東医大誌 78(1)
: 16
-21, 2020
総 説
前頭側頭葉変性症の病態生理学的メカニズム
Pathophysiological mechanisms of frontotemporal lobar degeneration
東 晋 二 Shinji HIGASHI
東京医科大学茨城医療センターメンタルヘルス科
Department of Psychiatry, Tokyo Medical University, Ibaraki Medical Center
【要旨】 前頭側頭葉変性症(Frontotemporal lobar degeneration : FTLD)は前頭葉と側頭葉に萎縮をき たす神経変性疾患であり、脳内に出現するタンパク質凝集体が神経病理学的特徴である。近年、この 凝集体の主要構成タンパク質としていくつかの
RNA
結合タンパク質が同定された。これらのタンパ ク質内には低複雑度領域と呼ばれるアミノ酸組成が存在するが、これは安定した構造を形成しない天 然変性領域であり、液相分離による細胞内の液滴の構成因子となる。FTLD関連RNA
結合タンパク 質は液滴内の可溶性に影響を与え、そのフィブリル化はFTLD
の主要な病態機序となると考えられる ようになり、FTLDやlimbic
-predominant age
-related TDP
-43 encephalopathy
とその合併神経変性疾患群 の病態生理学的メカニズムとして注目を集めている。1.
は じ め に前頭側頭葉変性症(Frontotemporal lobar degene-
ration :FTLD)は高齢者に発症する神経変性疾患で
あり、主に前頭葉と側頭葉に神経変性をきたす疾患 群から成り、障害部位に一致した認知機能障害や行 動変化が出現する。臨床症状では、人格・行動障害 の目立つ行動障害型FTD
(behavioral variant fronto- temporal dementia : bvFTD)と、言語障害を主とす
る 進 行 性 非 流 暢 性 失 語(progressive non-fluent aphasia : PNFA)と意味性認知症(semantic dementia : SD)に分類される 1)
。神経変性疾患には、
FTLD
の他にアルツハイマー 病(Alzheimer’s disease : AD) や パ ー キ ン ソ ン 病(Parkinson’s disease : PD)、ハンチントン病(Hun-
tington’s disease : HD)などが含まれ、これらの疾
患の患者脳内では細胞内あるいは細胞外に異常な構造 物 が 認 め ら れ る。ADで は 老 人 斑(Senile
plaque : SP) と 神 経 原 繊 維 変 化(Neurofibrillary tangles : NFTs)、PD
やレビー小体型認知症 (Demen-tia with Lewy bodies : DLB)ではレビー小体(Lewy bodies : LBs)が認められ、これらによって最終的
な病理診断がなされる。近年の研究で、これらは特 定のタンパク質が凝集したものであることが明らか となり、SP
、NFTs
、LBs
の主要構成成分としてア ミロイドβ蛋白 (Amiloidβ : Aβ)、tau、α
-シヌクレ イン(α-synuclein : α
-syn)が各々同定された。さ
らに、1990年代からの遺伝学的研究によって、こ れらのタンパク質をコードする遺伝子の突然変異や 重複(gene multiplication
)などが家族性のAD
やPD
の発症原因となることが明らかとなり、タンパク質 凝集体は単なる診断マーカーではなく、病気の発症 メカニズムに関与していると考えられるようになっ た。キーワード
:
前頭側頭葉変性症、凝集体、相分離、TDP-43、FUS
(別冊請求先
:
〒300
-0398 茨城県稲敷郡阿見町中央 3
-20
-1 東京医科大学茨城医療センターメンタルヘルス科)
FTLD
は神経病理的にheterogeneous
な症候群であ り、主に3
つのタンパク質の凝集体よりなる疾患群 である。これは同一の蓄積タンパク質で診断されて いるAD
やPD
と大きく異なる点である。近年、FTLD
の凝集体タンパク質の同定が進み、その多く はRNA
結合タンパク質であることが明らかとなっ た。本稿では、その生理機能と病態機序についての 近年のトピックスを述べる。2. FTLD
とRNA
結合タンパク質FTLD
の代表的な疾患としては、ナイフの波状(knife-
blade
)と呼ばれる顕著な前頭・側頭葉の萎縮 をきたすピック病が知られる。ピック病では病理学 的にピック球と呼ばれる球形もしくは楕円形の凝集 体と腫脹神経細胞 (ballooned neuron)が出現する。このピック球は
tau
によって構成される凝集体であ り、 ピ ッ ク 病 はFTLD
-tau
に 分 類 さ れ る。 そ のFTLD
-tau
に属さない、tau免疫染色陰性の凝集体を 示すFTLD
から、新たな主要構成タンパク質として、2000
年代にTDP
-43 2) 3)
とfused in sarcoma
(FUS
)4) 5)
が そ れ ぞ れ 同 定 さ れ た。FTLD-
tau
と 異 な り、TDP
-43
とFUS
は筋萎縮性側索硬化症(amyotrophiclateral sclerosis : ALS)患者の脊髄前角細胞の凝集
体からも免疫組織化学・生化学的に同定されており、FTLD
とALS
は共通の病理基盤を有することが証 明された。TDP
-43
とFUS
は正常では主に細胞核内に局在す るが、FTLD患者脳ではこの核内の正常な局在が失 われ、神経細胞内の様々な部位にTDP
-43
あるいはFUS
免疫陽性構造物が出現し、神経細胞質内、神 経細胞核内、神経突起内、グリア細胞質内などに凝 集体を形成する(図 1)。FUSのタンパク質構造はEwing sarcoma
(EWS
)やTATA
-binding protein
-asso- ciated factor 15
(TAF15)蛋白と類似しており、これ
らはFET
タンパク質ファミリーと総称されるが、FUS
免疫陽性の凝集体はFUS
だけでなくEWS
やTAF15
も免疫陽性を示すことより、FUSの関連する
FTLD
はFTLD
-FET
と総称され6)
、TDP
-43
凝集 体が出現するFTLD
はFTLD
-TDP
と総称される。ま た、TDP-
43
とFUS
を コ ー ド す るTARDBP
とFUS
の遺伝子変異では、家族性のFTLD
-TDP 7) 8) と FTLD
-FUS 4) 5)
がそれぞれ発症し、病態機序そのも のとも深く関与していると考えられる。TDP
-43
とFUS
は ど ち ら もRNA
結 合 モ チ ー フ(RNA Recognition Motif : RRM) を 有 す る
RNA
結 合タンパク質であることから、FTLDの病態生理に は共通の転写・翻訳機能の変化があると考えられる 様になった。3.
プリオン様低複雑度領域の凝集形成と 遺伝性表現型タンパク質の酵素活性には、タンパク質本来の三 次元立体構造(conformation)を維持する必要がある。
凝集体を形成しているタンパク質は誤った折り畳み 構造(misfolding)によって立体構造が障害され、
機能的に不活性になり、細胞に対して毒性を呈する が、misfoldingタンパク質はしばしば疎水性領域を 露出して凝集傾向を有す
9)
。神経変性疾患は中枢神 経系における細胞内および細胞外のmisfolding
タン パク質の凝集体蓄積を共通の特徴とすることから、立体構造異常症(conformational disease)の一つと 考えられている。これらの凝集体のほとんどはフィ ラ メ ン ト 状 で ア ミ ロ イ ド の 超 微 細 構 造 を 示 し、
Congo red
やThioflavin
-S
などのアミロイド結合性 化合物で染色される。しかし、TDP-43
やFUS
の凝 集体はこれらのアミロイド結合色素の結合性を示さ ず、SPや NFTsなどと比べるとアミロイド形成の 少ない凝集体を特徴とする10)
。TDP
-43
とFUS
の凝集体を考える上で重要な要素 として、両タンパク質のアミノ酸配列内にプリオン 様ドメインと呼ばれる領域が存在することである。プリオンというと、クロイツフェルト・ヤコブ病な どのプリオン病を引き起こす感染性タンパク質であ るプリオンタンパク質(PrP)が代表例である。PrP には
β
シート構造に富む異常な立体構造(凝集型で図
1 FTLD
-TDP
患者脳内の歯状回(A)と尾状核(B)の神経細胞質内の
TDP
-43
免疫陽性凝集体。正常の神経 細胞ではTDP
-43
は核内に局在するが(A : 矢じり)、細胞質内に凝集体を形成すると核内の局在が失われる
(A : 矢印)。Scale bar=20µm。
ある
PrP sc
)と正常な立体構造(可溶型のPrP c
)が 存在し、感染性の特性をもつPrP sc
は隣接するPrP c
を凝集型に変換させる自己テンプレート機能を獲得 し、異常な凝集型が細胞間や個体間に伝播していく ことでプリオン病が発症する。この感染性のプリオ ン特性をもつタンパク質は酵母の中にも存在し、こ れまで多くの研究が進められてきた。酵母プリオン の特徴として、アミノ酸組成が単純な低複雑度領域(low complexity region : LCR)が存在し、特にプリ オン特性を持つタンパク質の
LCR はグリシンや極
性無電荷アミノ酸であるアスパラギンが豊富であ り、N/Qリッチ領域とも呼ばれる。このプリオン様 のLCR
は疎水性アミノ酸の欠如のために基本的には
unfolding
な状態である。このプリオン様LCR
領域が
TDP
-43
ではC
末端領域に、FUSではN
末端 領域に存在するのが特徴である。プリオン様
LCR
領域に関する酵母研究の例を挙 げると、翻訳終結因子であるSup35
タンパク質は、プリオン感染をきたすとその凝集型は娘細胞に引き 継がれて、可溶型の
Sup35
タンパク質が凝集型と なり、その翻訳終結機能は失活する。この酵母プリ オンによって引き継がれる表現型はある環境ではむ しろ生存に有利に働く場合がある11)
。このように、DNA
遺伝子が同じ細胞間でも、タンパク質の凝集 型の変化で環境適応性に関する新しい表現型を獲得 し、世代間で伝達しうることがわかった。つまり、遺伝は通常染色体
DNA
が司ると考えられてきたが、タンパク質ベースでも表現型の遺伝的変化を作り出 すことができ、酵母プリオンはエピジェネティック な遺伝要素となることが示された。
他にもプリオンが引き起こす機能変化の例があ る。ショウジョウバエの
RNA
結合タンパク質Orb2
にはN
末端にプリオン様ドメインが存在するが、アミロイド状態に変化するとタンパク質の単量体型 の翻訳抑制機能が活性型に変化し、シナプス活性の 永続的変化と記憶の安定化をもたらす
12)
。このよう に、LCRはプリオン特性をもつ感染因子となる負 の側面だけでなく、生体に新たな機能を与えるエピ ジェネティックな要素にもなりうる。4.
RNA
結合タンパク質の液相分離FTLD
関連RNA
結合タンパク質の発見以来、こ れらが熱ストレスなどで生じるストレス顆粒 (stressgranules : SGs)の構成成分であることに注目が集
まった。SGs
は細胞がストレスに晒された時に細胞 質内にできるRNA
結合タンパク質やmRNA、リボ
ソームなどの集合体であり、細胞を環境変化から防 御する防衛機構の一つと考えられている(図2
)。通常、生体に必要な化学反応を行う区分は細胞内で は膜に囲まれており、オルガネラ(organelles)と 呼ばれる細胞内小器官を形成している。しかし、こ の
SGs
は膜構造で区切られていないにも関わらず、内部で必要な化学反応をおこす分子が集合してお り、さらに必要な因子を隔離保存することができる。
そのため、核小体や核スペックルなどの構造物と同 様に膜構造で区切られていない細胞内区画であると 考えられ、この様な区画は
membraneless organelles
と呼ばれるようになった。SGsは膜に覆われていな いが故に周囲の環境により速やかに変化できるダイ ナミックで柔軟性に富んだ特性をもつことができ、周辺環境に適応する必要性がある生体にとって有益 であると考えられている。
SGs
に必要な分子が集合・離散する仕組みは、当初その中に存在する
FTLD
関 連RNA
結合タンパク質のLCR
が関わっているの ではないかと推測された。しかし、そもそもプリオ ン特性を持つタンパク質が凝集体をつくる際は、β図
2 ストレス顆粒内の TDP
-43
の局在。HeLa細胞に酸化ストレス(0.5 mM亜ひ酸ナトリウムを30
分)処理後の蛍光免 疫染色像。ストレス顆粒マーカーのTIA
-1
に一致してpoly(A) + RNA
とTDP
-43
の共局在が出現する(矢印)。Scale bar=10 µm。
シート構造に富んだ立体構造となり、界面活性剤に 不溶性な生化学的に極めて安定な構造物となるた め、もし
SGs
の内部でそのような生化学的変化が 出現すれば、環境適応性に優れた動的で一過性の集 合体に成り得ない。その後、SGsのような動的なmembraneless organelle
の形成過程は、液相分離(liq-uid phase separation
)によって説明されるようになっ た。SGsと同じ動的なmembraneless organelles
であ るP
顆粒を顕微鏡下で観察すると、P顆粒はお互い が衝突すると合体する。この様な挙動は、まるで水 の中に存在する油の様に、液体だけができる動きで あり、凝集体の様な堅牢な構造物では起きるはずの ない現象である。この様な観察から、SGsやP
顆粒 の様な細胞質の中に出現する一過性のmembraneless organelles
は、油が水の上に浮かぶときのように、2 つの液体を押しのける力によって出現した液滴(liq-uid droplets)であり、液体と液体が分離して存在す
る、すなわち液相分離によって起きたものとして説 明されるようになった。多くの研究者が注目したのは、この液相分離にお ける
LCR
の機能である。そもそもRNA
結合タン パク質はRNA
などの高分子と相互作用するため、凝集の危険性が高い状況にある。さらに
FUS
をは じめとしたRNA
結合タンパク質の多くは発現量の 非常に高いタンパク質であり、常に過飽和の状態と なっており、その豊富さも手伝って、常に液滴内で 異常な凝集をきたす危険性があると考えられる。そ れにも関わらず、正常な液滴内でFUS
は、プリオ ンのような生化学的に安定で溶解性を失った凝集性 の高い立体構造特性ではなく、立体構造的に不安定 な状態を保っている13)
。実験的には、FUSのLCR
内のβシート構造に関与するアミノ酸を置換した変 異体は、FUS
の線維形成は阻害するが、相分離に よる液滴形成には影響を及ぼさず14)
、むしろ液滴の 分子集合は主にRNA
によって駆動されているよう である15)
。このことからFUS
のLCR
は液滴内では 安定した構造を形成しない天然変性領域(intrinsi-cally disordered regions
)として存在し、分子集合な どの液滴の形成そのものに関与するのではなく、液 滴内のタンパク質溶解度の調整因子として働いてい る可能性がある16)
。5.
FTLD
関連RNA
結合タンパク質の 凝集体形成と細胞間伝播このように、FTLD関連
RNA
結合タンパク質は 液滴内のような分子が集合した環境内でも溶解性を 失わず、凝集抑制のための仕組みが存在するようで ある。しかしながら、FTLD
が発症する脳内では何 らかの機序で凝集体を形成する。しかもその凝集体 は自己テンプレート機能といったプリオン特性を獲 得しているとの報告がある。NonakaらはFTLD
-TDP
もしくは ALS患者脳から抽出したTDP
-43
凝 集体を神経細胞株に導入したところ、その細胞株内 に患者脳と同様のTDP
-43
凝集体が出現することを 示 し た17)
。 ま たPorta
ら はFTLD
-TDP
患 者 脳 のTDP
-43
凝集体をマウス脳に導入したところ、マウ ス脳内にTDP
-43
凝集体の出現が引き起こされ、そ れが時間経過と共に脳全体に広がりうることを示し た。このように、凝集したTDP
-43
は異常立体構造 による凝集体を伝播することがin vitro、in vivo
で 示され、プリオン様の自己テンプレート機能を獲得 していると想定される18)
。我々は、TDP-
43
が凝集する機序として、酸化ス トレスによるものを報告している19)
。培養細胞株に 酸化ストレスを与えると、TDP-43
の溶解性の低下 が起きるが、これは短期間のものであれば可逆性の 一過性変化である。しかし、この可逆性の酸化スト レスが長期に及ぶと不可逆性の変化をもたらし、TDP
-43
が疾患脳と同様の生化学的不溶性とリン酸 化変化をきたし、神経変性疾患に特徴的なp62
免疫 陽性となる19)
。また、Patelらは家族性発症の家系 から分離されたFUS
のLCR
内の変異体は、液滴内 での流動的な性質をよりsolid
な形状に変化させ、アミロイドフィブリル化を促すことを示した
20)
。SGs
の構成成分であるTIA
-1
の遺伝子変異は家族性FTLD
-TDP
の原因となるが21)
、このTIA
-1
のLCR
内に変異体が存在すると、SGsの解体に遅れを生じ させ、SGs内のTDP
-43
の可動性低下や不溶化が引 き起こされる21)
。このように、FTLD
関連RNA
結 合タンパク質は、長期の酸化ストレスや遺伝子変異 などによって可変性を失った時に、アミロイドフィ ブリル化して病的な凝集体を形成するようである。また、TDP-
43
は発現量が増えるだけでも毒性を発 揮するなど、量依存的にも凝集性が高まる22)
。その ため、TDP-43
は自身のmRNA
に結合して自身の発現量を調整するというオートレギュレーション機能 をもっており、タンパク質発現量の厳密な調整を行 なっている
23)
。液滴内のタンパク質量の調整は新規治療方の開発 という上でも重要である。核細胞質間輸送の機能が ある
importin β 2
は、FUSの核移行シグナルに結合 して、細胞質から核内へのFUS
の移動を促す。こ の機能によってFUS
をSGs
から乖離させることが できるだけでなく、importin β 2の過剰発現によっ てフィブリル内のFUS
も乖離させる24)
。このような、液滴内のタンパク質のシャペロン機能を担うタンパ ク質は、治療応用の可能性がある。実際、家族性発 症の家系から分離された
FUS
の変異は核移行シグ ナル領域に多く見られるが、これらはimportin β 2
との結合能を低下させる24)
。6.
他の神経変性疾患におけるTDP
-43
凝集体形成FTLD
関連RNA
結合タンパク質のうち、TDP-43
の凝集体はAD
やDLB
などの他の神経変性疾患の 脳内にも出現する。我々の研究ではAD15
例中5
例、DLB11
例中5
例にTDP
-43
凝集体が出現していた25)
。 この出現部位は通常のFTLD
-TDP
とは異なり前頭 葉や前部帯状回での出現は少なく、AD
やDLB
の 障害脳領域である扁桃核、海馬、海馬傍回、下側頭 回、島回などに集中していた25)
。さらに、TDP-43
凝集体は、ADの凝集体であるNFTs
やDLB
のLBs
と同一神経細胞内に同時に出現しうることを報告し た25)
(図3
)。近年、このようにFTLD
-TDP
と異なっ た、辺縁系を中心にTDP
凝集体が出現する病理型 をlimbic
-predominant age
-related TDP
-43 encephalop-
athy
(LATE)と定義し、特に高齢者の認知症の原因として注目されている
26)
。LATEがFTLD
と異なっ た脳領域に出現し、AD
などと高頻度に合併する意 義については不明であるが、少なくともTDP
-43
凝集体は
FTLD
-TDP
以外の他の神経変性疾患の病態 の修飾因子になっているようである。7.
おわりに2006
年にFTLD
関連タンパク質としてTDP
-43
が同定されて以来2) 3)
、FTLD研究で数多くの関連遺 伝子、タンパク質が同定され、ここ近年のFTLD
研 究は著しい進歩をきたした。神経変性疾患は基本的 にタンパク質凝集体を特徴としたconformational
disease
である点で類似した病態を共有しており、互 い の 合 併 病 理 が 頻 繁 に 出 現 す る こ と か ら も、
FTLD
研究の成果は神経変性疾患全体の病態解明に 多大な影響を与えることが考えられる。今後の研究 のさらなる発展が期待される。文 献
1
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図
3 レビー小体型認知症の扁桃核内の神経細胞での TDP
-43
免疫陽性凝集体。TDP-43
免疫陽性凝集体はリン酸化α
-シ ヌクレイン(p-α
-syn)免疫陽性レビー小体を有する同一神経細胞内に出現している(矢印)。Scale bar=25 µm。
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