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液晶ディスプレイの発展の背景

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Academic year: 2021

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液晶ディスプレイ開発を支える偏光解析技術 なり集

液晶ディスプレイの発展の背景

内 田 龍 男

(東北大学大学院工学研究科) 液晶ディスプレイ(LCD)の本格的研究開発が始まって,35年余になる.当初,有 機物でしかも液体という,それまでのエレクトロニクス材料の常識を覆すものであっ たため,寿命などの点で大きな疑問がもたれたが,日本では化学,物理,電子工学の 専門家が集まって幅広い研究開発が展開された.液晶の純度,寿命, 子配向,電気 光学的特性の解析,ディスプレイへの応用の研究が幅広く行われ,数字表示器から 徐々に進化を遂げて今日の大型液晶テレビに発展している. このような発展を振り返ったとき,液晶が潜在的に高い能力をもっていたのか否か を再度検討してみるのは興味深い.当初,液晶が最も着目された理由は発光のための エネルギー注入の必要がなく,本質的に低電力であることであった.1950年当時,電 子機器は机上サイズを達成し,次の目標としてハンディサイズを目指していた.この ため,電池駆動が必要となり消費電力数百 mW 以下が目標とされた.これが半導体で は CMOS 回路,ディスプレイでは液晶を主役の座に据えることになった.続いて,電 子機器は電卓からワープロ,パソコンへと発展し,それに対応して LCD も数字表示か ら文字表示,画像表示へと進化していった.これに伴って数十∼数千個の駆動用半導 体回路が必要と いう幸 積回路(IC)の高密度化が求められたが,そのためには低電圧 と低電流が重要であり,これを可能にするには液晶が最も適していた.その後も LCD の高精細化が続き,コントラストや明るさの低下を改善するために各画素に薄膜トラ ンジスター(TFT)を付加することになった.ここで液晶の低電圧・低電流が再び幸 いして TFT にアモルファスシリコンを用いることができ,これが現在の大画面・高 性能化を可能にすることになった.なお,このような液晶の特長と将来性は当初から 論じられていたことである. このように えると,LCD の発展は,半導体技術と情報技術の進化にタイミング良 く整合していたと は,個 運に恵まれたこともあるが,それに応える潜在的能力を備え ていたことが重要である. 材料デバイスの研究では,とかく新しいものに薄く広く投資して,そのうちのいく つかの開発が完成したころには技術が発散して競争力が失われているようなことがし ばしばみられる.しかし近代の科学技術開発において らいを 々の優れた特性もさるこ とながら,世の技術の潮流と適合した潜在的性能を有しているかどうかを見極めて, 研究,開発,産業の指針をたて,一旦ね いく仕 定めたら命運をかけると共に,これを 社会全体として重点的に支援して 組みが重要ではないかと思う.

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