緒 言
歯科診療所(以下,歯科医院とする)における歯科衛 生士の不足が問題とされており,歯科衛生士の復職支援 や離職防止の対策が進められている1,2).歯科衛生士の 離職や復職の困難さは,職場や政策など幅広い環境に左 右されたものである.そのため,この問題を歯科特有の 比較的新しい問題ととらえるのではなく,産業保健の課 題ととらえ,産業保健分野の歴史に基づく幅広い科学的 知見を適用することが解決に有用だと考えられる.産業 保健も課題としてとらえるのであれば,従業員である歯 科衛生士側の要因だけでなく,職場である歯科医院側の 要因も含めた研究が求められるが,こうした研究は少な い. 産業保健では時代や状況で異なる労働環境下で人々の 行動やウェルビーイングに与える要因について調べられ てきたが,この中では,職場での人間関係や報酬の問 題,家庭との両立など幅広く働く人のストレスやウェル ビーイングに影響する要因が扱われてきた.これらの要 因は歯科衛生士の離職原因などとも関係するものである ため,職業性ストレスモデルの枠組みを取り入れて考え ることは,歯科衛生士が離職しにくく,また復職しやす い歯科医院づくりに結び付くであろう. 産業保健分野で考えられる幅広い意味での職業性スト レスの高さは,歯科衛生士が離職に至る大きな原因だと 考えられる.ストレスは単に仕事の大変さからもたらさ れるだけではなく,職場や家庭などさまざまな要因が影 響する.職場でのストレスや健康の研究に用いられてき 1)東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科健康推進歯学分野 2)東北大学大学院歯学研究科歯学イノベーションリエゾンセンター地域展開部門 3)東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野 4)東北大学大学院歯学研究科予防歯科学分野 5)歯科衛生士復職支援事業運営協議会 6)一般社団法人宮城県歯科衛生士会 口腔衛生会誌 J Dent Hlth 71: 72–80, 2021歯科衛生士の離職防止と復職に関連する要因:
ストレスモデルと歯科医師との意識の差
相田 潤
1,2)草間 太郎
3)五十嵐彩夏
3)小関 健由
4)小坂 健
3)人見 早苗
5,6)渡部 千代
5,6) 概要:歯科衛生士不足が問題となっている.そこで産業保健分野で重要な職業性ストレスモデルに基づき歯科衛生士 の離職原因となりうる要因(離職関連要因)を検討し,歯科医師との認識の違いを分析した.2017 年度に宮城県内の歯 科衛生士 1,334 人,歯科医師 1,185 人を対象に郵送の質問紙による横断研究を実施した.6つのストレスモデルに基づく 質問を用い,歯科衛生士と歯科医師の回答の差を χ2検定で分析をした.歯科衛生士 313 人(回収率:23.5%),歯科医師 213 人(同:18.0%)の回答の内,欠損値のない各 303 人と 174 人のデータを用いた.歯科衛生士の離職関連要因は,「人 間関係の問題」(78.2%)や「時間面の労働条件」(68.6%),「給与面の待遇」(58.4%)の回答が多かったが,歯科医師は それらは有意に少なく「産休育休の問題」の回答が有意に多かった.人間関係の問題の内訳は,歯科衛生士は「院長との 問題」,歯科医師は「スタッフ間の問題」が最も多く有意な差が認められた.労働条件の内訳は歯科衛生士・歯科医師と もに「勤務時間」が最も多かった.しかし,歯科衛生士は有給休暇や残業についての回答も有意に多かった.就業してい ない歯科衛生士は,非常勤で復職を望むものが最も多く,午後から夕方の勤務は避けたい者が多かった.歯科医師と歯科 衛生士の間で離職原因の認識に大きな差が存在した.これらを解消することで,歯科衛生士の離職を防止し,復職を支援 する環境につながる可能性がある. 索引用語:歯科衛生士,離職,復職,ストレスモデル,産業保健 口腔衛生会誌 71:72-80, 2021 (受付:令和 2 年 5 月 15 日/受理:令和 2 年 11 月 30 日)原 著
た職業性ストレスモデルとしては,①仕事の要求度-コ ントロール・サポート,②努力・報酬不均衡,③組織に おける公正,④仕事と家庭の葛藤・サポート,⑤シフト 勤務や非正規雇用などの非標準的な勤務スケジュール, ⑥仕事の柔軟性や勤務スケジュール調整,の 6 つのモデ ルが主なものとして挙げられる3).歯科衛生士の主な職 場は歯科医院であり歯科医師とともに就労する場合が多 いが,ストレスモデルの観点から歯科衛生士の離職原因 や歯科医師との認識の差異を明らかにすることは,歯科 衛生士の離職を減らすうえで重要である. そこで本研究では,宮城県における質問紙調査を通 じ,歯科衛生士の就業を困難にする要因(ストレッサー) を幅広い理論モデルに基づいて実態を把握し,歯科医師 との認識の差異を明らかにし,歯科衛生士の離職の防止 と復職の支援に資する知見を得ることを目的とした.
対象および方法
1.対象 本横断研究では,宮城県内の歯科衛生士および歯科医 師を対象とした.歯科衛生士は,宮城高等歯科衛生士学 院および宮城県歯科衛生士会に所属する 1,334 人を対象 に,歯科医師は宮城県歯科医師会の会員 1,185 人を対象 とした. 2.方法 1)質問紙調査 質問紙による郵送法の調査を実施した.歯科医師への 調査は 2017 年 12 月 28 日から 2018 年 1 月 26 日までの 期間に,歯科衛生士への調査は,2018 年 1 月 29 日から 2 月 23 日までの期間に行った. 2)職業性ストレスモデルと調査内容 歯科衛生士の離職の原因となりうる要因(以下,離職 関連要因)として,これまでの産業保健分野の研究で確 立した幅広い理論モデルに基づき,かつ歯科医療現場に 適合しやすいよう質問内容を検討し,独自の質問紙を 調査に用いた(このため労働安全衛生法によるストレ スチェック等で普及している質問紙とは質問内容は異な る).各質問は既存の理論モデル3)に準じて(一部内容 は除く)構成した. 離職関連要因を把握するため,歯科衛生士に対しては 「就業先を辞めたいと悩んだり,辞めたりする原因は何 と思いますか?」という質問に対して,複数回答可で回 答を得た.また,歯科医師に対しては過去に歯科衛生士 の離職の手続きを行った経験のある者に対する「離職に 至ったと思われる経緯についてはお知らせください」と いう質問に対して,複数回答可で回答を得た.回答の選 択肢が各理論モデルと対応するよう本研究では分類を 行った.対応する回答に重複があるが,これは各理論モ デルの概念がオーバーラップしているためである.今 回,採用した具体的な各理論モデルの概要と,それぞれ に対応した回答の選択肢は次のとおりである. ①仕事の要求度─コントロールモデル(およびサポー トモデル) Karasek の仕事の要求度─コントロールモデル4)は, 職業性ストレスに関して最もよく用いられる3).このモ デルでは,図 1 に示すように職業性ストレスは仕事の要 求度(仕事の大変さの認識)と,コントロール(仕事の 自由度,仕事について自分で決められる度合い)の相互 作用でストレスが決定される.例えば,自分の裁量の高 い院長は,仕事が大変であってもストレスは低くなる傾 向にある(アクティブ群).一方,院長の下で働く歯科 医師や歯科衛生士などのスタッフは,院長と同じくらい の仕事の大変さであれば,裁量が低いため,ストレスは 院長よりも高くなる(高ストレイン群).つまり,同じ 時間歯科医院で働いていたとしても,コントロールの差 で,院長よりもスタッフのほうがストレスが高くなりや すい. このモデルにソーシャルサポートを加えたモデルも 存在する3).仕事の要求度とコントロールモデルに加え て,職場の人々から手助けをしてもらえたり,悩みを聞 いてもらえたりするようなサポートがあればストレスは 少なくなるし,サポートがなく孤立していればストレス は高くなる. 仕事の要求度─コントロールモデルに関する回答は低ストレイン群
(ストレスが低い仕事)アクティブ群
(能動的な仕事)パッシブ群
(受動的な仕事)高ストレイン群
(ストレスが高い仕事)仕事の要求度
(仕事の大変さ) 低い 高い ( 自 分で 決め られる 自 由度・ 裁量)コ
ン
ト
ロ
ール
高い 低い 図 1 仕事の要求度─コントロールモデル4)次の通りである.コントロールとして「労働条件」「業 務範囲や業務内容に関する問題(就業規則,研修期間等 の説明が不十分など)」,仕事の要求度として「ノルマ 等の規定がある」,職場のサポートとして「人間関係の 問題」の選択肢への回答を用いた.「労働条件」に回答 したものには,さらに具体的な労働条件として「勤務時 間」「昼休み・休憩」「残業時間や日数」「有給休暇」「そ の他」の中から複数回答可の選択肢で回答を得た.ま た,「人間関係の問題」に回答したものには,さらに具 体的に誰との人間関係かについて「院長」「スタッフ間」 「その他」の中から複数回答可で回答を得た. ②努力・報酬不均衡モデル この理論モデルは,仕事への努力に対してどの程度報 酬を得ているかによってストレスと健康が決定されるモ デルである5).ここでいう努力には,外からの要求に対 する努力(外在的な努力)と,労働者自身が目標を達成 しようとする努力(内在的な努力)の双方が含まれる3). 仕事の要求度─コントロールモデルにおける仕事の要求 度と,努力・報酬不均衡モデルの外在的な努力は似てい る面があるが,コントロールと報酬は異なる概念であ る.このモデルを歯科現場で当てはめると,例えば 1 日 に数多くの患者を診療したり,自分が習得できていな かった技術を習得したりといった努力に見合って報酬が 上がることが,ストレスを高めないことにつながる. 努力・報酬不均衡モデルに関する回答としては,「待 遇改善(給与・残業等の賃金の額面)」「福利厚生」を用 いた.「福利厚生」には一般的に健康保険や雇用保険や 労働者災害補償保険などの法定福利と,通勤費や住宅費 などの法定外福利厚生が存在する.歯科医院間で差が大 きいと考えられる法定外福利は,報酬に近いものが多い と考え,福利厚生もこのモデルに分類した. ③組織における公正 組織における公正の理論モデルは,分配的公正と手続 き的公正の2つの領域が存在する概念である6)分配的公 正は努力と業績に基づいて公正に報酬を与えられている と労働者が思う程度であり,努力・報酬不均衡モデルと 重なるため,手続き的公正が注目される3).手続き的公 正には,職場にフォーマルな意思決定や意思伝達,抗議 の機会などが存在するかどうかということと,対人関係 における公正(上司が部下に対して尊重や透明性,公正 をもって接しているか)の概念が存在する.歯科医院で の仕事内容が理由なく突然変更されることが頻発した り,院長が特定のスタッフをひいきするような状況は, 多くのスタッフのストレスを高めて健康を悪化させる可 能性が高くなるであろう. 組織における公正に関する回答としては次の通りであ る.手続き的公正として「就業契約に関する問題(就業 規則,研修期間の説明が不十分等)」,対人関係における 公正として「人間関係」の選択肢への回答を用いた.前 述の通り「人間関係の問題」に回答した者には具体的に 誰との人間関係についてなのかについて回答を得た. ④仕事─家庭葛藤 仕事─家庭葛藤の理論モデルは,仕事と家庭の間で対 立する要求がストレスを形成するという役割理論に基づ く7-9).例えば女性が仕事だけでなく家庭において家事 の役割を担っている状況は,仕事─家庭葛藤のストレス を増やしうる.仕事の要求度─コントロールモデルを 改変して,「仕事および家庭の要求度」「コントロール」 「家庭や地域,制度などのサポート」の 3 軸の立体でス トレスをモデル化する考え方が存在する3).歯科医院に 勤務しているスタッフが,保育園の終了や,学校からの 子どもの帰宅に間に合わないような時間まで勤務が延長 するリスクが存在することは,仕事と家庭の間での葛藤 を生み出し,ストレスを高めるであろう.ひとり親であ るスタッフは,より一層こうしたストレスが高くなる可 能性がある.一方で子どもの世話をしてくれる実家が近 いことや,保育園に子どもを預けられることはサポート となりストレスを減らすであろう.このモデルは,職場 側のアウトカム,つまり離職や長期欠勤や仕事の不満な どに影響すると考えられてきた3). 仕事─家庭葛藤に関するに関する回答として,「労働 条件」「結婚等婚姻の問題」「産休育休の問題(保育園や 幼稚園の確保等)」「介護に関する問題」の選択肢への回 答を用いた.前述の通り労働条件については具体的な労 働条件について回答を得た. ⑤不利な勤務スケジュール 夜勤などの日中以外に働くシフトの労働も存在する. 夜中に副業を行うような働き方も存在する.工場や病院 での夜勤のように契約上定められたものであっても,時 間的に変則的な勤務形態は「不利な勤務スケジュール」 と分類されており,主に睡眠不足を通して心身の健康の 不健康を引き起こす3).自らが希望しない派遣や有期雇 用,パートタイムや非正規雇用は,近年増加している が,こうした勤務形態は不利な勤務スケジュールにも結 び付く場合もある.最近では夜中や 24 時間開院してい る歯科医院も存在するが,このような歯科医院において は夜間の労働とそれによる睡眠不足はストレスを高める であろう. 不利な勤務スケジュールに関する回答として,「労働 条件」「就業契約に関する問題(就業規則,研修期間の 口腔衛生会誌 J Dent Hlth 71(2), 2021
説明が不十分等)」の選択肢への回答を用いた.前述の 通り労働条件については具体的な労働条件について回答 を得た. ⑥仕事の柔軟性や勤務スケジュール調整 仕事の時間面での柔軟性に関わるものとして定義され ている「仕事の柔軟性や勤務スケジュール調整」も健康 に関連する.仕事や勤務スケジュールが柔軟であること は,人生に仕事以外の複合的な役割を組み込むことを可 能にして,ストレスを減らす可能性がある10).さらに 仕事が柔軟であることは,コントロールの高さにもつな がるし,また勤務スケジュールが柔軟であることは,仕 事─家庭葛藤を減らすことにもつながる3).歯科医院の スタッフがどの役割もこなせるようにすることで,病気 や家庭の事情による突然の休暇取得も許されるような職 場ではストレスが少なくなるであろう. 仕事の柔軟性や勤務スケジュール調整に関する回答と して,「労働条件」「業務範囲や業務内容の問題」の選択 肢への回答を用いた.前述の通り労働条件については具 体的な労働条件について回答を得た. これらの主解析に加えて,就業していない歯科衛生士 の復職に関する知見を得るため,現在就業していない歯 科衛生士に対して,復職を検討する場合の就業形態につ いて質問を行った.この質問は,労働時間や家庭との葛 藤に関わる労働条件に注目し,「復職を検討する場合, どのような就業形態を希望しますか?」の質問で複数回 答可で回答を得た.また,この質問に「非常勤」と回答 した者に対して,非常勤で復職をする場合の就業時間に ついて回答を得た. 3)解析方法 各項目の記述統計を示した.また歯科衛生士と歯科医 師の双方に質問した項目に関しては,それぞれの回答 した者の割合を示したうえで,それぞれの質問に対し て独立して χ2検定で歯科衛生士と歯科医師の回答に差 があるかの検定を行った.統計学的有意水準は p<0.05 と し た. 解 析 に は Stata MP version16.0 (Stata Corp, College Station, TX, USA)を用いた. 4)倫理的配慮 本研究は歯科衛生士復職支援事業運営協議会の調査 データの二次データ分析である.調査では,質問紙の回 答は任意とし,個人情報を保護するため,回答は匿名で 受け付け,本人が特定される形での質問は行わなかっ た.健康について質問を用いていない分析ではあるが, 東北大学大学院歯学研究科研究倫理の承認を得た(2020-3-14).
結 果
歯科衛生士の回答者は 313 名であった(回収率: 23.5%).歯科医師の回答者は 213 名であった(回収率: 18.0%).このうち,主解析に用いる変数に欠損のない 歯科衛生士 303 名,歯科医師は過去に歯科衛生士の離職 の手続きを行った経験があり,用いる変数に欠損のない 174 名の回答を解析に含めた. 歯科衛生士の基本属性について表 1 に示す.なお勤務 先については就業者のみの回答を示した.68.7%の者が 歯科医院に勤務する者であり,就業経験年数は 20 年以 上の者が 30.4% で最も多かった.回答した歯科医師につ いて,属性として唯一質問していた歯科医院のスタッ フ数は,歯科医師が平均 3.1 名(SD=1.3),内常勤が 2.8 名(SD=1.0),非常勤が 1.5 名(SD=1.0),歯科衛生士 が平均 3.3 名(SD=1.1),内常勤が 2.9 名(SD=1.0),非 常勤が 1.8 名(SD=1.1)であった. 表 1 調査に回答した歯科衛生士の基本属性(N=303) 人数 % 年齢 20~24 歳 19 6.3 25~29 歳 27 8.9 30~34 歳 56 18.5 35~39 歳 44 14.5 40~45 歳 36 11.9 46~49 歳 23 7.6 50 歳以上 98 32.3 就業経験年数 5 年未満 49 16.2 5~10 年未満 55 18.2 10~15 年未満 64 21.1 15~20 年未満 43 14.2 20 年以上 92 30.4 就業状況 就業者 233 76.9 非就業者 70 23.1 勤務先(複数回答可,就業者のみ回答) 歯科医院 160 68.7 病院・大学病院 32 13.7 行政 19 8.2 歯科衛生士養成学校 11 4.7 介護保険施設等 11 4.7 その他 15 6.4図 2 に,離職原因の各理論モデルによる分類と回答割 合を示す.歯科衛生士の離職原因で最も多いものは「人 間関係の問題」,次いで「時間面の労働条件」「給与面の 待遇改善」であった.これらの項目は歯科衛生士と歯科 医師の回答で有意な差が認められた.一方で歯科医師側 は歯科衛生士の離職について「産休育休の問題」が原因 と考えている者が最も多く,次いで「人間関係の問題」 「結婚をしたため」が多かった.「産休育休の問題」は歯 科医師の回答が有意に多かった.「結婚をしたため」と 「介護に関する問題」だけが歯科衛生士と歯科医師の回 答に有意な差がみられなかった.残りのすべての項目で 歯科衛生士と歯科医師の回答に有意な差がみられた. 図 3 に,図 2 の離職原因として歯科衛生士の回答で最 も多かった「人間関係の問題」について,具体的に誰と の問題なのかを質問した回答の内訳を示す.歯科衛生士 は「院長」との問題が 58.2%で最も多く,「スタッフ間」 での問題が 52.3%と次いで多かった.一方で歯科医師は 「スタッフ間」が 82.5%と大多数で有意に歯科衛生士よ りも多い回答であり,「院長」と回答した者は 28.1%に 留まり有意に歯科衛生士よりも少なく,認識の差が統計 学的に確認された. 図 4 に,離職原因として図2で2番目に多かった「時 間面の労働条件」の内容の詳細を示す.「時間面の労働 条件」を選択した者から回答を得た.歯科衛生士が離職 原因と考える労働条件として「勤務時間」「有給休暇」 「残業時間や日数」が多かった.歯科医師は「勤務時間」 が 73.9%と大多数を占め,その他の要因については原因 と考えている者が少なかった.そのため,「勤務時間」 の回答には歯科衛生士と歯科医師で有意な差がなく,一 方で「有給休暇」「残業時間や日数」「昼休み・休憩時 間」の回答は歯科衛生士が有意に多かった. 現在就業していない歯科衛生士に対して復職を検討 する場合の就業形態について質問をした際の回答を図 5 に示した.非就業者 70 人中 59 人から回答を得た.「非 常勤」と回答した者が 59.3%で最も多く,「常勤」を選 択した者は「どちらでも」と合わせても 32.2%であった (図 5(A)).「非常勤」と回答した者の多くは,「午前 中」の勤務を希望する者が 41.4%で最も多く,「都合よ い日を 1 日単位で」と「昼間」が次に多かった. 口腔衛生会誌 J Dent Hlth 71(2), 2021 78.2 68.6 58.4 40.9 31.4 32.3 27.1 16.5 11.9 5.8 33.3 13.2 8.6 63.2 1.7 5.2 29.3 1.7 6.3 0.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 歯科衛生士(N=303) 歯科医師(院長)(N=174) 歯科衛生士・歯科医師の回答の差のχ2検定の 値 <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 0.598 <0.001 0.050 0.001 (%) 番号は各回答・選択肢が対応するストレスモデルを示す:1)仕事の要求度―コントロールモデル (およびサポートモデル),2)努力・報酬不均衡モデル,3)組織における公正,4)仕事-家庭葛 藤,5)不利な勤務スケジュール,6)仕事の柔軟性や勤務スケジュール調整 53.8 48.6 35.6 18.8 1.9 73.9 8.7 13.0 0.0 4.3 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 勤務時間 有給休暇 残業時間や日数 昼休み・休憩時間 その他 歯科衛生士(N=208) 歯科医師(院長)(N=23) (%) 0.066 <0.001 0.030 0.023 0.448 歯科衛生士・歯科医師の回答の差のχ2検定の 値 58.2 52.3 3.8 28.1 82.5 5.3 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 他 の そ で 間 フ ッ タ ス と 長 院 歯科衛生士(N=237) 歯科医師(院長)(N=57) (%) <0.001 <0.001 0.616 歯科衛生士・歯科医師の回答の差のχ2検定の 値 図 2 歯科衛生士および歯科医師が考える歯科衛生士の離職 原因 図 4 歯科衛生士の離職原因としての時間面の労働条件によ る原因の内訳 歯科衛生士および歯科医師の回答(%)とその差の χ2検 定の p 値 図 3 人間関係の問題について,具体的に誰との問題なのか の回答の内訳 歯科衛生士および歯科医師の回答(%)とその差の χ2検 定の p 値
考 察
本研究は,産業保健のストレスモデルの観点から,歯 科衛生士だけでなく歯科医師に対しても,歯科衛生士の 力原因を調査し,その乖離についても調べた.その結果 から,歯科衛生士の離職原因には,歯科衛生士と歯科医 師で認識に大きな差があることが明らかとなった.歯 科衛生士は「人間関係の問題」や「時間面の労働条件」 「給与面の待遇」の回答が多く,人間関係の問題は院長 との問題が最も多かった.また,労働条件としては,勤 務時間だけでなく,有給休暇や残業についての回答も有 意に多く,これらを歯科医師は十分に認識していない傾 向が認められた.また,就業していない歯科衛生士は, 非常勤で復職を望むものが最も多く,午後から夕方の勤 務は避けたい者が多かった.こうしたことを歯科医師が 認識することで,歯科衛生士のストレスを減らし,離職 防止や復職しやすい環境の実現につなげられる可能性が ある. 本研究では,人間関係の問題が歯科衛生士の 78.2%の 回答を得た最も大きな離職原因であった.先行研究にお いて,現在すでに就業している歯科衛生士に対し,職場 で改善してほしいことを調査しており,ここでは金銭面 での待遇改善の要望が最も多く(72.5%)11),人間関係 の改善は 38.5%と本研究より少なかった.本研究では非 就業者が 23.1%おり,これが調査結果の違いを生じさせ た可能性がある.また,「離職原因」と「職場への要望」 と質問の方法の違いが存在し,職場への要望としては現 実的な改善がイメージしやすい待遇改善の回答が多かっ たのかもしれない.勤務時間(時間面の労働条件)の問 題の多さ,再就職の希望として午前中の勤務や夕方を含 まない時間の希望が多くフルタイムが少ないことは,先 行研究と一致していた1). 歯科衛生士は「人間関係の問題」「労働条件」「待遇改 善」が離職原因と考えている者が多かった.このこと は,人間関係や勤務時間,待遇について見直すことで, 歯科衛生士がたとえ結婚・出産をしたとしても,勤務を 継続できる可能性があることを示唆している.実際,近 年は結婚・出産後も勤務を継続している歯科衛生士も多 数いることから,現実的に歯科医院で対応することは可 能だと考えられる. 回答の多かった院長との人間関係から生じるストレス は,仕事の要求度─コントロールモデルで良く説明がで きると考えられる.院長は自分で判断して行動できるた め,図 1 のアクティブ群に入ることが多い.一方で従業 員である歯科衛生士は,裁量が院長に比べて相対的に低 いため,たとえ仕事の大変さは院長よりも低くても,高 ストレイン群に入ってしまうことが多い.院長に阻害さ れることで,歯科衛生士が良かれと思った行動をとれな いような状況も,歯科衛生士を高ストレイン群に追い込 む.こうしたストレスは,院長との人間関係のストレス と感じられることが多いと考えられる.また,スタッフ 間で院長の対応に差をつけられていると感じるような状 況は,組織における公正のモデルからの人間関係のスト レスを生じさせるであろう.勤務時間が長かったり,子 どもが病気の時にも有休がとりにくかったりする状況 は,家庭との両立を図るうえでの裁量の幅を狭めてしま う.これにより,仕事の要求度─コントロールモデルで のストレスに加え,仕事─家庭葛藤,不利な勤務スケ ジュール,仕事の柔軟性や勤務スケジュール調整の各モ デルの観点からのストレスも増大させるであろう.こう したストレスを解消するためには,裁量を増やし,勤務 時間の柔軟性を持たせることが必要である.それらが難 しい場合は,給料を増やすことで努力・報酬不均衡モデ ルの観点からのストレスの低減を図る必要がある.これ が十分でなければ,ストレスが増大するだろう.実際, 本研究で 3 番目に多い離職原因は給与面の待遇改善で あった. 本研究では,歯科衛生士の離職原因を,歯科医師が十 分に認識しておらず,「育休産休の問題」と単純に捉え ている場合が多いことが示唆された.これは,仕事を辞 めていく歯科衛生士が,院長に対して真の理由をいえ ず,育児のことを表面的な理由として退職していくケー スが多いことが理由ではないかと推測できる.その結 果,院長は真の理由を把握することができないため,ス トレスを生み出す原因に対処することが難しい状況に置 かれていると考えられる.しかし,今回述べたストレス モデルを理解することで,どのような状況がストレスを (A) N=59 (B) N=29 その他 8.5% どちらでも 30.5% 非常勤 59.3% 常勤 1.7% 午後 3.4% 昼間 27.6% 午前中 41.4% 都合良い日を 1 日単位で 27.6% 夕方 0.0% 図 5 現在就業していない歯科衛生士が復職を検討する場合 の就業形態の希望(A)および,非常勤の場合の就業時間の 希望(B)生みやすいかがわかり,歯科衛生士がストレスを感じる 場面を把握しやすくなるであろう.特に,歯科医師と歯 科衛生士(院長と従業員)では裁量の高さが全く異なる ため,図 1 の仕事の要求度─コントロールモデルで,歯 科医師はアクティブ群に入りがちであり,高ストレイン 群に入りがちな歯科衛生士とはストレスの大きさが異な ることは,歯科医師は十分理解しておく必要があるだろ う. 歯科衛生士は,他の職種に比べて,一度離職してか らの再就職が極めて低いことが知られている1).そのた め,歯科衛生士不足は,新人の歯科衛生士の不足という よりも,復職の少なさの問題のほうが大きいといえる. 今回把握されたようなストレスの原因を減らすことで, 再就職しやすい環境づくりが,歯科衛生士不足を解決す ると考えられる.労働条件については,歯科医師,歯科 衛生士ともに勤務時間が問題と考えていた.結婚を機 に,家庭生活を成り立たせるために夕方以降の勤務を避 けたい者が多いと考えられ,こうした希望に沿う,午前 中のみの勤務や 15 時までの勤務といった柔軟な時間の シフトを用意することが,歯科衛生士の働きやすい環境 の実現につながると考えられる(図 5).この一助とし て,サラリーマンなどの労働者が就業後の夕方以降に受 診が多いために,歯科衛生士の必要性が夕方から夜の時 間帯に高くなるという状況を変えていくことが挙げられ る.このために,企業での「健康経営」の一環として, 勤務時間中の歯科健診を認め,午前中や夕方までの歯 科健診を増やすような,政策的な取り組みも重要であろ う.「健康経営」は注目されている概念であるが,歯科 口腔保健の取り組みが少ないため,学会や歯科医師会や 行政からの取り組みの推奨が必要であろう. また,新潟県では,上越歯科医師会が在宅の歯科衛生 士を人材バンクとして登録して派遣する訪問口腔ケアセ ンターを開設している1,2).ここでは常勤で働いていな い歯科衛生士を人材登録し,歯科医院が必要な時に訪問 口腔ケアを行う人員として,時間があう歯科衛生士が訪 問をするということが行われている.これは常勤で働き にくい歯科衛生士が勤務しやすい環境の実現につながっ ており,こうした取り組みの一層の普及も求められる. このような人材バンクの取り組みは,歯科医院での有給 休暇を取得しやすくするためにも活用できる可能性があ る.子どもが熱を出したときなどに有給休暇を取得しや すくすることは,先述の複数のストレスモデルの観点か ら重要である.しかしながら歯科医院に限らず,企業は 小規模なほど有給取得率が低いことが知られている12). 小規模な企業である歯科医院で,有給休暇を取得しやす くするには,非常勤の歯科衛生士が必要なときだけ働き に来てくれるような仕組みづくりが一つの解決策として 考えられる.常勤の歯科衛生士が急に休む際に,先述し たような人材バンクから歯科衛生士が派遣されるような 環境があれば,有給取得率は上がるだろう.歯科医院の 大規模化や複数の歯科医院が連携を組んでスタッフを融 通するような仕組み作りも,有給取得率の向上に有効か もしれない. また,医療事故の減少には個人の意識の改善だけでな くエラーが生じにくい職場環境の整備が重視されている が,医療事故のような大きなものでなくとも,ミスが生 じにくい職場環境をつくることで,人間関係のストレス を減らすという取り組みもあり得る.オートメーション できる機材を揃えたり,使い方を記したチートシートを 活用したり,カラーコードで道具の取り間違えを防いだ り,ディスポーザブルの機材の導入で洗う手間を減らし たり,設計段階から効率的な動線を実現するといった環 境の整備は,業務を効率化して仕事の要求度を下げるだ けでなく,ミスにより歯科医師が歯科衛生士を叱責する 場面を減らし,人間関係のストレスの低減にもつながる だろう13). 本研究の長所として,歯科衛生士と歯科医師の双方に 質問を行ったことで,認識の差を解明できたことが挙げ られる.歯科医師会と歯科衛生士会が協力した取り組み により,こうした調査が実現できた.短所として,歯科 医師と離職した歯科衛生士を対応させて調査を行ってい るわけではないことが挙げられる.そのため,歯科衛 生士と歯科医師の認識のギャップを正確に把握できてい ない可能性がある.しかし,回答の多い離職原因は先行 研究とも似ており,離職原因の分布傾向は,完全に対応 した調査でも今回の調査でも同様だと考えられる.さら に離職を経験したことがない者も調査に含まれることも 今回の研究の短所である.これは離職経験者を調査対象 にすることが難しいことが原因であり,一定の傾向はつ かめていると考えられるが,離職経験者のみの調査も今 後必要であろう.また,今回の調査対象者および回答者 が,回答率の低さもあり必ずしも宮城県を代表するサン プルとなっていないため,一般化可能性が低いことも短 所である.しかし前述の通り,先行研究との結果の一貫 性も認められるため,結果として得られた傾向性が大き く間違ってはいないと考えられる.さらに本研究の質問 は幅広いこともあり,必ずしも 1 対 1 でストレスモデル に対応しているわけではない.このことは結果の解釈に あいまいさをもたらしている.今後,よりストレスモデ ルに対応した質問を用いた研究が望まれる. 口腔衛生会誌 J Dent Hlth 71(2), 2021
結論として,歯科衛生士の離職原因を歯科医師は十分 に把握できていないことがわかった.そして離職原因に は,その背景に職業性ストレスモデルから説明が可能な ストレッサーが存在すると考えられた.ストレスモデル を理解することで,歯科医師は歯科衛生士のストレスが 把握しやすくなると考えられる.歯科衛生士のストレス を減らし,離職を減らし復職を増やすために,歯科医院 個別の,そしてより大きな政策的な取り組みの双方が求 められる. 謝 辞 本研究に用いられた調査は歯科衛生士復職支援事業運営 協議会により実施されました.協議会の細谷仁憲先生,佐 藤 勝先生,竹内理師先生,大内康弘先生,入野田昌史先 生,宮澤幸久先生,小山 晃先生,山田 真先生,小野 寺 健先生,横山さゆり先生,上遠野純子先生,佐々木金也 先生ならびに調査にご協力をいただいた歯科衛生士および歯 科医師の方々に深謝いたします. 文 献 1) 歯科衛生士の人材確保・復職支援等に関する検討会: 歯科衛 生士の人材確保・復職支援等に関する検討会 報告書,日本歯 科衛生士会,東京,2017. 2) 大島克郎,安藤雄一,大内章嗣ほか:歯科衛生士および歯科 技工士の復職支援等に関する事例の収集と検討.厚生労働科 学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)「歯科衛生 士及び歯科技工士の復職支援等の推進に関する研究」,国立保 健医療科学院,埼玉,2016. 3) リサ・F・バークマン,イチロー・カワチ,T・テオレルほか: 社会疫学,大修館書店,東京,2017. 4) Karasek RA: Job demands, job decision latitude, and mental 285–308, 1979. 5) Siegrist J: Adverse health effects of high-effort/low-reward conditions. J Occup Health Psychol 1: 27–41, 1996. 6) Moorman RH: Relationship between organizational justice and organizational citizenship behaviors - Do fairness perceptions influence employee citizenship. J Appl Psychol 6: 845–855, 1991.
7) Bianchi SM, Milkie MA: Work and family research in the first decade of the 21st Century. J Marriage Fam 72: 705–725, 2010. 8) Moen P, Kaduk A, Kossek EE et al.: Is work-family conflict a multilevel stressor linking job conditions to mental health? Evidence from the work, family and health network. Res Sociol Work 26: 177–217, 2015. 9) Crain TL, Hammer LB, Bodner T et al.: Work-family conflict, Family-Supportive Supervisor Behaviors (FSSB), and sleep outcomes. J Occup Health Psych 19: 155–167, 2014. 10) McNall LA, Masuda AD, Nicklin JM: Flexible work arrange- ments, job satisfaction, and turnover intentions: The mediat-ing role of work-to-family enrichment. J Psychol 144: 61–81, 2009. 11) 日本歯科衛生士会:歯科衛生士の勤務実態調査報告書,日本 歯科衛生士会,東京,2020. 12) 厚生労働省:平成 31 年就労条件総合調査の概況,厚生労働省, 東京,2019. 13) 南出 保 , 相田 潤:すぐできる ! 院内感染対策レベルアップ. 歯科衛生士 40:52–65,2016. 著者への連絡先:相田 潤 〒 113-8549 東京都文京区湯 島 1-5-45 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科健康推 進歯学分野 TEL:03-5803-5475 FAX:03-5803-0194 E-mail:[email protected]
口腔衛生会誌 J Dent Hlth 71(2), 2021
Factors Related to Turnover Prevention and Return to Work for Dental Hygienists: Stress Models and Differences in Perceptions Compared with Dentists
Jun AIDA1,2), Taro KUSAMA3), Ayaka IGARASHI3), Takeyoshi KOSEKI4),
Ken OSAKA3), Sanae HITOMI5,6) and Chiyo WATANABE5,6)
1)Department of Oral Health Promotion, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University 2)Division for Regional Community Development, Liaison Center for Innovative Dentistry, Graduate School of Dentistry, Tohoku University 3)Department of International and Community Oral Health, Tohoku University Graduate School of Dentistry 4)Department of Preventive Dentistry, Tohoku University Graduate School of Dentistry 5)Dental Hygienist Reinstatement Support Council 6)Miyagi Dental Association Abstract: The shortage of dental hygienists is a problem in Japanese dental clinics. We examined the reasons for dental hygienist turnover based on the occupational stress model, which is an important concept in the field of occupational health, and analyzed the differences in perceptions between dental hygienists and dentists. In this cross-sectional study, a mail-based questionnaire survey was conducted in 2017, sent to 1,334 dental hygienists and 1,185 dentists in Miyagi Prefecture. The questions were based on six stress models. The differences between the answers of the dental hygienists and dentists were analyzed using the chi-square test. Among 313 dental hygienists (response rate: 23.5%) and 213 dentists (response rate: 18.0%), we used the data of 303 and 174 respondents, respectively, with no missing values. The major reasons for the turnover of dental hygienists were “personality conflict issues (78.2%),” “long working hours (68.6%),” and “low salary (58.4%).” However, dentists were significantly less likely to think that these were the causes for hygienists leaving their jobs; most dentists considered “maternity leave” as the main reason. Regarding personality conflict issues, most dental hygienists answered that the director dentist was the cause. In contrast, dentists thought that staff were the cause of the problem. Regarding working hours, both hygienists and dentists answered that “long working hours” was a problem. However, in addition, hygienists also considered the difficulty of taking paid leave and overtime work as problems. Most dental hygienists who were unemployed wanted to return to work part-time, and many wanted to avoid working afternoon hours. There was a large difference of opinion between dentists and dental hygienists in terms of recognizing workplace problems in relation to reasons for job turnover. Recognizing and resolving these issues in dental practices may lead to more suitable work environments for dental hygienists. J Dent Hlth 71: 72-80, 2021 Key words: Dental hygienist, Turnover, Reinstatement, Stress model, Occupational health
Reprint requests to J. AIDA, Department of Oral Health Promotion, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University, 1-5-45 Yushima, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8549 Japan