ア メ リ カ 産 業 関 係 史 論 研 究
労働組合
国 枝 芳 夫
〔1〕
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二〇世紀初期一九三五年に至る迄のアメリカ労働運動は低迷を続けた︒それでも第一次大戦中︑資本の攻勢は緩和され
ヘヘヘヘヘヘヘカたと言ってよいであろが︑一九〇二〜一四年及び一九二一〜三五年は︑まさに弾圧と受身の時代であったと言ってもよ
い︒大戦中は政府も団結権を増強し︑政府の諸委員会に組合代表が参加する程で︑特に鉄道・鉱山・造船・罐詰・繊維・
男子衣服・食料・皮革・金属等で組合の力が伸び︑未熟練工及び熟練工が大勢運動に参加した(一九二〇年︑組合員数五
〇〇万人)︒しかし︑これらの産業が全て軍需につながるものである事︑及び当然労働力は不足をつげていたこと(徴兵さ
れた白人のポストに多く黒人が侵人したという︒)︑を忘れるべきでない︒それ故大戦後︑政府の保護政策後退︑戦後イン
フレ︑使用者の反抗のため︑産業関係は再び悪化した︒金属・自動車・鉄道等で使用者側が勝利を占めた︒経営政策とし
て用いられたのは福利厚生施設の設置︑スパイとスト破りの採用・御用組合・黄犬契約(︽Φ一ざ≦血oαqoo暮冨9組合加盟
が罷免の理由となるという事を予め雇用契約で約束させるもの︒)など︒戦後の生産沈帯は特にAFLの産業主義にとっ
て痛手であって︑組合員は再び減少したのである①︒
しかし︑この時期の労働組合はAFLだけだったのではない︒一九〇五年︑H零芝(剛昌ユロω梓H帥印一ぐ﹃O村吋Φ目O﹄什びΦぐ﹃OH一α)
が組織されている︒(尚︑社会主義者労働党︹一入七四年設立︺が社会主義労働連盟[ωoo寅一一曾↓冨α窃琶Ω押暮oH︾集・
㊤口8]を作り︑AFLに対抗せんとする動ぎもあった︒︹一八九五年︺しかし︑大きな勢力にはならなかった︒)IWWの
中心となったのは最初︑西部の鉱業・伐採工︑南部の東南ヨーロッパ移民と未熟練工であって︑後には(一九〇一年)熟
練工の中にも滲透した︒黒人労働者を初めて組織したのもIWWである︒その主張はイソダストリアル・ユニオニズムを
揺かに越えて労使の一致点は無いとするサソジカリズムに至り︑従って戦術はサボタージュとゼネラル・ストライキであ
り︑団体交渉や協約は排除されるのが原則であった︒最盛期は一九一二年で組合員も六万を越したが︑一般に受けいれら
れず︑且つ抑圧を受けたため一三年には消滅した︒
カリヘヘへもヘカコへIWWに見られた如き社会主義思想の熱心な主張やそれを中心とする集団の諸活動は︑ほぼこれまでで終了し︑亡の後
のアメリカ社会史上には姿を現わすに至っていない︒これは大不況後C10が結成されるに至った事︑及び大戦中より次
第に団結権二父渉権・争議権が公認せられて︑更には実質賃金が上昇する事も見られるようになった事等の理由があろ
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カヘカへしかし︑その理由はともかく︑かくの如き運動がこれ以後存在せず︑その代りに労働組合が急速な成長を見せるに至っ
ているということ︑一事を以ってしても第一次大戦とその後の大不況期を境としてアメリカの産業社会は何らかの変質を
したと︑言う事が許されるであろう︒言い換えれば︑それ以前のすぐれてヨーロッパ的な社会からアメリカ独自の色彩が
生まれたと言えるのではあるまいか︒社会民主党及至労働党の存在︑サソジカリズムの主張の如きものにしても︑それら
が深く西欧の社会思想の流れに連なるものである事は言を待たない︒かくの如きものが︑この後の主流に入らない事と︑
産業が確立し第一次大戦後はアメリカが世界経済の導き手となった事︑この二つは恐らく切り離し難く関係しているので
あろう︒つまりアメリカと言う国民共同体が単に制度的な実在物としてのみならず︑文化的な統﹂体として精神的にも植
民地的な残澤を全く払いのけて成立し得たのが︑一九二〇年代から三〇年代の事なのである︒学問の上に於てもアメリカ
の学者によるアメリカ的な業績が出揃ったのはこれ以後の事である②︒とすればこの時期はアメリカ社会史上極めて注目
すべき重要な時期であると言ってよい︒IWWなどもかくの如き観点から当然改めて位置づけとその再評価がなされて然
るべきであろう︒同時に︑例えばこの頃の従業員代表制の如きものも単にアメリカ厚生資本主義(芝Φぎ器O印豆畠密ヨ)
のあらわれである㈲と言うのではなく(勿論そのような面はあったであろうが)よりアメリカ的なものの一表現形態とし
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て︑つまり現在のアメゾカ産業関係が有する諸特色の崩芽をすでに含むものとしてあらわれているのであろうと思われ
る︒それ故︑例えば︑メーヨー(ΩΦ自伽qΦ固8口ζ禽︒団o)の﹁ホーソソ実験﹂(出帥≦昏o毎Φ国瀕b①二目Φ韓ω)及びベンディク
ス(閑Φ一昌げ節﹃血切Φ Pユ一図)の言う﹁人間‑社会的技能﹂(冨ヨ餌亭ωoo一巴ω匹一尻④)も︑その後のアメリカ産業関係に極めて大
きい意義をもち得たのである︒
注
ωd.ω・Uo冨旨目⑦三〇hい筈o♪しdユ①ひ国δ8崎o隔些Φ︾日o瓜o坦昌目暮自寓o︿Φヨ魯fドOωQ︒.ZoレOOρり﹄P
②例えば︑ヴェブレソ(]りげO困ωけ①圃口ゆ︒〜N①げ一QP)コモソズ(臼oゴ昌切.Oo日日o昌ω)ミッチェル(乏0巴Φ団0.]≦算oぽΦε等の制度学
派は︑二〇世紀初めに活躍したのである︒社会人類学でも三〇年代クラックホーン(O・国・羅・国一口︒誓oぎ)やマリノフスキ(しロ8旨学
ω冨≦.国・竃拶賦8埼ω巴)をアメリカに得ている︒アメリカ社会学が特にウェーバー(冨鎚≦Φげ興)の影響をうけつつ根をおろしたの
も三〇年代である︒近代経営学諸派がポスト・ケイソジァソとして花を開いたのも三〇年代である等々︒いずれも西欧の流れを深
ヘミへく汲みながら︑しかも独自のアメリカ学風を樹立し得たと見るべきである︒それ故我々がこれらの諸学を摂取する場合にもこの様
な歴史的観点をもって批判摂取をなす事が常に必要である︒それと共にかくの如きアメリカ学派は︑アメリカ的学問の﹃申し子﹄
であると言う事が出来る︒
㈲桜林誠﹃労働経済学序説﹄(有斐閣︑昭︑三二)一四九︑一五三頁︒ ㈲しdΦ目島〆園Φ口げ母P≦o時髄昌山︾ロ匪oユな三ぎユロωヰざ冠①巳oαq器ωo暁]≦卑口櫛αqΦ旨Φ暮ぎ誓①Oo霞ωΦo賄ぎ山ロω霞冨嵩NoけδP
d三く興の一な︒h9一一8ヨ陣p剛器︒︒ρμΦ㎝9b・ωH①・(大東英裕︑鈴木良隆訳﹃産業における労働と権限‑工業化過程における経営管理
のイデオロギー1﹄東洋経済新報社︑昭︑五五)四四六頁︒
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ゐあへ前述した如く︑アメリカの労働組合が言わぽ本格的な発展を遂げたのは︑大不況後の事だと見てよい︒その直接の契機
となったのは言うまでもなくニュー・ディールの諸政策である︒即ち一九三二年のノリスHラガルディア法︑一九三三年
の全国産業復興法(NIRA)︑及びNIRA違憲判決後(一九三五年)改めて制定された全国労働関係法(冥餌怠8亀い甲
び霞幻Φ一鉾一8ω︾911芝山ひq昌興諺9一九三五年)︑州際的最低賃金制・労働時間超過及び児童労働に就て定めた労働基準法
(倒巴同ピ蝉びoHω審口α鎚α︾o叶"一九八三年)である︒クレイトン法(Ω餌旨8>9)にょり独占規定をば労働組合に適用す
る行為の不法である事は一九四〇︑四一年︑大審院によって判定せられた︒ワグナァ法の定める諸権利は︑団体交渉権の
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