金属酸化物の塩化バイ焼について
化学ポテンシャル状態図による平衡論的考察一
(昭和49年10月19日 原稿受理)
金属工学教室久保正吉
植 田 安 昭 野 口 文 男
Studies on the Chloridizing Roasting of Meta10xides _On the Thermodynamic Consideration by us丘19 Chemical Potential Diagram−
by Masayoshi KUBO Yasuaki UEDA Fumio NOGUCHI
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などの酸化性ガス分圧によって,有価金属が塩化物や租
§1.緒言
々の低級塩化物を生成したり,あるいはこれら塩化物が多くの靴物噸噛は,Cl,ガスやHCIガスによ 再び酸働1・酸化されるなど塩化反応は鋤て灘な反 って容易に塩化され古成塩化㈱ごく{氏温錫蠣性 応酬を示す・そこでこれらの反応鍵を蜥する渤 を示すものが多い.従って,低融硫化鉱や酸榔中に 酬等はc1・ガスによる酸化綱塩化反応 噛.
含まれている有蹴属を塩化物として醗回収したり, pilg・im馴硫化物7 8ハを・S面e「嚥竺のHCIカ ま姓麟働を加鯛度や加熱醐のガス組成翻節 スによる塩化を平繊醜場か樋螂察している
することによって選噸化するなど種々の処理法が提案 が・㌧いまだ選択塩化や総括的見地から塩化反応を竺 難されている.例えば,塩化醗する方法として緻 したものは殆ど貼れな ・従弧塩化の諸反応竺 齢ら銅魂鉛,鉛の除去回収を酸化気圏岬でr ス分圧湿麟から逆反応を加味した平鹸件よりLれ
欝㌘潔雛÷㌶:㌶蕊よ㌶ ㌶㌶㌶:二蕊璽妻貨ご舗きヒ:
を回収する方法・1,さら{、酸化1・・、ガスを用・・た舟木 鉛勘鉄の醐化雛取上げCl・ガスとIIC1カスで 等・の報告槻られる.これらの処酷力・らもわかる様 塩化する齢の化学ポテンシ三ル状鯛を勧・これか に.塩化パ端珈熱酬中に存在する・、,H,・ガス ら酸化縮るい{姓成塩働力剛の塩化鮒の下でど
のような安定化合物を生成し,どのような挙動を示すか これから,(3)式にはP,Pc12, Po2・PMCIコ,の4つのパ を平衡言畠的に考察してみた。最後に,各酸化物のポテン ラメーターが存在し,このうちいずれか3つのパラメー シヤル状態図から得られた結果を総括し,実操業におけ ターを任意に指定してやれば,残りのパラメーターは決 る選択塩化の可能性についても種々検討を行なったの 定できることがわかる。モこでPM引臼=1と仮定する で,これらの結果について報告する。 と,結局2つのパラメーターを指定してやればよいこと になる。またこの反応系にGibbsの相律を当てはめて
§乳催ポテンシヤル状態図の作成 みると,自醐3が得られる.従弧塩イヒ囎と他の
酸化物を塩化パイ焼する場合,加熟温度や加熱気圏中 2っの任意のパラメーターを指定すれば,残りのパラメ に存在するC12, HC1,02, H20ガス等のガス分圧によ 一ターは一定値を示すようになる。ここでは,(2)式中 って,低級塩化物など菰々の形態の塩化物を生成し,非 に含まれているPc12, P。コの2つをパラメーターとして 常に複雑なパイ焼反応過程を示す。従って,バイ焼条件 取上げ,化学ポテンシャル状態図を作成することにし によってどのような形態の塩化物が生成して行くかを明 た。
砿にすることは塩化処理にとって極めて重襲である。そ しかしながら,HC1−0,系の塩化気圏で酸化物を塩化 こで・酸化物一塩化物系の化学ポテンシャル状態図を作 する場台,(4)式に示す塩化物の生成反応のほか(6)式 りこれから考察してみた。また,得・られた各種酸化物一 に示すようなHC1ガスの酸化,すなわちC]2ガスと 塩化物系のポテンシ+ル状態図を組合せると選択塩化の H迫ガスの生成反応も併せ考慮する必要がある。また,
可能性が容易に推察されるようになる。ポテンシャル状 (4)式に示した塩化物生成のためのHC1ガス分圧は 態図の作成には塩化剤としてC』,HC1ガスのほか・パ (5)式,(6)式のHCIガス分圧は(7)式のように表示
イ焼条件によって02・H20・凡等の各租ガスが関与す される。
ることから,これら種々のガス分圧を考慮した化学ポテ
ンシャ峨態図を作成す秘郵ある.すなオ,ち,C1、, M°・+yHC1ニMCI・+y/2H・°+(エ/2−y/4)°・
㌫㌶㌶㌶》き慧:私一P五缶P− (4)
化されなくなる.ここでは,Cl、,1{Clガス1、選択塩化 1°g P・c1=(エノ2γ一1/4) °gP・・声21°gpll・・
の基本蝸子として・、,H、・ガスを翫C1、_・、系, −1/γ1°gK・ (5)
富1㌶㌶㌫蹴㌶諸註 謬;1㌶隠 (6)
を用いて顕一C1,一・、,齪_HC1_・、系の3元系化 1°gP・・1=1/21°gP・…+1/2 °gP…
学ポテンシャル状態図を作成した. −1/410gP°2−1/210gI{6 (7)
CI2−O,ガス気圏中で各種酸化物を塩化する場合,塩 ここで・Pllc1はHC1ガス分圧・PIIコoはH20ガス分 化反応は一般に(1)式で示され,その際の平衡CI,ガ 圧を示す。ついで・前述の場合と同様・不活性ガスを除 ス分圧は塩化物の平衡蒸気圧を標準状態,すなわち き生成塩化物とH20ガスの平衡圧を考慮し,この系の P、1Cl2,=1に仮定すると(2)式のように示される。 平衡全圧Pを考えてみると(8)式のように示される。
MO.+夕Cl,−MCI,,÷・ノ20コ (1) P=P・・1+P・・+p…+p創・+P・・cl・ (8)
K1=P612/P£12 七 この場合(8)式から, P, pllcl, po2, PH±o, pcl2, pMcly log Pc】2=x/2夕log Po2−1、ケIog K1 (2) の6っのパラメーターが存在することがわかり,このう
ここで.P、1、はCl、ガス分圧, P。llま・、ガス分圧, ;3つのパラメ+を聴1・縦してやると残りの・・
P。問,.は塩化励平麟気田Kは平縦数,M欄, フメで一は決定できる巴と拗かる・また・この反応 亜鉛,鉛,蹴どの鑓元灘示す.実脚場合,パイ ≡Glbbsの酬硝て1まめてみると・舳度4欄 焼姻申1・N,加勒不活性ガスカ・嬉するので反応 疏る・そこ℃靴雌とPII・1・P・・, P…の3つの 系の全圧Pはこれらガス分圧も考慮する必要があるが, パラメータrを用いて化学ポテンシキル状態図を作成す
ここでは(ユ)式の反応に全撫縣であることから塩化 ることにした・ .
物の瀬圧のみを糎すると(3)式のよう1、なる。 鞠(1)・(4)式に示した塩化反応の酬舳工勅 ギー変化ゴG一温度の鴎係から各温度における平衡定数 P=P・1・+P・・+P・CI・・ (3) K1, K・を求め.得られ酪々の値を⑳(5)式に代
入して各種化学ポテンシャル状態図を作成した。すなわ ち,(2)式から一定温度におけるlog Pclrlog Po2の関
分圧を代入してやると一定温度におけるユog P!lcrlo9
ヤル状態図を求め,これらの結果を組合せると立体的な £ 温、度一10gPCI2−logPo2及び温度一10gP」1c1−10gP。2 −?og 」
なる。
標準自由エネルギー変化」G白の計算で、酸化物,塩 ・LO
Kubaschewski12}等の値を用いた。なお,これらの文 LOG P。
コ
:ζ蕊き㌶/灘;霊1㌫:㌘ Fi 瓢㌫口i−mf・・
Kubaschewskiの手法を用いて概算した。
§3口温度一C』一・・3元系化學ポデンシャJレ綱㌶:翌罐喋る隠翻歪㌫、く蕊
C12ガスによる塩化反応では,先の(1)式にも示した 示すb線を考えてみると,02ガス分圧が低くなるにつ ように平衡定数K1はPc[,とP。2との関係式で示さ れて安定化合物はCuO相からCuCl3相に移行するよ れ,塩化温度を指定すると(2)式から10gP段と109 うになることがわかる。また,02ガス分圧一定で生成 Po,間に直線関係の成立することがわかる・そこでX軸 物とCl2ガス分圧,塩化温度との関係を示すC面から
に02ガス分圧,Y軸に温度, Z軸にC12ガス分圧を CuCl2相及びCu2Cl2相の安定領域を見てみると,いず とり,§2で示した方法を用いて計算し銅.亜鉛・鉛・ れの相も温度が高くなるにつれて狭くなっていくことが 鉄の各元罫ξについて温度一Cl一〇コ3元系ポテンシキル 考察される。モζで, C面上でP眺=10−6atm・po2=
状態図を求めた。すなわち,(1)Cu−C12−02系,(2) 10−1°°atmの一定ガス組成を示すc線上の塩化条件を例 Zn_Cl2_02系,(3)Pb−C12−−02系,(4)Fe−C1一 にとって考察してみると・温度が高くなるに従って安定 O,系の4つの3元系化学ポテンシャル状態図をそれぞ 化合物は,CuC1;相から矢印の方向にそってCu2C12相 れFig.1,2,3,4に図示した。これらの状態図から. に変化して行くことがわかる・
平衡ガス組成,塩化温度と生成物の形態,その安定領域 このようにポテンシャル状態図から、バイ焼温度や各
など和の縣が容易1、螺できること力竜得ら枇 輌ス分田・よる生成安定相糖易離察できるが瓢 結果をまとめてみると次のようになる。 の塩化バイ焼条件では・加熱気圏のガス組成はPo2十
㌶ε蕊、に_Chガス分圧一定籔5:蕊蕊鑑麟㌦
で塩化疏と。、ガス分圧1、よる生成物関係を示すA 囲で塩化を行なうとC・・Cl・継成し・これが蝶化合 酢ついて考えてみると次のよう疏る.鍼C・C1、物相として存在することが容易に擦される・
相の安定傾域は塩化温度力塙くなる{こつれて狭くなって (2)Z・−C1亡O源
いくことがわかる.すなわち,0、ガス分圧一定の塩化 Z・−ClrO・系を示すFig』{・ついて繍の場合と 条件,例えば図申a線で示したP。コニ102ヨatmで矢印の 同様な考察ができる。最初・一定C』ガス分圧を示す 方向にそって塩化温度を高くしてやると,安定化合物は A面でZnC12相の安定領域を考えてみると ZロC12の C。C1,相からC。・相1・変化することが推察される.つ B・P・(732 C)以下では塩化温度力塙くなるにつれてモ いで,塩化館一定でC】,ガス分圧,・、ガス分圧雄 の錠領域は狭くなってL き・B・P・以上では逆}ζ堅 成物の関係を示すB面を離ると,・、ガ粉圧のユ・一・・ なって・・くこと拗かる・ついで・一定塩イヒ温度綜す
。,⊇ら、。−1・。,mの範囲1、存在するC・、Cl湘, B面を取上げてみると・Z°C1湘の蝶蹴1ま゜・ガス
、。−1・。,m以上で存在するC。C1、相破定囎はいずれ 分圧が1°一且゜・tm肚ではC1・ガス分圧力璃くなる1こ
がわかる。最初,PbCl2相の安定領域について考えてみ ると,一定C12ガス分圧を示すA面から,モの領域は温 度の上昇とともに狭くなり,また一定温度を示すB面か 10 らCI、ガス分圧が高くなるにつれて広くなって行くこと o がわかる。さらに一定02ガス分圧を示すC面を見てみ ると,温度が高くなるにつれてその安定領域は著しく狭 柏ゴ くなって行くζとが考察される。なお,塩化バイ焼の実 弔8 操業条件下では,PbChが安定化合物相として生成する 」
ことがわかる。
・30
(4)Fe−ClrO2系
切 Fe−ClrO2系を示すFig・4から各種生成化合物と
. L°口. 一定C』ガス分圧を示すA面1、おいてF,C1,相破定 醜え鵠毘鷲肥D1刮輌f°「 領域は雌欄くなるにつれて拡大していくこと.一定
温度を示すB面から,ユ0−15atm以上の02ガス分圧では 従って広くなり,それ以下の02ガス分圧では変化しな
い。また,02ガス分圧一定の条件を示すC面でZnCh 祖の安定領域を考察してみると,モの領域は温度の上昇
とともに著しく狭くなって行くことがわかる。ここで銅 の場合と同様,実操業条件での生成安定化合物を見てみ ると,Z皿CI2であることが推察できる。
(3) Pb−CI2−02系
Pb−C1±一一〇2系では, PbO相とPbCI2相間にPbO・
PbCl2,2PbO・PbC12,3PbO・PbCl2など種々の酸塩化 物が存在するがこれらの安定領域は非常に狭く,熱力学 的諸データが不足のため正確に表示できなかったのでこ れらの領域を省略して化学ポテンシャル状態図を作図し
10 向 星
立oo
9
一40
これから,醐の場台とほぼ翻の相互関係にあること 一 一゜L::,。°2°°和
2
Fig.4, Che1皿i闘1 Potenti口1 Diagr日m for Fe−CI竺一〇2 system
C12ガス分圧が高くなるにつれてその安定領域は広くな 10
り,モれ以下の02ガス分圧では変化しないこと。ま o た,一定02ガス分圧を示すC面から,FeCl3相の領域 は温度が商くなるほど狭くなっていくことなどがわか ロ ロ ッ
田 る。きらに,塩化パイ焼の実操業条件下における生成相 蝿を見てみると,銅,亜鉛,語が塩化物の形態で存在した .知 のと異なり鉄の場合は酸化物Fe20コが安定化合物とし て存在することがわかる。
切 以上・銅,亜鉛,鉛,鉄のCl2−02系化学ポテンシ
LOGRハ, はいずれも生成塩化物の活量や平衡分圧がユであると仮 Fig.3. Chemical Potenti田Djagram for 定するζとによって得1られた結果である。しかしなが Pb−CI2−025yst㎝ ら,実際の塩化パイ焼ではこれらの{『iが1よりも小さい
条件で操業されている場合が多い。そこで生成塩化物の 活丑と平衡分圧が1よりも小さい場合に、生成塩化物の 安定領域がどのように影響されるかを同様の方法を用い て検討してみた。ここではその影響を調べるため,その 代表例としてCu−C12一軌系ポテンシャル状態図から 塩化温」度927℃における断面図を取出した。図は縦軸 10gPCI2,横軸10g Po,で示され,これに塩化物Ct12C12 の活鉦を1〜10−4と種々変化して得られた結果を図示 するとFig.5のようになる。これから,生成塩化物 Cu2C12の活皿が小さくなるにつれてその安定頗域は拡 俗 大していくが,一方生成塩化物CuChの安定領域は狭
くなって行く乙とがわかる.また,これらの関係は紬 ξ弔
の温度範囲においても同様な傾向を示すものと推察され LOG陶、
た。このほか,鉛,亜鉛 鉄についても同様な検討を行 Fig.6. Che皿i舩1 Potent已l Diag㎜for なったが,銅の場合とほぼ同様な関係と傾向が得られ Cu−HCI−02 system
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3弔一100 −80 −60 一口 一20 0 20 40 60
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た゜ Fig.6,7、8,9のようになる。各化学ポテンシャル状
10
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ロ己uロご1°@ ≡≡三≡≡§i………壱…』01
Cu〔㌧
7
ゲ
ロ ロ ロ リ
LOGP。・, とがわかる。すなわち, D面上でd線のようなPIIc1=
Fig.5, Eq皿ilibri㎜1 Di㎎r㎜1 ror Cu−ClrO2 ユ010atmを示す一定HCIガス分圧の塩化条件を考え,
8ystem at g2アC 矢印の方向に向って0、ガス分圧が低くな君と,安定化 §3.2.温度一HCI−023元系化学ポテンシャル状態 合物はCuC12相からCu2Cl2相に変化するようになる。
図 ついで,02ガス分圧一定の条件で 生成物 HC1ガス HC1_0,系についてもCl2_0、系の場合と同様,(1) 分圧と温度の関係を示すE面を見てみると・生成塩化物 Cu−HC1−0、系,(2)Zn−HC1−0,系,(3)Pb−HCI CuC』相及びCu2C12相の安定頗域は温度の上昇ととも 一〇2系,(4)Fe−HC1−02系について3元系化学ポテ にいずれも狭くなって行くことがわかる6例えば・
ンシャル状態図を作った。この場合、§2でも述べたよ Pl1亡F1023at叫PoF10−mnatmを示すe隷のような一 うに1㌔0ガス分圧をあらかじめ決めてやる必要があ 定ガス組成の塩化条件においては・温度が高くなるにっ る。モこで,酬の塩化バイ焼麟時におげる加熱気閲 れて鎚化合物はc・Cl湘から矢印の方向に従って 中のH20ガス分圧が最高0.1ntm前後を示すものと想 Cu2CI3相に移行していくことが理解される・また・こ 定されることから,P】r2白=0.1の一定値を用いて平衡計 れからHC1ガズを用い酸化気圏中で実際に塩化パイ焼 算を行ない,各元素の温度一HCLO23元系化学ポテ を行なうと・生成安定化合物相としてCuCLが存在し・
ンシ+ル状態図を求めた。これらの結果一を図示すると Cu,C12として塩化揮発するためには02ガス分圧を非常 態図についてC12−02系の場合と同様な考察検討を行 なってみると次のようになる。
(1)Cu−IIC1−02系
Cu−HC1−−02系を示すFig、6には, H20ガス・分圧 PH。。=1,0.01 at皿の場合も併せ図示した。これから PI12。が低くなるにつれて各生成物の安定領域は若干,
拡大するが,これらのポテンシャル状態図はPI董c白=0・」
の場合と殆ど差異のないことがわかる。そこで,PH担=
0.1の場合について説明すると次のようになる。図中・
一定塩化温度でHCIガス分圧,02ガス分圧と生成物の 関係を示すD面を最初考えてみた。これからCuC12相 の窒定領域は10−13atm以下の0コガス分圧では02ガス 分圧が高くなるに従って広くなるが,それ以上の02ガ ス分圧では 02ガス分圧に全く依存せず変化しないこ
に低くしてやる必要のあることがわかる回 (2)Zn−HC1−02系
Z皿一HC1−02系を示すFig.7についても, Fig.6 の場合と同様な手法を用いて解析を行なった。最初、一 定塩化温度を示すD面を取上げZロCI2相の安定領域を
考えてみると,10−80atm以下の02ガス分圧ではガス分 o口 迂 圧が高くなるに従うてZnC』相の安定領域は広くなり,
o O それ以下のO,ガス分圧では分圧に依存せず全く変化し g
ら,ZnC12相の安定領域は温度が高くなるにつれて狭く z なることがわかる。銅の場合と同様に塩化パイ焼の実操 z
相であることが考察される。 LOGPO2
Fig.8. Chem三eal Potenti口1 DiagTam for Pb−Hα一〇25y5t㎝
合と類似の傾向を示すものと予想される。そこでFeCl3 40 相の安定頗域を考えてみると,一定塩化温度を示すD面 距 で02ガス分圧が10魂atm以下では02ガス分圧が高 くなるにつれて拡大していき,モれ以上の02ガス分圧 2°8 では変化しないことがわかる。また一定O±ガス分圧を 。8 示すE面では,生成塩化物FeC』相とFeC12相の安定 1」 領域は温度が高くなるにつれていずれも次第に狭くなっ o て行くことが考察される。ついで,実際の塩化パイ焼条 10 件下での安定化台物を予想してみると酸化物Fe203相 が安定で,銅,亜鉛,鉛等の非鉄金属が塩化物として存 LOGPO
J
Fig.7. Chemj¢丘l Pote皿ti皿1 Diagram for Zn−HC1−02 sy5tem
Pb−HCI−02系を示すとFig.8のようになり,
Fig.7とよく似たポテンシキル状態図を示すことから,
亜鉛の場合とほぼ同様な考察結果が得られた廿すなわ 20_
o o o
くなり,モれ以上の02ガス分圧では変化しないことが
io わかる。ついで一定02ガス分圧を示すE面においては,
ていくことが示される・後最に・状態図から塩化パイ焼 晦曳α諏i皿1P。,。。緬D畑㎜r。『
の実操業条件下における安定化合物を温度やガス分圧等 Fe−HCLO2 sy8tem から考察してみると,PbCI2相であることがわかる。
(4)Fe_HCI−02系 §4・各酸化物と生成塩化物の相互蘭係について この系のポテンシヤル状態図はFig・9で示され・ガ さきに,銅,鉄など種々の金属酸化物を塩化した際,
ス分圧と生成物間の相互関係はFig・6に示した銅の場 塩化条件によって生成する化合物相が異なることや,そ
の非鉄金属は塩化物となり,選択塩化の可能性を容易に 推察することができる。また,この範囲のガス組成は工 業的にも実現可能な組成範囲にあることから,塩化温度 に応じてこのようなポテンシャル状態図を作れば,モの 10 可能性の検討に大いに役立つものと期待される。この選 「 択塩化頗域は塩化温度,生成塩化物の活量や1㌔Oガス 8 分圧などの諸因子によって変化することから,個々の因 窒 子による影響を調べてみた。まず塩化温度の影響から検 討してみると、塩化剤がCI2ガスの場合,塩化温度が 723℃から923℃と高くなるにつれて選択塩化領域は 若干Chガス分圧の低い側に移行して行くため,鉄と 一10 他元素の選択塩化は高温ほど低いCl2ガス分圧でよい ことがわかる。しかし,塩化剤がHCIガスの場合,
−1°L。G,。° 1° 72雷Cから92即Cと塩化温度欄くなる1・従って選 三 択塩化領域を維持するためにはHCIガス分圧を高くし
Fi訓
F:當麗1竪鴛蕊u跳
てや秘要のある・とが考紺・る・これらの結果から もわかるように,選択塩化領域は塩化温度のほか,C㌔ガスやHCIガスなどの塩化剤の種類によっても異なる ことが見出される。このほか選択塩化領域に及ぼす生成 塩化物の活丑の影響は,すでにFig・5でも明らかにし たように,活量の値が小さくなるにつれてその選択塩化 10
領域はCl2ガス分圧の低い側に移行するようになる。
また,H20ガス分圧の影響はFig.6でも示したように
コ
してくる。以上のような考察結果から実際に選択塩化処 理を考えた場合,H担ガス分圧は低いほどよく,生成塩 化物は速かに反応界面より除去するほど有利に選択塩化 一Io
を促進することが出来るものと推論される。このほか.
塩化剤としてCl2ガスを使用するときは塩化温度が高い 一10 0 10
・・GP。、 方が・さらにHC1ガスを使肘るとき{端ヒ雌が低
Fig.11. Equilibriu皿Di㎎r且m for Cu, Zn, い方が有利であることも併せ考察できる。
Pb別1d Fe HCLO2 sy前em 証t 今まで選沢塩化の立場から種々考察してきたが,塩化
723℃ 物選撤化に肌て銅様1・撚することができる。
の安定領域を個々に検討した。そこでこれら酸化物が共 すなわち・選択塩化と逆の立場にある選択酸化の可能性 存した場合,各酸化物の選択塩化性や生成相の相互関係 は・得られた化学ポテンシャル状態図から同様に解析さ を明確にするため,塩化温度としてよく利用される れる。
723℃の塩化温度を選び先に示した各元素の化学ポテン 乙のように,化学ポテンシャル状態図を作成すると塩 シキル状態図を切断し,これらの断面図を重ね合せて 化反応過程.選択塩化・また生成塩化物の選択酸化の可 考察してみた。切断から得られたlogP〔12−10gPo旦・. 能性が検討できるなど穂々の知見が得られ・塩化機構の 10gPIIc1−logP。,の化学ポテンシヤル状態図をFig.10, 解1斤に非常に有効であることがわかった。しかし・実際 Fig.11にそれぞれ示した。図中斜線で示した部分は, の塩化バイ焼等の結果の解析にこれらの結果を利用する 鉄の酸化物,銅,亜鐙,鉛の塩化物の安定阻域を表わす 場合、このような平衡論的立場からの考堅結果のみでは 部分である。このような斜線で示される塩化条件を選ん 不十分であり.これに速度論的考察結果を併せ検討する でパイ焼を行なえぱ鉄は酸化物として,銅,亜鉛など他 必要があるものと考えられる。
§⊇ 括 ・)佐山惣吾・佐鯉司・昨継会臨84(1968)・
388.
低品位硫化肱や酸化鉱中に含まれている有価金属を塩 3) 岡元敬蔵,雄田安昭:鉄と銅・51(1965)・1779・
化物として塩化揮発する可能性を示すため,銅,亜鉛, 4)L・Lee鴨:J・Ir。n Steel Iロst 161・26(1955)・
⊇の酸化輪いて温度+・・及び齪一HC15)R,:欝衛F弓:⌒ 昭和36−15611 昭和
一〇2の3元系化学ポテンシャル状態図を作成した。こ 6) 吾要潔,後藤佐吉,斎蹟幸七:日本鉱業会秋季大 れから,塩化パイ焼過程を平衡論的立場から考察を行な 会,分科会資料(昭和38)[司16・
ったところ,温度やガス組成により生成する化合物の形 7)R.RPilgrim and T・Rjng「aham:Ca叫
警蕊欝漂:灘:雲8)1灘鶯鶯耀曇◎
選択塩化と選択酸化の可能性を考察し・その選択塩化領 9)H.Sh目f… Z・it. A…g・Ch・皿・259・53 域に及ぼす塩化温度,反応生成物の活量または平衡分 (1949).
匡濃憩鴎:驚;㍑慧:麗 1°)1撒iき濃蕊:!ぎ當麟
ついて得られた考察結果は・実操業条件の漸に非常に 11)H.H.K・11・99・J.M・t・1・.18B(195・)862・
有効であることを示した。 12)O.Kuba5chewski:Metallugical Thermoche−
mistry,(1967),353.
参 考 文 献
1) 大久保安威,石光章利:鉄と朗,58(1972),325.