長崎大学工学部研究報告 第20巻 第34号 平成2年1月 43
1987年8月台風12号による平戸大橋の変形解析
高橋 和雄*・小西 保則*
彭 大文**
Static Behavior of Hirado Bridge by the Typhoon 12,1987
by
Kazuo TAKAHASHI*, Yasunori KONISHI*
and Pen Da Wen**
Typhoon 12,1987 struck Nagasaki district on August 30−31,1987。 Maximum instantaneous wind speed was 64.O m/s at the surface of Hirado Bridge. This wind speed is greater than that of design wind. Expansion joints and center ties of Hirado Bridge were damaged by this typhoon.
In this paper, the static response of Hirado Bridge subjected to wind loads is reported for two wind speeds. Some considerations are presented about deflections of the suspension bridge.
1.まえがき
平戸大橋は昭和52年に長崎県の田平と平戸を結ぶ雷 の瀬戸に架設された支間460mの2ヒンジ単純吊橋で ある.昭和62年8月の台風12号の直撃を受け,吊橋路 面付近に設置している風速計は8月31日午前1時48分
に最大瞬間風速64m/secを記録した1).平戸大橋の設 計風速は,平戸測候所の資料から再現期間100年,耐用 年数50年,非超過確率0.6として,吊橋の吊構造に対し て58.6m/secとなっている.平戸大橋は完成後10年の 経過に過ぎないのに,設計風速を超える風荷重を受け たことになる.この台風によって,平戸大橋に平戸側 伸縮装置,センターステイの緩みなどの破損が生じた.
このような設計風速を超えると考えられる風荷重を受 けた吊橋の被害はこれまで例がなく,この台風12号に よる風荷重を受ける平戸大橋の挙動を明らかにしてお くことは重要なことである.
そこで,本論文では,台風12号による風荷重を受け
る平戸大橋の変形解析を行い,台風時に生じる吊橋の 水平横たわみ,伸縮装置の位置における水平回転角を 風の迎え角をパラメーターとして明らかにする.これ によって,伸縮装置の許容回転変位と台風時の回転変 位の比較を行い,破損の原因を考えるとともに,台風 12号の風速による変形と設計風速との差を明らかにす
る.
解析にあたって,台風時の吊橋の水平横たわみは大 きくなるので,ケーブルの幾何学的非線形性を考慮す るものである.,また,風荷重は抗力,揚力,空力モー メントの各成分をもつこと,補剛トラスのキャンパー がねじれに効くことなどから,鉛直,ねじれおよび水 平横たわみの各変形が連成するとした取扱いが必要と なってくる.したがって,解析において吊橋の補剛ト ラスを薄肉弾性ばかりとみなした各変形の連成を考慮 した基礎方程式を用いる.数値解析では,設計風速と 台風12号の風速の2つの風荷重による変形解析を行い,
平成元年9月30日受理
・土木工学科(Department of Civil Engineering)
・*福州大学土木建築工程系(Department of Civil Engineering, Fuzhou University, Fnlian, China)
各変形の大きさ,風の迎え角の影響および台風12号に よる被害との対比を行う.
以上より求められた設計風速を,
と併せて,Table 1に示す.
台風12号による風速
2.平戸大橋の台風12号による被害
(1)被害の概要1)
昭和62年8月31日未明の台風12号で,長崎県福江,
厳原,平戸の各地で観測史上の最大瞬間風速が記録さ れた.昭和52年4月に開通した平戸大橋は南北の雷の 瀬戸を横断する支間460mの2ヒンジ補剛トラス吊橋 であるが2),このとき,下面付近に設置されている風速 計で,最大瞬間風速64.Om/secの風の作用を受けた.
この台風で,平戸大橋は,伸縮装置の一部の破損やセ ンターステイの緩みが生じた.その被害の概要は次に 示すとおりである.
すなわち
①平戸側伸縮装置路面部の遊間寸法が設計寸法20 mmに対して,100mm〜200mm程度に拡大した.
②平戸側伸縮装置内部において,横雨と縦桁の取付 け部のボルトが緩み,破断した.
③平戸側伸縮装置櫛形金物が約100mm程度,側径 間側に移動して戻っていない.
④センターステイが緩み,ソケットが回転している.
これは,ロープが弾性域から塑性域に達したもの とみられる.
(2)平戸大橋の耐風設計2)
設計風速を求めるためには,その基礎となる基礎風 速を求める必要がある.再現期間と風速期待値の関係 は,平戸測候所の1940年から1969年までの29年間の観 測値の資料より,
y=4.99κ十18.78
また,再現期間R,構造物の耐用年数αおよび非超過 率σの関係は次のとおりである.
1 1〜= 1一σ11α
平戸大橋の場合,最終的に耐用年数50年,非超過確率 0.6,再現期間98.4年として,基本風速は妬。=41.7 m/secと定められた.また,設計風速は,基本風速を 高度,水平補正することにより次の式で求められる.
7=『レ10×〃∬×〃乙
ここで,y:設計風速 %。:基本風速
乃4H:高度による補正係数 ル∫ム:水平長による補正係数
Table l Speed of wind applied to the bridge.
Degign wind
@ velocity Typhoon 12,1987 Truss 58.6 64.0
Cable 63.2 64.0
3.風荷重を受ける吊橋の解析理解
(1)解析手法の概要3)・4)
風荷重を受ける場合,吊橋の水平変位は大きく,ケー ブルの非線形性が効いてくる.また,風荷重が抗力,
揚力,空力モーメントのように各成分を持っているの で,三遷を考慮した解析が必要となってくる.
そこで,解析にあたり,鉛直たわみ,ねじれおよび 水平横たわみの各変形が連成した薄断面ばりとしての 基礎方程式を採用する.この方程式は補剛桁のキャン パーによる初期曲率κ,ハンガー取付点と補剛桁重心 距離αの影響が考慮されており,ケーブルの変形に
は,幾何学的非線形項が含まれている.
(2)吊橋の一般図および記号
本論文の解析にあたっては次の記号を用いた.
/ :補剛桁中央径間長(m)
∫ :ケーブルサグ(m)
砺 :タワーハンガー点でのハンガーの長さ(m)
∫* :キャンバーサグ(m)
4 :補剛桁の高さ(m)
∂ :主ケーブル間隔(m)
8 :補剛桁せん断中心と重心との距離(m)
α :補剛桁の重心と上弦材中心の距離(m)
κ。(g):吊橋完成時のケーブル形状(m)
κ*iz):吊橋完成時の補剛桁のキャンパー(m)
雇z):ハンガー長(m)
Lβ :ケーブル形状長(m)
L。 :ケーブル温度応力長(m)
γ1,γ2:ケーブルの水平角(rad)
ム :補剛桁の鉛直方向断面2次モーメント(m4)
ム. :補剛桁の水平方向断面2次モーメント(m4)
ノ :補剛桁のねじれ剛性(m6)
Zω :補剛桁の曲げねじれ剛性(m6)
・4。 :補剛桁の断面積(m2)
.4, :主ケーブルの断面積(m2)
κ :補剛桁の曲率(1/m)
Hω :死荷重によるケーブルの水平張力(t)
島f:活荷重によるケーブルの水平張力(t)
1987年8月台風12号による平戸大橋の変形解析 45 勧 :補剛桁の単位長さ当り死荷重(t/m)
ω、 :ケーブルの単位長さ当り死荷重(t/m)
ρ。(2):補剛桁に作用する鉛直方向活荷重(t/m)
ヵゐ(g):補剛桁に作用する水平方向活荷重(t/m)
ρ。(g):ケーブルに作用する水平方向活荷重(t/m)
物(z):補剛桁図心のねじりモーメント荷重(t)
蕨z):補剛桁図心の鉛直変位(m)
πゼ(g):ケーブルの鉛直変位(m)
択g):補剛桁図心の水平変位(m)
猟2):ケーブルの水平変位(m)
蝋z):ケーブルの軸方向変位(m)
φ(g):補剛桁せん断中心のねじれ回転解(rad)
磁2):ハンガーの傾斜角(rad)
E :鋼の弾性係数(t/m2)
E, :ケーブルの弾性係数:(t/m2)
G :鋼のせん断弾性係数(t/m2)
y(z):風速(m/sec)
α(2):風の迎え触(rad)
ρ
α α CM
ノ吐。
.4乙
(3>
1)
:風の密度(t・sec2/m4)
:補剛桁の抗力係数
:補剛桁の揚力係数
:補剛桁の空力モーメント係数
:補剛桁の有効鉛直投射面積(m2)
:補剛桁の水平投射面積(m2)
解析上の基礎的仮定 ケーブルは完全に可擁である.
2)ケーブルおよび補剛桁の単位長さ当りの死荷重お よび断面性能は各径間ごとに一定である.
3)補剛桁の断面は左右対称である.
4)塔の伸縮および曲げを無視する.
5)ケーブルおよび補剛桁の死荷重はケーブルのみに 支えられる.
6)ハンガーは非常に密に配置されており,ケーブル と補剛桁は連続的にハンガーに連結される.
7)ハンガーは垂直で,載荷によるひずみを無視する.
8)補剛桁は薄肉断面ばりとみなされ,一般のはり理 論が成立する.
9)ケーブルおよび補剛桁の変形は微小で,フックの 法則が成立する.
10)補剛桁の軸方向変位を無視する.
11)ケーブルの傾斜角は載荷後も一定で,ケーブルの 定着点では不動である.
12)載荷に伴うハンガーの軸方向傾斜は無視する.
13)補剛桁の鉛直断面の図心に水平,鉛直およびねじ りモーメントからなる外力が作用する.ケーブルは 水平外力のみが作用する.
14)ケーブルの水平張力は塔上で連続する.
15)吊橋のキャンパーは中央径間で放物線,側径間で 直線とする.
16)吊橋の中央径間のキャンパーによる初期曲率は小 さい.よって,補剛桁の解析にあたっては等価な円 弧に近似する.
(4)基礎方程式
以上のような仮定にもとづいて,風荷重を受ける吊 橋の基礎方程式を求めれば,次の・ように得られる.
●Eムz〆一(2∬躍十島1十島2)π
+(砺1−1協2)書ポーρr(島1+島・)享
・(脇2−1協1)書・ +躍一(α一2・Eみ。)グ
一(2Hω十」臨ゴ十」砺2)射
+泓κ2φ一E(ムω一κzω)む4
+κ(ムωκE−EZバG1)ガ+α(ρ,+ω∂θ 一槻+(島2−1協1)夢〆
・一E(ムω一zωκ)φ4一κ(Eムー1憂。κ+67)φ 十E(lh−21ンωκ十Zωκ2)z/4
一(琢2zノ 十(ργ十zo∂θ=1)海
●(2∬澱十2%1十1五、2)σ 十(ργ一トω )θ=ρc
●みθ=zノー〃十αφ
また,ケーブル方程式は次のように求められる.
島ゴ=一 L8
_⊥
2
E訟。kΣ{ぺ∫
∫二一・辺瑚 一一
(1)
(2)
(1)式を用いて,3分力を考慮した一様分布の風荷重 を受ける場合の静的挙動を解析する.風荷重はその大 きさが変形とともに,変化する非保存系であるために,
厳密には,保存系としては誘導した方程式には適用で きないが,静的問題では第1近似値として有効である と考えられる.
(5)風荷重のモデル化
構造物に風が作用すると構造物の空力特性によって 定まった抗力,揚力および空力モーメントの特性曲線 が求まる.吊橋においては特に,補剛桁断面の耐風特 性を検証する意味から,2次元模型による風胴実験が 行われている.迎え角αについて,各係数は次のよう
に線形化される.
窃(・+φ)一α(・)±(需)沖
α(・+φ)一。・(・)+(盤)ノ (3)
c・(・+φ)一。・(・)+(倫)沖
したがって,吊橋に作用する活荷重は,風荷重を用吟 て次のように表わされる.
ρ・一一去・γ・c・A・一一五一ム・φ
ρ、一掴・陥ん一α+a・φ (1)
吻・一・7・c帰一〃・+砿*φ
ρ・一去・7・ん・一D・
ここで,
L・一・7・c・ん
ム・一計ργ・(4CL万)沖
D・一・y・c・ん
a・一門・レ・(過ぬ)漁 孤一音・γ・c戯 孤・一等・y・(4CM4。)沖
(6)ガラーキン法による解法
吊橋のケーブル形はサグ∫なる放物線,側径間の キャンパーはサグ∫*なる放物線とすれば,ハンガー 長は次のとおりである.
ぬ(。)一紛一(κc十κ*).
=4(!+∫*)g2μ2−4(〆一ト∫*)gμ一ト13T (5)
吊橋の塔が変形しないとすれば,補剛桁およびケー ブルの境界条件は次のとおりである.
π(0)=π(!);0,π (0)=% (1)FO φ(0)=φ(の=0,φ (0)=φ (0)=0 (6)
o(0)=刀(/)=0, 〆(0)=グ(の=0 歪ア(0)=乞ア(/)=0, θ(0)=θ(/)=0
この境界条件を満足する変形形状を,次のようにフー リエ級数の形に仮定する.
π(9)=Σα。sinππζ φ(9)=Σ6。sinηπζ
〃(9)=Σ6。sinππζ1 (7)
σ(9)=Σ4。sinηπζ
θ(9)=Σε。sinππζ,ζ=9μ
(5)式,(7)式を(1)式に代入して,ガラーキン法を適用 すれば未定定数を求めるための連立方程式が得られる.
・{泓(誓)4+(2出+島1+島・)(子)2
+蝕κ・}・・+{一書価・一千・)(7¢π/)2
+ム}あ
一一蓋{(.乙亡*十島1十砺2)夢}
{1一(一1)π}
・一
・ソ・一島・)(ηπ/)2・・+〔Eノ・(劉
ヤー2・E恥+誓(2一+伽)}
(ηπ/)2+泓・・一砿*〕翻
+〔E(κ孟一ムω)(子)4
+・(G1+EムーEκムω)(誓)2〕砺
「α(L一ωのθ・
一羨{躍+普(佐一島2)肇}
{1一(一1)η}
・{一E(ムω一zωκ)(撃ア.
+・(Gソ+EムーEるωκ)(誓)2−D・}翻
一{E(1バ2ろ,ωκ+1ωκ2)・(誓)4
+(詠・i誓)2}α一(h・)鰯 一瞬{1一(一1)脇
・一竅{島・+砺)(ππ!)画 一(五一ω∂師一撃{1+1)η瓦
●αろη十〇η一4π
一{砺一2(∫+∫*)(÷+訴)ト
(8)
1987年8月台風12号による平戸大橋の変形解析 47
!RADO
一「 45.0
↑ABIRA
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寸 4
ォ 十
十7.1
6 卿0.0
@ 十 ← の
@ 卓 + → → 喝
@ 中 亨
十
@ ゆ
@十 T4.0
尋 ゥ や
8. 尋465.4
Fig.1 Geometry of Hirado Bridge.
l
k∵藩
3.25 4x2.0 胃8.0 3.25
14.5
6,0
ユ
Fig.2 Cross−section of Hirado Bridge.
一32(ノ+!*π2)恩(識)砺
また,ケーブル方程式は次のように表わされる.
砺禦・{影Σ麦(・・±書δ・)
+毒鵡一・幽} (9)
(7)平戸大橋の構造諸元
平戸大橋の側面図および断面図を,それぞれFig.
1,2に示す.その構造諸元は次に示すとおりである.
型 式:2ヒンジ単純吊吊橋 支 間:460m
ケーブル:サグ!=45m 断面積、4。=0.17m2 ケーブル長しE=830m ヤング率E。ニ2.0×107t/m2
補剛桁:主構高E=6m 主構間隔B=14.5m 初期曲率κ=8.49×10一 /m
ハンガー取付け点と補剛桁の中心距離 α=0.36m
鉛直方向断面2次モーメント !抄=1.648m4
水平方向断面2次モーメント ム=9.621m4
ねじれ剛性係数ノ =0.890m4 曲げねじれ剛性係数1ω=33。96m6 ヤング率E=2.1×107t/m2 補剛桁の鉛直有効投射断面積.4D=3.335m2 補剛桁の水平有効投射断面積.4L=14.896m2 また,空気の密度ρ=0.125kg sec2/m4として求めら れる.設計風速ならびに台風12号による風荷重を,そ
Table 2 Wind loads by the Typhoon l2,1987.
ム (t/m) ム*(t/m) Dご (t/m) D *(t/m) 1)C (t/m) 払 (tm/m) ル1オ*(tm/m)
0。 一〇,276 11,253 1,564 一1.696 0,716 1,291 18,976 3。 0,241 8,488 1,494 一〇.816 0,716 2,292 10,933 一3。 一〇.829 12,539 1,661 一2.112 0,716 一〇.323 35,736
Table 3 Wind loads by the design wind speed.
ム (t/m) L *(t/m) 1)ご (t/m) 1) *(t/m) 1)c (t/m) ルf亡(tm/m) 〃S* itm/m)
0。 一〇.392 13,423 1,866 一2.023 0,734 1,540 22,635 3。 0,287 10,124 1,782 一〇.973 0,734 2,734 13,041 一3。 一〇.989 14,957 1,981 一2.519 0,734 一〇.385 42,626
一ユ5 一憩
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一〇.3 ¶一Z,06
一〇.ユ1 ㌔0.08
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Fig.3 Relations between components,α,
OM and CD of wind force and the attack angleα。
れそれ,Table 2,3に示す. Fig.3は風荷重を求め るために,平戸大橋の風胴実験より得られた抗力,揚 力および空力モーメントの係数である2).
4.平戸大橋の台風12号による変形とその考察 設計風速と台風12号による風を受ける平戸大橋の変 形の数値解析結果をTable 4,5およびFig.4〜8
に示す.
Table 4は風の迎え角α;一3.,0.,3.に対する活 荷水平張力1ゐ、,1協2,補剛桁中央断面の水平変位〃,
ねじれ角φ,水平横たわみ。,ケーブルの水平横たわみ 哲,ハンガーの傾斜角および補剛桁の支承における水 平回転角γの計算結果である.また,Table 5は設計 風速と台風12号による変位の増加率である.Fig.4
〜8は台風12号による変位を示す.
Fig.4に;補剛桁鉛直変位πを示す.風の迎え角α=
0.のとき,補剛桁はほとんど垂直変位を起こさない.
α=3.,一3.のとき18cm程度の変位が生じる.また,
Table 5より台風12号によって鉛直変位はα=3.,
一3.で30%,14%それぞれ増加することがわかる.補 剛桁の鉛直変位において,ケーブルの水平変位による 鉛直変位も考慮するため,風が補剛桁を押し上げる,
Table 4 Comparison of deflections with design wind speed and the Typhoon 12,1987.
γ (m/sec) 58.6 64.0
α 一3. 0. 3。 一3。 0。 3.
Hρ1 (t) 298.20 103.72 一63.05 360.89 142.80 一74。53 島2 (t) 206.50 73.54 一56.74 251.45 107.74 一66.20
〃 (m) 0.1560 0.0020 一〇.139 0.1770 0.0073 一〇.180 φ×10−3 (rad) 一6.353 一2.307 0,103 一7.591 一2.693 0,182
θ (m) 3,270 3,135 3,052 3,831 3,676 3,593 σ (m) 3,055 2,933 2,857 3,571 3,430 3,354 θ (rad) 0,131 0,125 0,121 0,159 0,152 0,148 γ (rad) 0,023 0,022 0,021 0,027 0,026 0,025
Table 5 1ncrease in deflections Typhoon l2,1987.
by the
α 一3. 0。 3.
島1 1.21 1.38 1.18 島2 1.22 L47 1.17
π 1.14 3.65 1.30
φ 1.20 1.17 1.77
四 1.17 1.17 1.18
σ 1.17 1.17 1.17
θ 1.21 1.22 1.22
γ 1.17 1.18 1.19
一3
−2
−1
0
三
2
ヨ
・1
!!ρ・!ノノノ
/夢!
1
__↓
1
Fig.4
\\コζ1 。・2 ・・3 0・4−0・5 、一一一一〜.4可
1
×10・・(。) l
Vertical displacement u of the stiffen−
ing trUSS.
1987年8月台風12号による平戸大橋の変形解析 49 つまり,α=3.の作用を受けるときに不利となる.α
=0.のとき,その変位の増加率が265%であるが,変位 そのものが,α=3.,一3.に比べて微小であるため無 視できる.
Fig.5,6はそれぞれ補剛桁とケーブルの水平変位
〃,σである.風の迎え角αの影響はほとんど受けな
い.
Fig.7に示すハンガーの傾斜角θは風の迎え角の 影響をあまり受けないが径間中央に近づくと急激に大
きくなる.これは,径間中央では塔付近に比べて,ハ ンガー長が短いためである.
Hg.8に補剛桁のねじれ角φを示す.平戸大橋は2 車線2歩道で幅員が14。5mと狭いためにねじれに対 する剛性が小さく,他の吊橋に比較してそのねじれ角 は大きい.ねじれ角は迎え角の影響をかなり受け,特 にα=一3.の風の作用を受ける場合に不利となる.
Table 4からねじれ角はα=一3.のとき,α=0.の 場合に比べて約3倍になることがわかる.また,Table
5より設計風速に比べて台風12号では,ねじれ角が約 20%増加していることがわかる.
補剛桁の支承部における水平回転角7による橋軸 方向の変位差もα=一3Dで最大となり,その変位差は 幅員×支承回転角γ=1450×0.027=39cmである.
これより,支承部においてその許容範囲を越えた回転 角が生じた可能性があると考えられる.実際に,2.
に示したようにその破損箇所は,橋軸方向の力に弱い 支持桁に集中している.橋の遊間寸法の拡大,伸縮装 置の破損がそれである.よって,橋の破損の原因は,
センターステイの緩みによる橋軸方向変位の増大およ び支承部における補剛桁水平回転角増大に伴う,これ までに経験のない軸方向への動きと推察できる.
Table 5において,台風12号による荷重の増加(風 速の自乗の比)19%に比べ,ρ,θの増分は17%で約 2%少ない.これはケーブルの幾何学的非線形性の影 響と考えられる.
橋の遊間寸法は,設計寸法20mmに対し,台風12号 の風速64.Om/secの作用により,100mm〜200mmに 拡大した.この時の橋軸方向変位は39cmである.橋の 変位は風速の2乗の比に比例する.よって,これより 逆に考えると,遊間寸法20mmに対する風速は約15 m/secとなり,設計風速58.6m/secの約4分の1であ る.遊間寸法についても検討を加える必要があるとい
える.
o
1
vI
2
3
i
(m)
0.旦 0.2 0.3 0.4
、ミミ\
・鴨※、
、N.
・ミミミ_._.
Fig.5 Horizontal displacementθof the stiffening truss.
0
i
O.5
電α=3。
α=6●
α鵠一3伽
2
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i
(鵬)
0.1 0.2 0.3 0.4
『rrミ蕊 、ミミミミ、
、、ミミーL 、、 臥。
、、 =』一 0.5
o:=3唇
¢=0 僅=一3
Fig.6 Horizontal displacement西of the cable.
0
0.5
LO
L5
θ1
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5
\ 1
\, 1
ヘミ コ
\ 1 \1
、、㌻ に=3・
、 \ ,α=0●
・1・4(・・d) ド『
Fig.7 1nclination angleθof the hanger.
一?
一6
−5
−4・
一3
−2
−1
0 1φ1
!!
!
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!!
!
!!
O.1 0.2
!!
!
!
o.3 0.4
5.まとめ
本研究は,台風12号による平戸大橋の変形解析を
_一一一一 P膨・一3・
●傷冨0
●、一一・_._。_,_.一・一・一 一一一 一
×10・3 (rad)
_ 0.5 α=3
Fig.8 Torsional angleφof the stiffening trUSS.
行ったものである.得られた結果をまとめると次のと おりである.
(1)平戸大橋は幅員が狭いために,ねじれに対する 剛性が小さく,ねじれが他の吊橋に比べて大きい.
補剛桁のねじれ角は迎え角の影響を受け,特に負 の場合不利となる.
(2)補剛桁の支承部の回転角による橋軸方向の変位 差は39cmとなり,支承部の許容回転角をはるか に超えた可能性がある.実際に,平戸大橋の破損 は,橋軸方向の力に弱い部分に集中している.こ れより,支承部の回転軸に伴い,破損が生じたと 思われる.
(3)台風12号により設計風速と比べて荷重が約19%
増加した.それに伴って変位も17%前後増加する.
本研究を行うにあたって,資料を提供して頂いた長 崎県土木部道路建設課小松橋梁係長に感謝いたします.
また,数値計算にあたっては,卒論生岩永政昭氏(現 在PSコンクリート㈱)のお世話になった.
参考文献
1)長大㈱:平戸大橋台風12号による被害調査報告 (中間報告),昭和62年9月
2)建設省土木研究所構造研究室:平戸大橋基本調査 耐風調査報告書,pp.1〜4,昭和46年3月 3)平井敦・銅橋III,技報堂,昭和49年9月 4)高橋・室井・平野:連成を考慮した吊橋の基礎方 程式およびその風荷重への応用,土木学会論文報 告集,277号,pp.25〜40,1978年9月