42 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(4) スズ キ ヤス エ鈴木康江(昭和3
医学博士 甲第168号昭和63年3月18日
学位規則第5条第1項該当(医学研究科専攻 博士課程修了者)高血圧自然発症ラット(SHR)におけるNa代謝とAtrial Natriuretic
Polypeptideとの関連性についての研究 (主査)教授 杉野 信博 (副査)教授 鎮目 和夫,教授 橋本 葉子論 文 内 容 の 要 旨
目的Spontaneously Hypertensive Rats(SHR)は:本態 性高血圧の疾患modelである遺伝性高血圧動物であ り,高血圧の病態として交感神経系の異常,腎Na代謝 異常などを有している.一方,心房性Na利尿peptide (ANP)は心房から分泌され血管拡張,降圧, Na利尿 作用を持ち,体液量,Na balanceあるいは血圧の調節
に働くhormoneとされている.著者はANPのSHR
における病態生理学的役割を明らかにする目的で等張 及び高張食塩液負荷時においてANPを投与しその反 応性を検討した. 対象および方法 12~15週齢の雄性SHRを用い,直接法により動脈圧を測定,1.2%lnulinと0.2%PAHを含む等張
(0.9%)及び高張(3%)食塩液を静脈内に持続注入 した.また両側尿管にcatheterを挿入して採尿を施行 した.外科的操作終了後,安定期間をおいた後,1-28α一 hANP,3μg/kg B.W。を静注し,前後で腎Clearance 法を行ない腎機能,水電解質排泄:状態を観察した.な お,対照として非高血圧ratであるWistar-Kyoto (WKY)を用い,同様な実験を行なった. 結果および考按 1.ANP静注後の降圧は等張,高張食塩液負荷時共 WKY, SHR両群間で有意差を認めなかった,2.等張液負荷時,ANP投与前のSHRの腎血漿流
量,糸球体炉過値はWKYに比して低値を示したが
(p<0。05),水NaCl排泄率には差を認めなかった.従ってSHRにおいて腎尿細管でのNaCl再吸収が相
対的に抑制されていることが示唆された.またANP投与後はSHRにおいて水NaClの著明な排泄増加が
起こり,SHRにおいてANPに対する高い感受性を示
した.この過大Na利尿反応から, ANPが本態性高血 圧症患者やSHRの食塩液負荷時にしばしば認められ る“exaggerated natriuresis”の一因に関与する可能性 が示唆された.3.高張食塩液負荷時にはSHRの腎機能はWKY
と同様であったが,SHRのNa排泄率はWKYに比
し有意に低下し(p<0.05),SHRの腎尿細管levelで の水,NaCl輸送異常が認められた.しかし, ANPの 投与によりSHRの水, NaCl排泄率の低下は改善し両 熱間の差が消失した. 結論SHRの腎Na,水代謝異常に対しANPはこれを改
善する結果をもたらした.また腎でのANPに対する反応性がWKYと比較して充遷していた.これは
SHRの腎Na水代謝異常に拮抗する代償機構の一つ
と考えられる. 一70643
論 文 審 査 の 要 旨
本論文は本態性高血圧症の疾患モデルである高血圧自然発症ラットにおける心房性Na利尿ペプ
チッド(ANP)の役割について検討を加えたものである.高血圧症の腎Na代謝異常に対してANP
が改善効果をもたらすことを腎クリアランス法を用いて証明したもので学術的価値が高いものと思
われる. 主論文公表誌 高血圧自然発症ラヅト(SHR)におけるNa代謝とAtrial Natriuretic Polypgptideとの関連性につ いての研究 東京女子医科大学雑誌 第58巻 第4・5号 376~390頁(昭63年5月25日発行) 副論文公表誌 1)透析低血圧の病態に関する研究(第2報)圧受 容体反射系について 透析会誌 19(8)779~783(1986) 一707一