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ダイナミン阻害剤ダイナソアは破骨細胞のアクチンリングを速やかに破壊することで骨吸収を抑制する

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Academic year: 2021

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〔学位論文要旨〕

松本歯学 42:123~124,2016

The dynamin inhibitor dynasore inhibits bone resorption by

rapidly disrupting actin rings of osteoclasts

(ダイナミン阻害剤ダイナソアは破骨細胞のアクチンリングを

速やかに破壊することで骨吸収を抑制する)

G

NANASAGAR

T

HIRUKONDA

JANARDHANAN

松本歯科大学 大学院歯学独立研究科 健康増進口腔科学講座 (主指導教員:八上 公利 准教授)

松本歯科大学大学院歯学独立研究科博士(歯学)学位申請論文

The dynamin inhibitor dynasore inhibits bone resorption by rapidly disrupting actin rings of osteoclasts.

G

NANASAGAR

T

HIRUKONDA

JANARDHANAN

Department of Hard Tissue Research, Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University

(Chief Academic Advisor : Associate Professor Kimitoshi Yagami) The thesis submitted to the Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University, for the degree Ph. D. (in Dentistry) 【背景】  ダイナミンはエンドサイトーシスに重要な役割 を持つ高分子量 GTPase である.ダイナミンは, アクチンが関与する細胞骨格系の制御に必要であ ると報告されている.破骨細胞は骨吸収を担う多 核細胞で,アクチンリングとして観察される明帯 を骨面に構築して骨吸収を行う.我々は,これま で破骨細胞の骨格調節に関わる様々な因子の役割 を解析してきた.今回,マウス破骨細胞の細胞骨 格制御にどのようにダイナミンが関わるかを,ダ イナミンの GTPase に対する特異的阻害剤ダイ ナソアを用いて解析した.また,ダイナソアをマ ウスに投与して,骨吸収に対するダイナソアの in vivo 効果を解析した. 【方法と結果】  マウス骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養により形 成された破骨細胞を実験に用いた.①破骨細胞を 象牙切片に播種し,ダイナソア存在下あるいは非 存在下で培養した.48時間後,F─アクチン染色 によりアクチンリングを 観 察 した.ダイナソア は,アクチンリング形成を濃度依存的に抑制し た.ダイナソア50mM は破骨細胞の生存は抑制 しなかったが,アクチンリングはほぼ完全に消滅 した.破骨細胞を除去後,マイヤーのヘマトキシ リン液で吸収窩を染色し,吸収窩形成に対するダ イナソアの作用を解析した.ダイナソアは吸収窩 形成も濃度依存的に抑制した.②Ds–Red を融合 させたβ─アクチンを発現した破骨細胞を用い,

(2)

松本歯学 42⑵ 2016 124 アクチンリングの破壊に対するダイナソアの効果 をタイムラプスイメージングにより調べた.その 結果,ダイナソアは30分以内にアクチンリングを 破壊することが明らかになった.③抗ダイナミン 抗体を用い,ダイナミンの局在に対するダイナソ アの効果を解析した.ダイナミンは破骨細胞のア クチンリング部位に局在した.ダイナソアを添加 すると,アクチンリングの消滅に伴い,ダイナミ ンは細胞質に拡散した.④ダイナソアの骨吸収抑 制 作 用 をin vivo で 評 価 するため,ダイナソア (50 mg/kg,100mg/kg)をマウスに腹腔投与し た.60分後に頭蓋骨を取り出し,頭蓋骨に存在す る破骨細胞のアクチンリングを観察した.破骨細 胞の構築するアクチンリングは,ダイナソア投与 により濃度依存的に破壊された.⑤RANKL 誘導 性の骨吸収亢進モデルを用い,ダイナソアの投与 効果を解析した.RANKL を 3 日間マウスの腹腔 に投与し,大腿骨の骨量が有意に低下することを マイクロ CT により 確 認 した. ダイナソアは RANKL 投与の 1 日前から 4 日間腹腔投与した. その結果,ダイナソア投与は,RANKL 投与によ り誘導される骨量減少を有意に回復させた. 【考察】   ダイナミンの GTPase に対する特異的阻害剤 ダイナソアを用いた実験より,ダイナミンの GT-Pase 活性は破骨細胞が担う骨吸収作用に必須で あることが明らかになった.ダイナミンはアクチ ンリングに存在することより,ダイナミンの GT-Pase 活性は破骨細胞の細胞骨格系の構築と維持 に必須であることが証明された.以上より,ダイ ナソアおよびその誘導体は,骨粗鬆症や歯周病に おいて誘導される骨破壊の抑制薬の開発を目指し た種子化合物となる可能性が示された.

参照

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