Title
犬の肺動脈狭窄症に対する外科的修復術の確立 : 右心・肺
動脈バイパス形成術( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
才田, 祐人
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(獣医学) 甲第284号
Issue Date
2009-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/33596
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氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学
位
記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目審
査 委 負 (26) 才 田 祐 人(神奈川県) 博士(獣医)獣医博甲第284号
平成21年3月13日学位規則第3条第1項該当
連合獣医学研究科 獣医学専攻東京農工大学
犬の肺動脈狭窄症に対する外科的修復術の確立
一右心・肺動脈バイパス形成術-主査東京農工大学
教
授 副査帯広畜産大学
副査 岩 手 大学 副査東京農工大学
副査岐阜
大学 副査岐阜
大学教
教教
教
教 授 授 授 授 授 久 雅 準 博 次 嗣義照
雄幸
根 田 田藤
塚 尾 山 嶋安
伊
宇 丸 論 文 の 内 容 の要
旨 現在,小動物獣医療において実施されている肺動脈狭窄症(PS)に対するインターベンションおよ び外科的治療法としては,バルーン弁形成術,経心室肺動脈弁拡張術および右室流出路拡大形成術 などが知られている。しかしながら,こうした従来法では,前二者においては、術後の再狭窄が, また後者では安定した循環動態下で実施するためには,体外循環下における関心術が必要になると いう問題点が残されている。そこで,本研究では,右室一肺動脈間弁付き導管移植術(ⅣVC)に注目 した。肝VCは,右室肺動脈間に迂回路を増設することで右重圧負荷の軽減を図る方法である。本術 式は,心拍動下で実施可能であり,体外循環を用いた方法と比較して,患畜に対してより低侵襲的 であると考えられる。しかしながら,小動物獣医療において,移植術に用いる導管の作製法および 術式についての詳細は明らかにされていない。さらに,弁付き導管移植術については全く注目され ていない。本研究では,従来の手術方法を再検討し,新しい手技の一つとしての弁付き導管移植術 を確立すると共に,その有効性を検討した。 第1章では,肺動脈バンディング術(PAB)により主肺動脈断面積の70%を縮窄させ,十分な圧較差 を有する病態モデルの作製を試みた。圧較差は,P膿8週後まで時間経過と共に上昇し,PAB前と 比較して有意な増大を示し,PAB12週後では,平均105.7±26.8TnmHgであった。また,右室自由壁拡張末期厚も同様の推移を示し,有意な増大が見られた。さらに,PAB12週後における心血管造 影検査では,狭窄後部拡張が観察された。以上の結果より,主肺動脈断面積の70%狭窄により,外 科適応となり得る十分な圧較差を有するPSモデル犬の作製が可能であった。さらに,自然発症例 と同様の右室肥大および狭窄後部拡張などを有することが示された。以上の点から,本実験におい て作出したPSモデル犬は,血行動態的および形態的に自然発生例のPSに類似しており,弁付き導 管移植術の有効性を検討する病態モデルとして有用であると考えられた。 第2章では,小動物における新たな外科的治療法の確立として,前章において作製したPSモデ ル犬に対して貯VCを実施した。そして,PSの主たる病態である右重圧負荷へ与える影響,さらに 右重圧負荷の変化が心筋リモデリングに与える効果について検討した。PAB後,無処置であったPAB 群と比較して,PAB12適後にRPVCを実施したPAB+RPVC群では,観察期間を通じて有意な圧較差 の減少が認められた。また,PAB群では右室自由壁拡張期厚および右室拡張期内腔短径が増加する 傾向にあったのに対して,PAB+RPVC群では,減少する傾向にあった。さらに,PAB+RPVC群では, PAB群と比較して右室自由壁および左室自由壁における心筋問質線椎化が有意に抑制された。以上 の結果より,貯Ⅶによる右室圧負荷の軽減が示唆された。そして,術後長期にわたり導管の開通が 確認され,導管内での逆流が阻止されたことより,弁付き導管の有効性が示された。また,本術式 は自然発生のPSに対して応用可能であり,心拍動下で実施可能なため,今後,小動物獣医領域に おいて有効な外科的修復術になり得ると考えられた。 第3草では,導管移植より長期経過後に心臓および導管を摘出し,デナコール生体弁付き導管が 移植導管として有用か否かを組織学的に評価した。PAB+RPVC群の導管吻合部では,移植前のデナ コール処理導管の吻合部と比較して,新生内月勢享に有意差が見られず,新生内膜細胞により新生内
膜の肥厚が抑制されたことが示唆された。一方,導管内の弁部では,新生内皮細胞が認められなか
ったものの,移植前の弁と比較して新生内膜の変性および肥厚が見られなかった。これらの結果は, 弁尖の柔軟性および可動性を考慮した際に有用であると思われ,デナコール処理生体弁の有効性が 示唆された。以上より,デナコール処理生体組織導管の移植片としての有効性が組織学的に示され た。 第4章では,第2章および3章において有効性を確認した肝Ⅷを,自然発生の弁性PSに対して 適応し,臨床応用の可能性について検討した。被験動物は,スコッチテリア,雄,4歳齢,体重9.04kg であり,臨床症状は認められなかった。術前の検査所見より,右室壁の求心性肥大および右室内腔 狭′J、化が認められ,導管挿入時の障壁となることが予測されたが,導管の形態を十分検討すること で回避可能であった。また,圧較差は大幅な減少が認められ,導管内へ迂回する血流による石室圧 負荷の軽減が示唆された。さらに,導管を介する肺動脈から右室への逆流が阻止され,弁付き導管-202-の有効性が示された。以上より,本術式によるPRVCは,自然発生のPSに対しても実施可能であっ た。また,弁上部PSや右冠動脈起始異常を有するPSに対しても適応が可能であると思われ・今後・ 小動物獣医療における有用な治療法となることが期待される。 審 査 結 果 の 要 旨
現在,小動物獣医療において実施されている肺動脈狭窄症に対するイン
ターベンションおよび外科的治療法としては,バルーン弁形成術,経心室
肺動脈弁拡張術および右室流出路拡大形成術などが知られている。本研究
では,従来法と異なり,安全で確実性があり,手術侵襲の低い右室一肺動
脈間弁付き導管移植術(RPVC)に注目し,右室肺動脈間に迂回路を増設
する新しい手術法の確立を目的とし検討した。
第1章では,肺動脈バンディング術(PAB)により主肺動脈断面積の
70%を狭窄させ,十分な圧較差を有する病態モデルの作製を試みた。その
結果,PAB12週後で,平均105.7士26.8mmHgの圧較差が生じ,本実
験において作出したPSモデル犬は,血行動態学的および形態学的に自然
発生例のPSに類似しており,弁付き導管移植術の病態モデル犬として有
用であると考えられた。
第2章では,前章において作製したPSモデル犬に対してRPVCを実施
し,右重圧負荷へ与える影響,さらに右重圧負荷の変化が心筋リモデリ
ングに与える効果について検討した。PAB後,無処置であったPAB群に
比べ,PAB12週後にRPVCを実施したPAB+RPVC群では,観察期間
を通じて有意な圧較差の減少および心筋問質線維化の抑制が認められた。
さらに,術後長期にわたり導管の開通が確認され,導管内での逆流が阻止
されたことより,弁付き導管の有効性が示された。
第3章では,導管移植より長期経過後に心臓および導管を摘出し,デナ
コール処理生体弁付き導管が移植導管として有用か否かを組織学的に評
価した。その結果,デナコール処理生体弁付き導管の有効性が組織学的
に示された。
第4章では,第2章および3章において有効性を確認したRPVCを,
自然発生の弁性PSに対して適応し,臨床応用の可能性について検討した。
その結果,術前に比較して圧較差は大幅な減少が認められ,導管を介す
る肺動脈から右室への逆流が阻止され,弁付き導管の有効性が示された。
以上より,本術式によるPRVCは,自然発生のPSに対しても実施可能で
あり,今後,小動物獣医療における有用な治療法となることが期待される。
以上について,審査委員全員一敦で本論文が岐阜大学大学院連合獣医
学研究科の学位論文として十分価値があると認めた。
基礎となる学術論文
1)題
目:Histologicalstudyofrightventricle-Pulmonary
arteryvalvedconduitimplantation(RPVC)in
dogswithpulmonicstenosis
著
者
名:Saida,Y,Tanaka,R.,Fukushima,R.,Hira,S.,
Hoshi,K.,Soda,A.,Iizuka,T.,Ishikawa,T.,
Nishimura,T.andYamane,Y
学術雑誌名:TheJournalofVeterinaryMedicalScience
巻・号・貢・発行年:71(4):,2009
2)題
目:Cardiovasculare鮎ctsofrightventricle・Pulmonary
arteryvalvedconduitimplantationindogswith
experimentalpulmonicstenosis
著
者
名:Saida,Y,Tanaka,鱒.,Fukushima,R.,Hoshi,K.,
Hira,S.,Soda,A.,Iizuka,T.,Ishikawa,T.,
Nishimura,T.andYamane,Y.
学術雑誌名:TheJournalofVeterinaryMedicalScience
巻・号・頁・発行年:71(4):,2009
既発表学術論文
1)題
目:
Relationshipsbetweenvertebralheartsize(VHS)
and
echocardiographic
parametersindogs
with
mitralregurgitation
著
者
名:Saida,Y.,Tanaka,R.,Yamane,Y.,Suzuki,K.,
Maruyama,R.,Koie,H.,Matsumoto,T.andAsano,
R.
学術雑誌名:動物の循環器
巻・号・頁・発行年:39(2):55-63,2006
2)題
目:肺動脈狭窄症犬における連続波ドプラ法による圧較差
と左室収縮機能パラメータとの関係
著
者
名:才田祐人,田中
綾,曽田藍子,清水美希,島村俊
介,平尾秀博,山根義久
学術雑誌名:動物臨床医学
巻・号・頁・発行年:15(4):113-118,2006
3)題
目:Surgicalcorrectionofpulmonicstenosisusing
transventricular