宮城教育大学機関リポジトリ
重症心身障害児(者)の家族に対する成年後見申立て の支援―成年後見制度の利用が将来見込まれる重度
・重複障害児の保護者に対する支援の示唆―
著者 菊池 紀彦, 八島 猛, 内田 愛, 郷右近 歩, 平野 幹雄, 野口 和人
雑誌名 宮城教育大学特別支援教育総合研究センター研究紀
要
号 2
ページ 38‑48
発行年 2007‑03
URL http://id.nii.ac.jp/1138/00000684/
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止
http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja
く研究報告〉
重症心身障害児(者)の家族に対する成年後見申立ての支援
成年後見制度の利用が将来見込まれる
重度・重複障害児の保護者に対する支援の示唆
菊 池 紀 彦 ( 独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 西 多 賀 病 院 ) 八島 猛 ( 独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 西 多 賀 病 院 ) 内田 愛 ( 東 北 大 学 大 学 院 教 育 情 報 学 教 育 部 ) 郷 右 近 歩 ( 東 北 大 学 大 学 院 教 育 学 研 究 科 )
平野 幹雄(東北文化学園大学・宮城教育大学特別支援教育総合研究センター)
野口 和 人 ( 宮 城 教 育 大 学 ・ 同 特 別 支 援 教 育 総 合 研 究 セ ン タ ー )
要約
重 症 心 身 障 害 児 ( 者 ) の 家 族
78名 に 対 す る 成 年 後 見 集 団 申 立 て の 経 過 か ら 、 彼 ら が 後 見 制 度 を 利 用 す る 場 合 の 支 援 の あ り 方 に つ い て 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 集 団 申 立 て
を行う施設と関係諸機関との連携により、短期間に
62名の後見人が選任されたものの、
60歳 以 上 の 高 齢 の 親 が 33名 含 ま れ て い た 。 近 い 将 来 、 親 の 逝 去 や 意 思 能 力 の 低 下 に
よ り 後 見 人 の 職 務 を 果 た す こ と が 不 可 能 と な る 場 合 が 想 定 さ れ る た め 、 重 症 児 ( 者 ) の 兄 弟 や 民 間 機 関 な ど の 第 三 者 後 見 人 を 加 え た 複 数 後 見 の 利 用 に 向 け た 支 援 が 早 急 に 必 要 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 ま た 、 家 族 の な か に は 重 症 児 { 者 ) ら の 施 設 入 所 の 継 続 を 可 能 と す る た め だ け に 今 回 の 集 団 申 立 て に 参 加 し た 者 も 含 ま れ て い る 可 能 性 が あ り 、 後 見 制 度 と 後 見 人 の 職 務 に つ い て 改 め て 家 族 に 啓 発 を 行 う 必 要 が あ る こ と も 示 唆 された
oこ れ ら を 踏 ま え 、 重 度 ・ 重 複 障 害 児 が 学 校 を 卒 業 し て
2年 後 に 成 人 を 迎 え る ことを考慮、した場合、彼らの保護者に対し学校在学中から後見制度と後見人の職務に ついて啓発を行う必要があることを指摘した。
1 .問題と目的
障 害 者 自 立 支 援 法 ( 以 下 、 自 立 支 援 法 と す る ) の 施 行
(2006年
4月 ) と と も に 、 知 的 障 害 者 に 対 す る 成 年 後 見 制 度 利 用 ( 以 下 、 後 見 制 度 と す る ) へ の 関 心 が 高 ま り つ つ ある(松友,
2006)。 こ れ は 、 支 援 費 制 度 の 施 行
(2003年
4月 ) に 端 を 発 し て い る 。 す な わ ち 、 厚 生 労 働 省 は 、 福 祉 サ ー ビ ス を 従 来 の 「 行 政 手 続 き に よ る 措 置
jから 「 利 用 者 と 事 業 者 と の 直 接 契 約 J へ と 切 り 替 え る こ と に 伴 い 、 契 約 を 円 滑 に 行 う た め の 後 見 制 度 利 用 の 支 援 施 策 を 打 ち 出 し た ( 全 国 高 齢 者 保 健 福 祉 ・ 介 護 保 険 関 係 主 管 課 長 会 議 ,
‑38‑
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古川 I/ wu qu vJ Fβ MF
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2002;
障害保健福祉主管課長会議,
2002)。 こ れ と 呼 応 す る よ う に 、 支 援 費 制 度 に 関 連 す る 書 籍 に お い て 、 知 的 障 害 者 の 後 見 制 度 の 利 用 を 勧 め る 記 述 が み ら れ る よ う に な り
(たとえば、全国社会福祉協議会,
2002;峰島・白沢・塩見・多田,
2003)、成年後見申 立 て ( 以 下 、 申 立 て と す る ) を 実 際 に 行 っ た 事 例 の 報 告 ( 加 藤
2004)や 、 事 業 者 の 立 場 か ら 後 見 制 度 の 利 用 を 勧 め る 報 告 ( 奥 野
2001:柴田
2002)もなされてきた
Dし かしながら、厚生労働省は、「後見制度の十分な活用、普及が図られるまでの聞は、利 用 者 の 意 思 を ふ ま え る こ と を 前 提 に 、 本 人 が 信 頼 す る 者 が 本 人 に 代 わ っ て 契 約 を 行 う
こともやむを得ない。 J (支援費制度
Q&A集 ,
2002)と の 見 解 を 一 方 で 示 し て お り 、 後 見 制 度 の 利 用 を 必 ず し も 積 極 的 に 推 進 し て い る と は 言 い 難 か っ た 。 実 際 の と こ ろ 、 申 立 て 手 続 き の 煩 雑 さ と 申 立 て に か か る 費 用 の 問 題 、 第 三 者 後 見 人 ( 専 門 職 後 見 人 ) の 拡 充 の 問 題 な ど 、 後 見 制 度 自 体 に 問 題 が あ る と い う 指 摘 ( 池 原 ,
2000;新井,
2005;古 井 ,
2005)や 、 知 的 障 害 者 の 家 族 が 後 見 制 度 を 利 用 す る こ と へ の 認 識 が 不 足 し て い る (細川,
2004)と い う 指 摘 も あ り 、 ま た 、 事 業 者 側 で も 後 見 制 度 が 抱 え て い る こ う し た問題を批判することにより、成年後見人(以下、後見人とする)との契約を回避し、
保護者と契約してきたという実情もある(古井,
2005)。 さ ら に は 、 知 的 障 害 者 な ど 多 人 数 を 抱 え る 大 型 施 設 な ど の 場 合 、 一 度 に 多 数 の 申 立 て が 行 わ れ る と 諸 機 関 が 混 乱 す る可能性がある(加藤,
2004)と も 指 摘 さ れ て い た 。 以 上 の こ と か ら 、 支 援 費 制 度 施 行 以 来 、 知 的 障 害 者 へ の 後 見 制 度 の 利 用 は 積 極 的 に 行 わ れ て こ な か っ た
oところが、第
162回 国 会
(2005年
4月 ) に お い て 、 高 齢 者 及 び 障 害 者 の 自 己 決 定 の 支 援 に 関 す る 質 問 主 意 書 ( 第
162回 国 会 質 問 第 44号)が提出され、答弁(第
162回国 会 答 弁 第
44号)が行われた。その答弁において、「意思無能力の知的障害者の親族が、
代 理 権 が な い に も か か わ ら ず 知 的 障 害 者 更 正 施 設 と サ ー ビ ス 利 用 契 約 を 締 結 し た 場 合 は 、 本 人 の 有 効 な 追 認 が な い 限 り 、 契 約 と し て 有 効 と な ら な い
jこと、「知的障害者の 代 理 人 を 、 後 見 制 度 等 に よ り 選 任 し た 場 合 は 、 契 約 と し て 有 効 と な る J こ と が 示 さ れ た 。 つ ま り 、 知 的 障 害 者 が 福 祉 サ ー ビ ス を 利 用 す る た め に は 、 後 見 制 度 の 利 用 が 必 須 と な る こ と が 示 さ れ た 。 こ う し た 政 府 の 見 解 に 基 づ け ば 、 先 述 し た よ う な 後 見 制 度 の 利 用 に 関 す る 種 々 の 問 題 を 抱 え な が ら も 、 知 的 障 害 者 の 家 族 に よ る 申 立 て が 今 後 ま す ます増加していくことが想定される。
筆者らは、
2006年 4月 よ り 重 症 心 身 障 害 児 ( 者 ) (以下、重症児(者)とする)の家 族 に 対 し 、 「 成 年 後 見 集 団 申 立 て ( 以 下 、 集 団 申 立 て と す る )
Jを 支 援 し て き た 。 周 知 の よ う に 、 重 症 児 ( 者 ) は 「 事 理 を 弁 識 す る 能 力 に 欠 く 常 況 J(社団法人日本社会福 祉士会,
2004)に あ る 。 そ の た め 、 障 害 者 自 立 支 援 法 施 行 に 伴 い 、 入 所 者 と 事 業 者 と の サ ー ビ ス 利 用 契 約 を 有 効 と す る た め に 、 未 成 年 に つ い て は 彼 ら の 保 護 者 と 、 成 年 に つ い て は 彼 ら の 後 見 人 と サ ー ビ ス 利 用 契 約 を 締 結 す る 必 要 が 生 じ た 。
2006年 10月まで に は 大 半 の 家 族 が 重 症 児 ( 者 ) の 後 見 人 に 選 任 さ れ た も の の 、 集 団 申 立 て を 支 援 す
‑39ー
る過程において、「重症児(者)の家族が行方不明であるため、申立てをすることが困 難である
oJと い う 問 題 や 、 「 重 症 児 ( 者 ) の 家 族 が 協 力 的 で な い た め 、 申 立 て の 申 請 書 類 が 提 出 期 限 に 間 に 合 わ な い 恐 れ が あ る J と い う 問 題 な ど が 生 じ 、 さ ま ざ ま な 対 応 を 迫 ら れ た 。 本 稿 で は 、 こ う し た 経 過 を 整 理 し た 上 で 、 重 症 児 ( 者 ) の 家 族 が 後 見 制 度 を 利 用 す る 場 合 の 支 援 の あ り 方 に つ い て 検 討 し た 。 さ ら に こ れ ら の 検 討 を 踏 ま え 、 後 見 制 度 の 利 用 が 将 来 見 込 ま れ る 重 度 ・ 重 複 障 害 児 の 保 護 者 に 対 す る 支 援 に つ い て 考 察を行った。
n . 方 法 1.対象者
筆 者 ら が 勤 務 す る 病 院 の 重 症 児 ( 者 ) 病 棟 に 入 所 す る 重 症 児 ( 者 ) の 家 族
78名を 対 象 と し た 。 当 院 に 入 所 す る 重 症 児 ( 者 ) の 総 数 は
79名 で あ る が 、 こ の う ち の 一 人 は 遺 児 で あ り 、 障 害 者 自 立 支 援 法 施 行
(2006年 10月 1日 ) 以 降 も 措 置 継 続 と な る こ とが 児 童 相 談 所 に よ り 決 定 さ れ て い た
oちなみに、
2006年 10月
1日 以 降 は 、 年 齢 を 問 わ ず 原 則 と し て 措 置 制 度 か ら 契 約 制度 へ と 移 行 す る こ と と な っ た が 、 例 外 と し て 措 置 継 続 の 場 合 も あ り 、 そ の 事 由 に は 以 下の
3点 が 挙 げ ら れ て い る 。 す な わ ち 、 ① 保 護 者 が 不 在 で あ る こ と が 認 め ら れ 利 用 契 約 の 締 結 が 困 難 な 場 合 、 ② 保 護 者 が 精 神 疾 患 等 の 理 由 に よ り 制 限 行 為 能 力 者 文 は こ れ に 準 ず る 状 態 に あ る 場 合 、 ③ 保 護 者 の 虐 待 等 に よ り 、 入 所 が 必 要 で あ る に も か か わ ら ず 利 用 契 約 の 締 結 が 困 難 と 認 め ら れ る 場 合 、 で あ る
o2.
方 法
2006
年
4月から 2006年
10月 ま で 、 重 症 児 ( 者 ) の 家 族 の 集 団 申 立 て を 支 援 す る た め に 、 病 院 が 関 係 諸 機 関 と ど の よ う な 連 携 を 図 っ て き た の か に つ い て 、 そ の 経 過 を 整 理した。また、
2006年
10月 1日 時 点 に お け る 、 重 症 児 ( 者 ) の 家 族 が 選 択 し た サ ービ ス 利 用 形 態 を 整 理 す る と と も に 、 そ の サ ー ビ ス 利 用 形 態 を 選 択 し た 経 過 に つ い て 記 述 し た
om . 結 果
ま ず 、 病 院 が 関 係 諸 機 関 と ど の よ う な 連 携 を 図 っ て き た の か に つ い て 、 そ の 経 過 を 整 理 し た
(TableI)。後見制度は、
2006年
4月 に 開 催 さ れ た 重 症 児 ( 者 ) の 家 族 会 ( 以
下、親の会とする)の年次総会で話題となった。すなわち、重症児(者)に対し、
2006年
10月 に 自 立 支 援 法 が 施 行 さ れ る こ と 、 そ れ に 伴 い サ ー ビ ス 利 用 契 約 の 締 結 が 必 要 と
‑40‑
な る こ と 、 彼 ら は 「 事 理 を 弁 識 す る 能 力 に 欠 く 常 況 J (社団法人日本社会福祉士会,
2004)
に あ る た め 、 契 約 を 有 効 と す る に は 後 見 人 と の 契 約 が 必 要 で あ る こ と 、 が 確 認 さ れ た 。 病 院 は 親 の 会 か ら 集 団 申 立 て の 支 援 を 要 請 さ れ た 。 個 々 の 家 族 が 申 立 て を 行 う こ と に 不 安 が あ る と の 理 由 か ら で あ っ た
o則 一 一 一 一
5月 1 7日
6月
12日
6月 中 旬 か ら 7月 下 旬
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成 年 後 見 集 団 申 立 て に お け る 関 係 諸 機 関 と の 連 携 と そ の 経 過 経 過
親 の 会 年 次 総 会 に お い て 、 成 年 後 見 制 度 の 話 題 が 出 る 親 の 会 か ら 成 年 後 見 集 団 申 立 て の 支 援 を 要 請 さ れ る 家 庭 裁 判 所 を 訪 問 し 、 成 年 後 見 集 団 申 立 て の 了 解 を 得 る
病 院 を 会 場 と し て 、 家 庭 裁 判 所 職 員 が 家 族 に 対 し 成 年 後 見 制 度 の 説 明 会 を 実 施
家 族 が 成 年 後 見 申 立 て の 番 類 を 記 入 、 職 員 は 書 類 記 入 を 援 助
申 立 て が 困 難 な 者 に つ い て は 、 児 童 相 談 所 に 報 告 し 、 措 置 の 継 続 が 決 定 病 院 が 申 立 て 書 類 を 一 括 管 理 し 、 家 庭 裁 判 所 に 書 類 を 提 出
家 庭 裁 判 所 に よ り 第
1班
(20名 ) の 後 見 人 候 補 者 調 査 の 実 施第
1班 の 後 見 人 候 補 者 へ の 審 判
第 l班 の 成 年 後 見 人 が 確 定
家 庭 裁 判 所 に よ り 第
2班
(20名 ) の 後 見 人 候 補 者 調 査 の 実 施第
2班 の 後 見 人 候 補 者 へ の 審 判
事 業 者 と 利 用 者 の サ ー ビ ス 利 用 契 約 を 締 結
(9月
25日まで) 第
2班 の 成 年 後 見 人 が 確 定
家 庭 裁 判 所 に よ り 第
3班
(22名 ) の 後 見 人 候 補 者 調 査 の 実 施 第
3班 の 後 見 人 候 補 者 へ の 審 判
第
3斑 の 成 年 後 見 人 が 確 定
筆 者 ら 病 院 職 員 と 親 の 会 役 員 が 家 庭 裁 判 所 を 訪 問
(2006年
5月 ) し 、 集 団 申 立 て の 可 否 に つ い て 相 談 し た 。 そ の 結 果 、 相 談 に 対 応 し た 書 記 官 と 調 査 官 か ら 、 重 症 児 ( 者 ) の 家 族 の 集 団 申 立 て に 協 力 す る と い う 了 解 を 得 た 。 さ ら に 、 家 庭 裁 判 所 に 対 し 、 重 症 児 ( 者 ) の 療 育 手 帳 の 呈 示 や 病 院 が 所 有 す る 彼 ら の 情 報 を 提 供 す る こ と に よ り 、 申 立 て に お い て 通 常 必 要 と さ れ る 被 後 見 人 ( こ の 場 合 は 、 重 症 児 ( 者 )) の 精 神 鑑 定 書 や 調 査を省略するとの回答を得た。
2006
年
6月 に 、 家 庭 裁 判 所 の 書 記 官 と 調 査 官 が 来 院 し 、 家 族 に 対 し 集 団 申 立 て の 説 明 会 を 行 っ た 。 説 明 会 終 了 後 、 参 加 し た 家 族 に 申 立 て 書 類 一 式 が 手 渡 さ れ た
o都 合 に よ り 説 明 会 に 参 加 で き な か っ た 家 族 は 、 後 日 家 庭 裁 判 所 に お い て 申 立 て の 説 明 を 受 け た
o病 院 職 員 は 申 立 て 書 類 の 記 入 の 援 助 、 確 認 を 行 っ た 。 ま た 、 病 院 は 、 家 族 が 記 入 し た 申 立 て 書 類 を 一 括 で 管 理 し 、 後 日 家 庭 裁 判 所 に 書 類 を 提 出 し た 。 最 終 的 に
78名 の 家族のうち、
62名 の 家 族 が 後 見 人 候 補 者 と し て 申 立 て を 行 っ た 。 そ の ほ か の
16名 の 家 族 に つ い て は 、 入 所 者 が 未 成 年 で あ っ た こ と
(9名)、児童相談所により入所者の措 置 継 続 が 決 定 し て い た こ と
(2名)、入所者の後見人がすでに選任されていたこと
(5名)、により申立てを行わなかった。
家 庭 裁 判 所 は 、 申 立 て を 行 っ た
62名 の 後 見 人 候 補 者 を
3班に分け、
2006年
7月 下
‑41‑
旬 よ り 、 彼 ら の 調 査 、 審 判 を 行 っ た 。
62名 全 員 が 後 見 人 と し て 選 任 さ れ た の は 2006年
10月
21日 で あ っ た 。 な お 、 病 院 と 保 護 者 あ る い は 後 見 人 と の サ ー ビ ス 利 用 契 約 は
2006年
9月
19日から 9月
25日 に 行 わ れ たoそ の 時 点 で 第
3班 の
22名 は 後 見 人 に 選 任 さ れ て い な か っ た が 、 後 見 人 候 補 者 と し て 契 約 が 締 結 さ れ た
o次に、
2006年
10月
1日 時 点 ( 重 症 児 ( 者 ) に 対 す る 自 立 支 援 法 の 施 行 ) に お け る 、重 症 児 ( 者 ) の 家 族 が 選 択 し た サ ー ビ ス 利 用 形 態 を 分 類
(Table2・
1)するとともに、
そ の サ ー ビ ス 利 用 形 態 を 選 択 し た 経 過 に つ い て 整 理 し た 。 当 院 の 重 症 児 ( 者 ) 病 棟 に 入 所 す る 重 症 児 ( 者 ) の 家 族
78名 は 、 サ ー ビ ス 利 用 形 態 別 に 、
a)児 童 相 談 所 が 措 置 継 続 を 決 定 し た 群 ( 以 下 、 措 置 継 続 の 群 と す る ) 、
b)重 症 児 ( 者 ) に 後 見 人 が 選 任 さ れ 、 後 見 人 と 病 院 が サ ー ビ ス 利 用 契 約 を 締 結 し た 群 ( 以 下 、 後 見 人 と 契 約 の 群 と す る ) 、
c)重 症 児 ( 者 ) が 未 成 年 の た め 、 彼 ら の 保 護 者 と 病 院 が サ ー ビ ス 利 用 契 約 を 締 結 し た 群
( 以 下 、 保 護 者 と 契 約 の 群 と す る ) 、 に 大 別 さ れ た 。 ま た 、
b)後 見 人 と 契 約 の 群 は 、 集 団 申 立 て の 経 過 に よ り 、 さ ら に 、
b)ー ① 家 族 が 後 見 人 候 補 者 と し て 申 立 て を 行 い 、 円 滑 に 後 見 人 に 選 任 さ れ た 群 ( 以 下 、 円 滑 に 後 見 人 が 選 任 さ れ た 群 と す る ) と 、
b)・②当初、
家 族 が 申 立 て に 難 色 を 示 し た も の の 、 病 院 や 裁 判 所 な ど の 説 得 に よ り 申 立 て を 行 い 後 見 人 に 選 任 さ れ た 群 ( 以 下 、 申 立 て に 難 色 を 示 し た 群 と す る ) 、
b)・③今回の申立て 以 前 に 後 見 人 が 選 任 さ れ て い た 群 ( 以 下 、 既 に 後 見 人 が 選 任 さ れ て い た 群 ) 、 に 分 け ら れ た
oTable2
・
1 2006年
10月
1日 時 点 に お け る 施 設 サ ー ビ ス 利 用 形 態 の 内 訳入 所 者 の 年 齢 内 訳 来 成 年 i 成 年
家 族 が 選 択 し た 施 設 サ ー ビ ス 利 用 の 形 態
a):
措 置 継 続 の 群 人※
1: 4人※
2b):
後 見 人 と 契 約 の 群
│ j65人
b)
・ ① 円 滑 に 後 見 人 が 選 任 さ れ た 群
(50人)b)
・ ② 申 立 て に 難 色 を 示 し た 群
│ ) (10人) b)・ ③ 既 に 後 見 人 が 選 任 さ れ て い た 群 ,‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑1‑‑‑‑‑‑(‑‑5人)
c):
保 護 者 と 契 約 の 群
8人
※
1: 管 轄 児 童 相 談 所 の 方 針 に よ り 当 面 措 置 継 続 と な っ た 。
※
2:措 置 継 続 の
5名中、
2名 に つ い て は 、 成 年 後 見 申 立 て が 円 滑 に 行 わ れ 、 後 見 人 に 選 任 さ れ た 。 し か し な が ら 、 管 轄 児 童 相 談 所 の 方 針 に よ り 当 面 措 置 継 続 と な っ た 。
5
名 の 家 族 に 対 し 、 児 童 相 談 所 に よ り 入 所 者 の 措 置 継 続 が 決 定 さ れ た 。 そ の う ち 、
3名 の 家 族 は 集 団 申 立 て に 参 加 し て い な か っ た 。 そ の 理 由 に は 、 入 所 者 が 未 成 年 で あ っ た こ と 、 家 族 が 行 方 不 明 の た め 申 立 て を 行 わ な か っ た こ と 、 唯 一 の 保 護 者 ( 父 ) が 難 病 に 擢 患 し て お り 申 立 て が き わ め て 困 難 で あ っ た こ と 、 が 挙 げ ら れ た 。 難 病 に 擢 息 し て い る 保 護 者 に つ い て は 、 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー の 介 入 を 受 け な が ら 生 活 を し て い た 。 そ の た め 、 申 立 て の 可 否 に つ い て は 、 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー を は じ め 、 家 庭 裁 判 所 、 児 童 相 談 所 、 民 生 委 員 、 役 所 の 高 齢 福 祉 課 の 職 員 と 協 議 を 重 ね て き た 。 結 果 、 家 庭 裁
‑42ー
判 所 に よ り 申 立 て が 困 難 で あ る と 判 断 さ れ 、 児 童 相 談 所 が 措 置 継 続 を 決 定 し た 。
52名 の 家 族 が 後 見 人 候 補 者 と し て 申 立 て を 行 い 、 円 滑 に 後 見 人 に 選 任 さ れ た 。 そ の うち
50名 の 後 見 人 が 病 院 と の サ ー ビ ス 利 用 契 約 を 締 結 し た 。
2名の後見人については、
管 轄 児 童 相 談 所 の 方 針 に よ り 当 面 の 措 置 継 続 が 決 定 さ れ た た め 、 病 院 と の サ ー ビ ス 利 用 契 約 を 締 結 し な か っ た 。 病 院 と の サ ー ビ ス 利 用 契 約 を 締 結 し た 後 見 人 の 年 齢 構 成 は 、
30歳 代 が
1名、
40歳 代 が
5名、
50歳 代 が
14名、
60歳 代 が
16名、
70歳 代 が
10名、
(Table2
・
2)0後 見 人 の 最 高 年 齢 は
83歳 で あ っ た が 、 養 護 老 80歳 以 上 が
4名 で あ っ た
人 ホ ー ム に 入 所 中 の
82歳 の 母 親 が 後 見 人 に 選 任 さ れ て い る 事 例 も あ っ た 。
10
名 の 家 族 に つ い て は 、 病 院 や 家 庭 裁 判 所 か ら の 連 絡 に 対 し 、 「 仕 事 が 忙 し い J、「迷 し か し な が ら 、 病 院 や 家 庭 裁 判 な ど の 理 由 に よ り 申 立 て に 難 色 を 示 し て い た
o惑 だ
J所 な ど の 説 得 に よ り 申 立 て を 行 い 、 後 見 人 に 選 任 さ れ た 。
10名中、
8名 の 後 見 人 が 重 そ の 兄 弟 な ど で あ っ た 。 彼 ら の 大 半 は 、 普 段 か ら 病 棟 に 面 の親ではなく、
症 児 ( 者 )
の両親や兄弟が不在のため、
こ う し た 事 例
決 定 さ れ る ま で 申 立 て が で き な い と い う 事 例 も あ っ た 。
保 護 者 お よ び 後 見 人 の 年 齢 構 成 と 続 柄 の 内 訳
60歳 代 70
歳 代
80歳
30歳 代
40歳 代
50歳 代
家 族 が 選 択 し た 以 上 施 設 サ ー ビ ス 利 用 の 形 態
親 : 他 親 他 親 : 他 親 : 他 親 : 他 親 : 他
l
※ . . .
'
1※
l. .
a):
措 置 継 続 の 群 . ' ' '
2. . . . . ' . . . .
b):
後 見 人 と 契 約 の 群 .
'
.
a
. .
目.
'
. . .
b)
・①円滑に後見人が '
13; 3 9 : 3 : 1; 4 6 8
選 任 さ れ た 群 . . . . . . . ・ . ー ・ ー ー ー ー ・ . . .
4
・ ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ・
4・ ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ‑ . . ・ ー ー ー ー ー ー
ー ー ‑ ‑ ‑ ‑ . . ・ ・ ー ー ー ー ー ー ー ー ー ・
4・ ー ー ー ー ー .
b)
・②申立てに難色を . . .
3
.
5
. .
. . .
示 し た 群 . .
' .
. ー ー ー ー ー
̲ Jー
. ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ̲
J̲ー ー ー ー ー
---~---ー ー ー ー ・ ー ー ー ・ i ‑ ‑ ー ー ー ー
‑‑‑‑‑‑‑:‑‑‑‑‑‑ー ー ー ー ̲
̲J̲ー ー ー ー ー
b)
・③既に後見人が .
2
.
. . .
選 任 さ れ て い た 群 . . ' . . . . . . . . . ' . . . . . . .
c):
保 護 者 と 契 約 の 群
3. .
3 2 :. . . . . . .
ま た 、 重 症 児 ( 者 )
申 立 て 可 能 な
4親 等 内 の 親 族 は 従 兄 弟 の み で あ る と い う 事 例 も あ っ た
oに つ い て は 、 児 童 相 談 所 や 市 町 村 保 健 福 祉 事 務 所 に 協 力 を 依 頼 し 、 従 兄 弟 か ら 申 立 て の 了 解 を 得 る こ と が で き た 。 さ ら に 、 病 院 職 員 が 戸 籍 謄 本 な ど 申 立 て に 必 要 な 書 類 を 代 行 し て 取 り 寄 せ た と い う 事 例 や 、 後 見 人 候 補 者 が 自 己 破 産 手 続 き 中 で あ り 、 免 責 が
Table2‑2
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会 に 訪 れ る よ う な こ と が な か っ た 。
※1
:いずれも円滑に申立てが行われ、後見人に選任されたが、管轄児童相談所の方針により当面 措 置 継 続 と な っ た
‑43ー
4 2 7
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w . 考 察
重 症 児 ( 者 ) の 家 族 に 対 す る 集 団 申 立 て の 支 援 が 行 わ れ 、
2006年
8月 か ら
2006年
10月 下 旬 ま で に 62名 の 後 見 人 が 選 任 さ れ た 。 ま た 、 障 害 者 自 立 支 援 法 施 行 時 に お けの 家 族 が 選 択 し た サ ー ビ ス 利 用 形 態 は 、
a)措置継続の群、
b)後 見 人 と 契約の群、
c)保 護 者 と 契 約 の 群 に 大 別 さ れ た 。
b)後 見 人 と 契 約 の 群 に つ い て は 、 集 団 申 立 て の 経 過 の 内 容 に よ り 、 さ ら に 、
b)ー①円滑に後見人が選任された群、
b)・②申立て に難色を示した群、
b)ー ③ 既 に 後 見 人 が 選 任 さ れ て い た 群 、 に 分 け ら れ た
o以下では、
こ れ ら の 知 見 を も と に 若 干 の 考 察 を 行 う こ と と す る
oま ず 、 き わ め て 短 期 間 に
62名 の 後 見 人 が 選 任 さ れ た こ と 自 体 、 大 き な 意 義 が あ っ た と思われる
o今 回 の 集 団 申 立 て は 、 家 庭 裁 判 所 や 児 童 相 談 所 な ど の 行 政 機 関 と の 連 携 の も と に 行 わ れ 、 大 半 の 家 族 が 円 滑 に 後 見 人 に 選 任 さ れ た 。 ま た 、 申 立 て が き わ め て 困 難 と 想 定 さ れ る 重 症 児 ( 者 ) ら の 措 置 継 続 の 決 定 や 、 申 立 て に 難 色 を 示 し た 家 族 へ の 説 得 に は 、 上 述 し た 行 政 機 関 に 加 え 、 必 要 に 応 じ て 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー な ど の 民 問 機 関 と の 連 携 も 行 わ れ て い た
oこ の こ と は 、 集 団 申 立 て を 行 う 施 設 が 中 心 と な り 、 関 係 諸 機 関 と 事 前 に 情 報 交 換 を す る こ と や 、 関 係 機 関 同 士 の 連 絡 ・ 調 整 に 配 慮 さ え す れ ば 、 集 団 申 立 て に よ る 後 見 人 の 選 任 は 十 分 に 可 能 で あ る こ と を 示 唆 し て い る
oる 重 症 児 ( 者 )
た だ し 、 今 回 の 集 団 申 立 て に お い て 選 任 さ れ た
62名の後見人には、
60歳 以 上 の 高 齢 の 親 が
33名 含 ま れ て い た (Table2・
2)。特に、
b)ー ① 円 滑 に 後 見 人 が 選 任 さ れ た 群 に お い て 、 後 見 人 に 選 任 さ れ た
60歳 以 上 の 高 齢 の 親 は
25名であり、その内訳は、
60歳 代 が
13名、
70歳 代 が
9名、
80歳 以 上 が
3名 で あ っ た
oそ の な か に は 、 養 護 老 人 ホ ー ム に 入 所 中 の
82歳 の 母 親 が 後 見 人 に 選 任 さ れ て い る 事 例 も あ っ た 。 重 症 児 ( 者 ) と そ の 保 護 者 の 高 齢 化 に つ い て は 、 八 島 ・ 菊 池 ・ 郷 右 近 ・ 室 田 ・ 野 口 ・ 平 野
述 し た
o日 本 人 の 平 均 寿 命 ( 男 性 が
78.53年 、 女 性 が
85. 4
9年) (厚生労働省大臣官房 統計情報部,
2005)か ら 勘 案 す れ ば 、 重 症 児 ( 者 ) の 体 調 が 急 激 に 悪 化 し な い 限 り 、 彼 ら よ り も 先 に 親 が 死 を 迎 え る 可 能 性 が 高 い と 思 わ れ る 。 ま た 、 親 が 死 を 迎 え る 前 に 意 思 能 力 の 低 下 に よ り 後 見 人 の 職 務 を 果 た す こ と が 不 可 能 と な る 場 合 も 考 え ら れ よ う
o(2006)
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そ の た め 、 今 後 近 い 将 来 に 重 症 児 ( 者 )
と が 想 定 さ れ 、 彼 ら の 兄 弟 を 後 見 人 に 選 任 す る こ と や 、 親 以 外 に 身 寄 り が 無 い 場 合 は 第 三 者 後 見 人 を 選 任 す る 必 要 も 考 え ら れ る
oこ う し た 事 情 に つ い て は 、 誰 よ り も 親 自 身 が 認 識 し て お り 、 彼 ら の 将 来 の 生 活 に 関 す る 不 安 を 抱 え て い る も の と 恩 わ れ る 。 後 見 人 が 選 任 さ れ て 間 も な い 時 期 で は あ る が 、 親 が 抱 え て い る 不 安 を 軽 減 す る た め に も 、 後 見 人 の 職 務 を 親 か ら 兄 弟 、 あ る い は 第 三 者 へ と 段 階 的 に 移 行 す る た め の 支 援 を 早 急 の 後 見 人 を 再 び 選 任 す る 必 要 が 生 じ て く る こ
に 検 討 す る 必 要 が あ る
o上 述 の よ う な 問 題 に 対 し 、 家 庭 裁 判 所 や 児 童 相 談 所 と の 連 携 を 図 る こ と に 加 え 、 日 f 成 年 後 見 セ ン タ ー ・ リ ー ガ ル サ ポ ー ト
jや 日 本 社 会 福 祉 士
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本 司 法 書 士 連 合 会 に よ る
の よ う な 第 三 者 後 見 の 実 績 が 豊 富 な 民 問 機 関 と も 連 携 を 図 り な が ら 、 複 数 後 見 の 利 用 を 支 援 し て い く 取 り 組 み が 必 要 で あ る
o複 数 後 見 と は 、 既 に 後 見 人 に 選 任 さ れ て い る 親 に 加 え 、 兄 弟 な ど に よ る 後 見 人 や 、 上 述 の 民 問 機 関 に 所 属 す る 司 法 書 士 や 社 会 福 祉 士 が 第 三 者 後 見 人 と し て 加 わ る こ と に よ り 、 複 数 の 後 見 人 で 重 症 児 ( 者 ) の 身 上 監 護 や 財 産 管 理 の 後 見 職 務 を 行 う も の で あ る
o複 数後見を利用することにより、親が逝去あるいは意思能力の低下がみられた場合でも、
兄 弟 な ど の 親 族 後 見 人 あ る い は 第 三 者 後 見 人 が 速 や か に 後 見 事 務 を 引 き 継 ぎ 、 彼 ら の 会 に よ る 「 権 利 擁 護 セ ン タ ー ぱ あ と な あ J
そ れ ぞ れ の 後 見 利 益 を 守 る こ と が 可 能 と 考 え ら れ る 。 し か し な が ら 、 複 数 後 見 で は 、
人 が そ れ ぞ れ の 権 限 を 行 使 す る こ と に よ り 、 そ の 行 為 に 矛 盾 が 生 じ る 可 能 性 が あ る こ そ の 結 果 と し て 被 後 見 人 の 最 善 の 利 益 が お び や か さ れ る お そ れ が 生 じ る 場 合 が あ ることも指摘されている(社団法人日本社会福祉士会,
2004)。 こ の よ う な こ と を 生 じ さ せ な い た め に も 、 親 や 兄 弟 、 第 三 者 後 見 人 な ど の 後 見 人 同 士 が 、 そ れ ぞ れ の 責 任 範 囲 や 役 割 分 担 に 関 す る 協 議 を す る こ と な ど 、 常 に 連 携 を 図 り 、 情 報 を 共 有 し な が ら 重
の 最 善 の 利 益 を 守 る こ と に 留 意 す る 必 要 が あ る
o以 上 の よ う に 、 今 後 は 複 数 後 見 に 向 け た 支 援 が 必 要 で あ る
oた だ し 、 そ の た め に は 後 見 人 の 職 務 が 重 症 児 ( 者 ) と そ の 家 族 に ど の よ う な 影 響 を も た ら す の か に つ い て 、 家 族 に 再 確 認 す る 必 要 が あ る だ ろ う
o今 回 の 集 団 申 立 て は 施 設 主 導 に よ り 行 わ れ 、 短 期 間 に 多 数 の 後 見 人 が 選 任 さ れ た 。 養 護 老 人 ホ ー ム に 入 所 中 の 高 齢 の 親 が 後 見 人 に 選 任 さ れ た 事 例 や 、 申 立 て に 難 色 を 示 し た 家 族 に 対 す る 説 得 が 行 わ れ た 事 例 も あ っ た よ
う に 、 家 族 の な か に は 施 設 と サ ー ビ ス 利 用 契 約 を 締 結 し 、 重 症 児 ( 者 )
の 継 続 を 可 能 と す る た め だ け に 集 団 申 立 て に 参 加 し た 者 も 含 ま れ て い る 可 能 性 が あ る と 、
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ら の 施 設 入 所 症児(者)
からである
oこ う した 家 族 に 対し 、 後見 制度 とは 、「 判断 能力 の不 十分 な方 の権 利を 擁 護 す る 制 度 J (社団法人日本社会福祉士会,
2004)であること、後見人とは、「被後見 人 の 人 生 を 生 涯 に 渡 り 企 図 す る 者 J (細川
2004)であること、また、「被後見人の意 思 を 尊 重 し 、 最 善 の 利 益 を 実 現 す る た め に 、 そ の 立 場 を 代 弁 し て い く 者
J(社団法人日
本社会福祉士会,
2004)であることを改めて啓発する必要がある。
さ ら に 、 こ の よ う な 観 点 に 立 て ば 、 近 い 将 来 に 後 見 申 立 て を 行 う 可 能 性 の 高 い 重 度 ・ 重 複 障 害 児 の 保 護 者 に こ そ 、 卒 業 後 の 進 路 を 見 据 え 、 学 校 在 学 中 か ら 後 見 制 度 お よ び 後 見 人 の 職 務 に 関 す る 啓 発 が 行 わ れ る 必 要 が あ る
o重度・重複障害児については、
そ の 数 が 増 加 し て い る と い う 報 告 ( 今 後 の 特 別 支 援 教 育 の 在 り 方 に つ い て ( 最 終 報 告 ),
2003)
が あ り 、 教 育 の み な ら ず 、 福 祉 ・ 医 療 ・ 労 働 な ど の 領 域 と の 連 携 に よ っ て 長 期
的 な 視 点 で 乳 幼 児 期 か ら 学 校 卒 業 後 ま で を 通 じ て 一 貫 し て 的 確 な 教 育 的 支 援 を 行 う
(柳本,
2006)こ と が 求 め ら れ て い る 。 こ う し た 指 針 に 基 づ き 、 養 護 学 校 等 で は 卒 業
後 を 見 据 え た 進 路 指 導 に 関 す る 新 た な 支 援 が 模 索 さ れ よ う と し て い る 。 重 度 ・ 重 複 障
民 間 企 業 や 公 官 庁 な ど で 働 く 一 般 就 労 や 、 更 正 施 設 や 授 産 施 設 な ど で 専 門 的
害児は、
な職員の支援を受けつつ働く福祉就労(手島,
2005)を 卒 業 後 の 進 路 と し て 選 択 す る こ と は 困 難 で あ る 。 そ の た め 、 彼 ら の 卒 業 後 の 進 路 は 、 重 症 心 身 障 害 児 通 園 施 設 ( 以 下 、 通 園 施 設 と す る ) へ の 通 園 や 重 症 心 身 障 害 児 施 設 へ の 入 所 が 想 定 さ れ る
oまた、
卒 業 後 も 在 宅 で 生 活 を す る 場 合 、 家 族 の レ ス パ イ ト な ど に よ り 短 期 入 所 事 業 を 利 用 す る こ と も 考 え ら れ る
o養 護 学 校 等 で は 、 彼 ら が 卒 業 後 に こ う し た 福 祉 サ ー ビ ス を 利 用 で き る よ う 、 職 場 体 験 実 習 や 進 路 相 談 な ど さ ま さ ま な 進 路 指 導 が 行 わ れ て い る
o実際、
筆 者 ら の 勤 務 す る 病 院 で は 、 近 隣 の 養 護 学 校 か ら 進 路 指 導 に お け る 職 場 体 験 実 習 と い う 形 で 、 短 期 入 所 を 利 用 し た い と い う 申 し 出 が あ り 、 重 度 ・ 重 複 障 害 児 の 入 院 を 受 け 入 れ て き た
oまた、引率した進路指導担当の教師からは、当院の短期入所利用に加え、
通 園 施 設 へ の 体 験 通 園 も 実 施 し て い る と の 話 が 聞 か れ て い た
Dこ の よ う に 、 彼 ら に 対 す る 卒 業 後 の 進 路 指 導 に つ い て は 、 教 育 、 福 祉 、 医 療 な ど 、 さ ま ざ ま な 分 野 の さ ま ざ ま な サ ー ビ ス が 利 用 可 能 で あ る と い う 情 報 を 提 供 す る 点 に お い て 、 一 定 の 成 果 が 挙 げ られてきた
o今 後 は 、 こ う し た 進 路 指 導 に 加 え て 、 彼 ら が 養 護 学 校 等 を 卒 業 後 に 上 述 の よ う な サ ー ビ ス を 利 用 す る 上 で 求 め ら れ て く る こ と 、 す な わ ち 、 利 用 者 と 事 業 者 と の サ ー ビ ス 利 用 契 約 を 有 効 と す る た め に は ど の よ う な 手 続 き を 行 わ な け れ ば な ら な い か 、 そ れ が 年 齢 に 応 じ て ど の よ う に 変 化 し て く る の か 、 と い う こ と に 関 す る 取 り 組 み も必要となる
oと い う の は 、 重 度 ・ 重 複 障 害 児 が 養 護 学 校 等 を 卒 業 し て
2年 後 に 成 年 を 迎 え た 場 合 、 後 見 制 度 の 活 用 が 必 須 と な る か ら で あ る
o彼 ら が 成 年 を 迎 え る と 同 時 に 、 サ ー ビ ス 利 用 契 約 を 保 護 者 か ら 後 見 人 に 速 や か に 移 行 し 、 必 要 な サ ー ビ ス を 間 断 な く 利 用 で き る よ う に す る た め に も 、 今 後 、 学 校 教 育 現 場 に お い て は 、 後 見 制 度 の 活 用 や 後 見 人 の 職 務 内 容 に つ い て 、 誰 よ り も ま ず 教 師 自 身 が 理 解 を 深 め る 必 要 が あ る
oそ の 上 で 、 家 族 に 対 す る こ れ ら の 啓 発 活 動 が 、 十 分 な 配 感 の も と に 行 わ れ る 必 要 が あ る
o以 上 述 べ て き た よ う に 、 施 設 が 関 係 諸 機 関 と 連 携 を 図 る こ と に よ り 、 重 症 児 ( 者 ) の 家 族 の 集 団 申 立 て を 支 援 す る こ と が 可 能 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 ま た 、 重 度 ・ 重 複 障 害 児 の 保 護 者 に 対 し 、 卒 業 後 の 進 路 を 見 据 え た 後 見 制 度 の 活 用 に 関 す る 啓 発 活 動 を 学 校 在 籍 中 か ら 行 う 必 要 が あ る こ と や 、 重 症 児 ( 者 ) の 家 族 の 高 齢 化 に 伴 い 、 複 数 後 見 の 適 用 を も 視 野 に 入 れ た 支 援 が 必 要 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 こ の よ う に 、 重 症 児 ( 者 ) の 生 涯 を 見 渡 し た 支 援 を 行 う に は 、 彼 ら の 権 利 を 擁 護 す る 後 見 制 度 の 活 用 が 必 要 で あ り 、 そ の た め に は 教 育 や 福 祉 、 医 療 な ど の 連 携 が 必 須 で あ る
oた だ し 、 現 時 点 に お い て 関 係 諸 機 関 が 有 機 的 に 連 携 し て い る と は 言 い 難 く 、 自 立 支 援 法 や 特 別 支 援 教 育 の も と に 、 こ う し た シ ス テ ム の 速 や か な 構 築 を 行 う こ と が 今 後 の 課 題 で あ る
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省老健局,
2002.全国社会福祉協議会:よくわかる支援費制度
Q&A,2002.‑48‑