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新しい有機非線形光学薄膜の開発と超高速光スイッ チング応用

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Academic year: 2021

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新しい有機非線形光学薄膜の開発と超高速光スイッ チング応用

著者 辰浦 智

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

24

ページ 122‑124

発行年 2003‑03‑28

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1438

(2)

氏名・(本

  

     

(大阪府)

学位 の種 類

 

 

 (工 )

学位 記番号

  

工博乙第

  98 

学位授与の日付

  

平成 14年 3月 23日

学位授与の要件

  

学位規程第5条2項該当

学位論文題目

  

新 しい有機非線形光学薄膜の開発 と超高速光スイッチング 応用

(委員長)

論 文 審 査 委 員   教 授   教 授

教 授 田 部 道 晴

 

助教授 原 興 助教授

 

口 浩 司

近年の光情報通信、光情報処理技術の進展 に伴い、電気―光制御および光一光制御の両面で高効 率 0高 速度な光制御技術 の確立が求められている。有機非線形光学材料 は、加工性 に優れ、低 コス トで量産可能で環境 にも優 しいなど、優れた特徴 を有する。 これらの特徴 を踏まえ、本論文では、

新規の有機非線形光学材料の開発 と超高速光スイッチヘの応用 について、電気一光制御および光一 光制御それぞれについて検討 した。

電気一光制御方式 については、真空中で電場印加下でポリマ薄膜 を作製する方法(電場 アシス ト

CVD[〓

ChemiCJ Vapor deposidon]法 )を提案 し、その有効性 について検討 した。ポリマ薄膜 に電気光 学 (EO)特 性 を付与するにはポリマ主鎖または側鎖 に結合 した極性分子を配向させる必要がある。従 来の方法 はポリマ薄膜 を加熱 し電場印加 により分子 を配向させ、そのままの状態で冷却 して分子配 向を固定するというものであったが、この方法では分子配向が不十分でかつ配向緩和 も大 きいなど の問題点があつた。これに対 し、電場 アシス トCVD法では真空中で電場印加下でモノマ同士 を反応

させポリマ化するため、極性分子は配向 しつつポリマ薄膜中に取 りこまれ、室温での製膜 も可能で ある。 このため分子配向時の立体障害や熱擾乱が低減で き、高配向 と安定性が両立で きる可能性が ある。実際に真空中でスリット状電極間に電場 を印加 しなが らエポキシ系ポリマ薄膜 を製膜 した と ころ、室温で効率良 く極性分子 を配向させたEOポリマ導波路 を作成することがで きた。得 られた 導波路のEO定数 を、従来手法で作製 したEO導波路のEO定数 と比較 した結果、約3倍の配向効 率が得 られていることがわか り、従来の分子配向方法 に対する本手法の優位性が実証で きた。次 に

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気相製膜法によるπ電子系主鎖共役型ポリマの配向制御 について検討 した。分子軌道計算により主鎖 共役型ポリマの超分子分極率計算 を行い、電場 アシス トCvD法に適 したモノマ/ポリマ構造 を決定 した。気相製膜の結果、電場印加や下地への配向膜の導入により、ポリマ主鎖を配向させることに成 功 した。得 られた膜 についてEO定数や3次非線形光学定数 O))の測定 を行い、主鎖の配向によ

るχOの増大などを確認 した。最後 に単分子気相成長法 を提案 し、材料モノマを交互に供給 した際 の水晶振動子上の膜厚増加の様子から、単分子成長 を確認 した。

光一光制御方式については、分子会合体材料 を中心に検討 を行った。分子が静電相互作用によって 規則正 しく配列 した分子会合体では、吸収の長波長化 と先鋭化 によって大 きなχO)と超高速応答が 実現できる可能性がある。水面上単分子膜中で会合体 を形成することが知 られていたスクエアリリウ ム(sQ)誘 導体 について検討 した結果、特定のSQ誘導体が一定の条件下でス ピンコー ト法 により安 定なJ―会合体薄膜 を形成することを初めて見出 した。会合体形成は分子構造に影響 されるだけでな く、熱処理や酸分子 による静電反発力の抑制によって も促進 された。sQ J一会合体薄膜は3次の非 線形光学効果の一種である吸収飽和 を示す。ポンプoプローブ法により吸収飽和の回復時定数を測定 した結果、300フ ェム ト秒 とい う速い緩和 と10ピコ秒程度の遅い緩和が続いて生 じることがわかっ た。この とき共鳴波長 より低エネルギー側で励起すると遅い緩和成分が抑制され、高速成分の占める 割合力り0%以上になった。これらのことから、sQ J一会合体薄膜は大面積超高速光スイッチとして 極めて有望であることがわかった。 また z一 scan法 によりSQ J― 会合体薄膜の χO)を共鳴お よび

共鳴近傍領域で評価 したところ、最大で10‐6 eSuオ ーという大 きな値 を示すことがわかった。こ れ らの特徴 を活かすため、垂直入射型の

1入

力多出カシリアルーパ ラレルパルス変換器 を新たに提 案 した。本デバイスは時間一空間変換 を利用 したもので、簡単な装置構成により単一のゲー ト光で複 数の2次元並列出力 を得 ることが可能であるとい う特徴 を持つ。SQ J一会合体薄膜 を大面積超高速 光スイッチ として用い、デバイスの動作原理 を検証 した。その結果、1賣七相当の4連フェム ト秒光 パルス列に対 し、

1次

元お よび2次元状の並列出力 を観測で きた。 さらにKer効果 を利用 したデバ

イス構成 にすることで、s/Nを高めた2次元状の8並列出力の観測 にも成功 した。

有機非線形光学材料 には耐久性、耐光性などの大 きな課題があるが、材料性能の向上や社会のニー ズの高まりなどから見て、今後、実用化に向けた本格的な研究展開が活発化するものと期待 される。

有機非線形光学材料は、材料および作製方法に種々のバ リエーションを持ち、光制御用材料 として多 くの可能性 を秘めた有望な材料である。

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テラヘルツ0陀)通信の時代 を日前 にひかえ、多量の情報を超高速処理するためには光のもつ優れ た特性を充分 に利用で きるシステムの開発が必要である。本論文では電気一光制御および光一光制御 有機非線形光学薄膜の作成、評価及び超高速光スイッチング応用 を研究 した。

1章

では、光情報処理における有機非線形光学材料の特徴、優位性などをまとめ本研究の目的を 述べている。

2章では、電気一光制御のための有機非線形光学薄膜の新規製膜方法の開発 と評価などについて まとめている。基板上に電極を設け、二つの分子の内少な くとも一つに極性を持つ分子 を電界印加下 で蒸着重合 させ分子の配向を揃えた高分子膜を室温で作成できる電場アシス ト化学的気相堆積

(CDV)

法を開発 した。 これによってエポキシ及びアミンか ら側鎖型電気光学 (EO)高 分子薄膜 を作成 した。

そのEO定数力%6℃でポーリング処理 したものに比べ3倍以上にな り、電場アシス トCDV法の有用性 を確認 した。またSi02を斜方蒸着 した基板 を用いて無電場でジアルデヒドとジアミンの蒸着重合によ

り配向高分子膜 を作成 し、3次非線形光学効果 も増強で きることを示 した。

3章では、光一光制御有機非線形光学薄膜の作成、評価及び超高速光スイッチング応用について まとめた。スクエアリリウム色素 (SQ)の 分子構造、製膜法、後処理などを最適化することにより、

分子間の静電気的な相互作用を利用 して分子集団を巨大な遷移双極子モーメントを持つ一つの超分子 とみなせるJ一会合体薄膜を作成 した。これは単量体 にくらべ長波長側に鋭 く非常 に強い吸収スペク

トルを示 し、光 と強い相互作用を示す。 この膜をフェム ト秒(お)ポンプ・プローブ法で吸収変化を観 測すると、J‐会合体の770nmの吸収が減少t、 0。3及 .8ピコ秒(ps)の時定数で回復 した。吸収端 よ りわずかに長波長側で励起すると遅い成分がほとんどな くなり、lps内 に90%以上が回復 した。 この 薄膜の3次非線形光学定数は、よく知 られたバナジルフタロシアニンに比べ3桁以上大 きいことを明 らかにした。透過率は1.64GW/cm2の 光照射 により2.6倍増加 した。これらの結果からSQの会合体 薄膜では、 1フ ォ トンあた り4‑8個の分子が同時励起 されると評価 した。次 にこの ような薄膜 に

Lに対応するl ps間隔の信号光 とそれに対 して17.5度斜めから亀制御光を照射 し一時的吸収変化 の応用 を検討 した。■Lシリアル信号 をlx4か2x4のパ ラレル信号 に変換できることを明らか にした。

4章では、本論文の成果をまとめ、今後の展望 を述べている。

以上のように、本論文は新 しい電場アシス トCVD法による有機非線形光学薄膜の作成、J―会合体 薄膜の超高速応答計測 とそれによる¶陀 信号のシリアル・パラレル変換などにおいて顕著な成果 を あげてお り、光情報処理関 し工学上の寄与が大 きい。よって本論文は博士(工)の学位 を授与するに 充分値すると結論 された。

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参照

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