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特別支援学校と関係機関が連携した要支援の子どもの早期からの地域支援モデルの研究

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Academic year: 2021

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特別支 援 学校と 関 係機関 が 連携し た

要支援 の 子ども の

早期か ら の地域 支 援モデ ル の研究

201 4

兵庫教 育 大学大 学 院

連合学 校 教育学 研 究科

先端課 題 実践開 発 専攻

(兵庫 教 育大学 )

井上 和 久

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目 次

第 一 章 問 題 の 所 在 と 研 究 の 目 的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 Ⅰ .発 達 障 害 の 定 義 と そ の 支 援 ・・・・・・ ・・・・・ ・・・ ・・ ・・・ 4 Ⅱ .発 達 障 害 児 へ の 早 期 発 見 ・早 期 支 援 の 意 義 と 課 題 ・・・・・・・・・ 5 Ⅲ .発 達 障 害 児 の 早 期 発 見・早 期 支 援 と 乳 幼 児 健 康 診 査 ・・・・・・・・ 6 Ⅳ .特 別 支 援 教 育 の 概 要 と 展 開 ・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・・・ 9 Ⅴ .特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ 11 Ⅵ .特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 を 活 用 し た 早 期 支 援 の 取 組・・・・・ 12 Ⅶ . 研 究 の 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 14 第 二 章 全 国 の 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 を 活 用 し た 特 別 な 支 援 が 必 要 な 子 ど も の 早 期 支 援 に 関 す る 実 態 調 査 ・・・・・・・・・・・・・・・ 16 研 究 Ⅰ 全 国 の 特 別 支 援 学 校 の 早 期 支 援 に 関 す る 質 問 紙 調 査・・・・・・・ 17 Ⅰ . は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 17 Ⅱ . 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 18 Ⅲ . 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 20 Ⅳ . 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 31 研 究 Ⅱ 全 国 の 特 別 支 援 学 校 12 校 の 相 談 支 援 の 取 組 に 関 す る 面 接 調 査 ・・ 37 Ⅰ . は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 37 Ⅱ . 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 38 Ⅲ . 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 40 Ⅳ . 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 52 第 二 章 の 総 括 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 57 第 三 章 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 を 活 用 し た 子 ど も 、 保 護 者 、 保 育 所 ・ 幼 稚 園 ・ 小 学 校 等 へ の 支 援 ・・・ ・・・・・・・・・・・・・ ・ 59 研 究 Ⅲ 兵 庫 県 立 赤 穂 特 別 支 援 学 校 が 実 施 し た 保 育 所 ・ 幼 稚 園 ・ 小 中 学 校 等 へ の コ ン サ ル テ ー シ ョ ン の 効 果 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 60 Ⅰ . は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 60 Ⅱ . 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 62 Ⅲ . 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 64

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2 Ⅳ . 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 68 研 究 Ⅳ 兵 庫 県 立 赤 穂 特 別 支 援 学 校 が 作 成 し た 子 ど も ・ 保 護 者 ・ 学 校 等 へ の 支 援 ツ ー ル「 サ ポ ー ト プ ラ ン 」の 効 果 ・・・・・・・・・・・・・ 73 Ⅰ . は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 73 Ⅱ . 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 77 Ⅲ . 結 果 と 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 79 Ⅳ . ま と め ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 86 研 究 Ⅴ 兵 庫 県 立 赤 穂 特 別 支 援 学 校 と 保 健 ・ 福 祉 機 関 が 連 携 ・ 構 築 し た 早 期 支 援 シ ス テ ム の 効 果 ・・・ ・・ ・・・ ・・ ・・・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ 89 Ⅰ . は じ め に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 89 Ⅱ . 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 90 Ⅲ . 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 91 Ⅳ .考 察 ・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・ ・・・・・・ ・・ ・・ ・・・ 100 研 究 Ⅵ 兵 庫 県 立 赤 穂 特 別 支 援 学 校 と 保 健 ・ 福 祉 機 関 が 作 成 し た サ ポ ー ト フ ァ イ ル の 効 果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 105 Ⅰ .は じ め に ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ 105 Ⅱ .方 法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 106 Ⅲ .結 果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 109 Ⅳ .考 察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 112 第 四 章 本 研 究 の 総 合 考 察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 116 Ⅰ . 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 を 活 用 し た 就 学 前 の 子 ど も へ の 相 談 支 援 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 117 Ⅱ .特 別 支 援 学 校 が 地 域 の 関 係 機 関 と 連 携 し た 早 期 支 援 モ デ ル・・・・・・ 120 Ⅲ .お わ り に ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 125 文 献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 127

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第一章

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4 第 一 章 問 題 の 所 在 と 研 究 の 目 的 Ⅰ . 発 達 障 害 の 定 義 と そ の 支 援 発 達 障 害 と は 、杉 山( 2010)の 定 義 に よ る と 、子 ど も の 発 達 の 途 上 に お い て 、 何 ら か の 理 由 に よ り 、 発 達 の 特 定 の 領 域 に 、 社 会 的 な 適 応 の 問 題 を 引 き 起 こ す 可 能 性 が あ る も の と し て い る 。 ま た 、 宮 本 ( 2006) は 、 発 達 障 害 に つ い て 意 見 の 一 致 を 見 て い る 統 一 さ れ た 定 義 は 見 ら れ な い と し 、 医 療 の 場 に お い て は 、 発 達 障 害 を 脳 の 高 次 機 能 の 問 題 を 中 心 と し て と ら え る と い う 視 点 か ら 、 ① 知 能 発 達 の 障 害 を 中 心 と す る 知 的 障 害 、 ② 自 閉 症 を 中 心 と す る 広 汎 性 発 達 障 害 、 ③ 多 動 な ど の 行 動 の 問 題 を 中 心 と す る 注 意 欠 陥 多 動 性 障 害 、 ④ 発 達 の あ る 側 面 だ け が 特 に 障 害 さ れ て い る 特 異 的 発 達 障 害 の 四 つ を 発 達 障 害 の 範 疇 で ま と め て 考 え る の が 、 最 も 一 般 的 な 考 え 方 の 一 つ で あ る と 述 べ て い る 。 一 方 、2005 年 4 月 に 施 行 さ れ た 発 達 障 害 者 支 援 法( 2005)で は 、発 達 障 害 は 、 「 自 閉 症 、 ア ス ペ ル ガ ー 症 候 群 そ の 他 の 広 汎 性 発 達 障 害 、 学 習 障 害 、 注 意 欠 陥 多 動 性 障 害 そ の 他 こ れ に 類 す る 脳 機 能 の 障 害 で あ っ て 、 そ の 症 状 が 通 常 低 年 齢 に お い て 発 現 す る も の と し て お り 、 発 達 障 害 を 有 す る た め に 日 常 生 活 ま た は 社 会 生 活 に 制 限 を 受 け る 者 」 と 定 め て お り 、 知 的 障 害 は 発 達 障 害 の 定 義 か ら 除 か れ る こ と と な っ た 。ま た 、発 達 障 害 児 に つ い て は 、発 達 障 害 者 の う ち 18 歳 未 満 の 者 を い う と 示 さ れ て い る 。 文 部 科 学 省 で は 、 国 民 の わ か り や す さ や 、 他 省 庁 と の 連 携 の し や す さ 等 の 理 由 か ら 、平 成 19 年 3 月 か ら 、発 達 障 害 者 支 援 法 の 定 義 に よ る 「 発 達 障 害 」 を 使 用 し て お り 、 学 術 的 な 発 達 障 害 と 行 政 政 策 上 の 発 達 障 害 と は 一 致 し な い と し て い る 。 文 部 科 学 省 が 示 し て い る 主 な 発 達 障 害 の 定 義 に つ い て は 次 の と お り で あ る 。 「 学 習 障 害 ( L D ) と は 、 基 本 的 に は 全 般 的 な 知 的 発 達 に 遅 れ は な い が 、 聞 く 、 話 す 、 読 む 、 書 く 、 計 算 す る ま た は 推 論 す る 能 力 の う ち 特 定 の も の の 習 得 と 使 用 に 著 し い 困 難 を 示 す 様 々 な 状 態 を 指 す も の で あ り 、 そ の 原 因 と し て 、 中 枢 神 経 系 に 何 ら か の 機 能 障 害 が あ る と 推 定 さ れ る が 、 視 覚 障 害 、 聴 覚 障 害 、 知 的 障 害 、 情 緒 障 害 な ど の 障 害 や 、 環 境 的 な 要 因 が 直 接 の 原 因 と な る も の で は な い と し て い る 」( 文 部 科 学 省 ,1999)。 「 注 意 欠 陥 多 動 性 障 害 ( A D H D ) と は 、 年 齢 あ る い は 発 達 に 不 釣 り 合 い な

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5 注 意 力 、 及 び ま た は 衝 動 性 、 多 動 性 を 特 徴 と す る 行 動 の 障 害 で 、 社 会 的 な 活 動 や 学 業 の 機 能 に 支 障 を き た す も の で あ る と し 、 7 歳 以 前 に 現 れ 、 そ の 状 態 が 継 続 し 、 中 枢 神 経 系 に 何 ら か の 要 因 に よ る 機 能 不 全 が あ る と 推 定 さ れ る と し て い る 」( 文 部 科 学 省 ,2008)。 「 自 閉 症 と は 、 3 歳 ぐ ら い ま で に 現 れ 、 ① 他 人 と の 社 会 的 関 係 の 形 成 の 困 難 さ 、 ② 言 葉 の 発 達 の 遅 れ 、 ③ 興 味 や 関 心 が 狭 く 特 定 の も の に こ だ わ る こ と を 特 徴 と す る 行 動 の 障 害 で あ り 、 中 枢 神 経 系 に 何 ら か の 要 因 に よ る 機 能 不 全 が あ る と 推 定 さ れ る と し て い る 」( 文 部 科 学 省 ,2008)。 こ の よ う な こ と か ら 、 発 達 障 害 者 は 中 枢 神 経 系 の 機 能 不 全 を 基 盤 と し て 、 そ の 発 達 過 程 に お い て 行 動 面 、 学 習 面 、 対 人 関 係 面 等 に お い て 多 く の 困 難 さ を 持 ち 、 社 会 に 適 応 す る こ と に 様 々 な 困 難 が 予 測 さ れ 、 早 期 か ら の 支 援 が 必 要 で あ る と 考 え ら れ る 。 そ の た め 、 発 達 障 害 者 支 援 法 ( 2005) で は 、 発 達 障 害 者 の 心 理 機 能 の 適 正 な 発 達 及 び 円 滑 な 社 会 生 活 の 促 進 の た め に 、 発 達 障 害 の 症 状 の 発 現 後 で き る だ け 早 期 に 発 達 支 援 を 行 う こ と が 特 に 重 要 で あ る と し 、 早 期 の 発 見・支 援 を 行 う こ と に つ い て 、国 及 び 地 方 公 共 団 体 の 責 務 を 明 ら か に し て お り 、 今 後 、 地 域 の 支 援 体 制 の 整 備 が 求 め ら れ て い る 。 Ⅱ . 発 達 障 害 児 へ の 早 期 発 見 ・ 早 期 支 援 の 意 義 と 課 題 笹 森 ・ 後 上 ・ 久 保 山 ら ( 2010) は 、 乳 幼 児 期 が こ と ば の 発 達 を は じ め と し た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 、 対 人 関 係 や 社 会 性 の 育 ち 、 様 々 な 認 知 面 の 習 得 等 、 学 校 に お け る 学 習 や 集 団 生 活 、 そ の 後 の 自 立 や 社 会 参 加 の 基 盤 を 形 成 す る 時 期 で あ る と 述 べ て い る 。 そ し て 、 彼 ら は 、 乳 幼 児 期 に 適 切 な 支 援 を 受 け ら れ な い と 、 就 学 後 の 学 習 面 や 生 活 面 に 様 々 な 困 難 を 抱 え る こ と 、 ま た 、 情 緒 不 安 や 不 適 応 行 動 等 の 二 次 障 害 が 生 じ て し ま う こ と も あ る こ と か ら 、 発 達 障 害 の あ る 子 ど も へ の 早 期 支 援 の 重 要 性 は 高 い と 述 べ て い る 。ま た 、渥 美・笹 森・後 上( 2010) は 、 発 達 障 害 の あ る 子 ど も へ の 支 援 は で き る だ け 早 期 か ら 開 始 さ れ 、 生 涯 に わ た っ て 行 わ れ る こ と が 重 要 で あ り 、 早 期 か ら 支 援 を 行 う た め に は 、 確 定 的 な 判 断 ・ 診 断 が 困 難 な 場 合 で も 、「 可 能 性 の あ る (at risk)」 場 合 に は 支 援 を 開 始 す る こ と が 必 要 で あ る と し 、 彼 ら が 提 案 し た 「 発 達 障 害 支 援 グ ラ ン ド デ ザ イ ン 」 に 、 発 達 障 害 の 可 能 性 が あ る 場 合 に は 、 そ の 子 ど も を 支 援 の 対 象 と す る こ と を

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6 明 記 し た 。 こ れ ら の こ と か ら 、 発 達 障 害 児 へ の 早 期 支 援 は 、 発 達 障 害 児 本 人 の 就 学 後 の 学 習 面 、 生 活 面 の 困 難 さ を 解 消 ま た は 軽 減 す る こ と で 、 学 校 や 社 会 で の 適 応 を 促 す こ と 、 ま た 、 二 次 障 害 を 予 防 す る 意 味 に お い て も 、 そ の 意 義 は 高 い と 考 え ら れ る 。 早 期 発 見 ・ 早 期 支 援 の 課 題 と し て 、 笹 森 ・ 後 上 ・ 久 保 山 ら ( 2010) は 、 ① 幼 児 期 で の 確 定 診 断 が 困 難 で あ る こ と 、 ② 保 健 師 、 保 育 士 が 発 達 障 害 の 子 ど も を 判 断 す る こ と が 困 難 で あ る こ と 、 ③ 年 少 で あ れ ば あ る ほ ど 保 護 者 が わ が 子 の 障 害 を 受 容 す る こ と が 困 難 で あ る こ と 、 ④ 保 健 、 福 祉 、 医 療 、 教 育 等 の 関 係 機 関 の 支 援 が 断 片 的 に な っ て い る こ と 、 ⑤ 専 門 機 関 に よ る 幼 稚 園 ・ 保 育 所 へ の サ ポ ー ト 体 制 が 十 分 に 整 備 さ れ て い な い こ と 、 を 挙 げ て い る 。 特 に 、 発 達 障 害 の 子 ど も を 持 つ 保 護 者 の 受 容 の 困 難 さ に つ い て 、 辻 ・ 田 畑 ( 2006) は 、 早 期 の 段 階 で 親 が 子 ど も の 障 害 を 認 め る こ と は 難 し く 、 こ の こ と が 療 育 を 行 う 上 で 最 初 の 壁 に な る こ と が 多 い と し 、 早 期 支 援 の あ り 方 と し て 、 親 子 を 継 続 し て 支 援 で き る 構 造 が あ る こ と が 重 要 で あ る と 述 べ て い る 。 こ れ ら の こ と か ら 、 支 援 の 必 要 な 子 ど も の 保 護 者 に 対 し 、 早 期 か ら 相 談 を 開 始 し 継 続 的 に サ ポ ー ト す る こ と は 、 保 護 者 が 子 ど も の 障 害 に 対 す る 理 解 を 深 め る こ と に お い て 重 要 で あ り 、 ま た 、 子 ど も に 対 し で き る か ぎ り 早 期 に 療 育 等 の 支 援 を 開 始 す る こ と に お い て も 重 要 で あ る と 考 え ら れ る 。 そ の た め に は 、 早 期 発 見 の 場 の 一 つ で あ る 、 乳 幼 児 健 康 診 査 と 健 康 診 査 後 の フ ォ ロ ー 事 業 の 役 割 は 大 き い と 考 え ら れ る 。 Ⅲ . 発 達 障 害 児 の 早 期 発 見 ・ 早 期 支 援 と 乳 幼 児 健 康 診 査 発 達 障 害 支 援 法 ( 2005) が 施 行 さ れ 、 国 ・ 地 方 公 共 団 体 は 早 期 発 見 の た め 必 要 な 措 置 を 講 じ る こ と と な り 、 市 区 町 村 で は 、 乳 幼 児 健 康 診 査 で の 早 期 発 見 へ の 留 意 、 発 達 障 害 の 疑 い の あ る 場 合 の 継 続 相 談 の 実 施 、 医 療 機 関 等 へ の 紹 介 等 の 取 組 を 行 う こ と と な っ た 。 子 ど も の 発 達 の ス ク リ ー ニ ン グ を 行 う 場 所 は 市 区 町 村 で 行 わ れ る 乳 幼 児 健 康 診 査 で あ る 。 乳 幼 児 健 康 診 査 は 母 子 保 健 施 策 と し て 1940年 に 開 始 さ れ 、 1997年 に 母 子 保 健 法 改 正 と と も に 地 方 自 治 体 に 移 管 さ れ た 。 こ の 母 子 保 健 法 に 基 づ い て 実 施 さ れ て い る 乳 幼 児 健 康 診 査 は 、 障 害 の あ る 子 ど も や リ ス ク の 高 い 子 ど も

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7 を 早 期 に 発 見 し 療 育 機 関 に 繋 ぎ 、 早 期 の 指 導 や 支 援 を 実 現 す る う え で 大 き な 役 割 を 果 た し て い る( 肥 後 ・ 宇 都 宮 ,2008)。渥 美 ・ 後 上 ・ 笹 森 ら( 2010)は 、発 達 障 害 等 の 発 見 と 支 援 体 制 を 整 備 す る 方 策 と し て 、 こ れ ら 市 区 町 村 で 実 施 さ れ て い る 1歳 6カ 月 児 健 康 診 査 や 3歳 児 健 康 診 査 の 充 実 を 図 り 、育 児 相 談 等 に て い ね い に 応 じ な が ら 発 達 障 害 等 の 発 見 や 支 援 を 行 う こ と 、 健 康 診 査 後 の 相 談 や フ ォ ロ ー グ ル ー プ な ど の 支 援 体 制 を 充 実 さ せ る こ と 、 を 挙 げ て い る 。 乳 幼 児 健 康 診 査 と 健 康 診 査 後 の フ ォ ロ ー 事 業 を 図 1-1 に 示 し た 。 1 歳 6 カ 月 児 健 康 診 査 や 3 歳 児 健 康 診 査 等 の 乳 幼 児 健 康 診 査 で 子 ど も が 要 観 察 や 要 精 密 検 査 に な っ た 場 合 、 子 ど も ・ 保 護 者 に 対 し て フ ォ ロ ー 事 業 が 提 供 さ れ る 。 ま ず 最 初 に 、 保 健 師 等 に よ る 母 親 等 へ の 育 児 相 談 や 家 庭 訪 問 で の フ ォ ロ ー が 行 わ れ る 。 そ し て 、 必 要 な 子 ど も に 対 し て は 心 理 士 等 に よ る 心 理 相 談 や 発 達 検 査 等 が 実 施 さ れ る 。こ れ ら フ ォ ロ ー 事 業 に つ い て 、平 林・小 松( 2011)は 、 発 達 障 害 の 有 無 に 狭 く 限 定 す る の で は な く 、 親 の 育 児 支 援 や ス ト レ ス 、 不 適 切 な 育 児 へ の 対 応 等 、「 育 児 支 援 」と い う 広 い 枠 組 み で 行 う こ と が 重 要 で あ り 、育 児 支 援 の ニ ー ズ を 広 く ス ク リ ー ニ ン グ し 、 時 間 を か け た フ ォ ロ ー ア ッ プ を 行 う こ と が 必 要 で あ る と 述 べ て い る 。 ま た 、 吉 岡 ( 2008) は 、 リ ス ク の あ る 母 子 が 乳 幼 児 健 康 診 査 後 の フ ォ ロ ー 体 制 に 乗 り そ の 間 に 子 ど も に 合 っ た 育 児 方 法 を 学 ぶ こ と が で き れ ば 、 子 ど も の 利 益 に 繋 が る と 述 べ て い る 。 加 え て 、 文 部 科 学 省 図 1 -1 乳 幼 児 健 康 診 査 と 健 診 後 フ ォ ロ ー 事 業

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8 中 央 教 育 審 議 会 初 等 中 等 教 育 審 議 会 の 報 告( 2012)で は 、「 乳 幼 児 期 を 含 め 早 期 か ら の 教 育 相 談 や 就 学 相 談 を 行 う こ と に よ り 、 本 人 ・ 保 護 者 に 十 分 な 情 報 を 提 供 す る と と も に 、 保 護 者 を 含 め 関 係 者 が 教 育 的 ニ ー ズ と 必 要 な 支 援 に つ い て 共 通 理 解 を 深 め る こ と に よ り 、 保 護 者 の 障 害 受 容 に つ な げ 、 そ の 後 の 円 滑 な 支 援 に も つ な げ て い く こ と が 重 要 で あ る 」 と 、 早 期 か ら の 相 談 支 援 の 重 要 性 が 示 さ れ て い る 。 心 理 相 談 や 発 達 検 査 等 で 継 続 的 な 観 察 及 び 相 談 が 必 要 と 判 断 さ れ た 子 ど も や 育 児 等 に 深 刻 な 悩 み を 抱 え る 保 護 者 に 対 し て の フ ォ ロ ー 事 業 と し て 、 多 く の 自 治 体 で は 親 子 教 室 が 設 置 さ れ て い る 。 河 野 ・ 伊 藤 ( 2011) は 、 親 子 教 室 が 集 団 で 行 う 母 子 を 対 象 と し た 遊 び の 教 室 で あ り 、 発 達 障 害 の 可 能 性 が 疑 わ れ る 子 ど も の 早 期 療 育 の 場 や 子 育 て 相 談 の 場 な ど 、 親 子 へ の 援 助 の 一 つ と し て 存 在 す る と 述 べ て い る 。 ま た 、 行 政 と し て の ね ら い は 「 母 子 遊 び を 経 験 す る 場 」 と 「 子 ど も の 経 過 観 察 の 場 」 な ど で あ り 、 プ ロ グ ラ ム は 母 子 遊 び を 中 心 と し て 、 楽 し み な が ら 参 加 し て も ら う よ う な 工 夫 が な さ れ て い る と し て い る 。親 子 教 室 で は 、 母 子 が 継 続 的 に 参 加 す る 中 で 、 発 達 の 課 題 が な く な っ た 子 ど も は 終 了 し 、 療 育 が 必 要 と 判 断 さ れ た 子 ど も に は 通 園 施 設 等 が 紹 介 さ れ る 。 乳 幼 児 健 康 診 査 で の 発 達 障 害 の 発 見 に 関 し て 、 木 村 ( 2009) は 、 発 達 障 害 ス ク リ ー ニ ン グ に お い て は 直 接 行 動 観 察 が 判 断 の 決 め 手 に な り 、 実 施 の 際 に は 必 ず 乳 幼 児 期 の 発 達 障 害 の ケ ー ス を 多 数 見 た 経 験 の あ る 支 援 者 が 必 要 で あ る と 述 べ て い る 。 ま た 、 発 見 後 の 母 親 へ の 相 談 支 援 に つ い て 、 吉 岡 ( 2008) は 、 発 達 障 害 の 子 を 持 つ 親 が 、 子 ど も の 成 長 の プ ロ セ ス が 同 年 代 の 他 の 子 と 違 う こ と に 気 づ き 、 少 し ず つ 幻 滅 し 、 現 実 を 受 け 入 れ て い く こ と も 自 然 な 姿 で あ り 、 支 援 者 は そ の プ ロ セ ス を 共 感 的 に 見 守 っ て い か な け れ ば な ら な い と 述 べ て い る 。 こ れ ら の こ と か ら 、 乳 幼 児 健 康 診 査 や そ の 後 の フ ォ ロ ー に お い て 保 健 師 、 心 理 士 の 役 割 は 大 き く 、 発 見 か ら 相 談 支 援 に 関 わ る 専 門 家 等 の 人 的 整 備 は 重 要 で あ る と 考 え ら れ る 。 全 国 の 168 市 の 乳 幼 児 健 康 診 査 に お け る 発 達 障 害 児 の 早 期 発 見 ・ 早 期 支 援 に 関 す る 調 査( 笹 森 ・ 後 上 ・ 久 保 山 ら ,2010)で は 、1 歳 6 カ 月 児 健 康 診 査 と 3 歳 児 健 康 診 査 の 受 診 率 が 90% 以 上 と 高 く 、心 理( 発 達 )相 談 の 設 定 や 言 葉 や 精 神 発 達 に 関 す る 検 査 な ど も 多 く の 地 方 公 共 団 体 で 実 施 さ れ て い た が 、 常 勤 の 心 理

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9 職 が 配 置 さ れ て い る 市 は 9.0% で あ り 、 非 常 勤 の 心 理 職 を 配 置 し て い る 市 が 59.4% で あ っ た 。こ れ ら の 調 査 結 果 か ら 、笹 森 ・ 後 上 ・ 久 保 山 ら( 2010)は 、1 歳 6 カ 月 児 健 康 診 査 と 3 歳 児 健 康 診 査 は 、 発 達 障 害 の あ る 幼 児 や そ の リ ス ク 児 の ス ク リ ー ニ ン グ の 場 と し て 有 効 に 活 用 で き る 可 能 性 が 高 い が 、 担 当 す る 常 勤 の 保 健 師 や 心 理 職 の 配 置 が 不 十 分 で あ る と 述 べ て い る 。 ま た 、 早 期 か ら の 相 談 支 援 に つ い て 、 渥 美 ・ 笹 森 ・ 後 上 ( 2010) は 、 一 貫 性 が あ り 効 率 的 で 、 発 達 障 害 の あ る 子 ど も や 保 護 者 に と っ て 利 便 性 の 高 い 支 援 の 方 策 を 考 え て い く 必 要 が あ り 、 各 市 町 村 は 関 係 諸 機 関 の 連 携 体 制 ・ ネ ッ ト ワ ー ク を 有 効 に 機 能 す る よ う に 整 備 す る こ と が 必 要 で あ る と 述 べ て い る 。 こ れ ら の こ と か ら 、 地 域 の 早 期 か ら の 相 談 支 援 体 制 に お い て 、 専 門 家 等 の 人 的 な 整 備 が 必 要 で あ り 、 関 係 機 関 の 連 携 体 制 の 整 備 に つ い て も 必 要 で あ る と 考 え ら れ る 。 そ の た め 、 こ れ ら の 課 題 解 決 の 一 つ の 方 法 と し て 、 各 市 町 村 の 保 健 セ ン タ ー と 保 育 所 等 が 連 携 を 密 に す る と 共 に 、 特 別 支 援 学 校 が 、 セ ン タ ー と し て の 機 能 を 活 用 し て 、 障 害 児 の 相 談 支 援 の 専 門 機 関 と し て 、 乳 幼 児 健 康 診 査 や そ の 後 の フ ォ ロ ー 事 業 に 関 わ る こ と に よ り 早 期 支 援 の 場 を 整 備 す る こ と が 考 え ら れ る 。 ま た 、 保 育 所 ・ 幼 稚 園 で の 支 援 の 充 実 の た め 、 特 別 支 援 学 校 の 特 別 支 援 教 育 コ ー デ ィ ネ ー タ ー が 保 護 者 ・ 子 ど も へ の 教 育 相 談 を 行 っ た り 保 育 所 ・ 幼 稚 園 へ の 巡 回 相 談 を 行 っ た り す る こ と も 考 え ら れ る 。 Ⅳ . 特 別 支 援 教 育 の 概 要 と 展 開 障 害 の 重 度 ・ 重 複 化 や 多 様 化 、 学 習 障 害 (LD)、 注 意 欠 陥 多 動 性 障 害 (ADHD)等 発 達 障 害 の 子 ど も へ の 対 応 や 早 期 か ら の 教 育 的 対 応 に 関 す る 要 望 の 高 ま り 、 ノ ー マ ラ イ ゼ ー シ ョ ン の 進 展 な ど 、国 の 動 向 を 踏 ま え 、平 成 17 年 に 中 央 教 育 審 議 会( 2005)に お い て 、「 特 別 支 援 教 育 を 推 進 す る た め の 制 度 の 在 り 方 に つ い て( 答 申 )」 が 取 り ま と め ら れ た 。 こ の 後 、「 学 校 教 育 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 」 が 平 成 19 年 4 月 に 施 行 さ れ 、幼 稚 園 、小 中 学 校 等 に お い て 、教 育 上 特 別 の 支 援 を 必 要 と す る 子 ど も に 対 し 、 特 別 支 援 教 育 を 行 う こ と が 位 置 づ け ら れ た ( 文 部 科 学 省 ,2007)。 特 別 支 援 教 育 は 、21 世 紀 初 頭 に 提 起 さ れ た 我 が 国 に お け る 障 害 の あ る 子 ど も の 学 校 教 育 に 関 す る 新 概 念 で あ り 、 特 殊 教 育 に 替 わ る 用 語 と し て 提 案 ・ 採 用 さ

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10 れ た ( 越 野 , 2010)。 文 部 科 学 省 ( 2007) に よ る と 、「 特 別 支 援 教 育 と は 、 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 の 自 立 や 社 会 参 加 に 向 け た 主 体 的 な 取 組 を 支 援 す る と い う 視 点 に 立 ち 、 幼 児 児 童 生 徒 一 人 一 人 の 教 育 的 ニ ー ズ を 把 握 し 、 そ の 持 て る 力 を 高 め 、 生 活 や 学 習 上 の 困 難 を 改 善 又 は 克 服 す る た め 、 適 切 な 指 導 及 び 必 要 な 支 援 を 行 う も の で あ る 。 ま た 、 特 別 支 援 教 育 は 、 こ れ ま で の 特 殊 教 育 の 対 象 の 障 害 だ け で な く 、 知 的 な 遅 れ の な い 発 達 障 害 も 含 め て 、 特 別 な 支 援 を 必 要 と す る 幼 児 児 童 生 徒 が 在 籍 す る 全 て の 学 校 に お い て 実 施 さ れ る も の で あ る 。 さ ら に 、 特 別 支 援 教 育 は 、 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 へ の 教 育 に と ど ま ら ず 、 障 害 の 有 無 や そ の 他 の 個 々 の 違 い を 認 識 し つ つ 様 々 な 人 々 が 生 き 生 き と 活 躍 で き る 共 生 社 会 の 形 成 の 基 礎 と な る も の で あ り 、 我 が 国 の 現 在 及 び 将 来 の 社 会 に と っ て 重 要 な 意 味 を 持 っ て い る 。」 と 示 さ れ て い る 。 発 達 障 害 児 等 特 別 支 援 教 育 の 対 象 と な る 児 童 生 徒 に つ い て 、 文 部 科 学 省 が 平 成 24 年 に 全 国 の 公 立 の 小 中 学 校 1200 校 に 行 っ た 調 査 ( 文 部 科 学 省 , 2012) に よ る と 、 通 常 の 学 級 で 学 習 面 ま た は 行 動 面 で 著 し い 困 難 を 示 す 児 童 生 徒 の 割 合 は 6.5% で あ っ た が 、学 年 が 低 い ほ ど 高 率 に な り 、小 学 校 第 1 学 年 で は 9.8% に 上 っ た 。 小 中 学 校 等 の 特 別 支 援 教 育 の 体 制 整 備 状 況 に つ い て 、平 成 24 年 度 に 文 部 科 学 省 が 行 っ た 調 査( 文 部 科 学 省 ,2013)で は 、小 学 校 の 99.4% 、中 学 校 の 95.6% で 校 内 委 員 会 が 設 置 さ れ て お り 、小 学 校 の 99.3% 、中 学 校 の 95.1% で 特 別 支 援 教 育 コ ー デ ィ ネ ー タ ー が 指 名 さ れ て い た 。 ま た 、 小 学 校 の 90.2% 、 中 学 校 の 80.3% で 個 別 の 指 導 計 画 が 作 成 さ れ 、小 学 校 の 71.2% 、中 学 校 の 65.5% で 個 別 の 教 育 支 援 計 画 が 作 成 さ れ て い た 。 特 別 支 援 教 育 に 関 す る 校 内 研 修 等 に つ い て も 小 学 校 の 82.4% 、中 学 校 の 65.3% が 実 施 さ れ て お り 、校 内 支 援 体 制 が 徐 々 に 整 備 さ れ て い る 実 態 が 示 さ れ て い る 。 一 方 、 小 中 学 校 の 通 常 の 学 級 に 在 籍 し て い る 発 達 障 害 児 等 の 支 援 の 状 況 に つ い て 、 文 部 科 学 省 が 行 っ た 調 査 ( 文 部 科 学 省 , 2012) で は 、 学 習 面 ま た は 行 動 面 で 著 し い 困 難 を 示 す 児 童 生 徒 に 現 在 支 援 が 実 施 さ れ て い る 割 合 は 55.1% で あ り 、38.6% の ケ ー ス が 現 在 ま た は 過 去 い ず れ の 支 援 も な さ れ て い な か っ た 。 ま た 、 通 級 に よ る 指 導 を 受 け て い る 割 合 は 3.9% 、個 別 の 指 導 計 画 を 作 成 し て い る ケ ー ス は 9.9% で あ り 、49.9% の 児 童 生 徒 が 授 業 時 間 内 に 教 室 内 で 個 別 の 配 慮 ・ 支 援 を 受 け て お ら ず 、 特 別 な 支 援 が 必

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11 要 な 児 童 生 徒 が 抱 え る 状 況 が 明 ら か に な っ た 。 こ れ ら の こ と か ら 、 特 別 支 援 教 育 の 体 制 整 備 は 徐 々 に 進 ん で い る も の の 、 小 中 学 校 等 で の 特 別 な 支 援 が 必 要 な 子 ど も へ の 支 援 が 十 分 実 施 さ れ て い る と は 言 え ず 、 校 内 の 支 援 体 制 の 更 な る 整 備 が 求 め ら れ る 。 そ の た め に は 、 特 別 支 援 学 校 の 特 別 支 援 教 育 コ ー デ ィ ネ ー タ ー が 校 内 委 員 会 で 助 言 を 行 っ た り す る な ど 、 幼 稚 園 や 小 中 学 校 等 で の 支 援 体 制 整 備 の た め 、 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 を 活 用 す る こ と が 考 え ら れ る 。 Ⅴ . 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 特 別 支 援 教 育 へ の 転 換 に よ る 「 学 校 教 育 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 」 の 施 行 に よ り 、 養 護 学 校 は 、 多 様 な 障 害 種 に 対 応 し た 特 別 支 援 学 校 に 改 め ら れ る と 共 に 、 幼 稚 園 、 小 学 校 等 の 要 請 に よ り 、 障 害 の あ る 幼 児 、 児 童 、 生 徒 、 教 師 等 に 対 し て 必 要 な 助 言 ま た は 援 助 を 行 っ た り 、 地 域 の 実 態 や 家 庭 等 の 要 請 に よ り 、 保 護 者 等 に 対 し て 教 育 相 談 を 行 っ た り す る な ど 、 学 校 の 専 門 性 や 施 設 ・ 設 備 を 生 か し 、 地 域 に お け る 特 別 支 援 教 育 の セ ン タ ー と し て の 役 割 を 果 た す よ う 努 め る こ と と な っ た 。「 特 別 支 援 教 育 を 推 進 す る た め の 制 度 の 在 り 方 に つ い て( 答 申 )」 ( 中 央 教 育 審 議 会 , 2005) で は 、 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー と し て の 取 組 の 具 体 的 内 容 と し て 、 ① 小 ・ 中 学 校 等 の 教 員 へ の 支 援 、 ② 特 別 支 援 教 育 等 に 関 す る 相 談 ・ 情 報 提 供 、 ③ 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 等 へ の 指 導 ・ 支 援 、 ④ 福 祉 、 医 療 、 労 働 等 の 関 係 機 関 等 と の 連 絡・調 整 、⑤ 小・中 学 校 等 の 教 員 に 対 す る 研 修 協 力 、 ⑥ 障 害 の あ る 幼 児 児 童 生 徒 へ の 施 設 設 備 等 の 提 供 な ど が 挙 げ ら れ て い る 。 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 の 整 備 状 況 に つ い て 、松 村・大 内・笹 本 (2009) が 全 国 の 特 別 支 援 学 校 に 行 っ た 調 査 で は 、 58% の 特 別 支 援 学 校 が 学 校 教 育 計 画 等 に セ ン タ ー 的 機 能 が 位 置 付 け ら れ 、 70% が 地 域 の 小 中 学 校 へ セ ン タ ー 的 機 能 に 関 す る P R 活 動 等 を 行 い 、 ニ ー ズ の 掘 り 起 こ し を 行 っ て い た 。 ま た 、 石 橋 ・ 牛 山 ・ 吉 利 (2008)が 全 国 の 知 的 障 害 養 護 学 校 に 行 っ た 調 査 で は 、 65% の 養 護 学 校 が 小 中 学 校 等 の 教 員 に 対 す る 研 修 会 を 開 催 し て お り 、 58% が 小 中 学 校 等 の 担 任 教 師 へ の 助 言 ・ 相 談 を 実 施 し て い た 。 こ れ ら の こ と か ら 、 特 別 支 援 学 校 の 校 内 体 制 が 整 備 さ れ る と と も に 、 そ の セ ン タ ー 的 機 能 が 、 小 学 校 ・ 中 学 校 等 に お け る 特 別 支 援 教 育 の 浸 透 や 特 別 な 支 援 が 必 要 な 児 童 生 徒 へ の 支 援 力 の 向 上 の た

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12 め に 徐 々 に 活 用 さ れ て き て い る と 考 え ら れ る 。 し か し 、 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 を 地 域 の 特 別 支 援 教 育 の 推 進 に 活 用 す る に 当 た っ て は 、 発 達 障 害 児 等 へ の 早 期 発 見 ・ 早 期 支 援 の 意 義 と そ の た め の 関 係 機 関 に よ る ネ ッ ト ワ - ク 作 り の 重 要 性 か ら 、 小 中 学 校 、 高 等 学 校 へ の 支 援 に 加 え て 、 早 期 か ら の 教 育 相 談 や 保 育 所 ・ 幼 稚 園 へ の 支 援 等 、 早 期 か ら の 支 援 に 活 用 す る こ と も 必 要 で あ る と 考 え ら れ る 。 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 を 就 学 前 か ら 学 齢 後 の 支 援 に 活 用 す る こ と の 利 点 と し て 、以 下 の 6 点 が 挙 げ ら れ る 。① 特 別 支 援 学 校 全 体 の 89% が 、地 域 支 援 部 等 の セ ン タ ー 的 機 能 の 中 心 と な る 組 織 を 設 け( 松 村・大 内・笹 本 ら ,2009)、 多 く の 学 校 で 1 名 以 上 の 専 任 の 特 別 支 援 教 育 コ ー デ ィ ネ ー タ ー が 配 置 さ れ て い る ( 松 村 , 2010) こ と か ら 、 地 域 支 援 を 行 う 体 制 整 備 が 進 ん で き て い る 。 ② 特 別 支 援 学 校 の 教 育 要 領 ・ 学 習 指 導 要 領 に 早 期 か ら の 相 談 の セ ン タ ー と し て の 役 割 が 示 さ れ て い る( 文 部 省 ,1999)こ と か ら 、法 的 な 整 備 が な さ れ て い る 。③ 92% の 特 別 支 援 学 校 が 医 療・福 祉・労 働 機 関 間 の 連 携 組 織 へ の 参 画 を 行 っ て い た( 松 村 ・ 澤 田 ・ 大 崎 ら , 2010) こ と か ら 、 関 係 機 関 と の 連 携 の 素 地 が で き て い る 。 ④ 特 別 支 援 学 校 が 県 内 の 全 域 に 配 置 さ れ て い る こ と か ら 、 山 間 地 域 等 の 市 町 村 へ の 支 援 が 可 能 で あ る 。 ⑤ 総 合 養 護 学 校 や 知 肢 併 置 校 が 配 置 さ れ た り 特 別 支 援 学 校 間 の 連 携 が 進 ん だ り し て い る こ と か ら 、 複 数 の 障 害 の 相 談 に 対 応 で き る 。 ⑥ 多 く の 特 別 支 援 学 校 が 小 学 部 か ら 高 等 部 ま で 設 置 さ れ て い る た め 、 幼 少 期 か ら 高 等 学 校 年 齢 ま で 、 発 達 や 教 育 に 関 す る 相 談 に 対 応 で き る 。 こ れ ら の こ と か ら 、 特 別 支 援 学 校 が セ ン タ ー 的 機 能 を 活 用 し て 就 学 前 か ら の 支 援 に 関 わ る こ と で 、 複 数 の 障 害 種 へ の 早 期 か ら の 教 育 相 談 や 継 続 的 な 相 談 、 相 談 支 援 機 関 が 少 な い 地 域 で の 教 育 相 談 の 場 の 確 保 な ど 、 地 域 の 特 別 な 支 援 が 必 要 な 就 学 前 の 子 ど も へ の 相 談 機 関 の 一 つ と し て 役 割 を 果 た す 可 能 性 が あ る と 考 え ら れ る 。 Ⅵ . 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 を 活 用 し た 早 期 支 援 の 取 組 特 別 支 援 学 校 が 実 施 し て い る 早 期 支 援 の 取 組 に つ い て 、 笹 森 ・ 後 上 ・ 久 保 山 ら ( 2010) が 視 覚 障 害 、 聴 覚 障 害 の 特 別 支 援 学 校 を 対 象 に 実 施 し た 調 査 で は 、 約 70% の 特 別 支 援 学 校 で 自 校 の 幼 稚 部 以 外 の 乳 幼 児 の 子 ど も の 支 援 を 行 っ て

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13 い た 。 支 援 の 内 容 と し て は 、 子 ど も と 保 護 者 へ の 教 育 相 談 、 幼 稚 園 ・ 保 育 所 へ の 巡 回 相 談 や 研 修 会 へ の 講 師 派 遣 等 が 行 わ れ て お り 、 保 健 セ ン タ ー で の 乳 幼 児 健 康 診 査 や 健 診 後 の 親 子 教 室 等 に ス タ ッ フ と し て 入 っ て い る 学 校 も あ っ た 。 こ の 調 査 結 果 か ら 、 多 く の 特 別 支 援 学 校 で は 、 校 内 体 制 を 整 備 し 関 係 機 関 と 連 携 し な が ら 地 域 の 特 別 支 援 教 育 の セ ン タ ー と し て 早 期 支 援 の 取 組 を 行 っ て い る と 推 測 さ れ る 。 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 を 活 用 し た 早 期 支 援 の 取 組 は 、 報 告 書 等 で い く つ か 紹 介 さ れ て い る 。 青 森 県 立 む つ 養 護 学 校 は 、 県 の 方 針 に 基 づ い て 、 学 校 の 教 育 計 画 の 中 に セ ン タ ー 的 機 能 を 位 置 づ け 、 学 校 全 体 で 、 教 育 相 談 活 動 、 地 域 の 幼 稚 園 等 へ の コ ン サ ル テ ー シ ョ ン を 実 施 し て い た 。ま た 、「 下 北 地 区 こ ど も 発 達 相 談 連 絡 協 議 会 」 を 発 足 し 、 下 北 地 区 に お け る 教 育 相 談 関 係 者 が 一 堂 に 会 し て 情 報 交 換 を 行 っ て い た 。 協 議 会 で は 、 ア ン ケ ー ト 調 査 、 教 育 相 談 、 コ ン サ ル テ ー シ ョ ン か ら 得 ら れ た 情 報 を 基 に し て 気 に な る 幼 児 等 の 保 育 所 ・ 幼 稚 園 で の 状 況 に つ い て 情 報 を 共 有 し て い た 。 加 え て こ の 協 議 会 と 「 就 労 ・ 生 活 支 援 連 絡 協 議 会 」 を 組 み 合 わ さ り 、 支 援 ネ ッ ト ワ ー ク を 就 学 前 か ら 学 齢 児 、 卒 業 後 と つ な げ て い く た め の 仕 組 み に な っ て い た ( 小 澤 ,2009)。 北 九 州 市 立 八 幡 特 別 支 援 学 校 の 幼 児 教 育 相 談 で は 、 小 学 校 生 活 を 想 定 し た 内 容 を 盛 り 込 ん だ 幼 児 の 活 動 ( た か の す チ ャ レ ン ジ ス ク ー ル ) と 保 護 者 へ の 個 別 相 談 を 並 行 し て 実 施 し て い た 。「 た か の す チ ャ レ ン ジ ス ク ー ル 」 で は 、 学 習 面 、 集 団 参 加 、 生 活 面 の 3 つ の 観 点 を 基 に プ ロ グ ラ ム を 構 成 し 、 特 別 な 支 援 が 必 要 な 子 ど も に 対 し 、 幼 児 期 か ら 就 学 期 へ の 効 果 的 な 移 行 支 援 を 行 っ て い た ( 枝 連 ,2012)。 東 京 都 立 あ き る 野 学 園 は 、 あ き る 野 市 と 共 催 し 、 幼 児 対 象 の 直 接 支 援 「 幼 児 教 室 」 を 行 っ て い た 。「 幼 児 教 室 」は 、就 学 へ の 円 滑 な 移 行 、保 護 者 の 理 解 、保 育 所 ・ 幼 稚 園 の 職 員 の ス キ ル ア ッ プ を 目 的 に 6 名 の 対 象 幼 児 に 90 分 の プ ロ グ ラ ム を 実 施 し 、就 学 移 行 期 に 効 果 的 な 役 割 を 果 た し て い た( 桑 原 ,2012)。こ れ ら 三 つ の 特 別 支 援 学 校 の 取 組 は 、 そ れ ぞ れ が 特 色 の あ る も の で あ り 、 地 域 の 実 態 に 合 わ せ ニ ー ズ に 対 応 し な が ら 就 学 前 の 子 ど も へ の 支 援 を 行 っ て い た 。 以 上 の こ と か ら 、 特 別 支 援 学 校 が 実 施 し て い る 特 別 な 支 援 が 必 要 な 就 学 前 の 子 ど も へ の 相 談 支 援 の 取 り 組 み は 徐 々 に 増 加 し て い る と 推 測 で き る 。 し か し 、 特 別 支 援 学 校 が 行 っ て い る 支 援 に つ い て 、 そ の 実 態 を 明 ら か に し た 全 国 的 な 規

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14 模 の 調 査 は 見 ら れ な い 。 ま た 、 各 特 別 支 援 学 校 が 行 っ て い る 取 組 に つ い て 地 域 の 関 係 機 関 と の 連 携 の 在 り 方 や 地 域 の 早 期 支 援 へ の 参 画 ・ 協 働 の 在 り 方 に つ い て 検 討 を 行 っ た 研 究 も 見 ら れ な い 。 Ⅶ . 研 究 の 目 的 本 研 究 で は 、 特 別 支 援 学 校 が そ の セ ン タ ー と し て の 機 能 を 活 か し 、 地 域 の 関 係 機 関 と 連 携 し な が ら 発 達 障 害 等 の 子 ど も の 早 期 か ら の 支 援 を 行 う 在 り 方 を 探 る こ と と し た 。 研 究 全 体 の 関 係 図 を 図 1-2 に 示 し た 。 第 一 に 、 特 別 支 援 学 校 が 行 っ て い る 就 学 前 の 子 ど も ・ 保 護 者 、 保 育 所 、 幼 稚 園 へ の 支 援 の 状 況 、 保 健 機 関 、 療 育 機 関 と の 連 携 の 状 況 に つ い て 、 全 国 調 査 に よ り 明 ら か に す る 。 第 二 に 、 全 国 の 早 期 支 援 に 係 る 取 組 を 行 っ て い る 特 別 支 援 学 校 を 調 査 し て 特 別 支 援 学 校 の 地 域 支 援 図 1 - 2 研 究 全 体 の 関 係 図 の 在 り 方 を 検 討 す る 。 第 三 に 特 別 支 援 学 校 が 実 際 に 行 っ て い る 実 践 に つ い て 、 地 域 の 早 期 か ら の 支 援 に つ い て の 効 果 と 課 題 を 検 討 す る 。 具 体 的 に は 、 ① 幼 稚

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15 園 、 小 中 学 校 等 へ の コ ン サ ル テ ー シ ョ ン 、 ② 特 別 支 援 学 校 が 作 成 し た 支 援 ツ ー ル 、 ③ 特 別 支 援 学 校 と 保 健 ・ 福 祉 機 関 が 連 携 ・ 構 築 し た 早 期 支 援 シ ス テ ム 、 ④ 特 別 支 援 学 校 と 保 健 ・ 福 祉 機 関 が 作 成 し た サ ポ ー ト フ ァ イ ル 、 に つ い て そ の 効 果 の 検 討 を 行 う 。 そ し て 第 四 に 、 特 別 支 援 学 校 と 関 係 機 関 が 連 携 し た 早 期 支 援 モ デ ル の 作 成 を 試 み る こ と と す る 。

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第二章

全国の特別支援学校の

センター的機能を活用した

特別な支援が必要な子どもの

早期支援に関する実態調査

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17 第 二 章 全 国 の 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 を 活 用 し た 特 別 な 支 援 が 必 要 な 子 ど も の 早 期 支 援 に 関 す る 実 態 調 査 研 究 Ⅰ 全 国 の 特 別 支 援 学 校 の 早 期 支 援 に 関 す る 質 問 紙 調 査 Ⅰ . は じ め に 特 別 支 援 教 育 の 展 開 に よ り 、 特 別 支 援 学 校 で は 、 関 係 機 関 と 連 携 し な が ら 校 内 体 制 を 整 備 し 、 地 域 の 特 別 支 援 教 育 の セ ン タ ー と し て の 機 能 を 発 揮 し 始 め て い る 。 特 別 支 援 学 校 が 、 セ ン タ ー と し て の 機 能 を 活 用 し て 、 早 期 支 援 に か か わ る こ と で 期 待 さ れ る こ と と し て 、 早 期 か ら の 教 育 相 談 や 継 続 的 な 相 談 、 相 談 支 援 機 関 が 少 な い 地 域 で の 教 育 相 談 の 場 の 確 保 、 保 育 所 ・ 幼 稚 園 へ の 巡 回 に よ る 相 談 支 援 の 充 実 、 保 健 機 関 ・ 療 育 機 関 と 連 携 し た 早 期 支 援 体 制 の 構 築 な ど が 考 え ら れ る 。 そ し て 、 地 域 の 早 期 か ら の 相 談 支 援 体 制 に お け る 専 門 家 等 の 人 的 な 整 備 や 保 育 所 ・ 幼 稚 園 で の 支 援 の 充 実 が も と め ら れ て い る こ と か ら 、 セ ン タ ー 機 能 の 一 つ と し て 、 早 期 か ら の 教 育 相 談 や 保 育 所 ・ 幼 稚 園 へ の 巡 回 に よ る 相 談 等 、 就 学 前 の 子 ど も へ の 支 援 に つ い て の 取 組 が 徐 々 に 進 め ら れ て い る 。 特 別 支 援 学 校 が 実 際 に 行 っ て い る 早 期 支 援 の 取 組 に つ い て は 第 一 章 で 紹 介 し た よ う に 地 域 の 実 態 や 特 別 支 援 学 校 の 校 内 体 制 の 整 備 状 況 に 応 じ て 各 学 校 で 創 意 工 夫 を し な が ら 行 わ れ て い る と 推 測 さ れ る 。 し か し 、 特 別 支 援 学 校 が 行 っ て い る 地 域 の 就 学 前 の 子 ど も ・ 保 護 者 、 保 育 所 ・ 幼 稚 園 へ の 相 談 支 援 、 保 健 機 関 や 療 育 機 関 等 と の 連 携 等 、 早 期 支 援 の 取 組 に つ い て そ の 実 態 は 明 ら か に な っ て い な い 。 そ の た め 、 本 研 究 で は 、 全 国 の 特 別 支 援 学 校 に 調 査 を 行 い 、 特 別 支 援 学 校 が そ の セ ン タ ー と し て の 機 能 を 活 か し 、 市 町 村 保 健 セ ン タ ー 、 療 育 機 関 と ど の よ う に 連 携 し て い る の か 、 地 域 に 在 住 す る 就 学 前 の 子 ど も の 早 期 発 見 ・ 早 期 支 援 に ど の よ う に 関 与 し て い る の か を 明 ら か に す る と と も に 、 特 別 支 援 学 校 が 早 期 支 援 に 関 わ る 意 義 に つ い て 検 討 す る こ と を 試 み た 。

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18 Ⅱ . 方 法 1 . 調 査 対 象 調 査 対 象 は 、平 成 23 年 度 全 国 特 別 支 援 学 校 実 態 調 査 に 記 載 さ れ て い る 全 国 特 別 支 援 学 校 肢 体 不 自 由 ・ 知 的 障 害 ・ 病 弱 教 育 校 長 会 所 属 の 都 道 府 県 立 、 市 立 、 区 立 特 別 支 援 学 校 の 全 て (738 校 )と し た 。 視 覚 障 害 及 び 聴 覚 障 害 単 独 の 特 別 支 援 学 校 に つ い て は 、 従 前 か ら 教 育 相 談 等 の 地 域 支 援 を 行 っ て い る た め 、 本 調 査 の 対 象 か ら 除 外 し た 。 ま た 、 国 立 及 び 私 立 特 別 支 援 学 校 に つ い て は 、 本 調 査 の 目 的 が 地 域 支 援 ・ 地 域 の 関 係 機 関 と の 連 携 の 状 況 を 明 ら か に す る と い う こ と か ら 、 対 象 か ら 除 外 し た 。 2 . 調 査 期 間 及 び 調 査 手 続 き 本 調 査 の 調 査 期 間 は 、平 成 24 年 7 月 下 旬 ~ 8 月 下 旬 で あ っ た 。郵 送 法 に よ る 質 問 紙 調 査 を 実 施 し た 。 学 校 名 ・ 記 入 者 名 は 無 記 名 で 行 い 、 返 信 用 封 筒 を 同 封 し 回 収 し た 。 3 . 回 収 数 と 回 収 率 回 収 数 は 503 箇 所 で 、 回 収 率 は 68.2% で あ っ た 。 4 . 質 問 紙 調 査 の 内 容 と 整 理 の 仕 方 調 査 内 容 を 表 2-1 に 示 し た 。 質 問 紙 は 、 15 項 目 ( 選 択 肢 12 項 目 、 自 由 記 述 3 項 目 ) で 構 成 し た 。 各 項 目 結 果 に つ い て は 、 数 と 割 合 を 表 に 示 し 、 分 析 ・ 検 討 を 行 っ た 。 自 由 記 述 の 結 果 に つ い て は 、 回 答 の 内 容 を 代 表 す る 言 葉 を 、 筆 者 を 含 む 複 数 名 協 議 に よ り キ ー ワ ー ド に し て ま と め 、 そ れ を 分 類 し た 。

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19 表 2-1 質 問 紙 調 査 の 内 容 NO 質問項目 備考 ① 貴校では、どのような地域支援(就学前に限りません)を行ってい ますか。 ・選択肢(複数回答可)と「その他」の自由記述欄 ② 就学前の乳幼児の来校相談(特別支援学校の相談室等にきてもら う)を行っていますか。 ・選択肢(2件法) ③ どのような相談支援をしていますか。 ・選択肢(複数回答可)と「その他」の自由記述欄 ・②の質問で「行っている」を選択したものが回答する ④ 貴校の保育所、幼稚園への巡回による相談・支援の状況をお聞かせ ください。 ・選択肢 ⑤ どのような相談支援をしていますか。 ・選択肢(複数回答可)と「その他」の自由記述欄 ・④の質問で「年間に30回以上行っている」「年間に16~ 29回行っている」「年間6~15回行っている」を選択した ものが回答する ⑥ 貴校の保育所、幼稚園への巡回による相談・支援を始めた経緯、 行っている理由をお聞かせください。 ・自由記述 ⑦ 理由をお聞かせください。 ・選択肢(複数回答可)と「その他」の自由記述欄 ・④の質問で「行ってはいるが、年間5回以下である」 「まったく行っていない」を選択したものが回答する ⑧ 支援地域の市区町村保健センター等(乳幼児健診等の母子保健業務 を行っている機関)と連携していますか。 ・選択肢(2件法) ⑨ どのような連携をしていますか。 ・選択肢(複数回答可)と「その他」の自由記述欄 ・⑧の質問で「行っている」を選択したものが回答する ⑩ 支援地域に療育機関(療育センター、発達支援事業 等)はありま すか。 ・選択肢(2件法) ⑪ 支援地域の療育機関(療育センター、発達支援事業 等)と連携し ていますか。 ・選択肢(2件法) ・⑩の質問で「ある」を選択したものが回答する ⑫ どのような連携をしていますか。 ・選択肢(複数回答可)と「その他」の自由記述欄 ・⑪の質問で「連携している」を選択したものが回答する ⑬ 特別な支援が必要な就学前の子どもための連携会議に参加していま すか。 ・選択肢(2件法) ⑭ 参加している会議の名称をお書きください。 ・自由記述 ⑮ 特別支援学校が、特別な支援が必要な子どもの早期支援に関わる意 義等について、自由にご意見をお聞かせ下さい。 ・自由記述

(21)

20 5 . 特 別 支 援 学 校 の 障 害 種 別 回 答 の あ っ た 特 別 支 援 学 校 の 障 害 種 別 の 数 と 割 合 を 表 2-2 に 示 し た 。 表 2-2 回 答 の あ っ た 特 別 支 援 学 校 の 障 害 種 別 の 数 と 割 合 6 . 回 答 者 質 問 紙 の 記 入 者( 複 数 の 役 職 を 含 む )は 管 理 職 が 54 人 (10.7% )、特 別 支 援 教 育 コ ー デ ィ ネ ー タ ー が 366 人 (72.8% )、地 域 支 援 に 関 す る 部 主 任 152 人 (30.2% )、 教 務 主 任 16 人 (3.2% )、 そ の 他 ( 教 育 相 談 担 当 6 人 、 学 部 主 任 3 人 、 教 育 支 援 部 職 員 1 人 な ど ) 19 人 (3.8% )、 未 記 入 が 4 人 (0.8% )で あ っ た 。 Ⅲ . 結 果 1 . 地 域 支 援 の 状 況 に つ い て 「 貴 校 で は 、 ど の よ う な 地 域 支 援 ( 就 学 前 に 限 り ま せ ん ) を 行 っ て い ま す か ( 複 数 回 答 可 )」 に 対 す る 回 答 結 果 を 表 2-3 に 示 し た 。

障害種別

学校数(割合)

知的障害を主とする

259 (51.5%) 

肢体不自由を主とする

90 (17.9%) 

病弱を主とする

42 ( 8.3%) 

知的障害・肢体不自由 併設

66 (13.1%) 

知的障害・病弱 併設

6 ( 1.2%) 

知的障害・聴覚障害 併設

4 ( 0.8%) 

肢体不自由・病弱 併設

12 ( 2.4%) 

3障害種以上の総合型

19 ( 3.8%) 

未記入

5 ( 1.0%) 

(22)

21 表 2-3 問 1「 貴 校 で は 、ど の よ う な 地 域 支 援( 就 学 前 に 限 り ま せ ん )を 行 っ て い ま す か 」 に 対 す る 回 答 結 果 ほ と ん ど の 特 別 支 援 学 校 ( 484 校 、 96.2% ) が 、「 地 域 の 本 人 ・ 保 護 者 ・ 教 師 等 へ の 教 育 相 談 ・ 就 学 相 談 」 を 実 施 し て い た 。「 研 修 会 へ の 講 師 派 遣 へ の 参 加 」 「 学 校 園 所 へ の 巡 回 に よ る 相 談 ・ 支 援 」 を 行 っ て い る 特 別 支 援 学 校 は そ れ ぞ れ 450 校 (89.5% )、417 校 (82.9% )あ っ た 。心 理 検 査 等 に よ り 子 ど も の ア セ ス メ ン ト を 行 っ て い る 特 別 支 援 学 校 は 、343 校 (68.2% )で あ っ た 。そ の 他 の 回 答 で は 、 「 保 健 、福 祉 機 関 の 相 談 支 援 業 務 へ の 協 力 」6 校 、「 学 校 施 設 の 開 放 」4 校 、「 授 業 等 の 体 験 実 習 」「 療 育 教 室 の 実 施 」「 地 域 の 学 校 で の 出 前 授 業 」 が 3 校 な ど で あ っ た 。 2 . 就 学 前 の 乳 幼 児 の 来 校 相 談 の 状 況 に つ い て 「 就 学 前 の 乳 幼 児 の 来 校 相 談 ( 特 別 支 援 学 校 の 相 談 室 等 に き て も ら う ) を 行 っ て い ま す か 」 に 対 す る 回 答 で は 、「 行 っ て い る 」 は 369 校 (73.4% )、「 行 っ て い な い 」 は 127 校 ( 25.2% ) で あ っ た 。 未 記 入 は 7 校 ( 1.4% ) で あ っ た 。 就 学 前 の 乳 幼 児 の 来 校 相 談 で 、「 ど の よ う な 相 談 支 援 を し て い ま す か 」に 対 す る 回 答 結 果 を 2-4 に 示 し た 。

回答

学校数(割合)

地域の本人・保護者・教師等への教育相談・就学相談

484 (96.2%) 

関係機関による連絡協議会等への参加

467 (92.8%) 

研修会への講師派遣

450 (89.5%) 

学校園所への巡回による相談・支援

417 (82.9%) 

福祉、医療、労働等の関係機関との連絡・調整

412 (81.9%) 

教材・教具の紹介や貸し出し

377 (75.0%) 

地域向けの研修会の企画・実施

375 (74.6%) 

アセスメントの実施(授業参観、WISC-Ⅲ・Ⅳ、新版K式検査実施等)

343 (68.2%) 

特別支援教育に関する情報発信(支援だより、指導事例、用語解説等)

238 (47.3%) 

その他

44 ( 8.7%) 

(23)

22 表 2-4 問 3 「 ど の よ う な 相 談 支 援 を し て い ま す か 」 に 対 す る 回 答 結 果 「 特 別 支 援 学 校 へ の 就 学 に 関 す る 相 談 」 を 行 っ て い る 学 校 は 353 校 (70.2% ) で 一 番 多 か っ た 。 半 数 ( 252 校 、 50.1% ) の 特 別 支 援 学 校 が 「 保 護 者 へ の 子 育 て 等 の 教 育 相 談 」を 行 っ て お り 、約 3 分 の 1(35・ 8% )が 、担 当 保 育 士 等 へ の 助 言 を 行 っ て い た 。「 発 達 検 査 の 実 施 ・ 解 釈 」 を 行 っ て い る 特 別 支 援 学 校 は 107 校 (21.3% )で あ っ た 。 そ の 他 の 回 答 で は 、「 幼 児 に 対 す る 直 接 指 導 」 3 校 、「 幼 児 教 室 の 実 施 」 2 校 な ど で あ っ た 。 3 . 保 育 所 、 幼 稚 園 へ の 巡 回 に よ る 相 談 ・ 支 援 の 状 況 に つ い て 「 貴 校 の 保 育 所 、 幼 稚 園 へ の 巡 回 に よ る 相 談 ・ 支 援 の 状 況 を お 聞 か せ く だ さ い 」 に 対 す る 回 答 結 果 を 表 2-5 に 示 し た 。 「 行 っ て い る が 、 年 間 5 回 以 下 で あ る 」 と 回 答 し た 特 別 支 援 学 校 が 150 校 (29.8% )と 一 番 多 く 、「 ま っ た く 行 っ て い な い 」と 回 答 し た 特 別 支 援 学 校 も 135 校 (26.8% )あ っ た 。 一 方 、「 年 間 に 30 回 以 上 行 っ て い る 」 と 回 答 し た 特 別 支 援 学 校 が 62 校 (12.3% )あ り 、「 年 間 に 16~ 29 回 行 っ て い る 」と 回 答 し た 特 別 支 援 学 校 も 49 校 (9.7% )あ っ た 。

回答

学校数(割合)

特別支援学校への就学に関する相談

353 (70.2%)

保護者への子育て等の教育相談

252 (50.1%)

担任保育士等への助言

180 (35.8%)

他機関の紹介

166 (33.0%)

子どもの相談室での様子の観察

143 (28.4%)

発達検査等の実施・解釈

107 (21.3%)

その他

20 ( 4.0%)

(24)

23 表 2-5 問 4 「 貴 校 の 保 育 所 、 幼 稚 園 へ の 巡 回 に よ る 相 談 ・ 支 援 の 状 況 を お 聞 か せ く だ さ い 」 に 対 す る 回 答 結 果 「 ど の よ う な 相 談 支 援 を し て い ま す か 」( 表 2-5 の 質 問 で 「 年 間 30 回 以 上 行 っ て い る 」「 年 間 16~ 29 回 行 っ て い る 」「 年 間 6~ 15 回 行 っ て い る 」を 選 択 し た 者 の み が 回 答 の 対 象 ) に 対 す る 回 答 結 果 を 表 2-6 に 示 し た 。 表 2-6 問 5「 ど の よ う な 相 談 支 援 を し て い ま す か 」 に 対 す る 回 答 結 果 「 保 育 場 面 で の 子 ど も の 観 察 」が 209 校 (41.6% )、「 担 任 等 へ の 保 育 等 に 関 す る 助 言 」が 207 校 (41.2% )あ り 、年 間 6 回 以 上 行 っ て い る 特 別 支 援 学 校 (211 校 ) の ほ と ん ど を 占 め た 。保 育 所・幼 稚 園 を 訪 問 し て 、「 保 護 者 へ の 相 談 」を 行 っ て

回答

学校数(割合)

保育場面での子どもの観察

209 (41.6%) 

担任等への保育等に関する助言

207 (41.2%) 

特別支援学校への就学に関する相談

148 (29.4%) 

保護者への相談

136 (27.0%) 

研修会での講師

133 (26.4%) 

小学校に入学する子どもの特別支援学級入級等に関する相談

130 (25.8%) 

発達検査等の実施・解釈

75 (14.9%) 

園内委員会での助言

67 (13.3%) 

研究授業等への助言

27 ( 5.4%) 

その他

6 ( 1.2%) 

無回答

2 ( 0.4%) 

回答

学校数(割合)

年間に30回以上行っている

62 (12.3%) 

年間に16~29回行っている

49 ( 9.7%) 

年間6~15回行っている

100 (19.9%) 

行ってはいるが、年間5回以下である

150 (29.8%) 

まったく行っていない

135 (26.8%) 

未記入

7 ( 1.4%) 

(25)

24 い る 特 別 支 援 学 校 は 136 校 (27.0% )あ っ た 。「 発 達 検 査 等 の 実 施・解 釈 」を 行 っ て い る 特 別 支 援 学 校 が 75 校 (14.9% )あ っ た 。 「 貴 校 の 保 育 所 、 幼 稚 園 へ の 巡 回 に よ る 相 談 ・ 支 援 を 始 め た 経 緯 、 行 っ て い る 理 由 を お 聞 か せ く だ さ い 」 に 対 す る 回 答 の キ ー ワ ー ド を 表 2-7 に 示 し た 。 表 2-7 問 6「 貴 校 の 保 育 所 、 幼 稚 園 へ の 巡 回 に よ る 相 談 ・ 支 援 を 始 め た 経 緯 、 行 っ て い る 理 由 を お 聞 か せ く だ さ い 」 に 対 す る 回 答 結 果 「 市 障 害 児 保 育 巡 回 指 導 へ の 相 談 員 派 遣 依 頼 を 受 け て 行 っ た 」「 市 の 自 立 支 援 協 議 会 の 活 動 の 一 環 と し て 、 指 導 主 事 や 保 健 師 と 一 緒 に 巡 回 を 始 め た 」 な ど 、 「 市 町 か ら の 依 頼 に よ り 」相 談・支 援 を 行 っ て い る と の 回 答 が 、103 校 (20.5% ) あ り 、「 県 の 特 別 支 援 教 育 総 合 派 遣 事 業 の 指 定 に よ り 巡 回 相 談 を 実 施 し た 」な ど 「 国 ま た は 県 の 事 業 に よ り 」と の 回 答 は 、76 校 (15.1%)あ っ た 。「 地 域 の セ ン タ ー と し て 役 割 を 発 揮 す る た め 」「 セ ン タ ー 的 役 割 の 一 つ と し て 」「 セ ン タ ー 的 機 能 の 一 環 と し て 」 な ど 、「 地 域 の 特 別 支 援 教 育 の セ ン タ ー と し て の 役 割 と し て 」 の 回 答 が 95 校( 18.9%)か ら あ っ た 。「 幼 児 の 在 籍 す る 保 育 所・幼 稚 園 か ら の ニ ー ズ が 高 ま っ た の で 実 施 し て い る 」な ど「 幼 稚 園・保 育 所 か ら の 要 請( ニ ー ズ ) か ら 」 の 回 答 が 87 校 (17.3%)あ っ た 。 「 理 由 を お 聞 か せ く だ さ い 」( 表 2-5 の 質 問 で「 行 っ て は い る が 、年 間 5 回 以 下 で あ る 」「 ま っ た く 行 っ て い な い 」を 選 択 し た 者 の み が 回 答 の 対 象 )に 対 す る 回 答 結 果 を 表 2-8 に 示 し た 。

回答

学校数(割合)

市町からの依頼・連携により

103 (20.5%) 

地域の特別支援教育のセンターとしての役割として

95 (18.9%) 

幼稚園・保育所からの要請(ニーズ)から

87 (17.3%) 

国または県の事業により

76 (15.1%) 

早期支援の重要性から

38 ( 7.6%) 

保護者からのニーズがあったため

16 ( 3.2%) 

入学予定者の支援継続のため

4 ( 0.8%) 

(26)

25 表 2 -8 問 7 「 理 由 を お 聞 か せ く だ さ い 」 に 対 す る 回 答 結 果 「 保 育 所・幼 稚 園 か ら の 要 請 が な い (少 な い )か ら 」が 197 校 (39.2% )で あ り 、 一 番 多 か っ た 。「 他 機 関( 大 学 、療 育 セ ン タ ー 等 )の 巡 回 相 談 が 十 分 に 機 能 し て い る か ら 」 の 回 答 は 84 校 (16.7% )あ っ た 。「 自 校 で は 保 育 所 ・ 幼 稚 園 は 支 援 の 対 象 に し て い な い か ら 」 と 回 答 し た 特 別 支 援 学 校 は 22 校 (4.4%)で あ っ た 。「 小 学 校 ・ 中 学 校 か ら の 支 援 要 請 が 多 く 、 保 育 所 ・ 幼 稚 園 の 支 援 に 行 き に く い 現 状 が あ る か ら 」「 幼 児 の ア セ ス メ ン ト を し た り 、保 育 士 へ の 助 言 を 行 っ た り す る な ど 、 就 学 前 の 子 ど も に 関 す る 専 門 性 の あ る 職 員 が 校 内 に い な い か ら 」 の 回 答 を 行 っ た 特 別 支 援 学 校 は そ れ ぞ れ 13 校 (2.6%)、 12 校 (2.4%)で あ っ た 。 4 . 市 区 町 村 保 健 セ ン タ ー と の 連 携 の 状 況 に つ い て 「 地 域 の 市 区 町 村 保 健 セ ン タ ー 等 ( 乳 幼 児 健 診 等 の 母 子 保 健 業 務 を 行 っ て い る 機 関 )と 連 携 し て い ま す か 」の 問 い に 対 し て 、「 連 携 し て い る 」と 回 答 し た 学

回答

学校数(割合)

保育所・幼稚園からの要請がない(少ない)から

197 (39.2%) 

他機関(大学、療育センター等)の巡回相談が十分に機能し

ているから

84 (16.7%) 

自校では保育所・幼稚園は支援の対象としていないから

22 ( 4.4%) 

小学校・中学校からの支援要請が多く、保育所・幼稚園の支

援に行きにくい現状があるから

13 ( 2.6%) 

幼児のアセスメントをしたり、保育士への助言を行ったりす

るなど、就学前の子どもに関する専門性のある職員が校内に

いないから

12 ( 2.4%) 

巡回等に出かける旅費がない(少ない)ため、保育所・幼稚園

の支援に行きにくい現状があるから

12 ( 2.4%) 

自校の校内支援の要請が多く、保育所・幼稚園の支援に行き

にくい現状があるから

10 ( 2.0%) 

その他

46 ( 9.1%) 

無回答

19 ( 3.8%) 

(27)

26 校 園 が 237 校 ( 47.1% ) あ っ た 。「 連 携 し て い な い 」 の 回 答 が 250 校 ( 49.7% ) あ り 、「 未 記 入 」 が 16 校 ( 3.1% ) あ っ た 。 「 ど の よ う な 連 携 を し て い ま す か( 複 数 回 答 可 )」の 問 い に 対 す る 回 答 結 果 を 表 2-9 に 示 し た 。 表 2 -9 問 9 「 ど の よ う な 連 携 を し て い ま す か 」 に 対 す る 回 答 結 果 「 保 健 セ ン タ ー 主 催 の 保 護 者 研 修 会 や 関 係 者 向 け 研 修 会 等 へ の 講 師 派 遣 」 が 77 校 ( 15.3% ) で 一 番 多 か っ た 。「 健 診 で 要 観 察 に な っ た 子 ど も の 保 護 者 へ の 相 談 」 を 行 っ て い る 学 校 が 72 校 ( 14.3% ) あ り 、「 健 診 で 要 観 察 に な っ た 子 ど も 対 象 の 親 子 教 室 へ の 参 加 」 を 行 っ て い る 学 校 が 51 校 ( 10.1% ) あ っ た 。「 1 歳 6 カ 月 健 診 、 3 歳 児 健 診 等 で の 子 ど も の 観 察 や 保 護 者 へ の 相 談 」 を 行 っ て い る 学 校 は 33 校( 6.6% )で あ っ た 。「 校 内 の 幼 児 児 童 生 徒 の 予 防 接 種 等 、健 康 に 関 す る 情 報 交 換 」 を 行 っ て い る 学 校 は 19 校 ( 3.8% ) と 少 な か っ た 。 そ の 他 の 自 由 記 述 で は 、「 連 絡 会・検 討 会・ケ ー ス 会 議 で の 保 健 師 と の 情 報 交 換 」の 記 述 が 34 校 ( 6.8% ) か ら あ っ た 。「 電 話 な ど に よ る 担 当 者 間 の 情 報 交 換 」 が 16 校 ( 3.2% )、「 幼 稚 園・保 育 園 の 巡 回 相 談 に 同 行 し て の 情 報 共 有 」「 相 談 会( 発 達 、 療 育 、 5 歳 児 ) へ の 協 力 」 が そ れ ぞ れ 14 校 ( 2.8% ) あ っ た 。

回答

学校数(割合)

保健センター主催の保護者研修会や関係者向け研修会等への講師派遣

77 (15.3%) 

健診で要観察になった子どもの保護者への相談

72 (14.3%) 

健診で要観察になった子ども対象の親子教室への参加

51 (10.1%) 

発達検査等の実施・解釈

41 ( 8.2%) 

1歳6か月健診、3歳児健診等での子どもの観察や保護者への相談

33 ( 6.6%) 

校内の幼児児童生徒の予防接種等、健康に関する情報交換

19 ( 3.8%) 

その他

108 (21.5%) 

(28)

27 5 . 療 育 機 関 と の 連 携 の 状 況 に つ い て 「 支 援 地 域 に 療 育 機 関 ( 療 育 セ ン タ ー 、 発 達 支 援 事 業 等 ) は あ り ま す か 」 の 問 い に 対 し て 、「 あ る 」 と 答 え た 学 校 は 436 校 ( 86, 7% )、「 な い 」 と 答 え た 学 校 は 54 校 ( 10.7% ) で あ っ た 。 13 校 ( 2.6% ) は 未 記 入 で あ っ た 。 支 援 地 域 に 療 育 機 関 が あ る と 答 え た 学 校 へ の 「 支 援 地 域 の 療 育 機 関 ( 療 育 セ ン タ ー 、発 達 支 援 事 業 等 )と 連 携 し て い ま す か 」の 問 い に 対 し て 、「 連 携 し て い る 」と 答 え た 学 校 は 380 校( 75.5% )で あ り 、「 連 携 し て い な い 」と 回 答 し た 学 校 は 56 校 ( 11.1% ) で あ っ た 。 「 ど の よ う な 連 携 を し て い ま す か 」の 問 い に 対 す る 回 答 結 果 を 表 2-10 に 示 し た 。 表 2-10 問 1 2「 ど の よ う な 連 携 を し て い ま す か 」 に 対 す る 回 答 結 果 「 在 籍 幼 児 児 童 生 徒 の 障 害 の 状 態 や 、 指 導 ・ 支 援 に 関 す る 情 報 交 換 」 が 302 校( 60.0% )で 一 番 多 か っ た 。「 研 修 等 に 関 す る 連 携・協 力 」が 208 校( 41.4% ) あ っ た 。「 在 籍 以 外 の 子 ど も の 障 害 の 状 態 や 、指 導・支 援 に 関 す る 情 報 交 換 」を 行 っ て い る 学 校 は 141 校( 28.0% )あ り 、「 療 育 等 へ の 参 加 協 力 」を 行 っ て い る 学 校 が 65 校( 12.9% )あ っ た 。そ の 他 の 回 答 で は 、「 連 携 会 議 、ケ ー ス( 支 援 ) 会 議 へ の 参 加 」が 10 校( 2.0% )、「 巡 回 相 談 に 同 行 し て の 情 報 共 有 」が 4 校 (0.8%) 「 学 校 見 学 等 の 案 内 の 提 供 」 が 3 校 (0.6%)あ っ た 。

回答

学校数(割合)

在籍幼児児童生徒の障害の状態や、指導・支援に関する情報交換

302 (60.0%) 

研修等に関する連携・協力

208 (41.4%) 

特別支援学校への就学にあたっての支援計画等の引き継ぎ

192 (38.2%) 

在籍以外の子どもの障害の状態や、指導・支援に関する情報交換

141 (28.0%) 

運営会議等への参加

93 (18.5%) 

療育等への参加協力

65 (12.9%) 

その他

28 ( 5.6%) 

(29)

28 6 . 特 別 な 支 援 が 必 要 な 就 学 前 の 子 ど も た め の 連 携 会 議 へ の 参 加 の 状 況 に つ い て 「 特 別 な 支 援 が 必 要 な 就 学 前 の 子 ど も た め の 連 携 会 議 に 参 加 し て い ま す か 」 に 対 し て 、「 参 加 し て い る 」 と 答 え た 学 校 は 249 校 ( 49.5% ) で あ り 、「 参 加 し て い な い 」と 回 答 し た 学 校 は 236 校( 46.9% )で あ っ た 。未 記 入 が 18 校( 3.6% ) あ っ た 。 「 参 加 し て い る 」 と 回 答 し た 学 校 が 参 加 し て い る 会 議 を キ ー ワ ー ド 別 に 分 類 し 、 表 2-11 に 示 し た 。 表 2-11 問 14 「 参 加 し て い る 会 議 の 名 称 を お 書 き く だ さ い 」 に 対 す る 回 答 結 果 「 A 市 自 立 支 援 協 議 会 こ ど も 部 会 」等 、「 自 立 支 援 協 議 会 の 部 会 」に 参 加 し て い る 学 校 が 135 校 ( 26.8% ) あ っ た 。「 B 地 区 特 別 支 援 連 携 協 議 会 」「 C 市 発 達 障 害 等 支 援 連 携 会 議 」 等 「 特 別 支 援 ・ 発 達 支 援 ・ 療 育 支 援 に 関 す る 連 携 会 議 」 に 参 加 し て い る 学 校 が 81 校( 16.2% )あ っ た 。「 D 市 就 学 相 談 会 」「 E 市 療 育 相 談 会 」等「 発 達・教 育・就 学 に 関 す る 相 談 会 」に 散 開 し て い る 学 校 が 21 校( 4.2% ) あ っ た 。「 F 町 育 児 支 援 検 討 会 」等「 子 育 て 支 援 に 関 す る 会 議 」に 参 加 し て い る 学 校 も 7 校 (1.4%)あ っ た 。

回答

学校数(割合)

自立支援協議会の部会

135 (26.8%) 

特別支援・発達支援・療育支援に関する連携会議

81 (16.1%) 

就学指導・支援に関する会議

25 ( 5.0%) 

支援ネットワークに関する連絡会

22 ( 4.4%) 

発達・教育・就学に関する相談会

21 ( 4.2%) 

ケースに関する会議、情報交換会

12 ( 2.4%) 

子育て支援に関する会議

7 ( 1.4%) 

幼保小連絡会議

5 ( 1.0%) 

幼児教育支援の関する会議

5 ( 1.0%) 

特別支援教育チーム会議

5 ( 1.0%) 

要保護児童対策協議会部会

4 ( 0.8%) 

移行支援会関する会議

4 ( 0.8%) 

その他

13 ( 2.6%) 

図 4 -3- 1  平 成 18 年 度 の 子 ど も へ の 気 づ き や 健 診 か ら 支 援 ま で の 流 れ

参照

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⑤ 

The challenge of superdiversity for the identity of the social work profession: Experiences of social workers in ‘De Sloep’ in Ghent, Belgium International Social Work,

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