• 検索結果がありません。

ヒレの形態再生機構に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ヒレの形態再生機構に関する研究"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

ヒレの形態再生機構に関する研究

著者

植本 俊明

17

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

生博第391号

URL

http://hdl.handle.net/10097/00127797

(2)

東北大学第64号

博士論文内容の要旨及び

審査結果の要旨

生 命 科 学 第 17 集(課程博士)

(令和元年度授与)

東 北 大 学

令 和 元 年 度

(3)

氏 名

学 位 の 種 類

学 位 記 番 号

学 位 授 与 年 月 日

学 位 授 与 の 要 件

研 究 科 , 専 攻

博士論文審査委員

うえもと としあき

植本 俊明

博士(生命科学)

生博第391号

令和2年3月25日

学位規則第4条第1項該当

東北大学大学院生命科学研究科

(博士課程)生命機能科学専攻

ヒレの形態再生機構に関する研究

(主査) 教授 田村 宏治

教授 熊野 岳

助教 中嶋 悠一朗

(4)

論文内容の要旨

魚類は高い再生能力を持ち、なかでも尾ヒレは器官再生研究のモデルとして 幅広く用いられてきた。尾ヒレは支持構造である鰭条 (きじょう) とそれを繋ぐ 鰭膜(きまく)から成り、その再生過程は以下のように行われる:鰭条の先端 部が傷上皮に覆われ、その直下に集積する未分化な間充織細胞から構成される 再生芽が形成される。再生芽中の未分化間充織細胞は増殖と分化を繰り返し、 失った組織を正確に再生する。 ゼブラフィッシュの尾ヒレは長さの異なる約 16-18 本の鰭条で構成され、全体 として双葉型の形態を持つ (図 1)。尾ヒレ再生では、鰭条が適切な長さに再生 することにより元通りの形態を復元するが、鰭条の長さ再生する長さがどのよ うに制御されているのかは未解明である。そこで本研究では、鰭条の再生する 長さの制御機構について、二つの観点(1:位置記憶と2:全身性シグナル)から解明に取り組 んだ。 1. 切除位置依存的な鰭条の再生する長さの制御機構 魚類と同様に高い再生能力を持つ両生類の四肢再生では、 切除された四肢の先端に形成される再生芽細胞が自身の器 官内での相対的な位置の情報(位置記憶: 図 2 左)を持って おり、その情報を用いて失った組織のみを正確に再生する と考えられている。しかし、魚類のヒレ再生において、鰭 条の再生する長さが位置記憶に基づいて制御されているの かは不明である。鰭条が再生する長さは、再生が行われる 時間 (再生期間) と再生期間中の鰭条の成長する速さ (成長速度) によって決まっていると考え られる。そこで、本研究では再生する鰭条の長さを決める再生期間、成長速度の位置依存性を調 べることで、鰭条の再生する長さの決定への位置記憶の関与を検証した。 まず、尾ヒレを 2 通りの方法で切除し、各鰭条の再生過程の位置依存性を調べた。尾ヒレを背 -腹軸方向へ水平に切除した場合では、切除前の長さが長い鰭条は切除前の長さが短い鰭条に比 べて再生期間は長く、成長速度は大きかった。尾ヒレの背側の鰭条と腹側の鰭条を基部-先端部 軸方向に異なる位置で切除した場合では、基部側で切除した鰭条の方が先端部側で切除した鰭条 よりも再生期間は長く、成長速度は大きくなる傾向が見られた。統計解析において、再生期間と 成長速度は鰭条の切除した長さと相関していたことから、再生期間と成長速度は基部側から切除 位置までの距離ではなく、鰭条先端部から切除位置までの距離 (切除した長さ) によって決まっ ていることが示唆された。これらの結果から、切除された鰭条は自身が失った部分を認識し、再 生期間と成長速度の両方を制御することで失った長さを正確に再生する、すなわち双葉型の形態 を再生すると考えられる。さらに、鰭条の切除部位付近の太さと再生する長さの関係の解析から、 切除部位付近の組織状態が位置記憶として鰭条の再生する長さの決定に寄与している可能性が 示された (図 2 右)。 2. 体サイズ変化に相関した鰭条の再生する長さの制御機構 7 6 5 4 7 6 IGF1a GHa ( ) ( 3 ) 2 ( 3 ( ) ) ( 7 6 5 4 7 6 IGF1a GHa ( ) ( 3 ) 2 ( 3 ( ) ) (

(5)

ゼブラフィッシュは一生を通じて成長し続ける (体が 大きくなり続ける) 性質を持ち、尾ヒレ再生期間中に体 サイズを増加させた場合には、鰭条は体サイズの増加量 を反映した長さ (切除前よりも長い) を再生した。また、 体サイズの増加量に関係なく再生にかかる時間 (再生期 間) はほとんど変化しなかったことから、体サイズの増 加時には同時に尾ヒレの成長も促進されることで、切除 前よりも長い鰭条が再生することがわかった。これらの結果から、再生する鰭条の長さの制御に は “体サイズ変化の情報” という尾ヒレ外からの情報が関与している可能性を考えた。そこで、 本研究では個体の成長を全身性に制御するホルモンである成長ホルモン (growth hormone, GH) とその下流にあるインスリン様成長因子 (insulin-like growth factor, IGF) に着目し、尾ヒレ再生期 間中における体サイズの増加および鰭条の成長促進への関与を調べた。

まず、体サイズ増加への関与について、尾ヒレ再生中の個体では体サイズ増加に相関して脳下 垂体における GHa の発現量の増加が見られたこと、GH の投与により再生期間内における体サ イズ変化量が増加したことから、GH は体サイズの増加に関与することが示された。次に、鰭条 の成長促進への関与について、尾ヒレ再生において IGF1a は IGF1 受容体 (IGF1r) を介して再生 芽細胞の増殖を促進することが報告されていることから、GH は尾ヒレ内の IGF1a の発現制御を 介して鰭条の再生成長を促進しているのではないかと考えた。実際に、体サイズ増加に相関して 尾ヒレ内の IGF1a の発現量の増加が見られたこと、GH 受容体の下流シグナル経路の阻害により IGF1a の発現量の低下が見られたことから、GH は体サイズの増加を促進すると同時に、鰭条の 成長を促進している可能性が示された。したがって、体サイズ変化時には GH シグナル量が尾ヒ レに“体サイズ変化の情報”として伝達され、尾ヒレは受け取った GH シグナル量を IGF1 シグ ナル量に変換することで、体サイズ変化を鰭条の再生する長さに反映させているのかもしれない (図 3)。

(6)

論文審査結果の要旨

魚類は高い再生能力を持ち、なかでも尾鰭は器官再生研究のモデルとして幅広く用 いられている。尾鰭はその支持構造である鰭条を含み、その再生過程では、まず鰭条 の先端部が傷上皮に覆われ、その直下に集積する未分化な間充織細胞から構成される 再生芽が形成される。その後、再生芽中の未分化間充織細胞は増殖と分化を繰り返し、 失った組織を正確に再生する。ゼブラフィッシュの尾鰭は長さの異なる16-18 本の鰭 条で構成され、全体として双葉型の形態を持つ。尾鰭再生では、鰭条が適切な長さに 再生することにより元通りの形態を復元するが、鰭条の長さ再生する長さがどのよう に制御されているのかは未解明であった。本研究では、鰭条の再生する長さの制御機 構について、二つの観点(1:位置記憶、2:全身性シグナル)から解明に取り組ん でいる。 1:位置記憶。再生する鰭条の長さは、再生が行われる時間 (再生期間) と再生期 間中の鰭条の成長する速さ (成長速度)によって定められると考えられる。そこで、本 研究では再生する鰭条の長さを決める再生期間、成長速度の位置依存性を調べること で、鰭条の再生する長さの決定への位置記憶の関与を検証した。その結果、切除され た鰭条は自身が失った部分を認識し、再生期間と成長速度の両方を制御することで、 失った長さを正確に再生する、すなわち双葉型の形態を再生することが示された。さ らに、鰭条の切除部位付近の太さと再生する長さの関係の解析から、切除部位付近の 組織状態が位置記憶として鰭条の再生する長さの決定に寄与している可能性が示され た。 2:全身性シグナル。まず、尾鰭再生期間中に体サイズを増加させた場合に、鰭条 は体サイズの増加量を反映した長さを再生することを見出した。また、体サイズの増 加量に関係なく再生にかかる期間はほとんど変化しなかったことから、体サイズの増 加時には尾鰭の成長が促進されることで切除前よりも長い鰭条が再生することもわか った。同時に、再生する鰭条の長さの制御には “体サイズ変化の情報” という尾鰭 外からの情報が関与している可能性も示唆された。さらに、個体の成長を全身性に制 御するホルモンである成長ホルモン (growth hormone, GH) とその下流にあるイン スリン様成長因子 (insulin-like growth factor, IGF) に着目し、尾鰭再生期間中にお ける体サイズの増加および鰭条の成長促進への関与を調べた。その結果、GH は体サ イズの増加を促進すると同時に、鰭条の成長を促進している可能性が示された。これ らの結果から、体サイズ変化時にはGH シグナル量が尾鰭に“体サイズ変化の情報” として伝達され、尾鰭は受け取ったGH シグナル量を IGF1 シグナル量に変換するこ とで、体サイズ変化を鰭条の再生する長さに反映させている可能性を考察した。 これらの内容は、本論文の著者が、自立して研究活動を行うに必要な高度の研究能力 と学識を有することを示している。したがって、植本俊明提出の論文は、博士(生命 科学)の博士論文として合格と認める。

参照

関連したドキュメント

 哺乳類のヘモグロビンはアロステリック蛋白質の典

食品 品循 循環 環資 資源 源の の再 再生 生利 利用 用等 等の の促 促進 進に に関 関す する る法 法律 律施 施行 行令 令( (抜 抜す

試験音再生用音源(スピーカー)は、可搬型(重量 20kg 程度)かつ再生能力等の条件

再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(以下「再生可能エネル

再生可能エネルギー発電設備からの

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

) ︑高等研

原子力災害からの福島の復興・再生を加速させ、一日も早い住民 の方々の生活再建や地域の再生を可能にしていくため、政府は、平 成 27