1.はじめに
小・中学校理科では,探究的な学習活動の一環として,
児童生徒同士が話し合いを行う活動が重要な指導法とし て取り上げられている。いわゆる「グループ学習」の指 導の実態については,約 40 年前の梶田ほか(1980)に よる愛知県下の教員を対象とした詳細な調査研究があ り,中学校理科では6割弱の教員がこの学習を取り入れ ていた。最近でも,小学校学習指導要領解説理科(文部 科学省,2008)では,観察,実験などの後に相互の話 し合いが示されている。中学校では,例えば文部科学省
(2011)により示された,思考力 ・ 判断力 ・ 表現力等の 育成と言語活動の充実における「互いの考えを伝え合い,
自らの考えや集団の考えを発展させる」が理科にも適用 される。秋田県では,秋田県検証改善委員会(2016)に よりペアやグループによる話し合い活動が指導の重点と して示されている。これらのことから,いわゆる協働学 習としてグループでの話し合いや発表を中心とした活動 が小・中学校で実践されていると期待される。秋田県に
おける生徒対象のアンケート調査結果の例では,68%の 生徒が中学校の理科の授業で話し合いを週1回以上経験 している(三浦,2012)。実態調査の報告例は極めて少 ないが,少なくとも秋田県の一部地域の中学校において は,グループでの話し合い活動を取り入れた活動が普及 している可能性がある。
ところで中央教育審議会(2016)では,次期学習指 導要領において教育における高大接続推進の観点から,
高等学校におけるいわゆる「アクティブ・ラーニング」
の考えを取りれるよう提言したので,高等学校でも話し 合い活動を導入した授業が注目される。そこで筆者らは,
高校での「協働学習」の在り方を考える基礎資料として,
これまで取り組まれてきた義務教育における「協働学習」
に関する実態や成果を明らかにする必要があると考え た。先に述べたように,三浦(2012)の例はあるが,よ り詳細なデータを得るために,筆者らは中学校理科にお ける話し合い学習についての認識のアンケート調査を,
学力が中程度だと推測される高校生を対象として理科・
生物領域を例として行い,その結果の一部を川村・三浦
(2017)で発表した。この調査で見出された反応のうち,
特徴的な項目について,以下に報告する。
生徒アンケート調査に見る中学校理科の学習観
:特に「話し合い活動」と資質・能力の関係について
三浦 益子*・川村 教一**
Questionnaire Research Results
on Views Regarding Science Classes in Junior High School : Special Reference to
the Relationship between Discussion Quality and Scholastic Abilities MIURA, Masuko*; KAWAMURA, Norihito**
Abstract
The authors conducted questionnaire researches on first-grade high school students regarding their views on the biology science classes in junior high school. The following results were obtained with regard to scholastic abilities:
・The students feel that they have poor thinking power.
・Some students highly value discussions because they can get new ideas during discussions.
・Students who highly value in discussions try to express their thoughts and cooperate in class.
キーワード: 協働学習,中学生,高校生,生物領域
Keywords: cooperative learning, junior high school students, high school students, biology field
* 秋田大学大学院教育学研究科
Graduate School of Education, Akita University
** 秋田大学教育文化学部
Faculty of Education and Human Studies, Akita University
なお,グループで活動する学習は,「グループ学習」(例 えば出口・吉田,2011),「協同学習」(Johnson et al.,
1984),「協調学習」(加藤・望月,2016)などがあるが,
本研究では秋田県検証改善委員会(2016)が,話し合 い活動を導入したグループで行う学習に対して使用して いる「協働学習」の表現を用いる。
2.調査方法
(1)調査対象校
調査実施校(A 県立 B 高等学校普通科ほか計2学科 一括募集)は,A 県北西部に位置する。通学可能範囲の 主な公立中学校数は 10 校程度である。この地域の中学 校の卒業生は,一般的に同地域の公立高等学校5校のい ずれかに入学する。これら X,B,Y,Z,W の各高等 学校の平成 29 年度入学定員は,それぞれ,235 名,210 名,140 名,105 名,70 名であった。入学定員数やこれ までの高等学校入試における志望動向などから考える と,B 高等学校には,中学生のうち中間的な学業成績を 修める層が入学すると思われる。
(2)調査項目
調査はアンケート調査法で実施した。調査紙は2種類 作成し,2回に分けて実施した。
調査Ⅰ(参考資料1)では,中学校理科生物領域の学 習に対する認識,態度,探究についての学力観,興味な どについて質問した。
調査Ⅱ(参考資料2)の質問項目は,名古屋大学附属 中学校・高等学校において,スーパーサイエンス・スクー ルとしての全体目標の4領域の力を測定するために,中 学校1年生および高校1年生に実施されたアンケート調 査項目(例えば,今村,2014)の一部を用いた。これは,
資質・能力のうち,知識・理解,思考力・判断力・表現 力,学びに向かう力としての協働性が含まれているもの である。本研究のために使用した質問項目の領域は,次 の A 〜 D の項目である。
A(探究を通じてものごとの本質を深く理解する力を 問うもの):11 項目(反転項目数2)
B(物事を論理的,多元的かつ長期的に考える力を問 うもの):11 項目(反転項目数2)
C(自らの考えを他者に表現できる力を問うもの):
11 項目(反転項目数2)
D(問題を設定し,他者と協同して解決する力を問う もの):11 項目(反転項目数1)
本研究では,A 〜 D の各 11 項目をそれぞれ,理解領域,
思考領域,表現領域,協働領域と呼ぶことにする。
調査Ⅰ,Ⅱとも,ほとんどの項目において4件法(そ う思う〜そう思わない)で回答を求めた。一部の項目で は,回答理由の記述欄を用意した。
(3)調査の実施状況
両調査は 2017 年4月中旬に, 1年生4クラス全生徒 140 名を対象として,まず調査Ⅰ,後日調査Ⅱを実施し た。両調査票の配布・回収枚数 140 枚で回収率は 100%
である。
3.調査Ⅰの結果と分析
(1)生物分野の学習に関する認識 図1上段に集計結果を示す。
生物分野の学習に対する認識を尋ねた項目番号(以下,
番号)1「理科の生物分野の学習は好きである」および 番号3「理科の生物分野の実験や観察は好きだ」に対す る肯定的反応者数(「そう思う」および「どちらかとい えばそう思う」回答者数の合計)の割合は,それぞれ 72.9%(140 名中 102 名),81.4%(114 名)である。一 方,番号2「理科の生物分野の学習は得意である」に対 する肯定的反応の回答率は 59.3%(83 名)にとどまっ ている。これらのことから,生物分野について概ね肯定 的な認識を持っているが,それに対して得意であるとす る認識の度合いは低い可能性がある。
(2)生物分野の学習の有用性の認識 図1中段に集計結果を示す。
番号4,5で「理科の生物分野の授業でわざわざ実験 をしなくても結果を教えてくれればよい」に対する否定 的回答の反応率は 86.3%(118 名,図1中では反応率を 反転させて 13.7%),「理科の生物分野を学ぶことは受
図1 調査1:理科・生物領域に関する調査項目に対す る回答状況
質問内容は本文参照,4:そう思う〜1:そう思 わない(以下同様).
験になくても大切だ」に対する肯定的反応率は 79.3%
(111 名)で,ほとんどの生徒が知識だけでなく実験が 必要であると考えている可能性や,受験勉強以外にも学 習の意義を見出している可能性がある。しかし,番号6
「理科の生物分野の学習は自分の普段の生活や社会に出 て役立つ」と回答した生徒は 57.1%(80 名)であり,
直接的な有用性を感じている生徒の割合は,番号5に対 する肯定的反応率よりも低い。
これらのことから,生徒が示す生物学習の意義に対す る肯定的反応の高さには,見かけだけの反応が含まれて いることが考えられる。
(3)生物分野の学習に臨む態度 図1下段に集計結果を示す。
理科の生物分野の学習において,番号7「その時間の 学習課題をもとに見通しをもって学習している」,番号 8「主体的に取り組んでいる」に対して肯定的に回答し た生徒の割合は,それぞれ 70.0%(99 名),79.3%(111 名)である。中学校で生徒はおおむね主体的に学習に取 り組んだと思っている。
(4)探究に関する学力観 図2に集計結果を示す。
1)探究能力と表現力の獲得
理科の生物分野の学習で,探究能力に関する番号9「疑 問を解決したり予想を確かめる力がつく」,および表現 力に関する番号 10「自分の考えを人に伝える力がつく」
に対する肯定的反応率は,それぞれ 80.0%(112 名),
67.1%(94 名)であった。身につく学力として探究能 力に対して表現力を肯定的に捉える度合いが低い可能性 がある。
2)探究能力に対する認識
番号 17「理科の授業で実験・観察をするときに,探 究の過程を踏まえるようにしている」,番号 18「理科の 授業で実験・観察以外のときに,探究の過程を踏まえる ようにしている」に対する肯定的反応率は,それぞれ
74.3%(104 名),59.3%(83 名)であった。実験以外 の授業であっても,生徒は探究の過程をおおむね踏まえ ていると思われる。
3)探究過程についての反応
番号 16「以下に示す理科の探究の過程を,得意なも のから順に並べて,ア〜キの記号で( )に記入して下 さい。」とし,探究の過程として,(ア)課題を設定する,
(イ)予想・仮説を設定する,(ウ)実験計画をたてる,(エ)
観察・実験をする,(オ)結果を表やグラフにする,(カ)
考察・推論をする,(キ)自分の考えを書いたり発表し たりする,の各段階について,得意な序列を調べた。
図3に結果を示す。
最も得意な段階は「観察・実験をする」で反応率は 56.4%(79 名)である。一方,最も得意でない段階は「自 分の考えを書いたり発表したりする」で 47.9%(67 名)
である。次いで多い回答は,「考察・推論をする」で 21.4%(30 名)である。
以上のことから,探究過程のうち,観察・実験を実行 することは得意と考えているが,考えの表現や考察と いった,「思考・判断・表現」に関する段階は苦手に感 じていると思われる。
4)「思考」の深化
①回答の傾向
学習での話し合いによる思考についてどのように捉え ているか,番号 11,12,19 で尋ねた。集計結果を図4 に示す。
各質問に対する反応率は,番号 11「グループで話し 合いをすると,自分の考えが深まる」,番号 12「クラス で話し合いをすると,自分の考えが深まる。」に対する 肯定的反応率は,それぞれ 87.1%(122 名),85.7%(120 名)でほとんどの生徒が話し合い活動で考えが深まると 肯定的に捉えている。また,番号 19「グループで話し 合いをすることは好きである」に対して肯定的回答(話 し合い活動「高評価群」),否定的回答(「低評価群」)の 割合はそれぞれ 81.2%(138 名中 112 名),18.8%(26 名)
であり,肯定的反応者の割合の方が有意に高い(正確二
図 2 調査Ⅰ:探究過程に関する認識の回答状況 図 3 調査Ⅰ:最も得意・不得意な探究過程の段階
項検定,両側検定,p=6.0000,p<.01)。
②回答理由に見られる特徴
番号 19 への回答理由の記述内容に特徴的に見られる 語句は「意見」・「考え」で,77 名(肯定的反応者 70 名,
否定的反応者7名,肯定的反応者に占める割合 63.1%)
が使用していた。肯定的な理由を分類し,キーワードの つながりを図式化すると図5のようになる。
回答理由に「意見」もしくは「考え」の語を使用して いる文中から特徴的な語句を抽出して分類すると,「新 しさ」(16 名),「深化」(11 名),「比較・相違点」(10 名),
「面白さ・楽しさ」(8名)などであった。これらのこと から,設問文における「考え」とは,アイデアや概念の ことを指していると思われる。
このように協働学習において肯定的に受け止められる ときに最も多い要素は「意見・考え」であるが,このう ち「新しさ」,「比較・相違点」,「面白さ・楽しさ」の回 答者数合計(34 名)は肯定的反応者の 30.3%にあたり,
他者の意見を得て自分とは異なる視点に接することが肯 定的反応につながる主な要素となっている可能性があ る。一方,理解の深化につながるような「意見・考え」
と「深化」を挙げた回答者の反応率は肯定的反応者の
9.8%(112 名中 11 名)であり,協働学習での主な成果 とはなっていない。
以上のことから,番号 19 に対する肯定的反応者は,
話し合い活動において,新規のアイデアや概念を他者か ら知識として獲得できるので評価している可能性があ る。
(5)生物分野についての興味と行動 図6上段に結果を示す。
番 号 13「 興 味 が あ る 」 に 対 す る 肯 定 的 反 応 率 は 63.6%(89 名)である。そのうち,「興味があることを 自分で調べたり学習したりしている」に対する肯定的反 応率は 33.7%,「自分で調べたり学習したりする時間が ない」に対する肯定的反応率は 55.1%であった。
これらのことから,生物分野に興味を持つ生徒の方が 多いものの,主体的な学習はあまり行われていない場合 が多かったと思われる。
(6)生物分野の学習とキャリアとの関係の認識 図6下段に結果を示す。番号 15「将来,理科の生物 分野の学習を生かした仕事をしたい」に対する肯定的反 応率は 11.5%(16 名)であった。
4.調査Ⅱの結果と分析
(1)全集計結果
各設問について,調査Ⅰ同様に,4件法での回答を求 めた。回答の統計処理にあたっては,「そう思う」を4点,
「どちらかといえばそう思う」を3点などとし,4点満 点で集計した。ただし,反転項目の質問については,「そ う思う」を1点,「どちらかといえばそう思う」を2点 などとし,配点を逆順とした。
点数化した回答を領域ごとに合計した。表1には領域 別の平均値を示す。各領域の平均値を分散分析で比較し たところ平均点に有意差があることがわかった(F(3,
555)= 19.14,p<.01)。ボンフェローニの方法を用い て多重比較を行ったところ,「思考」と「協働」,「表現」
と「協働」,「理解」と「協働」のそれぞれの領域間で平 均点には5% 水準で有意差が確認された。協働領域は他 図4 調査1:話し合い活動による思考の認識の回答状況
図5 調査1:項目番号19での回答の理由記述中のキー ワードのつながりの関連図
(例「意見を聞けるから」,「考えを知れるから」といっ た回答をした生徒数は 18 名)
図6 調査Ⅰ:生物分野についての興味と行動,及び生 物分野の学習とキャリアとの関係の認識ついての 回答状況
の3領域よりも平均値が高いことから,協働学習につい ては,調査した資質・能力の中でも最も好ましい反応が 示されている。
(2)各領域の集計結果
理解〜協働の領域ごとの集計結果を,図7〜 10 に示 す。
1)理解領域の項目(項目番号1〜 11)
肯定的回答者の割合が,項目番号1,2,5を除き,概 ね 46 〜 83%の範囲にあり(図7),学習において理解 を図ろうとする生徒の割合は半数強である。なお,項目 番号2,5は反転項目で,これは暗記を主体として覚え る学習をした生徒が大半であることを示す。これらのこ とは,理解を図るよりも暗記による学習をしようとする 傾向を示している可能性がある。
2)思考領域の項目(項目番号 12 〜 22)
肯定的回答者の割合が,項目番号 15,16 を除き,概 ね 44 〜 77%の範囲にあり(図8),学習において思考 しようとする生徒の割合は半数強であることを示してい る。なお,項目番号 15,16 は反転項目で,これは暗記 を主体として覚える学習をした生徒の割合が7割強であ ることを示す。このことは,理解を図るよりも暗記によ る学習をしようとする傾向を示している可能性がある。
3)表現領域の項目(項目番号 23 〜 33)
肯定的回答者の割合が,概ね 52 〜 70%の範囲にあり
(図9),説明する場面において工夫しようとしている生 徒の割合が半数強であることを示している。
4)協働領域の項目(項目番号 34 〜 44)
肯定的回答者の割合が,項目番号 37 を除き,概ね 74
〜 90%の範囲にあり(図 10),協働的な問題解決をす る学習において,仲間と一緒に取り組もうとしている生 徒の割合は8割強であることを示している。このことか ら,大半の生徒が協働しようとしていることが期待され る。
5.考察
(1)分析方針
思考・表現に関する能力が高いと,それらを培うであ ろう協働活動を生徒は高く評価するのではないかと筆者 らは予想した。そこで,「話し合い活動」で獲得するで あろう思考・表現に関する能力の保有状況と「話し合い
活動」に対する生徒の評価との関係を明らかにするため,
調査Ⅰの項目番号 19 での話し合い活動「高評価群」と「低 評価群」間で,調査Ⅱにおける思考・表現に関する力な どの高低を分析する。
このため,まず初めに,「高・低両評価群」の回答の 信頼性をそれぞれ検討する。次に理解力,思考力,表現 表1 領域別合計ポイントの比較
図7 調査Ⅱ: 理解領域の質問に対する回答状況 質問内容は参考資料2を参照(以下同様).
図8 調査Ⅱ:思考領域の質問に対する回答状況
力などに区分して分析を行う。
(2)回答の信頼性の検討
調査Ⅱにおいて思考力に関する質問は,思考領域,お よび表現領域の質問項目のうち思考した内容の表現力に 関するものがある。両者の回答に整合性があり,信頼で きるかどうかを検討する。このため,思考領域の質問(問
11 〜 22)に対する回答の合計ポイントと,表現領域の うち思考した内容の表現の設問(問 24,29,31,32)
の合計ポイント間の相関を見る(図 11)。
話し合い活動「高評価群」での相関係数はr =.599**
であるが,「低評価群」では相関係数の検定で相関が見 られなかった。「高評価群」では思考力と思考した内容 の表現力に中位の正の相関が見られるが,「低評価群」
では両能力間に傾向が見いだせない。このことから,回 答は「高評価群」の方が「低評価群」よりも信頼性があ るといえる。
(3)理解力と話し合い活動の評価の関係
理解領域の質問(番号1〜 11)に対する回答の生徒 ごとの合計ポイントについて分析を行う。
話し合い活動「高評価群」(満点 44 点,平均値 31.0),
「低評価群」(平均値 29.4)間の合計ポイントの平均に ついてt検定を行ったところ,両群間で有意差が見られ なかった(両側検定,p=.0579,p>.05)。このことから,
理解力全般については両群間で違いがあるとはいえな い。
(4)思考力と話し合い活動の評価の関係
思考領域の質問(番号 12 〜 22)に対する回答の生徒 ごとの合計ポイントについて分析を行う。
話し合い活動「高評価群」(平均値 30.2),「低評価群」
(平均値 29.1)間の合計ポイントの平均についてt検定 を行ったところ,両群間で有意差が見られなかった(両 側検定,p=.2812,p>.05)。このことから,思考力全般 については両群間で違いがみられない。
(5)表現力と話し合い活動の評価の関係
表現領域の質問(番号 23 〜 33)に対する回答の生徒 ごとの合計ポイントを算出して分析を行う。
話し合い活動「高評価群」(平均値 30.4),「低評価群」
(平均値 27.9)間の合計ポイントの平均についてt検定 図9 調査Ⅱ:表現領域の質問に対する回答状況
図 10 調査Ⅱ:協働領域の質問に対する回答状況
図 11 思考領域と表現領域のうち思考に関する設問の 回答ポイントの相関
を行ったところ,両群間で有意差が見られた(両側検定,
p=.0128,p<.05)。このことから,表現力全般について は両群間で違いがあり,「高評価群」の方が,表現力が 高い可能性がある。
(6)協働性と話し合い活動の評価の関係
協働領域の質問(番号 34 〜 44)に対する回答の生徒 ごとの合計ポイントを算出して分析を行う。
話し合い活動「高評価群」(平均値 34.0),「低評価群」
(平均値 30.7)間の合計ポイントの平均についてt検定 を行ったところ,両群間で有意差が見られた(両側検定,
p=.0009,p<.05)。このことから,協働性全般について は両群間で違いがあり,「高評価群」の方が,協働性の 度合いが高い可能性がある。
6.まとめ
調査対象者の,中学校理科生物分野についての反応の 概要は以下のとおりである。
・ 授業で探究の過程を踏まえており,その能力が身につ くと思っている。
・ 探究過程のうち「思考・判断・表現」に関する段階は 苦手と感じている。
・ 多くの生徒が話し合い活動を高く評価しており,その 主な理由は新しい意見が聞けるから,といったものが 最も多い。
また,資質・能力に関して,中学校理科でのグループ における話し合い活動を高く評価する集団「高評価群」
と低く評価する集団「低評価群」間について,以下のこ とが見いだせる。
・理解力,思考力について違いは見いだせない。
・ 表現すること,学習における協働性において,「高評 価群」の方が能力が高い可能性がある。
引用文献
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中央教育審議会(2016):幼稚園,小学校,中学校,高等学校 及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策 等について.243p.
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/
toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/01/10/1380902_0.pdf)
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今村敦司(2014):第 3 節 実践の成果と評価.名古屋大学教 育学部附属中・高等学校紀要,59,11-15.
Johnson, D.W., Johnson, R. T., and Holubec, E. J. (1984):
Circles of Learning: Cooperation in the Classroom, Interaction Book. 杉江修治ほか訳(1998):学習の輪―ア メリカの協同学習入門,二瓶社,174p.
梶田正巳・塩田勢津子・石田裕久・杉江修治(1980):小・中 学校における指導の調査的研究Ⅰ―グループによる学習指 導の実態―.名古屋大学教育学部紀要,27,147-182.
加藤 浩・ 望月俊男(2016):協調学習と CSCL.ミネルヴァ 書房,207p.
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日本理科教育学会全国大会発表論文集第 15 号,177.
三浦益子(2012):高等学校生物における論理的に考え表現す る力を高める指導.平成 23 年度研修員研究集録,49-54,
秋田県総合教育センター.
文部科学省(2009):小学校学習指導要領解説理科編.大日本 図書,105p.
文部科学省(2011):言語活動の充実に関する指導事例集【中
学校版】.文部科学省,195p.
参考資料1
理科に関する調査 年 組 ( )番 氏名 平成29年 4月
☆ この調査は,三浦の授業をよりよくすることを目的として実施するものです。成績には関係しませんので安心して答えてください。
氏名を公表することはありません。
☆ 設問にある「理科の生物分野」については,以下の学習項目例を参考にして下さい。
中学1年:植物の世界(花のつくりとはたらき,葉・茎・根のつくりとはたらき,植物の分類)
中学2年:動物の生活と生物の変遷(生物と細胞,動物のからだのつくりとはたらき,動物の分類,生物の変遷と進化)
中学3年:生命の連続性(生物の成長と生殖,遺伝の規則性と遺伝子)
☆ 各項目について,もっとも当てはまるものを一つ選び○をつけるか,記入をしてください。ご協力よろしくお願いいたします。
そう思う
どちらかと いえば そう思う
どちらかと いえば そう思わない
そう思わない
① …………
② …………
③ …………
④ …………
⑤ …………
⑥ …………
⑦ …………
⑧ …………
⑨ …………
⑩ …………
⑪ …………
⑫ …………
⑬ …………
⑭
…………
…………
⑮ …………
⑯
⑰ …………
⑱ …………
⑲ …………
以下に示す理科の探究の過程を,得意なものから順に並べて,ア~キの記号で( )に記入して下さい。
(ア)課題を設定する (イ)予想・仮説を設定する (ウ)実験計画をたてる (エ)観察・実験をする (オ)結果を表やグラフにする (カ)考察・推論をする (キ)自分の考えを書いたり発表したりする
※得意なものから
順に並べる 得意←( )-( )-( )-( )-( )-( )-( )→不得意 理科の授業で実験・観察をするときに,探究の過程(⑯のア→キ)をふまえるようにしている。
理科の実験・観察以外の授業のときに,探究の過程(⑯のア→キ)をふまえるようにしている。
理科の授業で,グループで話し合いをすることは好きである。
⑲の回答の理由を記入してください。
理科の生物分野の学習で,自分の考えを人に伝える力がつく。
理科の生物分野の学習は好きである。
①の回答の理由を記入してください。
理科の生物分野の学習は得意である。
理科の生物分野の実験や観察は好きだ。
理科の生物分野の授業で,わざわざ実験をしなくても,結果を教えてくれれば良い。
理科の生物分野を学ぶことは,受験に関係なくても大切だ。
理科の生物分野の学習は,自分の普段の生活や社会に出て役立つ。
理科の生物分野の授業で,その時間の学習課題をもとに見通しをもって学習している。
理科の生物分野の授業に,主体的に取り組んでいる。
理科の生物分野の学習で,疑問を解決したり予想を確かめる力がつく。
将来,理科の生物分野の学習を生かした仕事をしたい。
理科の生物分野の授業で,グループで話し合いをすると,自分の考えが深まる。
理科の生物分野の授業で,クラスで話し合いをすると,自分の考えが深まる。
理科の生物分野に興味がある。
⑬で,「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた人は回答して下さい。
・理科の生物分野について興味があることを自分で調べたり学習したりしている。
・理科の生物分野について興味があることを自分で調べたり学習するための時間が無い。
参考資料2
理科に関する調査 年 組 ( )番 氏名 平成29年 4月
☆
氏名を公表することはありません。
☆ 各項目について,もっとも当てはまるものを一つ選び,○をつけてください。ご協力よろしくお願いいたします。
※ 設問の内容は,すべて,理科の授業や学習について答えて下さい。
そう思う
どちらかと いえば そう思う
どちらかと いえば そう思わない
そう思わない
…………
法則や公式はできるだけ多く覚えようとしている。 …………
複雑な物事を考える際,できるだけ単純な形にまとめようとしている。 …………
様々な事例に当てはまる規則性を考えるようにしている。 …………
公式が成り立つ理由を考えるよりも,どのように使うかが重要だと思う。 …………
問題の意味を理解することに時間をかけている。 …………
物事の仕組みやメカニズムを理解しようとしている。 …………
自然や社会の現象がなぜ起きるのかを考えようとしている。 …………
解き方が分からない問題でも,いろいろな知識を用いて考えようとしている。 …………
ある事柄と別の事柄の共通点を探している。 …………
ある法則や公式がなぜ成り立つのかを考えようとしている。 …………
学習を進める中で,関係しそうなさまざまな情報を集めている。 …………
学習している内容を,人や社会と関連づけて考えている。 …………
難しいことでもあきらめずに考えようとしている。 …………
問題ごとに1つの解決法を覚えるようにしている。 …………
暗記を中心にした学習をしている。 …………
なぜそのようになるのかをいつも考えるようにしている。 …………
1つの問題に対していろいろな解決法を考えている。 …………
自分が導き出した答えが問題の趣旨に合っているか考えている。 …………
1つの問題に対して時間をかけて考えるようにしている。 …………
いろいろな知識を組み合わせて課題の解決法を考えるようにしている。 …………
学習している単元と他の単元を関連づけて学習している。 …………
※ 裏に続きます
この調査は,三浦の授業をよりよくすることを目的として実施するものです。成績には関係しませんので安心して答えてください。
現代の社会で起きている問題が学習した内容でどのように説明できるかを考えている。
※ 設問の内容は,すべて,
理科の授業や学習について
答えて下さい。そう思う
どちらかと いえば そう思う
どちらかと いえば そう思わない
そう思わない
言葉だけでなく,図表や資料を用いて説明するようにしている。 …………
自分がなぜそのように考えたかを相手に話すようにしている。 …………
調べた事柄を,見聞きしたままの言葉を使って話すようにしている。 …………
相手が分かっているかどうかを確かめながら話している。 …………
具体例や根拠を示して説明している。 …………
理解した内容を,自分の言葉で相手に伝えている。 …………
考えた解決法を自分なりの言葉で説明できる。 …………
書いてある言葉をそのまま使って答えるようにしている。 …………
導き出した解決法のアイデア,道筋を人に教えることができる。 …………
自分の考えた解き方を友達に説明している。 …………
相手の知識や理解度を意識しながら説明している。 …………
友達の考えの良いところを自分の考えに生かすようにしている。 …………
いろいろな考えを出し合いながら自分たちの解決法を導こうとしている。 …………
友達の様々な考えを参考にしながら自分の意見をまとめている。 …………
自分自身の意見を中心にして話し合いを進めるようにしている。 …………
自分や友達の考えた解決法について話し合うようにしている。 …………
友達と一緒に考えることを大切にしている。 …………
自分と違う意見でも,必ずその内容を理解しようとしている。 …………
同じテーマについて考えている人と,協力しながら学習している。 …………
様々な意見の共通点について話し合っている。 …………
様々な意見の相違点について話し合っている。 …………
自分と異なる意見であっても,なぜそのように考えたのか理解しようとしている。 …………
ご協力ありがとうございました。