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JAIST Repository: 産業競争力強化を使命とするEU諸国の公的研究機関と産総研における企業との連携(公的研究機関)

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Academic year: 2021

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(1)

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

産業競争力強化を使命とするEU諸国の公的研究機関と

産総研における企業との連携(公的研究機関)

Author(s)

大沢, 吉直; 近藤, 正幸

Citation

年次学術大会講演要旨集, 19: 661-664

Issue Date

2004-10-15

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/7129

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

(2)

2H12

産業競争力強化を

使命とする

EU

諸国の公的研究機関と

総研における 企業との連携

0 大沢古画,近藤正幸

( 構図六 ) 「. はじめに 世界には、 国の産業競争力強化を 使命とする公的研究機関が 少なからず存在する。 公的研究機関による 産 業 競争力強化は、 イノベーション ( ここでは経済的インパクトを 持つ技術革新と 定義する ) によって行われ

ると考えられる。 現在有効と認識されているイノベーションの 連鎖モデル [Kline and Rosenberg(1986)] に 従

えば、 イノベーションには、 研究機能、 市場へのマーケティンバ 機能 ( 特に市場ニーズの 把握 ) 、 製品開発・

製造機能の間の 密接な連携が 必要であ る。 公的研究機関は、 研究機能に特化しており、 それ以外の 2 機能を 持たない。 そのため、 公的研究機関の 側から見た場合、 自ら見出した 知識あ るいは開発した 技術を効果的に 産業界に伝達するためには、 研究機能だけでなく 市場へのマーケティンバ 機能や製品開発・ 製造機能を併せ 持っ企業と連携することが 重要であ る。 また、 公的研究機関が 効果的な技術移転を 行 う ためには、 機関内部

の 研究ポテンシャルの 育成と産業ニーズの 把握が重要であ ると指摘されている [Hsu and Ye0(1996)] 。

本報告では、 第 2 節において国の 産業競争力強化を 使命とする EU 諸国に存在する 公的研究機関で、 研究 ポ テンシャルの 育成および産業三一 ズ 0 把握と企業からの 研究資金に基づく 研究がどのように 行われているか について議論し、 第 3 節においてはこれらの 公的研究機関と 産業技術総合研究所 ( 産 総研 ) をパフォーマン スも 含めて比較する。 本稿で対象とした EU 諸国の機関は、 多様な産業技術分野を 抱えるフラウンホーファー 協会 ( ドイツ ) 、 TN0 ( オランダ ) 、 VU ( フィンランド ) およびマイクロエレクトロニクス 分野に特化したⅢ EC ( ベルギ一 ) であ り、 これらの機関の 分析は、 産 総研と三菱総合研究所が 共同で行った 調査に基づくもので あ る [ 三菱総合研究所 (2003) および大沢・ 大井 (2003)L 。 2. EU 諸国の産業競争力強化を 使命とする公的研究機関における 内部研究ポテンシャルの 育成と 企業との連携 表 「に EU 諸国の 4 つの公的研究機関と 産 総研の機関概要を 示す。 EU の 4 機関の収入は、 いずれも政府から 0 機関助成資金、 公的ファンディンバ 機関からの公的研究資金、 企業からの研究資金 ( 受託研究や共同研究 ) から構成される。 これらの機関における 重要な特徴は、 企業からの研究資金 ( 受託研究資金や 共同研究資金 ) の 獲得が機関運営上不可欠なものとして 位置づけられていることであ る。 使命、 計画や評価項目等への 明示 で企業からの 研究資金獲得を 促進することにより、 いずれも極めて 多額の研究資金を 企業から獲得しており、 企業からの研究資金が 収入総額に占める 割合も多い。 機関内部の研究ポテンシャルの 育成は 、 主として機関助成資金を 用いて行われる。 機関助成資金は、 研究 機関が自由裁量できる 資金であ り、 TNO および VTT では、 戦略的基礎研究 ( 将来産業技術のための 基礎研究 ) に充当されている。 フラウンホーファー 協会では、 機関助成資金のⅤ 4 は受託研究資金獲得 額 に比例して 配 介 される。 内部の研究 ポ テンシャルの 育成のためには 大学との密接な 協力も重要であ る。 いずれの研究機関 も大学近隣に 立地し、 研究所のディレクタ 一の多くが大学教授を 兼任し大学からの 基礎的 ポ テンシヤ ル を 導 入すると共に 学生が研究支援を 行う。 表 2 に示すよ う に公的研究機関が 企業に提供する 研究開発の内容は、 フラウンホーファー 協会、 TN0 、 VTT では 、 多様な産業技術分野を 抱えていることを 反映し、 主として企業の 抱える個々の 技術課題の解決 ( ソリ ユー ション ) であ る。 一方、 マイクロエレクトロニクス 分野に特化したⅢ EC においては、 当該分野の投資 負

(3)

担の大きいプレコンペティティフな 段階の技術開発を 共同で行う課題設定がされている。 企業へのマーケテ ィング活動は、 いずれの機関においても 研究者自身が 日常的に行っており、 Ⅲ EC においてはそれにビジネス 開発部門も加わる。 企業ニーズの 把握は、 企業へのマーケティンバ、 企業のロードマップの 把握、 等により 行われる。 連携における 企業側のメリットは、 研究コストの 削減、 研究リスクの 低減、 企業が持たない 研究 装置や大規模設備の 活用、 等であ り、 公的研究機関側のメリットは、 研究資金獲得と 企業三一 ズ 0 把握であ る。 フラウンホーファー 協会以外では、 企業に対する 顧客満足度調査が 行われ、 企業との良好な 関係を維持 する努力が払われている。 フラウンホーファー 協会では、 顧客満足度調査は 行われていないが、 顧客のリピ ート率は高いとされている。 企業からの研究資金の 獲得は、 公的研究機関の 持つ研究ポテンシャルと 企業の研究開発ニーズが 一致し、 双方にメリットがあ って初めて実現する。 これは公的研究機関と 企業の情報交換と 交渉により行われる。 表 3 は公的研究機関および 大学の内部研究 ( 外部から依頼されたものでなく、 自主的なもの ) と企業の産業技 術 研究開発の持つ 要素の比較であ る。 公的研究機関と 大学の内部研究は 類似した性格を 持つと推定されるが、 それらは新知識の 獲得や新技術の 開発を指向し、 経済的利益を 指向する企業の 産業技術研究開発とは 大きく 異なっており、 公的研究機関と 企業の交渉担当者がこの 違いを調整することにより 受託研究課題や 共同研究 課題が設定されると 考えられる。 表 「 : 機関の概要 フラウンホー フアー協会

(

TNO(

オランダ、

イツ, 2002 年 ) 2002 年 ) 法的形態 @ 非営利研究機関 独立研究機関 収入総額 目 ( 億円 ) 内訳 : 額 ( 比率 ) ・機関助成資金 ・公的研究資金 1.290 % 胚 42 42 ︵︵ 8l 68 52 629 % 胚 Ⅰ @ Ⅱ 廿 3 l Ⅰ l 79 98 ︵ 0 0 345 4 , Ⅰ 35 胚 6 2 人 9 ㌍㎝ 57 25 金

黄教

充所

研究

乗数 冊 全員 属 ・戦前 産業技術分野

生産技術、

情報 通信技術、 ェネ 、

ルギー、

環境技 術、 材料・デバ イス、 ェ レクト コ 二 クス、 バイ 事業内容 主に外部機関 ( 企業、 政府等 ) からの受託研究

情報通信技術、

情報サービス、 防衛技術、 製品

プロセス技術、

建設技術、 環境

技術、

等 外部機関 ( 企業、 政府等 ) からの 受託研究と研究 所内の戦略研究 ( 将来産業技術 のための基礎研 究 ) V T T I M 三 C ( フィンランド、 ( ベルギ

2002 年 ) 2002 年 ) 独立研究機関 非営利研究機関 263 Ⅰ 66 82@ (30%) 40@ (24%) 80@ (31%) 23@ (14%) 96@ (37%) 98@ (59%) 3 000 人 ],300 人 6 4 ( 研究部門 ) エ レウトロ 二 ウ ス、 情報通信技 術、 産業システ ム、 プロセス技 術、 バイオ技術、 情報サービス、 笘 マイクロエレウ トロ こ クス、 ナ ノテクノロジ 一 、 設計、 l ㎝ システム 外部機関 ( 企業、 政府等 ) からの 受託研究と研究 所内の戦略研究 ( 将来産業技術 のための基礎研 究 ) 業プ蛇とロ ㊥ 企究 Ⅱ 除研 ︵ 国司 ム に共う 生めヴ 産 総研 (2003 年 ) 独立行政法人 928 684@ (74%) 158@ (17%) 23@ (@ 2%) 3.100 人 約 60 ( 研究 ユ二 ソト ) 情報通信、 ライ フサイェンス、

ナノテク

材 料 ・製造、 環境・ エネルギー、 標 準 、 地貫・海洋 機関助成資金に

よる内部研究、

外部機関 ( 政府、 公的フアンディ ング機関、 企業 ) からの受託研究 a) l ユ 一口Ⅰ 120 円換算

(4)

表 2 : 企業との連携 フラウンホー T@ NO V T T I M 三 C フアー協会 (2002 ヰ ) (2002 年 ) (2002 ヰ ) (2002 ヰ ) 企業に提供す 企業の抱える 技 企業の抱える 技 企業の抱える 技 マイクロ ェ レウ る研究開発の 術課題のソリュ 術課題のソリュ 術課題のソリュ トロ 二 クス分野 内容 一 ション ( 課題 一 ション ( 課題 一 ション ( 課題 で投資負担の 大 解決 ) が重要な 解決 ) が重要な 解決 ) や プレコ きいフレコンペ ターゲ 、 ソト ターゲット ンペティティフ ティティフな 段 な技術課題が 重 階の研究を設定 顧客企業 企業へのマー ケティンバ活 動 企業のニーズ の把握 国内外企業約 3000 社 ( ベンツ、 、 ン一 メンス等を 含む大企業と 中 小企業 ) 一で 常 ヤと日 ジ もが ネ 0 者 マ理究 究管研 研 の 各 的に行う。 企業へのマーケ ティン ヴ 、 受託研究、 企業 のロードマップ の活用 @ ツ約 ゲ業 一食 タ外 な内 要目 業 企 外 内 国

を 轄牡

巾企

Ⅱ大業

せ企

含小

各研究所の研究 グループリーダ ーが日常的に 行 つ @ 企業へのマーケ ティンバ、 企業 のロードマップ の探索 5000 社 ( ノキア 等を含む大企業 と中小企業 ) 各研究所の研究 グループリーダ ーが日常的に 行

- 企業へのマーケ ティンバ、 企業 のロードマップ の活用 産 総研 (2003 年 ) 長期的視野に 立 った新規技術の 萌芽、 企業の弱 い分野の補完、 等 国内外企業 500 殆どが国内企業 社以上 ( インテ ( 大企業および ル 、 モトローラ、 中小企業 ) で 企 @BM 、 デュポン等 業 研究資金の導 を含む大企業と 入や特許実施契 中小企業 ) 的 に関わるもの は合計 800 社 程 座 ビジネス開発部 主として産学官 門と研究者が 共 連携部門が行 同で行 う 。 つ - コードマップの 主として産学官 活用、 企業への 連携部門が行 マーケティン う。 企業への技 グ、 Ⅲ EC 主催の 術シーズの紹 国捺 会議 介 、 等 表 3 : 公的研究機関・ 大学の内部研究と 企業の産業技術研究開発の 比較 要素 公的研究機関・ 大学の内部研究 企業の産業技術研究開発 研究・開発の 焦点 好奇心指向の 基礎研究 新産業を産み 出す技術の研究開発 目的 新知識の獲得や 新技術の開発 経済的利益 性格 アイディア中心 実用性中心、 製品中心 枠組み オープン クローズ 成果の公表 論文、 特許 製 R 、 % き ; 午 価値評価 主として学術界による 評価 企業内の評価、 消費者の評価 予算的裏 付け 機関助成資金 企業の研究開発費 注 ) Vedovello. C (1998) に記載された 大学の研究と 企業の産業技術研究開発の 比較を部分的に 修正して 作成。 3. EU 諸目の公的研究楼閣 と産 総研の比較 産 総研は、 2001 年 4 月に旧通産省・ 工業技術院所属の 15 研究所の統合再編により 独立行政法人形態の 公的 研究機関として 発足した。 産 総研の前身であ るエ業技術院所属研究所時代は、 制度的に企業からの 研究資金 獲得が困難であ り、 アウトプットは 主として学術論文や 特許であ った。 企業からの研究資金獲得が 困難であ ったため、 企業へのマーケティンバや 企業の抱える 二一 ズ ( 市場 三 一 ズを 変換したものと 考えられる ) を 把 握 する努力も組織的には 行われなかった。 産 総研発足以来、 企業との連携に 関する制度を 大幅に改革し、 企 業からの研究資金 ( 受託研究や共同研究 ) の導入が可能となり 企業へのマーケティンバも 行われるようにな

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った [ 大沢・近藤、 2 ㏄ 3] 。 I M 巨 C 産 総研 (2002 ヰ ) (2003 ヰ ) Ⅰ 152 約 3,500 43 394 表 4 : 機関のパフォーマンス フラウンホー T N O V T T フアー協会 (2002 年 ) (2002 年 ) (2002 年 ) 論文教 約 ],000 5 Ⅰ @ (lS lb)) 878 特許実施契約 ,件数 不明 不明 52 ・金額 ( 億円 ) 不明 不明 受託研究・共同 研究 ・金額 ( 億円 ) 329 343 96 スピンオフ起業 Ⅰ 0 4 98 23 数 ・単年度 48(2000 ヰ ) 7 不明 Ⅰ 3 ・累計 250 52 49(1990-2000@ 19 35(2001-2003 ヰ ) ヰ ) b) lS@ データベースで 検索した結果。 実際より少なくカウントされている 可能性あ り。 表 4 に示すように、 産 総研の発表論文数は、 機関の規模を 考慮しても、 Ⅲ EC 以外の 3 機関に比べてかなり 多い。 機関助成資金の 割合が他の機関と 比べて大きいことが 示すよ う に、 内部研究ポテンシャルの 育成には 大きな努力が 払われている。 一方、 企業からの研究資金 ( 受託研究と共同研究 ) の獲得額は 23 億円であ り、 年々増加してはいるもののこの 時点では未だ 収入総額の 2% 程度であ る。 企業からの研究資金獲得が 機関運 営上の大双提となっている EU の 4 機関と比較してかなり 少ない。 企業からの研究資金の 獲得 額 が少ない理由 は 、 研究ユニットの 計画や評価システムに 企業からの研究資金獲得が 明示的にほ入っていないことや、 企業 への マーケティンバが 組織的に研究者レベルで 行われてはいないこと 等であ る。 前述したように、 公的研究 機関が効果的な 産業技術創出を 行 う ためには、 内部研究ポテンシャルの 育成と共に産業ニーズ や 企業ニーズ 0 把握が必要であ る。 EU の 4 機関に見られるように 研究者が積極的に 企業へのマーケティン グ に参加する場 合、 内部研究のポテンシャルが 相対的に低下することが 予想され、 機関助成資金による 内部の研究 ポ テンシ ャル の育成および 企業へのマーケティンバによる 研究資金の獲得と 受託研究・共同研究の 遂行のバランスに ついて検討することが 重要であ ると考えられる。 また、 産 総研の特許実施契約件数は 多いものの VTT や l ℡ C と 比較して「 件 あ たりの実施契約 額 が少ない。 スピンオフ企業数は 設立当初からの 努力を反映してかなり 多 く、 3 年間の実績は 機関規模を考慮するとフラウンホーファー 協会なみであ る。 参考文献

・ Kline S. 」・ andRosenbe Ⅰ g, N. (1986). "Anove ァ view of lnnova Ⅲ on" in "The PositiveSum S Ⅰ : Ⅰ ategy

Ha Ⅰ nesslng Technoiogy for Econ ㎝ lc 館 owth ", Na Ⅲ ona@ Academy o ケ Sclences P Ⅰ ness, pp. 275 一 303

・ Hsu, J. P. and Yeo, K. 丁 ・ (1996), "A Systematic Approach 土 o Re 一 lenglnee ァ a Publlc Research

Institute(PR・ for Commercialization" , Int , I J ・ Project Management , Vol , 14 , pp , 387-393

gVedovello , C , (1998) , "Firms , R&D@ Activity@ and@ Intensity@ and@ the@ University-Enterprise

Partnerships"@ , Technological@ Forecasting@ and@ Social@ Change , Vol , 58 , pp , 215-226

・三菱総合研究所 (2003) 、 " 海外の公的研究機関の 企業連携に関する 調査研究 " 報告 手 .

・大沢古画、 大井健太 (2003) 、 産 総研報告言 " 海外の公的研究機関の 企業連携に関する 調査研究 "

・大沢古画、 近藤正幸 (2003) 、 " 産業技術総合研究所の 組織・制度改革と 産業技術創出に 向けた成果の 拡

表  2  :  企業との連携  フラウンホー  T@ NO  V  T  T  I  M   三 C  フアー協会  (2002   ヰ  )  (2002   年  )  (2002   ヰ  )  (2002   ヰ  )  企業に提供す  企業の抱える 技  企業の抱える 技  企業の抱える 技  マイクロ  ェ  レウ  る研究開発の  術課題のソリュ  術課題のソリュ  術課題のソリュ  トロ  二  クス分野  内容  一 ション  ( 課題  一 ション  ( 課題  一 ション  ( 課題

参照

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