【目 次】
Ⅰ はじめに -研究の目的と視点-
Ⅱ 日本のバイオマス政策・事業の現状と意義
Ⅲ バイオマス政策・事業評価モデルの構築ポイント
Ⅳ バイオマス政策・事業評価モデルの検討 -飯田市のケース-
Ⅴ おわりに -研究結果と今後の課題-
Ⅰ はじめに -研究の目的と視点-
近年、温室効果ガス濃度の増加による地球温暖化が、南極等の氷床の融解やこれによる海面水位 の上昇、ならびに海水温度の上昇や降水量の増加等、地球上の気候システムに大きな影響を与えて いる。こうした状況下において、日本では、2005年2月発効の『京都議定書』をうけて、同年4月に 閣議決定された数値目標(2008年から2012年の温室効果ガス総排出量を基準年(1990年)比マイナ ス6%にするという削減目標)の達成に配慮しながら、さまざまな地球温暖化対策に取り組んでい る。たとえば、各社が行っている環境保全機能を搭載した機械設備や輸送用機器等の開発は世界で もトップレベルであることから、他の国々も日本に追随し、こうした環境技術を見本にして製品等 の開発に取り組んでいるのが現状である。
このように、日本企業における地球温暖化対策の取り組みは活発に行われ、また諸外国にも高い 評価をうけている。しかし、2006年度の国内の温室効果ガス総排出量は13億4
,
000万トン(二酸化炭 素換算)であり、京都議定書の規定による基準年の総排出量12億6,
100万トンよりも6.
2%増加して いる1。したがって、先に述べたマイナス6%削減目標を達成するためには、約12%の削減が必要 となることから、メディア等では、2012年までに議定書による削減目標の達成が非常に難しい状況 であることが指摘されている。こうした状況から、現在の地球温暖化対策は、企業や家計といった ミクロレベルで取り組むだけではなく、その地域の自治体や地域住民も巻き込んだ地域レベル(メ日 本 に お け る バ イ オ マ ス 政策・事業 を 対象 に し た 評 価モ デ ル の構想
金 藤 正 直
1 環境省地球環境局地球温暖化対策課『日本国温室効果ガスインベントリ報告書』2008年、2- 1頁。
ゾレベル)による取り組みが必要不可欠になっている。そこで、現在国内外で注目されているこう した取り組みの1つが、バイオマスを利用した政策や事業である。
バイオマスとは、生物資源(BI
O
)の量(MASS)を表す概念であり、再生可能な、生物由来の有機 性資源で化石燃料を除いたものである2。これは、廃棄物系(食品廃棄物、建築廃材、下水汚泥、家 畜排泄物など)、未利用系(間伐材、稲わら、もみがらなど)、資源作物(サトウキビ、トウモロコシ、ヒマワリなど)、そして、今後の利用が期待されている新作物(海洋植物や遺伝子組み換え植物)に 分類される3。これらを利用した事業は、2002年12月に閣議決定された『バイオマス・ニッポン総 合戦略』の公表を契機に、各地で展開され始めた。
しかし、こうした事業は、地域に十分に根付いているとはいえないのが現状である。その要因に は、事業自体が補助金に大きく依存していることや、地域性を配慮しなかったことから事業自体が なじまないこと、あるいは各事業関係者の意思疎通や合意形成が十分ではない等の問題が存在す る。その他には、各地において、事業関係者がそうした事業を事前的かつ事後的に分析・評価し、
その結果を今後の取り組みに生かしていくための情報システムが十分に整備されていないことが考 えられる。こうしたシステムを整備することにより、先ほど述べた諸問題を浮き彫りすると同時 に、少しでもより良い方法、つまり事業の定着と継続の方法を明確にし、検討することができると 考えられる。
そこで、本稿では、日本におけるバイオマス政策・事業の現状を整理すると同時に、これに取り 組むことの意義を明らかにする。次に、地方自治体、私営および公営の事業者、地域住民・NPOの 3主体が、協働体系を形成した政策・事業を分析・評価し、情報提供していくシステムを構築する ために必要となる基礎モデル(情報基盤)の構築ポイントについて明らかにする。そして最後に、
こうした視点に基づいて、現在バイオマス資源のなかでも有効的に利用されておらず、また既述し た3主体との関わりが非常に重要になってくる木質バイオマス政策・事業を対象にした評価モデル を検討していきたい。なお、本稿では、こうした政策・事業について、その先進地域でもある長野 県飯田市において現在検討中のバイオマス発電政策・事業をとりあげ、そのプロセスを明らかにす る4。
2 日本政府『バイオマス・ニッポン総合戦略』2006年、1頁。なお、この資料は、2002年12月に公表された内容 に京都議定書の温室効果ガス削減目標への対応、バイオマス利活用のさらなる促進等の内容を考慮に入れて 改訂したものである。
3 前掲書、11-12頁。
4 飯田市は、長野県の最南端伊那谷の中央にあり、西北部は木曽山脈により木曽郡に接し、東北部は上伊那郡 飯島町および下伊那郡松川町ほか3町村に接し、南西部は、県内5カ村ほか静岡県2市に隣接する地域であ る。地理的に飯田盆地と南部高原の一部に大別され、市の中央部を北から南へ天竜川が流れている。また、
飯田盆地は古くから商工業の中心地として栄え、総人口の約20%がここに密集している。天竜川畔は主とし て水田、段丘地帯は畑地で、果樹園が散在し、周囲および南部高原地帯は急斜面で水利のよい場所には水田 があるが、主として山林で中には標高2
,
000mを超える山々があり大自然の中に美林が繁茂している(飯田 市:“飯田市の概要”,(オンライン)、入手先〈htt p: / / www. c i t y . i i da. nagano . j p/ out l i ne/
〉、(参照日2008-
5-
23))。Ⅱ 日本のバイオマス政策・事業の現状と意義
日本においてバイオマスの利活用が活発に始まったのが、既述したように2002年12月に政府より 公表された『バイオマス・ニッポン総合戦略』がきっかけとなっている。その利用形態については、
たとえば、家畜農家が単独に行っているメタン発酵事業を始め、バイオマスエタノールのようにい くつかの民間事業者が連携している事業、そしてバイオマス中心の街作りをし、その中で事業を 行っていくバイオマスタウン等、さまざまに存在している。農林水産省の調査によれば、2007年9 月末現在、個別バイオマス事業数については無数に存在するために、数を特定化することが不可能 である、ということである5。一方、バイオマスタウンについては、同省への届出が必要となるため に、その数は平成20年6月末現在で151ヶ所と明らかにされている6。なお、この数値には、現在実 施中のものだけではなく、実施計画中のものも含まれている。
このように、バイオマス事業は、さまざまな事業形態を形成して行われている。その地域の自治 体は、こうした事業を地域に根付かせるために、図1に示したバイオマス政策・事業の実施に関す る利点と問題点を考慮に入れて7、環境保全の政策内にバイオマス政策を設定したり、新たな個別 政策として設定している。
図1において、バイオマス政策・事業を実施することにより、その地域は、新たな雇用を生み出 すとともに、二酸化炭素(CO2)や枯渇資源の削減にも大きく寄与し、また、その地域や産業の振興 にも結びつく等、という利点を有する。
5 ここでの調査は、2007年10月末に実際に農林水産省に電話連絡し、バイオマス・ニッポンの担当者に聞いた ものである。
6 農林水産省:“バイオマスタウン構想公表地図”、(オンライン)、
入手先〈ht t p: / / www. maf f . go . j p/ j / pr es s / kanbo/ bi o/ pdf / 080430- 02. pdf
〉、(参照日2008-
5-
23)。7ここで挙げている利点と問題点については、著者が2007年度まで参加していた文部科学省リーディング・プ ロジェクト『一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト』(2003年度-2007年度)で調 査した結果をまとめたものである。
CO
2図1 バイオマス政策・事業の実施に関する利点と問題点
こうした利点について、後述する木質バイオマス(あるいは森林バイオマス)という観点から考 えていけば、バイオマス製品のブランド価値や当該地域の森林にある立木自体の価値が高まること が予想され、これらにより当該地域に対してこれまで以上に収益の獲得が期待される。また、森林 の多面的機能(公益的機能)に対してプラスのインパクトが期待できるために8、当該地域に隣接す る森林自体の環境改善にも大きく寄与する。さらに、この事業を継続的に行うことにより、毎年の
CO
2排出削減量(森林へのCO2吸収量)が大きくなることが可能になれば、その削減量分を排出権と して取引市場において販売できるために、新たな収益の獲得が見込まれる。その一方で、既述した補助金依存や事業自体の仕組み等の問題だけではなく、それ以上に実際に 事業を実施することによる問題も存在する。すなわち、新たな事業を効果的かつ効率的に行ってい くためのバイオマス変換技術プロセスの構築、バイオマス資源の安定供給問題、バイオマス資源を 用いた産出物の問題(投入物と産出物のマッチングの問題)、バイオマス事業それ自体の採算性に関 する問題である。
しかし、こうした事業は、いうまでもなく継続的かつ長期的に行い、地域に根ざすことが重要視 される。そこで、事業関係者である3主体をそのように仕向けていくためにも、図1に示した利点 や問題点を考慮に入れながら、バイオマス政策を計画・実施・評価していくと同時に、決定された 政策に基づいて実施される事業を、単に採算性(経済面)だけではなく、経済活動によって発生する 環境影響(環境面)や、事業実施による雇用創造や労働安全衛生等の社会的影響(社会面)といった 3つの視点から総合的に分析・評価し、この結果を各事業関係者に対して情報提供を行うためのシ ステムの導入が必要になろう。なお、こうしたシステムは、既述した問題点を把握し、改善してい くためには、単に実施後の成果のみにより政策・事業の現状を分析・評価していくのではなく、事 業実施前にその成果の見込みを明確にすることも必要になることから、シミュレーションにも耐え うる事前的分析・評価ツールとしても機能させることが重要である。
8森林の多面的機能には、生物多様性保全機能(遺伝子、生物種、生態系の保全等)、地球環境保全機能(CO2
吸収機能等)、土砂災害防止機能/土壌保全機能(表面侵食防止機能等)、水源涵養機能(洪水緩和、水資源貯 留等)、快適環境形成機能(大気浄化等)、保健・レクリエーション機能(樹木からの揮発性物質により直接的 な健康増進効果等)、文化機能(良好な景観の形成、環境・自然保護学習の推進等)、物質循環機能(木材等の 生 産 や 再 利 用 等 の 促 進)が 存 在 す る(林 野 庁:“森 林 の 多 面 的 機 能 に つ い て”、(オ ン ラ イ ン)、入 手 先
〈ht
t p: / / www. r i nya. maf f . go . j p/ s ei s aku/ s es akus youkai / t amennt eki / t ament eki t op. ht ml
〉、(参照2008-
4-
18))。また、これらの評価方法については次を参照されたい。株式会社三菱総合研究所『地球環境・人間生活にか かわる農業及び森林の多面的な機能の評価に関する調査研究報告書』2001年。
Ⅲ バイオマス政策・事業評価モデルの構築ポイント
前章の最後で述べたバイオマス政策・事業を事前的かつ事後的に分析・評価し、この結果を事業 関係者に情報提供するシステムのモデル構築ポイントとしては、次の4点が考えられる。
1.事業関係者と各関係者の意思決定プロセスの明確化
バイオマス政策・事業評価モデルの構築において、まず重要なことは、事業関係者に対して必要 な情報を特定化するために、各関係者のそれぞれの意思決定プロセスを明らかにしていくことであ る。そこで、自治体、事業者、地域住民・NPOの意思決定モデルについて考えていけば、まず、自 治体は、実施対象であるバイオマス事業を当該地域に根ざすために、そのための政策を決定し、執 行し、評価する取り組み(政策過程)と、政策決定の際に事業者や地域住民・NPOに対して合意を 得る取り組み(合意形成過程)が中心となる。また、こうした取り組みに加えて、事業を中心に進め る事業者には、資金の提供や事業のアドバイス等といった事業への支援活動も行っている。
次に、事業者は、私営(民間事業者)と公営(公事業者)の両事業者が存在するが、各事業者は、
各自の事業マネジメントとその評価を行うことが考えられる。すなわち、従来の企業経営のよう に、経営戦略を立てて、これに基づいて組織を編成する。そして組織ごとにマネジメントを行い、
実施結果を分析・評価し、今後の経営戦略に生かしていく、というプロセスになろう。
そして、地域住民・NPOは、決定される政策(草案や原案)に対して意見や質問を行うために、そ の政策に関する情報やメンバーを集め、提言書を作成し、それを自治体に提出する、という政策提 言や、実施されている事業に対して周辺地域への問題(地域への環境リスクや事業リスク等)がな いかどうかを把握し、可能であればその状況を評価する、といった取り組みがなされる。
もちろん、3主体の意思決定は、それぞれ個別に行われるだけではなく、各主体の要求にも対応 させながら行われることから、各主体の意思決定プロセスは、それぞれが密接に関係している。し たがって、バイオマス政策・事業評価モデルは、図2に示したように、各主体の意思決定プロセス やその関係を支援し、また、それぞれの情報要求に応じた情報を提供する情報システムの基盤とし て機能することになろう。
表1 バイオマス政策・事業のための評価モデルの構築ポイント
1.事業関係者と各関係者の意思決定プロセスの明確化 2.事業対象地域における評価対象の明確化
3.2.を対象にした評価データの収集 4.1.の意思決定要求と情報内容の照合
2.事業対象地域における評価対象の明確化
バイオマス政策に基づいて行われる事業には、企業単独で行う事業というよりも、むしろ企業間 でプロセスを形成してマネジメントしていき、個別企業だけではなく、企業間プロセス全体のベネ フィット(収益・効果)も向上させる、というサプライチェーン(suppl
y c hai n : SC
)のような事業 形態になる。そこで、本稿では、バイオマス事業者がSC
のようになっている形態を、バイオマス チェーン(biomass c hai n : BC
)と称していく。したがって、事業対象地域における評価対象として は、このBC
とこれを構成する個別企業のプロセスとなり、また、これらのプロセスから生み出され るベネフィット評価が極めて重要になろう。その他の評価対象としては、自治体自身がバイオマス事業に対する取り組み、たとえば、政策形 成やこのなかで行われる他の主体との合意形成といった活動が考えられる。また、地域住民・NPO については、バイオマス政策に対する提言書作成に関わる活動も対象となると考えられる。なお、
自治体、事業者、地域住民・NPOの取り組みによって明らかにされるコストやベネフィット等を定 量的に評価することが容易ではない場合は、定性的な評価を行い、その評価事項を詳細に記載する ことが必要になろう。
3.評価対象データの収集
各主体の意思決定については1.で述べたように、政策・合意形成プロセス、事業マネジメントプ ロセス、政策への提言書作成プロセスとなっている。そのために、各主体の情報要求は異なること から、必要なデータもそれぞれ異なることはいうまでもない。そこで、これら3主体の情報要求に 基づく情報内容について整理していけば、表2のようになる。
図2 事業関係者とバイオマス政策・事業評価システムの関係図
NPO
バイオマス政策・事業 評価システム
まず、自治体は、政策・合意形成と事業全体を評価することが中心となることから、この場合の 情報内容は、事業の計画値(目標値)やこれに基づいて既述したBCが実際に事業活動した結果(連 結された実績値)が中心となる。なお、こうしたデータについては、後述する事業者の評価データ が中心に利用されることになる。
次に、事業者は、BCを形成している個別事業者ごとに、事業の採算や環境保全、あるいは社会的 影響を評価するために、バイオマス製品に関わるプロセスと環境・社会経営管理に関わるプロセス を対象にしたデータが中心となる。詳細にいえば、前者のプロセスでは、製品製造に関わる物質・
エネルギーとこれを利用して行われる経済活動(製造活動)に伴うコスト、そして製品販売をする ことにより得られる販売収益が考えられる。
また、後者のプロセスでは、経済活動によって発生する環境負荷物質とこれを削減・抑制等を行 うための環境保全活動に伴う環境保全コスト、職場環境の整備・改善や合意形成のための地域住民 との説明会等の地域社会関連活動に伴うコスト、そして、こうした活動によって実現される環境保 全効果(年度ごとの環境負荷物質の削減量)、経済効果(年度ごとの環境保全コストや地域社会関連 コストの削減額)、社会的効果(雇用創造効果等)やその他収益(逆有償や補助金による収入)が考 えられる。なお、これらのデータについては、単に実績値のみではなく、マネジメントのためには 計画段階において事業目標の設定や予算編成が行われることから目標値あるいは予算数値といった 見積値も把握していくべきである。
最後に、地域住民・NPOについては、主として、地域や個々の事業者のバイオマス政策・事業に 関わる定量的データが対象になる。これらのデータについては、事業計画に関する数値とこれらを もとに実際に行われた事業の結果が中心となるために、既述した自治体のように事業の計画値や実 績値が必要になってくる。
表2 各主体の情報要求と情報内容
4.各主体の意思決定要求と情報内容の照合
表2において、各主体の情報要求とその内容は異なっている。しかし、必要なデータの特性は、
それぞれに共通していると考えられる。それは、単に事業の結果を示す実績値だけではなく、それ を効果的かつ効率的に運営するための事業計画を示す目標値が必要不可欠になる、ということであ る。また、定量化できないデータについては、既述したように、定性的なデータで対応し、そこに は、当期の政策あるいは経営計画やこれらに基づいて実際に行った結果、および今後の政策・事業 の方向性を示しておくことが必要である。もちろん、これらのデータの整備は、いうまでもないが 各期ごとに各主体の情報要求を見直し、次期ではその要求に見合ったデータ(つまり政策・事業の 分析・評価に耐えうるデータ)として提供できるようにしていくべきである。したがって、後述す る評価モデルを構築する際は、このような点にも配慮した形で検討すべきである。
Ⅳ バイオマス政策・事業評価モデルの検討 -飯田市のケース-
事業関係者がバイオマス政策・事業を評価していくための情報システムは、図2に示したように
BC
全体を対象にした経済面、環境面、社会面の総合評価を可能にする。そのために、このモデル化 には、事業対象となるBC
の構成プロセス(事業者間プロセス)を評価できる既存のツールの組み合 わせにより実現可能になると考えられる。そこで、ここでは、まず、製品ライフサイクルの環境影 響を物量単位で評価するライフサイクル・アセスメント(Lif e Cyc l e Assessment
:LCA)と、特定 の経済主体の環境保全活動を貨幣単位で評価していく日本の環境省の環境会計やそれを考慮に入れ たSCを対象とした環境会計(Supply Chai n Envi r onment al Ac c ount i ng
:SCEA)のモデルについて 述べ、次に、これらのモデルを用いた政策・事業評価モデルを、飯田市のバイオマス発電事業に基 づいて提示する。1.ライフサイクル・アセスメント
LCAとは、図3に示したように、製品の原料採取から製造、また廃棄に至るまでのライフサイク ル(たとえば、原料採取→製造→流通→使用→リサイクル・廃棄というプロセス)の全ての段階に おける環境への負荷(資源やエネルギーの消費、環境汚染物質や廃棄物の排出など)を科学的、定量 的、客観的に評価する手法である9。
9図3と図4は、次の著書およびサイト内の「図1 ライフサイクルと環境負荷の概念図」と「図2 LCAの 構成段階」を参考にして作成した。伊坪徳宏・田原聖隆・成田暢彦『LCA概論』産業環境管理協会、2007年。
財団法人日本規格協会『JI
S
ハンドブック58─ 2環境マネジメント』2008年。環境省:“ライフサイクル評 価”、(オンライン)、入手先〈htt p: / / www. env . go . j p/ pol i c y/ l i f ec yc l e/ l i f ec yc l e . ht ml
〉、(参照日2008-
5-
23)。LCAの評価手順については、図4に示したように、(1)目的及び調査範囲の設定、(2)インベン トリ分析、(3)インパクト評価、(4)評価結果の解釈、という4ステップになる。まず、(1)では、
LCA
の目的、バウンダリ(システム境界)、機能単位(エアコン1台、間伐材1 t等)、プロセスの前 提及び制約条件の設定がなされる。(2)では、図3に示したライフサイクルの各段階におけるイン プットデータやアウトプットデータの計算が行われるが、ここでのデータの集計では、実践的にLCA
データベースや各種報告書等が利用される。(3)では、(2)のインベントリ分析で得られた結 果を地球温暖化や大気汚染等といった環境影響項目に分類し、各項目ごとに環境への影響度が評価 される。たとえば、地球温暖化の重み付けについては、「地球温暖化係数×
環境負荷排出量」で計算 される。なお、地球温暖化係数GWP
(Global War mi ng Pot ent i al
)はCO
2が「1」だとすれば、メタ ンは「23」と表され、これはメタンがCO2の23倍の影響度であることを意味する。そして(4)では、(2)のインベントリ分析や(3)のインパクト評価から得られた結果をもとに、環境影響や今後の改
1
2
3
4
図3 ライフサイクルとインプット及びアウトプットの関係図
図4 LCAのプロセスの概念図
善点をまとめると同時に、経営上の戦略や管理等に利用する段階である。
バイオマス政策・事業では、バイオマス製品を製造している個別企業だけを評価対象にするので はなく、前述した
BC
を対象にするために、LCAは、こうしたチェーンを評価するための有効な ツールとして利用できる。また、前述したバイオマス政策との関係については、LCAにより把握さ れたデータ(インベントリデータ)を政策過程の各段階で利用することにより、たとえば、政策形成 での事業計画策定の資料として、また実施後の事業評価等に利用できる。事業者は、図4のところ で述べたように、チェーン全体あるいは各プロセスの環境影響が把握でき、今後マネジメントに生 かすことができる。そして、地域住民・NPOは、事業自体が周辺地域に及ぼす環境影響の状況を評 価するために利用していくと考えられる。ところで、政策形成段階では、道路、ダム、発電所等の事業を環境面から事前に調査し、予測し、
評価する(戦略的)環境アセスメントが行われる。これに利用される情報には、事業時に発生する 環境負荷物質データが含まれるが、コストデータは対象とされていない10。したがって、ここで述 べた
LCA
や後述する環境会計は、環境アセスメントの情報として利用していくためにも有用であ る。また、これらのデータを用いて総合的かつ多面的な政策・合意形成を行っていくことも可能に なると考えられる。2.環境会計
日本において環境会計は、環境省のガイドラインに基づいて11、各社が環境報告書あるいは
CSR
報告書を作成し、これらの中で公表されたり12、横須賀市や岩手県等の地方自治体が独自で報告書 を作成して情報を提供しているのが現状である。ガイドラインでは環境会計を、図5に示したように、企業等の経済主体が、環境保全活動を効率 的かつ効果的に行っていくために、その活動に要する環境保全コストとその活動により得られた環 境保全効果や経済効果を把握し、伝達するための仕組みとされる13。なお、環境保全コストは、環境 保全機能を有する減価償却資産への投資額と環境保全を目的とした費用額からなり、これらは事業 エリア内コスト、上・下流コスト、管理活動コスト、研究開発コスト、社会活動コスト、環境損傷
10 環境アセスメントについては次のサイトを参照されたい。環境省:“環境影響評価情報支援ネットワーク”
(オンライン)、入手先〈ht
t p: / / www. env . go . j p/ pol i c y/ as s es s / i ndex. ht ml
〉、(参照日2008-
8-
10)。また、戦略 的環境アセスメント(SEA)では環境面だけではなく、経済面や社会面の評価とこれら3つの比較考量の必 要性について触れている(原科幸彦「環境の意思決定を考える─新しい環境アセスメント─」『環境情報科 学』Vol. 28
、No. 3
(1999年)、6頁)。なお、これを導入するためのガイドラインは環境省において公表され ている(環境省『戦略的環境アセスメント導入ガイドライン』2007年)。11 環境省『環境会計ガイドライン2005年版』2005年。
12環境省が2007年12月に公表した『環境にやさしい企業行動調査』での最新の結果によれば、環境会計導入企 業数は819件となっている。その内訳は、上場企業453件(回答対象企業数1
,
138件の約40%)、非上場企業366 件(回答対象企業数1,
636件の約22%)となっている(環境省『環境にやさしい企業行動調査』2007年、67頁)。13環境省『環境会計ガイドライン2005年版』2005年、2頁。
対応コスト、その他コストに分けられる14。
また、環境会計の機能としては、前述した報告書を用いた当該企業や自治体に関わるステークホ ルダーとのコミュニケーションツールとして利用される外部機能や組織内部の環境マネジメント ツールとして利用される内部機能の2種類が提示されている。
(出典:環境省『環境会計ガイドライン2005年版』2005年、2頁と3頁の図をもとに作成。)
しかし、バイオマス事業を対象にする環境会計は、こうしたガイドラインの仕組みと構成要素を 考慮に入れながらも、広範囲のコストや効果を連結した形で把握され、評価していくことが必要に なる。そのために、モデル化については、たとえば、図6のように、SCにおける環境保全の取り組 み(取引先→製造メーカ→物流業→小売業→消費者・利用業者→廃棄・リサイクル)を対象にした
SCEA
モデルを基礎にしていく方法が考えられる15。14 前掲書、11-18頁。
15 拙稿「環境会計情報システムの動向と展開-欧州と日本の企業への導入モデルを考慮して-」『人文社会論叢
(社会科学篇)』第18号、2007年8月。
環境会計
経営者 関係部門
従業員
【企業等】
内部機能
情報の受け手 企業の経営管理ツール
消費者・取引先・投資家 金融機関・地域住民 NGO・行政・国民 等
【社 会】
外部機能
情報の受け手 社会とのコミュニケーション
(信頼、評価、説明責任)
環境保全 効果 環境保全
コスト 環境保全対策
に伴う 経済効果
環境 パフォーマンス 財務
パフォーマンス
企業等の 環境情報 システム としての 環境会計
環境保全のためのコストとその活動により 得られた効果を認識し、可能な限り定量的に 測定し伝達する仕組み
図5 環境省ガイドラインの環境会計の構造と機能
図6の
SCEAモデルは、SCの基軸企業となる製造メーカが、各データ項目を主活動(製品製造に
直接関わる活動)と支援活動(人事・労務管理等主活動を支援する活動)に分類した2つのフォー マットを利用して16、全プロセスにおける環境経営計画およびそれに基づいた実施結果を、目標値(予算数値)や実績値の物量および貨幣の両データで詳細に把握できるようになっている。また、
両フォーマットは、経済活動に付随する同じ種類の環境保全活動項目(ここではa活動)をリンクさ せることにより、たとえば、特定の機械設備で使用した物質・エネルギーや発生した二酸化炭素
(CO2)とその削減活動にかかった環境保全コストの分析等、多面的な視点から分析・評価するこ とができる。ただし、BCを対象にする環境会計は、図1や表2に示したように、評価対象となるプ ロセスや分析・評価のためのデータも多くなることから、図6の
SCEAよりもかなり拡張したモデ
ルになろう。なお、こうした環境会計データを把握するためには、まず前述したLCA
に基づき、イ ンベントリデータを物量フォーマット内で収集していくことが必要になる。図6 サプライチェーン環境会計モデル例
16
Por t er , M. E. Compet i t i ve Advant age : Cr eat i ng and Sus t ai ni ng Super i or Per f or manc e , The Fr e e Pr e s s ,
1985, p. 37
(土岐坤・中辻萬次・小野寺武夫『競争優位の戦略-いかに高業績を持続させるか-』ダイヤモン ド社、1985年、49頁).こうした環境会計データの各主体への有用性については、LCAと同じように、自治体では事業計 画策定と実施後の事業評価、事業者ではチェーン全体あるいは各プロセスのマネジメント、そして 地域住民・NPOでは事業自体がその時々の周辺地域に及ぼす環境影響・財務的影響の把握と評価 への利用が考えられる。
3.バイオマス政策・事業評価モデルへの展開
(1)モデルの構築
それでは、これまでの議論に基づいて、飯田市において現在検討中のバイオマス発電事業のプロ セスを対象にした政策・事業評価モデルを検討する。なお、ここでは、同市のように、周囲を森林 に囲まれた地域内において、自治体や事業者が未利用の間伐材や支障木等の森林バイオマスを利用 し、電力や製品等を作り出し、自家消費したり、販売することを想定した政策や事業を「林間型バイ オマス政策・事業」と称していきたい。
図7 想定される森林バイオマスによる発電事業プロセス
飯田市では現在、木質チップを製造し、そのチップをストーブや温泉施設のボイラーの燃料に利 用しているが、将来的には、チップをさらに有効活用していくために、発電事業への利活用も検討 している。そこで、この発電事業のプロセスについては、図7に示したように、森林所有者、森林 組合、製材業者、木工業者から発生するバイオマスをチップ化業者がチップ化し、これを発電の燃 料として利用する。そして、発電後生み出された電力や焼却灰は、電力会社や農家に販売する(焼 却灰は一部委託処理される)、といったBCが考えられる。したがって、林間型バイオマス政策・事 業の評価モデルは、こうした
BC
を評価対象にし、政策・事業のシミュレーション機能や事業実施 後の分析・評価機能を持たせていくことが必要である。そこで、モデルの構築プロセスについて、既述した表1に基づいて考えていけば、まず①事業関 係者の意思決定プロセスを明確化し、必要な情報を特定化し、②
LCA
に基づいて、事業主体ごとに 使用した物質・エネルギーや発生した環境負荷物質を把握し、③②のフローに基づいて、環境省の ガイドラインとSCEAを参考にしながら、各種活動を実施することに伴うバイオマスコスト(バイ
オマス製品や副産物の生産活動に伴うコスト、環境保全活動に伴うコスト、地域社会関連活動に伴 うコスト)と収益(販売益と逆有償や補助金による収入)、および環境保全効果、経済効果、社会的 効果を把握し、④環境面、経済面、社会面を分析・評価できるモデルを構築し、利用後に①の意思 決定要求と情報内容の照合を行い、政策・事業の分析・評価に耐えうる情報であるか否かを明確に する。以上の点に加えて、この事業は、木材の樹齢(齢級)により森林の管理・搬送等にかかるエネ ルギー消費量、環境負荷物質量、コストが変化することや、発電後に生じる焼却灰等の廃棄物の処 理に要するエネルギーやコストも発生するために、こうした点(つまり⑤)についても考慮に入れ ることが必要になる。それではまず①についてであるが、これは表2に示したような各主体の情報要求とこれに応じる ための情報内容を十分に明らかにすることが必要である。
次に、②と③については、図7のうちバイオマス発電施設までを対象にした概念図を示せば、図 8のようになる。
図8に基づくデータ集計フォーマットについては、「バイオマス利用者」にあたる発電事業のプ ロセスのみを対象にした図9のように、各事業体のバイオマス製品製造に直接関わる主活動と人 事・労務管理等の支援活動に基づいて、物量と貨幣の両データを個別に集計し、当該事業の成果を 評価できる形にしていくことが必要である。すなわち、インベントリデータと環境保全効果を集計 できるインベントリデータフォーマット、バイオマス製品・サービスに関するコストおよび収益を 集計できるバイオマス製品・サービスデータフォーマット、そして環境保全・地域社会関連の両コ ストおよび経済効果や社会的効果を集計できる環境・社会経営データフォーマットの3種類であ る。
また、特定の機械設備の使用に伴うエネルギーとコストあるいは
CO
2削減にかかった環境保全コ ストや、今年度事業に従事した従業員数(あるいは毎期の雇用者数)や各自の労働時間と人件費の2.5 1.5kg 200kg
400kW h CO2
OUTPUT
7 31 35
6 26 30
5 21 25
4 16 20
CO2 CO2 10
INPUT
2.5 1.5kg 200kg
400kWh CO2
OUTPUT
7 31 35
6 26 30
5 21 25
4 16 20
CO2 CO2 10
INPUT
LCA
7 31 35
6 26 30
5 21 25
4
16 20 CO2 50,000 2,000
5,000
5 /
2
7 31 35
6 26 30
5 21 25
4
16 20 CO2 50,000 2,000
5,000
5 /
2
7 31 35
6 26 30
5 21 25
4
16 20 900
15 /kWh 60kW h 96,000 10 /kWh 24 / 1
7 31 35
6 26 30
5 21 25
4
16 20 900
15 /kWh 60kWh) 96,000 10 /kWh 24 / 1
LCA
400 Wh 340 60
CO2 200 400 Wh 0.5 -CO2 / Wh CO2 4.0
96,000 400 Wh 10 / Wh 24 /
900 60 Wh 15 / Wh
CO2 50,000 2 5 / 5,000 /
2,000 CO2
フォーマットの活動間を連携 させることにより、評価に必要 な情報をプロセス別・樹齢別・
活動別に利用可能
LCA
CO
2CO
2CO
2CO
2( )
( )
図8 図7の林間型バイオマスチェーンと各種データとの関係
図9 発電事業プロセスを対象にした林間型バイオマス政策・事業評価モデル例
変化等、物量と貨幣の両データを用いた多面的な分析・評価をプロセス別、樹齢別、活動別に行っ ていくためには、図6のモデルのように、インベントリデータフォーマットと他のフォーマットに 設定されている同じ種類の活動を結び付けて3つのフォーマットを連携させることが必要になろ う。したがって、このフォーマット作成が、前述した④と⑤を考慮に入れた作業にあたる。
(2)政策・事業のシミュレーションと業績管理への利用
それでは、図9の林間型バイオマス政策・事業評価モデルを、前述した政策・事業のシミュレー ション評価や業績管理として利用していく方法を考えていきたい。
①シミュレーション評価への利用
政策形成や事業実施計画では、利用する資源別に当該地域に見合った事業ケースをシミュレー ションしていくことが必要になるが、この場合は、各フォーマットにおける主活動あるいは支援 活動内の経済活動及び環境保全活動の項目に「化石燃料由来」と「バイオマス資源由来」の項目 を設定し、これらに関連する事業計画値(目標値や予算数値)等のデータを収集することにより 可能になる。このように整備することにより、各資源由来を利用した事業により消費する物質・
エネルギーと発生する環境負荷物質やコストおよび効果が把握でき、どちらの資源由来が効果的 かつ効率的に事業を行うことができるかをあらかじめ評価することができる。
②業績管理への利用
また、毎期の事業実施後には政策や事業者において業績管理が必要になるが、この場合は、前 章Ⅲや図6で述べたように、各種データ項目に、事業計画値と実際の活動実績(実績値)を並列 してデータを収集し、これらの値に基づいて差異分析を行うことにより、既述した3つの側面か
図10 シミュレーションのフォーマット例
らの評価が可能になる。また、①で述べた資源由来による事業を事前的かつ事後的に評価するこ ともできるために、次期以降の政策・事業計画の設定にも有用である。
Ⅴ おわりに -研究結果と今後の課題-
バイオマスに関する研究は現在、日本だけではなく先進事例の多い欧州でもさまざまな形で行わ れているが、その多くは、バイオマス変換技術の開発や環境政策形成の方法の視点から行われてい る。しかし、こうした研究成果に基づいて、事業関係者が、バイオマス事業を地域に根づかせ、継 続的に行っていくために分析し、評価していく方法については、十分に研究されていないのが現状 である。そのために、本稿では、バイオマス利活用の現状や利点と問題点を明らかにすると同時に、
バイオマスの政策・事業プロセスを経済面、環境面、社会面の3つの側面から総合的に評価する情 報システムを構築するための基礎モデルを、LCAや環境会計の両モデルをもとに検討した。
さらに、ここでは、現在調査対象の長野県飯田市における林間型バイオマスの政策・事業に焦点 を当てて、その評価モデルの実践的適用方法を概念的に提示した。現在同市では協働体系による政 策・事業体制はとられていないが、このモデルを利用した情報システムを導入することにより、各 主体の意思決定要求への対応やその主体間によるより良い協働体系を作り上げるコミュニケーショ ンツールとして、またバイオマス政策・事業の目的を達成していくための重要なツールとして機能 すると考えられる。また、図1で示したバイオマス政策・事業の利点や問題点を、事業前あるいは 事業後の時点で明らかにできるために、より一層効果的かつ効率的な政策・合意形成、事業計画・
評価、政策提言や現状分析等が可能になろう。
そこで、今後は、このモデルが、当該地域の自治体、事業者、地域住民・NPOの各主体に対して、
どの程度有用なツールとして実践的に機能するかをより具体的に検討することが必要になる。その 図11 業績管理のフォーマット例
ためには、想定シナリオを設定し、これに基づいた事前・事後評価の利用方法を、自治体、事業者、
地域住民・NPOの各視点から明らかにし、モデルのさらなる実践的有効性を検討していく。また、
バイオマス政策・事業において将来的に考慮していくべき点としては、第Ⅱ章でも述べたように事 業投資、排出権、森林の多面的機能と関連させて評価したり、従来の財務諸表分析あるいは経営分 析で使用される指標を利用して事業の収益性や効率性等を評価していくことが必要になってくるこ とから、これらも加味した分析・評価モデルも提案していく。さらに現在、林間型バイオマス政 策・事業と林政・林業との関係性について十分に明らかにできていないために、両政策や事業プロ セスとの関係や相互間のインパクトを明らかにし、また、これらを分析・評価していくためのツー ルについても検討する。
(付記:本研究は、文部科学省LP「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェ クト」(2003年度-2007年度)、および科学研究費補助金「若手研究(スタートアップ)課題番号 19830003」(2007年度-2008年度)の研究成果の一部である。)