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埋込式体積歪データの精密補正及び異常識別について

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験 震 時 報 第59巻 ( 1995) 7 --29頁

埋込式体積歪データの精密補正及び異常識別について

石垣祐三*

Precise Corrections and Detecting Abnormal Changes of Volume Strainmeter Data

Yuzo ISHIGAKI

(Received June 13,1995 : Accepted September 26,1995) Abstract

7

Borehole type volume strainmeters are now in operation at 1610cations in the Tokai District. As a first step of the study, their responses to barometric change and precipitation have been investigated.

For barometric change time-lag effect and seasonal variation of response coefficient changes are investigated. As a.result, the single correlation method now in operation is available for practical use.

To remove the effect of precipitation the tank-model method and autoregressive (AR) model method are applied. Smooth correlation data wave obtained by the AR-model method rather than the tank-model.

Next using standard deviations of the corrected volume strainmeter data, some examinations were done to detectabnormal changes.

The examinations showed, volume strain changes at Higashi-izu associated with earthquake swarms eastern off Izu Peninsula, changes of unknown origin around the Omaezaki in 1987 and 1992, and so on are detected clear ly. ~ 1. はじめに 気象庁では,東海地震の短期直前予知を目的として, 東海地方の16地 点lこおいて埋込式体積歪計(以下,体積 歪計と記す)による観測を実施し,その変化を地震防災 対策強化地域判定会 f以下,判定会と記す)招集の基準 としている.体積歪データには気圧変化等種々の環境の 影響が含まれている. このデータを高精度で監視するた めに,現在では, リアルタイムで気圧補正(櫓皮ら, 1983),潮汐補正(石黒ら, 1984)を行っている. しか し降水の影響を定量的にリアルタイムで補正する技術 についてはまだ確立されていない. 本稿では,降水量データを用いて時間値レベルで雨量 補正を行う方法について紹介する. また,この補正方法により,精密に補正された体積歪 データを用い,統計処理を行った後,客観的な異常識別 変化等が明瞭に識別された. ~ 2. 体積歪データの補正 異常識別を行うための前処理として,気圧,降水等の 影響の除去について考える.なお,本節以降は特にこと わらないかぎり,時系列は時間値データ(体積歪,気圧 データ:正時を中心とする5--10分平均,降水量:前1 時間雨量)を用い,対象とする体積歪計の観測地点、は, 東海地区16地点、とする. 2.1 気圧補正 槍皮ら(1983)は,次式による気圧補正を行い,良好 な補正結果を得た.

y'=y+

a

P

+C

(1) y':気圧補正歪 • Y:観測した歪

a

一次回帰係数(以下,気圧係数) P:観測した気圧 C:定 数 を試みた この方法による気圧補正方法を確かめるために次の 2 その結果,伊豆半島東方沖の群発地震による体積歪変 点について調査した. 化,御前崎周辺の観測点の1987年 及 び1992年に集中した一 a)気圧の影響の遅延効果があるか. b)気圧係数の季節変化があるかー *地震津波監視課 まず, a) のために(1)式を次式のように拡張する. * Earthquake and Tsunami Observation Division

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8 験 震 時 報 第59巻 第1---2号 Y¥=Y"+Zoa g

P

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(

2

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(2)式の最大遅延時間 m及び各遅延時間毎の気圧係数の 算出には, A 1 C最小化法を用いる(赤池ら(1972)). なお,

m =

0の時は, (2)式は, (1)式と同ーとなる. データの前処理としては,降水の影響を避けるために, 降水のない期間を用い,気圧,体積歪データとも l次式 によるトレンド除去を行い,潮汐成分の除去のため.12 時間, 24時間のバンドカットフィルターをかけた後,檎 川ら(1983)の方法と同様に30---80時間のバンド、パス フィルターをかけた.最大遅延時間は24時間まで計算し た.結果を第 l表む示す. 第.1.表によると,特に一定の次数を示す地点はない. そして,ほとんどの地点で次数0となった期間があるこ と,決定された係数は0次の係数が他の係数に比べて 1 桁以上大きいこと,遅延効果のあるモデルで補正しても, 実用レベルでは大差がな<-.必ずしも単相関の場合より もよいとはいえないこと(第1図)などが得られた. 今回の解析方法ではノイズ等の混入によるデータの不 安定から求めるAIC最小となる解が定まらないことが 考えられ,時間値レベルの気圧の遅延効果が全く存在し ないかどうかについては不明である.実用レベルでは気 圧の遅延効果がないとしても問題はないと考えられる. 次にb)のために,遅延効果なしとして, 1回の解析 対象期間(スパン)を14日間,次の解析のスパンのはじ めを前の対象期間のはじめからずらす期間(シフト)を 3日間として順次解析しなるべく l年以上の長い期間 を対象に各地点の気圧係数を求め,相関のょいところを スパンの中央に対応する位置にプロットした(第2図a, b, c). この結果からは特に季節変化は認められない.また, 同一観測点の1992年1月と9月の体積歪及び気圧データ (上述のフィルター処理後の)時間値プロット(第3 図〉からも有意の差は認められない. l回の降水に対して降水時間帯は気圧の低い期間にほ ぼ一致しており,このため気圧低下による体積歪の伸び と,降水による縮み量とが一般的な観測点では相殺され る傾向にある. この傾向は,降水量の多い暖候期におい て顕著となり,この期間の解析結果は,相関が悪くなる とともに見かけの気圧係数は小さくなる.降水により体

Table 1 Order of time-lag model that gives minimum AIC

Numbers of the table indicate the order of time-lag model that gives minimum AIC on the regression analysis for barometric response.

(unit:hour)

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埋込式体積歪データの精密補正及び異常識別について 9

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山 羽 田

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Fig.1 Comparison of corrected barometric effect between with delay and without delay method

積歪が伸びる石廊崎(本稿の対象観測点では同観測点と 三ケ日だけがこの傾向にある)の気圧係数のプロット (第2図c)では,夏期は相関係数が悪いためプロット されていないが, 3月から4月に気圧係数が見かけ上大 きくなる傾向が見られる. 櫓皮ら(1983)は,各観測点の各月の係数をプロット して季節による気圧変動を論じているが,これらは,相 関係数として0.90まで許した値を扱っており,先程述べ た傾向が見られる.地下水位が年周期を示すことは一般 に知られており,地下水位により地盤の状態が変化し それにより気圧係数が変化することは可能性として考え られる.しかしこれらの変化はスパンを1月程度と今 回の調査より長く取ったために主に降水のため気圧係数 の推定に誤差が混入した時期も議論の対象に含めたこと による見かけの係数の変化であると筆者は考える. この節における結論としては,体積歪に対する気圧補 正は,遅延効果及び季節変化はないとしても実用上は差 し支えないと考える. 2.2 潮汐補正 本稿では,特に潮汐についての調査は行わなかった. 気象庁では, BAYTAP-Gにより,あらかじめ求め ておいた潮汐応答係数を用いた潮汐補正を行っている. これは弾性体としての地球潮汐のみならず,海洋潮汐に よる荷重変化の影響まで含めた変動の除去を目的として おり,ほとんどの地点で良好に補正されている.ただし 海岸線に近い地点(石廊崎,網代等)ではもともとの海 洋潮汐の影響が大きく十分には取り除かれていない.今 後この問題についての調査が含まれる. 2~ 3 降水補正 体積歪計データは,一般に降水直後に縮み,その後数 日間を掛けてゆっくりと伸びて,元のトレンドに戻る. 降水による影響を推定するには, a)タンクモデル, b) A Rモデルの2つの方法があり,本稿ではこれらの 方法を試みた.また,この他に地下水位を測定し,その 結果を用いて補正する方法(小泉・吉田(1989))があ る.本稿では,観測点のすべてには水位計が設置されて いないこと,また,最近更新された体積歪計はケーシン グと坑の隙聞がフルホールセメンティングで埋設され, 観測井内の水位は帯水層付近に設けられた通水孔周辺の 水圧を反映するが,その変化は個々の降水には対応して いないことから,地下水位を用いた方法については取り 扱っていない. a)タンクモデルによる補正では,二瓶ら(1983)が三 ケ日観測点において浜松測候所の降水量から5段のタン クモデルを用いて長周期の降水応答を解析している.本 稿では,一般性のある 2段のタンクモデルによる方法 (田中, 1979)を用いた.適用したタンクモデルの原理 を簡単に示す(第4図). ここでE:蒸発定数(血阻/hour),R:敷居値 (mm), A 1, A 2 流 出 時 定 数 (1 /hour,) H 1, H 2 ボックス1. 2の水位

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単位時間, P : d

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時 間 の 雨 量

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(

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)

と置き,

H

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[

r=44H

肌l( と定義すると (H l( t)>~R) (Hl(t)<R) (3)

H1(t+dt)r

=H1

(tトA1.Hr・dt+P(t:dt)-E・dt(H1<HO)

l

=HO (Hl>=HO)(4) である. これらを用いて H2(t+dt)=( 1-A2・dt)・H2(t)+Al・Hr.dt (5) ここから得られるH2と対象する物理量(体積歪)を 結び、つけて考える.解析に当たっては主にパラメータA 1 , A 2を試行錯誤により変えながら, H 2の水位と体 積歪データの時系列の形を合わせ,さらに他のパラメー タについても調整していく.1989年のデータで大まかな

(4)

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Fig.2 Barometric response coefficients change (Gamagori(al. Fujieda(bland Irozaki(cl). Periods: upper figure1985-1993 lower figure1993

パラメータを合わせ,これを1985--1991年のデータに当 てl回計算し,得られたH L H 2を初期値として用い, てはめる方法を取った.水位はほぼ年周期で変動するこ 1985年から計算する方法をとった.ここから得られるH とが降水量などから推察されることから.H

1

.

H2の 2に,更に適当な比例係数(歪/水位)を掛けて補正す 初期値はいったんOとし, 1985年の水位を降水量を与え るため,パラメータは全部で6個 CHO,E, A

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t 自 T r" ' i 5笥 111111 I 1β98釘 笥 珂 曳 担 I羽 努 白 1991

空 。 合 「 ω 0. 199

F M A M J

A S 0 N

Fig.2-c @

Obse円'atory:Irozaki 1.l11! unit:1.0E-8/hPa correlation coefficient

.

0.952

0.904 O 孟0.808 1圃E atl置 Average B.許市 Standard Deviation 9.2428 且白渇 百lreshold B阻 Number of Plot 回 lROZ印<1 且4掴

o

Observatory :lrozaki まず体積歪データが次式で表されると考える. トレンドは,カルマンフィルターで適当な次数及びト

S.=T r.+P.+T.+R.+ω"

ここで

S:

原データ

T

r

:

トレンド

P:

気圧の影響 T:潮汐の影響 R:降水の影響

(

6

)

レ ー ド オ フ パ ラ メ ー タ を 推 定 し 除 去 し た ( 第

5

図). 松本ら(1993) は,顕著なトレンド、の無い地下水位デー タを解析対象としている.体積歪データは各観測点毎の トレンドが大きく,体積歪データに対する降水の影響を ω:観測雑音 n 観測時 ー

A R

解析するためには,まずトレンドを除く必要がある. 気圧,潮汐は従来の方法ー(一次相関と

BAYTAP-

降水の影響は例えば数100時間にも及ぶことがあると考 G) を使用して,補正した えられている(例えば権根(1980)). ここでいう「トレ

(7)

13 埋込式体積歪データの精密補正及び異常識別について Obs軒vatory:Omaezaki 19担9 腐 “ , 胸 唱 g -a ﹄ -∞ Ob提rvatoη・:Oma但aki 1992,1 a - z w 司 官 官 E -∞ Barometric res岡 田ec碑 箇d四t O.159E-7/hPa c

π'elation c叫謹ficient 0.992 Barometric同 $ 凹nsecoeffici四t O.156E-7/hPa Co町 宮lation∞efficient 0.995 A回2田phericpre田 ,Atmospheric Pressure

Fig.3 Barometric and volume strain filtered data correlation in Jan. and Sep, 1992.for Omaezaki. Poriod・1鎖措.6.1-U暗色l2.3O oboe刊 皿 町y:F唱 E P

H

O

..H Str雷.data(O) γ一ー一一「 一 泊 剛 一 Fig.5 Estimation of trend by Calman filter method

A :Original strain data (0) but, barometric and tidal responses are reduced. B : Estimated trendm

C :O-T

A

2

Fig.4 Schematic picture of two boxes tank-model. See the text detail. ンドの除去」とは,地殻変動本来の長期的な変動成分と 共に長い周期の降水による変動も除去していることにな る.従って,時間値レベルの議論では,高々数日程度の 降水の影響を対象としている己とを念頭に置き解析を進 める. これらの影響を除去すると,上式との残差

Y.

は, Y.= S.一 (Trη+P.+T.)=R.+ω" となる. これを降水量f.を用いて

Y"=ZI C "Ym-s+zod z r"-a+ε"

(ここで, m:最大遅延時間; ε:観測雑音) と考え,

A 1

C

最小化法により,

m

及び降雨の影響の係 数C i,

d

i (;=1,

m)

を求める.そして得られた係 数を用いて, (9) を求め,補正する.ここで, d iだけi =0からとしてい るのは,降水直後の応答を考慮に入れるためであり,次 数をCi. d iで一致させているのは雨量に対する体積歪 応答を式(8)で表現することに由来する(松本ら(1993)). R.=L C iR.-i

+

L d i fト g (7) (8)

(8)

14 験 震 時 報 第59巻第 1--2号 最大遅延時間は40時間まで計算した. 解析結果の数例をタンクモデルによる補正とともに第

6

図に示す.タンクモデルによる補正より,

A R

モデル による補正の方が滑らかな補正値が得られている.タン クモデルは同時刻の雨量データを考慮することができな いため,降水直後の応答を補正することができなかった が,

AR

モデルで、はそれが改善されている.ただし,地 点によづては,降水補正が兎全で、はない.その原因とし ては,

O

アメダス地点と歪観測地点の距離が遠い.

0

春先の雪どけ等直後の降水によらない季節による地下 水位の長期的変動があり,

A R

係数が解析期間により

0

あまりに多量の降水では,線形の関係が成り立たない.

0

体積歪データと降水データの時間値の定義の相違 等が考えられる.

AR

モデルによる補正係数を付表

2

,付図

1

に示した. 付図 lは,横軸に次数mをとり,自己回帰係数(C i), 雨量補正係数 (di)をプロットしたものである

. m

の 次数は,概ね30--32時間程度になった.係数はei, d i とも,ほとんどの地点、ではおよそ3次までの次数の係数 がそれより高い次数の係数に比べて l桁程度大きな値で ある. 降雨に関する補正係数民)で,直後は降水による縮み (ー)の後に伸び(+)の係数がある.こ抗は,降雨直 若干変化する(一般に冬期間の解析は同じ雨量に対す 後の重し効果が,間隙水圧効果に変わることを示唆して D る変動が小さくなる). いると考えられる(吉田ら(1984)). Peri岨:1992.6.1-11淘2.12.30 Ob睡 円 叫ory,f吋i B A B c D Peri岨・2曲2.臼-1992.12却 Observa畑 町 0"曲 目 a I U Period:l師2.6.1-1胸2.12.30 。 国ervatory:Ga皿a酔d

Fig.6 Samples of auto-regression analysis for the volume sfrainmeter (hourly data) A : corrected data by two boxes tank-model method

B :estimated precipitaion response using auto-regressive model C :corrected using auto-regressive model (E-B)

o

:residual

E

:original data (trend and barometric and tidal responses are reduced) F: observed precipitation data

(9)

埋込式体積歪データの精密補正及び異常識別について

1

5

次に数日より長い周期の降水の影響について考える. 時間値の計算処理では無理があることから,体積歪デー タは日平均値,降水量は日降水量を使用し,どの程度降 水の影響が推定されるのか調べた.方法は,基本的に時 間値の降水補正と同様である. 気圧,潮汐の補正は従来の方法により補正し, トレン ドは各観測点の永年変化の形に合わせ直線か2次式で除 去する. 日降水量 rを用いて R

戸主

c¥R'-i

+

dI i rト g (10) (R :降水の影響)を求め,補正する. プログラムは, TIMSAC78のMULMARを一部変更 しで使用した.最大LAGは

4

0

日間で計算した.A

1

C

最小を取るkの値については,

2

6

-

-

2

7

日間になった. 解析結果の i部を第 7図に示した.三ケ日は降水によ る伸び変化が大きく,かっその影響が長く続く観測点で あり,その影響はほぼ補正されている. しかし降水によ らない体積歪データのゆらぎと降水補正後の変動がほぼ 同レベルである.このことは清水についてもいえる.各 観測点の周期1月以上の変動はこの降水補正を行った後 も大きく残る傾向があり,次節以降で述べる時系列上の 異常を探す方法でi月程度以上の異常識別を行うことは 難しいと考えられる. しかし長期間の時系列変化にお いて目視により異常が認められた場合に,上述の方法は, 降水による体積歪データの変動かどうかを判断する補助 資料として活用できると考えられる. 本節では体積歪データの降水補正について述べた.そ の結果, A Rモデルによる時間値レベルの補正により 1 月程度以内の異常変化を降水による雑音と区別できる可 能性を得た. S 3. 異常識別 気圧,潮汐,降水による影響を除いた体積歪データを 用いた異常識別の方法について考える. 3. 1 時間差分による統計処理 本節の目的は,体積歪の変動状況を各地点のデータ毎 に一定の手法を用いてとりまとめ,異常が出た際に,そ れが“どの程度"の異常なのかを知るための基礎データ を得ることである.データとしては

1

9

8

5

-

-

1

9

9

2

年の気圧, 潮汐補正及びA Rモデルによる降水補正後の時間値を用 いた.ただし,気圧係数はスパン

1

4

日,シフト 3日で各 年毎に解析し相関係数がよい方から約

2

0

個の平均によ る値を採用している.このような処理を行う意味は,主 に体積歪計地上増幅部の基盤交換またはセンサーの埋設 状況の経年変化等により物理換算定数(歪/電圧)の変 更を行った際,この変更時期が遅れた場合及び誤差が大 きかった場合に気圧係数が見かけ変動することに対処す るためである.また,作業,停電等明らかに人為的原因 とわかっているデータの変動については,,

2

4

時間差分の 標準偏差(およそ1.

0E-8)

以内の変動に収まるまで の時間帯を欠測扱いとした.ただし人為的もしくは機 械的との疑いがある個所でも,原因が不明の場合はその ままデータとして採用している. 同一観測点の長期間のデータを使用するため,前処理 として各観測点毎に適切なトレンド除去を行う. トレン ド除去の方法は全期間を通じて各観測点の永年変化の形 により 1次式,もしくは 2次 式 で 行 っ た た だ し , 東 伊 豆は,

1

9

9

0

年にセンサーの改修を行っているので前後

2

つの時系列に分け,解析した.この後,各観測点、につい て時間間隠を変えて(

1

-

-

2

4

時間の

1

時間毎,及び

2--4

8

旬間の2日間毎)時間値の差分をとり,伸び(+),縮 み(一)方向別の標準偏差を第8図のような方法でそれ ぞれ標準偏差 (σ+σー)を求めた. これは,一般的に 観測点毎に降水補正及びトレンド除去を行った場合でも 伸び,縮み方向に大小があるために実際に異常識別を行 う上での指標となる数字を得る作業である.結果の一部 を第

2

表に示した.第

2

表は,各観測点、の

3

時間及び

2

4

時間差分の標準偏差を5倍したものを示したもので,

2

4

時間差分は降水補正を行わない場合を併せて示しである. 全体として,降水補正を行わない場合に比べ,補正を 行うことによりσは

1/2--2/3

程度になっている. それと共に,伸び方向と縮み方向の

σ

がほぼ同じ値の観 測点が多くなっている.このことは,次節の第

1

0

図の変 動の時系列の例を併せみると,観測値のゆらぎ(本来の 地殻変動のゆらぎ+補正しきれなかった残差)がホワイ トノイズ的に発生していることを示唆している. 第2表で、降水補正を行った後も標準偏差が大きいのは, 川根,清水,富士,石廊崎,東伊豆,守網代があげられ, これらの観測点に共通することは降水位;よる変動が非常 に大きいことである.川根を除くと糸魚川一静岡線より 西の観測点は小さい標準偏差が得られている.このこと は,これらの観測点が東の観測点より比較的古く堅い地 層に埋設されていることと関係していると考えられる. また, 3時間及び

2

4

時間の5σが大きく変わらないこ とも特徴としてあげられるこのことは,

2

4

時間差分に おいては,データに潮汐成分が補正後も残っている場合 でもその影響が取り除かれていることが考えられ,差分 をとる時間帯としては有効であることを示している.

(10)

16

A

A

1987 験 震 時 報 第59巻 第1--2号 1988 Period:1987.1.1 - 1990.12.30 Observatory :M泳kabi Observatory :Shimizu Period:1989.1.1 -1992.12.30 1989 1990 1991 1992 S.E-6 i旬M 5.E・6 1匝h. , Fig. 7 Samples of auto-regressive analysis for the volume strainmeter (daily data)

A : estimated precipitation response using auto-regressive model B : corrected using auto-regressive model

C :original data (barometric and tidal responses are reduced)

o

:

precipitation data

3.2 異常識別の試み 8 )が3時間以内に起こることを基準のーっとしている. 現在判定会招集は,体積歪変化O.5 E - 6 (= 50 E - これは基準値としては非常に大きい値である.このこと

(11)

埋込式体積歪データの精密補正及び異常識別について

Table 2 Five times standard deviatiions for each observation data of first order difference for

!1 t=3hours and 24hours

The table.A indicates five times standard deviations for corrected data for barometric and tidal effect. The column' 5σ(

+

)

'

and column 5σ(ー)'correspond to the (expansiort/ compression) sense. The table B indicates data cOrreむtedfor precipitation effect. * :New Observatory

- J

・ r -一 、 B I -i 一 一 ー 一 ー 一 } 一 1 一 1 一l ' 一 p , . 8 -川 一 一 一 ト ト 一 一 5 一4 一 -一 n O 一 qJ 一 1 一 7 一 q J 一 j 一 J 一J 一J 一 ρ ⋮j ⋮ i ⋮j 一 白 一 b 一 一 U 一 一 l 一2 一 一 l ↑22 一 11Jl 一 叫 一 3 一42624 一 じ -r 一 B -月一一 5 一 3 一 一 8 一 5 一 5 一 7 一 2 一 9 一 5 一 2 一 8 一

1

一 九 一 6 一 9 一 ー -o 一 7 、 一 一 二 ・ 二 一 二 二 人 ・ 一 l w 一 人 一 1 1 1 H 7 1 L γ 二 二 L -- n k 一 一 ド 一 一 上 一 之 一 -一 1 ぃ 一 1 ど し 一 L 一Z 一 仏 一 向 山 一 Z 一227l 一 1 -U 園 一 一 E 一 u r F F i 一 ι -一 -* -' -5 一一付一一

ι

一 7 一 二 Q J ↑ 6 一 一 円 , J ι ⋮j ⋮ n J 一 7 一 ι 一 1 J 一 F h J ⋮ 7 一A 一 一 2 一 肌 一 一 n u 一 ↑ 3 一 2 一 一 一 4 一 ω 6 一6 一 d 一3 一 昭 一 山 一 凶 一 1 一 日 一 日 一 ロ 一 h 一 i 一 目 マ ・ ﹁ 配 に ど ・ ・ J J , ﹁ 恥 ' t k 引 い ベ が J l 一 一 O -一 a k ﹁ 仁 ﹁ 配 一 下 J 2 M 十 日 一 川 一 一 一 日 一 人 一

-d

一 十 一 じ 一 U 一 一 心 一 日 一 1 一 日 一 1 1 1 1 U 一 ( 一 山 一 a a 一 一 一 l 一 一 1 1 一1 i 一一ー一一 ι 一 一 一 一 * 一 一 1 目 ト i ,且↑一-r 一 一 日 一 一 一 一 一 一 一 ι 一 一 一 一 : 一 ↑ 一 一 一 ー . -h

lr

ι

γ ι

l γ

十 十 十 ←

i

L

C 一 ↑ 寸 一 一 、 O 一 O 一 2 一 4 一 O 一 8 一 n J 一 O 一 5 一 l 一 乃 一 6 一 7 一 7 一 O 一 l -m 一一川一一広一

ι

一 位 一 比 一 抗 ⋮ o ι 一 肌 ⋮ 肌 一 FEMA 一 比 一 抗 一 丘 一 は 一 肌 一 比 一 山 一 AU 引 ↓ : 一 い 一

U U

J i

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h

u

一 仁 一 r h u

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い 山 一 一 ベ 一 一 弘 一 之 一 弘 一 丸 一 工 一 化 一 AL 一 丸 一 之 一 川 ム 一 札 一 η ι 一 1 一 比 一 丸 一 札 一

1

r

h

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ω 一 、 一 -N 一 一 i 一 , 一 一 日 一 一 川 一 日 一 日 一 同 一 u 一 一 一 -L H 一一 山 一 ⋮ 叩 ぷ ⋮ 同 一

m

m

説明川一一川一山一切に一川一川一同一 e 一 一 m 一 a J K 一 日 一 W 一i 一 品 一 m 一j 一 j v l 一 . 1 ・ 江 川 一 日 一 -j -N M 一 一 則 一 円 一 日 け 一 一 M 一 m m 一 自 一 則 一 山 剛 一 u 一 一 h 一 品 一 U 一 一 i o 一 ゎ 一 日 比 一 ・ J -b 一 一 仰 い 一 I 一 M 一 れ 一 氏 一 日 比 一 竹 一 日 ト ド i H h i c n ト ド i T 一 l J H -A -H U -F -一 一 -は,第2表から直ちにわかる.本節では,先に得た標準 偏差をもとに,有意な体積歪変化を見逃さず,かっノイ ズを拾わない異常識別の基準値の設定を試みる. ここでは主に緩やかな異常を識別することに主眼を置 き ,

k

時間差分のnXσ以上が, i時間連続することを 各観測地点の異常検出の条件として,それぞれ異常識別 を行った時間連続を異常検出の条件に加えたことは, 前述のように降水補正が完全ではないことから,特に降 水の強い時間帯のデータの突出による影響を避けるため である.その概念を第 9図に示す. すなわち, (min (!1Sn/ !1tn), n= 1 , i))孟 5σを 条件とする. ここでムSnは差分値, !1t nは時間幅, iは連続条件である.第

9

図の

A

のような短周期ですぐ 元のレベルに戻る変化の場合は,時間差分の条件には当 てはまるが,時間連続条件により棄却される.

B

のよう な変化は,ある時間幅(図 9のム t1.ム t2程度)で 差分を取ると時間差分及び連続条件ともに満たす. 1例として, k =24, n = 5, i =

0

, 3,

6

, 12, 18とし御前崎の85---92年の異常識別を行った.第 10図に その結果を示す.それぞれの基準値では, i =12の条件 がノイズによる影響がなく,かっ不明の変化をとらえて 17 Co血prssion Fig. 8 A method of obtaining standard deviations for two senses Two different normal distributions are fitted, one the righ t side (expansion: solid line), the other on the left side (compression: broken line), independently. いるのがわかる. この方法をもとに各地点について,次 の3個の方法により異常識別を行った. ,方法① 差分時間(k),連続条件(i),

σ

の何倍

(

n

)

かを適当に変え て識別される異常変化及び降水による影響を調査する. 方法②(概念については第11図参照) • 1時間差分をとり, σ(24時間差分)の数分のl程 度以上になったとき,差分の前値を 0とする(トリ ガー). ・そこから横軸に時間軸,縦軸に歪量をとり,そこで 囲まれる面積(S)を計算する作業を開始する. ・面積(S)がσの何倍かを基準にして異常識別を行う. .トリガーから120時間経った場合には面積の計算を やめ,最初の状態に戻す. 最後の処理はトレンドを l次式か 2次式で除去するが, 伸び,縮み方向にある期間で偏った場合に,打ち切り時 間を無限に与えてしまうと0線からの歪変化量が小さく ても面積

(

S

)

が大きくなり,異常と識別されてしまうこと を避けるための回避措置である. 方法③ 方法①の基準を甘くするかわりに,数点同時現象のみ ピックアップする. 3.3 異常識別結果 第12---15図に示した.図の下から観測点を西から順に 並べ,基線の上方向が伸び,下が縮みで,各観測点の標 準偏差を基準に線分の長さが変化の大きさに対応するよ うにプロットした.スケールは右下に示した.変化が大 きいものは他の観測点と重ならないように適当に折り曲 げである.推定される原因を付した.記号は,次の通り. U →原因不明の変化

e

→群発地震または地震による変

(12)

1

8

験 震 時 報 第59巻 第 1--2号 Observatory:Omaezaki Corrected data for barometric and tidal responses Value difference for 24 hours Number Distribution(log scalc)

-

r

?ト一一一一一一ーち~-

_.99一一一-

i

..Jj

z

“也~

f

i

i

I

_ 白 !

5

s

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l

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I

:.r:.~f.~:川:::~"!!!.rn::~::.'J::'.':::)r-~::'-:.r'. Conditions ー~、 l\~ L More than5

x

σ

i

l l l i 1i 1 ....LContinuation for3 hours 1 1 1 1 l H

r-

Continuation for6 hours l ~

r-

Continuation for 12 hours Continuation for 18 hours (Year) Correc,ted data for barometric

tidal副ldprecipitation responses Value difference for24 hours Number Distribution(log scale)1 ~・1FE 叩 l 包-"

ー可一一一一一一:一一

1; !;~ ~ ~ _~目

呉二日-t • さー 凶 4~

! t . t

, J一一ーム

-

d

「1

~

11品,IIIIP"I~I:11111品,IIIIII"II~よ川 111111,'"111" 叫 111111111\山"1"1"11"品111 Conditions More than 5

x

σ

Continuation for 3 hours Continuation for6 hours Continuation for 12 hours Continuation for 18 hours (Year)

Fig.10Examples of detecting abnormal ch

a

:

nges at Omaezaki under some conditions 化 v→伊豆大島噴火による変化 無印→雨による変化 測点(浜岡,御前崎,榛原)の変化(付図 A). 伊 豆 半 島東方沖の群発地震による東伊豆の変化,及び大島噴火 による各観測点の変化等をよくとらえている. 第12図は,前節の異常識別の方法①を適用し, 24時間 差分値が12時間連続して5σ以上となることを条件とし て異常識別を行った結果である(

K

=

24. n

= 5

, i

=

12). この図を基準に考えてみる. 5σは,おおよそ5.0E

-8

程度が目安である.

8

7

年に集中した御前崎周辺の観 東伊豆で群発地震と対応した変化で目視により変化が 認められたものは,この他85年10月.93年1月の変化で あり,いずれも縮み変化である.また,大島噴火及び

8

7

年12月(千葉県東方沖:M6. 7), 89年10月の地震(伊豆

(13)

19 埋込式体積歪データの精密補正及び異常識別について A U 白 u n u cdnu nu--aH+ し 白 U F U ‘

a

み し + し 白 L V S ・ -2 i n u 白 u n y n y n u

gim--n u p u n U + し q a 白 b p u p b h u r m 幽

e

p し n r ・ ' i r A r A

y

r

o

A A L U n u p b

fll

¥ B : Unknown S(t) 1 11111111111111111111111111111111111111111 111111111111 111111:" t

ムt1

ムt

2

Fig.9 General ideas for detecting abnormal changes

b. Sn is first order difference with interval b.t n・Underthe condition

( min (b.

S

.

I

b. t n ) ,n

=

1 ,i )

J

孟5σ,the change A is rejected, but the change B

is picked up. 0.0 ・.・・・ .・・.・・.・・ ・ ・ .

.

.

.

~・:

.

.

e

.

)

:

;

・・・ d

-、

.

・ . ・

.

.

.

-

.

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- ・

.

・.・・.・.0 1

n

11111111111

¥

S(t) Base value A method for detecting abnormal じ、hangesby time integral

第14図は方法②(面積による方法)を適用

ι

,0.2σ トリガー, S =700σ ・時間Fとした異常識別結果である. 第12図,第13図でとらえられた異常変化はぼぼ漏れな くとらえている.第12図にあった変化で今回検出されな かったものは,天竜の変化で,短期間に元のレベルに戻 るような型の変化である.逆に増えているものとしては, 東伊豆の85年10月の群発地震による変化がある.なお, 東伊豆は1990年前後の2期間にわけ2次式でトレンド除 去しているが, トレンド成分が非常に大きいため期間の 端 (1985,89, 91, 94年)は,トレンド成分が残ってい る.そのため,少しの変動でも異常と識別されてしまっ ている.これは対象期間を短くすれば回避できると考え られる.ただし,期間を極端に短くすると(1月程度), ステップ状の変化を含む期間に対してはトレンド除去が 適切に行われないため,逆に異常変化が検出できない弊 害が出てきてしまうので, トレンド除去方法, トリガー レベル,敷居値のパラメータ等の設定について今後検討 Fig.ll 大島近海:M5. 7) は伸び変化である. 92年に御前崎,また93年に榛原で変化があるが,浜岡 {こついては91年7月から92年8月にかけて,観測点近傍 で行われた工事によるノイズの影響で,この期間に異常 があったかどうか不明である.なお, 82年にも 5月に榛 原で伸び, 10月に御前崎で縮みの現象があった(付図 B ).榛原,御前崎周辺で,約5年ごとに大きな変化が 観測されていることがわかる. 第13図は,方法①を適用し, 240時間差分値が12時間 連続して5σ以上となることを条件として異常識別を 行った結果である (K=240, n =4. 5, と12). より緩やかな変化を検出することが目的である.降水 による変化の検出が第12図より大幅に少なくなったが, やや急激な変化に対しては,検出力が落ちている.緩や かな変化に対しては,第12図ではとらえきれなかった変 化が検出できているのがわかる.蒲郡(付図C),石廊 崎の緩やかな変化がはっきり検出されている.

(14)

験 震 時 報 第

5

9

巻第

1--2

号 m ∞ m

-ト

m H 出 回 。 U ∞m 円 ∞ ∞ m

-〆

J

G

ぜ ¥ ζ

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N

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g

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N )

k S ω ω 切 ロ 同 四 七 百 E ﹄O C 告切石ぢ

28

﹄ 。 = ロ ω ω 同

2

・ 切 出 20 ロ ロ 一 一 世 ロ 00ω ﹄ ロ O ぷ -唱 O Z 4 -o

H

(15)

21 埋込式体積歪データの精密補正及び異常識別について 守 m m -内 m m ︺ N m m -..~ ~・・・・ 4 ー---~・・ー・ _L_____ I-_____I-ーー_.J_

e

e

:

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(16)

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(18)

24 験 震 時 報 第59巻 第 1--2号 する必要がある. 第15図は,方法③を適用し 24時間差分値が12時間連 続して1.8σ以上,かっ3点以上となることを条件とし て異常識別を行った結果である (K:::24,n =1. 8, =12). 1986年伊豆大島噴火をケーススタディーとした. 第12図では,東伊豆,土肥だけでとらえられていた変 化であるが,ー藤枝,清水でもとらえられている.実際, 目視でこの時の記録を見ると,他にも,富士,川根の伊 豆大島の西方向の観測点で変化が見られる(付図D). この方法の利点としては,非常に小さいレベルで異常 がとらえられることにある.特に地震によるステップの ように多地点で観測が期待される現象に関しては, nを 小さくして条件の観測点数を増やすことにより効率的に とらえられる. 一方,欠点としては,検出されるケース,が降水による 影響による変化であることが多いので,目視による確認ー 作業が多くなる点がある. ~

4

.

議 論 前節までに体積歪データに異常があった場合に, 24時 間--10日までの時間帯域で異常識別を行う方法を示した. ただし実際の前兆的な地殻の異常がこの帯域で見られ るという保証は無い.つまり,これらの異常識別の方法 はl例にすぎない.理想的には各観測点でできるだけノ イズの影響を受けない差分時間,連続時聞を設定し,複 数の時間差分設定で監視することが望ましい. また,体積歪以外の地殻変動観測機器(傾斜,地下水 等)についても,併せて上記の異常検出と同様のレベル で監視していくことも必要である. なお,乙れより短い時間帯(例えば1時間以内の変 化)は,分値レベルで行うことが望ましいここで示し た降水補正の方法は,たとえ分単位の雨データが得られ たとしても,解析に使うハウスホールダ一変換の行列が 膨大になってしまうことから,解析的にも,補正のため にシステムにかかる負荷からみても実用化は難しい. し かし雨の無い期間に各観測点の標準偏差を気圧潮汐補 正データから求めておいて,同時異常現象としてとらえ る仕様にしておけば,少なくとも,その期間については 前節と同様の異常識別ができる. また,これらの方法による異常監視をシステム化して いく上での問題点としては,次のことが考えられる. ①各観測点毎の除去するトレンド量の管理 ②各観測点、の標準偏差の管理 ③降水データ欠測の場合の処理 ①については,今回は長期間のトレンドを算出し,除 去したが,緩やかな異常を識別するためには前1ヶ月程 度のトレンドを除去する必要がある.②は更新された観 測点の異常識別を適切に業務に載せるために試験観測の 段階からデータをなるべく早くから取る必要があろう. また,既存地点のパラメータ(補正のための係数の管理 を含む〉も適宜最新の値に更新していく必要もある.③ は,今後更新されていく地点は現地の雨量データの収集 も行えるので改善されていくと考えられる. また,とらえた変化が地殻変動の異常であった場、合に, それを説明するモデル(例えば,プレスリップ,マグマ の上昇等)をすぐに探索できることが要求され,今後の 課題としたい. 謝 辞 本調査は平成5--6年度に地震防災対策強化地域判定 会委員打ち合わせ会において報告したものをとりまとめ たものである.気象大学校高橋道夫教授には当時この調 査の方向を含め指導していただき,判定会委員及び関係 機関の方々には貴重なご意見をいただいた.本調査の元 となった観測データは地震予知情報課諸氏の努力による 、ものである.体積歪データの雨量補正手法に関しては, 地質調査所松本則夫氏に協力していただいた. また,気象研究所吉田明夫室長,上垣内修主任研究官 には本稿のとりまとめに当たりご指導していただいた. これらの方々に心からお礼申し上げる. 文 献 赤池弘次・中川東一郎(1972):ダイナミックスシスム の統計と制御,サイエンス社, 189P 石黒真木男,佐藤忠弘,田村良明,大江昌嗣(1984) 地球潮汐データ解析一一プログラムBAYTAP-Gの紹 介一一,統計数理研究所最報, 32, 71-85. 権根勇(1980):水文学, 272p,大明堂 北川源四郎(1993):時系列解析プログラミング, 390P, 岩波書庖 小泉岳司・吉田明夫(1989):湯河原体積歪計に対する 地下水の影響,気象研究所研究報告, 40, 21-28. 田中寅夫(1979):傾斜計・伸縮計記録に現れる降雨の 影響とシミュレーション,測地学会誌, 25, 91-101. 二瓶信一,檎皮久義(1983):三ケ日における埋込式体 積歪計に対する降雨の影響,験震時報, 48, 18~22. 檎皮久義,佐藤馨,二瓶信一,福留篤男,竹内新,古屋 逸夫(1983):埋込式体積歪計の気圧補正験震時報, 47, 91-111.

(19)

埋込式体積歪データの精密補正及び異常識別について 松本則夫・高橋誠(1993):地震に伴う地下水位変化検 出のための時系列解析,地震2,45, 407 -415. 吉田明夫,二瓶信一,太田金房,薄田真司(1984):静 岡と網代における体積歪観測坑内の水位変化と歪変化, 気象研究所研究報告, 35, 199-207. 付 表l タンクモデルのパラメター

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25

(20)

験 震 時 報 第

5

9

巻 第

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号 26 語法同軍酬

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Fig . 4   Schematic p i c t u r e  o f  two boxes tank‑
Table 2  F i v e  times standard d e v i a t i i o n s  f o r  each  o b s e r v a t i o n  data o f  f i r s t  o r d e r  d i f f e r e n c e  f o r 
Fig . 1 4   Resu 1 t   o f  d e t e c t i n g  abnormal changes by method 2  N 

参照

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