慢性膵障害時の胃液分泌能に及ぼす:影響に関する 実験的ならびに臨床的研究
金沢大学大学院医学研究科外科学第二講座(主任
西 田 良 夫
(昭和44年2月20日受付)
水上哲次教授)
1955年Zollingerら1)は膵ラ氏島のnon一βcelI adenomaが胃液分泌を顕著に冗進せしめその結果,
胃十二指腸,空腸等に多発性の消化性潰瘍が発生する ことを報告し,他方慢性膵炎患者においても,Owens ら2)の指摘している如く,消化性潰瘍が屡々合併する ことから,近時,消化性潰瘍の発生の一因子として,
膵機能と胃液分泌能との関連性について,一般の注目 を浴びているところである.
ところで,膵外分泌障害と消化性潰瘍の関連性を解 明するために,まず実験的にはDragstedt 3)はイヌ の膵管を結紮することによって,膵障害を起し,胃 液塩酸分泌が著明に増加することを報告し,その後 Greenleeら4)によるイヌの二二痩造設実験, Menguy ら5)による膵を含めた十二指腸の一部を回腸末端に吻 合することによって発生したMann−Williamson 6)
潰二等の実験から,胃液分泌に与える膵外分泌の影響 について,種々論議されているが,少なくとも膵液の 十二指腸内への流入を阻止することによって,胃液塩 酸分泌を著るしく充進せしめ得ることが略々確実視さ れている.すなわち,消化性潰瘍に関し,膵の病変は 胃液塩酸分泌に刺激的に作用するものと解される,し かしBank 7)Kravetzら8)の行なった臨床的検索に よれば慢性膵炎患者における胃液分泌能は,健常者の それと比較して,むしろ低下している成績を発表して いるが,これは上述の膵外分泌障害のもたらす胃液塩 酸分泌促進的な実験成績と全く相反するものであって
.一ゥ奇異に感ぜられる.この点に関し,明快な説明 が未だなされていないが,慢性膵障害時の胃液分泌能 の様相が,動物実験の場合と臨床例の場合とこのよう に異なった現象をもたらす原因として,実験的な膵管 結紮犬と慢性膵炎患者は,いずれも膵外分泌障害の点 では一致するが,その病態生理学的見地から多分に両 者の中にも差異があると推定される.そこで著者は膵
液分泌低下をもたらすものと考える膵管結紮の丁丁膵 液のウツ滞性病変と膵外分泌細胞そのものの変性によ るものと二つの病態と想定し,これを実験的に作製す るとともに,慢性膵障害を有する臨床例について,こ の種の膵病変が胃液分泌能に如何なる影響を与えるか を検討し,興味ある知見を得たのでここに報告する.
〔1〕 膵管結紮犬における胃液分泌能 の実験的研究
イヌの膵管を結紮し,十二指腸内へ完全に膵液の流 入を阻止せしめて,その胃液塩酸分泌能を検索し,あ わせて膵の組織学的検索を行なった,
1.実験材料および実験方法 1.使用動物
体重10kg前後の雑種成犬6頭を用いた.
2.胃液採取法
術前24時間絶食したイヌに15〜20mg/kgのチト ゾール溶解液を四肢静脈内より注射し,全身麻酔下に 上正中切開を加えて開腹し,胃大轡側の胃体部の一部 を,血行障害のないように切離して胃のうを作製し,
体外に胃液を誘導できるように操作したいわゆる Heidenhain pouchるを作製した. これより24時間 中に分泌,排泄された胃液を一日量とし,胃液量,遊 離塩酸度を計量した.
3.膵管二二の作製
上述したHeidenhain胃のう犬作製後2〜3週目 にさらに膵管結紮を施行した.すなわち,術前24時間 絶食したイヌに15〜20mg/kgのチトゾール溶解液 を四肢静脈内より注射し,全身麻酔下に上正中切開を 加えて開腹し,十二指腸壁より血管を避けて膵臓を注 意深く切離し,大膵管,および小膵管を結紮切離し,
膵管の副行路の残らぬように完全に遊離した.膵管結 紮犬の胃液分泌量は術後2週に至り手術の影響もほと Experimental and Clinical Studies on Pancreatic Damage related with Gastrid Juice Secretion. Yoshio Nishida,めepartment of Surgery(皿)(Director:Pro£T. Mizu・
kami), School of Medicine, Kanazawa University.
256 西 田
んど去ると考えられ,胃液変動も安定し3週以後の胃 液分泌量をもって膵管結紮犬の胃液分泌量とした.
4.胃液測定法
T6pfer−Michaelis法にしたがい, N/10NaOHを い 用いて遊離塩酸度を滴定し,胃液量(m1)×遊離塩酸 度(mEq/1)をもって24時間塩酸分泌量(mEq)と
した.
5.膵の組織学的検査法
膵管結紮後2週目のイヌを屠殺し,膵組織を持参 し,直ちに10%ホルマリン固定し,ヘマトキシリン・
エオジン染色にて標本を作製し,検鏡した.
皿.実験結果
1.膵管結紮犬の胃液分泌能
膵管結紮前のイヌ6頭のHeidenhain胃のうより 得られた24時間胃液は最低22m1より最高48m1の 間にあり,平均38m1である,遊離塩酸度は最低16 mEq/1より最高65 mEq/1の間にあり,平均44 m Eq/1である.またそれぞれの24時間塩酸分泌量は最 低0.3mEqから最:高2.OmEqの間にあり,平均 1.4mEqである. これに対して膵管結紮後2週目の イヌ6頭の24時間胃液量は最:低40m1より最高83m1 の間にあり:平均57mlである.遊離塩酸度は最低35 mEq/1より最高121 mEq/1時間にあり,平均111 mEq/1である.また,24時間塩酸分泌量は最低3.6 mEqから最高9.9mEqの間にあり,平均6.4mEq
である(表1).
これら6頭のイヌの膵管結紮前と結紮後2週目の胃 液量,遊離塩酸分泌量のそれぞれの平均値を比較して 見ると,胃液量では結紮前の平均値381n1に対し,
結紮後の平均値57mlで50%増加し,遊離塩酸度で は結紮前の平均値44mEq/1に対し,結紮後の平均 値111mEq/1で153%増加し,塩酸分泌量では結紮 前の平均値1.4mEqに対し,結紮後の平均値6.4 mEq/1で353%増加している(図1).
2.膵管結紮犬の膵組織像
膵管結紮後2週目のイヌの膵は全体的にやや萎縮 し,その表面は穎粒状である.顕微鏡的には,実質の
mi 100
50
図1 膵管結紮犬の胃液分泌能 □結紮前 ■結紮後
胃液畳 塩酸度 分泌量
腺房細胞の肥体の変性が著るしく,腺房の配列が不整 で大小不同が著るしく,腺房内腔,細膵管の拡大が著 明であり,間質では細葉間,小葉間のfibrosisが著 明であった(写真1).
皿.小 括
以上の所見より,膵管を完全に結紮したイヌでは,
膵管結紮後2週目の胃液分泌能は胃液量では約1.5 倍,遊離塩酸度では約2.5倍,塩酸分泌量では4.5倍 と術前に比較して,著明に元進ずる.また同時期の組 織学的所見では,膵液のウツ滞,膵管の拡大が著明に 見られるとともに,腺房細胞の変性,間質のfibrosis の増生が著明に認められる,
〔兀〕消化性潰瘍患者の膵組織と胃液 分泌能に関する臨床的観察
消化性潰瘍患者の胃液分泌能を検索し,さらにそれ らの患者の膵生検を行ない組織学的変化との相関関係 を検索した.
1.研究対象および研究方法 1.研究対象
表1 膵管結紮犬の胃液塩酸分泌能 2週後 実 験 犬
量 (m1)
酸 度(mEq/1)
塩酸分泌量 (mEq)
1 2 3 4 5 6
結紮
術前
結紮
術前
結紮
術前
結紮術前
48 35
1.7
66 122
8.1
25 16 0.3
40 90
3.6
∩◎9UOO﹇り
2.0
40 115 4.6
37 50
1.6
49 35
6.6
璽
剛 22 65
1.4
結紮
82 121 9.9
塵
剛
QJ534
1.5
結紮
64 83
5.3
平 均
璽
削 1QU﹂4 ・
844
結紮 57 1116.4
胃潰蕩患者21例を対象として検索した.
2.胃液採取法
検査前日12時間前より絶食した患者に胃ゾンデを挿 入し,15分間胃液を採取し,前液とし,次いで0。1%
塩酸ヒスタミン0.01mg/kg・を皮下注射し,15分間 間隔で90分間胃液を採取した.
3.胃液検査法
T6pfer−Michaelis法にしたがいN/10 NaOHを 用いて酸度を滴定した.胃液酸度は遊離塩酸度の最高 値を指撰として,40mEq/1以上を一三,20〜40mEq
/1を正解,20mEq/1以下を低酸とした.
4.膵の生検による組織学的検査法
上述の胃潰瘍患者21例について開腹の機会が得られ たので,膵体部の一定部位より,メスにて襖形に膵組 織の一部を採取し,これを10%ホルマリン固定,ヘマ トキシリン・エオジン染色により,標本を作製して,
組織学的検索を行なった.
皿。検査結果
胃潰瘍患者21例の膵生検による組織学的変化を示し たものの内,とくに腺房内割,細膵管の変化のあった もの16例であった.その内腺房内腔に異常のあったも の2例,細膵管に異常のあったもの14例である.そ れらの内訳は」腺房内腔に拡大のあったもの高酸1 例,腺房暴民に膵液の貯溜のあったもの正酸1例であ り,細膵管に拡大のあったもの高酸1例,正酸2例,
低酸1例,細膵管に膵液の貯溜のあったもの高酸4 例,正酸1例,低酸1夙であり,細膵管の増生を認め たもの高酸1例であった.したがって,腺房内腔,細 膵管に異常を認めたもの16例では,高酸を示したもの 7例,正酸を示したもの7例,低酸を示したもの2例 であった(表2,写真2,3).
表2 消化性患者の膵組織所見と胃液分泌能
隔酬正副酬計
酸を示したものは2例で,高酸ないし正酸を示したも のがユ4例であり,膵液ウツ滞性病変を示した患者で は,胃液分泌は充進の傾向がある.
腺二二腔
細膵管
拡 大 層 溜
大畢生
拡貯増
1
−占41
1
24 11
2
14
〔皿〕 慢性膵炎患者における胃液 分泌能の臨床的観察
﹁
計 7 7 2116
皿.小 括
胃潰瘍患者の胃液分泌能と,それらの膵生検による 組織学的変化との相関関係は,以上の如く,腺営内 腔,あるいは細膵管の拡大.膵液の貯溜,細膵管の増 生等の膵液のウツ滞を思わず所見を有した患者では低
慢性膵炎患者の定義については,従来より種々L論議 されているが,明らかな膵外分泌機能低下のみられた 19例を慢性膵炎患者とし,膵外分泌機能検査として,
Pancreozymin−Secretin試験は膵液の分泌を刺激 し,十二指腸内に排出せしめた膵液の消化酵素と重炭 酸塩濃度を測定するもので,膵外分泌機能を検索する 最も有力な手段とされている。
そこで,慢性膵炎患者,とくに重炭酸塩分泌機能低 下を来しているものについて,その胃液分泌を検索 し,さらにこれらの内,開腹して膵生検を行ない得た 5例の症例について,組織学的検索,ならびに膵管造 影法による検索を行なった.
1.研究対象および研究方法 1.研究対象
慢性膵炎患者19例を対象として検索した.
2.Pancreozymin−Secretin試験による膵外分泌 機能検査法
Sun&Shayの方法9)10)にしたがい, Pancreozy・
minおよびSecretinを各々体重1kg当り1単位
注射し,Diamond duodenal gastroduodenal tube を使用し,胃液および十二指腸液を別々に採取した.
すなわち,20分間十二指腸液を吸引し,Pancreozy・
min 1単位per. l kg体重を静注し,10分間十二指腸 液を採取し,次いで,Secretin 1単位per. kg体 重を静注し,10分間十二指腸液を採取し,再び10分間 十二指腸液を採取した.さらに20分間毎に2回十二指 腸液を採取した.なお,胃液の十二指腸内流入をでき るだけ避げるためには持続的に吸引した.
採取した十二指腸は液量を計量し,さらに重炭酸塩 濃度をEKDS微量血液ガス分折装置によって測定11)
した.
重炭酸塩分泌量(mEq)は液量(m1)×重炭酸塩濃 度(mEq/1)として計算した.705}間重炭酸塩秀思量 は四重炭酸塩分泌量の総量として加算し,これら重炭 酸塩分泌量の推移,70分間重炭酸塩分泌総量ともって 膵外分泌機能の判定を行なった.
本試験により,慢性膵炎と診断したものの重炭酸塩 分泌量の推移は,(図2)の如くで,(図3)の正常人 に比し,著明な低下がみられる.すなわち,正常入7 例について行なったPancreozymin−Secretin試験
258 西
の結果,重炭酸塩分泌量の推移は20分でpeakをなす もの2例,50分で』peakをなすもの5例で,その最 高値4.3mEqから9.3mEqの間にあり,7例の70 分間重炭酸塩分泌総量では最低10.81nEqから最高 24.3mEqの間にあり,平均14.3mEqである.これ に対し慢性膵炎患者19例について行なつ・たPancreo zymin−Secretin試験の結果重炭酸塩分泌量の推移 図2 慢性膵炎患者の膵外分泌能の推移
mEq
8
7
6
5
4
3 2
1
重炭酸塩分泌量
mEq
8
7
6
5
4
3 2
1
重炭酸塩分泌量
10 20 30
k 時間
50 70
(分〉
図3 正常人の膵外分泌能の推移
10 20 30 50
時函
70
(分)
田
はいずれもはっきりとしたpeakをつくらず,19例の 70分間重炭酸塩分泌総量では最低0.94mEqから最 高8.68mEqの間にあり,平均4.88 mEqである.
3.胃液採取法
検査前日12時間より絶食した患者に胃ゾンデを挿入 し,カフェイン法(Katsh u. Kalk)にしたがって。
15分毎に90分間胃液を採取した.
4.胃液検査法
T6pfer−Michaelis法にしたがいN/10 NaOHを 用いて滴定した,胃液塩酸度の最高値を指標とし,40 mEq/1以上を示したもの高酸,20〜40 mEq/1を示 したもの正酸,20mEq/1以下を示したものを低酸と
した.
5.膵生検:による組織学的検:査法
慢性膵炎患者19例の内,5例について開腹術を行な い,メスにより膵の硬結部に襖形に切開を加え,膵組 織の一部を採取し,10%ホルマリン固定,ヘマトキシ リン・エオジン染色により標本を作製し,組織学的検 索を行なった.
6.術中膵管造影法
上述した慢性膵炎患者の内,5例に開腹する機会が 得られたので,Norman 12)の方法にしたがい,十二 指腸下行部前壁に,長軸に平行な小切開を加えて,
papilla Vateriを露出し,これよりビニール管を挿 入し,無色透明な膵液を確認し,60%アンギオコンレ イ液を生理的食塩水で2倍に稀釈したものを注射器に より,ほとんど圧を加えることなく注入し X線撮影 を行なった.
皿.検査結果
1.慢性膵炎患者の胃液分泌能
これらの慢性膵炎患者19例の胃液分泌能として最高 遊離塩酸度を指標として見れば,40mEq/1以上の高 酸を示したもの3例,正酸を示したもの6例,20mEq
/1以下の低酸を示したもの5例,および無酸を示し たもの5例である.高酸を示した3例の重炭酸塩分泌 総量は最低3.99mEqより最高7.82mEqの間にあ
り平均4.46mEqで正斜を示した6例の重炭酸塩分 泌総量は最:低0.94mEqより最:高8.68 mEqの間に あり平均4.48mEqで,低酸ないし無酸を示した10例 の:重炭酸塩分泌総量は最低1.12mEqより最高9.34 mEqの間にあり平均4.87 mEqである(図4).
2.慢性膵炎患者の膵組織像
慢性膵炎患者19例の内,5例に開腹術を施行する機 会が得られ,かなり膵硬化を示したものが多く,膵組 織は腺房細胞のi萎縮と間質の結合織の増生とfibrosis がかなり認められた(写真4).
図4 慢性膵炎患者の膵外分泌能と胃液分泌能
mEq !0
8
6
4
2
●
■ ●
D ●
● ■ ●
一
o一
つ 一一
■ o
o
●
■
●
●
● ●
高酸群
3.術中膵管造影像
正酸群 低・無酸群
一 平均値
開腹術を施行し得たこれらの慢性膵炎患者5例に,
術中膵管造影法を施行・したところ,いずれも,(写真 5)にみられる如き膵実質内への造影剤注入による雲 書状の陰影が描出されており,膵管の閉塞は全くみら れなかった.
皿.小 括
膵外分泌機能低下の明らかな慢性膵炎患者19例につ いて,それらの胃液分泌能をみると,高酸を示したも の3例,正酸6例,低酸ないし無酸10例であり,慢性 膵炎患者では低辱ない無酸を示したものが多い傾向に あった.
なお,高酸例,正酸例,低酸ないし無酸例と重炭酸 塩分泌総量との量的な相関関係は格別みられない.こ れらの内,開腹術を施行する機会を得た5例の膵生検 では,いずれも,可成りの外分泌腺細胞の萎縮と間質 のfibrosisの増生がみられ,また,術中に行なわれ た膵管造影法では,いずれも,膵管の閉塞は全くみら れず,Norman 12)のいう慢性膵炎像と一致する雲架 状の像が得られたにすぎなかった.
〔IV〕膵炎犬における胃液分泌能の実験的研究 イヌの膵管より自家胆汁を注入して膵炎を発生せし めて,その胃液塩酸分泌能を経時的に検索し,あわせ てその膵め組織学的検索を行なった.
1.実験材料および実験方法 1.使用動物
体重10kg前後の雑種成犬12頭を用いた.
2.胃液採取法
試験前日24時間前より絶食したイヌを背臥位に固定 し,四肢静脈より試験中に,持続点滴注入ができるよ
うに血管を確保し,5%ブドウ糖500ccをそれに接 続し,チトゾール溶解液10〜15mg/kgを静脈内に 注入し,気管内挿管を行ない,半閉鎖循環式で純酸素 51/min.とし全身麻酔を行ない,上正中切開にて開 腹し,胃幽門輪を動脈を避けて結紮,閉鎖し閉腹する 次いで,ロ腔内より胃カテーラルを胃内に挿入し,前 述した5%ブドウ糖を1分間約30滴の早さで約400cc 迄点滴し,その間に胃カテーテルより胃液をできるだ け十分に吸引し,それを前沼とした.二二を全部吸引 し得たところで0.1%塩酸ヒスタミン0.1mg/kg体 重の割合で大腿皮下に注射し,10分間毎に,胃液をで
きるだけ十分に採取した.なお操作中に麻酔が覚醒し た場合には,適宣にサクシン5mg単位に静注し,調 節呼吸を行ない,なるだけ麻酔剤の影響を少なくし,
ショック状態の影響,血圧下降のないように注意して 管理した.このような方法で正常犬,膵炎犬作製後2 週目,4週目,7週目にそれぞれ3頭ずつ胃液を採取
した.
3.胃液測定法
胃液酸度はT6pfer−Michaelis法にしたがい, N/
10NaOHを用いて滴定した。上記方法で10分聞毎に 採取した胃液は,胃液量(ml)×遊離塩酸度(mEq/1)
として塩酸分泌量を計算し,ヒスタミン注射後60分間 胃液を採取し,胃液量,遊離塩酸度,塩酸分泌量の3 者について,それぞれの胃液分泌龍として比較した.
4.膵炎犬の作製13)
術前24時間絶食したイヌを背臥位に固定し,15〜20 mg/kgのチトゾール溶解液を四肢静脈内へ注射し,
全身麻酔下に上正中切開にて開腹し,まず注射針にて 胆のうを穿刺し,胆のう内胆汁を十分に吸引し,その 1ccを生理的食塩水で5倍に稀釈し5ccとする.次 いで大膵管十二指腸開口部をねらって十二指腸の長軸 に平行にできるだけ小さく切開し,大膵管開口部を露 出する.その部に細いビニールカテーテルを約1cm 挿入し,先に5倍に稀釈した自家胆汁を約2〜3ccカ ラーテルに接続した注射器にて圧を加えて注入する と,膵の被膜の大部分にわたり,黄褐色の胆汁色に着 色し膵炎犬が作製されたものと見なした.カテーテル を抜去し,十二指腸切開部を長軸に直角に横に二層縫 合し,閉腹した.このようにして作製した膵炎犬を,
2週目,4週目,7週目について実験に供した.
5.膵炎犬の膵の組織学的検査
膵炎犬山製品2週目,4週目,7週目のイヌの胃液 を採取した後,屠殺し,膵組織を採取し,10%ホルマ リン固定,ヘマトキシリン・エオジン染色して標本を 作製し,組織学的検索を行なった.
260 西
∬.実験結果
1.正常犬の胃液分泌能
正常犬のヒスタミン試験による1時間胃液量はそれ ぞれ72,58,60mlで平均63 mlであり,遊離塩酸 度は47,42,42mEq/1で平均44 mEq/1であり,
塩酸分泌量は3.3,2.4,2.4mEqで平均2.7mEq であった(表3).
表3 正常犬の胃液塩酸分泌能 実 験 犬 7 8 gl平均
量 (m1)
酸度 (mEq/1)
分泌量 (mEq)
27・74
3.3
n◎n4FO4
2.4
60 42
2.4
QU4戸04
2,7
2.膵炎犬の胃液分泌能
膵炎作製後2週目のヒスタミン試験によるイヌの1 時間胃液量はそれぞれ75,77,72m1で平均75 ml であり,遊離塩酸度は98,101,91mEq/1で平均97 mEq/1であり,塩酸分泌量では7.3,7.8,6.6mEq で平均7.2mEqであった(表4).
表4 膵炎犬の胃液塩酸分泌量 2週後
実験犬【1・【111・21平均
量 (m1)
酸度(mEq/1)
分泌量(mEq)
75 98
7.3
77 101
7.8
72 91
6.6
75 97
7.2
膵炎作製後4週目のヒスタミン試験によるイヌの1 時間胃液量はそれぞれ57,54,57m1で平均56 mI であり,遊離酸度では59,63,39mEq/1で平均54 mEq/1であり,塩酸分泌量は3.4,3.4,2.2mEqで 平均3.OmEqであった(表5).
表5 膵炎犬の胃液塩酸分泌量 4週後
実験犬1・3巨41・5平均
量 (m1)
酸度(mEq/1>
分泌量(mEq)
57 59
3.4
54 63
3.4
ワー OJ5QU
2.2
56 54
3.0
膵炎作製後7週目のヒスタミン試験による1時間胃 液量はそれぞれ44,41,45mlで平均43 mlであり 塩酸分泌量は13,35,33mEq/1で平均27 mEq/1 であり,塩酸分泌量は0.6,1.4,1.5mEqで平均
層田
1.2mEqであった(表6).
表6 膵炎犬の胃液塩酸分泌量 7週後
実験犬1・61・7 181平均
量 (m1)
酸度 (mEq/1)
分泌量(mEq)
44 13
0.6 41 35
1.4
FO3400
1.5
43 27
1.2
これらの結果を塩酸分泌量を指標として,経時的推 移としてみると,正常犬の平均値2.7mEqであった が,膵炎犬2週目では平均値7.2mEqで約2.6倍に 増加し,4週目では平均値3.OmEqとなり,7週目 では平均値1.2mEqと正常犬に比較して減少してい
る(図5).
図5 膵炎犬の胃液分泌能の推移 mEq
8
7
6
5
4
3
2
1
塩酸
分泌最 0 2 4 7 週
時間
3.膵炎犬の膵の組織像
膵炎作製後2週目のイヌの膵は肉眼的には,腫大,
浮腫,萎縮はほとんど認められず,硬度は比較的軟か いが,部分的には穎粒状にやや硬く触れる.顕微鏡的 には露宿細胞にはとくに異常はないが,腺三内腔に膵 液の貯溜が著明し,小膵管にも膵液の貯溜が所々に見 られる.間質では軽度のリンパ球の浸潤がみられる 他,小葉問,細葉間には壊死像が認められた(写真
6).
これに対して,膵炎作製後4週目,7週目のイヌの
膵では,外観はほとんど正常であるが,顕微鏡的には 腺房細胞の胞体の変性が見られ,7週目では,間質の リンパ球浸潤はみられなくなり,部位により,かなり の細葉間のfibrosisが認められた(写真7,8).
皿.小 括
自家胆汁膵炎犬の胃液分泌能は膵炎作製後2週目で は,胃液量,遊離塩酸度,塩酸分泌量ともに著明に増 加しているが,4週目になると,ほぼ正常に復し,7 週目では胃液量,遊離塩酸度,塩酸分泌量ともにむし ろ減少する傾向にあった. これらを組織学的に見れ ば,膵管結紮後2週目のイ又では,腺州内腔の膵液の 貯溜,小膵管の膵液の貯溜等,膵液のウツ滞を思わず 所見が見られ,4週目には野冊細房の変性,腺房細胞 の配列の不整などがあり,膵液のウツ滞像はほとんど なく,7週目にいたり,部分的にかなりのfibrosis が明らかになってくる.すなわち,こらの所見を綜合 すれば,膵炎作製後2週目のイヌのように,膵液のウ
ツ理性の膵障害では胃液分は平野し,fibrosisの明ら かな7週目では,胃液分泌能は低下を示すに至る.
考 察
すでに1948年にHollander 14)は消化性潰瘍の発生 における膵の役割について研究し,インシュリンが迷 走神経を介して胃液分泌を刺激するメカニズムを明ら「
かにし,さらにZollingerら1)によって,膵のラン ゲルハンス島のnon一βcell adenomaが胃液分泌を 著明に特進させ,その結果,多発性消化性潰瘍を発生
さしめることが報告されて以来,膵の内分泌機能が胃 液分泌に密接な関連を有することは,一般の確証を得
るにいたった事実である.
他方,膵外分泌機能が胃液分泌能は及ぼす影響につ いては,実験的には,Dragsteatらが野外縷犬,あ るいは膵管結紮犬に消化性潰瘍が多発することを発見 し,その後,Greenlee 4)15)らの綿密な実験によって,
これら膵外野犬,および膵管結紮犬において,胃液塩 酸分泌が充進していることが確認されている.また,
膵外分泌機能障害を来している慢性膵炎にも消化性潰 瘍患者が比較的多くみられることは,Whartonら16),
山形17)の指摘しているところである.また逆に,胃お よび十二指腸潰瘍の場合にも,しばしば慢性膵炎の合 併をみると報告18)19)20)されている.この成績を,著者 の動物実験の成績と対比して考慮するならば,慢性膵 害時には,胃および十二指腸潰瘍が発生し易く,その 原因は膵障害による胃液塩酸の分泌充進に求め得るも のの如く考えられる.
ところが,Bank 7), Kravetz 8),宮城21)の報告に
よれば,慢性膵炎患者では胃液分泌能は低下を示すも のが遙かに多いことが報告されており,この相反する 成績の理解に苦しむものがあるが,膵障害の胃液分泌 能に及ぼす影響の機転は,未だ解明されていないので あって,あるいは,膵障害の病態生理そのものが一般 に考えられている程単純なものではないことを物語っ ている.ものと思われる.
そこで今回,著者は膵障害と消化性潰瘍発生のメカ ニズムを解明する一つの手段として,膵障害が胃液分 泌能に及ぼす影響を検討するために,2,3の実験を
行なった.
まず,イヌにおいて,膵管を完全に結紮し,その胃 液分泌能を観察したが,膵管結紮後2週目では,胃液 量,遊離塩酸度,塩酸分泌量ともに著明に充録してい ることが認められ,このことは,Dragstedt 3), Gre−
enlee一派4)15)をはじめとする多数の研究者の報告22)
23)24)と一致している.これらの研究の中で,著者がと くに注目したいのは,Pratt 25)が以前より指摘しる 如く,Gordonら26)のPavlov犬を使用した膵管結 紮犬において,完全に膵管結紮が行なわれたもので は,胃液塩酸分泌の早牛状態が長期にわたり持続して いるのであるが,イ又の膵管のように,副行路の再開 通によって,膵液が再び十二指腸内へ流入すると,胃 液分泌能もまた正常またはそれ以下のレベルに復する という成績である.この事実は重要なことで,膵液が ウツ奇し,完全に十二指腸内へ流入を阻止されている ならば,胃液分泌は冗進ずるが,膵液のウツ滞が除去 されれば,胃液分泌も正常に復し得ることを物語って いる.その後,Greenleeら15)はイヌの大膵管を一本 だけ結紮し,Heidenhain胃のう犬の胃液塩酸分泌能 の推移を見たところ,2〜3週の間では胃液分泌は充 進ずるが,やがて,正常ないしそれ以下に低下する が,全膵管を結紮し,膵液を全く十二指腸内へ流入す ることを阻止すれば,胃液塩酸分泌は長期にわたり充 質したままであると述べている.また,全膵管を含め た十二指腸の一部を切除し,膵外界を作製したイヌの Heidenhain胃のうよりの胃液塩酸分泌を検索した実 験でも,やはり胃液分泌能は冗進していると報告して いる.その他,Menguyら5)の胆管,膵管を含めた 十二指腸の一部を切除し,回腸末端に吻合したいわ ゆるMann−Williamson犬の実験でも,胃液分泌は 充進ずるが,これも,もとの位置にもどすことによっ て,胃液分泌も正常にもどると報告している.
これら一連の実験を整理し,胃液分泌充進の要因を 考察すれば,膵管結紮犬のように,膵液の十二指腸 内への流入阻止,あるいは膵外痩犬や,Mann−Wil一
262 西
1iamSOn犬のように,膵液の正常な位置以外へ流入せ しめることによって,十二指腸内へ膵液を流入せしめ ないことが重要な一因子となることは,一応考えられ るところである.
その他,膵管結紮が胃液分泌充進を招来する原因に ついて,膵の組織自身から体液性のホルモンが胃液分 泌機構に作用するのではないかということが推定され るが,Hallenbeckら27)の行なった実験では,膵の 正常組織自身の抽出話中には,胃液分泌に対して二進 的,あるいは抑制的に作用する物質の存在が否定され ている.また,McIlrath 28)は膵管結紮犬の膵組織自 身の抽出物中にも,胃液分泌充進作用はないといって いる.これに対し,Zollingerら29)は膵管結紮犬の萎 縮した膵の組織抽出物中には,胃液分泌充進作用を示 す物質が存在することを報告しており,膵組織の体液 性ホルモン作用の存在は,いずれとも断定し難い.
しかし,臨床的にも,膵全易U,膵頭十二指腸切除後 に起る消化性潰瘍も, この種の実験成績から推察し て,その発生が比較的容易に招来されるものと考えら
・れる.
これらのことから,膵管結紮時における胃液分泌 充進の原因には,膵液が胃液分泌抑制,すなわち,
enterogastroneようの作用を有するものとして,胃 液分泌抑制作用の欠如することに起因する30)と考える
ことは,妥当性を有しているようである.
また,膵管結紮犬では栄養障害が招来されるときに は,fatty Iiverもみられる如く,肝障害の結果,肝 における血中ヒスミン物質の不活性化作用の低下によ り,胃液分泌は充進されるとするもの31),あるいは,
十二指腸内での膵液の中和作用の起らないためとする もの32),さらに胃の壁細胞の増加に起因するとするも の33),また,二次的に胃運動障害を来たし,胃内での 食物の通過障害に起因するとするもの22)34)等の如く,
種々の論議をされているところである.
ところで,Greenleeら15)は興味ある成績を報告し ている.すなわち,イヌに膵全紙,膵管結紮,膵外痩 造設を行ない,いずれも胃液分泌能は九進ずるが,と くに膵管結紮時の胃液分泌能の増加率は99%,膵外婆 時の胃液分泌能の増加率は260%であったとし,いず れも十二指腸内への膵液流入欠如に拘らず,その増加 率に著明な差異がみられることである,両者のこのよ うな差異を来す因子は単純ではないが,少くとも,膵 管結紮犬では私共の実験でもみられた如く,膵結紮の fibrosisは著明であり,回外覆犬では,ほとんど膵組 織は正常であることも,その一因をなすものと推測さ
れる.
田
ついで,私共の教室において,胃潰瘍患者の膵生検 によって興味ある成績を伝えている.すなわち,組織 学的に細膵管め拡大,膵液の貯溜など,膵液の流出障 害を多少とも示したものでは,高酸を示すものが多 く,その所見を膵管結紮犬の胃液分泌能と併せて考察 するならば,膵液の十二指腸内への流入が完全に阻害 されなくとも,多少の膵液のウツ滞により,胃液分泌 充進がもたらされたことは推定に難くないところであ
る.
一方,著者の行なった臨床例でのPancreozymin−
Secretin試験により,膵外分泌機能の低下の明らか な膵性膵炎患者19例について,その胃液分泌能をみる と,高酸を示したもの3例,正忌を示したもの6例,
低酸ないし無酸を示したもの10例であり,明らかに胃 液能低下を示したものが多数を占めている.この点に 関しては,著者の成績はBank 7),あるいはKravetz ら8),宮城らゆの報告と一致するが,膵管結紮犬の実 験から得られた膵液の十二指腸内流入減少が胃液塩酸 分泌冗進をもたらす原因として考えられるenteroga・
stroneのみでは,説明し得ず, Dragstedtらの実験 と併せて,膵のfibrosisが膵管結紮と全く異なった 機転により,胃液分泌能を低下せしめると考えざるを 得ない.ただ慢性膵炎そのものが,膵組織のfibrosis を伴なうことは当然のこととしても,膵管の閉塞その ものに1よるとするものが,とくに欧米では少なくな り,これらの症例にも膵管の閉塞がかなり存在するの ではないかという可能性もあり,この点に関して,19 例中5例ではあるが,開腹術を行なって検索した症例 によって有力な論拠が提供されるであろう.
さらに,膵疾患ことに膵管の病変を明らかにする上 で,近年,Doubilet 35)に始まる膵管造影法は有力 で,慢性膵炎患者に対して施行した膵管造影では,膵 管の閉塞は全くみられず,Norman 12)の行なった慢 性膵炎患者にみられると同様の雲架状の陰影がみられ たのみであって,本邦の慢性膵炎には膵石症など,膵 管閉塞が少ないといわれている36)如く今回の症例の大 多数もまた膵管閉塞による慢性膵炎ではなく,単なる fibrosis 37)のみの慢性膵炎である可能性が大いに考 えられる.このことは,膵生検による組織学的検索所 見からも,膵液の低下はむしろ膵管の閉塞によるもの ではなく,膵の言忌細胞の萎縮による間質のfibrosis が主体をなすことは推定に難くないところであり,以 上のことを綜合すると,膵管結紮時の膵液の減少は,
膵液を排出する導管の閉塞によるものであり,慢性膵 炎患者のそれは,膵の腺房細胞の変性,あるいはそれ による問質の増生,換言すれば,膵液を産出する細胞
そのものの病変によって,膵液の分泌が低下したもの であって,このことが胃液分泌の様相が両者の間に差 異をきたすものと考えられる.
ついで,著者は膵炎犬の胃液分泌能の推移を観察 し,興味ある所見を得た.すなわち,自家胆汁を膵管 内へ注入することにより,膵炎作製後2週目には胃液 塩酸分泌はかなり冗進し,4週目にはほぼ正常値近く 回復し,7週目にいたるとむしろ正常値より低値を示 すようになる.この成績はMasonら38)が膵炎犬を作 製し,さらに,大膵管と結紮して行なった実験では,
2〜3週は胃液.分泌は充進ずるが,その後は正常に復 することを報告し.ている成績と一致している.この間 の膵の組織学的所見をみると,2週目では,腺房内腔 に膵液の貯溜が著明で細膵管の膵液の貯溜も所々に認 められ,問質ではリンパ球の浸潤,小葉間,あるいは 細葉間に壊死等の炎症病状が見られる.すなわち,膵 炎作製後2週目では膵液のウツ滞像と炎症か主体をな
しており,4週目から7週目にいたれば,膵液のウツ 滞像はなくなり,炎症像も消退して,むしろ,膵組織 の変性,間質のfibrosisが主体をなすようになる,
Mason 38)らは膵炎が胃液分泌能に及ぼす影響につい,
て現象のみを報告し,何らその理由を説明していない が,前述の成績 さらに今回の膵炎の組織学的所見の 推移を胃液分泌能の変遷とを綜合すれば,膵炎作製後
2週前後の膵液のウツ平門には胃液分泌能は冗進し,
膵の腺組織の変性とfibrosisが主体となる7週目 の時:期には,胃液分泌は抑制的となったものといえよ
う.
結 論
近時,消化性潰瘍の発生の病態生理を中心として,
膵の果たす役割が注目されている.
著者は,とくに,膵の外分泌障害が胃液分泌能に及 ぼす:影響について,膵管結紮犬の作製,消化性潰瘍患 者の膵生検,慢性膵炎患者の胃液分泌能,膵炎犬の作 製により検索を行なって以下の結論を得た.
1.膵管結紮犬では胃液塩酸分泌能は著明に充進ず
る.
2.消化性潰瘍患者の膵生検により行なった組織学 的所見から,膵液の貯溜やウツ滞を思わずものに高酸 を示すものが多い.
3.膵外分泌機能の低下した慢性膵炎患者では,低 酸ないし無酸を示すものが多い.それらの内には,膵 管の閉塞はなく,組織学的検索では,間質のfibrosis の所見があった.
4.膵炎犬作製により検索した経時的胃液分泌能
は,2週目では冗進し,組織学的には膵液の貯溜やウ ツ滞を思わず所見であるが,
4.7週目では,胃液分泌能はむしろ低下し,組織 学的には,腺細胞の変性による間質のfibrosisが主 体をなしている.
以上のことから,膵液ウツ滞性の膵障害では胃液分 泌は冗進し,外分泌腺細胞の変性によるfibrosisな どの膵障害時には胃液分泌は抑制的であるといえる.
稿を終るに臨み,終始御懇篤なる御指導と御校閲を賜わった恩 師水上哲次教授に謹んで謝意を捧げるとともに,本研究の逮成の ために御協力を頂いた宮崎逸夫助教授ならびに教量の諸先生に篤 く感謝する。
文 献
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2) The retention and stasis of the the pancreas on the patient with the gastric juice.
3) Most of the patients with the diminution of the pancreatic juice of the stomach juice.
, By preoperative pqncreatography, no the miproscopic survey, the fibrosis of cases. ・
4) The dogs suffering from an
' gastric juice secretion at the end of 'sicopically the retension and stasis of and, s'eventh w'eek, the function of the fibroses of the stroma are observed by Therefore,'.we may conclude that the the panqreatic failure accompanied w・ith ted by the damage with the fibrosis.
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Surgery, 54, 604 (1963).
Abstract
made to define a pathophysiological roll of the stomach. We studied on the correlation secretion and of the pancreatic juice secre‑
secretion is increased on the dog with a pancreatic juice are observed by a biopsy of peptic ulcer showing the hyperacidity of the chronic pancreatitis who have had functional secretion show either hypoacidity or anacidity obstructions of the pancreatic duct and by the stroma in the pancreas are seen on these experimental pancreatitis show a high rate of the the second week after the onset, and micro‑
the pancreatic juice. At the end of the fourth gastric secretion is rather decreased and the a microscopic examination.
gastric juice secretion must be promoted by a stasis of the pancreatic juice and inhibi‑
写真11膵管結紮犬の膵組織
H.E.染色.×66
写真3 胃潰瘍患者の膵組
織細膵管の拡大. H.E.染色.×266
写真5 慢性膵炎患者の膵管造影
写真2 胃潰瘍患者の膵組
織細彪内の拡九 H.E.染色.・266
写真4 慢性膵炎患者の膵組
細.E.染色1×66
写真6膵炎犬の膵組
織H.E.染色.×66
266 西・ .田
写真7 膵炎犬の膵組織(4週後)
H.E.染色.×266
写真9 膵炎犬の膵組織
H.E.染色.×266