原著F
名寄市病誌 18:9〜11,2010週1回投与製剤アレンドロネート35mgによる骨粗感症の治療効果
The effects of once week/y a/endronate 35mg for the treatment of osteoporosfs.
坂田 仁
1−litoshi Sakata
Key Words;アレンドロネート35mg、骨粗霧症、 DXA、骨密度測定、尿中NTX
はじめに た尿中NTXは午前中の採尿として測定を行った。
アレンドロネートは骨粗雑症治療薬の中で、腰 椎、大腿骨頚部骨折の予防効果について、2006年 ガイドラインでグレードAの評価を受けている。
また、骨密度増加効果についても広く認められて いる1)2)3>4)。日本においてはアレンドロネート5mg が200!年8月に、週1回投与製剤のアレンドロネー
ト35mgが2006年8月に発売され、現在長期投薬も 可能となっている。このアレンドロネート35mg について治療効果を調べたので、検討を加えて報
告する。
症例
症例は2007年4月より週1回投与製剤アレンドロ ネート35mg(ボナロン35mgまたはフォサマック 35mg)を投与開始して、1年以上経過を見ること の出来た47〜88歳の原発性骨粗霧症の女性52例で ある。その内訳は臨床所見、腰椎X−P、MRI検査 などにより、腰椎非骨折群29例(平均70.5±8.8 歳)、腰椎陳旧骨折群13例(平均74.1±6.9歳)、
腰椎新鮮骨折群10例(平均79.8±3.4歳)に分け ることが出来た。
投与前後に尿中NTXを測定できたのは31例で、
その検査間隔は平均5.8±2.0カ,月であった。
方法
結果
1)アレンドロネート35mgの骨密度増加効果と 腰椎骨折の骨密度に与える影響(図1)
腰椎に骨折を有しない症例では,投薬後4カ 月の骨密度増加は腰椎において3.0±2.7%、12 ヶ月では4.9±3.1%であった。腰椎陳旧骨折例 では4カ月で3.2±2.9%、12カ.月で6.4±3.9%の 増加を認めた。腰椎新鮮骨折例では4カ月で7.0 ±10.2%、12カ月で11.4±11.5%の増加を認め
た。
大腿骨の骨密度の増加率を見ると、腰椎に骨 折を有しない症例において、4カ,月では1.9±2.8 %の増加、12カ.月では2.7±3.4%であった。
腰椎陳旧骨折例では4カAで1.7±2.1%、12 カ月で2.2±2.9%の増加を認めた。腰椎新鮮骨 折本では4カHで1.0±5.5%、12カ日で2.4±6.6 %の増加を認めた。
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骨折なし 陳旧骨折 新鮮骨折
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カ月の腰椎正面L1〜4(以下腰椎)と大腿骨近位 部Total(以下大腿骨)の骨密度を測定した。ま
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骨折なし 陳旧骨折 新鮮骨折
図1アレンドロネート35mgの骨密度増加効果と腰椎骨折の影響 名寄中央整形外科
Dept. of Orthop. Surg.,Nayoro Chuoseikeigeka Clihic
9
2) 同一部位での骨密度変化率の推移(図2)
投薬後4カ月の骨密度増加率と12カ月の骨密 度増加率との相関を調べた。腰椎の4カ月と12 カ月の増加率の相関はr=O.753で、大腿骨の4カ ,月と12カ月の増加率の相関はr=0.628であった。
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腰椎12カ月変化率 (%) 大腿骨12カ月変化率 (%)
図2同一測定部位での骨密度変化率の推移 異なる部位での骨密度変化率の比較(図3)
腰椎と大腿骨の4カ月同志の変化率の相関は r=0.480、12カ,月同志の変化率の相関はr=0.497 であった。
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腰椎4カ月変化率 (gs) 腰椎12カ月変化率 (sc)
図3異なる測定部位での骨密度変化率の比較 4) アレンドロネート35mg投与前後の尿中NTX の低下効果(図4)
投与前の尿中NTXはアレンドロネート35mg投 与後平均5.8カ月に2例に増加を認め、5例が投 与国45nmolBCE/㎜ol・Cr以上を示し、全体と して平均33.8±35.9%の低下を示した。
nmolBCE/nmol・Gr
180 160 140 120 100 80 60 40 20 0
投与前 投与後 図4アレンドロネート35による尿中NTX低下効果
一33.8±35.9%
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10
考察
アレンドロネート35mgの骨密度増加効果につ いては、国内第皿相二重盲検比較試験でアレンド
nネート5mgとほぼ同程度で、腰椎(L1−4)にお いて52週で6.35%,大腿骨(Total)で2.96%と報 告されている3>。当科において骨密度増加を各症 例で検討してみると、腰椎の新鮮骨折を有する症 例で、年間10%を超える症例が認められ、腰椎骨 折を有する症例を分けて評価する必要があると考 え,腰椎骨折のない症例と陳旧骨折、新鮮骨折を 有する症例とを分離して評価を行った。その結果、
腰椎骨折のない症例の増加効果が腰椎において最:
も少なく、真の薬物効果と考えられる。この腰椎 非骨折例の4カ月の増加率が3%、12カ,月の増加率 が4.9%で、内田らの報告に比べて同様に面密度 増加効果が認められた。
また、薬物の短期効果のうちで、腰椎の4カ月 の骨密度増加率は大きく、12カ月ではその1.6倍 程度と経時的に増加効果は減じることがうかがえ る。新鮮骨折を有する症例が4カ月、12カ月で 骨折のない症例の2倍以上を呈している。症例が 少ないが、骨密度測定時期と骨折時期の関係でこ の値は規定され、骨折の前後4カHで大きく増加 するようである。当院においては初診時にX−P で骨折を認める場合、また明らかな骨折のない場 合でも腰背部痛の強い症例にはMRI検査を行って いる。当然のことながら、腰椎の信号変化の程度 の軽い場合には骨密度の増加は軽度で、信号変化 が強くかつ圧迫が進むと骨密度の増加が大きくな る傾向が認められる。そのために、骨折のある場 合はない場合の2倍以上という増加変化は検査す る時期によって影響を豪けるため、初診時に腰椎 の明らかな骨折を認めない症例で,骨密度を検査 する経過中に骨密度の増加が大きい症例には X−P、DXAでのスカウトスキャンのチェックは最 低限必要となる。
大腿骨密度のアレンドnネート35mgの骨密度 増加効果は4カ月、12カ月ともに腰椎骨密度より は少なく、腰椎骨折のない症例において、4カ,月 で1.9%、12カ月で2.7%と、腰椎骨密度増加は大 腿骨の1.6〜1.8倍である。腰椎骨折のない症例と 陳旧骨折例の骨密度増加は近似しているが腰椎新 鮮骨折例の4カ月値は1.0%と低値を示した。これ は腰椎骨折急性期の痺痛のための不動性により骨 密度増加効果が減弱し、12カ,月までには疹痛改善 により回復して来たことが考えられる。
同一部位での薬物の効果判定では、4カ月と1 2カ月の増加率の相関は腰椎でのr=O.753に比べ て大腿骨ではr=0.628と劣っていたが、ともに4カ
,月値で12カH値を推測することが可能と考えられ る。一方、腰椎と大腿骨での骨密度変化率の相関 は4カHでr;0.480、12カ月でr;O.497と強いもの ではなかった。今後大腿骨の骨密度測定が主流に なっても、腰椎の骨密度測定を合わせておこなう べきものと考えられる。また骨折椎体を除外した 腰椎骨密度の評価について今後検討を加える必要 があると考えられた。
当院では、2007年に躯幹骨用DXA装置の導入 に際して骨吸収マーカーを尿中Dpdから尿中NTX に変更した。アレンドロネート35mgによる尿中 NTXの低下効果は平均33.8%と良好な値を示し
た。
た。
5)腰椎、大腿骨ともに4カ月の薬物効果で12カ 月の効果を予測できる可能性が認められた。し かし、4カ月値に比べて12カ月ではその増加効 果は腰椎で1.6倍、大腿骨で1.4倍と経時的な骨 密度増加効果は減弱しているものと考えられ
た。
6)骨吸収マーカーは尿中NTXのアレンドロネー ト35mgによって投与前に比べて投与後に平均 33.8%の良好な低下効果を示した。
本論文の要旨は第22回北海道骨粗懸症研究会
(平成22年1,月23日)で発表した。
まとめ
1)週1回投与製剤アレンドロネート35mgの治療 効果を躯幹骨用DXA装置による骨密度測定な らびに骨吸収マーカー(尿中NTX)で調べた。
2) 腰椎骨折により、新鮮骨折は腰椎骨密度を薬 物効果以上に増加させた。
3)腰椎の新鮮骨折による不動性が大腿骨の骨密 度増加を減弱させていた。
4)腰椎骨折を有しない症例の、アレンドロネー ト35mgの真の骨密度増加効果は、腰椎におい て4カ月で3%、12カ月で4.9%であり、大腿骨 において4カ月で1.9%、12カ月で2.7%と腰椎 において大腿骨より増加効果が大きく認められ
1)折茂 肇ほか:骨粗雑症の予防と治療ガイドライン 2006年版.ライフサイエンス出版。東京.2006.
2)日本骨溢出症学会骨面度評価委員会:大腿骨近位部
BMD測定マニュアル.Osteoporosis Jpn15:
359−399,2007.
3)内田 真嗣,東 由明追口 忠明ほか:骨粗籟症治療 薬アレンドロネート週1回投与製剤(フォサマック 35mg/ボナロン35mg)の薬理学特性と臨床効果.口薬 八逆130:305−312,2007,
4)坂田仁:アレンドロネートによる骨粗血症の治療経 験.名寄市病誌14:13−20,2006.
5)坂田仁:最新鋭躯幹骨用DXA装置Prodigy(GE Healthcare社製)による部位別骨密度測定.名寄市病
言志17 :9−12,2009.
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