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バイオマス資源由来植物生長促進ペプチドの同定と作用メカニズムの解明

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Academic year: 2021

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立命館大学・生命科学部 ・立命館大学生命科学部 ・1983 年 広島大学工学部第 3 類卒業 写 真 ・教授、博士(工学) ・1985 年 広島大学大学院工学研究科修了 ・久保 幹 ・1992 年 博士(工学、大阪大学) ・1997 年 立命館大学理工学部・助教授 ・2002 年 立命館大学理工学部・教授 ・2008 年 立命館大学生命科学部・教授

Analysis of plant growth promoting peptides

from biomass resources

バイオマス由来植物生長活性化ペプチドの解析

はじめに

地球上の物質循環により、全ての生命体は、継続した生命の維持や活動を行っている。 物質循環は、異なる環境下、多種多様な生物が関与することにより動いており、それぞれ の反応は密接な連携がなされている。持続可能な社会の構築のためには、物質循環に立脚 した社会基盤を創ることが必要であり、科学的な物質循環を理解することは、非常に重要 である。 21 世紀に入り、「食の安全・安心」に対する意識が高まってきた。それに伴い、有機 農法(物質循環型農法)が見直され、ヨーロッパを中心に有機農法が増えてきている。し かしながら、有機農法は依然として経験的な手法に頼っており、その再現性や生産性に問 題がある。 筆者らは、化学肥料の低減を目指し、古くから肥料として使われていた大豆カスのペプ チド化を試みた。得られたペプチド群(DSP)には、植物生長効果があることを見出し(1)、 窒素循環において、無機化されていない中間物質であるペプチドが植物生長に影響を与え ることを明らかにした。また、特定のペプチド(RHPP)において、植物根毛活性化作用が あることを明らかにし、ペプチドの構造解析を行った(2)。 本研究では、ペプチドの植物中への取り込みを明らかにすることと、RHPP の取り込 み作用機作について解析した。

(2)

ペプチド群(

DSP)の取り込み

DSP 中のペプチド群において、植物への取り込みを解析するため、DSP を用いて、小 松菜への取り込みの解析を行った(表1)。その結果、蒸散が生じても溶液中のペプチド 量はほとんど変化せず、ほぼ水と同時にペプチドが取り込まれていることが明らかとなっ た。 表1 小松菜によるペプチドの取り込み 実 験 0 時間 12 時間 24 時間 36 時間 蒸散に伴う溶液量の変化(ml) 30.0 22.3 16.5 13.5 ペプチド濃度(mg/ml) 1.06 1.03 1.04 1.11 取り込まれたペプチド量(mg) 0 7.0 12.8 15.3 一方、限外ろ過膜で分画したペプチド溶液(5,000Da で処理)を用いた場合、5,000Da 以上または以下の画分においても、ペプチドの取り込み量はほとんど変化がなかった。従 って、ペプチドの分子量による取り込みの差はほとんどないものと考えられた。

取り込まれるペプチドの解析

ペプチドは植物中に取り込まれ、分子量には依存しないことが示唆された。DSP 溶液中 にはかなりの数のペプチドが含まれている。 %B 0 5 10 15 20 25 30 35 40 保持時間(min) 0 100 200 300 400 500 600 700 信号強度(mV) 0 20 40 60 80 100 溶離液(%) 図1 DSP 溶液の逆相クロマトグラフィー解析

(3)

そこで、特異的なペプチドが取り込まれるのか、またはペプチドの種類に関係なく取り込 まれるのかを明らかにするため、DSP 溶液とそれを小松菜に取り込ませた後の DSP 溶液 を逆相クロマトグラフィーにより解析した(図1および2)。 %B 0 5 10 15 20 25 30 35 40 保持時間(min) 0 100 200 300 400 500 600 700 信号 強 度 (m V) 0 20 40 60 80 100 溶離 液 (% ) 図2 小松菜取り込み後のDSP 溶液の 逆相クロマトグラフィー解析 その結果、ペプチドのピークは全体的に小さくなっており、ほとんどのペプチドが植物 体に取り込まれていた。また、特異的に減少が著しいピークも認められ(10 分付近、15 分付近、および17 分付近)、ペプチドの構造等の違いにより取り込み率が違うことも明 らかとなった。

RHPP の取り込みメカニズムの解析

RHPP を小松菜に取り込ませると根毛が著しく増殖する。これは RHPP に根毛増殖を 活性化する生理作用があるためである。そこで、RHPP が植物根の何処に取り込まれて いるかを明らかにするため、蛍光標識であるFAM でラベルした RHPP(FAM‐RHPP) を用い、小松菜への取り込みを解析した(図3)。解析は、FAM‐RHPP を含む溶液に 小松菜を浸し、蛍光顕微鏡を用いて小松菜根の解析を行った。

(4)

図3 FAM‐RHPP の植物根への取り込み その結果、FAM‐RHPP は、根毛を通じて根毛形成細胞に取り込まれ、根毛形成細胞 内に蓄積していることが明らかとなった。この結果は、RHPP が根毛形成細胞内で何ら かの生理作用をすることにより、根毛形成が促進されるということを示唆している。

まとめ

本研究において、ペプチドは植物根から取り込まれることを明らかにした。その取り込 みは、分子量には依存していなかった。また、幾つかのペプチドが特異的に減少しており、 選択的な取り込みが行われていた。これは、ペプチドの構造等の違いにより取り込み率が 異なる可能性がある。根毛増殖を行わせる RHPP に関しては、根毛から根毛形成細胞に 取り込まれ、根毛形成細胞中に蓄積していた。根毛活性化に関する生理作用は、根毛形成 細胞中で行われていることが考えられた。

(1)Promotion of plant and root growth by soybean meal degradation products. N. Hasegawa, Y. Fukumoto, M. Minoda, A. Plikomol., M. Kubo, Biotechnol. Lett., 24, 1483-1486, (2002).

(2)Effect on epidermal cell of soybean protein-degraded products and structural determination of the root hair promoting peptide, Y. Matsumiya, S. Sumiyoshi, T. Matsukura, and M. Kubo, Appl. Microbiol. Biotechnol., 77, 37-43, (2007).

参照

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