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脊柱資料5

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Academic year: 2022

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(1)

IAIR認定

B-class ライセンスコース

脊柱の評価と治療

(2)

■脊柱調整の意義

脊柱の役割には上記3つが考えられる。人間が活動するにはどれも重要であり、こ のうちどの役割に支障をきたしても機能制限の原因にあげられるだろう。

■構造的な支持機構

直立二足歩行を獲得した人類の脊柱はS字状の生理的な湾曲を有している。 その湾 曲(S字状)により荷重の分散や、衝撃の緩衝が可能となっている。S字状という見 た目の構造だけでなく、椎間板の存在や椎間関節の可動性なども安定性に貢献して いる。

脊柱は頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個の合計24個の椎骨で形成され、それぞれの分節 的な運動と協調的な神経支配によって、体幹の安定性と運動性を保っている。脊柱 を評価、治療する際には可動性の低下した箇所にのみ着目することなく、24個全体 の関係性を考慮することが推奨される。

脊柱を含む体幹部は、「安定性(stability)と運動性(mobility)」という一見矛 盾した力学的要求の両立に応えられるように調整していくことがリハビリテーショ ンの臨床で求められる。

▼筋収縮による安定性

人間の脊柱は立位や座位といった抗重力環境下で椎間関節、椎間板、靭帯といった 構造的な支持機構に加えて筋収縮で直立位を保っている。

ローカルマッスルと呼ばれる多裂筋や大腰筋は椎骨と付着する部分も大きく、抗重 力下で脊柱を一定の形に保つこと(協調的な安定性)に貢献している。

[脊柱の役割]

・構造的な支持機構

・運動の伝達

・神経保護(脊髄)

(3)

*ローカルマッスルの役割は骨を支える、骨を繋ぐことにある。主に安定性への貢 献と考えられる(抗重力活動)。

脊柱起立筋群のようにグローバルマッスルと呼ばれる筋の役割は骨を動かすこと、

(筋紡錘からの求心性インパルスなどによる)情報収集と言われる。これらは主に 運動性への貢献と言える。

安定した支持機構とは、強固に固まった塊の状態を示すのではなく「可動性を伴っ ている」ことを指す。

この脊柱の安定した支持機構は、特に四肢の運動時に要求される。四肢の運動時に 脊柱の運動や協調的な活動が同時に(不随意的に)起こることから、脊柱の機能は 四肢の運動制限の原因として見落としてはならない。

以上のように、脊柱は

・可動性と安定性を共存させて直立位を保つこと

・形を変えながら姿勢保持をすること

・四肢の運動 に貢献している。

▼内臓との関係

腹膜が付着する筋と一部の骨でできた壁のこと体壁という。脊柱も内臓を支持する 役割としてあげられる(不良姿勢の持続は臓器の働きにも影響する)。臓器を包む 腹膜は体壁を構成する横隔膜や大腰筋筋膜に付着する。それらが付着する椎体の周 辺で運動制限や痛みが知覚されることがある。

内臓の炎症や急激な組織の伸張などによる求心性のインパルスが発端で、臓器周辺 の筋組織などが収縮することがある(筋性防御)。この場合、求心性インパルスは 自律神経系、遠心性インパルスは体性運動神経と考えられる。長期化した場合脊柱 の可動性低下にもつながる。(内臓体性反射)

▼自律神経幹との関係

内臓の働きは自律神経によってコントロールされる。

自律神経には脊髄に由来する繊維もあり、脊柱の状態とは相互に関係を持つことが 考えられる。

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交感神経幹は椎体前面外側に分布する。脊柱のトラブルが自律神経系に影響を及ぼ すことは推測できる。実際、腰椎椎体圧迫骨折など、脊椎の外傷後、便秘を訴える 人は多い。

副交感神経である迷走神経の走行は頭蓋、咽頭、喉頭と下行していき肺、心臓、胃 腸などの頚部以下の臓器に至る。頚部の異常は副交感神経系の異常とも関係するこ とが考えられる。

▼椎間孔の狭小化と末梢神経の滑走

中枢神経、末梢神経共に神経繊維自体の可動性(滑走)が存在し、四肢や体幹の関 節運動に伴って神経繊維にも滑走が起こる。

神経と膜組織間での滑走が制限されたまま運動が行われると、神経への伸長刺激と なり痛みや痺れとして知覚することが考えられる。徒手的な介入や運動療法によっ て、膜組織の滑走が行われると神経組織の可動性(滑走)が再獲得され症状の軽減 につながることを多く経験する。

可動性(滑走)が制限されている部位とその原因を特定することは臨床では重要な ポイントになる。

画像所見上の骨棘形成等を起因とした椎間孔の狭小化や神経根の圧迫が、四肢に現 れる痛みや痺れの原因と説明されることが多い。しかし臨床所見的には、画像所見 と必ずしも一致しないことが多く経験され、その報告も散見する(非特異的な腰 痛)。

(交感神経) (副交感神経)

(Anatomy & Physiologyより引用)

(5)

問診や他の検査から、あらゆる可能性を探ることが療法士に求められる。

(情報の統合)

■運動の伝達

●機能解剖

脊柱は椎間板、椎間関節で運動が起こる

(胸椎では肋椎関節、胸肋関節が加わ る)。

脊柱可動性の低下は、椎間板の変性や周 辺軟部組織間の固さ(滑走の制限)から 生じると考えられる。

頚椎、胸椎、腰椎のそれぞれで椎間関節 の形状が異なり、その結果主な運動方向 が異なる。

(例:L5/S1間:屈伸方向、C1/C2間:回旋方向)

胸椎は肋骨、胸骨と共に胸郭を形成する。胸郭の運動は肋骨間、胸肋部、肋椎関 節、横隔膜周辺軟部組織の柔軟性に影響を受ける。肺、心臓、大血管を守る構造に もなっているので、基本的には大きな可動性は求められていない。

人体の構造上、顔を前方に向けるため、脊柱では頚椎と腰椎で逆方向の回旋が起こ る。

●脊柱のカップリングモーション

椎間関節は関節面が傾斜しているために、側屈や屈伸運動の際に回旋運動が加わる 部位がある。このように、ある一定の軸での回旋運動の際に、それと異なる軸の回 旋運動が起こることをカップリングモーションと言う。

頚椎の可動制限を作っている原因が腰椎にあることも考えられる。回旋可動域制限 が側屈運動の乏しさで生まれていることも考えられる。

(Anatomy & Physiologyより引用)

(6)

しかし、その部位別の運動方向は諸説あり、統一された見解とはなっていな い。

■神経保護

脊髄を覆うクモ膜下腔には脳脊髄液が満たされ ている。神経組織を栄養するとともに衝撃から 保護する役割もある。24個の椎骨で脊柱管を形 成し脊髄を保護している。

脊柱は体を支える役割、安定性を伴う分節的な 動きとともに脊髄を守る役割が要求される。

過剰な物理適応力(例えば交通事故や転落事故、スポーツにおけるアクシデントな ど)が加わると脊柱の保護機能を超えて脊髄の損傷が起こる。

■解剖学「構造の確認」

●椎間関節

棘突起から約一横指外側のところが椎間関節の場所となる。

表皮組織、多裂筋などの上から触知、操作する。

●触診 ランドマークを確認 第一頚椎 横突起

第7頚椎 棘突起 第7胸椎 棘突起

第4腰椎 棘突起(ヤコビー線)

●胸郭と肋椎関節

胸郭は、胸椎、肋骨、胸骨で構成される一つのユニットである。

(Anatomy & Physiologyより引用)

(Anatomy & Physiologyより引用)

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・肋椎関節

肋骨頭関節(肋骨頭と胸椎肋骨窩からなる)、肋横突起関節(肋骨結節と脊椎横突 起からなる)で構成される。それぞれの可動性はわずかだが肋椎関節の可動制限 は、呼吸にも影響する。胸郭というユニットを評価、治療する際には胸椎のみでな く肋間、肋椎関節も含める。

肋椎関節、胸肋関節(胸骨ー肋軟骨)の制限は胸椎の制限因子にもなる。

●骨膜と筋膜、皮膚組織間の滑走

関節運動にともなって皮膚も動く。皮膚は関節の運動中心から離れた組織であるた め、関節運動の抵抗(制限)となりやすい。

棘上靭帯と周囲の皮膚軟部組織との滑走を確認する(皮膚を摘むことができるか否 かで評価できる)。

皮膚も含めて、周辺組織の可動性を高めることは末梢循環、固有受容器への刺激に なる。

*スキンローリング

皮膚を動かしたあとに見られる発赤→ヒスタミンによる血管拡張→発赤が長期間残 る場合はヒスタミン過剰なども考えられる(通常は15分くらいで消失)。

栄養状態の低下や自律神経反射などがあると、硬く動かない状態になることがある

(内臓体性反射)。

■評価のポイント

アライメント不良、偏移の大きさではなく『可動性(動き)の少なさ、(他動的 な)運動時の痛み』に着目する。

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組織の損傷、習慣的な姿勢や運動が、組織の肥厚、組織間の結合組織の変性を招 く。

「動かない箇所」の可動性低下は進み、隣接する「動く箇所」に代償的に可動性が 要求される。

●Hyper mobilityとHypo mobility

動きすぎる部位(過可動性)に機能異常が生じていた場合、その原因は動きの乏し い部位である場合が多い。症状は可動性が過剰な部位でも低下した部位でも出現す る。

可動性が大きすぎることで生じる機能制限に「関節不安定性」があるが、大きすぎ る可動性の原因になっているのは別の部位の可動性の減少であることが多い。

可動性が減少した部位も、痛みなどの機能制限の原因になりやすい。

そのため、IAIRでの脊柱アプローチの基本方針は「組織の滑走を改善する」という ことになる。

■脊柱TGAの手順

1)スクリーニング(視診)

座位で屈伸/側屈/回旋の自動運動を確認。Hyper mobility/Hypo mobilityの部位 を推測する。

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2)触診(Hypo mobilityの箇所を推測する)

・頚椎から腰椎までの棘突起周囲の軟部組織の固さを相対的に把握する。

・相対的な把握のため椎骨3~4個ずつの幅をとって、確認する。

・固さを感じられた部位は介入対象と推測される。

・浅層組織→深層組織の順番に確認する。

3)調整

・触診で介入対象と推定されたレベルの椎骨に対して行う。(他の部位に比べて固 さ、痛みがある場合や、同一部位での左右差があれば、介入対象)

・棘突起の両脇にコンタクトして、関節突起を滑らせるように押圧刺激を加える。

表層→深部(椎間関節)を意識する。

・押圧時の抵抗感と相手の主観的な痛みを判断基準とする。痛みや抵抗感の左右差 があれば続ける。

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■脊柱TGAのポイント

1.棘突起の横にコンタクトする。(深さが重要。指に伝わる硬さと相手の疼痛を指 標にコンタクトの強さを決める)

2.表層に近い組織から順に介入していく。深層組織をターゲットにするときは椎間 関節関節面の傾きに合わせて頭部の方向へ動かす。(終末抵抗感を感じるところま で)

3.終末抵抗感が感じられなくなる(抵抗感が軽減する)感触が得られたら終了。

*仰臥位、端座位で方法は異なるが基本的な手順は、姿勢が変わっても同様。

*座位での介入時は、対象の椎骨をコンタクトした後、頭部方向へ押圧し、抗重力 方向への伸展を指示する(自動運動)。

*第一頚椎では、棘突起ではなく横突起を両脇から挟むようにコンタクトして行 う。

■胸郭TGAの手順

1.肋骨間に術者の指を置く。

2.表層組織を滑走させる。(肋骨の形状に合わせて)

*呼吸時や脊柱運動(側屈、回旋)時の胸郭可動性改善が期待できる。

参照

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