限 な もの で は な い。 最 高 裁 は調 査 権 の 限界 につ い て示 して い る。 まず,議 会 に は正 当 事 由 な く私 事 を 調 査 す る一 般 的 な 調 査 権 は 認 め られ な い⑱。 ま た,調 査 は立 法 目的 を促 進 し,そ れ を補 助 す る に必 要 な資 料 の収 集 に 限 ら れ る。 さ らに,個 々 の質 問 が調 査 事 項 との関 連 性 を持 た な い場 合,あ. るい. は,不 適 切 な場 合,証 人 は証 言 を拒 否 で き る。 そ して 最 高 裁 は,調 査 お よ び質 問 が合 法 的 で あ って も,憲 法 修 正1条,修. 正4条. お よ び修 正5条 の 諸. 権 利 は侵 害 で き な い と示 唆 す る。 証 人 が 保 持 す る憲 法 上 の 諸 権 利 は,裁 判 所 に お け る の と 同 様 に,議 会 に よ って も尊 重 さ れ る べ き で あ る。 最 高 裁 は,権 利 章 典 が あ らゆ る政 府 活 動 と同 様 に議 会 調 査 に も適 用 で き る と明 言 す る。 そ こで は,自 己 に不 利 益 な 証 言 を 強 制 され な い(修 正5条),不 理 な 捜 索 ・押 収 を 受 けな い(修 正4条)。 一40一. 合. そ して,言 論 ・出版 ・信 教 また は.

(5) ア メ リカ連邦議 会における証人の 自己負罪拒 否特権 政 治 的信 条,結 社 に関 す る修正1条 の 自由 も奪 わ れ な いae。この よ う に,最 高 裁 判 所 は,議 会 調 査 の 場 に お け る質 問,証 言 要 求,情 報 提供 要 求 に対 す る合 法 的 拒 否 の 道 を 開 い た の で あ る⑮。 しか しな が ら,実 際 に連 邦 裁 判所 が議 会 証 人 の証 言 拒 否,文 書 提 出拒 否 を 容 認 した 事 例 は ご くわ ず か で あ り,憲 法 の 修 正 条 項 に 関 連 す る もの で あ って も,直 接 憲法 違 反 とす る の で は な く,そ の多 くが法 技 術 的 問題 に基 づ く判 断 で あ った 点 に は 注意 が必 要 で あ る。 そ の よ うな状 況 に お い て,実 質 的 に 唯一 の証 言 拒 否事 由 と見 な さ れ て い る の が,自 己負 罪 拒 否 特 権 な の で あ る。. (2)自. 己負 罪 拒 否 特 権 の意 義. 連 邦 憲 法 修 正5条. は,「何 人 も刑 事 事 件 に お い て,自 己 に不 利 益 な 供 述 を. 強 制 さ れ な い」 と し,自 己負 罪 拒 否 特 権 を 定 めて い る。 最 高 裁 は,同 特 権 に つ い て,「 我 々 の 自 由 の 発 展 に お いて 重 要 な前 進 を 意 味 して い る」⑯と高 く評 価 す る。 もっ と も,こ の よ うな 特 権 は,コ モ ン ロー 上 の 特 権 と して 英 米 法 的伝 統 の 中 で 認 め られ て き た もの で あ り⑰,本 来 的 に 「刑 事 事 件 」 を 対 象 と して い た。 マ デ ィ ソ ンが 下 院 にお い て 憲 法 修 正 を 提 案 した の は1789 年,各 州 に よ る批 准 が 終 了 した の は1791年,議. 会 が セ ン トク レア事 件 に 関. す る第1回 の 調 査 を 行 う前 年 で あ る。 マ デ ィ ソ ンの提 案 にお け る 自己 負罪 拒 否 特 権 は,「 何 人 も,自 己 に不 利 益 な証 言 を強 制 され な い」 で あ り,現 行 条 文 の 「刑 事 事 件 にお い て」 の 文言 は な い。 マ デ ィ ソ ン 自身 は,訴 訟 当 事者 と証 人 を 同 様 に扱 い,ま た,刑 事 事 件 に加 え て民 事 事 件 も対 象 とす る と解 す る こ と も可 能 とな る提 案 に つ い て 説 明 を 加 え て は い な い ⑱。 そ の 後,憲 法 修 正 案 を検 討 す る連 邦 議 会 は,マ デ ィ ソ ン提 案 を基 本 的 に 了承 し つ つ,さ ほ どの議 論 もな しに 「刑 事 事 件 に お い て」 との文 言 を付 け加 え た の で あ る⑲。 一41一.

(6) 近畿大学法 学. 第55巻第2号. この よ うな 自己 負罪 拒 否特 権 条 項 の制 定 過 程 につ き,レ ヴ ィー は,当 時 の 各 州憲 法 の権 利章 典 や 各州 の連 邦 憲 法 修 正 提 案 に もマ デ ィ ソ ン提 案 と 同 じ もの は な く,コ モ ン ロー特 権 と して の 自 己負 罪 拒 否 特 権 よ り も広 範 だ と 評 価 す る。 す な わ ち,レ ヴ ィー は,マ デ ィソ ンの 提 案 に対 して,オ. リジ ナ. ル の 自 己負 罪 拒 否 特 権 を 超 え た もの と解 し,「何 人 も 自 らの事 件 に 関 して 証 人 とな る こ とは な い」 との新 しい格 言 の 出現 を見 るの で あ る。 レヴ ィー は,修 正5条. は マ デ ィ ソ ン提 案 を踏 襲 す る もの とみ な し,こ こ に,刑 事 裁. 判,民 事 裁 判 な どの 司法 手 続 に加 えて,議 会 調 査 手 続 な どの 政 府 に よ る審 問 に適 用 で き る特 権 が提 案 され た こ と にな る と結 論 して い る⑳。 も っ と も,下 院 全 体 会 議 に お け る議 論 にお いて 「刑 事 事 件 」 文 言 の 追 加 に つ い て特 別 の議 論 を行 って い な い以 上,憲 法 起 草 者 が 修 正5条. に従 来 の. コモ ン ロー特 権 を超 え た 内容 を見 出 して い た か 否 か は明 確 で はな い 。 む し ろ,結 果 的 に 「刑 事 事 件 」 文 言 が 追 加 され た 事 実 は,同 条 が 本 来 的 に 「刑 事 事 件 」 を対 象 と して い た こ とを 否 定 で きな い よ う に も思 え る。 そ こ で,議 会 証 人 に よ る特 権 主 張 を 肯 定 す る通 説 は,議 会 慣 行 を 持 ち出 す 。 ま ず,議 会 が 証 人 に対 して 自 己 負 罪 拒 否 特 権 の 行 使 を 認 め た 例 と し て,通 説 的 見 解 は,1834年,合. 衆 国 銀 行 に対 す る下 院 の 調 査 が 最 初 で あ る. と説 明 して い た⑳。 下 院 発 給 の 召 喚 令 状 に対 して ニ コ ラ ス ・ビー ドル 等 銀 行 役 員 は,自. らが 刑 事 手 続 の 当 事 者 で あ る こ とを 理 由 に 書 類 提 出 を 拒 否 し. た。 これ に対 して 下 院 委 員 会 は,当 該 書 類 の 提 供 を 再 度 求 め な か った の で あ る。 その 後 の 議 会 慣 行 の 中 で も,第 二 次 世 界 大 戦 後 の 冷 戦 期,非 米 活動 調 査 にお いて 証 人 に よ る 自己 負 罪 拒 否 特 権 が 容 認 され て い た 事 実 は 無 視 で きな い。 そ こで は,多. くの 証 人 が 共 産 党 員 で あ るか 否 か に つ い て の証 言 を. 自 己負 罪 拒 否 特 権 に基 づ き拒 否 し,そ の 引 き 換 え に 「修 正5条 の 共 産 主義 者 」 と して 社 会 的 に葬 り去 られ た の で あ る。 さ らに通 説 は,最 高 裁 が 刑 事 裁 判 以 外 に お け る 自己 負 罪 拒 否特 権 を容 認 一42一.

(7) ア メ リカ 連 邦 議会 に お け る 証 人 の 自己 負罪 拒 否 特 権. して い た と す る。 問 題 とな る判 断 は,免 責 法 の 利 用 が 否 定 さ れ たCounselmanv.Hitchcock,142U.S.547(1892)で. 示 さ れ て い る。 同事 件 で は,. 州 際 通 商 委 員 会 規 則違 反事 件 に 関 わ る連 邦 大 陪審 手 続 に お い て証 人 が 自己 負 罪 拒 否 特 権 を 行 使 して い た。 そ れ に 対 して,「 い か な る証 言 も事 後 の刑 事 裁 判 手 続 の 証 拠 と して用 い られ な い」 旨を 定 め た 州 際 通 商 法860条 に基 づ き免責 付与 が な され た が,証 人 が再 度 証 言 を拒 ん だ た め,裁 判 所 侮 辱 処 罰罪 に 問 わ れ地 裁 命 令 に よ り収 監 され た。 原 審 は 自 己負 罪 拒 否 特 権 が 刑 事 裁 判 に お け る被 疑 者 に適 用 さ れ る と し,さ らに,本 件 に関 して は証 人 が 事 後 に起 訴 さ れ た と して も,免 責 付 与 に よ り当該 証 言 を証 拠 と して 用 い る こ とが で きず,自. 己負 罪 拒 否 特 権 が 保 護 しよ う とす る利 益 が 維 持 され る こ と. に な る と した⑳。 これ に対 して 最 高 裁 は,本 件 に お いて 大 陪 審 の 調 査 対 象 とな って い た 事 項 は刑 事 事 項 で あ る と解 し,そ れ ゆえ に,本 件 大 陪 審 手 続 も 「刑 事 事 件 」 に該 当す る と した。 結 論 と して,大 陪 審 手 続 に お け る同 特 権 の 適 用 性 を 容 認 し,さ らに,当 該 免 責 規 定 が 憲 法 上 の 特 権 の 代 替 と して は 不 十 分 で あ る と して,証 人 に対 す る侮 辱 処 罰 罪 を 破 棄 した の で あ る。 最 高 裁 は,自 己 負 罪 拒 否 特 権 が 刑 事 訴 追 を 受 けた 本 人 に 対 す る刑事 裁 判 で の 特権 と狭 く解 す る こ と はで き な い と し,「 い か な る調 査 の 証 人 と して も」(asawitnessin anyinvestigation),犯. 罪 へ の か か わ りを 自 ら証 明 す る よ うな 証 言 を強 制. され な い と の 目的 を 持 つ もの で あ る と した㈱。 この 結 果,自. 己負 罪 拒 否 特. 権 は,事 後 の 刑 事 手 続 の 対 象 とな り うる者 が 負罪 証 言 を法 的 に強 制 さ れ な い 特 権 を 意 味 し,刑 事 裁 判 の み な らず,民 事 裁 判,そ. して議 会 委 員 会 に お. い て も用 い られ る可能 性 が示 唆 さ れ た こ とに な る伽。 しか しな が ら,議 会証 人 に よ る特 権 主 張 に対 す る最 高 裁 の 関与 は,1950 年 代 ま で 待 た な け れ ば な らな か った ㈱。 非 米 活 動 調 査 に 関 わ るQuinnv. UnitedStates,349U.S.155(1955)で. は,3名 一43一. の労働 組合 員が下 院非米.

(8) 近 畿大学法学. 第55巻第2号. 活動 委 員 会 小 委 員 会 に喚 問 され,自 身 が 共 産 党 員 で あ るか 否 か,か つ て 党 員 で あ った か否 か に つ い て の質 問 を受 け た。 これ に対 して ク ィ ン証 人 は, 前 日に 同種 の質 問 に対 して 「憲 法 修 正5条 に よ って 補 わ れ た 修 正1条 」「修 正1条. と修 正5条 」 に基 づ き証 言 を拒 否 した仲 間 を 支 持 す る と して,証 言. を拒 否 した。 証 言 の際,弁 護 士 は 同席 して いな か った 。 小 委 員 会 は,質 問 に対 す る異 議 申 し立 て を却 下 す るの で はな く,ま た,さ. らに回 答 を 求 め る. こ と もせ ず に,他 の2名 と と もに議 会 侮 辱 処 罰 法 に基 づ く刑 事 告 発 を 行 っ た。 ウ ォー レ ン長 官 ら7名 に よ る法 廷 意 見 は,自 己 負 罪 拒 否 特 権 の 行 使 形 式 につ いて 特 別 な方 法 は求 め られ て いな い と して,有 罪 判 決 を 破 棄 した 。 法 廷 意 見 は,質 問 に対 す る証 人 の 異 議 申 し立 て が 自己 負 罪 拒 否 特 権 を 援 用 して い る と 合 理 的 に判 断 で き る もの で あ れ ば よ い と し た の で あ る㈱。 Quinn判. 決 は,議 会 証 人 の 特 権 主 張 の 適 切 性 に つ い て 初 め て の 判 断 を 下 し. た の で あ り,当 該 特 権 が 議 会 証 人 の 証 言 拒 否 事 由 と して 法 的 に 認 知 され た と理 解 され た 。 も っ と も,自 己 負 罪 拒 否 特 権 を 行 使 す る場 合 に は,判 例 に お い て確 立 し た い くつ か の 制 約 が 存 す る。 ま ず,明 示 的 に援 用 しな け れ ば,特 権 を 放棄 した もの とみ な され る。Quinn判. 決 で は,証 人 に よ る不 明確 な特 権 主 張 が. 争 点 に な って い た。 ま た,一 度特 定 の 問題 に 関連 して質 問 に 答 え た場 合, そ の 後 同 一 の 問 題 に 対 す る質 問 を拒 否 で き な い。 さ らに,証 言 拒 否 は本 人 が 自己 の た め に 利 用 で き る もの で あ り,第 三 者 や 団体 の代 表 と して管 理 す る書 類 に は 及 ば な い。 そ して,こ の よ うな法 的制 約 に加 え て,自 己 負罪 拒 否特 権 の 行使 自体 に 加 え られ る社 会 的制 裁 の リス クが あ る。 こ の よ うに, 自己 負 罪 拒 否 特 権 は,慣 例 的 に は議 会 証 人 の 唯 一 の 証 言 拒 否 事 由 で あ る が,本 質 的 に は援 用 に 困難 の生 ず る特 権 と い え る。. 一44一.

(9) ア メ リカ連 邦議 会における証人 の 自己負罪拒否特権. 3.自. 己負 罪 拒 否 特 権 の 適 用 性 の 再 確 認. 近 時,オ ニ ー ル に よ って,議 会 証 人 の 自 己負 罪 拒 否 特 権 は,非 米 活 動 調 査 とい う異 常 事 態 の 中 で例 外 的 かつ 政 策 的 に容 認 さ れ た もの で あ り,特 権 の適 用 を 議 会 裁 量 で あ る と再 定 義 す る主 張 が 繰 り広 げ られ て い る⑳。 こ の よ うな議 論 は,議 会 証 人 の唯 一 絶 対 的 な証 言 拒 否 事 由 と され て き た 自 己負 罪 拒 否 特 権 の価 値 を根 底 か ら覆 す もので あ り,俄 に は容 認 しが た い。 しか しな が ら,証 人 に よ る証 言 拒 否 が 頻 発 し,議 会 調 査 の 実 効 性が 疑 問 視 され て い る現 在,自. 己負 罪 拒 否 特 権 の 適 用 性 が 憲 法 文 言,議 会 慣 行,そ. して 判. 例 の支 持 を得 た確 固 た る もの で あ る点 を 確 認 す る必 要 は あ ろ う。 まず,オ ニ ール は,修 正5条 の 文 言 を厳 格 に解 す る こ とか ら始 め る。 同 条 は,特 権 を 主 張 で き る場 合 と して 「刑 事 事 件 」 と して い る。 そ こで,刑 事 被 告 人 は,自 身 の 刑 事 裁 判 に お い て,自. らに不 利 益 な証 言 を拒 否 す る権. 利 を 有 す る こ とに な る。 こ こで は,「 自己 に不 利益 な証 言 を す る こ と」が禁 止 され る の で は な く,当 該 証 言 の 強 制 が 禁 止 さ れ て い るの で あ る⑳。 同様 に,他 の者 が訴 追 され て い る刑 事 裁 判 に お い て証 人 とな った者 は,自. らを. 罪 に 陥 れ る場 合 に証 言 を拒 否 で き る。 同特 権 に関 す る初 期 の重 要 判 例 で あ り,多. くの学 説 が 議 会 調 査 に お け る事 例 に も援 用 で き る とみ な すCoun-. selman判 決 は,刑 事 裁 判 に前 置 され る連 邦 大 陪審 に お け る証 人 の証 言 拒 否 が 問題 とな って い た。 こ の点 につ きオ ニ ー ル は,連 邦 大 陪 審 手 続 が 「刑 事 事 件 」 に該 当す る こ とは疑 いな い とす る⑲。 次 にオ ニ ール は,議 会 調 査 にお け る 自己 負 罪 拒 否 特 権 の 適 用 を,議 会 裁 量 に基 づ く慣 行 とみ な し,憲 法 的 基 礎 を 持 つ もの で は な い と した。 オ ニ ー ル の 主 張 の 根 拠 は,初 期 議 会 が 自己 負 罪 拒 否 特 権 の 行 使 に 否 定 的 な 見 解 を 示 し,裁 量 的 判 断 を 行 って い た とい う歴 史 的事 実 で あ る。 オ ニ ー ル に よ れ 一45一.

(10) 近畿大学法学. 第55巻 第2号. ば,議 会 手 続 にお い て 最 初 に特 権 の適 用 性 が 問題 とな った の は,1807年, アー ロ ン ・バ ー 元 副 大 統 領 の反 逆 事 件 に 関連 して上 院議 員 ジ ョ ン ・ス ミス に対 す る除 名 審 査 手 続 が 進 行 した 際 で あ る。 当該 手 続 に お い て上 院委 員 会 は,修 正5条 お よ び修 正6条 の諸 権 利 を裁 判 手 続 に お い て用 い られ る もの と限 定 し,議 会 手 続 に お け る適 用 性 を 否 定 す る報 告 書 を 提 出 して い た⑬ ① 。 そ れ ら諸 権 利 の 適 用 は,憲 法 上直 接 に 付与 され た権 限 に 関 して 自 らの ル ー ル を 決 定 す る議 会 手 続 を 害 す る とみ な され て い た の で あ る。 結 局,上. 院本. 会 議 にお け る除 名 審 査 手 続 にお い て ス ミス議 員 に よ る 自己 負罪 拒 否 特 権 の 主 張 はな か った。 しか し,オ ニ ー ル は反 逆 罪 容 疑 を裁 く刑 事 手 続 が 予想 さ れ る 中で,上 院 の 多 数 派 が 修 正5条 の適 用 を考 慮 して い な か った点 に注 目 して い る。 また 前 述 の よ う に従 来 は,1834年. に下 院 が行 った合 衆 国銀 行 に対 す る調. 査 にお いて 特 権 が 初 め て 容 認 され た と説 明 され て い た。 しか しな が ら,オ ニ ー ル は,問 題 とな った 事 件 にお い て下 院委 員 会 は,銀 行 資料 の提 出拒 否 を 銀 行 幹 部 の 刑 事 裁 判 にお け る訴 追 問題 とい った個 人 的 な もの で は な く, む しろそ の 職 務 に付 随 す る もの と して認 識 して い た の で は な い か と指 摘 し て い る8D。また1879年 には,ジ ョー ジ ・シ ワー ド前 上 海 領 事 が職 務 に 関 わ る 書 類 の 提 出を 自己 負 罪 拒 否 特 権 等 に 基 づ き拒 否 した事 例 で,下 院調 査 委 員 会 は修 正5条 の 「刑 事 事 件 にお い て」 文言 を強 調 し,議 会 手 続 が刑 事 手 続 と 同等 で は な い と して 同 特 権 の 適 用 性 を否 定 した劔。 この た め 下 院 本 会 議 は問 題 の 判 断 を 司 法 委 員 会 にゆ だ ね た。 司法 委 員 会 は,各 委 員会 に お い て 自 己負 罪 を 理 由 と した 証 言 拒 否 を 認 め る慣 行 が存 在 す る と しつ つ,修 正5 条 その もの に は言 及 しな か った。 この 点 に つ き,オ ニ ー ル は,下 院 司法 委 員 会 が 憲 法 上 の 特 権 の 適 用 性 で はな く,議 会 自身 で 決 定 で き る議 会 慣 行 を 確 認 した に と ど ま る と指 摘 して い るの で あ る㈱。 さ らに,オ ニ ー ル は,議 会 調 査 の 長 い 歴 史 に もか か わ らず,1950年 一46一. まで,.

(11) ア メ リカ連 邦 議 会 に お け る証 人 の 自己 負 罪 拒 否 特 権. 連 邦 裁 判 所 に 当該 問 題 が 提 起 され て いな か った こ と 自体,自 己 負 罪 拒 否 特 権 の適 用 性 に お い て 重 要 だ とす るeo。最 高 裁 判 所 が この 問 題 に直 接 判 断 を 下 して い な い に もか か わ らず,議 会慣 行 は一 般 的 に特 権 行 使 を認 め,ま た, 現 在 多 くの コ メ ンテー タが 特 権 の 適 用 性 を 前 提 と して 議論 して い る と批 判 す るの で あ る㊨。 ま ず,Counselman判. 決 に つ い て オ ニ ー ル は,最 高 裁 が 依 拠 した マ サ. チ ュー セ ッツ州 議 会 両 院 合 同 委 員 会 に お け る 自己 負罪 拒 否特 権 事 件 は,連 邦 憲 法 とは 異 な る州 憲 法 の 規 定 に 基 づ く事 件 で あ り,先 例 と して の価 値 が な い と批 判 す る㈱。 さ ら にQuinn判. 決 につ いて も,議 会 調 査 に お け る特 権. の 適 用 性 を 直 接 判 断 した もの で は な い と批 判 す る。Quinn判 上 告 受 理 の 判 断 は,前. 決 にお ける. 日に 行 わ れ た仲 間 の主 張 の借 用 に よ って適 切 に修 正. 5条 の 特 権 を 申 し立 て た こ とに な る か 否 か で あ った。 そ こ に お い て,最 高 裁 は,同 特 権 に 関 して は 権 利保 障 の た め に 「リベ ラ ル な解 釈 」 が求 め られ る と して い る⑳。 こ の た め最 高 裁 は,特 権 自体 に関 して は ご く短 い歴 史 的 検 討 を加 え た だ け で,特 権 の 主 張 方 法 に関 す る問 題 に議 論 を 限 定 して し ま って い る。 最 高裁 が 当該 特 権 の議 会 調 査 に お け る適 用 を前 提 と して い る と して も,Quinn判. 決 に お い て判 断 され たの は,特 権 を主 張 す る際 に何 が. 求 め られ る の か とい う問題 に過 ぎ な い の で あ る。 そ こで,オ ニ ー ル は,権 力 分 立 原 理 に基 づ く構 造 的 視 点 を強 調 し,最 高 裁 が議 会 調 査 に お け る 自己 負罪 特 権 の適 用 を容 認 した点 に付 き批 判 す る。 議 会 調 査 手 続 は,司 法 手 続 とそ の 目的,お. よ び法 的 結 果 に お いて ま った く. 異 な る もの で あ る。 最 高 裁 は,立 法 過 程 に お いて 収 集 可 能 な情 報 を 抑 制 す る こ とに よ り,立 法 機 能 に対 す る不 必 要 な介 入 を 行 って い る こ と にな る。 む しろ最 高 裁 は,下 級 裁 判 所 に対 す る監 督 権 限 を通 して,容 易 に議 会 証 人 を保 護 で き る。 修 正5条 文 言 の 内容 が ど の よ うな もの な の か につ いて 解 釈 し,事 後 の刑 事 裁 判 に お い て議 会 調 査 手 続 にお いて 強 制 され た 証 言 の 採 用 一47一.

(12) 近畿大学法学. 第55巻第2号. あ る い は利 用 を 禁 ず れ ば よい わ けで あ る。 オ ニ ー ル は,こ の よ うな ル ー ル に よ り,議 会 が 立 法 機 能 あ るい は 監 督 機 能 に必 要 な情 報 を 集 め る こ とが 可 能 とな り,同 時 に議 会 に お い て 強 制 され た証 言 に 基 づ く刑 事訴 追 か ら個 人 を 保 護 す る こ とが で き る と結 論 す るの で あ る㈱。 議 会 証 人 の 自己 負 罪 拒 否 特 権 の 適 用性 に つ い て,裁 量 に基 づ く議 会 慣 行 で あ って 憲 法 的 に 容 認 され る もの で は な い とす る オ ニ ー ル の主 張 は,特 権 の 主 張 を 当 然 の もの とみ な す通 説 的見 解 と真 っ向 か ら抵 触 す る。 通 説 的見 解 の 判 例 上 の 根 拠 は,2つ. の 最 高 裁 判 決,Quinn判. UnitedStates,354U.S.178(1957)判. 決 とwatkinsv.. 決 で あ る。 しか し前 者 の争 点 は,. 弁 護士 の助 言 を受 け ず に な さ れ た不 明確 な証 言 拒 否 が議 会 侮 辱 処 罰 法 違 反 を構 成 す る か否 か で あ った。 もち ろ ん オニ ー ル も認 め る よ う に,Quinn判 決 に お け る最 高 裁 が議 会 証 人 の特 権 行 使 を前 提 と して い る こ と は間 違 い な い⑳。 しか しな が ら,最 高 裁 が 明確 に 示 した の は,法 的 に正 確 さに 欠 け る 証 言 拒 否 につ い て 「リベ ラ ル な解 釈 」 を行 うべ きで あ る点,お. よ び,議 会. 侮 辱 処 罰 手 続 を周 知 して い る議 会 委 員 会 側 に再 度 の 質 問 を 行 う等,証 人 の 諸 権 利 に対 す る手 続 的 配 慮 を求 め た点 で あ る。 同 様 に,Watkins判. 決 にお. い て も先 例 拘 束 力 を持 つ の は,不 明 確 な 質 問 が 証 人 に対 す る手 続 的 配 慮 に 欠 け て お り修 正5条 の 適 正 手 続 条 項 に反 す る と した 点 の み で あ り,自 己 負 罪 拒 否 特 権 を含 む 権 利 章 典 の 適 用 性 に言 及 した 部 分 は 傍 論 で あ る。 実 際, Watkins判. 決 に お け る 自 己負 罪 拒 否 特 権 容 認 部 分 は,具 体 的 な 判 例 や議 会. 慣 行 に触 れ ず,そ の 結 論 の み が 述 べ られ て い る㈹。 オ ニ ール は,最 高 裁 が 議 会 証 人 の 自 己負 罪 拒 否 特 権 につ い て 見解 を示 した の が,現 在 に お い て は 調 査 権 の 濫 用 事 例 と して 周 知 の 非 米 活 動 調 査 期 で あ った 点 に注 意 を 喚 起 し,法 本 来 の 価 値 を 減 じて い る と批判 す るの で あ る。 確 か に非 米 活 動 調 査 にお い て は,共 産 党 員 か否 か の質 問 に対 して 自己 負 罪 拒 否 特 権 を 主 張 させ,「修 正5条 の 共 産 主義 者 」と して社 会 的制 裁 を加 え 一48一.

(13) ア メ リカ連 邦 議 会 に お け る証 人 の 自 己負 罪 拒 否 特 権. る こ とで 議 員 の政 治 的思 惑 は達 成 さ れ て い た㈹。 しか しなが ら,最 高 裁 は, そ の よ うな 立 法調 査 の逸 脱 に対 して,手 続 的要 件 を厳 格 に解 す る こ と で証 言 強 制 に 関 す る 法 的 限 界 を 示 した の で あ る9D。Quinn判. 決 お よ びWat-. kins判 決 に お け る最 高 裁 の 判 断 は,議 会 の 内部 手 続 で あ り広 範 な裁 量 を認 め られ る議 会 調 査 に対 して,法 的枠 組 み を設 定 す る上 で 重 要 な意 義 が あ っ た。 共 産 党 員 で あ る か否 か の質 問 は,個 人 の政 治 思 想 の 内容 を問 い,私 生 活 を暴 く結 果,修 正1条 等 権 利 章 典 違 反 と な りう る。 しか しなが ら最 高 裁 は,立 法 目的 を推 定 で き る議 会 調 査 と の直 接 的 衝 突 を回 避 し,司 法 部 の 得 意 とす る法 手 続 的 問題 に 限定 して判 断 を下 し,実 質 的 に行 き過 ぎ た議 会 調 査 に歯 止 め を か け,証 人 の利 益 を保 護 したの で あ る。 そ もそ も,ア メ リカ 連 邦 議 会 が保 持 す る調 査 権 を め ぐる法 的 問 題 は,当 該 権 限 が 憲 法 上 明 記 さ れ て お らず,イ. ギ リス議 会 以 来 の慣 行 に依 拠 した政 治 的 装 置 で あ る点,最. 高 裁 が議 会 慣 行 に対 す る謙 譲 的 立 場 を崩 さず その 介 入 に消 極 的 で あ る こ と か ら,法 的 に不 明確 な点 が多 か っ た。 この 意 味 にお いて,従 来 の 立 場 を 修 正 したQuinn判. 決 を契 機 と して,非 米 活動 調 査 以 降50年 以 上 に わ た る特. 権 容 認 の慣 行 が 確 立 した とみ な す べ きで あ ろ う⑬。 加 え て,自 己 負罪 拒 否 特 権 の適 用 性 が 連 邦 大 陪 審,民 事 裁 判,そ. して 行 政 機 関 に よ る手 続 にお い. て も同様 に承 認 され て きて い る以 上,当 該 特 権 が 審 問 的 性 質 を帯 び た 全 て の手 続 に お い て適 用 され る との 通 説 的 見 解 が 維 持 され う る と考 え る。. 4.免. 責 付 与 に よ る証 言 強 制 を め ぐる 問 題. (1)免 責 付 与 制 度 の 展 開 自 己負 罪 拒 否 特 権 の 適 用 性 を 認 め る以 上,議 会 は 潜 在 的 な 犯罪 行 為 に 関 わ る調 査 を 制 限 され る こ と にな る。 そ の 合理 的 解 決 手段 と して,連 邦議 会 は,議 会 調 査 にお いて 当該 特 権 が 主 張 され た 場 合 に,後 の 刑事 手 続 で の免 一49一.

(14) 近畿大学法学. 第55巻第2号. 責 を付 与 す る こ と と引 き換 え に証 言 を 強 制 す る制 度 を立 法 化 して きた ㈱。 事 後 の刑 事 訴 追 を生 じる事 項 につ いて 証 言 を 拒 否 す る証 人 の 権 利 と,議 会 調 査 等 政 府 手 続 に認 め られ る真 実 追 求 の 利 益 を 調 整 す る制 度 と い え る。 もっ と も,影 響 を受 け るの が 事 後 の 刑 事 手 続 に限 定 され るた め,議 会 調 査 手 続 に と って 免 責 付 与 は,証 人 の 自己 負 罪 拒 否 特 権 行 使 を 法 的 に抑 止 す る 強 力 な手 段 とな る。 近 時 の 学 説 の 多 くは,こ の よ うな 議 会 に よ る免 責 付 与 の 性 質 に着 目 し,刑 事 訴 追 を 阻 害 しか ね な い 安 易 な 免 責 付 与 を 控 え るべ き だ との 議 論 を 強 め て い る。 これ らの 主 張 は,政 敵 に対 す る攻 撃,選 挙 目当 て の ス タ ン ドプ レー が 横 行 し,本 来 の 機 能 を 果 た せ て い な い との 調 査 権 批 判 を 内 包 す る。 現 行 免 責 法 手 続 で は,議 会 調 査 に お け る 免 責 付 与 に は2つ. の条件 があ. る。 まず 員 数 要 件 で あ り,議 会 各 院 が 免 責 付 与 を 求 め る場 合 に は 出席 議 員 の 過 半 数 の 同 意 が 必 要 とな る。 委 員 会,小 委 員 会,合 同 委 員 会 が求 め る場 合 には,委 員 会 全 体 の3分 の2以 上 の 賛 成 が必 要 とな る。 次 に委 員 会 も し くは 各 院 は,裁 判 所 に 免 責 付 与 を 求 め る10日 以 前 に,司 法 長 官 に対 して氏 名 を 特 定 した 証 人 へ の 免 責 付与 を 求 め る意 図 に つ い て告 知 を行 わ な け れ ば な らな い。 制 定 法 上,司 法部 の 裁量 は認 め られ て お らず,手 続 的用 件 に合 致 して い れ ば 裁 判所 に よ る 免 責 付与 命 令 が発 せ られ る。 も っ と も,現 行 法 に お い て 免 責 され る範 囲 は,「 証 言 そ の 他 の 資 料(ま た は,そ. の証 言 そ の他 の 資 料 よ り直 接 も し くは 間 接 に派 生 す る全 て の 資. 料)を 後 の刑 事 手 続 で資 料 で き な い」 とす る 「派 生 使 用 免 責」(derivative useimmunity)で. あ る。 初 期 の判 例 は,証 言 の刑 事 裁 判 に お け る証 拠 能 力. を認 め な い 「使 用 免 責」(useimmunity)に. つ いて,証 言 に よ り得 られ た. 情 報 の 利 用 が 禁 じられ て い な い た め に 違 憲 で あ る と し㈲,証 言 内 容 にか か わ る行 為 につ い て刑 事 訴 追 を免 責 す る 「行 為 免 責 」(transactionalimmunity)は. 自 己負 罪 拒 否特 権 の 代 替 と して十 分 で あ る と判 断 して い たua。 と 一50一.

(15) アメ リカ連邦議会 における証人 の自己負罪拒否特権 こ ろ が,最 (1964)に. 高 裁 は,Murphyv.WaterfrontCommission,378US.52. お い て,「 使 用 免 責」 を 違 憲 と したCounselman判. 決 につ い て の. 伝統 的 な解 釈 が正 確 な もの で は な く,免 責 付 与 に よ り強 制 され た証 言 の直 接 的使 用 あ る い は派 生 的使 用 に対 す る保 護 が あれ ば,自 己負 罪 拒 否 特 権 の 代 替 とな りえ る と示 唆 した。 こ こ に,行 為 免 責 と使 用 免 責 の 中間 領 域 に, 派 生 使 用 免 責 規 定 の合 憲 性 が推 定 され たの で あ る。 Kastigarv.UnitedState,406U.S.441(1972)は,最. 高 裁 が1970年 派. 生 使 用 免 責 法 につ い て 自 己負 罪 拒 否 特 権 と同 様 の 効 力 を 有 す る と判 断 した 事 件 で あ る。 事 例 は連 邦 大 陪 審 に お け る派 生 使 用 免 責 付 与 が 争 わ れ た もの で あ る。 法 廷 意 見 は,自 己負 罪 拒 否 特 権 の 目的 につ い て,後 の 刑 事 手 続 で 有 罪 の根 拠 とな る証 拠 の 手 が か りを排 除す る こ と に あ る とす る㈲。 証 言 内 容 にか か わ る行 為 につ いて 刑 事 免 責 を 付 与 す る 「行 為 免 責 」 は,同 特 権 の 範 囲 を 超 え て い る こ と にな る。 そ こで,1970年. 法 は 違 憲 とみ な され る単 な. る 「使 用 免 責 」 で はな く,免 責 証 言 の 派生 使 用 も禁止 して お り,自 己 負罪 拒 否 特 権 と同 等 の 広 が りを 持 つ。 派生 使 用 禁止 の保 障 が実 際 的 で は な い と の 上 訴 人 の 批 判 に 対 して は,検 察 官 に 「独 立 した情 報 源 」 の重 い立 証 責 任 を 負 わ せ る こ とで 解 決 可 能 と反 論 で き る⑱。Kastigar判. 決 に よ り1970年. の 派 生 使 用 免 責 法 の 合 憲性 が確 立 さ れ,現 在 ま で維 持 さ れ て い る。. (2)議. 会 に よ る 免責 付 与 の 問題 点. そ こで,議 会 に お い て強 制 さ れ た証 言 の派 生 使 用 の禁 止 が事 後 の刑 事 手 続 き に お い て十 分 に保 障 さ れ る か ど うか が問 題 と な る。 も し証 言 の派 生 的 な使 用 が安 易 に認 め られ れ ば,単 な る使 用 免 責 と 同様 の 効 果 を持 つ に過 ぎ ず,証 人 の 自己負 罪 拒 否 特 権 を侵 害 した とみ な され る。 逆 に,後 の 刑 事 手 続 に お け る検 察 官 に 「独 立 した情 報 源 」 につ いて 過 度 に重 い立 証 責 任 を 求 め れ ば,派 生 使 用 免 責 は 自 己負 罪 拒 否 特 権 と同 等 の 範 囲 を 超 え る こ と にな 一51一.

(16) 近畿大学法学. 第55巻第2号. る 。 法 的 に 争 わ れ る の は,議. 会 に よ る 免 責 付 与 で は な く,後. の刑事事件に. お い て 課 せ られ た 「独 立 し た 証 拠 源 」 の 立 証 責 任 で あ る 。 Kastigar判. 決 後,こ. の 問 題 に 直 面 した の は ウ ォ ー タ ー ゲ ー ト事 件 で の. 免 責 付 与 で あ っ た 。 ウ ォ ー タ ー ゲ ー ト事 件 を 調 査 し た 上 院 大 統 領 選 挙 運 動 調 査 委 員 会 の 活 動 は,ニ. ク ソ ン 大 統 領 の 辞 任 を 導 い た こ と で,最. た 調 査 と し て 評 価 さ れ て い るua。 同 委 員 会 は,そ. も成功 し. の 調 査 の 過 程 で27名 の 証. 人 に 対 し て 派 生 使 用 免 責 法 手 続 を 用 い て 証 言 を 強 制 して い た6①。 特 に ホ ワ イ トハ ウ ス 法 律 顧 問 ジ ョ ン ・デ ィ ー ン に 対 す る 証 言 強 制 は,大 へ の 関 わ り を 裏 付 け る も の と な っ た 。 委 員 会 は,証 活 動 に つ い て 証 言 し,よ. 統 領 の事 件. 人 が事 件 の 中心 人 物 の. って 調 査 を促 進 で き る場 合 に 限定 して免 責 付 与 を. 行 う 基 本 方 針 に 立 っ て い た と さ れ る6D。 も っ と も,こ 慮 が 存 在 し た と し て も,議. 会 に よ る 証 言 強 制 は,後. の よ うな 議 会 側 の配 の刑 事 訴 追 を担 当す る. 検 察 官 に 重 い 立 証 責 任 を 負 わ せ る 点 で手 続 上 の 障壁 とな る。 ApplicationofUnitedStatesSenateSelectCommitteeorlPresidentialCampaignActivities,361F.Supp.1270(D.D.C.1973)は, ウ ォ ー タ ー ゲ ー ト事 件 に つ い て 捜 査 を 行 っ て い る 特 別 検 察 官 が 証 言 強 制 の 抑 制 を 求 め た 事 件 で あ る 。 上 院 調 査 委 員 会 は,共. 和党大統領再選委員会 の. マ グ ル ー ダ 選 対 副 委 員 長 お よ び デ ィ ー ン法 律 顧 問 に 免 責 を 付 与 し,証 強 制 す る準 備 を 始 め,こ. れ に 対 し て,両. 言 を. 人 も手 続 に 異 議 を 申 し立 て て い な. か っ た 。 と こ ろ が,平. 行 し て 事 件 を 捜 査 して い る コ ッ ク ス 特 別 検 察 官 は,. 司 法 長 官 を 通 じ て,当. 該 証 言 の 公 表 に 条 件 を 付 け る よ う 連 邦 地 裁 に 対 して. 異 議 を 申 し立 て た の で あ る 。 地 裁 の シ リ カ 判 事 は,免. 責 法 の 制 定 史 を 検 討 し,同. 法の文言が免責付与. 手 続 に お け る 司 法 的 裁 量 に つ い て 言 及 して い な い こ と を 指 摘 す る 。 ま た, 司 法 長 官 は,連. 邦 大 陪 審 手 続,司. 法 手 続,お. よ び特 定 の 行 政 手 続 にお け る. 免 責 付 与 に 関 し て 拒 否 権 を 有 す る もの の,議. 会 調 査 の 脈 絡 で は命 令 発 給 を. 一52一.

(17) ア メ リカ連 邦 議 会 にお け る証 人 の 自己 負 罪 拒 否 特 権. 20日 間遅 らせ る権 限 しか持 た な い。 そ こで,免 責 法6005条 が 求 め る司 法 長 官 へ の告 知 の意 義 が 問題 と な る。 結 局,同 条 は,最 大30日 間 免 責 付 与 命 令 を留 置 す る こ と に よ り,司 法 長 官 に免 責 証 言 以 前 に収 集 した 有 罪 につ な が る資 料 を隔 離 す る機 会 を与 え る もの な の で あ る励。 次 に,シ. リカ判 事 は,特 別 検 察 官 が 裁 判 所 に免 責 付 与 手 続 へ の 関 与 が 認. め られ て い な い こ と を知 りつ つ,条 件 付 命 令 の 発 給 を 求 め て い る と指 摘 す る。 口頭 弁 論 の段 階 に お いて 検 察 官 は,議 会 にお け る免 責 証 言 時 に テ レ ビ カ メ ラ と ラ ジオ マ イ ク を排 除 す る よ う求 め て い た 。 コ ッ ク スは,裁 判 所 に は潜 在 的 被 告 人 の 諸 権 利 を 保 護 す るた め の 黙 示 的 権 限 が 存 在 す る と主 張 す るが,正 式 起 訴 状 の 発 給 も行 わ れ て お らず,被 告 人 も刑 事 裁 判 も存 在 しな い段 階 で は,本 件 事 項 は 司 法 判 断 に い た るほ ど成 熟 して い な い㈱。 ま た, 特 定 の 議 会 委 員 会 の 立 法 目的 に,情 報 の 公 表 が 正 当 に 含 ま れ るの は 明 らか で あ る働。 この よ う に述 べ て,シ. リカ判 事 は,上 院特 別 委 員 会 の要 求 が 法. 6005条 の 二 要 件 に合 致 して い る と して,要 求通 りの 免 責 命 令 を 発給 す る と 結 論 したの で あ る。 さて,ウ. ォー ター ゲ ー ト事 件 に 関 して設 け られ た特 別 検 察 官 は,現 在 で. は,大 統 領 を 含 む 行 政 部 幹 部 の 犯 罪 容 疑 に 関 して,大 統 領 か ら一 定 独 立 し て 捜 査 を 行 う権 限 を 付 与 され た 独 立 検 察 官 制度 と して発 展 して き て い る。 政 治 的 に独 立 し,か つ,議 会 に対 す る報 告 を求 め られ る独 立 検 察 官 制 度 は, 行 政 部 を対 象 とす る議 会 調 査 の 代 替 手 段 と して の意 義 が 見 出 さ れ る㈲。 本 件 は,議 会 証 人 に 対 す る 免 責 付 与 に関 して,議 会 調 査 手 続 と独 立 検 察 官 (特別 検 察 官)に よ る刑 事 手 続 の 両 立 に困 難 が生 じ る可能 性 が 示 され,そ の 解 決 が 議 会 主 導 で 行 わ れ る こ とが 示 され た の で あ る。 しか し,議 会 に よ る免 責 付 与 が 広 く報 道 され た場 合,事 後 の刑 事 裁 判 に 及 ぼ す 悪 影 響 が 顕 在 化 した の で あ る。1987年,上 ラ事 件 調 査 委 員 会 は,国 家 安 全 会 議(NSC)が 一53一. 下 両 院 の イ ラ ン ・コ ン ト 連 邦議 会 の許 可 な くイ ラ ン.

(18) 近畿大学法学. 第55巻第2号. に対 して 武 器 を 輸 出 し,そ の 代 金 を ニ カ ラ グア の反 革 命 軍 コ ン トラ に献 金 して い た 疑 惑 を 調 査 して い た。 委 員 会 メ ンバ ー の 多 数 は,事 件 の背 後 に レ ー ガ ン大 統 領 の 存 在 を 見 出 して い た と され る ㈱。 そ こで,委 員 会 は, NSCの. ノ ー ス 中 佐 と ポ イ ンデ ク ス タ ー 大 統 領 特 別 補 佐 官 に 対 して,1970. 年 免 責 法 を 用 い証 言 を 強 制 した。 同事 件 を平 行 して捜 査 して い た ウ ォル シ ュ特 別検 察官 は,議 会 に お け る免 責 証 言 以 前 に収 集 して い た証 拠 を密 封 保 管 し,そ の後 これ らの資 料 に基 づ い て両 名 に対 す る起 訴 を行 っ た。 そ の 結 果,そ れ ぞ れ に対 して連 邦 地 裁 段 階 で の有 罪 判 決 を得 た。 これ に対 して 両被 告 人 は,連 邦 大 陪 審 お よ び地 裁 の刑 事 手 続 に お いて,議 会 で の 免 責 証 言 か ら派 生 した証 拠 が使 用 され て い た と反 論 した の で あ る。 コ ロ ン ビア地 区連 邦 控 訴 裁 は,ま ず ノー スの 有 罪 判 決 の 決 め 手 とな った 重 要 証 人 が 議 会 に お け る免 責 証 言 に影 響 され て い た 可 能 性 が あ る と して, 独 立 した証 拠 源 の 再 確 認 を 求 め て事 件 を地 裁 に 差 し戻 した殊 特 別 検 察 官 は再 弁 論 の 申 し立 て を 行 った が 却 下 され,さ. らに 最 高 裁 へ の 上 告 も拒 否 さ. れ た た め に,ノ ー ス に 対 す る刑 事 手 続 の継 続 を 断 念 した⑳。 さ らに,控 訴 裁 は,ポ イ ンデ ク ス ター に関 す る事 件 に お い て,地 裁 で の証 人 が免 責 証 言 の 報 道 に よ り偏 見 を持 って い た と して 有 罪 判 決 を 破 棄 し,本 件 に 関 して も,連 邦 最 高 裁 は検 察 官 側 の上 告 を認 め な か った の で あ る㈲。 上 下 両 院 合 同 の イ ラ ン ・コ ン トラ事 件 調 査 委 員 会 は,委 員 の党 派 的行 動 が顕 著 か つ拙 速 に行 わ れ た結 果,調 査 結 果 自体 が 芳 し くな く,加 え て証 人 に対 す る不 用 意 な免 責 付 与 が後 の刑 事 訴 追 に深 厚 な影 響 を与 え た事 で厳 し い批 判 に さ ら され た。 実 際,ウ. ォル シュ独 立 検 察 官 に よ る イ ラ ン ・コ ン ト. ラ事 件 最 終 報 告 書 で は,議 会 の免 責 付 与 が 刑 事 訴 追 失 敗 の原 因 と な っ た と す る厳 しい 批 判 が 盛 り込 ま れ た㈹。 ノー スお よ び ポ イ ンデ クス ター 両 判 決 に よ り,免 責 付 与 を受 け た証 言 が 報 道 され た場 合,証 人 に対 す る刑 事 訴 追 が 困 難 に な った と解 さ れ る こ と に な った㈹。 しか しな が ら,免 責 付 与 に 一54一.

(19) アメ リカ連邦議会 にお ける証人の 自己負罪拒否特権 よ って強 制 さ れ た証 言 内容 は,マ ス メ デ ィ ア に よ る報 道 あ る い は議 会 自身 に よ って 国民 に伝 達 さ れ る のが 通 常 で あ る。 免 責 付 与 を 行 うか 否 か の 決 定 は,連 邦 議 会 の裁 量 に ゆ だね られ て い る。 イ ラ ン ・コ ン トラ事 件 以 降. 連. 邦 議 会 は,証 人 に対 す る免 責 付 与 を抑 制 す る傾 向 を 見 せ は じめ た の で あ る励。 1995年,ホ. ワイ トウ ォー ター 事 件 の 調 査 に お い て も,特 別 検 察 官 の 調 査. が先 行 して お り,自 己負 罪 拒 否 特 権 を 主 張 す る証 人 に対 す る免 責 付 与 が 問 題 とな って い た㈹。 同 事 件 は,ク. リ ン トン大 統 領 が 州 知 事 時代 に 有 力 支 持. 者 が経 営 す る貯 蓄 貸 付 組 合 に便 宜 を 図 り,同 組 合 か ら政 治 献 金 を 受 け る と と も に,大 統 領 夫 妻 と有 力 支 持 者 が 共 同 経 営 す る 不 動 産 会 社 ホ ワ イ ト ウ ォー タ ー社 に対 す る融 資 も受 けて いた 疑 惑 に端 を発 して い る。 そ の 後, 同組 合 は破 綻 し,不 正 経 理 の疑 いで 財 務 省 の 調 査 対 象 とな った 。 さ ら に, 州 知 事 時 代 か らの側 近 で あ る ホ ワ イ トハ ウ ス 副 法 律 顧 問 ヴ ィ ンセ ン ト ・ フ ォス タ ーが 疑 惑 報 道 の さ なか に 自死 した 件,ま. た,破 綻 した 組 合 を 調 査. して い る財 務 省 か らホ ワ イ トハ ウ スの ス タ ッフが 情 報 を 収 集 し圧 力 を 加 え た件,以 上3点 が 連 邦 議 会 の調 査 対 象 とな って い た。1994年3月18日,上 院 は,全 会 一 致 で ホ ワ イ トウ ォ ー ター 疑 惑 につ いて 独 自の 調 査 を 行 う こ と 決 議 した。 レか しなが ら,同 決 議 に お いて は フ ィ ス ク特 別 検 察 官 に よ る調 査 活 動 を妨 害 しな い た め,免 責 特 権 付 与 に検 察 官 の 同意 を 求 め る 旨の 文 言 が 付 け加 え られ て い た の で あ る(OP。1月 に ク リ ン トン大 統 領 が 任 命 した フ ィス ク特 別 検 察 官 は,6月. の 中間 報 告 にお いて ホ ワ イ トハ ウ ス と財 務 省. と の接 触 につ い て起 訴 対 象 で は な い と発 表 した 。 そ こで,本 格 的 に調 査 を 開始 した下 院 銀 行 委 員 会,上 院 銀 行 財 政 都 市 委 員 会 は,調 査 の 焦 点 を フ ォ ス タ ー顧 問 の 自死 事 件 と財 務 省 問 題 に集 め,連 邦 大 陪 審 手 続 が 先 行 して い た大 統 領 夫 妻 に よ る不 正 融 資 問 題 を事 実 上 調 査 の 対 象 外 と した の で あ る。 ホ ワ イ トウ ォー タ ー事 件 に お け る議 会 の 態 度 につ いて は,民 主 党 主 導 の 一55一.

(20) 近畿大学法学. 第55巻第2号. 議 会 が イ ラ ン ・コ ン トラ事 件 に お け る 自 らの 失 敗 を経 験 と し,ク リ ン トン 政 権 へ の打 撃 を最 小 限 に抑 え る た め,免 責 付 与 に対 す る政 治 的 決 定 を 行 っ た との 批 判 もみ られ る㈹。 他 方 で は,議 会 に よ る免 責 付 与 が独 立 検 察 官 や 司法 省 所 属 の連 邦 検 察 官 の刑 事 訴 追,お. よ び軍 法 会 議 の 職 務 遂 行 を 著 し く. 妨 げ,独 立 した証 拠 源 の確 保 に多 大 な コ ス トを 費 や させ,あ. るい は,起 訴. 自体 を 失 敗 に 終 わ らせ る と の批 判 も続 い て い る㈹。 だ が 免 責 付 与 は,議 会 証 人 の事 実 上 唯 一 の証 言 拒 否 特 権 を 抑 止 で き る点 で,慎 重 に行 使 され た場 合,議 会 調 査 に求 め られ る真 実 探 求 の 有 力 な道 具 とな り う る。 特 に,政 治 的 事 件 に関 わ る調 査 の 場 合 は,独 立 検 察 官 と協 調 しつ つ,議 会 主導 に よ り 積 極 的 な 免 責 付 与 が 容 認 され るべ きで あ ろ う。. 5.結. 論 に代 え て. 2007年3月,ア. メ リカ連 邦議 会 上 下 両 院 の 司法 委 員 会 は,ゴ ンザ レス 司. 法 長 官 に よ る連 邦 検 察 官 不 当 解 任 疑 惑 の 調 査 を 開 始 し,同 長 官 の 直 属 ス タ ッフで あ りホ ワイ トハ ウ ス との連 絡 を担 当す る モ ニ カ ・グ ッ ドリ ン グに 出 頭 を 命 じた。 これ に 対 して グ ッ ドリ ン グは,憲 法 修 正5条,自. 己負 罪 拒. 否特 権 を主 張 して 出頭 を拒 否 した。 司法 省 幹 部 職 員 が職 務 行 為 に関 す る議 会調 査 に対 して 同特 権 を行 使 した例 は な い。 下 院 司法 委 員 会 は態 度 を硬 化 させ,連 邦 地 裁 に グ ッ ドリ ン グに対 す る免 責 特 権 付 与 を求 め た。 免 責 決 議 は34対4の. 圧 倒 的 多数 で あ り,政 党 の枠 組 を超 え て共 和 党 議 員 に よ る支 持. も得 て い る。5月23日,グ. ッ ドリ ング(4月6日,退. 職)は. 司法 委 員 会 に. 出頭 し,検 察 官 解 任 に 関 して 「一 線 を越 え た」 と証 言 し,長 官 の 関 与 も示 唆 した の で あ る。 これ を受 け て上 院 司法 委 員 会 は,ブ. ッ シュ大 統 領 の 旧友. で もあ る ゴ ンザ レス長 官 に対 して異 例 の 解 任 決 議 案 提 出の 準 備 に入 った 。 イ ラ ン・コ ン トラ事 件 以 降 抑 制 傾 向 に あ った議 会 に よ る 免 責 付 与 が,民 主, 一56一.

(21) ア メ リカ連 邦 議 会 に お け る証 人 の 自己 負 罪 拒 否 特 権. 共 和 両 党 の協 調 の元,一 定 の成 果 を挙 げ た と いえ る。 そ れ で は,修 正5条. が保 障 す る 自 己負 罪 拒 否 特 権 の 適 用 性 につ い て 再 定. 義 が必 要 か。 確 か に議 会 証 人 は司 法 手 続 にお け る証 人 と は異 な った 取 り扱 い を受 け る こ とが あ る。 裁 判 所 にお いて 尊 重 され て きて い る弁 護 士 依頼 人 特 権(attorney-clientprivilege)は,近. 時 の 議 会慣 行 で は 認 め られ て い な. いan。また,大 統 領 が保 持 す る行 政 特 権(executive-privilege)も,権. 力分. 立 原 理 に基 づ く問 題 点 は生 ず る もの の,議 会 側 の 要 求 を 拒 否 す るの は 困難 か も しれ な い。 も っ と も,弁 護 士 依頼 人特 権 は伝 統 あ る コモ ン ロー特 権 で は あ るが 憲 法 的 基 礎 を 持 つ もの で は な い。 裁 判所 に よ る同特 権 の尊 重 は判 例 に裏 付 け られ た もの で あ るが,コ モ ン ロー は議 会 に よ って必 ず し も尊 重 され る もの で はな く,制 定 法 に よ って覆 され う る。 この意 味 に お い て,議 会 内 部 の 手 続 で コモ ン ロー特 権 の適 用 性 を決 定 で き るの は,議 会 とい う こ と にな る。 唯 一,当 該 特 権 に 基 づ く証 言 拒 否 が侮 辱 処 罰法 の対 象 とな った 場 合,裁 判 所 の救 済 が あ り得 るの み で あ る。 ま た,行 政 特 権 につ い て は, 法 的 問 題 で は な く,む し ろ政 治 的妥 協 に よ り情 報 提 供 の可 否 が決 定 さ れ て お り,個 別 の証 人 の証 言 拒 否 問題 とは異 な る様 相 を見 せ て い る。 これ に 対 して 自己 負罪 拒 否特 権 は,議 会 が証 人 の諸 権 利 へ の配 慮 を見 せ る文 明 化 した組 織 で あ る とす るな らば,そ の厳 密 な意 味 で の文 言 上 の根 拠 の不 明確 さに もか か わ らず,今 後 も尊 重 さ れ るべ き で あ ろ う。 そ して,当 該 特 権 の行 使 に よ り真 実 探 求 の深 刻 な妨 げ に な る と議 会 が判 断 した場 合 に は,裁 量 に よ り免 責 付与 が な され る。 議 会 調 査 の現 代 的 意 義 を評 価 す る立 場 か らは,免 責 付与 に 関 す る議 会 の政 治 的 責 任 を確 認 しつ つ,真 実 探 求 と 刑 事 処 罰 の利 益 が 高度 に バ ラ ンス さ れ る こ とが 必 要 と考 え る。 そ こ に お い て は,議 会 調 査 の刑 事 事 件 へ の影 響 に対 す る専 門 的 判 断 が 不 可 欠 と な る。 しか しな が ら,こ れ は,議 会 と司法 省(行 政 部)と の 協 調 で 解 決 され る問 題 で は な く,議 会 の政 治 的責 任 に基 づ き,議 会 制 度 内で の 判 断 で あ る こ と 一57一.

(22) 近畿大学法学. 第55巻第2号. が前 提 とな る。 さ て,我 が 国 の議 院証 言 法 上,刑 事 訴 追 の お それ が あ る と い う理 由で の 証 言 拒 否 は 認 め られ て い る。 同 法4条1項 ず,配 偶 者,三. に よ れ ば,証 人 本 人 の み な ら. 親 等 内 の血 族,二 親 等 内 の姻 族 等 につ い て も,「 刑 事 訴 追. を受 け,又 は有 罪 判 決 を受 け る お それ が あ る と き は」 証 言 を 拒 否 で き る。 む ろん,証 人 本 人 の刑 事 訴 追 の お それ と家 族 の 刑 事 訴 追 の お そ れ とで は法 的 性 質 が 異 な る。 刑 事 訴 追 の お それ に基 づ く証 人 本 人 の 証 言 拒 否 は,日 本 国 憲 法38条1項. に 基 づ く も の と理 解 され,そ れ 以 外 は法 律 上 の 権 利 で あ. る。 いず れ にせ よ,ア メ リカ にお け る証 言 拒 否事 由 よ り も広 汎 で あ る こ と に気 づ か され る。 しか も,特 権 主 張 に対 す る強 制 手段 と して の 免 責 付与 制 度 もな い。 す で に 疑 惑 の 中心 人 物 と報 道 さ れ て い る証 人 に と って,「 刑 事 訴 追 の お そ れ 」 を 公 にす る こ とに よ り生 じ る社 会 的制 裁 は,計 算 す べ き リ ス クで は な い。 ロ ッキ ー ド事 件 に お い て 国政 調 査 権 は,強 力 な政 治 的武 器 と して 国 民 に強 い 印 象 を与 え た。 しか し,そ れ以 降,議 院証 言 法 の改 正, 証 人 側 の 対 応 策 の 整 備,そ. して 何 よ り も国 政 調 査 の 場 が 与 野 党 の 対 決. シ ョー 化 した事 に よ り,か つ て の威 力 は薄 れ て き て い る。 今 回,注 め た証 人 喚 問 は,証 人 本 人 に よ る証 言 拒 否 の連 発,時. 目を集. 間稼 ぎ と も思 え る質. 問 を繰 り返 した与 党 委 員,真 実 の追 究 よ り もむ しろ政 治 的 ダ メ ー ジを意 図 しす ぎ た野 党 委 員 の思 惑 に よ り,「国会 に よ る真 相 解 明 を甘 く見 られ,国 民 の政 治 不 信 を加 速 させ か ね な い。」 と極 評 され る始 末 で あ った(中 国新 聞, 平 成18年1月18日. 社 説)。 国 政 調 査 権 行 使 の あ り方 に つ いて の制 度 的 検 討. に加 え て,証 言 拒 否 の法 的 範 囲 に関 す る再 定 義 が 必 要 で あ ろ う㈱。. 註 (1)http://www.shugiin.go.jp/itdb. _kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/. 009916320060117014.htm O早. 川委員. 「耐 震 構 造 設 計 書 の い わ ゆ る 偽 装 を 知 っ た 経 緯 で あ り ま す 。. 一58一.

(23) アメ リカ連邦議会におけ る証人の 自己負罪拒否特権 時 期,場. 所,さ. ら に 姉 歯 氏 の 説 明 内 容,さ. ら に,こ. の耐 震 偽 装 を知 って ヒ ュー. ザ ー 社 と して は ど の よ う に 対 処 す る こ と を 決 め た の か,こ. の三 点 を お 答 え くだ. さ い 。」 ○小嶋証人. 「ち ょ っ と 拒 絶 し た い と 思 い ま す の で,相. 談 し て よ ろ し い で す か 。」. 途中略 ○小嶋証人. 「新 聞 あ る い は 週 刊 誌 等 の 雑 誌 に ご ざ い ま す よ う に,そ. 関 し ま して は,刑. う い っ た件 に. 事 訴 追 の お そ れ が あ る と い う こ と で ご ざ い ま す の で,証. 言 の. 方 は 控 え さ せ て い た だ き た い と思 い ま す 。」 (2)RobertoIraola,Self-lncriminationandCongressionalHearings,54 MercerL.Rev.939-40(2003). (3)そ. の 他,同. 社 幹 部 お よ び 監 査 法 人 幹 部 が 自 己 負 罪 拒 否 特 権 を 主 張 し て,証. 言. を 拒 ん だ の で あ る 。Iraola,smpranote2,at940&n.7. (4)InDefenseofKennethLay,TheWashingtonPost(February12, 2002Tuesday)atA24. (5)Iraola,supranote2,at946&n.38. (6)MichaelEdmundO'Neill,TheFifthAmendmentinCongress: RevisitingthePrivilegeAgainstCompelledSelf-lncrimination,90 Geo.LJ.2445(2002). (7)畑. 博 行 『ア メ リ カ の 政 治 と 連 邦 最 高 裁 判 所 』(有 信 堂 高 文 社,1992年)107頁. ま た,拙. 稿. 。. 「ア メ リ カ に お け る 議 会 調 査 権 の 限 界 の 再 検 討 」 近 畿 大 学 法 学43巻. 1号(1995年)163頁. 以 下 も参 照 。. ⑧Seee.g.,HowardR.Sklamberg,InvestigationVersusProsecution: TheConstitutionalLimitsonCongress'sPowertoImmunizeWitnesses,78N.C.L.Rev.153(1999).議 詳 し く は,山. 内幸 雄. 会 調 査 に お け る 免 責 付 与 に 関 し て,. 「議 会 の 国 政 調 査 に お け る 証 人 の 待 遇 一 イ ラ ン ・ コ ン ト ラ. 事 件 調 査 と 免 責 付 与 」 山 梨 学 院 大 学 法 学 論 集14号(1988年)1頁 樹. 「米 国 議 会 の 調 査 権 と 運 用 の 実 態 一 イ ラ ン=コ. 政 治 研 究27号(1993年)55頁 社,2007年)26頁. 以 下,猪. 股 弘貴. (9)Landis,ConstitutionalLimitationsontheCongressionalPowerof Investigation,40Harv.L.Rev.153,169(1926).SeeatsoTELFoRD TAyLoR,GRANDINQuEsT17-29(1955)(DaCapoPressed.1974). ⑩ArthurM.Schlesinger,jr.,CoNGREssINvEsTIGATEs1792-1974at3, (ChelseaHouseOub.,1975).. ⑫McGrainv.Daugherty,273US.135(1927). ⑬Watkinsv.UnitedStates,354U.S.178,187(1957). a4)Id.at187--88.. 一59一. 村直. 「国 政 調 査 権 と 司 法 審 査 』(信. 以下等を参照。. ql)Landis,supranote9,at170.. 以 下,植. ン トラ 事 件 を 例 と し て 」 議 会 山.

(24) 近畿大学法学 ⑮. 第55巻第2号. も っ と も,修 り,先. 正5条. の適 正 手 続 条 項 の適 用 問 題 以 外 に 関 す る 判 旨 は 傍 論 で あ. 例 拘 束 性 が 認 め られ な い 点 に 注 意 が 必 要 で あ る 。 芦 部 信 喜 『憲 法 と議 会. 政 』(東 京 大 学 出 版 会,1971年)417頁. 参 照。. ⑯Ullmannv.UnitedStates,350U.S.422,426(1956). a7)JohnH.Langbein,TheHistoricalOriginsofthePrivilege AgainstSelf-lncriminationatCommonLaw,92Mich。L.Rev.1047, 1047(1994).SeeLEoNARDW.LEvy,ORIGINsOFTHEFIFTHAMENDMENT: THERIGHTAGAINsTSELF-INcRIMINATIoN(1968)(lvanR.Dee,1999); AlbertW.Alschuler,APeculiarPrivilegeinHistoricalPerspective: TheRighttoRemainSilent,94Mich.L.Rev.2625,2649(1996).な 邦 語 文 献 と し て は,伊. 藤博路. お,. 「合 衆 国 憲 法 修 正5条. に 関 す る 一 考 察 一 独 立 後 か ら 合 衆 国 憲 法 修 正5条 し て 」 明 治 学 院 論 叢76号(2003年)205頁. の 自 己負 罪 拒 否 特 権 の沿 革 成 立 直 後 の時 期 ま で を 中心 と. 以 下 が詳 しい。. (18)LEvY,suprarzote17,at423. q9>0'Neill,supranote6,at2482-83. (20)Id,at443. ⑳JAMEsHAMILToN,THEPowERToPRovE;ASTuDYOFCoNGREssloNAL INvEsTIGATIoN211-12(RandomHouse,1976). ⑳Int'eCounselman,44F.268,270(Cir.C.,N.D.IIIinois1890). ㈱Counselman,142U.S.at562. ⑳Note:ApplicabilityofPrivilegeagainstSelf-lncriminationtoLegilsateveInvestigations,49Colum.L。Rev.87(1949). ㈱. 連 邦 裁 判 所 が 議 会 証 人 の 自 己 負 罪 拒 否 特 権 の 適 用 性 を 始 め て 判 断 した 事 件 と し て,seeUnitedStatesv.YukioAbe,95F.Supp.991(D.Haw.1951).. ⑫⑤. こ れ に 対 し て リ ー ド判 事 に よ る 反 対 意 見 は,証 と は 認 め ら れ ず,ま. た,法. 人 が 明 示 的 に特 権 を主 張 した. 廷意 見 が 侮 辱 処 罰 の 危 険 が あ る以 上 議 会 委 員 会 が 証. 人 の 回 答 に つ い て 指 導 す べ き で あ る と し た 点 も,不. 要 な 手 続 で あ る と反 対 し. た 。Quinn,349u.s.at186-87. ⑳0'Neill,supranote6. ㈱Id.at2470. ㈱Id, (30)Id.at2488-89. (3DId。at2492-93. 働Id.at2498.こ. れ に 対 して 委 員 会 の 少 数 派 は,当. 帯 び て い る 点 に 着 目 し,後 と 同 様 で あ る と し て,特 ㈱. オ ニ ー ル は,免. 該調査が弾劾調査の性質を. に 行 わ れ る 可 能性 あ る 上 院 で の 弾 劾 裁 判 が 刑 事 裁 判. 権 の 適 用 性 を 支 持 し た 。Id.at2549-50.. 責 法 の制 定 経 緯 が 自 己 負罪 拒 否 特権 に 対 す る議 会 の 認 識 を 示. し て い る と い う。 免 責 付 与 に よ っ て,議. 一60一. 会 証 人 は,後. の刑事手続において当該.

(25) ア メ リカ連 邦 議 会 に お け る証 人 の 自 己 負罪 拒 否 特 権. 証 言 を 利 用 で き な くす る の み で あ り,結. 局 証 言 自 体 は 強 制 さ れ,同. を 制 限 さ れ る こ と に な る 。 オ ニ ー ル は,オ て,議. リ ジ ナ ル の1857年. 特権の行使. 免 責 法 を 取 り上 げ. 会 に は 議 会 手 続 に お い て 特 権 の 行 使 を 認 め る予 定 が な い と評 価 す るの で. あ る 。Id.at2503-04. (34DId.at2519. ㈲Id,1791年. の 修 正5条. お け る も の は お ろ か,修. 採 択 か ら1865年 正5条. ま で の 間,連. 邦 裁 判 所 は,議. 会調査 に. の 自己 負罪 拒 否 特権 そ の もの につ い て 関 わ って. い な か っ た。 G⑤SeeHenryEmery'sCase,107Mass.172(S.C.Mass,1871). (3DQuinn,349U.S.at162. ㈱0'Nei11,supranote6,at2547. 働Quinn,349uS.at161&n25. ㈲Watkins判. 決 に つ い て オ ニ ー ル は,法. 廷 意 見 が 述 べ る 自己 負 罪 拒 否 特 権 に. 関 す る 部 分 に つ い て 根 拠 を 示 して い な い と 批 判 す る 。 ω. 非 米 活 動 調 査 で は,初. め て 公 聴 会 の テ レ ビ 中 継 が 行 わ れ,議. 員 の活動 が放. 送 さ れ て い た 。SeeKalahAuchincloss,Note:CongressionallnvestigationandTheRoleofPrivilege,43Am.Crim.L.Rev.165,177(2006). 吻. 非 米 活 動 調 査 期 以 前 の 最 高 裁 は,議 問 題 と して 取 り扱 っ て い た が,以. 会 調 査 権 の 限 界 を権 力分 立原 理 に 基 づ く. 後 権 利 章 典 に 関連 した法 的判 断 を 加 え て い く. こ と に な る 。Iraola,supranote2,at954。 ㈲. こ れ に 対 し て,オ. ニ ー ル は 非 米 活 動 期 の 特 権 容 認 は,議. の 承 認 で は な く,調 鱒18U.S.C.S.§. 会 に よ る憲 法 的 特 権. 査 権 限 に 基 づ く 裁 量 的 判 断 で あ る と み な し て い る。. §6001-6005(2007).現. 行 免 責 法 の 制 定 目 的 に つ い て は,see. AndrewC.Phelan,Note:IegislativeInvestigations:theScopeof Useimmunity18U.S.C.§6002,27AmCrim.L.Rev.209(1989). ㈲Counselman,142U.S.at554. ㈲Brownv.Walker,161U.S.591(1896). ㈲. 最 高 裁 は,証. 言 を 強 制 す る 政 府 権 限 を 容 認 しつ つ,そ. の例 外 と して 自己 負罪. 拒 否 特 権 を 挙 げ る 。Kastigar,406U.S.at444. ㈹. こ れ に 対 し て,ダ. グ ラ ス 判 事 お よ び マ ー シ ャル 判 事 に よ る 反 対 意 見 は,法. 意 見 の 判 例 無 視 を 批 判 し,自. 廷. 己 負 罪 拒 否 特 権 の 絶 対 性 を 抑 制 して い る と反 論. す る 。Kastigar,406U.S.at462-67(Douglas,J.dissenting);467-71 (Marshall,J.,dissenting).Kastigar判. 決 に つ い て は,田. に つ い て 」 ジ ュ リス ト676号(1978年)163頁 ⑲JohnVanLobenSels,Note:FromWatergatetoWhitewater: CongressionalUseImmunityandItsImpactontheIndependent Counsel,83Geo.LJ.2385,2395(1995). 60)HAMILToN,suprarzote21,at78-79.. 一61一. 以 下,山. 宮裕. 「刑 事 免 責. 内 ・前 掲 注(8)を 参 照 。.

(26) s.鉱. δ・櫓.,.. 近畿大学法学. 第55巻第2号. (5DSels,supranote49,at2396. 勧SenateSelectCommitteeonPresidentialCampaignActivities,361 F.Supp.at1277. ㈹Id.at1280. 〈54DId.at1281. ㈲SeeMichaelB.Rappaport,Essay:ReplacingIndependentCounsels withCongressionalInvestigations,148U.Pa.L.Rev.1595(2000). (5⑤Sels,supranote49,at2397. ⑳UnitedStatesv.North,910F.2d843(D.C.Cir.1990)(percurium). (5@UnitedStatesv。North,920F.2d940,942(D.C.Cir.1990),cert。 denied,500U.S.941(1991). (59UnitedStatesv.Poindexter,951F.2d369,375-379(D.C.Cir. 1991),506US.1021(1992). ㈲FINALREPoRTOFTHEINDEPENDENTCouNsELFoRIRAN/CoNTRA MATTERs:PartXPoliticalOversightandtheRuleofLaw (http://www.fas.org/irp/offdocs/walsh/)SeealsoLawrenceE。Walsh, The工ndependentCounselandtheSeparationofPowers,25Houston L.Rev.1(1988). ㈹. こ れ に 対. し て,独. 立. 訴 追 を 両 立 さ せ た 例 Cir.1978)が. し た 証 拠 源 の 確 保 に 成 功. し,議. 会 に よ る 免 責 付 与 と 刑 事. と し て,UnitedStatesv.Romano,583F.2d1(1st. あ る 。. ㈱MichaelJ.Davidson,CongressionalInvestigationsandTheir EffectonSubsequentMilitaryProsecutions,14J.L.&Pol'y281,325 (2006). ⑬. た だ. し,ウ. ォ ー タ ー ゲ ー. ト事 件,イ. ラ ン ・コ ン トラ 事 件 で 見 ら れ た 民 主 党 主. 導 議 会 に よ る 共 和 党 政 権 に 対 す る 調 査 で は な く,立 が 支 配. 法 部,行. 政 部. と も に 民 主 党. して い る 点 が 異 な る 。. ㈱S.Res.229,103dCong.,2dsess.(1994). (6SSels,supranote49,at2401-02.結 制 定 後 再 任 さ れ ず,共. 局,フ. 立 検 察 官 が 後 任 に 任 命 さ れ た 。1995年 タ ー に ホ ワ イ. ィ ス ク特 別 検 察 官 は 独 立 検 察 官 法. 和 党 ブ ッ シ ュ 政 権 に お い て 主 席 検 察 官 を 務 め た ス タ ー 独 以 後 多 数 派. ト ウ ォ ー タ ー 事 件 の 調 査 全 般 を 授 権. と な し,そ. な 証 拠 に 基 づ き ク リ ン ト ン 弾 劾 訴 追 へ と進 む の で あ る 。 ㈹Seee.g.,Sels,suprarzote49,at2406;Davidson,sttpranote62,at320 -21. .. ㈹Auchincloss,supranote41,at181-82.SeealsoJonathanP.Rich, Note,TheAttorney-ClientPrivilegeinCongressionalInvestigations, 88Colum.L.Rev.145(1988);JamesJ.Mangan,Note:Contempt. 一62一. っ た 共 和 党 議 会 は,ス の 過 程 で 収 集. し た 項 末.

(27) ア メ リカ 連 邦 議 会 に お け る 証 人 の 自己 負 罪拒 否 特権. fortheFourthEstate:NoReporter'sPrivilegebeforeaCongressionalInvestigation,83Geo.L.J.129(1994). ㈱. な お,国. 政 調 査 権 の 性 質 を 「政 府 ・行 政 統 制 権 」 と し て 定 義 す る,孝. 「国 政 調 査 権 の 年)159頁. 「憲 法 的 性 質 」 再 論 」 関 西 大 学 法 学 論 叢55巻4・5合. 以下を参照。. 一63一. 忠延 夫. 併 号(2006.

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