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両親および教師の賞賛・叱責が児童の内発的動機づ けに及ぼす影響

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両親および教師の賞賛・叱責が児童の内発的動機づ けに及ぼす影響

著者 桜井 茂男

雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学

巻 36

号 1

ページ 173‑182

発行年 1987‑11‑25

その他のタイトル The Effects of Parents' and Teachers'

Praise‑Reproof on Their Children's Intrinsic Motivation for Learning

URL http://hdl.handle.net/10105/2073

(2)

相田ynKEaSE^ 臼竪m^m日昌 MMm朋冒iM.'?tnB蒔田 Bull.Nara Univ.Educ.,Vol.36,No.1(cult.& soc.),1987

両親および教師の賞賛・叱責が児童の内発的動機づけに及ぼす影響

桜 井 茂 男 (奈良教育大学心理学教室)

(昭和62年4月21日受理)

桜井(1983a,1984a,b,c,1985)は、 Deci(1975)の認知的評価理論(cognitive evaluation theory) をもとにして、長らく、フィードバックを含む外的報酬が内発的動機づけ(intrinsic motivation) に及ぼす影響について研究してきた。その結果、これまでの研究の集大成として、認知的評価理 論を大幅に修正し、人間の動機づけ問題を全般的に扱いうる「自己評価的動機づけモデル(Self Evaluative Motivation Model:略してS EMモデルという)」を提唱し、その妥当性を検討した。

認知レベル

感情レベル

動機づけレベル

図1 自己評価的動機づけ( SEM)モデル

173

(3)

SEMモデルの概要は、図1に示されている。このモデルでは、 Deci(1975)に従い、外的報酬 にこっの側面を設定している。 ‑‑一つは、制御的側面(controlling aspect)であり、もう一つは、

情報的側面(informational aspect)である。そして、外的報酬のもつ制御的側面には、動機(め るいは意図intention)の評価I‑・自己決定感(他者決定感) I‑→自己決定‑の欲求‑‑サ・習行動とい う過程が続き、他方、外的報酬のもつ情報的側面には、有能さの評価‑有能感(無能感) ‑‑>有能 さ‑の欲求,学習行動という過程が続く。この二つの過程はある程度の相互作用は考えられるも のの、かなり独立し、 Deci(1975)のように択I‑‑的ではなく同時に作動するとされる。なお、刺激

・認知‑・感情‑ ,動機づけ・行動という系列は、ほぼAtkinson(1964)やWeiner(1974,1979)など の達成動機づけの枠組みに準拠している。

本モデルでは、人間はより自己決定的で、より有能でありたいという欲求をもつ存在と考えて いる。この欲求あるいは動機は、すでにDeci(1975)、 deCharms(1968,1976)他で論議され、内 発的動機づけの源泉と捉えられている。これを前提にして本モデルは構成されている。

外的報酬のもつ制御的側面は、認知レベルの要因である動機(あるいは意図)の評価に影響す る。この要凶は、古くはHeider(1958)の意図、最近ではdeCharms(1968)の自己原因性(personal causation)やDeci(1975)の認知された因果律の所在(perceived locus of causality)、などとい う概念と密接な関係にある。本モデルでは、これらを総合して、動機(あるいは意図)の評価と 命名し、過正当化(overjustification)の原理に従う要因と考えた。過正当化の原理とは、ある 行為に外的な理由が存在する場合、その行為に関する内発的動機は外的な理由が多いほど、低く

見積もられる、という原理である。そして、主に、 (l)Kelley(1971)が主張するように、外的報酬 を受け取る人が、それを与える人によって制御されていると認知すれば、その行為に関する内発 的な動機は低く見積もられるし(他者の意図) 、また、 (2)Kruglanski(1975)が主張するように、

外的報酬の導入により、それを獲得することが主たる目的になれば、行為自身に関する内発的な 動機は低く見積もられる(内生的一外生的帰属: endogenous‑exogenous attribution) 、とい

う内容である。このようにして、内発的動機が相対的に多く見積もられた場合には自己決定感が、

反対に外発的動機が多く見積もられた場合には他者決定感が生じるであろう。そして、他者決定 感は人にとって不快な感情であるため、自己決定感を回復したいという動機づけを生起させるで あろう。また、自己決定感は、より自己決定的であろうとする動機づけを生じさせるであろう。

他方、外的報酬のもつ情報的側面は、まず、認知レベルの要因である有能さの評価に影響する。

この要因はI一一一つの内部要素として、課題遂行の結果に基づく成功・失敗の評価とそれに続く原因 帰属を含む。この点については、 Weinerらによる達成動機づけに関する多くの研究ですでに詳 細な理論化がなされている。有能さの評価により有能感や無能感が生じ、無能感は人間にとって 不快な感情であるため、有能さを回復したいとする動機づけを生起させるであろう。また、有能 感は快の感情であるため、もっと有能でありたいとする動機づけを生じさせるであろう。

以1・̲、 S EMモデルに沿って、どのようにして課題に対する動機づけが生じるのかというメカ ニズムについて概観した。上述の説明で明らかなように、 S EMモデルは、日常的知見を、主に

これまでの内発的動機づけ理論の枠組みに沿って、そして、達成動機づけ、学習、原田帰属など の講理論の助けを借りてまとめたモデルと言えよう。

さて、これまでの多くの研究において、 S EMモデルは、ある特定の場面に限定されるモデル として扱われてきた。つまり、場面特殊的なモデルであった。しかし、桜井(1984c)他が指摘し ているように、 「ある場面」というのは、少々の差異は考えられるものの、長い年月の間には、

(4)

賞賛・叱責が内発的動機づけに及ぼす影響 175 何回となく生起するものであり、ことに学習場面というように領域特殊的な場面と限定してみれ ば、図1に示されたS EMモデルはかなり安定した特性論的モデルとしても十分考えられる。換 言すれば、 S EMモデルとは、従来の自己に関する概念を因果関係的に定式化したモデルともい えよう。これと同じことは、達成動機づけに関するWeiner(1974,1979)のモデルや学習性無力 感(learned helplessness)に関するSeligmanら(1975,1979)のモデルでも行われており、その実 証的研究が最近盛んである。

桜井(1983b)および桜井・高野(1985)は、 SEMモデルを児塵・生徒の日常的な学業達成に 関連した場面(領域)で検証するために、 S EMモデルの認知、感情、動機づけレベルに配置さ れた各要因を測定する質問紙を作成した。信頼性および妥当性が確認され、有効な測定手段であ ることが明らかにされた。続いて桜井(1986)は、この測定尺度と学業成績および原内帰属様式 測定尺度を用いて、実際にS EMモデルの開渠関係をパス解析により検討したo その結果、 SE Mモデルは児童・生徒を対象とした実験室場面だけでなく、日常的な学業達成場面(領域)でも

ほぼ妥当なモデルであることが示された。

そこで、本研究では、 SEMモデルを学業達成に関する特性論的モデルと捉え、これまでたび たび検討されてきた外的報酬と最も類似した外的要因である「両親および教師の賞賛・叱責」が 児童の内発的動機づけ(今後ことわりがない限り、 SEMモデルの各要因を意味する)に及ぼす 影響について、先に挙げたS EMモデルの各要田を測定する内発的一外発的動機づけ測定尺度 (桜井・高野, 1985) 、認知されたコソピテソス測定尺度(桜井,1983b)と賞賛・叱責のパター ソを測定する質問紙を用いて検討する。

桜井(1984a,b,c )らの実験的研究によれば、はめことば(賞賛)は自分の有能さを高く評 価させ、内発的動機もかなり多く評価させる効果のあることが示された。したがって、日常的な 場面でも同じように、はめことばは有能さも内発的な動機もかなり高く(多く)評価させるもの

と予測される。一一万、叱ること(叱責)はこれまでほとんど検討されていない。家庭や学校での 教育場面から推論すると、叱ることは必ずしも内発的動機づけを低下させるものとは考えにくい。

たしかに、叱ることだけでは、内発的動幾づけを高めることは不可能であろうが、ときには、叱 ることも必要であるといえよう。たとえば、叱ることにより、より深い思索へと導かれ、学習に 興味を覚えることも少なくないであろう。また、はめるだけでは、最後まで頑張りぬこうとする 態度は育ちにくいとも思われる。

方     法

被調査者 茨城県下の公立A小学校5年生85名(男子43名、女子42名)と6年生75名(男子39名、

女子36名)の合計160名。

賞賛・叱責パターンについての質問紙 去瀬・杉村・藤FT.U1983)を参考にして、賞賛(する、

しない) ×叱責(する、しない)の四つのパターソの中から、自分にあてはまるものをI‑一つだけ 選択する、という以下のような質問項目を作成した。

① お父さんは、 (よくはめよくしかる、よくはめるがしからない、よくしかるがはめない、

はめもしかりもしない)

② お母さんは、 (よくはめよくしかる、よくはめるがしからない、よくしかるがはめない、

はめもしかりもしない)

(5)

③ 先生は、 (よくはめよくしかる、よくはめるがしからない、よくしかるがはめない、はめ もしかりもしない)

内発的勤社づけについての質問紙 桜井・高野(1985)の内発的丁外発的動機づけ測定尺度と桜 井(1983b)の認知されたコソピテソス測定尺度の学習に関する下位尺度が用いられた。前者は、

こどもたちの学習に関する内発的動機づけを広範な生活観域から捉えたもので、 (》挑戦、 ②知的 好奇心、 ③達成、 ④認知された閃果律の所在(略して、因果律) 、 ⑤内生的‑外生的帰属(略し て帰属) 、 ⑥楽しさ、という六つのド位尺度で構成されている。挑戦F位尺度は、困難な課題に 挑戦しようとする幌向を、知的好奇心下位尺度は、拡散的好奇心(diversive curiosity)により 様々な課題に接近し情報を収集しようとする憤向を、達成下位尺度は、教師や友達に頼らずに課 題に取り組もうとする偵向を、因果律下位尺度は、ある課題を遂行する意図が個人によって引き 起こされていると認知する(internal causality)のか、それとも環境によって引き起こされてい ると認知する(external causality)のかという傾向を、帰属F位尺度は、ある課題をすることそ れ自体が目的になっている(内生的帰属)のか、それともその他に目的があり、そのために当該 課題をすることは手段となっている(外生的帰属)のかという傾向を、楽しぎF位尺度は、文字 通り内発的動機づけにより活動したときの楽しさを、それぞれ測定している。各下位尺度は、五 項目で構成されている。回答は四段階評定で、内発的動機づけ偵向の高い反応から、 4,3,2,1点 と得点化される。後者のコソピテソス測定尺度は、学習に関する有能さを測定している。七項目 で構成されており、四段階評定(4‑1点)である。得点が高いほど有能さの高いことを示す。な お、これらの卜位尺度はS EMモデルとの対応で考えると、動機(意図)の評価には因果律と帰 属卜位尺度が、有能さの評価には認知されたコソピテソス測定尺度の学習に関する下位尺度が、

自己決定感と有能感には楽しさF位尺度が、自己決定の欲求には知的好奇心と達成下位尺度が、

有能さ‑の欲求には挑戦と達成下位尺度が、それぞれ当たる。

手続き1984年10月、クラス毎の集団で、上記の①賞賛・叱責パターソについての質問紙と② 内発的一外発的動機づけ測定尺度(四段階評定)と③認知されたコソピテソス測定尺度の学習に 関する有能さド位尺度が同時に実施された。実施者は、心理学専政の大学生4名(男女2名ずつ) であった。実施者は回答の仕方をよく説明した後、各児童に自由に回答させ、最後に回答の仕方 がJ王しいかどうか確認した。質問紙は直ちに集計され、賞賛・叱責パターソ(2×2)別に内発 的動機づけの得点が比較された。

結果 と 考察

父親、母親、教師別に賞賛・叱責のパターソが集計された。被調査者は表1に示すように、各 パターソに分かれた。これを見ると、父親、母親、教師の三ケースとも、よくはめよく叱るパター

ソに70%前後の被調査者が集中しているO他のパターソは、三つのケースとも全体の10%前後の 被調査者にしか選択されていない。特に、教師の場合には、よくはめるが叱らないというパター

ンを選択した被調査者は6名(3.7 %)しかいない。

つぎに、賞賛・叱責パターソ毎に内発的動機づけ得点、すなわち、内発的一外発的動機づけ測 定尺度および認知されたコソピテソス測定尺度の学習に関する有能さ下位尺度の各得点が算出さ れた。そして、賞賛(する、しない)×叱責(する、しない)の2要因で分散分析が実施された。

それらの結果は、父親の場合が表2に、母親の場合が表3に、教師の場合が表4に、示されてい

(6)

賞賛・叱責が内発的動機づけに及ぼす影響 表1賞賛・叱責のパターン別人数 カテゴ

リー 間柄

叱 ら な い

はめる はめない はめる はめない

1 1 0 ( 6 8 .8 ) 13 ( 8.1 ) 2 0 ( 12 .5 ) 1 7 ( 10 .6 )

l l ( 6.9 ) 1 2 3 ( 7 6 .9 ) 13 ( 8」) 13 ( 8 .1 )

1 2 0 ( 7 5 .0 ) 16 ( 10 .0 ) 6 ( 3 .7 ) 18 ( l l.2 )

noo

( )内はパーセントを示す る。

父親の場合には、因果律fj位尺度に10%水準で叱責の‑K効果が認められ、叱る方がvu、tの低い 傾向がみられた。また、帰属ド位尺度には、 10%水準で賞賛の 主三効果が認められ、はめる方が得 点の高い傾向がみられた。その他には、有意なV:効果や交互作用はなく、全体としては、父親の

表2 父親の賞賛・叱責パターン別の内発的動機づけ平均得点と 分散分析の結果

、 カ テ ゴ リー

下 位 尺 度

叱 ら な い F 値 ( 1, 1 5 6 )

は め る は め な い は め る は め な い 賞 賛

(A ) 叱 責

(B ) (A )×(B )

1 3.6 6 1 4 .0 0 1 5 .4 0 1 4 .0 6 く1 3 .7 6 △ 1.4 8 ( 3 .l l ) ( 3 .2 4 ) C 3 .1 7 ) ( 3 .1 9 ) (.6 96 )

1 2.7 2 1 2.3 1 1 3 .9 0 1 2.0 0 3.3 2 △ 1.8 1 1 .5 9 ( 2.4 7 0 ( 2.6 3 3 ( 2 .9 4 ) ( 3 .5 7 ) 1 1 % )

1 6 .4 6 1 6 .3 1 6 .4 0 1 5 .2 4 く 1 < 1 く 1

( 2 .8 2 ) ( 2 .8 7 ) C 2 .9 3 ) ( 4 .1 0 )

1 5 .5 8 1 4 .7 7 1 6 .3 0 1 5 .3 5 2.6 2 1.8 5 く1 ( 2.4 7 ) ( 2.3 9 ) ( 2.1 3 ) C 2 .7 4 )

知 的 好 奇 心 1 5 .8 2 1 6 .0 8 5 .9 0 1 5 .2 4 ¥ 1 く 1 く 1 C 2 .2 6 ) ( 1.9 4 ) ( 2 .5 3 ) C 2 .6 4 )

1 4 .9 8 1 4 .6 2 1 5 ‥4 0 1 5.1 8 く 1 く 1 ¥ 1

( 2 .4 5 ) ( 2 .9 6 ) ( 2 .4 8 ) ( 2 .7 4 )

1 3 .2 8 1 2 .0 8 1 2 .3 5 1 2 .1 2 く1 く1 く1

( 3 .5 1 ( 4 .l l ) ( 3 .6 8 ) ( 4 .2 0 )

( )内はsDを示す  ** pく.01 * pく.05 △pく. 10

(7)

表3 母親の賞賛・叱責パターン別の内発的動機づけ平均得点と 分散分析の結果

カ テ ゴ リー

下 位 尺 度

叱 ら な い F 値 ( 1, 1 5 6 )

は め る は め な い は め る は め な い 賞 賛

(A

叱 責

(B ) (A )×(B ) 1 4 .2 8 1 2 .6 9 1 3 .6 9 1 2 .0 0 4 .8 0 * く1 く1

( 2 .9 4 ) ( 4 .3 7 ) ( 3 .1 7 ) ( 3 .2 9 )

1 2 .8 1 1 2 .7 7 2 .6 9 1 2 .1 8 く1 く1 く1

( 2 .6 7 ) ( 3 .2 4 ) ( 2 .5 9 ) ( 2 .6 8 )

1 6 .3 3 1 6 .1 5 1 6 .6 2 1 5 .9 1 く 1 く 1 く 1

( 2 .7 3 ) ( 3 .6 0 ) ( 4 .2 7 ) ( 3 .6 5 )

1 5 .8 5 1 5 .1 5 1 4 .9 2 1 3 .9 1 1 .9 4 3 .2 2 △ く 1 ( 2 .2 9 ) ( 3 .0 2 ) ( 2 .1 4 ) ( 3 .3 3 )

知 的 好 奇 心 1 5 .8 7 1 4 .9 2 1 5 .6 9 1 6 .0 0 く1 く1 1 .1 7 ( 2 .2 5 ) ( 2 .7 8 ) ( 2 .5 6 ) ( 2 .0 0 )

1 4 .9 6 1 5 .3 1 5 .0 8 1 5 .3 6 く1 く1 く 1

( 2 .2 9 ) ( 4 .3 3 ) ( 2 .3 3 ) ( 2 .6 2 )

1 3 .3 3 l l.1 5 1 2 .0 8 l l.8 2 3 .1 6 △ く1 1 .1 0 ( 3 .2 8 ) ( 5 .0 3 ) ( 4 .8 2 ) ( 3 .8 9 )

( )内はSDを示す  **pく.01 *Vく.05 △Pく.10

'民賛・叱責はこどもの内発的動機づけにあまり影響をもたらしていないといえよう.

母親の場合には、因果律下位尺度に5%水準で賞賛の主効果が認められ、はめる方が得点の高 いことが示された。同じように、 10%水準の賞賛の̲L効果が挑戦下位尺度にみられた。一方、楽

しさ下位尺度には、 10%水準で叱責の主効果がみられたが、この場合には、叱る方が得点の高い 幌向が認められた。これらの結果から、母親の場合には、はめることがややこどもの内発的動機 づけを高めているといえそうである。ただ、 10%水準ではあるが、楽しさ下位尺度に叱る方が高 得点であるという結果がみられ、これは必ずしも叱ることがこどもの内発的動機づけに有害であ るとはいえないことを示唆している。

教師の場合には、賞賛の」:三効果が知的好奇心下位尺度(♪< .05)および挑戦下位尺度(♪≒.10) に認められ、はめる方が得点の高いことが示された。叱責の主効果は10%水準であるが知的好奇 心卜位尺度に認められ、叱らない方が得点の高い傾向がみられた。そして、特に注目されるのは、

賞賛×叱責の交互作用が、因果律fr位尺度( p< .06) 、楽しさ下位尺度(♪< .05) 、知的好 奇心下位尺度( ♪< .01)に認められた点である。これらの結果はいずれの場合も、 ①よくはめ

よく叱る教師の方が、よくはめるが叱らない教師よりも、こどもの内発的動機づけ得点は高いこ と、 ②よく叱りはめない教師よりは、はめも叱りもしいな教師の方が、こどもの内発的動機づけ

(8)

賞賛・叱責が内発的動機づけに及ぼす影響

表4 教師の賞賛・叱責パターン別の内発的動機づけ平均得点と 分散分析の結果

カ テ ゴ l) ‑ 下 位 ー又

叱 ら な い F 値 ( 1, 1 5 6 )

は め る は め な い は め る は め ts .い 賞 賛

A ) 叱 責

(B ) (A )×(B ) 1 4 .0 3 1 3 .4 4 l l .8 3 1 4 .5 6 く 1 く 1 3 .7 6 △

( 3 .0 4 ) ( 3 .8 5 ) ( 2 .6 4 ( 3 .4 0 ) ( 6 96 )

1 2 .9 1 l l .8 8 1 2 .3 3 1 2 .6 7 1 .2 6 く 1 ¥ 1

( 2 .7 7 ) ( 2 .4 2 ) ( 1 .3 7 ) ( 2 .7 4 )

1 6 .3 5 1 6 .3 8 1 6 .5 0 1 5 .8 9 く1 く 1 く1

( 2 .7 3 ) ( 4 .4 6 ) ( 2 .7 4 ) ( 3 .3 8 )

1 5 .7 3 1 4 .6 9 1 4 .0 0 1 5 .8 9 く1 く1 4 .9 4 *

( 2 .3 4 ) ( 2 .8 5 ) ( 2 .5 3 ) ( 2 .7 2 )

知 的 好 奇 心 1 5 .9 5 1 4 .0 6 1 5 .0 0 1 6 .5 0 4 .2 8 * 3 .2 9 △ 7 .8 8 * * ( 2 .2 6 ) ( 2 .1 8 ) ( 2 .6 1 ) ( 1 .9 2 )

1 4 .9 8 1 5 .0 6 1 4 .8 3 1 5 .3 3 く 1 く1 く1

( 2 .5 1 ) ( 2 .6 7 ) ( 2 .7 9 ) ( 2 .4 7 )

1 3 .3 8 l l .9 4 1 2 .3 3 l l .1 7 2 .7 0 く 1 く1

( 3 .5 4 ) ( 4 .1 2 ) ( 4 ▼2 7 ) ( 3 .3 5 )

( )内はSDを示す  **pく.01 *pく.05 △pく.10

179

得点は高いこと、を示している(表4参照) 。学校における児童の学習場面で、教師は叱ること はあってもはめることは少ないといわれる。これは決して児童の学習に対する内発的動機づけを 高めないであろう。はめない場合には、叱りもしない方がこどもの内発的動機づけは低卜しない であろう。さらに、よくはめよく叱る教師の方が、よくはめるが叱らない教師よりもこどもの内 発的動機づけは高まるであろう。これらの結果は、はじめの予測をかなり支持しているといえるo 叱ることは、はめる環境の中にあってこそ有効な手段であると考えられる。

以上、父親、母親、教師の賞賛・叱責のパターソとこどもの内発的動機づけとの関係を順を追っ てみてきたが、全体としては、 ①父親、母親、教師をよく賞賛してくれる人と見ているこどもの 内発的動機づけは、そうでないこどものそれより高い傾向にあること、 ②父親、母親と比べて教 師の賞賛・叱責の影響が大きいこと、が明らかとなった。前者の結果は、桜井(1984a,b,c)の 実験的結果を支持している。また、後者の結果は、従来から指摘されている教師の指導の重要性 を物語っているといえよう。今後の課題としては、 ①自己報告型の質間紙‑の反応に混入しがち な社会的望ましさを桜井(1984d)の測定法などにより調整して検討すること、 ②賞賛・叱責パ タ‑ソについてより詳細な質問紙を作成して検討すること、などが挙げられようo

(9)

要    約

桜井(1984c)の自己評価的動機づけ(S EM)モデルによると、両親および教師の賞賛・叱責 が、こどもの学習に関する内発的動機づけに影響することが予測された。そこで、これを検討す るために、本研究では、小学5、 6年生160名を対象に、 (彰桜井・高野(1985)の内発的一外発的 動機づけ測定尺度と②桜井(1983b)の認知されたコソピテソス測定尺度のうちで学習に関する 有能さを測定する学習下位尺度と③玉瀬・杉村・藤田(1983)を修正した両親および教師の賞賛・

叱責パターソを測定する質問紙が実施された。主な結果は以下の通りであった。

(1)両親および教師をよくはめてくれると思っているこどもの学習に関する内発的動機づけ得 点は、そうでないこどもに比べて、高い偵向がみられた。

(2)教師の賞賛と叱責の間には、交互作用がみられたo

これらの結果は、ある程度、予測を支持した。最後に、重要な問題がいくつか討論された。

引 用 文 献

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賞賛・叱責が内発的動機づけに及ぼす影響 181

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Psychology, 71, 3‑25.

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The Effects of Parents and Teachers'Praise‑Reproof on Their Children s Intrinsic Motivation for Learning

Shigeo SAKURAI

{Department of Psychology, Nara University of Education, Nara 630, Japan) (Received April 21, 1987)

According to the Self I∃valuative Motivation (SEM) Model proposed in Sakurai (1984c) , it was predicted that parents'and teachers praise‑reproof would influence their children s intrinsic motivation for learning. In the present study, this prediction was examined by administrating three kinds of inventory, Sakurai and Taskano s (1985) intrinsic‑extrinsic motivation scale, Sakurai s (1983b) cognitive subscale of perceived competence scale, and revised Tamase, Sugimura, and Fujita s (1983) percevived parents praise‑reproof inventory, to 160 fifth and sixth graders.

The main results were as follows:

(1) The perceived parents'and teachers'praise was somewhat related to their children s intrinsic motivation for learning.

(2) The perceived teachers praisexreproof interaction was revealed (See Table4).

Some of the results supported the prediction and important problems were discussed.

参照

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