大学生における社会カについての調査研究
環境要因からの検討
学校教育専攻 人間形成コース 仲 田 幸 一 朗 1.問題の所在と研究の目的 今日の子ども達にみられる変化は、他人への 関心と愛着と信頼感をなくしていることであるq 他者を内に取り込むとし、う社会化の過程や現実 と侭想、空間との区別がつかなくなっているとし、 う事態である。他者を内に取り込むという他者 への認識や愛着や信頼感がなく、自分が住む生 活世界において具体的なイメージを描けなし1と いうことは、社会を作り維持していくために必 要な何かを無くしているということになる。 そこで、社会に対して自分から積極的に関わ ろうとする意思を持つこと、社会を変化させ運 営していこうとする人間の側の資質や能力につ いて考えてし1かなければならない。門脇(1999) は、これらの資質や能力を「社会力J と述べて し1る。 「社会力Jとは、「社会を作り、作った社会を 運営しつつ、その社会を絶えず作り変えていく ために必要な資質や能力j、「人が人とつながり ネ土会を作る力Jである。 そこで、本研究において、現在の大学生にお ける「社会力jとはどのような資質や能力なの か明らかにしていくことを研究 1とする。 研究2においては、大学生における環境要因 から「社会力Jへの関連について検討を行うD 「社会力」についての資質や能力を「社会力 構成概念jとして図示する。 指 導 教 員 伴 恒 信「
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調査対象と方法 調査対象 :T県、 K県、 N県、 T県、 A県の大 学生492人 調査方法:自記式質問紙調査 3.研究1 「社会力」の構成要素を探るため、大学生の 意識・行動に関わる質問項目に因子分析を行い、 3因子を抽出した。抽出された因子を社会的態 度指標、自己成長力指標、情報処理能力指標と 指標化した。 結果、「ネ土会力構成概むと「大学生における 社会力」とは少し異なるものとなった口現在の 大学生において、「社会への革新力Jr
態度・価 値 観jが混在して因子に表れる結果となった。 また、「能力・スキノレj分野に含まれるはずの対 人関係における直接的なコミュニケーション能 力は表れなかった。携帯のメールやパソコンな どを使用した間接的なコミュニケーションへの 変化が背景に考えられる。 4.研究2 「社会力」の指標との関連要因を知るために、 円 h u大学生の環境について8つの環境を設定したD 8つの環境とは先行研究と独自の経験に基づき 設定した。研究1で抽出した各因子を従属変数 とし、各環境を独立変数として重回帰分析を行 い、規定要因を推定した。また、各因子と各環 境の項目においてクロス集計を行い、相関関係 を調べた。 ①「大学生活Jにおいて、大学に求める意識的 な部分や、自分なりの態度が「社会力」の3指 標に関連している。 ②「学校関係・学校関係以外の部活動・サーク ル・グループ0・団体」において、学校関係の部 活動・サークル、判交関係、以外の団体・グルー プに参加していないということは、「社会力jに 対してマイナスの関連があると考えられる。集 団の中で、身につく 「社会力」が、学校関係の部 活動・サークノレ、者交関係以外の団体・グルー プにあると考えられる。 ③「アノレバイト Jでは、社会的態度指標、自己 成長力指標において「アノレバイトの噺重はマス コミ・イベント分野である」が両指標の規定要 因となっている。人への関心としづ部分で社会 的態度指標にプラスの関連があると考えられる。 ただ、自己成長力指標においては社会的態度と 違い、マスコミ・イベント分野の耳昔話重がマイナ スの規定要因となっている。自分を成長させる ものが、マスコミ・イベント分野の樹重には見 つからないと考えられる。 ④「友人への関わりJにおいて、「気の合わない 人とも話しをすることができるJの項目が「社 会力Jの 3指標に大きく関連している。気の合 わない人とも話しができるということは、相手 の気持ちを考えながら話すことができるという ことであるD 相手との関係を円滑にしていこう としていると考えられるD ⑤「地域」において自分の地域が好きである群 を見てみると、「社会カJ3十嵐棄に多く規定して いる。自分の地域が嫌いである群においては、 「社会力J3指標に規定している項目は少ない。 「社会力」が身についている人とは自分の地域 が好きであり、地域への参加を好んでする人で もある口「社会力Jを身につける条件として、自 分の地域が好きであることが挙げられるD 自分 の地域を魅力的にしていくことが、「社会力」を 身につける環境の1っとして挙げられる。 ⑥「家庭」において、父親のみいる群と母親の みいる群を比較すると、母親のみいる群の会話 や孝行心の項目において「社会力jに関連が大 きいといえる。母親との会話において、様々な 会話が「社会力jに規定している。発達段階に おける母親とのスキンシッフ。が成長してからも 関連あると考えられる。 ⑦「親からの仕送りJにおいて「社会カ」に規 定している項目はなかった。 ③「興味・趣味」において、情報処理能力指標 においてインターネットによる情報検索が関連 している。現在の社会において必ずしも良い情 報だけがインターネットの情報検索にあるわけ ではない。このような状況のなかで、現在の大 学生が情報検索において取捨選択し、自分に役 立つ情報を手に入れていることが考えられる。 インターネットをすることがメリット、デメリ ット両方あるなかで、現在の大学生にはメリッ トの部分が大きいといえるD 5.今後の課題 「社会力」の資質・能力において、対人関係 における直接的なコミュニケーション能力が現 在の大学生には見られなかったO 直接的・間接 的なコミュニケーション能力に焦点をあてて、 「社会力」を見直していく必要性がある。 ヴ ー