• 検索結果がありません。

細胞外異常タンパク質の除去システムを発見 アルツハイマー病治療薬になる可能性も

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "細胞外異常タンパク質の除去システムを発見 アルツハイマー病治療薬になる可能性も"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

解禁日時: 2020 年 2 月 18 日 23 時(日本時間) 2020 年 2 月 12 日 国立大学法人 千葉大学 千葉大学大学院理学研究院 板倉英祐 助教らのグループは、血液中など細胞外に生じた異常タ ンパク質を細胞が自ら取り込み分解・除去する仕組みを発見しました。細胞の中の異常タンパク 質分解の機能はオートファジーと呼ばれ、近年研究が進んでいますが、細胞の外の異常タンパク 質に対しても細胞が働きかけられることが今回初めて実証されました。異常タンパク質の中には、 アルツハイマー病の発症を引き起こすアミロイドβが含まれており、この仕組みによってアミロ イドβの分解も促進されることから、アルツハイマー病治療への将来的な貢献が期待されます。 本研究成果は、2020 年 2 月 18 日に細胞生物学の専門誌「Journal of cell biology」で発表され ます。 ■ 研究の背景 人の体の中には約 2 万種類のタンパク質が存在し、それぞれが様々な機能を保つことで生体恒 常性が維持されています。血液中のタンパク質は細胞間の情報伝達や物質輸送の機能を担ってい ます。しかし、タンパク質は熱ストレスや老化に伴い変性し、機能を失った変性タンパク質に変 わってしまいます。特に、細胞の外はタンパク質にとっては過酷な環境で変性しやすく、変性し

細胞外異常タンパク質の除去システムを発見

アルツハイマー病治療薬になる可能性も

本研究の概要図 A)異常なタンパク質の蓄積はタンパク質凝集体形成を促進し様々な疾患の原因 となる(図左下)。 B)クラステリンと結合した異常タンパク質は、ヘパラン硫酸基を持つヘパラン 硫酸受容体によって捕らえられ、細胞内で分解される。この血液内の異常タン パク質を分解する一連のシステムを発見し、Chaperone and Receptor mediated Extracellular protein Degradation (CRED)と名づけた(図右)。

(2)

たタンパク質が蓄積すると、正常な生体内の機能を阻害します。例えば、異常タンパク質の一つ であるアミロイドβは、蓄積することでアルツハイマー病の発症を引き起こすと考えられていま す。細胞の中の異常タンパク質を分解する仕組みは、オートファジーと呼ばれ、研究が盛んに進 められていますが、細胞の外にある異常タンパク質を細胞が除去する仕組みについては、これま で詳しくわかっていませんでした。 ■ 研究の成果 1. クラステリンが異常タンパク質を捕まえて結合し、分解に導く 今回、研究グループは、クラステリンという細胞外分子シャペロンに着目して解析したところ、 細胞外で変性した異常タンパク質が生じると、クラステリンが特異的に結合して捕まえることを 見出しました。また、クラステリンが取り込まれると細胞が蛍光を発する手法を開発することで、 クラステリンと異常タンパク質の複合体を細胞が取り込み、分解酵素を含む細胞小器官リソソー ム内に運ばれて分解されることも判明しました。 2. ヘパラン硫酸受容体がクラステリン-異常タンパク質複合体を受容 続いて、研究グループ独自のクラステリン取り込み細胞が蛍光を発する手法と、CIRSPR による 遺伝子欠損細胞を組み合わせ、クラステリン分解能を欠損した変異体細胞を探索したところ、ヘ パラン硫酸受容体の同定に成功しました。ヘパラン硫酸受容体は、線状の多糖類であるヘパラン 硫酸基をもつ細胞表面の受容体タンパク質であり、増殖因子やウイルスの受容体となることが知 られていましたが、異常タンパク質の受容体になっていることが今回初めて実証されました。 さらに詳細な解析から、細胞外の異常タンパク質が細胞に取り込まれるまでの一連の除去シス テムが明確になり、クラステリン-異常タンパク質複合体は、細胞表面のヘパラン硫酸受容体との 直接結合によって捕らえられ、細胞内に取り込まれていることが明らかになりました。また、ア ルツハイマー病のリスク因子であるアミロイドβと結合したクラステリン複合体も、同様の除去 システムによって分解できることと共に、この除去システムはほとんどの細胞種がもつ普遍的な 機能であることがわかりました。研究グループは、このシステムを Chaperone and Receptor mediated Extracellular protein Degradation (CRED)と名づけました。

■ 研究者のコメント 今回の研究を主導した千葉大学大学院理学研究院の板倉英祐 助教は、「細胞外の異常タンパク 質を選択的に分解するシステムが見つかったことは、生体恒常性維持の仕組みとして全く新しい 事象の発見となります。この CRED システムを応用することで、細胞外異常タンパク質の蓄積が誘 因となる疾患治療への応用が期待できます」と述べています。 ■ 研究プロジェクトについて この研究は科学研究費補助金若手 A(16H06167)、科学研究費補助金新学術領域研究(16H01194)、 挑戦的研究(萌芽)(19K22413)、武田科学振興財団、内藤記念科学振興財団、中島記念国際交流 財団、上原記念生命科学財団、日本応用酵素協会から支援を受けて行われました。

(3)

■ 論文情報

 論文タイトル:Heparan sulfate is a clearance receptor for aberrant extracellular proteins

 雑誌名:Journal of cell biology

 DOI: https://doi.org/10.1083/jcb.201911126 ■ 過去の関連プレスリリース  「蛍光で見る体内のタンパク質分解の実態、リソソーム病の解明に期待」  千葉大学 2019 年 8 月 23 日発行 本件に関するお問い合わせ 〈研究に関すること〉 千葉大学大学院理学研究院 板倉英祐 電話: 043-290-2778 E メール: [email protected] 〈報道担当〉 千葉大学企画総務部渉外企画課広報室 広報係 電話: 043-290-2018 E メール: [email protected]

参照

関連したドキュメント

2008 ) 。潜在型 MMP-9 は TIMP-1 と複合体を形成することから TIMP-1 を含む含む潜在型 MMP-9 受 容体を仮定して MMP-9

いメタボリックシンドロームや 2 型糖尿病への 有用性も期待される.ペマフィブラートは他の

A 31 抗アレルギー薬 H1受容体拮抗薬(第二世代) オロパタジン塩酸塩 アレロックOD5 A 32 抗アレルギー薬 H1受容体拮抗薬(第一世代)(フェノチアジン系)

システムの許容範囲を超えた気海象 許容範囲内外の判定システム システムの不具合による自動運航の継続不可 システムの予備の搭載 船陸間通信の信頼性低下

図 21 のように 3 種類の立体異性体が存在する。まずジアステレオマー(幾何異 性体)である cis 体と trans 体があるが、上下の cis

脅威検出 悪意のある操作や不正な動作を継続的にモニタリングす る脅威検出サービスを導入しています。アカウント侵害の

・ 教育、文化、コミュニケーション、など、具体的に形のない、容易に形骸化する対 策ではなく、⑤のように、システム的に機械的に防止できる設備が必要。.. 質問 質問内容

• 異常な温度上昇を確認した場合,排 気流量を減少させる措置を実施 酸素濃度 上昇 ⽔素の可燃限界 ※1.