学級規模と児童理解に関する研究
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(2) 目次. 1.研究の背景 ・一一一………一…一一一一……一・一一一…一・・一. 2.研究の目的 , 一……一一一・・一一一…一一一一…一………一. 336. 序章 研究の背景と目的ゴ 一一……一……一…一一一一一一一一…. 4。調査の結果と考察 …一………一…一一一一一一一一一一…. 9. 第1章 学級規模と学級経営. (1)児童理解の現状と分析 一一一一…一一一・一…一一…一・・一一. ① 因子分析の結果を申心にした分析 一……一一 A 因子分析の結果 ・一…………一一…一一一一一 B 因子の分類と分析 一一一……一一一一……一一. ② 項目別にみだ回答傾向の分析 ……一一…一一. ③ 因子別にみた回答傾向の分析 ……一一一…. ④カイニ乗検定による分析 一一…………一… A 学級規模別児童理解 ……………一一一一一一t. 2.生徒指導下の立場にたった児童理解観 一一……一. 16 16 19. 3.児童理解の視点 一…一一…一………一一一一一……. 23. D 教職経験年数別にみた児童理解 …一一一…. 第2章 学級経営と児童理解の概念’ …一一…………一 1。学級経営と児童理解について ………一・一一・一・一……. B 性別による児童理解 一………一一…一…一. C 担当学年別にみk児童理解 一……一一…一. (2) 児童理解の方法と意欲 一…一……一一…一. 第3章 学級規模と児童理解に関する調査研究 …一…. ①児童理解の方法 一一………一一一…………一. 1.調査の目的と方法 一一一……………一一一一一一…一. ② 児童理解への意欲 …一’一一一一一一“一一一一’ 一一一一一甲一一一一. 2.調査の仮設 ………一…一一…一一一一……一…一一一. (3) 自由記述にみる児童理解への取り組み ……一. 3.調査の概要 ・…一…………一一一一一一…一……一. 5.調査のまとめ 一…一…一一一………一一一一……一一一. (2)調査対象者 一………………一一一一…一一一一. 終章 まとめと今後の課題 一…一一一一一一一……鱒甲一一一一一. 1。研究のまとめ ……一……一…一一一…一……一 2.児童理解の今後の課題 …”“一一}一一””’一一d一一一一一 ’” 一’H一. 一1一. 一2一. 771 8 8 9. (1)本調査の時期 …一一一一一一……一一一一一一一一一…一….
(3) や、 教育工学的手法が使われている等の差があったにし. 序章 研究の背景と目的. ても、評価基準は、子どもの発達段階に合わせた「達成 目標」等の言葉通り、固定された形で存在していた。臨. 1.研究の背景. 教審は、それらの評価に対する考え方こそが、 学歴偏重. 今日学校教育においては、教育における個性尊重が叫. の社会を形作っていったのだとしている。. ばれている。それは子ども一人ひとりの能力の様々な側. これら、臨教審や、その答申の内容については、今日. 面に着目し、より良く子供の成長を促して行こうとする. それぞれの立場、考え方で様々なとらえ方がなされてい. ものにほかならない。臨時教育審議会(以下臨教審とす. る。解釈のされ方が違っtaり、批判が唱えられたりする. る) 「教育改革に関する第3次答申」の第1章 生涯学. 場合もあるが、 臨教審や、 その答申が要求された社会的. 習体系への移行、第1節評価の多元化(1)評価の基本. 状況や、臨教審が答申の中で「従来の減点主義や平均点. 的方向でも、ア 個性重視の観点から、人々の能力の様. 評価は、満遍なく得点できる人に有利な評価方法であっ. 々な側面に着目し0主1)とあるが、 この事は同答申が述. た」と断定して述べている点は、重要視したい所である。. べるように、社会における学歴偏重の評価の在り方を根. すなわち学校での評価も、学校教育を生涯学習の一二と. 本的に改めようとしたばかりではなく、評価に対する考. してとらえた中で行なわれねばならない。つまり、学力. え方を改めるということから、学校現場における、教師. 以外の側面も積極的に評価して、学力も子ども達:が興味. の教育への姿勢を問い直すものとなった。. や関心を持っている特別の教科、 科目に着目し、 一人ひ. これまでに学校では、評価項目の具現化とか、観点別. とりの優れた能力を伸ばして行けるような、評価の在り. 評価基準の作成など、評価に対する取り組みがなされて. 方を大切にするということである。. きた。 その評価の多くは、教師側の持つ固定した評価基. 臨教審の答申によるまでもなく、教育における評価の. 準(臨教審でいうところの、特定の評価指標)に対して、. 重要性は、異論のないところであり、子ども一人ひとり. 対象学年の子どもが達しなか、達していないかを測るも. を大切にする評価観の形成は必ず実現させなければなら. のであった。評価の内容が細かく分かれるかどうかの差. ない。 しかし、 これまでの学校教育における評価の考え. 一3一. 一4一.
(4) 方も「劣っていることや短所の断定ではなく暖かい励ま. 2.研究の目的. しにより、常に教育になる評価を考えたい」(注2)とい. う日本教育新聞社による「信頼される教師となるための. 前述したように、児童理解は学校教育の最も基本的な. 教職技術」の記述からもわかるように、教育の観点から. 部分の一つである。すなわち教育は、子ども一人ひとり. 長所を伸ばし、前向きに評価していこうと努めていた。. を理解しだ上で、その個性:を大切にし、児童の可能性を. それなのに何故、 これまでの学校教育における評価は、. 延ばすことを大きな課題にしている。まta別の言い方を. その主旨をまっとうできなかっだのか。その理由の一つ. すれば、学校教育において児童理解は、教育活動の中枢. は、 「評価は子ども理解に始まる」とか、 「一人ひとり. をなすものであると言える。 しかし、現実の教育実践に. の子どもをよく理解して指導することが大切である」と. おける児童理解には、人間が人間を理解するということ. 言いながらも、子どもを理解するということを、充分に. からも、一人の教師が、多数の子供を担任するというこ. 行なっていなかっただめだと考える。. とからも、限界があるのも事実である。. 時代の要請する評価観の見直しは、 小学校の教育にお. そこで、児童理解における不確かな部分を明らかにす. いては、児童理解という基本的部分に焦点を当て、児童. るための研究を開始することにした。研究は学級担任教. 理解を充実させることなしには実現されないであろう。. 師を対照とした、質問紙を使った児童理解の実態調査を. すなわち、 児童理解は小学校において、学校教育を支え. 中心に進めることとした。そして、質問紙の作成に当k. る最も基本的な部分の一つなのである。. り、文献研究と児童理解に関する学校現場の情報収集を. 行なった。情報の収集に当たっては、昭和61年8月一 ヶ月間に、 K県下A郡を中心とする地域において、学級 担任教師を対象とした、児童理解の実態調査を始める前 に、教師の意識調査を実施した。面接による聞き取り調. 査で、対象は約50名の学級担任教師であった。内容は r児童理解について、ふだん感じていること、考えてい .5一. 一6一.
(5) ること等を自由に述べてください。」というものであっ. 尚、第2章、 第3章において詳細を述べるが、 様々な. た。それらの意見の中にも、児童理解そのものに「漠然. とらえ方、 運用がなされている児童理解について本研究. としていて捕らえどころがない」とか、 「決定的方法や. では次のように規定して研究を進める。. 手段が確定していない」 「義務的なものではないので、. すなわち、本研究の言う「児童理解のされている状態」. 切実に必要を感じない」など様々な捕らえ方が現われて. とは、 「児童一人ひとりの健全な成長を促すために、必. いた。. 要と思われる知識や資料が教師に用意されている状態」. しかしながら、教師はその職責上からも、児童理解を. を言うものとする。. 軽視し、それに手をつけないでよいということにはなら ない。学級の全員を、できるだけ、 より良く理解し、そ. れを基にして教育活動、学級経営に取り組む必要がある。. そこで本研究は、学級経営における学級担任の児童理 解に対する意識調査を行なうことにした。その調査結果. 引用文献. から、学級経営を進める上で重要視されている児童理解 の項冒や、軽視されている児童理解の項目を判別する。. 注1 ぎょうせい編 「臨教審と教育改革」. そして、担任する児童数との関係から、特に人数、学級. 第4、集 「第3次答申」と開かれた学校への施策. 規模に左右されない児童理解の項目・領域、人数、学級. 昭和62年 128.129頁. 規模に強く影響される児童理解の項目・領:域を、 明らか. にしょうとするものである。ま炬合わせて、学級担任教. 注2 日本教育新聞社教育研究室編. 師が、児童理解のために用いている方法や意欲を調査、. 「信頼される教師となるための教職技術. 分析することにより、大小規模の違う学級の、学級経営. 教育・指導編」. における児童理解の特色を探ろうとするものである。. 昭和59年 435頁. 一7一. 一8一.
(6) 第ユ章 学級規模と学級経営. をどの様にイメージするようになったかを考えていく。. 法令用語としての学級規模は、義務教育標準法1条で、 学校教育におい.て.’!学級規模がなぜ問題となるか。そ. 教職員定数の算定に必要な学校規模を示す基礎単位とし. れは、 これまでも多くの研究において語られてきだよう. て表わされ、その際の標準の学級定員については、学校. に、 現在の教育体系が学級を単位とした、一斉指導が主. 教育法施行規則2.0条(小学校)、 55条(中学校)で. となっているからである。 また、学校教育が、学級の規. 「特別の定のある場合を除き50人以下を標準とする」. 模が小さくても、大きくても、その中において、子供一. と定めてある(注1)。 そして、 「特別の定」として、義. 人ひとりに学習、教育を成立せねばならないという必然. 務教育標準法が制定されている。昭和55年の同法改正. 性からも言われてきた。小学校のように、学校での生活. (3条2項および附則)において、同55年度から、同. をほとんど全部学級において過ごしている場合には、特. 66年度の12年間にかけて「児童・生徒の数の推移及. に学級の規模が問題にされた。. び学校施設の整備の状況を考察して」 (義務教育標準法. そして、今や教員の問でごく当り前のことのように語. 附則②)標準を40人学級へと移行する計画が進行中で. られる:事に、 「現在の学校組織の中では、学級規模が大. ある。. きくなれば、 それだけで仕事量が増大し、精神的圧迫感. 昭和30年代の、学級規模に関する研究の関心は、俗. を強く感じるようになる」という意見がある。. に“すし詰め学級”と呼ばれる過大学級を、一学級あた. これらの事から、学校という教育の場で自然、発生的に. り40人ぐらいの学級にすることと、学習効果を最大限. 生まれた[適正なる学級規模に関する疑問]は、様々な. に引き出すfaめの学級規模を割り出すことであった。. 視点から研究され世に問われてきた。 ここでは、 学級規. 例えば、迫田哲郎は、小学校と、 中学校の40人学級. 模に関する法的な基準を述べ、 [適正]と言う言葉で意. と60人学級それぞれにおいて、教師の疲労度、児童・. 味付けられた幾つかの研究を紹介する。そして、学級規. 生徒の授業態度、個別指導を受ける機会、理論的理解を. 模がこれまでの研究において、どの様に問題にされたか. 中心とした学習成績等を調査し、学習効果に与える影響. をとらえ、それによって我々が[学級規模]という言葉. として発表し(注2)、 40人学級の実現が急務であるこ. 一9’. 弓0一.
(7) とを力説していた。 さらに原俊之、 岩橋文吉、 迫田哲郎. は、学習効果を算数、数学のテストを通して、実験的に 測りながら、小学校・と中学校の、 51人以上の学級と2. 6人∼40人学級との比較により0主3)、 過大学級にお ける教育効果の低さを問題視していた。同じような学習. @ 1954 (Blal〈e,H.E.). 学級規模の先行研究における科学性。 @ 1965 (Mckenna,B.H.). 学級規模や教員一人あたりの生徒数。 @ 1970 (Li ndb1 oom,D. 11 .). 効果(指導効果)との関係から、昭和32年広島大学川. 学級規模研究の困難さの所為。. 地研究室が「学級人員に関する研究」、昭和32年国立. @ 1974 OECD (Pidgeon,D.). 教育研究所榊原所員が「学級人数、 授業期間、学習効果. に関する一考察」、昭和32年∼昭和34年には名古屋 大学重松研究室において「学級編成基準の適正規模に関. 生徒の学習達成の要因としての学級規模。 ⑥1978世界銀行(Haddad,Lgadi’D) 教育効果と学級規模。 @ 1979 (Ciihen,L.S. & Filby,N.N.). する研究」を行っている。. その他、東京大学、小栗研究室は、 「すしづめ学級を. The Gless−S旧七h曲線の、学習成績と学級規模の研究. テーマとする研究」と題し、児童生徒との健康管理の関. (注4)、 といった流れにおいて展開されてきた。主として. 係を建築学的条件、気温、気湿、気流、炭酸ガス量、細. アメリカの社会科学の流れを組むこれらの研究は、アメ. 菌数等の視点において学級規模を研究している。 国内の. リカの社会、風土を大きく背景として持っていだ。特徴. 研究の流れは、これ以後学級規模が大きいために起きる、. としては、研究対照の学習内容を、小さく隈定して学級. いわゆる「落ちこぼれ」に焦点をあてたものとなってい. 規模との関係の研究がなされたことであろう。そのため. く。. か、 ストレートにわが国の学級規模の研究、問題点と比. 国外においては、. 較されたり、論じられたりすることは少なかったと考え. O 1902 , 1915 (RiCe,JeMe). られる。 しかし、これら学級規模に関する研究は、国の. 学級規模、授業時数、教育方法、年齢と成績に関する研究. 内外を問わず、 それぞれが固有の視点、独自の変数を持 っている点に留意すべきである。つまり学級規模は、 ど. 一11一. 一12m.
(8) の方向から眺めるかの違いによって、適正とされる学級. そこで、 本研究における“学級規模”の取り扱いは、. の規模が変わってくるのである。. これまでに多く問題とされてきた“学級規模の適正”を. 学級が、学校におい’て学校の教育目標を達成するのに. 追求する目的としての学級規模とは、一線を画するもの. その中心となる場であることは、小学校の学級編成の歴. である。規模の大小はその境が微妙であり、少なくとも. 史からみても、 あるいは現行法からいっても、 当然であ. 現段階においては、前述してきた先行研究等からも、教. る(注5)。 更に、学級が現在の学校教育において、 最も. 育的な立場で、どこまでが小規模で、 どこからが大規模. 頻繁なる教育活動の場であることも、ゆるぎない事実で. であるか、判断の基準を理論的に裏付けることはできな. ある。そこで、教育活動の場としての学級、一人ひとり. い。 しかし、学校においては、小規模と呼ばれる学級も、. の子どもに教育が成立する最高の状態の学級規模、教育. 大規模と呼ばれる学級も実際に存在し、教師は学級にお. 効果を最大限に上げ得る状態を構成できる学級規模を模. いてその職務を遂行し、子ども達は教育を受けている。. 索し、追求することは意義があり、重要なことである。. つまり、学級規模は、適正であっても、無くても一つの. しかし、全国的な傾向において、現在学級規模を決定. 現実として、すでに受け入れられているわけである。こ. する要因となる事柄は、教育効果などとは全く別であっ. れらの事:から、小規模学級を、児童数15名未満の学級。. て、児童数の減少、都市への急激な人口の集中、等であ. 中規模学級を、児童数15名以上30名未満の学級。大. る。つまり、学校がどの様な地域にあるかに左右されて. 規模学級を、児童数30名以上の学級として、研究の尺. いる。学校教育を実践する者や、あるいはそれに類する. 度とする。. 立場の者達が、学級規模についてなんらかの制約を加え ようとしても、 そこには、経済的な理由や、施設・設備 の問題等と、 障害となる事柄が山積している。 教育効果、. 学習効果等の理由において、学級規模を拡大、縮小する ことは、極めて難しい状態にあるといわなければならな い。. 一13一. 一14q.
(9) 引用文献. 注1 牧昌見・池娠正夫編集. 第2章 学級経営と児童理解の概念 1。学級経営と児童理解について. 「学校用語辞典」. ぎょうせい p130. 学級経営は、学級を預かる担任教師の職務の中におい て重要な領域である。にもかかわらず、学級経営の概念. 注2 迫田 哲郎. のとらえ方は、人によって実に様々である。狭義にとら. 「学級規模が学習効果に対して与える 影響に関する調査」. え、条件整備的な内容に限定する者もいれば、広義にと. 九州大学教育学部紀要 昭和33年 p93. らえ、教科指導や生徒指導を含めて、統一的に把握する 者もいる。. 注3 原俊之。岩橋文吉・迫田哲郎. その原因の一つは、学級担任の仕事が、極めて広い領. 「学級規模の学習効果に及ぼす 影響に関する実験的研究」. 域に、性質の異なる内容で多数存在していることにある。. 九州大学教育学部紀要 昭和33年 p81. 学級経営を学級担任の仕事において、 どの様な範囲でと. らえるかによって、狭義、広義というとらえ方の違いが 注4 Callen,し.S.&Filby.N.N.. 生じてくる。しかしこのように、学級経営の内容、領域. ”New Evidence and Research Plan”. はまだ限定されず、その論拠には曖昧な部分が多く残さ. PHI bELT,bt F〈APPAN. P’1arch 1979.. れている。 しかし学級経営が、多くの表現によって語ら. Vol.60.,No.7,p493. れ、多くの場で論じられるということは、それだけ学級 経営が避けては通れない重要な問題であることを示して. 注5 杉山正一・小林繁人編著. いると言える。. 「学級経営の科学一システム化による展開過程」. しかし、本研究において重要視する点は、学級経営の. ぎょうせい P8. 概念をどの様にとらえるかということではない。それよ. e15一. 一16一.
(10) りもむしろ、学級経営を軸とした、教育活動をおこなう. ための基礎となる部分を重要視したい。すなわち教師の. 域と同様、その内容やとらえ方に、漠然としているとこ ろが多い。児童理解の実態を明らかにすることは、学級. 教育経営、教科、領域を通じての指導は、子どもの学習. 担任の学級経営の領域において、たいへん重要な課題で. の姿勢と呼応することができたとき初めて生きた教育と. ある。. して成立する0主,1)、 と言われるような、子どもの学習. 学級経営の内容も、児童理解の内容も、具体的に表現. や生活の姿勢と呼応するための、生きた教育活動として. しようとすれば、多岐にわたって網羅的並列的に並べら. の、学級経営に注目して行きたい。. れしまう。これは、概念が確定していないことからみれ. そこでもう一度、改めて学級を考えてみる。言うまで. ば、 当然のことであるかもしれないが、それは同時に、. もなく学級は子どもの集合体である。学級担任教師はよ. 学級経営、児童理解全体のイメージを漠然とさせてしま. く、 「学級を預かる」と言うけれども、実際は子ども一. っている。. 人ひとりを預かっている。そして教師は、学級における. 今日学級経営は、単なる一部門の活動である以上に、. 個々の子どもを、その人格に焦点をあて、担任教師が子. 学校教育の諸活動の軸として展開されなければならず、. ども自身の学校における生活全体を包含し、教育的に全. 学校の教育目標の達成を十分にはかる機能として存在し. 人的に子どもの側に立って、教育指導を行なわなければ. なければならないO主の。 これらの事から、本研究にお. ならない(注2)。 つまりは、一人ひとりの子どもに、教. ける、学級経営の根本は児童理解であるとして、児童理. 育が保証されなければ学級は成立しない。言い古された. 解に焦点を当て、先に上げた学級規模との関係から考察. 言葉ではあるが、一人ひとりの児童を正しく理解するこ. を加えるものとする。. とは、すべての教育活動の出発点であり、学級経営の基 本課題である(注3)。 これらの事からも、学級を成立さ. せ、学級経営を円滑に進めて行くだめの中心は、児童理 解であると考えられる。. にもかかわらず児童理解は、学級経営における他の領 一17一. 一18一.
(11) 2。生徒指導等の立場にたった児童理解観. の相互理解へと移り、教育的環境を成立させるというも のである。まte、相互理解を強調する別の理由として次. 生徒指導では、児童理解をする方法の典型として、二. のようなものがある。それは、普段に行う教科のテスト. つの方法を上げている。その一つは、客観的な測度によ. 等と併せて行われる、数々の心理テスト(測定)は、子. って子どもたちの諸属性を測定する方法論的立場であり、. どものその時の学力や、心の内なる状態を一つの結果と. 他方は児童・生徒との対話を通じて、教師が全人的に子. して見せてくれる。しかし、現われた結果を固定的なも. どもの主観や考え方、認識の変容をとらえて行くような. のとしてとらえやすい。そこで子どもの変容をとらえき. 方法論的立場である(注5)。 カウンセリングによる児童. れなかったりする事の無いように、直接的触れ合いを大. 理解を重要視する点も、教師は対話を通じて、児童を共. 切にして行こうというものである0主8)。 両者に客観的. 感的に理解していなければならないとする(注6)点も、. テストをどの様にとらえるかの違いが見られるが、児童. 生徒指導的な方法論に立つものであろう。. 理解が共感的理解・相互理解でなければならないとして. これら教師の、対話を通じて行なわれる児童理解は、. いることから、生徒指導における児童理解の特徴と言っ. 個性的理解と表現するにふさわしい理解である。教師が. て良いだろう。. 児童・生徒との直接的接触を通して、 つまり、 パーソナ. また、生徒指導の立場から述べられている児童理解で、. ルコミュニケーシHン(注7)を通じて、 かれらを理解す. 更に学級経営的な児童理解と異なる点は、児童理解の内. ることで、共感的な理解をしていこうとするものである。. 容の中に子どもの置かれている環境やパーソナリティー. この場合の理解は、評価的理解と対比して考えられるこ. までも含めて考えるところである。つまり、K:・レヴィ. とが多く、評価的理解bS 一一方的であるのに対して、相互. ンの言葉をかりるなら「行動は環境とパーソナリティー. 理解に向かうことも少なくない。また理解と同時に指導. との関係O主9)」である。教師が児童理解をするなら、. が行なわれ、さらに指導は子どもの変容を生む。そして、. パ・一.一一ソナリティー・アプローチのみでは不十分だという. 子どもの意識変化は、教師と子どもの関係を変容するこ. のである。児童。生徒の行動を理解するためには、かれ. とになる。従って、教師の共感的理解は〉,教師と子ども. らのおかれている状況を知る必要があると言うのだ。教. 一19一. 一20一.
(12) 師はその子にとって、今回も大切なことは何なのか、そ. げている。これは、子どもの内面を検査測定によって実. して、教師がどの様に援助していけばよいのかを考える. 数でとらえ、明確にして行こうとする姿勢によって、生. とき、その子がそのこ’ ニについて感じたり、考え炬りし. まれてきたものである。抽象的な言葉で曖昧に表現する. ている背景、すなわち、その子を取り巻く友入関係、親. のではなく、具体的に子どもの意識や行動を分析して行. と子、 兄弟姉妹、,生育歴などの家庭的背景、 知的な興味. こうというものである。. や関心行動などの発達的特性まで理解してはじめて、指. 子どもの一つの行動や、検査測定の結果は、その子ど. 導の方向や手だてが考えられる(注10)と言うのである。. もが児童期にあるが故に持っている「心的構造」や「心. 生徒指導の領域は、学校内の生活に限らず、子どもの家 庭、地域にまで及ぶが、児童理解の領域も学級経営的な. 的機能」の発達特性と言えるものなのか。彼らが示す生 態であるのか。また、児童の一人ひとりが個人として持. とらえ方と比較して、かなり広い範囲に及んでいる。. つ、心理的特徴の現れであるのかを、知ることによって. もう一つは、教師自身の内面活動を大切にしている点. 0主12)、 教師の対応を考えて行こうというのである。. である。それは、教師自らが柔軟性を持ち、相手に対し. また、児童理解にも①客観的理解②内面的理解◎全人的. て心を開くこと、人間に関する関心を持ち続けることが. 理解④独自性の理解⑤共感的理解O主13)等があり、教. 大事であるとしている点や、さらに、心理的安定感をも. 師はそれらを総合的に考慮し、判断してこそ正しく児童. ち、相手からも信頼されるような人間でなければならな. を理解することができると言っている。. い(注11)としている点等から推し量ることができる。. しかし、 ここでもう一度、 学級を預かる担任教師とし. 次に児童心理学の立場からみた、児童理解について述. ての児童理解が、いかにあるべきかを考えてみたい。. べる。それらは心理学の領域からのアプロ■Pt一チであるか. 子どもの内面に至るまで、深く理解して行こうとする. ら、生徒指導の立場からみた児童理解よりもさらに、子. 心理学的取り組みは、子ども自身を正確に知るためには、. どもの内面的な活動を重視している。例えば、教授過程. 重要な方策である。 しかし、教師にとっての目的は、検. を効果的に行なう事を目的に検定をするなら、既習レベ. 査・測定ではない。検査・測定によって得られた結果を、. ル、思考・学習の型と能力、学習意欲と分析の項目を広. いかに活用し、学級での教育活動にどの様に生かして行. 一21一. 一22一.
(13) くかが、何よりも大事な点である。客観的テストと、教. 能性といっだものは全くの無縁であった。逆な言い方を. 師のきめ細かい日常の観察を中心に、 自己評価による学. す勉れば、目標に到達することばかりを教育の課題だと. 級内での生活の安定度を見る方法とか、ソシオメトリッ. せずに、子どもの可能性を伸ばし、成長を促すことを教. ク・テストといった交友調査法による児童理解にしても. 育の最大の課題だと考えるなら、教育活動の根底は児童. (注14)、 こういつた様々な方法を行なうことが目的で. 理解であると言える。. はなく、それらの方法によって少しでも子どもを知り、. しかし現在も、学級において教師は、児童を一つのま. 正しく指導したいという教師の気持ちの現れなのである。. とまり、集団として把握しやすく、 まh、画一的な発達. 課題を児童に要求し、あてはめようとする傾向が少なく ない0主16)。 たしかに子どもは、学級生活の諸問題を解. 3.児童理解の視点. 決するために、いろいろな意見をもち、主張するが、多 教育技術研究所編集「図説小学校学校経営事典」中の. 数決の原理が表にでて、 自分の主張は一般化されてしま. 「一人ひとりの児童を正しく理解することはすべての教. うことも少なくない。子ども自体が秘めている種々の可. 育活動の出発点であり、学級経営の正否を左右する基本. 能性を発見して育てて行くというような発想から、改め. 課題である」 (1主15)を初めとして、現在の教育に関す. て学級経営を見てみると、一人ひとりの子どもに着目す. る書物の多くに、様々な教育活動の根底となるものは児. る必要が生まれてくる。. 童理解(子ども理解)であると書かれている。 しかしこ. ここで、児童を正しく理解する視点に大切だと言われ. れらの考え方は、現在の様な教育観(教育は、子どもの. ることを、教育技術研究所編集「図説小学校学校経営事. 成長や、可能性を伸ばすために子ども一人ひとりに成立. 典」から箇条書にしてみると次のようになる。. しなければならないといった考え方)が受け入れられて. 1 児童を固定的、類型的に見るのではなく、絶えず. こそ言えることである。 「注入」式教育観と呼ばれる考. 成長し発達する存在として理解すること。. え方が主流であった前世紀までは、最終的に到達すべき. 2 理解は教師児童の人間関係の中で行なわれるので. 目標こそが課題であり、子ども一人ひとりの成長や、可. あるから、教師の肯定的な見方を大切にすること。. w23’. 一24一.
(14) 3 児童の自己理解を助け自己指導につなげること。. 学級経営を支える教育活動そのものであると考えたい。. 4 児童の感じ方考え方に共感することを軸にしなが. 学級経営の枠組みの中で考えようとすると、どうしても. ら、 それらを補う他面的な資料によって、 全人的な. 児童を一つのまとまりとしてとらえてしまい、学級経営. 理解に努めること。. そのものが目標となってしまう。大切なことは、児童理. 学級で指導にあたる教師は、 「いかに児童を理解すべ. 解を学級経営はもちろん、教育活動の根本として位置づ. きか」を中心に書かれている。 しかしそこには、一人ひ. け、子ども一人ひとりを理解しようとすることである。. とりの子どもを見つめる姿勢よりも、学級内の子どもを、. 児童理解の視点はあくまでも、子ども一人ひとりの成長. そつなく理解していこうとする姿勢が強く現われている。. でなければならない。それはまた児童理解が、生徒指導. 教師は学級経営の立場で、児童理解をしょうとするとき、. の領域の中で言われても、児童心理の中で言われても、. どうしても対照となる子どもを、一つのまとまりとして. 他のどの様な分野でいわれても同様である。. 見てしまう傾向が強い。子どもたちを一つのまとまりと. そこで、本研究における「児童理解」とは、教師と児. してとらえることは、学級という場で展開される教育活. 童の人間関係において相互の信頼を高め、最良の教育的. 動を、能率よく、安全に進めて行くために、有効な策で. 関係を創り出すだめのものとする。児童理解をすること. あるのかもしれない。尾崎勝・四君子編著の「発達をと. により、子どもの能力、社会性、強調性、道徳心等を計. らえた児童理解とその指導1・2年」においても、 「子. ろうとするものであったり、一一般的言葉で抽象化するこ. どもをとりまく人間関係の理解J r所属する集団におけ. とを目的としたり、子どもの評価のみを目的とするもの. る位置や役割の理解」 O主17)が児童理解をおこなうと. ではないとする。 したがって調査用紙できく「児童理解. きの重要な視点であるとしている。学級という小さな社. できている状態」も、担任教師が、児童一人ひとりの健. 会を壊さないための手段として、児童理解の存在を意義. 全な成長を促すために、必要と思われる知識や、資料を. 付けようとしている。児童理解の一つの視点が、 ここに. 用意できている状態を言うものとした。. 示されている。. 児童理解は、学級経営の一部として考えるのではなく、 一25一. ’26q.
(15) 引用文献. 注5 吉本二郎・真野宮雄・宇留田敬一編著. 注1 細谷俊夫監修. 「新教育を創造する学校経営④ 全教職員が担う児童生徒指導の経営」. 「学年の発達を生かす経営・指導の展開. 東京書籍 p149. [小学校編]. 注6 尾崎 勝著. ぎょうせい P48. 「新任教育研修双書9児童理解入門」. 明治図書 p27 注2 細谷俊夫監修 「学年の発達を生かす経営・指導の展開. 注7 吉本二郎。真野宮雄・宇留田敬一一一 as著. [小学校編]」. 「新教育を創造する学校経営④. ぎようせい P47. 全教職員が担う児童生徒指導の経営」. 東京書籍 p151 注3 教育技術研究所編集 f図説小学校学校経営:事典」. 注8 吉本二郎・真野宮雄・宇留田敬一編著. ノ」、学食官 P184,. 「新教育准創造する学校経営④ 全教職員が担う児童生徒指導の経営」. 注4 杉山正一・小林繁人編著. 東京書籍 p149. 「学級経営の科学一システム化による展開過程」. ぎょうせい P8. 注9 吉本二郎。真野宮雄。宇留田敬一編著 「新教育を創造する学校経営④ 全教職員が担う児童生徒指導の経営』. 東京書籍 p150 一27一. 一28一.
(16) 注10 緑川勇編著. 注15 教育技術研究所編集. 「図説小学校指導技術基礎講座児童理解と指導」. 「図説小学校学校経営事:典」. ぎようせいttP’5. 小学館 p184. 注11 牧昌見・池沢正夫編集. 注16 木川達爾・遠藤昭彦・福代昭二編著. 「学校用語辞典」児童理解→子ども理解. 「小学校教育実践講座15学級その人間化への努力」. ぎょうせい p437. p48. 注12 岡本夏木・他編集. 注17 尾崎勝・西君子編著. 「児童心理学講座別巻児童理解の方法」. 「発達をとらえた児童理解とその指導1・2年」. 金子書房 P4. 教育出版 p9. 注13 神保信一・西久保礼造・緑川尚夫編著 「小学校教育実践講座1児童の理解・指導」 ぎょ うせい p 3 3. 注14 吉本二郎。永岡順編集 「現代学校教育金集学年・学級経営」. ぎょうせい Pユ74. ”29一. 一304.
(17) 第3章 学級規模と児童理解に関する調査研究. 一枚目の38項目は、 学校を中心に子ども達の生活場 面から、以下のような領域に分けて考えることにした。. 1.調査の目的.と方法. 1,夢・悩みなどの意識に関する領域 1)子供だちの目標にしていること. 本研究は、 学級担任の児童理解に対する実態を調査し、. 2)子供たちの理想とする人物. 学級経営の立場から、重要視されている児童理解の項目. 3)子供たちは自分自身の事をどう思っているか. や、軽視されている児童理解の項目を判別する。そして、. 4)子供たちが住んでいる環境をどう思っているか. 学級担任が学級経営を行う時に、注意しなければならな. 5)子供たちの悩み. い児童理解の力点を考察しようとするものである。 また、. H,身体的成長や性格に関する領域. 担任する児童数との関係から、特に人数に影響されない. 6)子供たちがどの様な欲求を持っているか. 児童理解の項目、人数に影響される児童理解の項目があ. 7)子供たちの身長・体重・等の成長の記録. れば、それを明らかにする。. 8)子供たちの毎日の健康状態. 調査は郵送による、質問紙法で行なった。質問紙は、. 9)子供たちの慢性病の有無. 学級担任の児童理解の現状を調査することを目的に、二. 10)子供たちがどの様な価値観を持っているか. 枚で構成した。 (資料参照〉一枚目は生徒指導における. 皿,学習・学校生活に関する領:域. カウンセリングの項目を元に、実際の学校生活における. 11)子供たちの学習の好き嫌い. 児童理解の場面を参考にして38項目を用意した。 「学. 12)子供たちのそれぞれの教科の達成度. 級担任として自分は、その項目について、学級全体の児. (知識・理解・技能・関心・態度・興味). 童のどれくらいを理解しているか」を尋ねた。 ザほとん. 13)子供たちの集会・行事への取り組み. ど全員を理解している」から「誰も理解していない」ま. 14)子供たちの自習時間の態度. での五段階から、その一つを選ぶようにした。 (資料参. 15)子供炬ちのクラブ活動・委員会活動への取り組み. 照). 16)子供たち・の休憩時間。放課後の交友関係や様子 一31一. ’32m.
(18) 17)子供たちの掃除・係りの仕事に対する取り組み. 37)子供たちが学習以外で得意なこと、不得意なこと. 18)子供たちの給食時問の様子. 38)子供だちの話題. 19)子供たちの遠足・林間学校等への参加態度. 調査用紙に提示した順序は、調査対照者の答えやすさ. 20)子供たちの子供会・スポーツ少年団等への参加態度. 等を考え、上記した項目を入れ換えて使用し炬。まだ、. IV,家庭生活・生育歴に関する領:域. 仮説を設定する際には1∬皿:IVVの領:域をもとにし拒。. 21)子供たちの親の仕事. 二枚目は前半において、児童理解の方法と、意識調査. 22)子供たちの家族関係(親兄弟・祖父母). を行った。. 23)子供たちの衣・食・住の状態. L 行動観察法. 24)子供たちの生活のリズム(帰宅・就寝・起床の時). ア 評定尺度法 イ 逸話記録法 ウ チェックリスト. 25)子供たちの家庭の雰囲気. エ 序列法 オ 品等法. 26)子供たちの家庭学習の時間と内容. 力 これら以外の行動観察法. 27)子供たちの家庭のしつけ. ff,検査・測定法. 28)子供たちの塾。習い事の状況. キ 学力検査 ク 身体検査 ケ. 体力検査. 29)子供たちの公民館・図書館等公共施設の利用状況. コ 性格検査 サ 知能検査 シ. 適正検査. 30)子供だちの地域での評判. ス 興味検査. 31)子供たちの登下校の様子. セ これら以外の検査・測定法. V,遊び・交友関係等に関する領域. 皿,調査。記録法. 32)子供たちは友達の事をどう思っているか. ソ 日記 夕 作文 チ. 33)子供たちの趣味. ツ 手紙 テ 絵画. 34)子供たちが家でよくやる遊び、遊び相手. ト 希望調査 ナ 欲求調査 ニ. 価値観調査. 35)子供たちの家庭でのテレビの内容・時間. ヌ 態度調査 ネ 家庭環境調査ノ. 親子関係調査. 36)子供だちのこづかい、その用途. ハ 意識調査 ヒ :進路調査. 一33一. 一34一. 自叙伝.
(19) フ これら以外の調査・記録法. ①児童理解は学級経営において必要な領域であるの. IV,その他の方法. で、時間や労力を惜しまず実行すべきである。. へ 指導要録 ホ 生徒指導個票. 次に、児童理解の必要性は認めていても、取り組みの段. マ 等の公簿、又は準ずる帳簿. 階によって意識の違いが現われるであろうとして、以下. ミ カウンセリング. のように表現した。. 以上が提示した「児童理解の方法」の記述である。教. ② 児童理解は学級経営において必要な領域であるの. 師が児童理解の方法として、現在用いているものを個数. で、出来るだけ努力をするべきである。. に制限なく幾つでも選び出すという調査であった。児童. 更に、次の段階として、児童理解の必要性をあまり強く. 理解の意欲を探るfaめの丸別な方向からのアプローチと. 感じていない状態において、取り組みの違いを、以下の. しても考えられるのではないかと思う。現在担任教師が. ように表現した。. 用いている方法を、できるだけ全部網羅するように努め. ◎ 児童理解は・学級経営において必要な領域ではある. た。そこで、方法1こもれの無いよう、それぞれの種類ご. が、学習的な側面において充分な活用が成されれ. とに「その他の方法」の項目をもうけることにした。. ば良い。. 意識調査は、 自分の意見や取り組みに、最も近いと思. ④児童理解は学級経営において必要な領域ではある. われるものを選び、○印を付ける方法によって行った。. が、時間と労力のかからないものを選んで行うべ. 質問紙の文章は、児童理解の領域が学級経営の中に「必. きである。. 要か、不必要か」の部分と、それを受けた「どの様な姿. ⑤ 児童理解は学級経営において必要な領域ではある. 勢で児童理解に取り組むか」の部分から構成した。質問. が、取り立てて調査回するものではなく普段の実. 紙に提示する順序は、意識の高い低いに関係なく配置し. 践から経験的にとらえ把握して行けば良い。. た。今回の調査で、最も高い意識としたものは、児童理. 最後に、児童理解を学級経営における重要な領:域だと考. 解を学級経営において必要だと感じ、できる限りの努力. えていない者のために、以下のように表現した。. をしている教師を想定して、以下のような表現にした。 一35一. 一36一.
(20) ⑥ 児童理解は学級経営においてあまり重要な領域で ないと思われるので、形式だけを整えておけば良 い。. 2.調査の仮説 担任する児童の数が増えてくると、家庭生活・生育歴 に関する領::域において児童理解が困難になり、学習・学. 一般的に高いと言われる児童理解への意識は、実際に はどうであるのか。前述しte①∼⑥の文章からだけでは とうてい計り知れないものがあるが、担任教師がどの様 な意識の項目に反応するか興味をそそる。 まだ、児童理 解という課題は、教師にとって大きな問題であるので、 他の質問項目と関連させながら考察を加えて行きたい。 後半は属性の調査と、 児童理解に対する意見、 考えを 自由記述により調査した。. 学年末を調査時期に設定した理由は、学年末は指導要 録の記入や、学年のまとめなどの仕事が重なることで、. 児童理解に対する意識が他のどの時期よりも高いであろ うと考えたからである。尚、調査終了後は、記入済み調 査用紙を小封筒に入れ学校内で大封筒にまとめ、大封筒 を返送する方法をとった。 これは、調査を依頼しだ学校. 校生活に関する領域が児童理解の中心となるであろう。 教師は特別な方法を用いるより、 普段の教育活動の中 から児童理解しようとする傾向が強いであろう。. 3。調査の概要 (1)本調査の時期. 昭和62年3月10日∼4月10日 (2)調査:対象者. K県下K市を始めとする36市町村 合計138校、 1012名の学級担任。 調査対象老 日 1臼e 2②l sw 4の2. 圏依頼者数 @ 匿躍ヨ回q旦9tw. 姥 l5名未満. 3旧_ . 15名以上30名未満. 内において、調査への協力に共通理解を求めようとした 30名以上. ものである。. 有効回答者数378名 a37一. 一38一. 一冑.
(21) に分けるため、項目を因子分析にかけた。. 回収した調査結果のうち、無効回答としたものが56 名あった。無効回答のほとんどは r13)子供だちのそれ. 「管理者から勤務評定されるのではないか」との懸念等 から、 この調査への非協力的な行動となって現れたと思 われる。他の無効回答のほとんども、調査用紙の二枚目、. 意識調査と属性が未記入なものであったことからも、先 に述べた理由と同じ様な原因が推測される。. 有効回答者数378名分の調査用紙38項目について、 評定値問の相関を基に、因子分析(主因子解、バリマッ. クス回転)を行った結果、質問紙の項目は4つの規定要 因によって、構成されることがわかった。 一39一. .319 .079 .214 .282 .018 .380 .238 .373 .150 .155 .050 .357 .091 .152 .180 .193 .553 一.044 .367 .470 .278 .214. 一. ことで、 「教師自身の力量を評価されるのではないか」. ”:’3 S’O. 44 29 09 72 94 41 53 36 07 76 21 64 82 03 8 1. 学級担任教師が、教科の達成度や児童理解を調査される. .378 .143. 【表一1]. 難題螺鰻謝. ぞれの教科の達成度」の項目が未記入であった。 これは、. 一.063. 一 ◎. 教師が持っている、児童理解を規定するいくつかの要因. .159 .171 .139. F4. 480476796335922891569 8 19 27 05 07 10 20 16 21 31 13 00 03 24 20 49 18 20 27 39 39 0. 調査用紙第1枚目38項目の回答傾向から、学級担任. .331 一.043. F3. 鹸62器6。99鴨99審3。92橋魏纈⋮鞠⋮灘綴. A 因子分析の結果. 8 0101234567804567813462. ① 因子分析の結果を中心にした分析. 1234567839ーユ222111111322222. (1)児童理解の現状と分析. 目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目目 項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項項. Fl F2. 唖雪d4遺三遷灘欝灘 203202111351142. 難遠写響強3釜捲遺蓄患慧謡冷蒸. 《回転による因子負荷董》. 4.調査の結果と考察. 因子寄与 5.399 4.676 4eO37 4.894 19.005. 寄与率 】.4.2甥 12.31% 10.62% 12。88% 50.Oi%. 一40一.
(22) B 因子の分類と分析. 22)子供たちの衣・食・住の状態. 【表一1】の結果から第1因子は、 9項目の集合で、. 第3因子は7項目の集合で、いずれも学校生活に関係. 〔子供の意識に関する因子〕と解釈できる。. する児童理解の場面からなる項目である。教師が児童理. 1 子どもの意識に関係する因子. 解を意識する時、子どもを評価の対照としていることが. 1)子供たちの目標にしていること. 多いため、 (評価のための因子〕と解釈される。. 2)子供たちの理想とする人物. 3 E“ の.亙め璽L因三匠. 3)子供たちは自分自身の事をどう思っているか 4)子供たちは友だちの事をどう思っているか. 13)子供たちのそれぞれの教科の達成度 (知識・理解・技能・関心・態度・興味). 5)子供たちが住んでいる環境をどう思っているか. 14)子供たちの集会・行事への取り組み. 6)子供kちがどの様な価値観を持っているか. 15)子供たちの自習時間の態度. 7)子供たちの趣味. 16)子供たちのクラブ活動・委員会活動への取り組み. 8)子供たちがどの様な欲求を持っているか. 17>子供たちの休憩時間・放課後の交友関係や様子 18)子供たちの掃除・係の仕事に対する取り組み. 38)子供たちの悩み. 第2因子は6項目からなり、生育歴や家庭環境など、. 30)子供だちの遠足・林間学校等への参加の態度. 指導要録の記入欄にみられる項圏〔要録に関係する因子〕. 第4因子は、子どもたちの学校外の生活に関係する項. と解釈できる。. 目で占められている。 33)公共施設の利用状況 31). 2要蓋に系する子. 子供会・スポーツ少年団等への参加の項目も帰宅後の活. 9)子供faちの身長・体重・等の成長の記録. 動としてとらえ(家庭生活に関係する因子〕として解釈. 10)子供たちの毎日の健康状態. きれる。. 11)子供たちの慢性病の有無. P 24)子供たちの生活のリズム(帰宅・就寝・起床の時刻等. 20)子供たちの親の仕事 21)子供たちの家族関係(親兄弟。祖父母) 一41一. 」こLgi1a」、鍵L壬. 25)子供たちの家庭の雰囲気 一42p.
(23) 26)子供たちの家庭学習の時間と内容. ② 項目別にみた回答傾向の分析. 27)子供だちが家でよくやる遊び、遊び相手 28)子供たちのこずカ5いや、その用途. 調査用紙一枚目の、 38項目からなる児童理解の現状. 31)子供たちの子供会・スホ㌧ツ少年団等への参加態度. 回答に”1”学級の全員を理解していると答えた者、同. 33)子供たちの公民館・図書館等公共施設の利用状況. じように”2, 3”学級の半分まで理解していると回答. 34)子供たちの地域での評判. しだ者、”4, 5”学級全員の半分も理解していないと. 36)子供だちの登下校の様子. 回答した者の人数をそれぞれ集計し、教師が理解してい. 調査の結果を、それぞれの項目毎に集計しだ。質問紙の. 最後にどの領域にも属さなかった項目として以下の7. る項目に、どの様な項目があるかを探ろうというもので. 項目が上げられる。. ある。. 三一_ξ二の題.域ji乱査.風さ.塗一力≧一?ゴ≧.項且. 12)子ども達の学習の好き嫌い. 【隅一2】 項目別回答者数 . 4図1∂「. 羅li羅. 19)子ども達の給食時間の様子. 23)子供たちの家庭でのテレビの内容、時間. 3ZZ. 醗騰騨1. 29)子供たちの家庭のしつけ 32)子供たちの塾・習い事の状況. 2四. 35)子供たちが学習以外で得意なこと、不得意なこと 旭日. 37)子供たちの話題 これら潜在的因子を基に、児童理解されやすい項目、 児童理解されにくい項目を考えていく。. e 1 3 5 7 S 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37. 2 4 6 8 IZ 12 14 16 18 n22 2A 26 28 3Z 32 34 36 3E. 【二一2】縦軸は人数、横軸は項目の番号である。 一43一. 一44一.
(24) 【図一2】から、最も理解していると回答されだ項目. ③ 因子別にみた回答傾向の分析. は、 「19)子ども達の給食時間の様子」であり、全体の. 更に、回答傾向を因子毎に分類しグラフ化してみる。. 83%にあたる、 313名が「学級全員を理解している」. 【図一3】. ている」と答えた項目は、 「11)子供たちの慢性病の有. 無」の80%302名、 「10)子供たちの毎日の健康状 態」の79%298名、 「32)子供たちの塾・習い事の. 麗 7e 蘭. 薮sa の 42 製en 口. 状況」67%254名、 rg)子供たちの身長・体重・等 の成長の記録」の61%232名、 r20)子供たちの親. の仕事」61%231名、そして「21)子供たちの家族. 2Z 電 臼. 一2345ら73銘 ↑勲卜㌫配ま. と答えている。 50%以上の教師が「学級全員を理解し. 子どもの意識に閣係する因子の回答傾向. ノ叙…. \く. 嘘 〆 ノラ ほ ノ. の. 鰺/. Lt ti[ N,ll. ! /. / o/. 適. 4.5痴回答. P.R昏圓笈. !を回答. 画答. 関係(親兄弟・祖父母)」の51%206名である。. 一46一. (〉一一一 9. 4,5を回答. 勘1122鎖盈. 一45一. 勲卜畿. 内容、時間」22%83名であっ炬。. N、駄. か」25%94名、 「23)子供たちの家庭でのテレビの. 臨、、 ㍉噛 、. 回答. 、 、. 2,3を回答. ・、. 104名、 「6)子供たちがどの様な価値観を持っている. 1を回答. ミ・、. 供たちの公民館・図書館等公共施設の利用状況」27%. 気 い、. ちのこずかいや、 その用途J37%i38名、 「33)子. 。 甑独. 供たちの地域での評判」39%147名、 「28)子供た. 窯\. 担任が児童理解しにくい項目だと言っている。 「34)子. A数の割合. たちの理想とする人物」47%176名は、最も多くの. 【図一4】. 要録に関係する因子の回答傾向. 口☆. 達が、 20%以上いた項目を中心に選択した。 「2>子供. 鋤㎎働関49鈎2⑦122. 「学級のほとんど全員を理解していない」と回答しk四. 総/. 次に、 「理解していない」と回答した項目を上げると、.
(25) 【図一7】. 【図一5】. 22 1日. 図. 彩ラノ㌔△職気 ’ミミ支\. 2,3を回答. x. A. 会劒 の. 型4z ロ 39 29 te. 様 1を回答. 鞘. 控19お29鍛⋮36訂. 口. 黷S禽\ (。。一. 9⑭. ↑勲卜難曲. ヰロ. 13 P4. 高P6蝉博銅. 藪s9 の 製銅. どの因子にも属さなかった項目 @. 麗 嘉. ↑虻匙虻. 評価のための因子における回答傾向. 2 画答. 4,5・を回答. 回答. 教師が理解していると答えた項目のほとんどは、第2 因子の「要録に関係する因子」に含まれていた。理解さ 【図一6】. 係する因子」と、第4因子のr家庭生活に関係する因子」. 24. 薰Q6勿28臼31お鋼鐙. 4,5を回答. 蜜㌫群㌫卜. ・、、 蕊,. [製△ 。. 、、蕊、. 回答. N熊・、. 2,3を回答. 澱. 心ノ. ミぬ、. 1を回答. /〆、ぞ. の ノゐ. ρ. η樋 駒 聡鋤 四 12. ム数の割合. 2. 由 tに 係する因子における回答傾向. れていなかっだ項目は、第1因子の「子どもの意識に関 に含まれているものがほとんどであった。 また、 どの因. 子にも含まれず、児童理解されやすい項目が一つと、児 童理解されにくい項目が一一つあった。 これらの図から、. 児童理解していると答えられた項目は、教師にとっては 義務づけられた仕事に属する物が多いということ。その 他の児童理解の項目は、教育の前提として考えられてい るより、問題行動を持つ児童、 あるいは興味のある児童. 等、特定の子ども、特定の場合を対照としている場合が 多いと言える。 m47一. 一48一.
(26) = 36.925 = 32.310. :42.777. 瓢24.962. 質問紙回答欄の1にあたる、 「学級全員:を理解してい. = 21 .991 = 31 .757. る」を一つのまとまりとした。 そして、 2, 3にあたる. = 23.074 = 23.483. 「学級全員の甚を理解している」 「学級全員の吉を. :29.905 = 22.692. 理解している」を一つのまとまり、 また4, 5の「学級. =18.606 =26.273. 全員の 才 を理解している」 「学級のほとんど全員を理. = 28.131. 解していない」を一つのまとまりとして入力した。 サン. = 45.149 = 39.543 = 37.68e = 54.624. =57.660. プル数は、 L=107 M=126 S=145であっ た。 (以下項目の内容は省略した形で記述). : 50.214. 2)理想とする人物6)どの様な価値観を持っているか. = 34 .911. る. : 7e3il 1. か録. る記. いの. て長. :32e153. = 26.005. ρ︶ S. = 27.277. * *** * **. = 7.847. 諮**議**. = 19.747. = 19.811 か. て い. つ. ︶ 腿. か. て い. つ. 力. て. 7︶ る. 78 い る 28. 持. ・ 思. 思. 4 ・ つ 3. 19. つ成 ︵︵と う こ ど ・つ を 持の 15る物を ど境観味を等 ooい人事 を環値趣求・ ・・てるの 回る価の欲重 ooしす身 のいなちな体 <<にと自 ちで様た様・ んの供の長 4PP標想だ分 =**目理自友住ど子ど身. ¥!︶︶︶¥ノ︶ 1 * 24 3だ∂OU?8009. 【学級規模がL, M, Sの学級を比較】 f. 11)慢性病の脊無19)給食時間の様子の項目において 差は有意でなかった。 そのほかはどの項目においても、. 有意な結果を生じた。 2)6)の項目は多くの教師が児童 理解していると答えだ項目である。 11)19)は児童理解 できていないと回答した項目である。. : 9e P?’96. 一49一. *β**. 17)休憩時間・放課後の交友関係様子=41.295 18)掃除・係の仕事に対する取り組み=22.137 = 1.877. 定を行うために、 カイニ乗検定を行った。. d. *N**. FD 4QU. 45Qσ◎U. ・り乙 ・ ・. 級しに分けた。 そして、 三つの独立な標本の比の差の検. 21つリハ壕. = 52.951 = 17.363 = 46.756. みた。 学級の規模を、 担任する児童数が15名未満の学. 級S、 15名以上30名来満の学級M、 30名以上の学. ρ0 ・7つり. 躍===. 次に調査結果を、 いくつかの属性で分類して分析を試. 2Q﹂9﹂ら0. ④カイニ乗検定による分析 A 学級規模別児童理解. 一50M.
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