教育デザイン研究会第1回大会に参加して -課題の明確化-
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(2) 教育デザイン研究会第一回大会に参加して. 主な内容は次のようでした。詳しくは本誌紹介頁を. このへんにこれからの実践課題の一つがあるように思. 参照してください。. います。. 1. 考える力が弱い子ども 2. よく考える学生を育てる授業デザイン−批評力・ コミュニケーション力を育てる授業例− 3. 書くこと・考えること−なぜコメント作文をかか せるか− 学びの省察. 次の「新教育学研究科コア科目としての教育デザイ ン」は、前附属横浜小校長を兼任された森本真也先生 (理科教育がご専門)の司会で進められました。 ☆授業創造科目群(授業単元・教材教具関連). 4. 日本語談話の構造−論証・論述に向かない?−. ⇔授業創造という視点からの取り組む教育デザイン. 5. 新しい知の創造−認知的葛藤と学びの振り返り−. ☆教育環境開発科目群(人間発達・学社連携関係). 6. 教師教育の課題−教育力ある教師を育てる−. ⇔社会との関連における教育デザイン. 内 田 先 生 の ご 講 演 は、 C00L HEAD & WARM. 主な内容は次の通りです。(詳細は本誌関連頁参照). HEART に貫かれていました。最後は『星の王子様』. ①現場教育の機能強化と大学教育の連携 . からの素敵な言葉を引用されながら【未来の学部教育. ②教科専門教員からみた教育デザイン . のデザイン〜「自立した探求者」「臨床知の創造者」. ③ “特別でない” 特別支援教育を目指して . を育てる〜】についてメッセージされました。. ④ “創る” 活動で理論と実践をつなぐデザイン. 学生 自発的に疑問を持ち、その疑問を自力で解く。. 長く附属教官として教育実習に関わってきた者とし. 仮説を立て自力で証拠を探し出し検証する。 教師 問題解決の方法論を鍛える。学生の発するこ. て、①の甘利副校長先生の提案は、附属小・中の教育 実践の意味や課題と関連して学部生教育の要の一つで. とばやコメント作文から認知的葛藤を洞察し、. ある「教育実習」についていろいろと考える機会をい. 葛藤解決に向かって努力するのを励ます。答. ただくことができました。公立小・中学校における「教. えを余すところなく明示的に与えるのではな. 育実習」の課題についてもしっかりとした「教育デザ. く、提案の形で複数の解決の方向を照らす。. イン〜その協働・共有化と個別・個性化〜」が必要で あると痛感しているところです。. この講演を受け、高橋勝先生(教育哲学がご専門、. また、③「特別支援教育の実践」については深い感. 元附属横浜小学校長も歴任)が「未来の学校現場を創. 銘を受けました。勤務校の取組を基に特別支援教育. る教育デザイン」のより具体的な課題化へ向けて、さ. コーデイネーターの働きや個別支援級担任の日常、学. らに焦点化してくださいました。高橋先生は「変容す. 級・学年担任との連携・協力の実態、低学年サポート. る子ども世界〜 No 8問題構成力の弱さ〜①自分さが. の充実課題等について、関戸先生と本校職員や委員会. しの旅?②自分で課題を見つけ調べる授業③「興味・. 担当指導主事、そして大学生・院生の皆さんとじっく. 関心」と「課題・問題」のズレ④豊富な社会体験が必. り話し合える機会が欲しいと強く感じました。特別で. 要(明治図書刊『学級経営 2005/11 月号』)と教育. ない特別支援、個に応じ・個を生かし・個を伸ばす個. 新聞に書かれたコラム「子ども・若者バッシングをや. 別指導教育のデザインは喫緊の実践課題です。. めよう〜全面的に押し出す教育を〜」(2009/10/22. . 号)を資料として用意してくださり、内田先生が講演. 3 今後へ向けて(その1). 時間内でお話しできなかった部分や、深くふれたかっ. 〜教職員の人材育成・職能成長支援と教育デザイン〜. た部分を引き出してくださいました。. . この時も、フロアにもっとたくさんの同窓生や友松. 今手元に NEW PACT 研究会からのアンケート調査. 会の仲間たちがいてくれたら…、勤務校の先生方にこ. 依頼があります。テーマは『教師の生活と意識に関す. の場に参加してもらえたら…、PTA 役員さんをはじ. る調査(校長編・教諭編)』、主旨は次のようです。. め「まちと共に歩む教育懇話会」メンバーの方々が聴 講できたら…、と残念でなりませんでした。正直「もっ たいない!」それが本音でした。教育デザイン研究会、. 40.
(3) 近年教育改革の中で、民間人校長の採用、教員. ください。. 評価制度の導入、主幹制の配置、7 時間 45 分の勤. 活用にあたっては。教職員の職務能力・年次・年齢. 務時間など、教職の置かれた状況や教師の働く現. 等を踏まえつつ、それぞれの教職員が計画的にキャ. 場が大きく変わってきています。本調査は PACT. リア・アップを図るようにすることが必要です。. (professional actions and cultures of teaching )研究. 校長は、教職員一人ひとりとの面談を通して、そ. 会が、過去に実施した調査研究(1995 年 /2000 年). れぞれのキャリアアップを図るために取り組むべき. と比較することにより、教師の仕事や役割の変化を. 課題の共有化を図ります。そして、その課題解決に. とらえ、教職と教育改善に資するための基礎資料を. 向けて教職員自らが研鑽を積むことができるように. 表したいと考え企画したものです。 (要所引用). 教育センター等の各種研修を活用するなど、研修計. 校長編は 16 項目、教諭編は 22 項目で構成されて います。内容はよく整理されており継続して調査研究 することにより、時代の課題と問題点が浮き彫りにさ. 画の立案をはじめ、研修への積極的な取組に向け、 適切な助言・指導を行うことが必要です。 (要所引用). れ、文教政策への反映も期待できると考えます。 「教育デザイン研究〜特に教職専門性の育成と教師 力の伸長、職能成長に関する個体史的アプローチ〜」. 【個のキャリア期】は 5 期に分類されています。 ①基礎能力開発期(学級経営、教科領域等指導・担当. と「教師の生活意識に関する調査〜教職の変容と展望. の業務を中心に授業力の基礎・基本としての素養を. に関する教育社会学的アプローチ〜」は、協働連携し. 習得する。). て進めてもらえれば成果が大きいと期待します。大学. ②基礎能力活用期(担当業務遂行能力や授業力のさら. 間や委員会との協力、研究会・学会間協力も今まで以. なる向上のため、市や区の研究活動、教育課程、教. 上に強化していくことが大切になってくると思いま. 育課題等での新たな取組にチャレンジする。). す。. ③教職経験力活用期(教育専門職としての経験を活用し. もう一つ、横浜市教育委員会編【平成 21 年度「キャ. てさらに磨きをかけるとともに、教職員へ様々な場面. リアステージ」に応じた教職員研修体系】が手元にあ. で指導助言を行い、学校運営参画力の向上を図る。 ). ります。「キャリアステージの活用」に関する説明の. ④学校運営能力開発活用期(学校内外の研究活動、教. 一部を取り上げてみます。. 育課程、教育課題等の推進に取り組み、学校運営の. 活力ある組織づくり、成長する組織づくりという. 基礎を習得し、学校改善に向けたマネジメント能力. 視点から、教職員の資質能力の向上は欠かせません。. の質的向上を図る。). したがって、教職員が自ら振り返り、自己の課題を. ⑤組織・経営マネジメント力開発活用期(学校経営の. 明確にして日常的に研鑽に取り組むことが重要です。. 責任ある立場として自らのマネジメント力のさらな. そこで、自らの課題を明らかにするとともに教師力. る向上を図るとともに、リーダシップを発揮して学. 向上のための手掛かりとして、 「キャリアステージ」. 校経営を担う。). を活用の上、必要と考える研修を積極的に受講して. 【教師力向上の三つの重点】は、A:授業力 B:マネジメント力 C:連携力 で構成されています。 ①期 A 授 業 力 B マネジメント力 C 連 携 力. ②期. ③期. ④期. ⑤期. ○児童・生徒理解を基盤に、他の教員と連携してわかる授業を目指し、教材開発、指導と評 価など、日常的具体的に展開することができる力。 ○組織の一員としての自覚を持ち、学校教育目標実現に向けてチームで協働するなど、組織 的に展開取り組むことができる力。 ○学校運営や学年・学級経営上の様々な課題に対して、同僚や地域・保護者、近隣校、他機 関等との効果的な連携を図り適切に対応することができる力。. 教育デザイン研究 創刊号 41.
(4) 教育デザイン研究会第一回大会に参加して. 【教育デザイン研究におけるキャリアステージのと. 「成長し続ける学生・教師」「生き生きと学び伸びる. らえと活用】は、今後ますます協働研究を深めていく. 児童・生徒」を具体化・現実化していける「教育デザ. ことが大切になると考えます。A−①②③④⑤、B−. イン研究」こそ求めるところです。内田伸子先生が講. ①②③④⑤、C−①②③④⑤合計 15 のセルを欲張ら. 演の最後に強調された「自立した探求者」「臨床知の. ず教師の成長課題に即して選択・構成できて、一人ひ. 創造者」を育てることと深く結びます。. とりの教師の経験力として丁寧に紡げる内容にしてい. さらに、教育デザインとの関連で、今後「学校版マ. くことが重要になります。. ニフェスト」の改善も大きく浮上してくる課題だと考. OJT(オンザジョブトレーニング)はかくあるべし. えます。「教職員の人材育成・職能成長支援」に関す. とばかり、ぎゅうぎゅう詰めにしては、教師は成長し. る事柄をどう具体的にデザインできるかが重要です。. たくても成長できません。先生方個々の得意性や興味・. 勤務校西寺尾第二小学校の現状を一部紹介しました。. 関心が大切にされ、生かされる研修内容・研究方向を. ここからどう進めるか、内容の再検討と実践プログラ. 支える教育デザインが必要不可欠です。. ムの表現・評価方法の工夫を今後の課題とします。. ○増加が予想される新任教諭、若手教職員の育成を図るため、教育委員会主催の研修を活用するとともに校内 研修・研究を充実させていきます。 ○ベテラン教員の経験力を生かし活性化を図る取組を進めるとともに、交流授業や教育環境整備を通じて若手層 指導者としての自覚と運営力を高めます。 ○校務分掌を軸とした日常実践を介して、チーム力<学年経営力・教科学習指導力・特別支援協働教育力、オー プンスペースの効果的活用を促進しあうフロアー運営力、児童理解・生活支援力等)を相互に伸ばしあってい きます。 ※以上の取組は、安全・安心で安定した学舎空間と学習時間を紡ぎ出すための危機管理力、危険予知予防力や 対応力、収集力の伸長と深く結んでいます。 ◇成長する教職員集団の SKILL を次のようにとらえ、スキルアップに取り組みます。. CONCEPTUAL SKILL:全体を見通す能力、問題を分析し解決する能力、様々な計画を立案する能力、問題を 解決する能力、変化への対応力と創造する能力。. HUMAN SKILL. :決定事項を実行する能力、物事を分析し解決する能力、人々をまとめ生かしあう能力、 組織人として協調する能力、セルフコントロール能力。. TECHNICAL SKILL : 職務上の知識習得、報告・伝達・説得などの表現能力、実践研究推進力、自己啓発チャ レンジ能力、教育公務員としての自覚と責任力。. 4 今後へ向けて(その2). ました。そこで、今後へ向けての考察(その2)とし. 〜学習単元構成・授業創造と教育デザイン〜. て国語科授業研究を通してとらえられてきた内容を、 教育(授業)デザインの観点から整理してみたいと思. 教育デザイン力育成のために、ワークショップ形式. います。個々の単元実践内容報告と検証は、別の機会. で行う「研究科コア科目」の一つとして構想された. を得たいと思います。. 【授業創造科目群(授業単元・教材教具関連)】。この 《授業創造という視点から取り組む教育デザイン》の 内容が、附属横浜小時代から探究してきた「学習単元 構成の原理と方法研究〜教え手も学び手も共に納得の いく授業(学習)創造〜」と深く関連していると考え. 42. 教え手も学び手も共に納得のいく 「学習単元構成の原理と方法」 〜授業デザインの構成要素と学習単元構成要 素との関係(国語科を中心に)〜.
(5) 子どもたち一人一人のことばの力、国語学習力をよ. り、自分の生活を開いていく力として、生きる力と. り確かなものに育てたい。ことばの学習のおもしろさ. して身に付いたかどうか。そういう態度形成に向け. に気づかせたい。言語生活をより豊かなものへと導き. て具体的な支援が本当にできたかどうか。その実際. たい。そのためにはどうすればよいか。. を検証・検討する。併せて次の学習単元に向けて何. ①授業予測・設計の段階、学習の入り口の段階では、. を改善し、生かすべきか、その内容を明確にする。. 学び手一人一人の言語生活実態や既習学力をよくみ. ⑤評価活動は一人一人の学習指導・支援と一体化して. つめ、興味・関心を大切に、学習意欲を高めていけ. 行わなければ意味をなさない。そこで治療的な側面. るように、学習活動を組織し、授業をデザインする。. だけの観点に陥らずに、その子その子のよい現れ着. ②授業実施・学習展開の段階では、個を育てるために. 目し、その子の自信につながるよう最恵的な側面の. こそ集団を生かし、個が埋没しないように学習の場. 観点も大切にする。 「よさ」の生きる評価活動の工夫・. の構成を工夫する。あわせて学習集団としての活力. 改善を積極的に試みていく。併せて、ゴールフリー. を生み出していけるように学習の進行状況を見守. の学習構成や学習展開の可能性を積極的に試み、単. り、フィードバック情報とフィードフォワード情報. 元開発を行う。. を活用して適宜軌道修正を行い、個々の学 習の成. . 立を促せる学習の援助・指導を展開する。. このようにして、学び手にとって納得のいく学習の. ③学習の出口の段階では、学び手一人一人が国語の学. ひとまとまり(=学習単元)をどうすれば創り出し、. 習に成就感や達成感をもてるように、次の国語の学. 発展させていくことができるか。授業実践と授業評価. 習へのチャレンジ心や期待感、課題意識に結ぶよう. 研究の中からとらえられてきたものが次に示す『学習. な自己評価・相互評価を工夫する。. 単元構成の原理と方法』である。 . ④授業の評価・改善に関しては、なにより一人ひとり のことばの学習体験が新しい自分の発見につなが 【国語科単元・学習構成の原理】 1.子どもも教師も共に〔学び手 ⇔ 教え手〕として授業を、学習を、生きる 2.生きる力、生きてはたらく力としての〔学力〕をみつめ、とらえる 3.主体的に学習をつくる子、追究する子をみつめ、確かな学習が成立する過程をとらえる 4.学習を自分自身のものにする意識を育て、一人ひとりの〔学びの統合〕を発展させる 5.教材・学習材の多様化と開発をはかる 6.学習環境・学習条件の創意工夫をはかる 【国語科単元・学習構成の方法】 次に示す6つの要素を丁寧に洗い出し、相互の関連を構造化しながら学習単元のデザインならびに、 実践展開 とその評価・改善を行う。 Plan(予測・設計)⇔ Do(実施・展開)⇔ See & Check(診断・評価)⇔ Improvement(改善)・Action 実際の構成プロセスでは、どこから着手してもよい。相互に連動して行われるものである。 ア.学び手〈子ども〉の実態 . イ.学習のテーマ・学習課題の選択・設定. :一人ひとり見つめて . :〜について. ウ.育成・伸長したい能力のおさえ、学ぶ力・学び方のとらえ. :〜を身につける. エ.教材・学習材の選択・選定と研究・開発 . :〜で. オ.学習活動・学習過程の組織;学習環境・条件の整備 . :〜をして 〜を活用して. カ.評価と指導、評価と学習の一体化 . :指導・支援・評価の具体的展開. 教育デザイン研究 創刊号 43.
(6) 教育デザイン研究会第一回大会に参加して. 子どもも教師も共に納得のいく授業創造(学習単元作り)を目指していくと、『単元の構成要素とその関係構造』 が表(構造図)のように整理されてくる。故藤岡完治(元京都大学)による授業デザインの研究《Aねがい、B目 標(学習テーマ)、C学習者の実態、D教材・学習材の研究(学習対象・活動内容)、E授業方略(学習過程への方 策)、F学習環境や学習条件、の六つの構成要素とその関連構造の研究》に照らして考察を進めたい。(参考文献: 藤岡完治著『授業設計ワークブック』医学書院 1994.7 刊) 〔記号〕 国語科・学習単元構成の要素 . 対応 授業デザインの構成要素. ・子ども(学び手)の実態 〔一人ひとりをみつめて〕. C: 学習者の実態. ア (どんな子どもたちが…、既習力の状態や課題把握…、. ⇔ (学習履歴・学習経験・ 学. イ ・学習テ−マ(課題)の選択・設定 〔〜について〕. ⇔ A:ねがい. ア どういう学習体験が必要か…等をよく吟味して) イ. ウ. 習力の把握). ・育成すべき能力のおさえ・学ぶ力や学び方のとらえ 〔〜を身につける、〜の力を育てる〕. ウ (目標分析をもとに…、治療モデルと最恵モデルの両方. ⇔ B:目標・学習テーマ. を大切に、一人ひとりのよさをとらえて…) ・教材、学習材の選択・開拓 〔〜で、〜を活用して〕. D:教材・学習材 . エ エ (こんな教材・学習材を積極的に活用して…、基礎的基本的内容の ⇔ の研究 習得・探究過程でこそ個別化・個性化を) オ. ・学習活動・学習過程の組織〔〜をして、〜を活用して〕. オ (こんな活動を大切に、こんな学習環境を考えて…、. (学習対象・活動内容) ⇔. E: 教授方略 (学習過程への方策). 説明的文章・文学的文章の特質を考慮して…、 認識・表現を広め・深める言語表現学習を…、 カ カ. (読みたくなる、書きたくなる、話したくなる、聞きた くなる学習状況化を図る…). ⇔. F: 学習環境・ 学習条件. ・評価と指導、評価と学習の一体化 〔〜指導・支援・評価の具体的展開〕 授業デザイン(単元構成)の6つの基本構成要素モデル. 44.
(7) 一人ひとりをみつめて どんなこどもたちが. について. 子ども (学習者)の実態. 学習テ−マ (課題)の選択・設定 ・生活に密着した興味・関心の深い課題 ・探究し、調べたくなる・表現したくなる納得 度の高い課題 ・興味・関心を喚起し、学習意欲を育てると共 に学び方を鍛える課題 ・多様な言語活動を可能にする課題 ・人間形成に役立ち追求する価値ある課題. ・個々の言語能力や言語経験(学習力や 学習経験)の育ちと発達特性について ・言語世界に対する興味・関心や課題意 識の実際(言語感覚の育ち・言語理解力 の育ち・その個の持ち味) ・言語学習体験の吟味(ことばの学習によ る認識力・表現力の広がりや深まり度。 学習経験の経緯やスタイル等). 学習指導・支援・評価 の展開 カ 授業デザイン. 一人ひとりが生き生きと言語活動に取り組み 生きて働くことばの力を育む学習単元の構成. <授業評価・授業改善> ↑↓. ↑↓. 授業実施・授業デザイン <学習単元 <学習単元 の展開> の構成> ・学習活動の活性化 ・学習記録の活用 ・一人ひとりのよさ見つけ 伸ばす学習支援活動 ・納得のいく学び作り 評価・指導・支援の一体化. ●読むこと、書くことを通して情報を正確にとらえ、発 見・探究をもとに情報を創りだしていく説明的文章 を中心とした学習単元の構成と展開 ●一人ひとりの〈読み〉 を大切にした、文学的文 章を 中心とした学習単元の構成と展開 ●書くことを通して認識力・表現力を培う文字言語を 中心とした (作文・書写)学習単元の構成と展開 ●聞くこと・話すことを通して表現力・コミュニケ− ション力を培う音声言語を中心とした学習単元の 構成と展開 ●言語感覚を豊かに磨き、意味理解や言語認識を深 める言語事項 (ことば・コトバ・言葉)を中心とし た学習単元の構成と展開 ※ 新学習指導要領で示された 「伝統的な言語文化 と国語の特質に関する事項 」の単元構成を含む. を身につける. 教材・学習材の 選択・開発&研究 ・教科書教材の積極的活用 ・教材の研究・開発(価値内容の高 いもの、 確かなことばの学習追 究が可能なもの、言 語生活を楽 しく・豊かにするもの) ・児童が作り・選ぶ学習材. をして. の力を育てる 育成すべき能力のおさえ. で エ を活用して. 学ぶ力・ 学び方の育成. ・国語科目標分析を基にして、より確かで 豊かな生きて働くことばの力(言語生活 ・学 び 方 の 学 習 と「 方 の 学 力 」 力) を育成するために の習得 ・言語学習を通して、育て得る言語能力・言 ・支える学習力/ 語技能が何であるかを見きわめて 育 てる 学 習 力 ・言語感覚を豊かなものにするために の伸長 言語理解を確かなものにするために ・わかる/できる/ ・情報収集・処理・活用、情報構成力?情報 つ か える「る」 発信力を高めるために の学力形成. 学習活動の組織 学習環境・条件の整備 ・目的意識や必要感に支えられた言語活動 ・総合的げ多彩な言語活動 ・言語能力を高める (育成する)言語活動 ・価値ある言語活動 ・個別化・個性化への配慮 ・学習が成立する過程の吟味 ・学習メディアの活用や学習場の創意工夫. 教育デザイン研究 創刊号 45.
(8) 教育デザイン研究会第一回大会に参加して. 構成要素. 授業デザインの要素としての具体的内容. この単元(題材)で、教材(学習材)はどんな価値を持っているのだろうか。学習者(学び手 としての子どもたち)にはどのような価値に触れていって欲しいのだろうか…。学習者はこの単 A: ねがい 元(題材)の学習にどのようなねがいを持っているのだろうか…。 ⇔ 教材(学習材)と対決するなかで、学習者にはどのような考え方、感じ方、学習の仕方が育っ 「イ」〜につ てほしいとねがうのか…。学習集団としてこのように取り組んでほしいとねがうのか…。授業者(学 いて 習指導=援助=支援者)は、このような角度から教材と関わり、学習者にはこのように関わって いきたいといったような、大切にしたいものを整理して記述する。授業者の教育観・文化観・学 習者観が交わったところに「ねがい」が存在する。 学習者(学び手としての子どもたち)の何が学習されるのか、学習成果の観点から学習目標(単 元目標)を考え、明確に記述する。ここでいう学習目標は、「漢字の成立ち」といったような教科 B: 目標学習 内容をただ列挙したトピックスでは意味がない。また、「〜を理解させる」「〜を考えさせる」と テーマ いうように、教師の側から書かれた目標の記述だけであっては、教師の意図はわかるが、学習し ⇔ て何が身につくのかはっきりしない。これでも不十分である。 「ウ」〜を身 「学習目標」は、学習の成果の記述でなければならない。 につける 「学習目標」は、授業者としての教師にとっては授業を計画し、実施し、学習の完成度をチェッ クするための基礎としての重要な役割を果たし、学習者である子どもたちにとっては、学習への 動機づけや、学習のフィ−ドバックにとって重要な役割を果たす。また、親にとっては子どもが 何をどこまで学習したかを知るための手がかりとしての役割をもつものである。 C: 学習者の 実態 ⇔ 「ア」 子どもの 実態 一人ひとり の把握. D: 教材・学 習材の研究 ⇔ 「エ」~で 学習対象 活動内容. 一つ一つの単元を通して、どのような学習者の姿を、授業を通してつくりだそうとしていいる のか。授業者のねがいによって、その姿は異なったものとなる。けれども、頭の中でただ観念的 に育ってほしい学習者の姿を描いているだけでは、それはひとりよがりの「ねがい」になってし まう。 なにより大切なことは、目の前の現在の学習者の姿から出発することである。しかも、現在の 学習者の姿と言っても、授業者がどのような「ねがい」や「目標」を持つかに応じて「現在の姿」 そのものが違ってくる。 つまり視点が異なることによってとらえられる「実態」も異なるわけである。そのことを踏ま えて「学び手の実態」をとらえていくことが重要である。特に治療モデルと最恵モデルの両観点 からの記述が重要となる。 教材はそれ自体でははじめから教材としての機能を持ってはいない。(学習材もそれに準ずる性 質をもっている。) いくら「教科書」に載っているからといって即「教材」というわけにはいかない。いずれも、 「素 材」と「教材(学習材)」の関係が未分化なままである。 「教材解釈論」の立場は、教材は教師の個性的な解釈を経てはじめて教材になると考える。授業 の正否を決定するものは、教材そのものというよりは、教師の教材解釈であるとする立場である。 それに対して、もう一つの立場「教材つくり論」は、授業の正否を決定するのは教材の質だと 考える。どんな授業者が使っても一定の効果があげられるような教材の制作・開発こそが、最も 重要な教材研究であると考える。 いずれの立場に立つにせよ、授業の正否を決定するのは教材であることを踏まえて。教材選択・ 選定・研究を進める重要性がある。. 授業(学習&教授)はさまざまな要因の複雑な相互作用からなる過程としてとらえられる。授 業は常に不確定な状況の中で行なわれざるをえない。そうした不確定な授業を前提にして、授業 設計の段階で授業状況に対応する基本方針を立てるというのが学習過程への方策(教授方略)の E: 教授 方略 目的である。 ⇔ 学習過程への方策(教授・学習支援)は、ある授業において授業の目標をどのように分析し、 「オ」〜をし なぜそのような行動をとるのか、何故そのような形で授業を進めるのかといった授業者の授業に て、〜で 対する基本方針である。 学習過程への方策(授業方略)は、教材に関する方策(=教材観)、学習者の特性に対する方策(= 学習者観)、授業過程の構成に関する方策(=指導観)の三観点が必要であり、このバランスが大 切である。 授業は全て教室、校庭、オ−プンスペ−スといった学習空間において、一定の単位時間やその 組合せによって区切られた学習時間のなかで、一人、グル−プ、全体などの様々な学習形態にお F: 学習 いて行なわれる。 環境・条件 また、学習は人的、物的資源に囲まれて行なわれる。学習のためのメッセ−ジはOHP、パソコン、 ⇔ 実物投影機、、プロジェクター・電子黒板・黒板等々のメディアを媒介して子ども達のところにも 「カ」~を通 たらされる。 して、~で 授業の「ねがい」や「意図」は、これらのもろもろの学習環境・条件に具体化された授業のシ ステムとして記述されなければ、具体と結ぶことができない。. 46.
(9) 『授業』とは、藤岡が指摘するように次のような性. いるとうこともある。 −中略−. 格を持つものとだと考える。(図書文化社刊『指導. 観点としての教育技術は、結局どのような授業観を. と評価』1989.Vol35,No.4P10 引用). もつかとつながってくるので、誰にでも使える共通な. (1). 文化の習得とともに新しい文化をつくる力をつけ. ものはでてこない。教師の授業を通しての学習、職能. る。(伝承の部分と創造の部分を持つ相互制約的. 成長の大きな部分となる。」(図書文化社刊『指導と評. 過程である). 価』1989.Vol35,No.4P11 〜 12 引用). (2). 教師、子ども(達)、文化の相互の価値葛藤を通 して、新しい価値を実現していく営みである。 (3). 教師も子どもも共に社会意識を持った主体として 働きかけあうコミュニケ−ション過程である。 (相互解釈的). 以上、現段階で整理できる事柄を報告するにとどま り、考察も十分ではないが、中間報告として受け止め ていただければ幸いである。 肝心なことは、単元学習実践に取り組むことができ. (4). 関係による関係の発展である。教師も子どもも共. た市立子安小 3 年間、附属横浜小 12 年間、市立東小. に授業を生きている。学習の効果は教育技術より. 7年間、市立南吉田小 2 年間、計 24 年間の具体的内. も教育関係に依存している。. 容の検証とその評価にある。. 「教育関係とは、話しの聞き方、感情の受容といっ. 常に教師を超えていく真摯な学び手であった子ども. た狭い意味での人間関係をさすのではい。教師と文化. たち、教師と子どもの「教えあい・学びあい」を温か. との関わり方、子どもと文化の関わり方を含み込む、. く見守りながら臨機応変「学びの輪」に参加してくだ. 人間である教師と人間である子どもの具体的関係をい. さった保護者・地域の方々、惜しみない協力をしてく. う。それは教育技術においてその具体的な表現を与え. れた先輩や同僚、時に筆者や作者、研究者や出版社の. られる。つまり、教育技術は教育関係の表現なのであ. 方々の支援があればこその教育実践(授業デザイン、. る。」. その展開と改善・評価)であった。. 《教育の技術、技術知(ペダゴギーグ)》に関する私. 最後に、「ことばの教育デザイン」で大切にしたい. の基本的認識は、藤岡のとらえと共通する。 藤岡は、. ことを述べておきたい。「ことば」は個々の子どもの. 次のように指摘する。. 生活を通して獲得・形成されていくものであり、「こ. 「授業実施の技術と言うとすぐによい発問、板書の. とば」はその子の代理不可性と深く結びついている。. 仕方、説明と指示の方法といったことが頭に浮かぶ。. 「ことば」は一人ひとりの経験を核として形成される。. 技術をその表れついて観察し分析し記述する態度が. それ故、「ことば」はコミニュケ−ション手段である. “スキル” として授業の技術を意識させたとみてみてよ. と同時に、個性そのものであると言ってもいい。コミ. い。スキルとりわけ要素的スキルと呼ばれるものはこ. ニュケ−ション能力の育成を大切にする「ことばの教. うした文脈とか意図や価値から独立に取りだされたも. 育」は、その子らしさを大切し〈自分のことばをもて. のである。しかし、体験に裏づけられた技術はそれら. る子、主体的なことばを紡げる子、ことばを通して相. 一群のスキルの背後にあって、スキル相互を結びつけ. 手を見つめかかわりを創れる子〉を育てることをなに. ている判断基準をもった実践的な “見方”“ふるまい方”. よりも大切にすることである。. として機能している。それを “観点” と呼ぶことにす. 「ことばの教育デザイン」は、学び手一人ひとりが. る。スキルには体験的裏づけがないけれども、観点に. 納得のいく学習経験をもとに、楽しさをもって「こと. は体験的裏づけがあるといってもいい。つまり “観点”. ば」と出あい、「ことば」を学び、自分の「ことば」. というのは、そうした “人間” と “スキル” を結びつけ. を吟味し形成していけるものでありたい。. るもの、“人間” の具体的表現である。−中略−. 「ことばの学習」を通して自分の世界と他者の世界. スキルとして技術を意識すると「何故そうするのか」. をひらき・むすび、より豊かで確かな世界をつくりあっ. がみえにくくなり、スキル実行の相手、操作の対象と. ていけるものでありたい。. して子どもをみてしまいがちである。またスキル遂行 の背後にある暗黙の価値が本人に意識されないままで. 教育デザイン研究 創刊号 47.
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