Kobe Shoin Women’s University Repository
Title
現代住居の地域特性
―住空間の史的展開過程に関する研究(その7)―
Regional Characteristics of the Present Dwellings
Author(s)
島村 昇(Noboru Shimamura)
Citation
生活科学論叢(Review of Living Science)
,
No.24:85-113
Issue Date
1993
Resource Type
Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
URL
Right
現代住居 の地域特性
住空間の史的展開過程 に関する研究(そ の7)
島
村
昇
目
1,現 代 住 居 の地 域 性 1.1地 域 の 歴 史性 1.2地 域 の 風 土性 1.3地 域 住 居 の 意 味 1.4地 域 佳 屠 史の 要 請 2.地 域 住 居 の 現 状 翌.1地 域 住 居 の 残 存 性 2,2住 空 間 規 模 の 地 城 差 2.3住 空 間 規 模 の 決 定 因 2.4決 定 因 の 影 響 力 2.5民 家 型 の 風 土 性 2.6住 空 間 規摸 の 理 論 的 分 布次
3.士 也圭乾住 居 と都 市 イヒ 3.1都 市 化 の 度 合 3.2住 空 間 規 模 と都 市 化 3.3専 用 住 居 の 風 土 性 且.4住 空 間 規模 と風 土 性 の 相 関 諺.5住 空 間 の 麸 本 構 成 部 分 3.6基 本 構 成 部 分 の 地 域 差1.現 代 住 居 の 地 域 性 筆 者 は 昭 和46年(1971)か ら同60年(1985)ま で 満15年 間 、金 沢 工 業 大 学 ・建 築 学 科 に在 籍 し、 た また ま 当地 の種 々 の 住 居 種 につ い て 見 聞 す る機 会 を え た。金 沢 とい え ば 藩 政 期 最 大 の 藩 と して 加 賀 百 万 石 の名 で 識 られ る北 陸 の 中核 都 市 で あ る 。幸 い 第2次 大 戦 の 戦 火 を ま ぬ が れ 、市 中 に は 伝 統 的 住 居 も数 多 くみ られ た 。 しか し、 戦 後 の新 しい 波 は 北 陸 の 地 ・金 沢 に も押 し寄 せ 、 市 中 の 住 居 革 新 も よ うや く激 し さ を増 しつ つ あ っ た。 昭 和48年(1973)の 住 宅 統 計 調 査 報 告 を み る と、 金 沢 市 の 戦 後 建 設 に か か わ る住 宅 数 は 戦 前 の住 宅 数 を上 まわ り、逆 転 して い る。昭 和45年(1970) 頃 が 新 旧交 替 の 時期 に 当 た っ て い た 。 新 旧交 替 とは 、一 方 に伝 統 的 住 居 が 残 存 しか な りの ス トッ クが あ る反 面 、他 方 で は新 し い住 居 の 供 給 が あ りフ ロー の 方 も活 発 化 して い る とい う状 況 で あ る、 しか し、筆 者 は この 新 旧 の 間 に何 か 断絶 して い る もの が あ る よ う に感 じて い た 。 その ひ とつ と して 、大 都 市 型 の 住 宅 供 給 が あ る。 戦 後 の住 宅 供 給 は大 都 市 中心 の もの で あ った 。 しか もそ の 大 都 市 は す べ て 表 日本 に あ る。表 日本 の 大 都 市 型 住 居 と対 象 地 域 の よ う な裏 日本 の 地 方 都 市 型 住 居 が 同 一 の もの で あ っ て よ い の か と い う疑 問 もあ っ た 。 1.1地 域 の 歴 史性 金 沢 城 下 町 は 、 前 田利 家 の 金 沢城 入 城(天 正11年 ・1583)以 降 、 急 速 に 近 世 都 市 と して整 備 さ れ 、 城 郭 を中 心 と した水 路 、 街 路 ・屋 敷 ・商 職 人住 居 ・寺 院 の集 約 的 配 置 等 の都 市 建 設 が遂 行 さ れ る。 した が って 、 歴 史 的 に み る と金 沢 城 下 町 は 、近 世 ・近 代 ・現 代 の3代 に わ た る都 市 で あ る。 本 論 の 対 象 とす る住 居 部 面 で は 、 武 家 住 居 ・商 職 人住 居(町 家)が 主 た る対 象 と な っ て くる。 い わ ば わ が 国 の 近 世 都 市 住 居 の 各種 に わ た る伝 統 が み られ る わ け で あ る 。 近 世 に は 大 藩 の 城 下 町 で あ り、近 代 以 降 は6大 都 市 の よ うに 急 激 に変 化 を閲 せ ず 、な お か つ 第 2次 大 戦 の 戦 火 を まぬ が れ た と い う歴 史 的 条 件 は そ うざ らに は な い。全 国 的 に み て も稀 有 の存 在 とい え よ う。都 市 住 居 は その 都 市 の 歴 史性 に 大 き く規 定 さ れ る。そ の 意 味 で 当 時 の 全 国 諸 都 市 の 来 歴 をみ た の が 表0-1で あ る。人 工10万 人 以 上 と都 市 につ い て み る と、城 下 町 起 源 の 都 市 が も っ と も多 いが 、 当 時 の 金 沢 の 人 工 は35万 人 で 上位 に位 置 して い る。 こ の よ うな近 世 都 市 と して の 金 沢 城 下 町 か ら 目 を外 へ 転 じ る と、ま わ りに は広 大 な加 賀平 野 が 拡 が って い る。そ こ に は 多 くの 農林 集 落 が 散 在 し、こ れ また伝 統 的 な農 村 住 居 が 数 多 くみ られ る 。 ま た 、 平 野 部 の街 道(旧 北 国 街 道)沿 い に は 旧在 郷 町(現 野 々市 町)や 旧宿 場 町(現 松 任 市)起 源 の 町 並 み が現 存 す る し、 山麓 に は 旧 門 前 町(現 鶴 来 町)が あ り、 海 浜 部 に は 漁 村 集 落 が あ る。 さ らに 、海 上 に は離 島 が あ り、 そ こ に は 漁 村 住 居 が あ る。 反 対 に 山 の 方 で は 山 腹 に 山村 住 居 が 点 在 す る。
表0-1成 立 基 盤 に よ る人 ロ階 級 別 都 市 数(1970年) 都市 階 級 人 口 階 級 都市 数 人ロシェアー (対全国%) 在 来 都 市 新 興 都 市 A B C D E G H 計 1 K L M N 0 P 計 1過大都市 II大 都 市 III中都 市 100万 以 上 50万 以上 40万 台 30万 台 20万 台 10万 台
;}正
7、 14 ・135 41 73ノ鴛:1}鈎・5
3.0、 4.6 ・27 .1 9.5 10.0' 4 4 5 7 15 29 一 1 1 1 4 3 一 一 一 8 5 一 一 一 1 1 一 一 一 一 一 2 2 一 一 一 1 -2 1 一 一 2 5 5 6 10 30 43 一 1 -1 -8 2 -一 一 1 2 一 一 一 1 3 1 1 -1 -1 一 一 1 -2 6 17 一 一 一 一 一 1 一 一 1一 一 一 1 3 2 1 4 11 30 小 計 150 51.6 64 10 13 2 4 3 3 99 10 5 5 3 26 1 1 51 IV小 都 市 V過 小都市 5万 以 上 5万 未 満lll}輔
号:}2・あ
合 計 579 72.1 資 料)都 市 の 成 立 基 盤(A.B.C…)は 、 山 口 恵 一 郎 「形 成 次 第 に よ る 日本 の 都 市 分 類 」(『都 市 問 題 』43 巻1号)を 参 考 に して 作 成 。 注)1. 在 来 都 市 新 興 都 市 り 自 り 0 A.城 下 町 ま た は 城 下 町 的 形 態 や 性 格 を も っ て 発 達 した 都 市(東 京 、 大 阪 、 名 古 屋 な ど) B.港 町 と し て 発 達 した 都 市(堺 、 長 崎 、 新 潟 、 函 館 、 清 水 、 四 日市 、 下 関 な ど) C.宿 場 町 か ら発 達 し た 都 市(郡 山 、 浦 和 、 大 宮 、 藤 沢 、 枚 方 、 加 古 川 な ど) D.市 場 町 を主 体 と して 発 達 した 都 市(船 橋 、 一 宮) E,門 前 町 、鳥 居 前 町 、寺 内 町 な ど宗 教 的 要 素 に よ り発 達 した 都 市 、お よ び 行 楽 的 色 彩 を も っ て 発 達 し た都 市(長 野 、 奈 良 、 鎌 倉 、 伊 勢) F.城 下 町 を 除 く各 種 機 能 の 複 合 型 と して 発 達 した 都 市(上 表 で は 該 当 な し) G.と くに 生 産 的 機 能 に よ っ て 特 徴 づ け られ る都 市(西 宮 、 桐 生 、 宇 治) H.Aか らGに い た る まで の 機 能 を もつ 町 が 数 個 合 併 し て 市 制 を し い た 都 市(鈴 鹿) 1.工 業 都 市 と し て 発 達 した 都 市(川 崎 、 い わ き、 室 蘭 、 日立 、 富 士 、 豊 田 な ど) J.鉱 業 都 市 と して 発 達 した 都 市(上 記 で は 該 当 な し) K.交 通 都 市 と し て 発 達 した 都 市(横 浜 、 神 戸 、 青 森 、 釧 路 、 小 樽) L.軍 事 目的 の た め に発 達 し た都 市(横 須 賀 、 旭 川 、 呉 、 佐 世 保 、 立 川) M.地 方 行 政 の 中 心 と して 発 達 し た都 市(札 幌 、 千 葉 、 宮 崎) N.大 都 市 の 衛 生 都 市 と くに 住 宅 都 市 と し て 発 達 した都 市(東 大 阪 、 豊 中 、 川 口、 町 田 な ど) 0.温 泉 観 光 地 と して 発 達 し た都 市(別 府) P.農 業 地 域 の 中 心 と して 発 達 した都 市(帯 広) Q.新 興 の 要 素 に よ っ て 合 併 の 機 運 が 醸 成 さ れ て 成 立 し た都 市(上 表 で は 該 当 な し) 都 市 は 昭 和45年10月1日 現 在 市 制 施 行 都 市 。 人 口 は 国 勢 調 査(昭 和45年)に よ る 。こ の よ うな地 域 的 ひ ろが りの 中 で み る と、わ が 国 の住 居 史 を考 え る場 合 に必 要 な 各 種 の 住 居 種 が ほ ぼ 出 揃 っ て い る。 も ち ろ ん 、こ の よ う な こ とは金 沢 だ け で な く全 国 的 に い え る こ とで あ り、 今 日の 地 域(都 府 県 レベ ル)の 多 くは 海 か ら平 野 部 、 そ して 山 間部 に至 る空 間構 成 を も ち、 海 の 方 か ら い く と漁村 住 居 ・農 村 住 居 ・都 市 住 居 ・山村 住 居 の 各 種 が 存 在 す る。 した が っ て 、 一 定 の 地 域 的 な ひ ろ が りの 中で み る と、 お そ ら く全 住 居 種 を総 覧 す る こ とが 可 能 とな る。 そ して 、そ れ らの 多様 な住 居 種 は それ ぞ れ の 歴 史 的 な 背 景 を も ち、ま た そ れ ぞれ の 立 地 す る地 域 の 風 土 性 を と どめ て い よ う。 1.2地 域 の 風 土 性 前 項 の よ うな 歴 史 的 背 景 を もつ 対 象 地 域 で は あ るが 、一 方 そ の風 土 性 は い わ ゆ る北 陸 的 気候 の 下 に あ る。 北 陸 的 気 候 の 特 色 は 多雨 多 雪 で あ る。晩 秋 か ら翌 年 の初 春 ま で の4∼5ヶ 月 間 は 曇 天 が 多 く、 降 雨 ・降 霰 ・降 雪 が 断 続 す る。 ま た 、 冬 季 に湿 度 の 高 い の も北 陸 的 気 候 の 特 色 で あ る。 冬 季 に 晴 天 が 多 く乾 燥 す る表 日本 の 気 候 とは 正 反 対 の裏 日本 的 気 候 条 件 を もっ て い る。 こ う した 風 土 性 を もつ 対 象 地 域 の 特 色 を よ り鮮 明 に と らえ るた め に 、全 国 的 な 視 野 で これ を み て お きた い 。 図0-1に 示 して い る よ うに 、 日本 列 島 は10気 候 区 に分 け られ て い る 。1.南 方 気 候 区 、2.南 海 気 候 区 、3.瀬 戸 内 気 候 区 、4.山 陰 気 候 区、5.東 海 気候 区 、6.内 陸 気 候 区 、7.北 陸 気 候 区 、8.東 北 気 候 区 、9.北 方 気 候 区 、10.北 海 気候 区 が そ れ で あ る。 北 東 か ら南 西 に か け て約2000kmの 長 さ に及 ぶ 孤 状 列 島 をな す わ が 国 は 、北 と南 で 大 き な気 候 的 差 異 を もつ 。か りに年 平 均 気 温 ひ とつ を と って み て も その 差 は あ き らか で あ る 。南 方 気 候 区 に 属 す る 那 覇 の 年 平 均 気 温 は22.3℃ で あ るの に対 して 、 北 方 気 候 区 に属 す る帯 広 で は わ ず か に5.9℃ で あ る。 南 方 の 亜 熱 帯 的気 候 か ら北 方 の 亜 寒 帯 的 気 候 まで 幅 広 い気 候 条 件 を も っ て い る。 い まひ とつ は列 島の 中 央部 を走 る背 梁 山脈 で あ る。この 背 梁 山脈 に よ って 列 島 は 太 平 洋 側 の い わ ゆ る表 日本 と 日本 海 側 の裏 日本 に わ か れ る。表 日本 と裏 日本 の 気 候 的 差 異 は 、な っ とい っ て も 雪 の 問 題 で あ る。冬 季 、 日本 海 をわ た る 北西 の 季 節 風 は 日本 海 の 水 分 を充 分 に含 ん で裏 日本 に上 陸 し、背 梁 山 脈 に あ っ た 上 昇 す る。上 空 の 寒 気 に よ って 水 分 は 雪 とな って 降 りは じめ る。 し たが っ て 、 降 雪 ・積 雪 の 多 い の は裏 日本 の 北 陸 地 方 や 山 陰 地 方 で あ る。 この よ うに 、 日本 海 側 の裏 日本 はベ ル ト状 の 多雪 地 帯 を形 成 して い る が 、 これ を横 断 的 に海 岸 部 か ら山 間部 に わ た って 降 雪 ・積 雪 の 状 況 を み る と、 そ の 間 に もか な りの 差 が あ る 。新 潟 県 方 面 に は 「一 里 一 尺 」 な る俗 諺 が あ る。 こ れ は 山 の 方 へ1里 行 く と、 積 雪 深 さが1尺 増 す とい うこ と で あ る。 生 活 体 験 か ら生 ま れ た 言 葉 は 的 を射 て い る。対 象 地 域 に お い て も、海 岸 部 か ら平 野 部 、 そ して 山 間 部 に か け て 降 雪 ・積 雪 量 は 確 実 に 増 加 す る。 秋 期 の 曇 天 ・雨 天 、 と りわ け 冬 季 の寒 冷 多雪 は 当該 地 域 の 住 居 に少 な か らず 影 響 を与 えた 。い わ ば 越 冬 の た め の住 空 間 創 出 が 大 きな 課 題 で あ っ た 。 従 来 の 民 家 研 究 に お い て 、 その よ う な住 空 間 を ヒ ロ マ 型 と して い る。
図0-1地 域 の 風 土 性(気 候 区 比 較) 要 摘 雪 雨 雪 性暖燥少少 多 雪 帯温乾季季雨季少 熱 中季冬冬少冬季 雪 亜年 冬、、、、冬少 、、、雨雨大湿、、 雪 湿湿 雨少少差多雨雨多 多 多少、、の、少少、 温温暖暑暑暑暑冷冷冷 高高温寒寒寒寒寒寒寒 以 上 の 日 数 ーF風速10m/S日 年平均最大 ー 1 3 7 3 5 2 0 0 5 332376464231
E
課
羅
譜
諮
一 一 一 〇 一 ■ 5 0 0 18 D 年 平 均 湿 度 oのIII 78 76 73 75 72 70 77 75 76 74c
和
照
平
時
網
1 4 0 2 0 9 6 8 2 469520625550,1,1,31'2,8,9,ユ9,2221221121 B 年 平 均 降 水 量 回 潤 細 脚 脚 脚 駕 鰯 脚 卿 姐221111211, A 年 平 均 気 温 ㈲ 3 謁 2 6 9 3 コ ﹂ の '8 捻1615141412131057 地 表 代 覇 知 阪 取 屋 橋 潟 岡 広 幌占渦
癒
鈷
揃
噺
盛
鴉 島 田 ⊥ 脚 本 沢 台 那鹿広浜東松金仙 帯 札 区 候 気 区 区 区 区 区 区 区 区 区 区謙
藤
欝
縢
灘
南 南 瀬 山 東 内 北 東 北 北12345678901 資料)『 理 科 年 表 』 他 注)1.A∼Fの 数 値 は 代 表 地 の 平 均 値 、 一 は 事 象 の 皆 無 を 示 す 。 2.ク リモ グ ラ フ は 各 頂 点 を最 高 値 、 中心 を0と して 図 示 。Rights were not granted to include this image in
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1.3地 域 住 居 の 意 味 以 上 の よ う な歴 史性 ・風 土 性 を もつ 対 象 地 域 の 住 居 が どの よ うな発 展 過 程 をへ て 今 日に 至 っ た か を明 らか にす る の が 本 論 の 主 た る 目的 で あ る が 、 こ の歴 史性 ・風 土 性 とは 、 簡 単 に い え ば 地 域 性 な い し地域 の 固有 性 とい うこ とに他 な らな い 。こ の よ うな地 域 的 固 有 性 が 、い か に住 居 に 反 映 され 実 体 化 され て い るか を究 明 す る こ とは 、わ れ わ れ建 築 計 画 学 の 分 野 に い る もの に とっ て 、す くなか らず 重 要 な テ ー マ で あ ろ う。 ま た、 そ う した研 究 の 必 要 性 は 、現 在 社 会 的 に も要 求 され て い る とお も え る の で あ る。 周 知 の よ う に、 戦 後 に お け るわ が 国 の全 国 的 な都 市 化 傾 向 は各 地 域 の 生 活 様 式 の 画 一化 ・平 準 化 を お しす す め 、す くな くと も戦 前 ま で は 色 濃 く継 承 され て い た 地 域 の 固 有 性 を急 速 に 消 失 させ つ つ あ る。 地 域 の 固 有 性 とは 、 結 局 、 当該 地域 の 風 土(自 然 基 底)に 立 脚 す る歴 史 的所 産 で あ ろ う。 地 域 の 風 土 に根 ざ した 歴 史 的 蓄 積 は 、現 代 に お いて も発 展 的 に継 承 さ れ ね ば な らな い。画 一 的 な生 活様 式 が支 配 的 に な ろ う とす る現 代 に お い て 、 と くに地 域 の歴 史 性 、風 土 性 に っ い て の 認 識 が 要 求 さ れ、 また それ との 断 絶 に起 因 す る問 題 が 顕 在 化 す るで あ ろ う。 こ う した 社 会 的 趨 勢 に大 して 、 近 年 「地 方 の 時 代 」 あ る い は 「地 域 の 復 権 」が 大 き く問 題 化 さ れ 、 また 今 日に お い て は 「村 お こ し」運 動 が 全 国 各 地 に展 開 され よ う と して い る。 一 方 、 国 の 方 で もた と え ばHOPE計 画(HousingwithProperEnvironment)な る も の を全 国各 地 域 で 推 進 し よ う と して い る 。 この 場 合 のEnviro㎜entに は 、 い う まで も な く当 該 地 域 の 歴 史 性 ・風 土 性 が 大 きな ウエ イ トを 占め る。従 来 の 伝 統 的建 造 物 群 保 存 に加 え て 、新 しい 開発 事 業 に も過 去 の遺 産 を有 効 に活 用 しな けれ ば な ら な い 。 本 論 は こ う した 社 会 的 要 請 を 背景 と して 、 地 域 の 歴 史性 ・風 土 性 を きわ め てつ よ く反 映 して き た住 空 間 の 成 立 過 程 な い し現 状 を究 明 しよ う とす る もの で あ る。従 来 、住 空 間 の 地 域 的 特 性 に関 して は 、建 築 史 学 の 中 の 民 家研 究 に一 定 の 成 果 が あ るが 、 そ れ は 主 と して 農 家 を研 究 対 象 と し、 地 域 にお け る 各 種 の 住 居 種 を統 一 的 に歴 史 的 ・風 土 的 所 産 と して 建 築 計 画 学 の視 点 か ら追 求 し た もの で は な か った 。 こ う した状 況 をふ ま えて 、本 論 は 地 域 を 限定 し、 こ こ に生 成 す る住 空 間の 史 的 展 開 過 程 を各 種 の住 居 種 に わ た っ て追 究 し、 そ こ に顕 現 す る住 空 間 の 歴 史 性 ・風 土 性 を一 個 の 計 画 原 理 と して 抽 出 す る と同 時 に、現 代 お よ び今 後 の 住 宅 計 画 さ らに は住 環 境 計 画 に 反 映 させ よ とい う実 践 的 意 図 を も もっ て い る。 1.4地 域 住 居 史 の 要 請 い ま ま で の 住 居 史 は 、 時代 的 に は 原始 時 代 か ら古 代 ・中 世 ・近 世 ・近 代 ・現 代 と流 れ て くるが 、 地域 的 に み る と必 ず し も一 定 し な い 。各 時 代 の代 表 的地 域 が 選 択 さ れ る の で 空 間的 に み る と全 国 各 地 に ま た が る。 しか し、全 国 の各 地域 は歴 史 的 ・風 土 的 に それ ぞ れ の 固有 性 を も っ て い るの で 、
い きお い そ れ らを捨 象 し た住 居 史 に な らざ る を え な い。 したが って 、本来 な ら全 国各地域 の住 居 史 が あ る程 度 確 立 した 時 点 で 、それ ら を総 合 し たか た ち で わ が 国 の住 居 史 は 考 え られ ね ば な ら な い で あ ろ う。 現 段 階 で は ま だ そ こ まで 行 っ て い な い。 資料 的制 約 が 主 な理 由 で あ ろ う。 原 始 ・古 代 ・中世 ・近 世 ・近 代 ・現 代 の 時 代 的 流 れ を時 間 軸 とす る と、全 国 の各 地 域 は 空 間 軸 とな る 。こ の2つ の 軸 を座 標 とす る と、あ る住 居 の 時 代 と地 域 が 確 定 す る 。い ま まで の住 居 史 は 、 こ の空 間 軸 が バ ラバ ラで あ っ た とい うこ とで あ る。い ま ひ とつ 重要 な軸 は 、 当該 住 居 の 属 す る階 級 ・階 層 の 社 会 軸 で あ る。 近 世 にお け る武 家 住 居 や 商 職 人 住 居 は、 この 社 会 軸 か らみ て よ り多 く 理 解 され る。 い ま まで の 住 居 史 で は 、 こ の社 会 軸 も満 足 とは い え な い 。 以 上 の視 点 は 、 住 居 の3大 決 定 因 子(時 代 ・地 域 ・階 層)の こ とで あ るが 、 す で に 明 らか な よ うに、 本 論 で は 地 域 を限 定 し、 時 代 ・階 層 を変数 とす る 。 限 定 す る 地 域 に つ い て は 、 冒 頭 に述 べ た よ うに筆 者 の 研 究 環 境 に よ り石 川 県 下 を主 軸 とす る。時 代 に つ い て は 、住 居 の様 式 か らみ て 古 代 まで 遡 及 す る こ とが で き る。 し たが っ て 、逆 に い え ば 古 代 以 降 と い う こ とに な るが 、 これ に つ い て は後 に も う一 度 ふ れ る。階 層 に つ い て は、各 時代 に お い て 資料 の 許 す か ぎ り上 層 か ら下 層 ま で を研 究 対 象 とす る 。 先 にふ れ た 各 種 の住 居 種 は、 上 記 の 観 点 か らは 階 級 ・階 層 の 社 会 軸 に 入 る。 た と えば 、 近 世 封 建 社 会 に お い て は、周 知 の とお り士 農 工 商 の 身分 制 が あ っ た 。こ の 身 分 制 に 対 応 して 、武 家 住 居 、 農 村 住 居(山 村 ・漁 村 住 居 を含 む)、 商 職 人住 居 が 存 在 した 。 した が っ て 、 住 居 種 は 階 級 に対 応 す る。 さ らに 、 階 級 内 に は 何 段 階 か の 階 層 が あ り、 住 居 に つ い て い えば 、 規 模 ・構 造 ・意 匠 等 に 大 き な差 が あ った 。本 論 で は 以 上 の よ う な視 点 を重 視 し なが ら、地 域 を 限定 した住 居 の 発 展 過 程 を 追 及 しよ う とお も うの で あ る。 2.地 域 住 居 の 現 状 そ れ に して も、 以 上 の よ うな住 居 の 歴 史性 ・風 土 性 と い っ た もの が 果 して 現 代 住 居 に生 きて い る の で あ ろ うか 。 ま た か りに 生 きて い る と して 、 どの程 度 の保 存 性 を示 す の で あ ろ うか 。本 節 で は そ の あ た りの こ とを検 討 して お き た い。 2.1地 域 住 居 の 残 存 性 まず 最 初 に 、 戦 後 の現 代 にの ぞ む に あ た って 、 明治 ・大 正 ・昭 和 戦 前 期 の い わ ゆ る伝 統 的住 居 の地 域 的 残 存 性 をみ て お く。周 知 の よ う に、第2次 大 戦 の 戦 火 に よ る影 響 は地 域 住 居 の 残 存性 を 大 き く変 え た。 戦 後 間 もな い昭 和28年(1953)時 点 の 地 域 市 部 にお け る建 設 年 代 別 戸数 比 率 を指 標 と して 、 地 域 住 居 の残 存 性 を み て お きた い(図0-2)。 概 括 的 に戦 前 住 居 の 戸数 比 率 をみ て も、大 きな 差 が 生 じて い る 。最 高 率 は京 都 府 市 部 の97.0%
で 、最 低 率 は福 井 県 市 部 の42.3%で あ})、 その 差 は54.7%と 大 きい 。 い うま で も な く京都 府 市 部 は 非 戦 災 都 市(舞 鶴 で は若 干 被 災 して い るが)で あ り、 福 井 県市 部 は戦 災 と震 災(福 井 地 震 、 昭 和23年 ・1948)の 両 災 害 に よ って 上 記 の低 率 を示 して い る。 残 存率 の 高 い地 域 は 、 上 記 京 都 府 市 部 の ほ か 滋 賀 県市 部(95.5%)、 奈 良 県市 部(93.0%)、 石 川 県 市 部(91.1%)な ど で あ り、 残 存 率 の低 い地 域 は 、 上 記 福 井 県 市 部 の ほ か 鹿 児 島 県市 部(46.7%)、 東 京 都 市 部(50.7%)、 静 岡 県 市 部(52.6%)な ど で あ る。 本 論 の対 象 とす る石 川 県 市 部 は全 国 的 に み て も き わ め て 残 存 率 の 高 い 地域 で あ る こ とが わ か る。 こ う した住 居 の 残 存 状 況 を残 存 型 と して 判 定 す る と、 次 の8タ イ プ に な る(判 定 基 準 は最 高 率 とそ れ の5%以 内 に は い る時 期 に よ り、 明 治 以 前:M型 、大 正 期:T型 、 昭 和 戦 前 期(戦 時 中 を 含 む):S型 、 昭 和 戦 後 期S'型 とす る)。 M型8地 域 市 部(山 形 、石 川 、 長 野 、 滋 賀 、 奈 良 、 島根 、 岡 山 、 佐 賀) MT型1地 域 市 部(福 島) MS型3地 域 市 部(新 潟 、 京 都 、 大 分) MSS'型 一2地 域 市 部(長 崎 、 熊 本) MS'型3地 域 市 部(栃 木 、 三 重 、 和 歌 山) S型8地 域 市 部(北 海 道 、 秋 田 、 群 馬、 埼玉 、 千 葉 、 大 阪 、 山 口、 福 岡) SS'型5地 域 市 部(岩 手 、 宮 城 、神 奈 川、 愛知 、 兵 庫) S'型16地 域 市 部(青 森 、 茨 城 、 東 京 、 富 山、 福 井 、 山 梨 、 岐 阜 、 静 岡 、 鳥取 、 広 島 、 徳 島 、 香 川 、 愛 媛 、高 知 、 宮 崎 、 鹿 児 島) 全 国46地 域 市 部 は上 の8タ イ プ に分 か れ るが 、M型 、MT型 、MS型 な どは か な り伝 統 的 な住 居 を保 有 す る地 域 で あ り、SS'型 やS'型 は相 対 的 に戦 後 の 現 代 住 居 が 比 重 を もつ 地 域 で あ る 。 本 論 が対 象 とす る金 沢 を含 む 石 川 県 市部 は、上 記 の 残 存 型 に お い て もM型 に属 し、高 い残 存 性 を示 して い る。 な お 、石 川 県 市 部 の 住 宅 総 数6.5万 戸 の 内訳 は 、金 沢 市4.6万 戸 、七 尾 市0.4万 戸 、 小 松 市1.2万 戸 で 、 金 沢 市 の4.6万 戸 の建 設 時期 別 戸 数 は、 明 治 期 以 前2.0万 戸(43.5%)、 大 正 期 1.0万 戸(21.7%)、 昭和 戦 前 期1.2万 戸(26.1%)昭 和 戦 後 期0.4万 戸(8.7%)で あ る。 非 戦 災 都 市 ・金 沢 の つ よ い 伝 統 性 を示 し て い る。 こ の よ うな住 居 の 高 い残 存 性 は 、 現 代 に お け る住 宅 ス ト ッ ク と して の 価 値 と同 時 に 、現 代 住 居 に 対 す る諸 面 の 影 響 が 推 定 さ れ る。 それ は住 空 間 の 問題 と も大 き くか か わ って く るで あ ろ う。
図0-2地 域 住 居 の残 存 性(地 域 市 部 に お け る建 設 時 期 別 戸 数 比 率 ・%、 昭 和28年 ・1953)
資 料)住 宅 統 計 調 査 報 告(昭 和28年)
注)1.図 で は 戦 争 中 を 昭 和 戦 前 に 含 め て い る 。
2.2住 空 間 規模 の 地 域 差 前 項 で は住 居 の 地 域 的 残 存 性 につ い て み た が 、本 項 で は そ れ らの 住 居 が 地 域 的 に どの よ うな 差 を も っ て い るの か を み て お きた い。住 空 間 の 第 一 義 的役 割 は 、寒 暑 風 雪 等 の外 的 自然 を構 造 体 に よ って 遮 ぎ り、 内部 に恒 常 的 に安 定 した 空 間(住 空 間)を 確 保 し、 そ こ に 人 間 的 な生 活(住 生 活) を営 む こ とで あ る。 そ の 際 、 もっ と も基 本 的 な要 件 と して住 空 間 の総 空 間 量(住 居 規 模)の 問 題 が あ る。 以 下 、 こ の 住 空 間 規 模 す な わ ち住 居 規模 が 全 国各 地 域 で どの よ うに 変 動 す るの か、 また そ の 変 動 の 因 子 が 歴 史性 ・風 土 性 と どの よ うに か か わ っ て くるか を み る。 なお 、戦 後 に お け るわ が 国 の都 市 化 は住 空 間 規 模 を次 第 に 切 りつ め て きた事 実 は す で に あ き ら か な こ とで あ るか ら、 本 項 の 考 察 に あ た っ て は都 市 化 の一 巡 し た 昭和43年(1968)時 点 を え らん で い る。 い わ ば伝 統 的 な住 居 と新 しい住 居 の 両 者 をバ ラ ン ス よ くみ られ る時 点 とい え る 。資料 は 『住 宅 統 計 調査 報 告 』(昭 和43年)に よ る。 さて 、 全 国46地 域(都 道 府 県 単 位)の 住 居 規模 は、 最 大 が 富 山 県 の126.54m2、 最 小 が東 京都 の 50.21m2で そ の 差 は 実 に76.33m2に 達 し、富 山 県 の 住 居 規 模 は東 京都 の 住 居 規 模 の2.5倍 に 及 ぶ 。こ れ は 、 きわ め て 大 きな 差 とい わ ね ば な らな い 。 全 国 各 地域 の 住 居 規模 は、 上 の 最 大 ・最 小 値 の 間 に分 布 す るわ け で あ るが 、 そ の分 布 状 況 を10m2ラ ン クで み る と次 の よ うに な る。 50m2台4地 域(東 京 、 神 奈 川 、 大 阪 、 鹿 児 島) 60m2台7地 域(北 海 道 、 埼 玉 、 千 葉 、 兵 庫 、 高 知 、福 岡、 宮 崎) 70m・台13地 域(宮 城 、 茨城 、 栃 木 、 静 岡 、 愛 知 、 京 都 、和 歌 山 、 広 島 、 愛 媛 、 徳 島、 長 崎 、 大 分 、 熊 本) 80m・台6地 域(福 島、 群 馬 、 三 重 、 岡 山 、 山 口、 香 川) 90m2台7地 域(青 森 、 岩 手 、 山梨 、 奈 良 、 鳥 取 、 島根 、 佐 賀) 100m2台5地 域(秋 田、 山形 、 長 野 、 岐 阜 、 滋 賀) 110m2台2地 域(新 潟 、 福 井) 120m2台2地 域(富 山、 石 川) 以 上 の よ う な分 布 状 況 を み る と、 ま ず 住 居 規 模 の 大 き い 地 域 は、 上 記 富 山 県 の ほ か 石 川 県 (120.07m2)、 新 潟 県(117.73m・ 〉福 井 県(115.40m2)な ど北 陸 地 方 諸 地 域 の 大 きい の が 目 に つ く。 本 論 の 対 象 地 域 で あ る石 川 県 は 、前 項 で み た伝 統 的住 居 の 高 残 存 性 に加 え て 、上 に み る よ うな大 規 模 住 居 地 域 で もあ る。 一 方 、 住 居 規 模 の 小 さ い 地 域 は 、 上 記 東 京 都 の ほ か 大 阪 府(54.05m2)、 神 奈 川 県(54.62m・)、 鹿 児 島 県(56.12m2)な ど で、 東 京 ・大 阪 ・神 奈 川 の よ う な都 市 化 の 進 行 し た 大 都 市 地 域 と鹿 児 島 の よ うな 南 海 地 方 の 小 さ い の が 特 徴 的 で あ る。以 上 に よ っ て もあ き ら か な よ うに 、 地 域 の 住 居 規 模 は 当 該 地 域 の歴 史 性(い ま の 場 合 、 都 市 化 の 度 合)、 風 土 性(南 方 系 住 居 か 北 方 系住 居 か)に よ る こ とが 予 測 さ れ る。
2.3住 空 間 規模 の 決 定 因 以 上 の よ うに、住 居 規 模 は 地 域 的 に大 き な差 を も って い る。 こ の事 実 は 住 居 の 規 模 を決 定 す る 因 子 が 、地 域 に よ っ て 異 な った つ よさ で働 くこ とを示 し て い る。一 般 に住 居 の 規 模 を決 定 す る 因 子 は 、 次 の よ に考 え られ る。 そ の 第 一 は 、社 会 的 決 定 因 と して、① 階 層 的 決 定 因 、② 職 業 的 決 定 因 が挙 げ られ る。 その 第 二 には 自然 的 決 定 因 と して 、 ③ 風 土 的 決 定 因 が挙 げ られ る。 以 下 、 そ れ ぞ れ につ いて み る。 1)階 層 的 決 定 因 階 層 的 決 定 因 につ い て は、持 家 、借 家 を指 標 に す る。全 国 の 平 均 規 模 は 持 家97.42m2、 借 家38.05 m・で 、 持 家 は 借 家 の2.7倍 の 規模 を もっ て い る。 つ ま り、 持 家 の 高 率 化(借 家 の低 率 化)は 、 地 域 の 住 居 規 模 を ひ きあ げ る。 具 体 的 な 数 値 と して は 持 家(借 家 率)を 採 用 す る。 2)職 業 的 決 定 因 職 業 的 決 定 因 に つ い て は 、 併 用 住 宅 ・専 用 住 宅 を指 標 とす る。 全 国 の 平 均 規 模 は 、併 用 住 宅 120.44m・ 、専 用 住 宅62.52m2で 、併 用 住 宅 は専 用 住 宅 の1.9倍 の 規 模 を も って い る。す な わ ち、併 用 住 宅 の 高率 化(専 用 住 宅 の 低 率 化)は 地 域 の 住 宅 規 模 を ひ きあ げ る。 具 体 的 な数 値 と して は併 用 住 宅 率(専 用 住 宅 率)を 採 用 す る。 3)風 土 的 決 定 因 風 土 的 決 定 因 につ い て は、農 家 規 模 を指 標 とす る 。永 ら く農 業 国 で あ った わ が 国 で は 、農 家 が も っ と も多 く風 土 的 影 響 を 受 け た と考 え られ るか らで あ る。 民 家 学 で い う と こ ろ の ヒ ロマ 型 農 家 、す なわ ち寒 冷 多雪 地 帯 の 北 方 系 住 居 は大 型化 の 傾 向 に あ り、 田字 型 農 家 す な わ ち温 暖 少 雪 地 帯 の 南 方 系 住 居 は 小 型 化 の 傾 向 に あ る 。具 体 的 な数 値 と して は農 林 漁業 併 用 住 宅 規 模 を採 用 す る。 以 上 の3つ の 決 定 因 に よ っ て住 居 規 模 が 決 定 さ れ る とす る と、 一 般 に あ る地 域 の 住 居 規 模nA は 、 図0-3の よ うな 関係 に お い て 因 子 の 力 を うけ る と い え る。 図0-3地 域 住 居 規 模 と決 定 因 の 関 係 借 家 専 用 南方系 喝 小型化 皿○ 大型化 (地 域 住 居 規左莫) ● 持 家 併 用 北方系 しか し、 この 図 式 は 静 的 な把 握 で あ るの で 、 次 に時 間 軸 を導 入 して 動 的把 握 を試 み る と、わ が 国 の農 村 社 会 か ら都 市社 会 へ の 推 移 、 す な わ ち都 市化(借 家化 ・専 用 住 宅 化)傾 向 か ら、 図0-4が え られ る。
図0-4地 域 住 居 規 模nAの 時 間 的 推 移 以 上 は 、地 域 住 居 規模 に作 用 す る 因子 の種 類 と作 用 の 仕 方 に つ い て で あ る。 次 に 因子 の 力 、す な わ ち住 居 規模 に対 す る 因子 の 影響 力 に つ い て み る。 2.4決 定 因 の 影 響 力 以 上 の決 定 因 が 実 際 の 住 居 規 模 に ど の程 度 の 影 響 力 を及 ぼ して い る か をみ る に あ た っ て 、① 階 層 的 決 定 因 に つ い て は 、 持 家 率(Po)と 地 域 住 居 規 模(nA)の 相 関 度(r。)、 ② 職 業 的決 定 因 に つ いて は 、併 用 住 宅 率(Pc)とnAの 相 関 度(r、)、 ③ 風 土 的 決 定 因 に つ い て は 、 地 域 の農 家 規 模 (nAf)と 専 用 住 宅 規 模(nAe)の 相 関度(rf)に よ って 影 響 力 を判 定 す る。 1)階 層 的 決 定 因 の 場 合 持 家 率Poを 全 国46地 域 に つ い て み る と、 次 の よ うに分 布 して い る。 30≦Po〈40% 40≦Po〈50% 50≦Po〈60% 60≦Po<70% 70≦Po<80% 80≦Po〈90% 1地 域(大 阪) 4地 域(北 海 道 、 東 京 、 神 奈 川 、 福 岡) 4地 域(愛 知 、 京 都 、 兵 庫 、 広 島) 11地 域(宮 城 、 福 島 、 埼 玉 、 千 葉 、 静 岡 、 奈 良 、 和 歌 山 、 山 口 、 愛 媛 、 長 崎 、 大 分) 20地 域(青 森 、 岩 手 、 茨 城 、 栃 木 、 群 馬 、 石 川 、 山 梨 、 長 野 、 岐 阜 、 三 重 、 滋 賀 、 鳥 取 、 岡 山 、 徳 島 、 香 川 、 高 知 、 佐 賀 、 熊 本 、 宮 崎 、 鹿 児 島) 6地 域(秋 田 、 山 形 、 新 潟 、 富 山 、 福 井 、 島 根) 持 家 率 の 最 高 は 富 山 県 の84.7%、 最 低 は 大 阪 府 の39.6%で あ り、 大 き な 差 が あ る 。 い ま 、Poと
nAの 相 関 関 係 を 求 め る と 、相 関 度r。=0,7317と な りつ よ い 正 の1次 相 関 を 示 す 。 な お 、Poの 全 国 平 均 は60.3%で 、PoのnAに 及 ぽ す 影 響 力 は か な りつ よ い も の と み な け れ ば な ら な い 。 2)職 業 的 決 定 因 の 場 合 併 用 住 宅 率Pcを 全 国46地 域 に つ い て み る と 、 次 の よ う に 分 布 し て い る 。 0≦Pc<10% 10≦Pc<20% 20≦Pc<30% 30≦Pc<40% 40≦Pc〈50% 1地 域(神 奈 川) 12地 域(北 海 道 、 宮 城 、 埼 玉 、 千 葉 、 東 京 、 愛 知 、 大 阪 、 兵 庫 、 広 島 、 福 岡 、 宮 崎 、 鹿 児 島) 22地 域(青 森 、 福 島 、 栃 木 、 新 潟 、 富 山 、 石 川 、 福 井 、 岐 阜 、 静 岡 、 三 重 、 京 都 、 奈 良 、 和 歌 山 。 鳥 取 、 島根 、 岡 山 、 山 口 、 香 川 、 愛 媛 、 高 知 、 長 崎 、 熊 本) 10地 域(岩 手 、 秋 田 、 山 形 、 茨 城 、 群 馬 、 山 梨 、 滋 賀 、 徳 島 、 佐 賀 、 大 分) 1地 域(長 野) 併 用 住 宅 率 の 最 高 は 長 野 県 の42.0%、 最 低 は神 奈 川 県 の8.9%で か な りの 差 が み られ るが 、全 体 に併 用 住 宅 率 その もの が低 率 で全 国 平 均 は19.6%で あ る。先 の 持 家 率 の 全 国 平 均60,3%に 比 べ る とか な り低 率 で あ り、PcのnAに 対 す る影 響 力 は あ ま り期 待 で きな いが 、念 の た め相 関 関係 を求 め る と相 関度r。=0.0562と な り、 影 響 力 は きわ め て よ わ い と い わ ざ る を え な い 。 以 上 、地 域 の住 居 規 模 に対 す る2つ の 決 定 因 の 影 響 力 に つ い て み た が 、実 際 に 作 用 して い るの は 、 社 会 的 決 定 因 で は 階 層 的 決 定 因 が 職 業 決 定 因 よ りは るか に優 勢 で あ る こ とが わ か る。 3)風 土 的 決 定 因 の場 合 北 方 系 民 家 の 大 型 化 、南 方 系 民 家 の 小 型 化 を定 量 的 に と ら え る た め に、農 林 漁業 併 用 住 宅 の 規 模 を地 方 別 に み る と次 の よ うで あ る(延 べ 面積 、 小 数 第1位4捨5入)。
聾
lll
雪1:
方 方 方 方 方 方 方 方 地 地 地 地 畿 地 地 地 地 近 陸 陸 北 ・ 国 東 国 州 海 北 内 東 東 中 関 四 九 172m2(新 潟 、 富 山 、 石 川 、 福 井 の 単 純 平 均) 146m・(群 馬 、 埼 玉 、 山 梨 、 長 野 、 岐 阜 の 単 純 平 均) 139m2(青 森 、 岩 手 、 宮 城 、 秋 田 、 山 形 、 福 島 の 単 純 平 均) 133㎡(愛 知 、 三 重 、 滋 賀 、 京 都 、 奈 良 、 大 阪 の 単 純 平 均) 128m・(兵 庫 、 鳥 取 、 島 根 、 岡 山 、 広 島 、 山 口 の 単 純 平 均) 110m・(茨 城 、 栃 木 、 東 京 、 神 奈 川 、 静 岡 の 単 純 平 均) 103m2(和 歌 山 、 徳 島 、 香 川 、 愛 媛 、 高 知 の 単 純 平 均) 99m2(福 岡 、佐 賀 、長 崎 、熊 本 、大 分 、宮 崎 、鹿 児 島 の 単 純 平 均) (業和 歌 山 は南 海 気 候 区 に 属 し、 四 国 の 諸 県 と類 似 性 が つ よい め で こ こ に入 れ る。 ま た 、北 海 道 は歴 史 的 に新 し いの で 除 外 す る。) 上 の数 値 か ら、寒 冷 多雪 地 帯 の 北 方 系 民 家 の 大 型 化 、温 暖 少 雪 地 帯 の 南 方 系 民 家 の 小 型 化 が 客 観 的 に み て とれ る。農 家 規 模 の 地 域 的 風 土 性 は 上 記 の とお りで あ る が、 こ の風 土 性 が 専 用 住 宅 にも同 じよ うに 反 映 され て い るか ど うか をみ る た め 、農 家 規 模(nAf)と 専 用 住 宅 規 模(nAe)の 相 関 関 係 を全 国46地 域 につ い て 求 め る と、相 関 度r=0.7077と な りつ よ い正 の1次 相 関 が え られ る。 した が っ て 、専 用住 宅 に お い て も風 土 的決 定 因 の 力 は つ よ く作 用 して い る こ とが わか る。す な わ ち、 風 土 性 は 住 宅 種 類 を貫 通 して い る。 2.5民 家 型 と風 土 性 前 項 で み た 住 居 規 模 の 決 定 因 は 、 結 局 、 階 層 的 決 定 因(指 標 、 持 家 率)と 風 土 的 決 定 因(指 標 、 農 家 規 模)に な っ た が 、 この う ち風 土 的決 定 因 は本 論 の対 象 とす る 住 空 間 の 内容 と も直接 か か わ って くるの で 、 民 家 の 風 土 性 とい った もの に つ いて も う少 し詳 し くみ て お き た い 。 民 家 学 で い う ヒロ マ 型 、田 字 型 の 全 国 的分 布 と寒冷 多雪 地 帯 、温 暖 少 雪 地 帯 を対 照 させ た の が 、 図0-5で あ る。上 図 の 民 家 型 と下 図 の 風 土 性 を対 照 させ る と、 ヒ ロマ 型 の 分 布 域 と寒 冷 多雪 地 帯 、 田字 型 の分 布 域 と温 暖 少 雪 地 帯 と はか な りよ く一 致 して い る。 こ う し た 大 局 的 な 民 家 型 と風 土 性 の 関係 は 、住 空 間 の 規 模 や 内容 を把 握 す る た め の 基礎 的 な 作 業 とい え よ う。 ま た 、 それ だ け に重 要 な こ とで あ ろ う。 寒 冷 多 雪 地 帯 に分 布 す る ヒ ロマ 型 民 家 は 、い わ ば越 冬 型 の 住 居 で あ る。永 い 冬 ご も りの 生 活 を 余 儀 な くされ る雪 国 の 住 居 は 、イ ロ リを 囲 む ヒ ロマ の 生 活 が ウエ イ トを も っ た。 ヒ ロマ が 発 達 し た ゆ え ん で あ る。 しか し、い ま ひ とつ 重 要 な こ とは ヒロ マ と同 時 に ドマ の発 達 を見 逃 す こ とが で きな い 。本 論 の 対 象 地域 で は ヒ ロマ と同 じ面 積 の ドマ を もつ 。 ドマ も ま た越 冬 の た め の 重 要 な 空 間 で あ っ た。 した が っ て 、本 論 で は しば しば ヒ ロマ 型 大 ドマ 住 居 とい っ た表 現 を お こ な う。 一 方、温 暖 少 雪 地 帯 に分 布 す る 田字 型 民 家 は 、冬 季 に お いて も寒 冷 多 雪 地 帯 の よ うな ヒ ロマ を 必 要 と しなか っ た 。 ま た 、 温 暖 少 雪 の ため 戸外 ・屋 外 の 利 用 も可 能 で あ り、 屋 内 ドマ もそ れ ほ ど 発 達 しなか っ た 。九 州 南 部 や 南 西 諸 島 で は オ モ ヤ に ドマ を もた な い もの さ え あ る。先 の ヒ ロマ 型 大 ドマ 住 居 に対 して 、 これ は 田字 型小 ドマ 住 居 とい え るで あ ろ う。 以 上 の よ うな 北 方 系 ヒ ロマ 型 大 ドマ 住 居 と、南 方 系 田字 型 小 ドマ 住 居 の 差 異 を い ます こ し計 量 的 に み た もの が 図0-6で あ る。ま ず 住 居 規 模 につ い て は 、北 陸 地 方 が176.Om・ 、南 海 地 方 が75.9 m2で 、北 陸 地 方 が2.3倍 の 規 模 を も っ て い る。これ は大 きな 差 とい わ ね ば な ら な い 。次 に そ の 内 容 で あ るが 、 大 き くわ け て リビ ン グ系 空 間(L系 空 間 、全 居 室 面 積)と サ ー ビ ス 系 空 間(S系 空 間 、 居 室 以 外 の面 積)に つ い て み る と、 両 者 の 比 率 は 両 地 方 ほ ぼ 等 しい 。 す な わ ち、L系 、S系 両 空 間 が 折 半 した か た ち を とっ て い るが 、面 積 で はや は り大 きな 差 を もつ 。 と くに農 家 の 場 合 のS系 空 間 は ドマ が 比 重 を もつ の で 北 陸 地 方 の 大 ドマ 、南 海 地 方 の 小 ドマ が 明確 で あ る。 次 にL系 空 間 に つ い て は 、 北 陸 地 方 の 多室 ・大 型 居 室 、 南 海 地 方 の 少 室 ・小 型 居 室 が よみ と られ る。室 数 につ い て は、 南 海 地 方 の 田字 型 は 四 間取 で あ る か ら、平 均 室数 は首 肯 され る とこ ろ で あ る が 、北 陸 地 方 は6.7室 で 約3室 多 い。3室 の うち1室 を ヒ ロマ と考 えて もあ と2室
図0-5民 家型 と風 土 性 資 料)上 図:杉 本 尚 次 『日本 民 家 の 研 究 』(ミ ネ ル ヴ ァ書 房 、 昭 和44年 、P.110) 目 広 間 型 お よ び 広 間 的 間 取 ㎜ 四 間 取 佃 字 型)幽 土 間 極 小 ○ 曲 家(南 部)()妻 入(前 土 間 、 片 側 、 本 棟 造)ム 焦 イ エ ・ナ カ エ 接 着 ρ、二 棟 造(主 屋 無 土 間)く 二)中門造 下 図:鯉 科 年 表 』 他 。 昌 寒 冷 地 帯 ㎜ 多 雪 地 帯 多 く、 多 室化 の 傾 向 もみ とめ られ る。 ま た、 室 規 模 に つ い て は北 陸 地 方 が7.3畳 、南 海 地 方 が5.7 畳 で1室 あ た り1.6畳 大 き い。 これ らに つ い て は後 に詳 論 す る。 民 家(農 家)の 風 土 性 を鮮 明 に す る た め に 、 対 極 的 な地 方 を上 に比 較 した が 、 以 上 の 資 料 は 昭 和43年(1968)時 点 で あ り、 近 代 お よ び戦 後 の20年 の推 移 を も考 え あ わせ ね ば な ら な い が 、 お そ ら く、こ の よ うな 民 家 の 風 土 性 は 近 世 後 期 くらい か ら始 ま り、近 代 に お い て 完 成 さ れ た もの と考 え られ る。本 論 の 対 象 とす る加 賀平 野 の 農 家 も近 世 前期 に は まだ 小 さ な クズ ヤ で あ り近 代 に な っ て ア ズ マ 造 り と よば れ る切 妻 ・瓦 葺 の 大 型 住 居 が 現 れ る。 こ れ につ い て も後 に詳 論 す る。
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図0-6北 陸地 方 農 家 と南 海 地 方 農 家 の 比 較(1968年) 地 方 地 域 (県) 住 居 規 模 (m・) L系 空 間 (mり S系 空 間 (m・) 室 数 室 規 模 (畳) 北 陸 地 方 新 潟 富 山 石 川 161.6 190.5 175.8 76.1 84.6 83.4 85.5 105.9 92.4 5.9 7.5 6.8 7.8 6.8 7.4 平 均 (%) 176.0 (100.0) 一 81.4 (46.2) 一 94.6 (53.7) 6.7 7.3 南 海 地 方 宮 崎 鹿 児 島 87.8 64.0 39.9 35.5 47.9 28.5 4.2 3.9 5.8 5.5 平 均 (%) 75.9 (100.0) (49.7)37.7 (50.3)38.2 4.0 5.7 問 空 系 L 間 空 系 S
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176.Om° 北陸地方 ' '' '' ' ' ' ' ' ! ' ! ' ! !' ' 75.9m・ 南海地方 資料)住 宅 統 計調査 報告(昭 和43年) 2.6住 空 間 規 模 の理 論 的 分 布 以 上 の 検 討 か ら、 地 域 に 於 け る住 居 規 模(nA)を 決 定 す る大 き な 因 子 は 、 ① 階 層 的 決 定 因(指 標 、 持 家 率Po)と ② 風 土 的 決 定 因(指 標 、 農 家 規 模Af)で あ る こ とが わ った 。 す な わ ち 、 地 域 の 住 居 規模nAとPo、Afと は つ よい1次 の 正 相 関 を もつ か ら、 nA=f(Po,Af)(1) の 関 係 が 成 りた つ 。先 の 図0-3、 図0-4に 上 の(1)式 を あ て は め る と、同程 度 のPoを もつ 地 域 はAfに よ って 、す な わ ち風 土性 に よ っ て優 位 的 にnAが 決 定 さ れ 、同程 度 のAfを もつ 地 域 はPoに よ って 、す な わ ち持 家率 に よ って優 位 的 にnAが 決 定 さ れ る こ とに な る。い ま 、この 考 察 結 果 を全 国46地 域 に適 用 す る と、 地 域 の 先 進 性 ・後 進 性(都 市 化 の 度 合)に よ りPoは 変 動 す る。 す な わ ち 、 先 進 的(都 市 化 の つ よ い)地 域 で はPoは 低 下 しnAは 減 少 す る。 逆 に後 進 的(都 市 化 の よ わ い)地 域 で はPoは 高 くな るが 、 一 定 の 限度 を もつ(す な わ ち 、Po=const.)か ら、 ほ とん ど一 義 的 にAfの 大 小 に よ ってnAの 大 小 が 決 ま る 。 す な わ ち 、 先 進 的 地域 に お い て は 、
nA=f(Po)(2) 後 進 的 地 域 に お い て は 、 nA=f(Af)(3) と な る 。 現 実 に は 、(2)式 、(3)式 は 同 時 的 で あ る か ら 、 両 者 を 重 ね た 図0-7が え ら れ る 。 各 地 域 の 住 居 規 模 は 、 図 の 軸 線 の 周 辺 に 分 布 す る で あ ろ う(斜 線 部 分)。 図0-7地 域 住 居 規 模 の 理 論 的 分 布 高 率 介 l I I l I 恥 I I I I ⊥ V 低 率 小 ← 一一一一一一nA,Af 次 に 以 上 の 考 察 結 果 を 検 証 す る 。 一 一一 一→ 大 3.地 域 住 居 と 都 市 化 前 節 で述 べ た 地域 住 居 規 模 の 理 論 的 分 布 は 、地 域 の都 市 化 とつ よ く結 び つ い て い る。先 に あ き らか に した 住 居 規模 の 決 定 因 の うち、階 層 的 決 定 因(指 標 、持 家率)が 都 市 化 と深 くか か わ っ て い るか らで あ る。大 略 的 に い え ば、都 市 化 の進 行 は借 家 率 を高 め 住 居 規 模 を ひ き下 げ る傾 向 に あ る。 近 世 や 近 代 にお い て も、 大都 市(東 京 、 大 阪 、京 都 な ど)で は 地 方 に 比 べ て 借 家 率 が 高 か っ た 。 戦 後 の 現 代 に お い て も こ の傾 向 は 継 承 さ れ 、 都 市 化 す な わ ち高 借 家 率(低 持 家率)と して現 象 し た。 3.1都 市 化 の 度 合 戦 後 の都 市 化 は 一 部 の大 都 市 で は急 速 な進 展 を示 した が 、地 方 の 小 都 で は そ れ ほ どの 進 展 を示 さ な か った 。 したが って 、地 域 的 に み る と当 該 地 域 に お け る都 市 そ の もの の 比 重 も異 っ て くる。 そ こ で 、 本 論 で は 地 域 に お け る都 市 化 の 都 合 を地 域 人 口のDID地 区(人 口集 中地 区)へ の集 中 率
と し て と ら え る。 す な わ ち 、 DID地 区 人 口 都 市 化 の 度合U二 地 域 全 人 ×100(%) 口 とな る。 昭 和45年(1970)の 国勢 調査 を資 料 と してuを 求 め る と、 最 高 は 東 京 都95.3%、 最 低 は 島 根 県 の21.3%で い ち じ る しい 差 が あ らわ れ て い る。 全 国46地 域 は こ の 間 に分 布 す るわ け で あ る が 、 い まUを 指 標 と して 各 地 域 の都 市 化 の 度 合 い を ラ ン クづ け る と次 の よ う に な る。 1.高 都 市 化 地 域(u≧60%) II.大 都 市 化 地 域(u≧50%) III.準 都 市 化 地 域(u≧40%) IV.緩 都 市 化 地 域(u≧30%) V.低 都 市 化 地 域(u≧20%) 5地 域(東 京 、 神 奈 川 、 京 都 、 大 阪 、 兵 庫) 6地 域(北 海 道 、 埼 玉 、 千 葉 、 愛 知 、 広 島 、 福 岡) 4地 域(宮 城 、 静 岡 、 和 歌 山 、 山 口) 16地 域(青 森 、山 形 、群 馬 、新 潟 、富 山 、 石 川 、 福 井 、 岐 阜 、 三 重 、 奈 良 、 香 川 、 愛 媛 、 高 知 、 長 崎 、 熊 本 、 大 分) 15地 域(岩 手 、 秋 田 、 福 島 、 茨 城 、 栃 木 、 山 梨 、 長 野 、 滋 賀 、 鳥 取 、 島 根 、 岡 山 、 徳 島 、 佐 賀 、 宮 崎 、 鹿 児 島) 以 上 の分 布 状 況 をみ る と、全 国46地 域 が い か に 蹟行 的 な都 市 化 の状 態 に あ るか が わ か る と同 時 に、 都 市 化 の つ よ い 地 域(1.高 都 市 化 地 域 、II.大 都 市 化 地域 、III.準都 市 化 地域)が15地 域 で あ るの に対 して 、 都 市 化 の よ わ い 地 域(IV.緩 都 市 化 地 域 、V.低 都 市 化 地 域)は31地 域 に も及 ん で い る こ とが わか る。 こ の よ うな都 市 化 の地 域 的 差 異 は 、 と うぜ ん 地 域 の 住 居 規 模 に も反 映 され る で あ ろ うか ら、 次 に そ の 点 を検 討 す る。 3.2住 空 間 規 模 と都 市 化 地 域 住 居 規 模(11A)と 都 市 化 の 度 合(u)を 求 め る と 表0-2の よ う に な る 。 こ れ を わ か りや す く 図 化 し た の が 図0-8で あ る 。一 見 し て あ き ら か な よ う に 、都 市 化 の つ よ い 地 域 と都 市 化 の よ わ い 地 域 は 大 き く2つ の グ ル ー プ に 分 か れ る 。 そ こ で 、 そ れ.そ れ の グ ル ー プ に つ い てnAとuの 部 分 相 関 を 求 め る と、 都 市 化 の つ よ い 地 域 で は 、r=-0.8040、nA=-1.3806u+155.62 都 市 化 の よ わ い 地 域 で は 、r=0.2024、nA=0.0601u+24.16 と な り、都 市 化 の つ よ い 地 域 で は き わ め て つ よ い 負 の 相 関 を 示 し 、都 市 化 に よ る 住 居 規 模 の 削 減 傾 向 が あ き ら か で あ る が 、 一 方 、都 市 化 の よ わ い 地 域 で は と うぜ ん の こ と な が らnAとuは 相 関 性 そ 示 さ な い 。
以 上 の 結 果 は 、 先 に提 示 した 地 域 住 居 規 模 の 理 論 的分 布(図0-7)と よ く一 致 して い る(図 0-8の 上 下 を逆 転 す る と図0-7に な る)。 す な わ ち都 市 化 の よ わ い 地 域 は 旧 来 の 風 土 性 を温 存 し、風 土 的 な住 居 規模 を維 持 して い る の で あ る。そ の ため 都 市 化 とは相 関 せ ず 住 居 規 模 に大 小 が あ る。 これ に対 して都 市 化 の つ よ い地 域 で は 、都 市 化 の 度 合 の 大 きい ほ ど住 居 規 模 は 小 さ くな る傾 向 を示 して い る。 以 上 の こ と をい ます こ し具 体 的 に い うな ら、た とえ ば大 阪 府 の 住 居 規 模 は54.1㎡ で あ り、鹿 児 島 県 の それ は56.1m2で ほ とん ど等 しい が 、そ の 意 味 は全 く異 な る とい わ ね ば な らな い 。大 阪 府 の 住 居 規 模 は都 市 化 の 結 果 で あ り、鹿 児 島 県 の そ れ は 風 土 的結 果 で あ るか らで あ る。東 京 ・神 奈 川 ・ 京都 ・大 阪 ・兵 庫 な どの 高都 市 化 地 域 で 住 居 が小 型 化 し て い るの は 、 ほ とん ど一 義 的 に都 市 化 に よ る もの で あ り、 そ れ ゆ え非 風 土 的 さ え い え るの で あ る 。他 方 、都 市 化 の よ わ い 地 域 で は 、最 小 は 上 の 鹿 児 島 県 の56.1㎡ で あ るが 、最 大 は 富 山 県 の126。5m2で 大 き な幅 を も っ て 分 布 して い る。す なわ ち、 非 都 市 化 地 域 で は す ぐれ て風 土 的 で あ る とい え る の で あ る。 表0-2 地 域 住居 規 模 と都 市化 の 度 合(1968、1970年) 都 市 化 の段 階 地 域 nA 住 居 規 模( m・) 一 u 都 市化 の 度合 (%) 一 都 市化 の段 階 地 域 nA 住 居 規 模( m・) h 都 市 化 の度 合 (%) 都 市 化 の段 階 地 域 nA 住 居 規 模 (m・) u 都 市化 の度合 1%) 1 高 都 市 化 地 域 13東 京 14神 奈 川 26京 都 27大 阪 28兵 庫 50.2 54.6 76.8 54.1 69.8 95.3 78.4 72.7 90.1 67.3 IV 緩 都 市 化 地 域 02青 森 06山 形 10群 馬 15新 潟 16富 山 17石 川 18福 井 21岐 阜 24三 重 29奈 良 37香 川 38愛 媛 39高 知 42長 崎 43熊 本 44大 分 一 90.2 102.2 87.1 117.7 126.5 120.l l15.4 102.9 81.8 92.2 84.2 77.1 69.9 71.9 78.6 78.8 一 35.2 32.1 30.9 36.6 34.2 34.9 36.2 33.8 30.8 36.9 31.7 35.2 32.4 37.0 30.4 30.5 一 V 低 都 市 化 地 域 03岩 手 05秋 田 07福 島 08茨 城 09栃 木 19山 梨 20長 野 25滋 賀 31鳥 取 32島 根 33岡 山 36徳 島 41佐 賀 45宮 崎 46鹿 児 島 一 一 96.O lO7.6 89.7 75.9 79.0 94.6 107.1 101.4 97.0 95.3 86.9 74.4 94.3 65.8 56.1 -一 23.9 24.6 26.4 21.9 28.1 28.9 28.8 21.6 23.7 21.3 29.1 23.6 23.4 26.5 27.6 -一 5地 域 平 均 61.1 80.8 n 大 都 市 化 地 域 01北 海 道 11埼 玉 12千 葉 23愛 知 34広 島 40福 岡 66.7 66.0 65.3 76.8 77.1 67.8 57.3 55.0 50.7 57.1 51.9 56.4 6地 域 平 均 70.0 54.7 m 準 都 市化 地 域 04宮 城 22静 岡 30和 歌 山 35山 口 79.4 78.0 71.8 84.5 41.2 45.9 40.9 40.3 4地 域 平 均一 78.4 42.0 16地 城 平 均 93.5 33.7 15地 城 平 均 88.1 25.3 資 料)1.住 宅 規 模 は 、 住 宅 統 計 調 査 報 告(昭 和43年)(小 数2位4捨5入) 2.都 市 化 の 度 合 は 、 昭 和45年 ・国 勢 調 査 に よ り、DID地 区 人 口/地 域 全 人 口 ×100(%)
地 域 住 居 規 模(nA)と 都 市 化 の 度 合(u)の 相 関 図0-8 100 90 80 70 都市 化60 の 度合 曾50 弩 40 30 20 130 120 110 100 8090 住 居 規 模(nA,m・) 70 60 50 10 40 3.3専 用 住 居 の 風 土 性 前 項 で み た よ うに、都 市 化 の 傾 向 が 地 域 の 住 居 規 模 に 及 ぼ す 影 響 は あ き らか に検 証 され た 。す な わ ち、都 市 化 の つ よ い 地域 で は風 土 性 が ほ とん ど反 映 され な い が 、都 市 化 の よわ い地 域 で は風 土性 が つ よ く反 映 され て い る。この よ うな 風 土 性 の 反 映 状 況 を よ り明 瞭 にみ る た め に作 成 した の が 表0-3で あ る。 都 市 化 の よ わ い地 域 で は 専 用住 宅 全 体 い つ い て み る と風 土 性 は よ く反 映 さ れ て い る が 、そ の 場
合 借 家 に お い て も持 家 と同 様 の こ とが い え る の だ ろ うか とい う疑 問 が 残 る。 そ こで 、持 家 と借 家 そ れ ぞれ につ い て 農 家 規 模 との 相 関性 を求 め 、風 土 性 の 反 映 状 況 を み る。 そ の 結 果 は 次 の よ うで あ る。 (1)都 市 化 の つ よ い地 域 の 借 家 専 用 住 宅 は、r=0.0745で 全 く相 関 性 が な い 。 (2)都 市 化 の つ よ い地 域 の 持 家 専 用 住 宅 は、r=0.5193で ご くゆ る い 正 の相 関 性 を示 す 。 (3)都 市 化 の よわ い地 域 の 借 家 専 用 住 宅 は 、r=0.6486で ゆ るい 正 の相 関性 を示 す 。 (4)都 市 化 の よわ い地 域 の 持 家 専 用住 宅 は、r-0.8488で きわ め て つ よ い正 の 相 関性 を示 す 。 以 上 の 相 関性 の 度 合 か らみ て 、都 市 化 の つ よい 地 域 の 借 家 専 用 住 宅 は ま っ た く非 風 土 的 で あ る が 、同 じ借 家 専 用 住 宅 で も都 市 化 の よ わ い 地 域 で は一 定 の 風 土 性 を反 映 して お り、 その 反 映 度 合 は都 市 化 の つ よい 地 域 の持 家 専 用 住 宅 を上 ま わ っ て い る。 さ い ご に 、都 市 化 の よわ い地 域 の 持 家 専 用 住 宅 は きわ め て 風 土 的 で あ る こ とが わ か る。換 言 す れ ば 、都 市 に お け る借 家 化 が い か に 風 土 性 と断 絶 した か た ちで 進 行 して い る か が あ き らか で あ る。他 方 、非 都 市 化 地 域 で は 風 土 性 の つ よ い 温 存 性 な い し顕 現 性 が確 認 され る の で あ る。 当初 に述 べ た 地 域 の 住 居 規模 に作 用 す る階 層 的 決 定 因 と風 土 的 決 定 因 の2因 子 は 、都 市化 とい う状 況 の 中 で相 競 合 して い るの で あ る。 よ り普 遍 的 な い い方 を す る な ら、地 域 の 住 空 間規 模 は 社 会 的 因 子 と 自然 的 因子 の 力 関 係 の 上 に 決 定 さ れ て い る とい え る。 表0-3農 家 規 模(Af)と 専 用 住 宅 規 模(Ae)の 相 関(1968年 、 単 位:m・) 全 地 域 (46地 域) 都 市 化 の つ よ い 地 域 (15地 域) 一一一 都 市 化 の よ わ い 地 域 (31地 域) 鈍 専 用 住 宅 r=0.7077 Ae=0.4417Af十16.03 (つ よ い 正 の 相 関) r=O.2946 Ae=0.1570Af十40.86 (ほ と ん ど 相 関 せ ず) r-0.8488 Ae=0.4535Af+19.44 (き わ め て つ よ い 正 の 相 関) Aeo 同 上 持 家 一 r=0.5193 Aeo=0.2935Af十47.11 (ご く ゆ る い 正 の 相 関) r=0.8861 Aeo=0.5293Af十25.14 (き わ め て つ よ い 正 の 相 関) Aer 同 上 借 家 一 r=0.0745 1Aer=0.0258Af十33.78 (相 関 せ ず) 1 r-0.6486 Aer=0.0889Af十30.65 (ゆ る い 正 の 相 関) 3.4住 空 間規 模 と風 土 性 の相 関 前 項 に よ って あ き らか な よ うに 、都 市 化 の よ わ い 地 域 で は風 土 性 は住 居 規 模 に諸 に 反 映 さ れ て い る が 、都 市 化 の つ よい 地 域 で は 反 映 され て い な い 。 こ れ は 結 局 持 家 率 の大 小 に よ る。 こ れ を確 認 す る ため 作 成 した の が 表0-4で あ り、図0-9で あ る。先 に理 論 的 に導 い た 図0-7の 検 証 で もあ る。
図 に よ っ て あ き らか な よ うに 、 大 き く都 市 化 の つ よ い地 域 の グル ー プ(Uグ ル ー プ)と 都 市 化 に よわ い地 域 の グ ル ー プ(N.C,Sグ ル ー プ)に 分 か れ るの は、 前 項 で検 証 した とお りで あ るが 、 後 者 で は持 家 率 に 大 差 が な い に もか か わ らず 、住 居 規 模 に お い て は きわ め て 大 き な差 が 現 わ れ て い る。す な わ ち、北 方 系 住 居 の 大 型 化 、南 方 系 住 居 の 小 型 化 とい う風 土 性 が よ くあ ら わ れ て い る。 こ の傾 向 を さ らに 明 確 に す るた め 、類 似 の 風 土 性 を持 つ 地 域 の グ ル ー ピ ン グ をお こ な う と、① 寒 冷 多 雪 地 帯 に属 す る13地 域(Nグ ル ー プ ・東 北 、 北 陸 、 内陸 地 方)、 ② 温 暖 少 雪 地 帯 に 属 す る8 地 域(Cグ ルー プ ・関 東 ・東 海 ・近 畿 ・中 国 地 方)、 ③ 高 温 多 雨 地 帯 に属 す る10地 域(Sグ ル ー プ ・ 四 国 ・九 州 地 方)の3グ ルー プ で あ る。 した が って 、 全 国46地 域 は4つ の グ ル ー プ(U.N.C.S グル ー プ)に 分 け られ る。 そ こで 、 そ れ ぞ れ の グル ー プ に つ い て住 居 規 模(nA)と 持 家 率(Po) の 部 分 相 関 を も とめ る と次 の よ う に な る。
(1)Uグ ル ー プ に つ い て、r=0.7366で つ よ い正 の相 関 を示 し、Poの 低 率 化 はnAを 切 り下 げ て い る こ とが わ か る。 (2)Nグ ル ー プ に つ い て は 、r=0.8164で きわ め て つ よ い正 の 相 関 を示 し、北 方 系 の 風 土 性 の 中 で 、 す な わ ち 大 型 化 の 中 で で は あ る がPoの 低 率 化 はnAを 切 り下 げ て い る こ とが わ か る。 (3)Cグ ル ー プ に つ い て は 、r=0.3201で ほ とん ど相 関 性 を示 さ な い 。 とい う こ と は、風 土 性 が 優 位 で あ る こ と を示 して い る。 (4)Sグ ル ー プ に つ い て は 、r=-0.2302で 相 関 性 を示 さ な い だ け で な く負 の 値 す ら と っ て い る。この グ ルー プ の 住 居 規模nAは 持 家 率Poと 全 く無 関係 で あ り、風 土 性 が 決 定 的 に あ ら わ れ て い る こ とが わ か る。 以 上 か ら、4つ の グ ル ー プ は 次 の よ うに要 約 され よ う。 Uグ ル ー プ 非 風 土 的 都 市 狭 小 住 居 地 域(非 風 土 的 階 層 性) Nグ ル ー プ 北 方 風 土 的 大 型 住 居 地 域(北 方 風 土 的 階 層 性) Cグ ル ー プ 準 南 方 風 土 的 中型 住 居 地 域(準 南 方 風 土 的緩 階 層 性) Sグ ル ー プ 南 方 風 土 的小 型 住 居 地 域(南 方 風 土 的 非 階 層 性) 前 節 の は じめ に 設 定 した住 空 間規 模 の 決 定 因、す な わ ち社 会 階 層 的 因 子 と 自然 風 土 的 因 子 は 、 地 域 に よ って 異 っ た あ らわ れ 方 を して い るが 、Uグ ル ー プ で は 社 会 階 層 的 因子 の 一 方 的 な作 用 が み られ 、Nグ ル ー プ で は 両 因子 が 同 時 的 に作 用 し、Cグ ル ー プ で は 自然 風 土 的 因 子 が 社 会 階 層 的 因 子 よ り優 位 に作 用 し、Sグ ル ー プ で は 自然 風 土 的 因 子 の 一 方 的 な作 用 が 結 論 づ け られ る 。 ち な み に 、本 論 の 対 象 地 域 を含 む 北 陸 地 方 はNグ ル ー プ に所 属 し、北 方 風 土 に お け る 高持 家 率 地 帯 に あ り、そ の 結 果 と し て全 国 で も トップ レベ ル の 住 空 間量 を もつ に 至 って い る。 お そ ら く、 この 事 実 は対 象 地 域 の 各 種 の 住 居 種 を追 跡 す る際 の 基 本 的視 点 とな ろ う。
表0-4地 域 住 居 規 模(nA)と 持 家 率(Po)の 相 関(1968年) グ nA Po グ nA Po グ nA Po レ ー ノ 地 域 住居規 模 持家率 ル 1 地 域 住居規 模 持家率 ノレ 1 地 域 住居規 模 持家率 プ (m・) (%) プ (m・) (%) プ (m・)一1(%) 13東 京 50.2 41.0 02青 森 90.2 73.3 C 08茨 城 75.9 76.2 14神 奈 川 54.6 49.4 03岩 手 96.0 74.7 グ 09栃 木 79.0 74.0 ル 26京 都 76.8 58.0 N 05秋 田 107.6 83.0 1 24三 重 81.8 75.4 グ プ 27大 阪 54.1 39.6 ル 06山 形 102.2 81.7 都 市 化 25滋 賀 101.4 79.8 28兵 庫 69.8 50.7 1 プ 07福 島 89.7 69.4 の よ わ い 地 域 29奈 良 92.2 67.5 U グ ル Ol北 海 道 11埼 玉 66.7 66.0 47.6 63.1
廓
市 15新 潟 16富 山 117.7 126.5 80.8 84.7 (関 東 東 海 近 畿 31鳥 取 32島 根 97.0 95.3 77.1 81.4 ー プ 12千 葉 65.3 65.0 化の 17石 川 120.1 78.5 中国) 33岡 山 86.9 7LO 著β 23愛 知 76.8 54.9 わよ 18福 井 115.4 80.9 8地 域 平 均 88.7 75.3 市 34広 島 77.1 59.9 い 10群 馬 87.4 71.3 S 36徳 島 74.4 75.6 化 の 40福 岡 67.8 48.4 地 域 19山 梨 94.6 76.3尤
1 37香 川 84.2 73.5 つ よ い 04宮 城 22静 岡 79.4 78.0 65.5 68.3策
北 20長 野 21岐 阜 107.1 102.9 77.2 73.5 ズ饗
38愛 媛 39高 知 77.1 69.9 69.1 72.3 地 ■ 化 域 30和 歌 山 71.8 66.9 北?
41佐 賀 94.3 73.9 35山 口 84.5 64.2 陸 わ 42長 崎 71.9 65.3 ● レ、 内磯
43熊 本 78.6 71.1睦
西 44大 分 78.8 69ユ 国 九 45宮 崎 65.8 74.2 狸 46鹿 児 島 56.1 77.5 15地 域 平 均 69.3 56.2 13地 域 平 均 104.4 77.3 10地 域 平 均 75.1 72.2 資料)住 宅統 計調 査報 告(昭 和43年)(住 居 規模 は小 数第2位4捨5入) 3.5住 空 間 の 基 本 構 成 部 分 前 項 まで に、住 空 間 の 地 域 差 を トー タ ル な住 空 間 規 模 と い う観 点 か ら検 討 した が 、本 項 と次 項 で は 住 空 間 の 内容 に つ い て い さ さか 検 討 を加 え て お き た レ㌔ こ こ で い う住 空 間 の 内 容 とは 、住 空 間 の 構 成 に か か わ る基 礎 的 な構 成 部 分 諸 量 の こ とで あ る。 ま た 、そ の 地 域 差 か ら住 空 間 構 成 の 地 域 性 を概 括 的 に把 えて お きた い とお も うの で あ る 。 その た め 、あ らか じめ 住 空 間構 成 部 分 の分 類 視 点 を設 定 し、そ の分 類 に も とつ い て 構 成 部 分 の 空 間 量 を求 め 、 これ と住 空 間規 模 との 相 関性 を検 討 して 住 空 間構 成 の 地 域 性 を把 え る 。住 空 間 の 基 本 的 組 織 につ い て は 図0-10に み られ る よ うに 、勝 手 ま わ り、居 間 まわ りの2つ の部 分 が あ る。 「流 」、 「炉 」の 配 置 さ れ る勝 手 ま わ りは、 伝 統 的 な 民家 に お い て は お お む ね ドマ と して 空 間 化 さ地 域 住 居 規 模(nA)と 持 家 率(Po)の 相 関 図0-9 90 80 70 持 家60 率 爲 兎 星50 40 30 130' 120 110 90100 住 居 規 模(nA、mり 80 70 60 50 注)地 域Nαは表0-4に 一 致 して い る れ 、 「卓 」、 「褥 」に よ って 象 徴 さ れ る居 間 まわ りオ エ(御 上 、 上 足 ス ペ ー ス)と して 空 間 化 され て い た。 住 居 の発 生 史 に お い て 、 も っ と も原 始 的 な タ テ 穴 住 居 は す べ て ドマ の住 空 間 で あ るが 、 ドマ の 一 部、お そ ら くコー ナ ー に 干 草 や 獣 皮 を敷 く こ とに よっ て オ エ 的 に 使 用 して い た で あ ろ うが 、後 、 住 空 間 に ユ カが 発 生 し、主 と して 寝 所 と して これ が 使 用 さ れ るに い た って 、 ドマ とオ エ が 住 空 間 内 の2大 機 能 分 化(2大 空 間分 化)と し て あ らわ れ る こ と に な る。 い わ ば ドマ は 住 生 活 の 基 礎 部 分 を受 け もち、 オ エ は そ の 上 に た っ て展 開 さ れ る居 住 部 分 を受 け もつ こ と に な っ た 。 この よ うな ドマ とオ エ とい う住 空 間 の2つ の 基 本 的分 類 は 、現 代 の住 空 間 を考 え る場 合 に も有 効 で あ り、 よ り普 遍 的 に は ドマ をサ ー ビス 系 空 間 、オ エ を リ ビ ン グ系 空 間 に対 応 させ る こ とが で き る。 こ こ で 、 そ れ ぞ れ の 現 代 的状 況 を み て お く と、 (1)サ ー ビス 系 空 間(略 記 、S系 空 間)玄 関 、 台所(炊 事 場)、 浴 室 、 便 所 、 廊 下 、 階段 、 押 入 、物 置 、 ドマ な ど非 居 住 用 の 空 間 で あ る が 住
生 活 に とっ て 不 可 欠 な 空 間 (2)リ ビ ン グ系 空 間(略 記 、L系 空 間)居 間(茶 の 間)、 寝 室 、座 敷 、 応 接 間 、 書 斎 、 仏 間 な ど居 住 用 の 空 間で 起 居 の場 とい うこ と に な る。S系 空 間 の面 積 をS、L系 空 間 の面 積 をLと す る と、住 空 間 の 規 模Aと の 間 に は 、 専 用 住 宅 の 場 合 、 A=S十L(1) 図0-10住 空 間 の 基 本 組 織 資 料)日 本 建 築 学 会 『建 築 設 計 資 料 集 成 ・1』(第18版)の 部 分 引 用 。S系 、L系 空 間 は 筆 者 記 入 。 の 関 係 が な り た つ 。 い ま 、 資 料(住 宅 統 計 調 査 報 告)か ら判 明 す る 諸 量 は 次 の と お り で あ る 。 A=延 べ 面 積(mり L=居 住 室 の 畳 数X1.65(m2) (1)か ら 、S=A-L(m・) ま た 、L系 空 間 に お け る 室 分 割 の 仕 方 を み る た め に 、 Rn=居 住 室 数(室) Ra=室 規 模=1居 住 室 あ た り畳 数 ×1.65(m・) が 有 効 で あ る 。 住 空 間 構 成 の 地 域 差 を み る た め 、 こ れ ら の 諸 量 の 関 係 を 次 に 検 討 す る 。 3.6基 本 構 成 部 分 の 地 域 差 住 空 間規 模Aの 大 小 は、住 空 間構 成 部 分 の 大 小 に大 き くか か わ って い る こ とが 図0-11に よ っ
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て よ くわ か る 。 そ こ で 、AとL、S、Rn、Ra諸 量 と の 相 関 関 係 を 求 め る 次 の よ う に な る 。 (1)住 空 間 規 模(A)とL系 空 間 規 模(L)の 相 関 AとLの 相 関 関 係 は 、 相 関 度r=0.9428で き わ め て つ よ い 正 の 相 関 を 示 す 。 関 係 式 は 、 L(A)=0.4375A十3.78(1) と な る 。 住 空 間 規 模 の 増 大 は 、 正 比 例 的 にL系 空 間 の 増 加 に つ な が っ て い る 。 (2)住 空 間 規 模(A)とS系 空 間 規 模(S)の 相 関 AとSの 相 関 関 係 は 、 相 関 度r=0.9642で き わ め て つ よ い 正 の 相 関 を 示 す 。 関 係 式 は 、 S(A)=0.5625-3.78② と な る 。S系 空 間 もL系 空 間 と 同 様 、 住 空 間 規 模 と正 比 例 的 な 関 係 に あ る 。 以 上 の 結 果 か ら 、 住 空 間 規 模 の 増 大 は 、L系 空 間 、S系 空 聞 い ず れ も 同 様 に 正 比 例 的 に 増 加 さ せ て い る こ と が わ か る 。 事 実 、 図 に 示 し て い る よ う に ど の 地 域 に お い て も 、L系 空 間 とS系 空 間 の 割 合 は 約50%で 、両 空 間 が 全 住 空 間 を 折 半 し て い る 。す な わ ち 、両 空 間 の 配 分 比 率 に つ い て は 地 域 差 が み と め ら れ な い 。 次 に 室 数 に 移 る 。 (3)住 空 間 規 模(A)と 室 数(Rn)の 相 関 AとRnの 相 関 関 係 は 、 相 関 度r・=0.8947で こ れ も き わ め て つ よ い 正 の 相 関 を 示 し て い る 。 関 係 式 は 、 Rn(A)ニ0.0284A十1.80(3) と な る 。 住 空 間 規 模 の 増 大 は 、 室 数 を 正 比 例 的 に 増 加 させ て い る 。 (4)住 空 間 規 模(A)と 室 規 模(Ra)の 相 関 AとRaの 相 関 関 係 は 、 相 関 度r=0.6727で 先 のL,、S、Rnに 比 べ て や や よ わ い が 正 の 相 関 が 認 め ら れ る 。 関 係 式 は 、 Ra(A>=0.0372A十6.94(4) と な る 。 上 の 室 数 と の 関 連 で み る と 、 住 空 間 規 模 の 増 大 は 室 数 、 室 規 模 と も に 増 加 さ せ る が 、 そ の 際 ウ エ イ トの お か れ る の は 室 数 で あ り、 室 規 模 は2次 的 に 扱 わ れ る 傾 向 が あ る 。 こ れ は す ぐれ て 現 代 的 な 現 象 と い え る で あ ろ う。 戦 後 の 現 代 に お い て は 、 家 族 室 、 個 室 の 要 求 が 高 ま り室 数 の 需 要 が 室 規 模 の そ れ を 上 ま わ っ て い る の で あ る 。