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看護動作コンテンツのためのモーションキャプチャデータの補完法について

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Academic year: 2021

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(1)社団法人 情報処理学会 研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 2006−CVIM−154(17)   2006/5/18. 看護動作コンテンツのためのモーションキャプチャデータの補完法について 小路 裕史. 村上 和人. 愛知県立大学大学院情報科学研究科 〒480-1198 愛知県愛知郡長久手町熊張. E-mail: [email protected]. [email protected]. あらまし モーションキャプチャシステムを利用した看護動作コンテンツの作成をするにあたって、撮影の際 に身体に貼り付けたマーカーが所々隠蔽されてしまうとデータの欠落が起こり、コンテンツを表示した場合に滑 らかな動きができないなどの問題点があった。本論文では、複数人物を対象とする撮影において、一人ずつ撮影 を行って得られた動作要素を組み合わせることによって隠蔽発生部を補完する方法について述べる。また、人体 モデルを用いて看護動作コンテンツを生成し、提案手法の有効性を確認した。. Rectification of Motion Capture Data for Making a Nursing Content Hiroshi SHOUJI. and. Kazuhito MURAKAMI. Graduate School of Information Science and Technology, Aichi Prefectural University, Kumabari, Nagakute-cho, Aichi, 480-1198 Japan. E-mail: [email protected]. [email protected]. Abstract We have tried to make a content of nursing actions by using motion capture system. But, 3-D position data is not obtained by a motion capture system when the markers attached on the body are not observed. This paper proposes a method which rectifies the blank of the motion caputure data caused by the occlusions. The rectification is realized by combining the operation elements by taking a picture one by one. Experimental results show that the proposed method is effective for making a nursing content.. 1. は じ め に モーションキャプチャシステムの利用法の一 つとして、撮影したデータを用いて人の動きを シミュレートすることにより、人間工学 [1][2][3]、医 療 、( 特 に リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 面 ) や 、教 育 面 [4]な ど で 利 用 す る こ と が 考 え ら れ る 。 筆者らは、モーションキャプチャシステムを利 用して看護動作コンテンツの生成を試みてきた [5]。 し か し 、 CG に よ っ て 人 体 モ デ ル を 生 成 し てその動作を確認してみると、いくつかの部分 で不都合が生じていることがわかった。 生成結果が違和感を与える要因の一つにマー カーの隠蔽がある。これは複数のカメラから常 に見える位置にマーカーが存在していない場合 に発生し、特に複数の人間の動きを対象とした 場合に発生する。例えば、図 1 のように、一人 がもう一人を抱きかかえるシーンでは、お互い の胸に付けたマーカーが隠蔽されやすくなる。 図 2 は、このシーン中のあるマーカーの時系列 データの一部を示したものである。図中の網掛 け部分のデータが欠落し、グラフが途切れ途切. れになっている様子がわかる。このようなデー タ を そ の ま ま 用 い て CG 生 成 を 行 っ た 場 合 、多 く のソフトウェアでは図 3 のように違和感を伴う 人体モデルとして表現されることになる。 そこで本稿では、複数人物を対象とする撮影 の場合には一人ずつ撮影を行って、動作要素を 組合せることにより隠蔽が発生した部分を補完 す る 方 法 [6][7]に つ い て 述 べ る 。ま ず 2.で 基 本 手 法 を 紹 介 し 、 そ の 詳 細 を 3.で 述 べ る 。 ま た 、 4.で 実 験 結 果 を 示 し 、 5.で 実 験 結 果 に つ い て 考 察する。. −123− 1. 図 1. 隠 蔽 発 生 シ ー ン の 一 例.

(2) [各座標とその計測結果 ]. の デ ー タ A m が 時 刻 t 1 ―t 2 の 間 欠 落 し た と す る 。 Take-B に お い て 時 刻 t 1 ―t 2 に 対 応 す る 時 刻 を t 1 ’ ―t 2 ’ と し 、ま ず 、Take-A、Take-B両 方 で 見 え て い る マ ー カ ー nの デ ー タ を 参 照 デ ー タ と し て 時 間 的 な 対 応 づ け を 行 い 、次 い で 、欠 落 部 分 を Take-Bの デ ー タ を 用 い て 補 完 す る 。 こ こ で 、 時 間 t に お け る Take-A の マ ー カ ー m の デ ー タ を A m (t)と 表 す こ と に す る 。. x. y. z [t]. 2.2 空 間 的 補 正. 網掛けの部分はマーカーデータの欠落部を表す. 図 2. 隠 蔽 区 間 を も つ マ ー カ ー の 時 系 列 座 標 デ ー タ の 一 例. Take-A、 Take-B 両 方 で 見 え て い る マ ー カ ー n の デ ー タ を も と に 、 Take-B の 一 連 し た 動 作 が Take-A の も の と 同 じ 向 き の 動 き に な る よ う に アフィン変換を用いて補正する。. 2.3 時 間 的 補 正 空間的補正を行っても時間的にずれが生じて し ま う の で 、そ の ま ま で は 補 完 で き な い 。そ こ で 次のように時間的に補正する。その様子を模式 的 に 図 4 に 示 す 。図 は A m 、A n 、B m 、B n そ れ ぞ れ の x座 標 の グ ラ フ で あ る 。 隠 蔽 さ れ た デ ー タ Take-A の 隠 蔽 開 始 点 t 1 、 終 了 点 t 2 に 対 応 す る Take-Bの t 1 ’ 、t 2 ’ 抽 出 こ と を 考 え る 。補 完 に 使 う デ ー タ の 対 応 点 を 抽 出 す る た め に Take-Aの マ ー カ ー nの 特 徴 的 な 点 A n (t 0 )、 A n (t 3 )と 、 各 々 に 対 応 す る Take- B の 特 徴 的 な 点 B n (t 0 ’ )、B n (t 3 ’ ) を 抽 出 す る 。A n (t 0 )、A n (t 3 )は 例 え ば グ ラ フ が 極 大・極 小 値 と な る よ う な 点 の 中 か ら 、t 0 <t 1 、t 2 <t 3 の条件を満たすものを選択する。補完に使うデ ー タ を 、欠 落 部 分 の 長 さ に あ わ せ て 伸 縮 さ せ る 。 この間の時間的差異は線形に補完する。すなわ ち、. (a)左 腕 が ね じ れ て い る 様 子. (b)右 手 首 が 不 自 然 な 様 子 図 3. 違 和 感 を 伴 う 人 体 モ デ ル 表 示 の 一 例. 2. 動 作 要 素 の 組 合 せ に よ る デ ー タ 補 完 法 2.1 概 要 複数の人物により隠蔽が起こりデータが欠落 した時と同じ動作を、一人ひとりが行ったデー タを用いて補完することを考える。例えば、あ る 撮 影( Take-Aと す る )で 2 人 の 人 物 P、Qを 同 時 に 撮 影 し た と き 、Pの 一 つ の マ ー カ ー mが 隠 蔽 さ れ て し ま っ た と す る 。そ こ で 今 度 は Pが 一 人 だ け の 撮 影 を 行 う ( Take-B と す る )。 こ の と き 、 Take-Aで は 隠 れ て し ま っ た マ ー カ ー mは Take-B では隠蔽されずに見え続けているものとする。 提 案 手 法 は 、 Take-Bの マ ー カ ー mの デ ー タ ( こ れ を B m と す る )の 動 作 要 素 を 使 っ て ,Take-Aの マ ー カ ー mの デ ー タ ( 同 様 に A m と す る ) の 補 完 を行うということである。 提 案 手 法 に つ い て 段 階 的 に 説 明 す る 。 Take-A の撮影において、例えば隠蔽によりマーカーm. t 1’ − t 2’ − t 0’ t 2’ − t 1’ t 3 ’ = = t1 − t 0 t 2 − t1 t3 − t2. (1). と な る よ う に す る 。こ れ を y 座 標 、z 座 標 の デ ー タに対しても適用し、各座標ごとに時間的な対 応付けを行う。その際、. −124− 2. Δ t10 = t1 − t 0. (t1 > t 0 ). Δt10 ’ = t1’ −t 0 ’ (t1’> t0’). (2) (3). Δ t 32 = t 3 − t 2. (t 3 > t 2 ). (4). Δt32’ = t 3’ −t 2’. (t3’> t 2’). (5). Δ t = Δ t 10 + Δ t 10 ’ + Δ t 32 + Δ t 32 ’. (6).

(3) Δt が 最 も 小 さ く な る 時 間 の B m (t 3 ’ )― B m (t 0 ’ ) を時間軸方向に伸縮することで、Amの欠落部分 を埋める。. t0 t1. Am. t2. t3. t. t. An t0’ Bm. t. t3’. t2’ t1’. を 用 い て 平 滑 化 を 行 っ た 。こ こ で 、Uは 定 数 で あ り 、Uの 値 に 比 例 し て ガ ウ シ ア ン フ ィ ル タ の 積 分 範囲が変わる。本研究では実験的に検証し、 U =1/3 と し た 。 ま た 、 t e は Take-Aの 撮 影 終 了 点 を 表 す (Take-Bの 撮 影 終 了 点 も t e ’ と す る )。 こ の 平 滑 化 処 理 に よ っ て Take-A 、 Take-Bに お け る 参照マーカーのデータの極大・極小値の数が同 じ に な る よ う に σの 値 を 変 化 さ せ な が ら 平 滑 化 を行う。これは、データの極大・極小値の数が 同一であれば大局的にデータの対応が取りやす いと考えられるためである。. t. Bn. t 図 4. 時 間 的 対 応 付 け 概 念 図 (a)平 滑 化 前 の デ ー タ. 2.4 参 照 マ ー カ ー の 選 択 方 針 身体の表面に取り付けられた隠蔽のない幾つ かのマーカーの中のどのマーカーを利用して時 間 的 対 応 付 け を す る か 決 め る 必 要 が あ る (こ の マーカーの利用目的は、マーカーの隠蔽部分や 補完の元となるデータの位置を参照することで あ る た め 、以 降 、参 照 マ ー カ ー と 呼 ぶ )。参 照 マ ー カ ー は そ の 利 用 目 的 か ら 、 式 (6)の Δt が 最 小 と な り 、特 徴 点 の 対 応 が 多 く 取 れ る も の が よ い 。 実験的に検証した結果、参照マーカーは隠蔽さ れたマーカーと相関が大きい身体部位のマーカ ー を 使 用 す る の が 適 切 で あ っ た 。そ の 詳 細 は 4. の実験項目で述べる。. (b)平 滑 化 後 の デ ー タ 図 5. ガ ウ シ ア ン フ ィ ル タ に よ る 平 滑 化 の 例. 具 体 的 な ア ル ゴ リ ズ ム に つ い て 述 べ る 。ま ず 、 t 1 、t 2 よ り 参 照 マ ー カ ー と し て 利 用 す る 時 系 列 デ ータの範囲t0、t3を決定する。このときt0、t3は. 3. 大 局 的 な 動 作 の 対 応 付 け. t 0 = t 1 − k (t 2 − t 1 ). (8). 3.1 平 滑 化 に よ る 細 か い 変 動 の 除 去. t 3 = t 2 + k (t 2 − t 1 ). (9). 人の動きの時系列データを見てみると、細か い変動が多々含まれている。局所的な対応付け は困難なため、大局的な対応付けを試みる。ま ず、時系列データに対して平滑化処理を行い、 細かい変動を除去するとともに特徴的な動きの みが表れたデータを生成することを考える。平 滑化処理を行った一例を図 5 に示す。本研究で はガウシアンフィルタ. A n (t ) =. t +α. ∫ A (s ) e n. −. と す る 。 kは 定 数 で あ り 、 kを 大 き く す れ ば 特 徴 点としての極大・極小値の数も増え、大局的な 対応付けが行いやすくなるが、その一方で参照 マーカーのデータ数が大きくなるという問題も 発 生 す る 。本 研 究 で は 実 験 的 に 検 証 し 、k =2 と し た。また、t0’、t3’を. s2 2σ. 2. ds. te’ t0 te. t 3 ’=. te’ t3 te. (7). t −α. (α. t 0 ’=. = U ⋅ te ). −125− 3. (10). (11).

(4) と決定する。さらに、平滑化を以下のステップ で行う。 (ⅰ )σ の 値 を 初 期 値 に 設 定 す る 。 (ⅱ )Take-A、Take-B の 時 系 列 デ ー タ の 極 値 の 数 を比較し、極値の数が多いデータに対して 平 滑 化 処 理 を 行 う 。 そ の 結 果 、 Take-A 、 Take-B の 極 値 の 数 が 等 し く な い な ら ば (ⅳ )の 処 理 を 行 う 。 (ⅲ )Take-A、 Take-B の 時 系 列 デ ー タ を 出 力 し 、 出 力 し た デ ー タ を DP マ ッ チ ン グ に よ っ て デ ー タ 整 合 す る 。 次 い で 、 Take-A、 Take-B のデータに対して平滑化処理を行う。 (ⅳ )σの 値 を Δσ(Δσは コ ス ト パ フ ォ ー マ ン ス 的 に A n 、B n の 時 系 列 デ ー タ の 数 に 比 例 し て 変 化 さ せ る )加 算 す る 。 (ⅴ )Take-A、Take-B の 極 値 の 数 が 両 方 と も 1 と なった、または σ が上限値に達した地点で 終 了 し 、 そ う で な い な ら ば (ⅱ )~ (ⅴ )を 繰 り返し行う。. (Take-A、 Take-B の 時 系 列 デ ー タ 中 に あ る 黒 丸 (・)部 分 )に 対 応 す る 各 フ レ ー ム 画 像 を 見 て み る と、それぞれの動作が合致している。 しかし、この 2 つのデータは時間的な差異が あるために対応箇所の特定が困難である(図 9(a))。 そ こ で 、 こ れ ら 2 つ の デ ー タ を DP マ ッ チ ン グ [8]で 整 合 さ せ る (図 9(b))。 整 合 し た デ ータにおいて、ある時刻に互いのデータの極値 が存在するならば、それら 2 つの極値は対応づ け ら れ て い る も の と 判 断 す る (図 9(c))。 頭頂部のマーカーの拡大図. START. σの値を初期値に設定. Take-A・Bの極値の数が1 またはσの値が上限値. Y. 図 7. 取 り 付 け た マ ー カ ー の 一 例. N Y. Take-Aの極値の数と Take-Bの極値の数が等しい. END. [フ レ ー ム ]. N Take-A・Bの 時系列データを出力. Take-Aの極値の数より Take-Bの極値の数が多い. Y. N Take-A・Bの時系列 データを平滑化処理. Take-Bの時系列 データを平滑化処理. Take-Aの時系列 データを平滑化処理. σの値をΔσ加算 σの値をΔσ加算. [y 軸 方 向 の 値 ]. 図 6. 平 滑 化 フ ロ ー チ ャ ー ト 図. 3000. 3.2 DP マ ッ チ ン グ に よ る 特 徴 点 の 対 応 付 け. 2000. 平滑化処理によって生成された特徴的なデー タ同士を時間的に対応付けることを考える。平 滑化された 2 つのデータはタイミングや値が異 なるが、同じ動作を表現したデータであるため に、概形や特徴的な部分など、大局的には類似 していると仮定してよい。 例 え ば 、あ る マ ー カ ー (図 7 に 取 り 付 け た 位 置 を 示 す )の y 軸 方 向 (床 に 対 し て 垂 直 な 方 向 )の 平 滑化処理された時系列データを見てみると、図 8 の よ う に 表 さ れ る 。Take-A と Take-B の 時 系 列 データは大局的に類似しており、特徴的な部分. −126− 4. 0. 対応. Take-B. Take-A 5000. 対応 10000. [フ レ ー ム ]. [フ レ ー ム ] 図 8. 図 7 の マ ー カ ー の デ ー タ 対 応 の 一 例.

(5) (a) 平 滑 化 後 の デ ー タ. (a)看 護 師 役 に 取 付 け た マ ー カ ー. (b)DP マ ッ チ ン グ で 整 合 し た デ ー タ. (b)患 者 役 に 取 付 け た マ ー カ ー. 網掛けの部分が極値の対応を付けている様子. 図 10. マ ー カ ー 取 付 け 図. 4.2 動 作 概 要. (c) 極 値 の 対 応 付 け の 様 子. 図 9. DP マ ッ チ ン グ 適 用 の 一 例. 4. 実 験 4.1 ハ ー ド ウ ェ ア 環 境 と マ ー カ ー の 配 置 実 験 に は Motion Analysis 社 の Eagle カ メ ラ お よ び EvaRT Ver.4.2 を 使 用 し た 。 Eagle カ メ ラ は 小 型 PC 内 蔵 の 専 用 カ メ ラ で あ り 、Eagle カ メ ラ 複 数 台 が LAN ケ ー ブ ル で EagleHub に 接 続 さ れ て お り 、 Host Computer に デ ー タ 送 っ て 統 合 処理されている。接続できるカメラの最大台数 は 32 台 、定 義 で き る マ ー カ ー の 最 大 数 は 1,000 個であるが、本実験ではカメラ 6 台を使用し、 被 験 者 1 に は マ ー カ ー を 35 個 、被 験 者 2 に は マ ー カ ー を 32 個 取 り 付 け た 。 そ の 様 子 を 図 10 に 示す。. 本研究では看護動作の一つを実験に使用した。 具体的には「寝たきりの患者を看護師がベッド から車椅子に移動する」というもので、看護師 役 (被 験 者 1)、患 者 役 (被 験 者 2)の 2 人 の 人 物 の 動作を対象とした。2 人の同時撮影(通常の動 作)と看護師役のみの撮影(看護師役のパント マイム状態)を行った(患者は動かされる側な の で 、患 者 役 の み と い う 撮 影 は 行 っ て な い )。隠 蔽されたマーカーデータの補完は、一人で同じ 動作をパントマイム的に演じたデータを用いて 行った。 看 護 動 作 の 代 表 的 な シ ー ン を 図 11 に 示 す 。ま ず、看護師が患者をベッドの端に寄せる。次に 患 者 を 抱 き 起 こ し (図 11(a))、 次 い で 、 ベ ッ ド に 座 ら せ る ( 図 11(b))。 そ の 後 、 患 者 の 手 を 看 護師の首に回させ、看護師は患者の腰に手を回 し ( 図 11(c))、 抱 き か か え て 車 椅 子 に 移 動 さ せ る ( 図 11(d))。 最 後 に 看 護 師 は 車 椅 子 の 後 ろ に 回り、患者を深く座り直させ、前へ来て患者の 足を車椅子に乗せる。今回は以上の一連の流れ を撮影したコンテンツを実験に用いた。 なお、今回の撮影の前提条件として、看護師 と患者の 2 人同時の撮影と看護師のみの撮影は 同じ方向を向いて撮影を行ったため、空間的な 補正はすでに行ったものとして実験を行った。. −127− 5.

(6) 4.4 実 験 結 果 4.4.1 参 照 マ ー カ ー の 選 択 に 関 す る 実 験 結 果. (a)患 者 の 抱 き 起 こ し. 実験には頭頂部のマーカーにデータ欠落が生 じたと仮定し、相関が大きい部位のマーカーと して顔左側部、顔右側部、背中上部、左肩上部 の マ ー カ ー (各 x、y、z 軸 方 向 の 相 関 係 数 の 平 均 は 0.99、 0.99、 0.99 で あ る )を 選 択 し 、 相 関 が 小さい部位のマーカーとしては右足先部、右足 かかと部、左足先部、左足かかと部のマーカー (各 x 、 y 、 z の 相 関 係 数 の 平 均 は 0.15、 -0.06、 0.08 で あ る )を 使 用 し 、各 x、y、z 軸 方 向 の 時 系 列データに対して時間的な対応付けを行った。 評価方法は、平滑化処理を行ったマーカーデー タ に 含 ま れ る 特 徴 点 を 、DP マ ッ チ ン グ に よ っ て 時間的に何点対応させることができたか、その 割 合 を 求 め た (以 降 、こ の 割 合 に 100 を 掛 け た も の を 特 徴 点 の 対 応 率 と 呼 ぶ )。す な わ ち 、特 徴 点 の対応率は. (b)ベ ッ ド へ の 着 座. (c)手 の 回 し こ み (d)車 椅 子 へ の 移 動 図 11. 看 護 動 作 の 一 例. 4.3 実 験 4.3.1 参 照 マ ー カ ー の 選 択 に 関 す る 実 験 隠蔽が生じたマーカーと相関が大きいマーカ ーと相関が小さいマーカーで時間的な対応付け を行い、参照マーカーとしてどのようなマーカ ーが適当であるのか比較検討した。. 時間的に対応させる ことができた特徴点の 数 特徴点の対応率 (% ) = 平滑化処理したマーカ ー. × 100. (12). データに含まれる特徴 点の数. ガウシアンフィルタのサイズをいろいろと変 えることにより、提案手法による時間的対応付 けの有効性を比較検討した。. である。表 1 に実験結果を示す。実験に使用し たデータは、相関が大きい部位のマーカーと相 関が小さい部位のマーカーの同時刻のデータを 使 用 し 、 フ レ ー ム 数 (120 フ レ ー ム / 秒 )に し て Take-A が 3000 枚 (約 24.9 秒 )、 Take-B が 3500 枚 (約 29.1 秒 )で あ る 。. 4.3.3 目 視 に よ る コ ン テ ン ツ の 評 価 実 験. 表 1. 参 照 マ ー カ ー の 選 択 に 関 す る 実 験 結 果. 4.3.2 DP マ ッ チ ン グ を 用 い た 時 間 的 対 応 付 けに関する実験. 看護動作のあるデータにおいて、実際には見 えている一つのマーカーを隠し(人工的に隠蔽 デ ー タ を 作 成 )、提 案 手 法 に よ り 補 完 し た 。隠 蔽 前の真値と、提案手法を適用して得られた補完 データを比較し、提案手法の有効性を検討する とともに、看護動作コンテンツとしての完成度 を目視によって評価した。. 特 徴 点 の 対 応 率 (%) 各座標軸. 相関が大きい部位. 相関が小さい部位. x. 18.7. 1.3. y. 43.1. 11.1. z. 56.0. 0.0. 4.4.2 DP マ ッ チ ン グ を 用 い た 時 間 的 対 応 付 けに関する実験結果 参 照 マ ー カ ー の 各 x、 y、 z 軸 方 向 の 時 系 列 デ ータに対して時間的な対応付けを行い、特徴点 の 対 応 付 け を 行 っ た 。 実 験 の 評 価 方 法 は 4.4.1 と同様に 時間的に対応させる ことができた特徴点の 数 特徴点の対応率 (% ) = × 100 平滑化処理した参照マ ーカー データに含まれる特徴 点の数. −128− 6. (13).

(7) を求めた。実験結果である特徴点の対応率を、 ガウシアンフィルタのサイズを変更したときの 様子とともに表 2 に示す。使用したマーカーは 頭頂部に付けたマーカーで、時系列データ中に データ欠落部がないことから今回の実験に最適 であると判断して使用した。実験結果は、実験 に 使 用 し た マ ー カ ー か ら フ レ ー ム 数 (120 フ レ ー ム / 秒 )に し て 3000 枚 (約 24.9 秒 )の 連 続 し た 区間を 8 ヶ所選択し、それらに対して時間的な 対応付けを行ったものである。その際、σ の値 を い ろ い ろ と 変 え て 対 応 さ せ た の で (そ の と き の σ のサイズで極値の数が一致したものだけを 使 用 )、表 2 は 合 計 で 62 の デ ー タ の 結 果 で あ る 。 な お 、 今 回 の 実 験 デ ー タ は σ=300 前 後 で 極 値 の 数 が 1 に な っ た り 、対 応 が 付 か な く な る の で 、σ の 上 限 値 は 500 と し た 。. (a)x 軸 方 向 の 補 完. (b)y 軸 方 向 の 補 完. 表 2. 時 間 的 対 応 付 け の 実 験 結 果 特 徴 点 の 対 応 率 (%) σ の値. x軸. y軸. z軸. 方向. 方向. 方向. 平均. 0(未 処 理 ). 38.0. 42.0. 39.0. 39.7. 1~ 50. 41.1. 34.1. 40.0. 38.4. 51~ 100. 36.9. 46.8. 41.9. 41.9. ― : (黒 ) 削 除 前 の 真 値. 101~ 150. 45.3. 44.3. 49.0. 41.2. ― : (灰 ) 提 案 手 法 に よ る 補 完 結 果. 151~ 200. 58.1. 39.9. 42.7. 46.9. 201~ 300. 46.2. 59.5. 49.5. 51.7. 301~ 500. -(*). -. -. -. (b)z 軸 方 向 の 補 完. 図 12 提 案 手 法 を 用 い た 補 完 結 果 の 一 例. *:σ =301~ 500 で 対 応 が 付 い た デ ー タ は 存 在 し な か っ た. 4.4.3 目 視 に よ る コ ン テ ン ツ 評 価 の 実 験 結 果 実験は、左肩上部のマーカーのデータをフレ ー ム 数 に し て 2000 枚 (約 16.6 秒 )隠 し た デ ー タ に対して補完を行った。このとき、参照マーカ ーとして相関が大きい頭頂部のマーカーを利用 し た 。各 x、y、z軸 方 向 に 対 し て 時 間 的 対 応 付 け を 行 っ た 結 果 、 式 (6)の Δtが 最 小 だ っ た の は x軸 方 向 の 処 理 で あ っ た 。こ の こ と か ら 、x軸 方 向 の 時 間 ス ケ ー ル t 0 ’ 、 t 3 ’ で x、 y、 z軸 方 向 に 対 し て 補 完 を 行 っ た 。そ の 実 験 結 果 の 一 例 を 図 12 に 示す。. 5. 考 察 表 1 より、相関が大きい部位を参照マーカー と し て 選 択 し た 場 合 は 、y 軸 、z 軸 方 向 で の 対 応 率が明らかに高い結果となり、相関が大きけれ ば参照マーカーとして利用可能であることがわ かった。これに対し、相関が小さい部位を参照 マーカーとして選択した場合は、動作の対応が 十分にとれておらず、補完データとして使用す るのは適当ではなかった。なお、相関が大きい 部位の x 軸方向については対応率が低い結果と なったが、これは実験に使用した x 軸のデータ に特徴的な動作が多く含まれなかったため、こ のような低い対応率となったと考えられる 表 2 より、平滑化処理を行わずに時間的に対 応 付 け る と x、 y、 z 軸 の 特 徴 点 の 対 応 率 の 平 均 が 39.7%と 低 い 対 応 率 と な っ た 。 平 滑 化 処 理 を 加 え た 対 応 率 の 平 均 を 見 る と 、 σ=1~ 50 の 場 合 を除き、σ のどのサイズで平滑化を行っても σ=0( 平 滑 化 処 理 を 行 わ な い 場 合 ) を 上 回 る 結 果 と な っ た 。 特 に 、 σ=201~ 300 と い っ た 大 き い 値. −129− 7.

(8) で 平 滑 化 を 行 っ た 場 合 は 51.7%と な り 、約 12.0% の改善が見られることから、平滑化を用いた時 間的な対応付けが有効であると言える。なお、 σ=1~ 50 と い っ た 小 さ い 値 で 平 滑 化 処 理 を 行 っ た場合、一方のデータは滑らかに、しかしもう 一方のデータは滑らかになっていないといった 相対的な問題から、時間的な対応付けが困難に なることがわかった。 図 12 を 見 る と 、 x 軸 方 向 に 合 わ せ た 時 間 ス ケ ールで補完を行ったために x 軸方向の補完は時 間的にも真値に近い結果を得ることができたと 言 え る 。さ ら に 、y 軸 方 向 に も そ の 有 効 性 が 見 ら れると判断した。また、補完したデータを用い て看護動作コンテンツを生成したところ、その 動 作 中 に 多 少 の 不 具 合 (間 接 が お か し く な る 、な ど )が 生 じ る こ と が あ る も の の 、滑 ら か に 人 体 モ デルが動く様子を目視によって確認した。よっ て、同じ方向を向いて撮影を行うという前提条 件の下では提案手法による補完が有効であると 判 断 で き る 。一 方 、z 軸 方 向 の 補 完 結 果 に 対 し て は、時間スケールが異なるために、真値と補完 結果に時間的なずれが生じた。このずれの補正 方法は今後の課題である。. 6. ま と め 本稿ではモーションキャプチャシステムを利 用する際に生じるマーカーの隠蔽に対して、一 人ずつ個別に撮影したデータを用いる補完方法 について検討した。 実験結果より、参照マーカーに使用するマー カーはデータ欠落が生じたマーカーと相関が大 きいマーカーを使用するのが適切であることが 確認できた。さらに、そのマーカーに対して時 間的対応付けを行う場合、ガウシアンフィルタ のサイズを大きくして平滑化を行った場合は 51.7%の 対 応 率 を 得 る こ と が で き 、平 滑 化 を 行 わ な い 場 合 と 比 べ 、約 12.0%も の 改 善 が 得 ら れ た 。 すなわち、平滑化を用いた時間的対応付けは有 効であると言える。また、提案手法によって補 完を行ない、補完したデータを基に看護動作コ ンテンツを生成したところ、有効性のある結果 が得られた。このことから、同じ方向を向いて 撮影を行うという条件の下では提案手法が利用 可能であることがわかった。 現 在 、 補 完 を 行 う 際 、 各 x、y、z軸 方 向 に 対 し て時間的対応付けを行い、その中から最も有効 な 時 間 ス ケ ー ル t 0 ’ 、t 3 ’ を 決 定 し て い る 。し か し、この時間スケールで全ての座標軸への補完 がうまくいくとは限らない。補完を行ったデー. タ の 中 に は 、時 間 的 な ず れ が 生 じ る こ と も あ る 。 このような時間的な動作のずれの補正を行う方 法を確立することは今後の課題である。. 文. 献. [1] 村 井 , 山 根 , 中 村 “ モ ー シ ョ ン キ ャ プ チ ャ データに基づく人体の受動的な力のモデ ル 化 ”, 第 22 回 日 本 ロ ボ ッ ト 学 会 学 術 講 演 会 (September 2004) [2] 長 船 , 大 隈 , 森 野 , 村 上 , 白 井 : “ モ ー シ ョ ンキャプチャデータを用いた歩行動作の 分 析 と 制 御 ”, The 17 t h Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence, 2003 [3] 村 上 和 人 , 児 玉 幸 治: “モーションキャプチ ャによる小型ロボット検出とその応用”, 精密工学会第 4 回動画像処理実利用化ワー ク シ ョ ッ プ , pp.7-10 (March 2003) [4] 吉 村 , 村 里 , 甲 斐 , 黒 宮 , 横 山 , 八 村 : “ 赤 外 線 追 跡 装 置 に よ る 日 本 舞 踊 動 作 の 解 析 ”, 信 学 論 (D-II), vol.J87-D-II, No.3, pp.779-788 (March 2004) [5] 村 上 和 人 , 森 田 義 久 , 小 路 裕 史 , 齋 藤 洋 典 , 白 石 知 子 :“ 動 作 の 計 測 ・ 表 現 の た め の モ ーションキャプチャデータの補完”, 第 1 回デジタルコンテンツシンポジウム講演 予 稿 集 , CD-ROM, (May 2005) [6] 小 路 裕 史 , 村 上 和 人 : “ モ ー シ ョ ン キ ャ プ チャデータによる複数人物の動作解析と データ補完法に関する検討”, 映像メディ ア 工 学 研 究 会 , pp.37-40( August 2005) [7] 森 田 義 久 , 村 上 和 人:“ モ ー シ ョ ン キ ャ プ チャによる人間の動作の測定とデータ補 完 の 一 手 法 に つ い て ”, 第 10 回 画 像 セ ン シ ン グ シ ン ポ ジ ウ ム 講 演 論 文 集 (SSII04), F-33, pp.451-454 (June 2004) [8] 今 井 聖 : “ 音 声 認 識 ” , 共 立 出 版 , pp.137-143(1995). −130− 8 -E.

(9)

図 9. DP マ ッ チ ン グ 適 用 の 一 例   (a)平 滑 化 後 の デ ー タ(b)DP マ ッ チ ン グ で 整 合 し た デ ー タ網 掛 け の 部 分 が 極 値 の 対 応 を 付 け て い る 様 子 (a)看 護 師 役 に 取 付 け た マ ー カ ー  (b)患 者 役 に 取 付 け た マ ー カ ー  図 10

参照

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