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IRUCAA@TDC : 日本人女性における骨代謝マーカー検査とインプラント周囲骨吸収の比較検討

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,

Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

日本人女性における骨代謝マーカー検査とインプラント

周囲骨吸収の比較検討

Author(s)

佐々木, 穂高; 法月, 良江; 真壁, 康; 本間, 慎也; 伊

藤, 太一; 古谷, 義隆; 矢島, 安朝

Journal

歯科学報, 112(2): 129-136

URL

http://hdl.handle.net/10130/2711

Right

(2)

抄録:インプラント治療のリスクファクターとなる

骨粗鬆症は,骨密度のみならず骨質の低下が関与す

ることが知られている。今回,骨質の評価法である

骨代謝マーカー検査のインプラント治療の有用性を

検討するために,インプラント周囲骨の吸収量の比

較・検討を行なった。

対象者は,東京歯科大学千葉病院口腔インプラン

ト科を受診し,骨代謝マーカー検査(骨形成マー

カー;BAP,OC 骨吸収マーカー;NTX,DPD)を

行なった50歳以上の女性とし,骨代謝状態より正常

群,予備群,異常群と群分けをおこなった。骨吸収

量は,埋入後6ヶ月から36ヶ月に撮影したパノラマ

エックス線写真より計測した。

埋入後12ヶ月で異常群が予備群・正常群と比較し

て,有意に骨吸収量が大きかった。また,DPD は埋

入後12ヶ月以降で,骨吸収量と正の相関が見られた。

本研究により,骨代謝マーカー検査(DPD)が日

本人女性における早期のインプラント周囲骨の吸収

を予測・評価する方法として有用であることが示唆

された。

緒 言

インプラント治療は,歯牙欠損に対する補綴治療

法の一つとして広く普及されており,インプラント

体の強度や表面の改善に伴い無歯顎症例から単独歯

欠損症例などの幅広い症例や年齢層に適応されてい

る。近年,日本では超高齢社会を迎えたとともに,

インプラント治療においても患者層の高齢化に伴

い,加齢に伴う骨代謝障害による骨粗鬆症が問題と

なっている。骨粗鬆症患者は,約1000万人以上いる

とされており,その約8割が女性で50歳以上では2

割以上が罹患していると考えられ,今後も人口の高

齢化に伴って増加していくことが 予 測 さ れ て い

1)

。大学病院におけるインプラント患者の年齢層

においても,女性が7割と男性より多く,年代層別

においては閉経を向かえる50歳代が最も多い事が報

告されており

2)

,骨粗鬆症に伴うインプラント治療

のリスクファクターの明確化は,重要な課題である

と考えられる。

骨粗鬆症は,2000年の米国国立公衆衛生研究所

(NIH)のコンセンサス会議において「骨強度の低下

を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格

疾患」と定義され,骨密度(bone mineral density:

BMD)の減少のみならず,骨強度の約3割の説明要

因となる骨質(bone quality)の低下が関与するとさ

れた

3)

。骨質は,マクロ的骨構造,骨梁構造や皮質骨

の多孔化等からなる「構造特性」とミネラル化度,

結晶サイズ,マイクロダメージや骨代謝状況からな

る「材料特性」からなるが

4)

,これらの評価方法の

殆どは骨組織の採取が必要となることから一般臨床

検査として用いることは難しく,その代替として血

液と尿から全身の骨代謝状態を評価できる骨代謝

マーカー検査が,臨床的には非常に有用な方法と考

えられており,骨粗鬆症発症の予測

5,6)

や骨粗鬆症治

療薬の治療効果の評価法

3)

として用いられている。

原 著

日本人女性における骨代謝マーカー検査と

インプラント周囲骨吸収の比較検討

佐々木穂高

1)2)

法月良江

1)2)

真壁 康

1)2)

本間慎也

1)2)

伊藤太一

1)2)

古谷義隆

1)2)

矢島安朝

1)2) キーワード:骨代謝マーカー検査,インプラント,骨吸収 1)東京歯科大学口腔インプラント学講座 2)東京歯科大学口腔科学研究センター口腔インプラント学研 究部門 (2011年11月28日受付) (2012年1月17日受理) 別刷請求先:〒261‐8502 千葉市美浜区真砂1−2−2 東京歯科大学口腔インプラント学講座 佐々木穂高 129 ― 53 ―

(3)

口腔領域においては,全身的な骨粗鬆症が顎骨の

骨密度や歯槽骨高径を減少させること

7,8)

や歯牙の喪

失,歯周疾患に影響することが知られている

9∼12)

また,全身的な骨質の評価方法である骨代謝マー

カー検査が歯周疾患や顎骨状態の評価に有用性があ

ることも報告されている

13,14)

。一方,インプラント

治療においても,インプラント体は顎骨との骨結合

が成立し維持されることで機能することから,骨粗

鬆症がリスクファクターになることが知られてい

15∼17)

。我々は過去の臨床統計において,インプラ

ント治療患者の術前検査での骨代謝マーカー検査に

おいて,高代謝回転型骨粗鬆症に関連する骨吸収

マーカーの上限値逸脱者が約1割に認められたこと

を報告した

2)

。しかしながら,骨代謝マーカー検査

による骨質評価がインプラント治療の経時的変化や

予後にどのように関連するのかは知られていない。

そこで今回,我々は日本人女性の平均的な閉経年

齢が50歳であることや年代層別のインプラント治療

患者の 割 合 が 最 も 多 い の が50歳 代 で あ る こ と か

ら,50歳以上の女性を対象に術前検査で行った骨代

謝マーカー検査結果と経時的なインプラント周囲骨

の吸収との比較を行ない,その関連性を評価するこ

とで,骨代謝マーカー検査によるインプラント治療

のリスクファクター明確化への有用性を検討した。

対象および方法

1.対 象

対象者は,2005年5月から2009年12月までに東京

歯科大学千葉病院口腔インプラント科を受診し,術

前検査における骨代謝マーカー検査と術後のパノラ

マエックス線写真撮影に同意を得られた50歳以上の

女性患者とした。また,骨代謝治療薬の服用既往の

ある患者は対象より除外した。

2.骨代謝マーカー検査

骨形成の活性状態を示す骨形成マーカーには,血

清中の骨型アルカリフォスファターゼ(BAP),オ

ステオカルシン(OC),骨吸収に伴う代謝産物量を

反映する骨吸収マーカーには,尿中のⅠ型コラーゲ

ン架橋 N­テロペプチド(NTX),デオキシピリジノ

リン(DPD)を用いた。骨代謝マーカー検査の項目

と基準値を表1に示す。

3.骨代謝状態による群分け

術前に行った骨代謝マーカー検査結果で,骨形成

マーカー,骨吸収マーカーともに基準値以内を“正

常群”,骨形成マーカーが上限値を逸脱し,かつ骨

吸収マーカーが基準値以内を骨粗鬆症の発症が低リ

スクな“予備群”,骨吸収マーカーが上限値逸脱を

骨粗鬆症の発症が高リスクな“異常群”として群分

けを行なった。各群から臼歯部にインプラントが埋

入された症例の抽出を行ない,骨造成部位への埋

入,抜歯即時埋入,即時負荷,オーバーデンチャー

ならびにカンチレバーでの上部構造補綴,また対合

歯が欠損もしくは可綴性義歯の症例は対象から除外

し,正常群(n=14,平均年齢:59.

4±4),予備群

(n=10,平均年齢:58.

8±4),異 常 群(n=11,

平均年齢:59.

0±7)の合計35名(平均年齢:59.

1±

5)を計測対象者とした。

4.インプラント周囲骨吸収量の計測

エ ッ ク ス 線 写 真 は Veraviewepocs Digital

Pano-ramic(Morita, Kyoto, Japan)を用いて,標準パノラ

マエックス線写真撮影法で行なった(解像度:176

dpi,ピクセルサイズ;144

μm×144μm)。計測対象

者 に 埋 入 さ れ た Internal type bone level implant

(PLATON Japan Co., Ltd., Tokyo,

Japan),Exter-nal type bone level implant(Nobel Biocare AB,

Goteborg, Sweden),Tissue level implant(Insritut

Straumann AG, Waldenburg, Switzerland)の3種

類で,直径は各製造会社が標準径(3.

75∼4.

1mm)

と指定しているものを計測対象インプラント(n=

90)とした。インプラント体頚部もしくは尖端部が

不鮮明(斜埋入症例など)であったり,骨縁下および

表1 骨代謝マーカー検査 骨形成マーカー 基準値 ①血清骨型アルカリフォスファターゼ (BAP) 9.6∼35.4 (U/L) ②血清オステオカルシン (OC) 2.5∼13.0 (ng/ml) 骨吸収マーカー ③尿中Ⅰ型コラーゲン架橋 N­テロペプチド(NTx) 14.3 89.0

(nmol BCE/mmol CRE) ④尿中デオキシピリジノリン

(DPD)

2.8∼7.6

(nmol BCE/mmol CRE) 佐々木,他:骨代謝マーカーとインプラント骨吸収

130

(4)

骨縁上の埋入症例は計測の対象より除外した。イン

プラント周囲骨吸収量はインプラント埋入時を基準

とし,埋入後6ヶ月(n=39),12ヶ月(n=53),24

ヶ月(n=36),36ヶ月(n=48)の対象期間内に撮影

されたパノラマエックス線写真より計測を行なっ

た。各種のインプラント体の計測部位を図1に示

す。インプラント体頚部からインプラント体尖端部

までの距離をエックス線写真におけるインプラント

体長径,インプンラント周囲骨縁部からインプラン

ト体尖端部までの距離をインプラント体骨接触部長

径とした。

計測をしたエックス線写真上のインプラント体長

径とインプラント体の実寸長径との比率より,各期

間における撮影時の拡大率の誤差を修正し,埋入時

から各埋入後期間におけるインプラント体骨内長径

の差をインプラント周囲骨吸収量とした(図2)。

5.統計処理

統計処理は,Microsoft office Excel(Microsoft,

Re-dmond, Wash), Dr. SPSS Ⅱ(SPSS, Tokyo, Japan)

を用いた。骨代謝状態における群分けと埋入期間に

おける 骨 吸 収 量 の 比 較 で は,二 元 分 散 分 析 後 に

Turkey 法により検定を行なった。各埋入期間にお

ける骨代謝マーカーと骨吸収量の相関関係では,有

意な相関関係が認められた項目において,インプラ

ント周囲骨吸収量を従属変数,該当した骨代謝マー

カー検査,インプラント体長径,埋入した顎骨,ア

バットメント連結機構を独立変数として多重線形回

図1 各種インプラントの計測部位 a:インプラント体頚部,b:インプラント周囲骨 縁部,c:インプラント尖端部 a→c:①インプラント長径 b→c:②インプラント体骨接触部長径 図2 インプラント周囲骨吸収量の算出方法 インプラント実寸長径より撮影時の誤差を修正し, 埋入時から埋入後のインプラント体骨内長径の差をイ ンプラント周囲骨吸収量とした 図3 骨代謝状態による各群のインプラン体長径,埋入顎骨,アバットメント連結機構の内訳 歯科学報 Vol.112,No.2(2012) 131 ― 55 ―

(5)

帰分析を行なった。

結 果

1.骨代謝状態により群分けされた各群におけるイ

ンプラント体の特徴の内訳

骨代謝状態により群分けされた各群毎の,インプ

ラント体長径の平均値,埋入した顎骨の違い,ア

バットメント連結機構の違いの内訳を図3に示す。

対象となったインプラント体長径は最短で6mm,

最長12mm で全体の平均は9.

26mm であった。イン

プラントを埋入した顎骨は全体で下顎が90%,上顎

は10%,各種アバットメント連結機構の全体におけ

る割合は,Internal type bone level implantが7.

4%,

External type bone level implant が22.

2% ,Tissue

level implant が70.

4%であった。

2.骨代謝状態により群分けされた群と埋入期間に

おける骨吸収量との比較

インプラント周囲骨の吸収量は,正常群,予備

群,異常群いずれも期間とともに増加していく傾向

が見られた。“骨代謝状態により群分けされた各

群”と“埋入期間”との二元分散分析において交互

作用は認められなかった。各期間における骨代謝状

態の比較では,埋入後12ヶ月では正常群(0.

47mm),

予備群(0.

51mm)と比較して,異常群(0.

91mm)は

有意に骨吸収量が多く見られた(p<0.

05)

(図4)。

図4 骨代謝状態における群分けと埋入期間における骨吸 収量の比較 図5 埋入期間における骨代謝マーカーと骨吸収量の相関関係 佐々木,他:骨代謝マーカーとインプラント骨吸収 132 ― 56 ―

(6)

3.異なる埋入期間ごとの骨代謝マーカーと骨吸収

量の相関関係

骨吸収マーカーである DPD 量は埋入後12ヶ月,

24ヶ月および36ヶ月の骨吸収量と正の相関関係(r

=0.

32∼0.

41)が 認 め ら れ た。ま た,骨 形 成 マ ー

カーである BAP の値は埋入後36ヶ月で骨吸収量と

弱 い 正 の 相 関 関 係(r=0.

26)が 見 ら れ た。OC,

NTX の値と骨吸収量との間に相関関係は認められ

なかった(図5)。

これらの結果より埋入後12ヶ月における骨吸収量

を従属変数とし,正の相関関係が認められた

DP-D,インプラント体長径,埋入した顎骨の違い,ア

バットメント連結機構の違いを独立変数をとして多

重線形回帰分析を行なった。その結果,DPD はイ

ンプラント体長径に次いで大きい標準回帰係数を示

した(表2)。

考 察

近年,インプラント治療患者層の高齢化により,

加齢に伴う骨代謝障害によって生じる骨粗鬆症によ

るリスクファクターの明確化が重要な課題となって

いる。骨粗鬆症による骨強度の低下は,骨密度のみ

ならず骨質が関与することが知られており,臨床的

には血液・尿検査より評価が行える骨代謝マーカー

検査が用いられている

3)

。骨粗鬆症における顎骨の

骨密度とインプラント治療との関連についてはいく

つかの報告があるが

15∼17)

,骨質のインプラント治療

への影響については報告が少なく,特に骨質とイン

プラント周囲骨の吸収との関連について報告はなさ

れていない。そこで本研究では50歳以上の女性を対

象とし,術前におこなった骨代謝マーカー検査結果

と経時的なインプラント周囲骨の骨吸収量との比較

を行ない,骨代謝マーカー検査の有用性を検討し

た。

閉経によるエストロゲン欠乏によって生じる高代

謝回転型骨粗鬆は,骨吸収マーカーのみならず,骨

形成マーカーが上昇することが知られている

18)

。本

研究では,骨代謝マーカー検査で基準値の逸脱が認

められた群より,骨形成マーカーのみが上限値逸脱

したものを骨粗鬆症の発症が低リスクである予備

群,骨吸収マーカーが上限値逸脱したものを骨粗鬆

症発症が高リスクである異常群として分類し

3)

,異

常値が認められなかった正常群とともに,埋入直後

を基準として各期間においてインプラント周囲骨吸

収量との比較を行った。インプラント周囲骨吸収量

は埋入後12ヶ月で正常群(0.

47mm),予備群(0.

51

mm)と比較して異常群(0.

91mm)と有意に大きい吸

収を示した。また,埋入後36ヶ月では,正常群のイ

ンプラント周囲骨吸収量が0.

52mm であったのに対

して異常群は1.

18mm であり,経時的に吸収量が大

きくなる傾向にあった。過去において,3年経過以

上のインプラント周囲骨の吸収量については様々な

報告がなされているが

19∼21)

,本研究において全体の

82%を 占 め る External type bone level implant と

Tissue level implant と同製品のインプラントを対

象とした5年経過における周囲骨の変化におけるメ

タ分析結果では,インプラント周囲骨吸収量は

Ex-ternal type bone level implant では−0.

75mm,

Tissue level implant では−0.

48mm で あ っ た と 報

告されている

22)

。本研究での埋入後36ヶ月における

正常群(0.

52mm),予備群(0.

74mm)はこれらの結

果と近似した値を示した一方で,異常群はすでに3

表2 多重線形回帰分析 従属変数:埋入後12ヶ月のインプラント周囲骨吸収量 独立変数:DPD,インプラント体長径,埋入した顎骨,アバットメント連結機構 独立変数 標準回帰係数 有意確率 共線性の統計量 許容度 VIF DPD 0.31 0.02 0.93 1.07 インプラント長径 0.38 0.01 0.74 1.34 埋入した顎骨 0.05 0.73 0.81 1.23 アバットメント連結機構 −0.18 0.23 0.94 1.06 分散分析:p<0.05 重相関係数:R=0.49 歯科学報 Vol.112,No.2(2012) 133 ― 57 ―

(7)

年経過の段階でより大きな骨吸収量を示していた。

また他の研究では,インプラント周囲骨の吸収の標

準は,機能開始1年までが1mm 以内で,それ以降

は年間で0.

2mm と報告されているが

23∼25)

,本研究

においては,埋入後12ヶ月から24ヶ月では全ての群

において骨吸収量は0.

2mm 以下であったのに対し

て,埋入後24ヶ月から36ヶ月では予備群(24ヶ月:

0.

53mm,

36ヶ月:0.

74mm),異常群(24ヶ月:0.

85

mm,36ヶ月:1.

18mm)ともに0.

2mm 以上の吸収

が認められた。よって,骨代謝マーカー検査で異常

を示した群は,24ヶ月以降で成功基準よりも多い骨

吸収量が見られることから,長期的な予後が不良と

なる可能性が示唆された。

インプラント体埋入後の各期間における骨代謝

マーカー検査結果とインプラント周囲骨吸収量との

相関分析の結果では,埋入後12ヶ月以降で DPD に

正の相関(r=0.

32∼0.

41)が認められた。また,埋

入後12ヶ月におけるインプラント周囲骨吸収量を従

属変数とし,DPD と交絡因子となり得るインプラ

ント体長径,埋入した顎骨,アバットメント連結機

構を独立変数をとして多重線形回帰分析を行なった

結果,標準回帰係数はインプラント体長径に次いで

DPD が大きい値を示した。骨代謝マーカーは椎骨

や大腿骨などの全身状態だけでなく,口腔領域にお

いても骨吸収を伴う歯周疾患に関与することが報告

されている

13,14)

。また,骨粗鬆症との関連が知られ

ている下顎骨下縁皮質骨の幅径や吸収状態において

は,骨吸収マーカーである NTX や骨形成マーカー

である BAP,OC,Ⅰ型プロコラーゲン C 末端プロ

ペプチド(PICP)が有意に相関することが知られて

いる

14,26∼28)

。本研究において,埋入後12ヶ月以降の

インプラント周囲骨の吸収と相関関係が認められた

デオキシピリジノリン(DPD)は,骨組織に特異的

なコラーゲンのヒドロキシピリジニウム架橋アミノ

酸で,成熟コラーゲンのみに存在することから新規

に合成された骨組織の吸収には関与せず,食事の影

響もないことから有用な骨吸収マーカーとして用い

られており,整形外科領域においては保険適応がな

されている

3)

。過去の研究において DPD は,日本

人女性の閉経後における顎骨の骨密度低下と歯周疾

患の関連性において,アタッチメントレベルの変化

を予測するのに有効であったと報告されている

13)

一方,インプラントに関する研究では,骨形成マー

カーである OC,骨吸収マーカーである DPD やピ

リジノリン(PYD)はインプラント失敗の予測因子

とはならないという報告がある

29)

。しかし,この研

究における対象者は,18∼56歳で閉経後の女性に限

定されておらず,喫煙者が16%,上部構造がオー

バーデンチャーの症例が53%であり,本研究と比較

して骨代謝マーカー以外のインプラント脱落となる

交絡因子が多く含まれている。また,対象期間は2

年間と短期間であり,評価方法はインプラント生存

率のみであった。本研究においても埋入後36ヶ月ま

での対象期間内においても,インプラント脱落症例

は認められなかったことから,骨代謝マーカー検査

とインプラント生存率の相関性を検討するために

は,より長期的な評価していく必要があると考えら

れる。

結 論

術前検査による骨代謝マーカー検査で骨吸収マー

カーである DPD は,日本人女性におけるインプラ

ント周囲骨の経時的な吸収を予測・評価法として有

用であること考えられる。

本論文の要旨は,第41回日本口腔インプラント学会学術大 会(2011年9月16∼18日,名古屋市)において発表した。 文 献 1)折茂 肇:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版 第1版(骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会). 2∼6,ライフサイエンス出版,東京,2006. 2)矢島安朝,佐々木穂高,法月良江,猿田浩規,本間慎 也,古谷義隆,伊藤太一,鈴木憲久:インプラント治療に おけるリスクファクターの明確化 骨代謝マーカー検査に よるスクリーニング(パイロットスタディ).日本口腔イン プラント学会誌23巻2号:248∼253,2010.

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歯科学報 Vol.112,No.2(2012) 135

(9)

Comparison of Biochemical Markers of Bone Metabolism

and Peri-implant Crestal Bone Loss in Japanese Women

Hodaka S

ASAKI1)2)

,Yoshie N

ORIZUKI1)2)

,Yasushi M

AKABE1)2)

Yoshitaka F

URUYA1)2)

,Shinya H

OMMA1)2)

,Taichi I

TO1)2)

Yasutomo Y

AJIMA1)2)

1)Department of Oral and Maxillofacial Implantology, Tokyo Dental College 2)Division of Oral Implants Research, Oral Health Science Center, Tokyo Dental

College

Key words : Biochemical markers of bone metabolism, dental implant, Bone loss

Osteoporosis is characterized by a decrease in bone mineral density and a reduction in bone quality and is known as a risk factor in implant treatment. The aim of this study was to determine biochemical markers for prediction of peri-implant crestal bone loss.

Samples were selected from female patients over 50 years old visiting the Department of Oral and Maxillofacial Implantology,Tokyo Dental College Chiba hospital. These patients were categorized into 3 groups : a high risk for osteoporosis group(HRG),a low risk group(LRG)and a normal group(NG). Four biochemical markers of bone turnover were used in this study : bone-specific alkaline phosphatase and osteocalcin,as bone resorption markers ; and urinary type I collagen N-telopeptide and urinary deoxypyri-noline(DPD). Peri-implant crestal bone loss was measured using panorama radiographies taken at 6,12,24 and 36 months after dental implant insertion.

Marginal bone loss at 12 months in HRG(0.91mm)was higher than that in LRG(0.51mm)or NG(0.41 mm)(p<0.05). A positive correlation was recognized between DPD and crestal bone loss at 12 months after implant insertion.

These results indicate that DPD is a useful marker for early-stage prediction of crestal bone loss in postmenopausal women. (The Shikwa Gakuho,112:129∼136,2012)

佐々木,他:骨代謝マーカーとインプラント骨吸収 136

参照

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