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加齢による脊柱アライメントの検討

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Academic year: 2021

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加齢による脊柱アライメントの検討

新潟医療福祉大学理学療法学科・佐藤成登志,小林量作 東京工科大学理学療法学科・地神裕史 新潟リハビリテーション病院・山本智章,立石学

【背景】

脊柱アライメントを簡便かつ定量的に評価するために,

近年,脊柱計測分析器 Spinal Mouse を用いた報告がある.

我々は,腰痛全体の 85%以上を占める非特異的腰痛の原 因とも考えられる姿勢性腰痛との関連で脊柱アライメン トについて検討してきた.しかし,比較となる健常者のデ ータが極めて少ない状態である.

そこで,本研究は,健常者における脊柱アライメントの 変化を検討する.特に成人群と高齢者群の比較,および年 代別の脊柱アライメントの変化を明確にすることを目的 とする.

【方法】

我々の先行研究で,脊柱アライメントには男女間において 有意差があることを受けて, 対象者は, 健常成人女性 89 名 (22

~94 歳,平均年齢 58.3±21.3 歳)とした.さらに,20 歳以 上~65 歳未満 45 名(以下,成人群)と 65 歳以上 44 名(以 下,高齢者群)の 2 群に分類した.但し,現在腰痛のある人 や膝関節の伸展制限のある方は,対象から除いた.

脊柱計測分析器 Spinal Mouse(Index 社製)を用い,立位 姿勢における矢状面の胸椎後彎角,腰椎前彎角,仙骨傾斜角 および脊柱傾斜角を側定した.胸椎と腰椎の彎曲は,後彎を 正,前彎を負とし,仙骨傾斜角と脊柱傾斜角は,前傾を正,

後傾を負とした.以下の 3 点について統計学的に検討した.

なお,有意水準は 5%とした.1.胸椎後彎角,腰椎前彎角,

仙骨傾斜角, 脊柱傾斜角と年齢との相関関係, 2. 胸椎後彎角,

腰椎前彎角,仙骨傾斜角,脊柱傾斜角における成人群と高齢 者群との比較,3.胸椎後彎角,腰椎前彎角,仙骨傾斜角,脊 柱傾斜角における年代別の関係.

本研究は当大学の倫理委員会の承認を得たうえで,全対象 者には,本研究の趣旨を説明し同意を得て行った.

【結果】

<胸椎後彎角,腰椎前彎角,仙骨傾斜角,脊柱傾斜角と年齢 との相関関係>

胸椎後彎角は,年齢との有意な相関が認められなかった.

腰椎前彎角,仙骨傾斜角,脊柱傾斜角は,年齢との有意な相 関が認められた (腰椎:r=0.45 p<0.01, 仙骨:r=-0.41 p<0.01,

脊柱:r=0.40 p<0.01) .

<胸椎後彎角,腰椎前彎角,仙骨傾斜角,脊柱傾斜角におけ る成人群と高齢者群間との比較>

胸椎後彎角は,成人群 42.6 度,高齢者群 44.4 度で有意な

差がなかった.腰椎前彎角は,成人群-24.8 度,高齢者群-

15.6 度で有意に高齢者群の方が小さかった(p<0.01) .仙骨 傾斜角は,成人群 13.0 度,高齢者群 4.9 度で有意に高齢者群 の方が小さかった(p<0.01) .脊柱傾斜角は,成人群 0.9 度,

高齢者群 3.7 度で有意に高齢者群の方が大きかった(p<0.01) .

<胸椎後彎角,腰椎前彎角,仙骨傾斜角,脊柱傾斜角におけ る年代別の比較>

胸椎後彎角は,年代別における有意な差がなかった.腰椎前 彎角,仙骨傾斜角は,60 歳代以降から減少傾向にあり,20 歳代,30 歳代,40 歳代,50 歳代,60 歳代,70 歳代と比較し て 80 歳代で有意に減少していた(p<0.01) .脊柱傾斜角は,

各年代と比較して 80 歳代で有意に増加していた(p<0.01) .

【考察】

高齢者になるにつれて姿勢は変化すると言われている.加 齢に伴い,腰背部筋の低下が起こり易くなり,その結果,胸 椎後彎が強くなり,腰椎の生理学的前彎が減少するとの報告 がある.一方,骨盤や股関節周囲筋の機能不全により,骨盤 が後傾し仙骨傾斜角が減少することに伴い腰椎前彎が減少す るという仮説もある.また胸椎後彎角と腰椎前彎角および仙 骨傾斜角は相関がないが,腰椎前彎角と仙骨傾斜角は相関が あると言われている.以上のことから,加齢に伴い,胸椎後 彎角,腰椎前彎角および仙骨傾斜角は変化し,互いに脊柱ア ライメントに影響し合うものと考えられる.本研究では,加 齢に伴う胸椎後彎の変化はなく,腰椎前彎の減少と仙骨傾斜 角の減少がおこり,脊柱が前方に傾斜するといった結果とな り,前述した後者の仮説を支持するものである. 成人群と高 齢者群間の比較や年代別の関係についての結果から,20 歳〜

50 歳代位までは腰椎前彎角および仙骨傾斜角の大きな変化 を認めないが,60 歳代から徐々に減少する傾向にある.下肢 や体幹の筋量は,50 歳代から有意に減少するとの報告がある.

加齢により脊柱を支えている筋量が減少し,60 歳代位から脊 柱アライメントの変化に影響を与え,80 歳代以上では明らか な脊柱アライメントの変化をもたらすものと考えられる.

今後はさらに,関節柔軟性や体幹の筋力なども含めて,加 齢による脊柱アライメント変化のメカニズムを解明すること が必要である.

【結論】

本研究は,腰痛疾患例の姿勢の影響を検討するためのコン トロールデータとして,健常者のデータを構築している.今 回の研究では,20歳代~90歳代女性の加齢に伴う矢状面での 脊柱アライメントの変化を明らかにすることができた.加齢 に伴う脊柱アライメントの変化を知り,そのメカニズムを解 明することは,姿勢の変化や腰痛を予防する一助になると考 えられる.

なお,本研究は,平成 23 年度の新潟医療福祉大学「研究奨 励金(発展的研究費) 」の助成を受けて行ったものである.

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プロセスシアン

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参照

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