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ルの登録を行うことができる. 照明制御用コントローラーの仕様を表 1 に示す. 調光可能な 2 系統 ( 白色 ;5K, アンバー色 ;3K) の LED 照明用電源に対して, それぞれ 25 段階の出力制御が可能であり,2 系統の出力を組み合わせることで,3K~ 5K の範囲で調光することができる

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技術研究報告第 42 号 2016.11 戸田建設株式会社 1. はじめに 近年,オフィスにおいて行われる作業はVDT 作業 が一般的であり,また,省エネルギーの観点からも, 机上面照度の確保ではなく,空間の明るさ感を高め る照明計画が求められている1).サーカディアン・リ ズムに準じた照明環境が,オフィス執務者の作業性 に与える影響についても着目されている2),3).しかし, VDT 作業時に机上面照度が低い場合でも,空間の明 るさ感を確保できていれば作業性は担保されるのか, また,空間に供給する光量が同等であっても,空間 の明るさ感が異なる場合に人間のサーカディアン・ リズムに対する影響が異なるのかは明らかでない. 本研究では,執務者の心理,生理,作業性,さら には省エネルギーの観点から,オフィスに最適な光 環境を明らかにするため,開発した照明システムを 用い,被験者実験を行った.本報では,照明システ ムの概要と被験者実験の結果について報告する. 2. 照明システム概要 2.1 照明システム構成 開発した照明システムの制御には無線通信を採用 した.構成を図‐1 に示す.Wi-Fi 経由でコントロー ラーに内蔵されているウェブサーバーにアクセスす ることで,専用ソフトウェアをインストールするこ となくブラウザ上で調光・調色の設定やスケジュー *1 戸田建設㈱技術開発センター 修士(農学) *2 戸田建設㈱技術開発センター 工学修士 *3 戸田建設㈱計画設計部 *4 ㈱コイズミ照明 *5 ㈱村田製作所 *6 千葉工業大学 創造工学部 教授 博士(工学)

Research and Development Center, TODA CORPORATION, M.Agr. Research and Development Center, TODA CORPORATION, M.Eng. Architectural Design Dept., TODA CORPORATION

KOIZUMI Lighting Technology Corp. Murata Manufacturing Co., Ltd.

Chiba Institute of Technology, Prof., Dr.Eng.

オフィスにおける光環境制御に関する研究

その1 明るさ感とサーカディアン・リズムを考慮した調光調色制御に関する被験者実験 STUDY ON LIGHT ENVIRONMENT CONTROL IN OFFICE

Part1 Subjective experiments on radio control illumination system with consideration of brightness and circadian rhythm

大島

佳保里*

1

, 村江 行忠*

2

,河野

利幸*

3

,島

裕二*

4

,丹羽

啓之*

5

,望月

悦子*

6

Kaori OSHIMA, Yukitada MURAE, Toshiyuki KONO, Yuji SHIMA, Hiroyuki NIWA

and Etsuko MOCHIZUKI

Illumination system that can control illuminance and colour temperature retaining brightness even in low illuminance has been developed. Using the developed illumination system, the effects on workability and visual comfort and circadian rhythm of the subjects were verified. To see the seasonal difference, experiments were performed twice in the summer and in the winter 2015. In the experiment, developed luminaire and ready-made luminaire were tested. Using two types of luminaire, the subjects were exposed to the experimental chamber with constant illuminance of the constant luminous colour and to that with variable illuminance of variable luminous colour.

By changing the illuminance and colour temperature over one day with consideration of circadian rhythm, workability and sleep efficiency were improved. If the subjects sensed enough spacious brightness, it is possible to obtain the same level of workability and sleep quality without ensuring high desktop illuminance.

Keywords : Light environment control, Brightness, Circadian rhythm, Subjective experiment 光環境制御,明るさ感,サーカディアン・リズム,被験者実験 図‐1 照明システム構成図 表‐1 照明制御用コントローラー仕様 項目 仕様 外形サイズ W 206×D 126×H 46mm 搭載OS Linux 無線インターフェース メッシュ無線,EnOcean 無線LAN 有線インターフェース Ethernet メッシュ無線 無線LAN の干渉対策あり 照明制御台数 150 台 グループ数 32 グループ 時刻調整機能 NTP 対応 調光・調色機能 250 ステップによる制御 調光フェード時間 0,3,5,10,15,30,45 秒 1,3,5,10 分

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ローラーの仕様を表‐1 に示す.調光可能な 2 系統 (白色;5000K,アンバー色;3000K)の LED 照明用電 源に対して,それぞれ 250 段階の出力制御が可能で あり,2 系統の出力を組み合わせることで,3000K~ 5000K の範囲で調光することができる.また,1 日当 たり最大で16 回のスケジューラーアクションが実行 できる.照明の出力は時間帯や期間毎に設定するこ とも可能である. 2.2 LED 照明 照明器具の断面イメージ図及び器具外観を図‐2 に示す.開発したLED 器具(図‐2 左)は,発光面 の下端を天井より下に設定し,天井面へより光が広 がる形状とした.一般的なシステム天井用の照明器 具(図‐2 右)と比べて光が拡散し,机上面は低照度 でも空間全体の明るさ感を確保することを意図して いる.実験には開発器具(拡散型照明器具)と既製 器具(下面開放型照明器具)を使用した.器具の仕 様を表‐2 に示す.両器具とも調光・調色が可能であ る. 3. 実験概要 3.1 実験室概要・測定項目 実験は,図‐3 に示すオフィスを想定した実験室で, 夏季(2015 年 8 月)と冬季(2015 年 12 月)の 2 回 行った.実験室には作業机を 8 台配置し,天井には LED 照明器具 6 台を均等に設置した.図‐4 に実験 状況を示す.実験室には,可動間仕切り付きの南に 面する窓がある.表‐3 に実験室内の環境物理量の測 定項目と使用機器を示す.各机上面(床上760mm) にて水平面照度を,実験室中央にて水平面照度・相 関色温度(床上760mm),上下温度分布,グローブ温 度,PMV,CO2濃度を計測した.視野内輝度分布は, 壁向き(東向き)と窓向きの 2 方向計測した.被験 者は健康な男性学生8 名(20~24 歳)とし,8 名の うち被験者G を除く 7 名は夏季・冬季両実験に参加 した.被験者の着衣量は夏季実験では 0.55clo,冬季 実験では1.10clo とし,実験中の活動量は 1.1Met(着 席や非常に軽い作業)を想定して,実験室内の予測 温冷感申告(PMV)が 0±0.5 となるよう室温を調節 した. 3.2 照明条件 表‐4 に実験条件を示す.Case0,Case1 は照度・相 関色温度を一定,Case2~Case6 はサーカディアン・ リズムに配慮し,照度・相関色温度を一日かけて変 化させた.また,Case4 のみ開口部(窓)を設け,そ の他の条件では開口部を遮蔽した.Case0,Case1 は, 季節による差を見るため,夏季・冬季両実験で行っ た.Case1~Case3 は,積算曝露照度がほぼ等しくな る よ う 照 度 を 設 定 し た . 開 発 器 具 を 使 用 し た Case5,Case6 では,既製器具の室中央照度 750lx,500lx, 300lx 設定時と壁面の明るさがほぼ同じになるよう, 室中央照度を 530lx,390lx,255lx に設定した.なお, Case5, Case6 の照度は,被験者実験とは別の 12 名 (照明制御システムの開発及び実験関係者)による 開発器具 既製器具 (拡散型照明器具) (下面開放型照明器具) 図‐2 照明器具断面イメージ図(上)・外観(下) 項目 仕様 開発器具 (拡散型) 既製器具 (下面開放型) 外形寸法[mm] 600×600 全光束[lm] 5590 5000 相関色温度[K] 3000-5000 2700-5000 消費電力[W] 58 56 表‐2 照明器具仕様 図‐3 実験室平面図 夏季 冬季 図‐4 実験状況 表‐3 環境物理測定 測定項目 使用機器 照度・相関色温度 KONICA-MINOLTA CL-200A 各席机上面照度 T&D TR-74Ui 視野内輝度分布 輝度カメラ Baumer TXG 13c 室内温度分布 熱電対(高さ 5 段階) グローブ温度 グローブ球+熱電対

PMV,CO2濃度 B&K 1212, T&D TR76Ui

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技術研究報告第 42 号 2016.11 戸田建設株式会社 主観評価実験の結果を元に設定した.Case6 は,昼食 後の眠気を防止することを目的に,昼の休憩時間中 は一日の消費電力量を Case5 とほぼ同等に保つため 照度を255 lx にし,その後 30 分間は照度を 530lx に 上昇させた. 3.3 実験スケジュール 図‐5 に 1 日の実験スケジュールを示す.睡眠時間 計(OMRON HSL-002C)を用い,実験期間中の被験 者の睡眠状態を記録した.起床直後に睡眠感の主観 申告(OSA 睡眠調査票第 2 版)を行った.また,4 名 の 被 験 者 に は 携 帯 式 行 動 量 測 定 計 (Actiwatch, Philips Respironics 社製)を,被験者全員に心拍セン サ(Fitbit FB405)を入浴時以外は装着させた.実験 中(9:00~17:00),被験者はオフィスを想定したタス ク(四則演算15 分,テキストタイピング 15 分,マ インドマップ30 分)を 1 日 3 回(60 分/回)行った. タスク前後にはフリッカー閾値測定(FHM_Lite 版 for iOS),唾液アミラーゼ活性測定(唾液アミラーゼモ ニター,ニプロ社製),温熱・光環境に関する主観ア ンケート,疲労に関する自覚症しらべを実施した. また,タスク後には作業性も主観評価させた.なお, タスクおよびアンケートは,画面の明るさを統一し たVDT(ノート PC,白画面での輝度約 160cd/m2)で 実施した.唾液中のコルチゾール濃度,メラトニン 濃度を測定するため,表4 中に下線付きで示す 5 つ の条件では,起床時(6:00 前後),実験室到着後(9:30), 昼食後(13:30),帰宅前(17:00),就床前(23:00 前 後)の計 5 回唾液を採取した.測定に影響する飲酒 や喫煙,薬の服用,カフェインの摂取は,実験期間 中禁止した.また,食事の影響を無くすため,採取 1時間前からは食事の制限をし,採取10 分前に異物 の 混 入 を 防 ぐ た め 口 を 濯 い だ , 唾 液 は Saliva Collection Aid〈SCA〉(Salimetrics 社)を使用して約 1mL 採取し,冷凍庫で保存した.コルチゾール濃度

の 測 定 に は EXPANDED RANGE High Sensitivity

SALIVARY CORTISOL ENZYME IMMUNOASSAY KIT(Salimetrics 社)を,メラトニン濃度の測定には SALIVARY MELATONIN ENZYME IMMUNOASSAY KIT(Salimetrics 社)を使用し,プロトコルに従って 行った.なお,n=2 とし,希釈倍率は 1 倍とした. 4. 実験結果 4.1 温熱・空気環境と主観評価 図- 6 に例として夏季実験(8/25,Case1),冬季実験 (12/24,Case1)の上下温度分布と PMV を示す.夏季 実験,冬季実験共に上下の温度分布に大きな差はなく, 常時ほぼ一定の温度に保つことができた. 図‐7 に例として夏季実験(8/25,Case1),冬季実験 (12/24,Case1)の CO2濃度を示す.午後の一部の時間 帯で1000ppm を超えることがあったが,概ね 1000ppm 以下となった. 図‐8 に各条件の温熱環境の主観評価を示す.夏季 実験では「暑い」と申告した被験者が,冬季は「寒い」 と申告した被験者が見られたが,8 割以上の申告が「や や暖かい」~「やや涼しい」の間であった. 表‐4 実験条件 Case 日程 器具 開口率 積算曝露照度 (室中央水平面) [lx・h] 消費 電力量 [Wh] 0 8/24 12/23 既製器具 0% 6000 232 1 8/25 12/24 既製器具 0% 4000 176 2 8/26 既製器具 0% 4000 172 3 8/28 既製器具 0% 4000 175 4 8/27 (曇) 既製器具 17% 4000+昼光 (2400) 172 5 12/25 開発器具 0% 3130 140 6 12/26 開発器具 0% 3100 138 起床 9 10 11 12 13 14 15 16 17 就寝 実験室 タスク(四則演算,テキストタイピング,マインドマップ) ■OSA 睡眠調査票 ●温熱光環境評価,自覚症しらべ ●温熱光環境+作業性評価,自覚症しらべ ●一日を通しての主観評価 ▲フリッカー閾値測定,唾液アミラーゼ活性測定 ◆ねむり時間計 ×唾液採取 心拍計 携帯式行動量測定計 図‐5 実験スケジュール 図‐6 温度・PMV 図‐7 CO濃度 ■ ● ● ● ● ● ● ● ● ◆ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ◆ × × × × × Case1(冬) Case1(夏) 0 0 0 0 0 0 0 30 25 20 15 10 5 0 9:00 11:00 13:00 15:00 17:00 時刻 温度 [℃ ] PM V 1200 1000 800 600 400 200 0 CO 2 濃度 [p pm ] 3 2 1 0 -1 -2 -3 9:00 11:00 13:00 15:00 17:00 時刻

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4.2 照度、相関色温度 図‐9 に各条件の室中央照度,相関色温度の測定結 果を示す.窓のないCase1(夏)の一部で欠測があっ た時間帯を除き,どの条件においても目標値に設定 できたことを確認した. 4.3 空間の輝度分布 図‐10 に例として既製器具の室中央照度 750lx,開 発器具の室中央照度 530lx,開発器具の室中央照度 750lx の輝度分布画像,可視画像(いずれも窓向き) を示す.既製器具の室中央照度750lx と開発器具の室 中央照度750lx を比較すると,同じ水平面照度でも, 開発器具で空間輝度が高いことが見て取れる. 図‐11 に天井面,壁面の輝度のヒストグラムを示す. 開発器具の室中央照度750lx では,天井面,壁面共に 他の器具・照度よりも輝度の高い方に分布していた. 既製器具の室中央照度750lx と開発器具の室中央照度 530lx は,天井面,壁面共にほぼ同じ分布となった. 4.4 光環境と主観評価 図‐12 に Case4 を除いた光環境評価時の平均壁面輝 度,室中央設定照度と室全体の明るさ感評価の関係を 示す.なお,赤字の輝度,照度は開発器具の明るさ感 評価を示している.平均壁面輝度は,東側の壁向きで 測定した輝度分布から求めた.両照明器具とも,壁面 輝度や設定照度が高くなると「明るい」側の評価が多 くなっていた.また,水平面照度がほぼ同じでも,既 製器具より開発器具の方が壁面輝度が高く,「明るい」 側の評価が多かった.カテゴリーによる明るさ感評価 の結果を定量的に示すため,明るさ感評価の度数分布 からパーセンタイル値を求め,各条件 50 パーセンタ イル値を代表値とした.図‐13 に室中央照度の実測値 と室全体の明るさ感評価の 50 パーセンタイル値の関 図‐8 温熱主観評価 図‐9 室中央照度・相関色温度 照度 冬 相関色温度 夏 Case0 (夏 ) Case0 (冬 ) Case1 (夏 ) Case1 (冬 )

Case2 Case3 Case4 Case5 Case6

1 10^5 [cd/m] 既製器具750lx 開発器具 530lx 開発器具 750lx 図‐10 輝度分布測定結果(上:輝度分布,下:可視画像) 図‐11 輝度ヒストグラム (左:天井面,右:壁面(視野内右側)) ■非常に暗い ■暗い ■やや暗い ■どちらでもない ■やや明るい ■明るい ■非常に明るい 図‐12 壁面輝度・設定照度と室全体の明るさ感評価 既製器具750lx 開発器具530lx 開発器具750lx 100 80 60 40 20 0 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 照度 [lx ] 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 相関色温度 [K ] 申告割合 [% ] 申告割合 [% ] ピクセル 数 10^3 夏 冬 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 100 80 60 40 20 0 照度 [lx ] 照度 [lx ] 照度 [lx ] 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 9:00 11:00 13:00 15:00 17:00 時刻 9:00 11:00 13:00 15:00 17:00 時刻 0 100 200 300 400 500 輝度[cd/m2] 0 100 200 300 400 500 輝度[cd/m2] 26( 200 ) 34( 255 ) 39( 300 ) 52( 390 ) 53( 475 ) 60( 500 ) 63( 550 ) 73( 530 ) 85( 750 ) 11 4( 1000 ) 平均壁面輝度[cd/m2](設定照度[lx]) 100 80 60 40 20 0 相関色温度 [K ] 相関色温度 [K ] 相関色温度 [K ]

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技術研究報告第 42 号 2016.11 戸田建設株式会社 係を,図‐14 に光環境に対する快適性評価と室全体の 明るさ感評価の関係を示す.人工照明のみの条件(●, ▲)では,明るさ感評価が高いほど快適と申告する割合 が増加する傾向が見られた.一方で,窓のある条件(■) では,明るさ感評価が高くても快適性評価割合が下が る場合もあった. 4.5 作業性評価 図‐15 に作業性の評価として,2 回目(13:30~14:30) のタスク時のテキストタイピングの正しい入力文字 数,マインドマップの回答数を示す.なお,季節差を 見るため,夏季,冬季両実験に参加した7 名の結果を 示しており,有意差の有無は Wilcoxon の符号順位検 定で確認した.Case0,Case1 では,テキストタイピング, マインドマップ共に季節による有意な差は見られな かった.Case1,Case2 を比較すると,マインドマップで は一日を通して照度・相関色温度を変化させたCase2 の方が回答数は有意に増加したが(p<0.05),テキスト タイピングでは正しい入力文字数が減少した.室全体 の明るさ感評価がほぼ同じ Case2(既製器具,室中央 照度475lx), Case5(開発器具,室中央照度 390lx)を 比較すると,テキストタイピングではCase5 で正しい 入力文字数が増加する傾向が見られた.1 回目(10:00 ~11:00),3 回目(15:30~16:30)のタスクでも同様の 傾向が見られた.明るさ感を確保できれば,机上面照 度が低い場合であっても,作業効率は低下しない可能 性が示唆された.ただし,タスク作業の慣れの影響に ついては今後検証する. 4.6 心拍数の変化 図‐16 に就床・起床時刻が安定していた被験者 E の一日の心拍数の変化を示す.どの条件においても, 起床中と比べ,睡眠中は心拍数が低下するサーカディ アン・リズムが見られた.睡眠中の心拍数を見ると, 冬季実験の条件と比べ,夏季実験の条件では心拍数が 低くなっていた. 4.7 心拍数と睡眠感得点 図‐17 に睡眠中の心拍数平均値と OSA 睡眠調査票 の因子Ⅱ(睡眠維持)と因子Ⅳ(統合的睡眠)の睡眠感得 点の関係を示す.なお,季節差を見るため,夏季,冬 季両実験に参加した7 名の結果を示している.季節や 条件による明確な差は見られなかったが,睡眠中の心 拍数平均値が低くなると,因子Ⅱ,因子Ⅳの得点が向 上する傾向が見られた. 4.8 唾液中コルチゾール・メラトニン濃度 図‐18 に 1 日の濃度変化が大きかった被験者 E の唾 液中コルチゾール濃度の変化を示す.全条件で,日中 低く,起床時に高くなるサーカディアン・リズムが見 られた.また,夏季実験ではCase4 で日中の濃度が低 くなり,冬季実験ではCase6 で日中の濃度が高くなっ た. 図‐19 に 1 日の濃度変化が大きかった被験者 E の唾 液中メラトニン濃度の変化を示す.全条件で,日中低 く,就寝前~起床後に高くなるサーカディアン・リズ ムが見られた.夏季実験,冬季実験共に照度・相関色 温度一定条件と変動条件で異なる傾向を示しており, 夏季実験では一定条件と比べて変動条件で就寝前の 200 160 120 80 40 0 ●既製器具 ▲開発器具 ■既製器具+窓 図‐13 室中央の実測値と 図‐14 快適性と室全体の 室全体の明るさ感評価 明るさ感評価 テキストタイピング マインドマップ 図‐15 作業性評価(13:30-14:30) 図‐16 心拍数の変化(被験者 E) (上:一定条件,下:変動条件)

●Case0(夏) ●Case1(夏) ●Case2 ●Case3 ●Case4 Case0(冬) Case1(冬) Case5 Case6 一定条件 変動条件

図‐17 心拍数と睡眠感得点

図‐18 唾液中コルチゾール濃度(被験者 E)

Case0(夏) Case1(夏) Case2

Case6

Case4 Case3

Case0(冬) Case1(冬) Case5

因子Ⅱ 因子Ⅳ

Case1(夏) Case2 Case4 Case1(冬) Case5 Case6

Case0 (夏 ) Case0 (冬 ) Case1 (夏 ) Case1 (冬 )

Case2 Case3 Case4 Case5 Case6

Case0 (夏 ) Case0 (冬 ) Case1 (夏 ) Case1 (冬 )

Case2 Case3 Case4 Case5 Case6

夏 冬 70 60 50 40 30 *

*

*

*

300 240 180 120 60 0 3 2 1 0 -1 -2 -3 室全体の 明るさ 感評価 0 500 1000 1500 室中央実測照度[lx] 60 70 80 90 100 快適評価割合[%] 回答数 160 140 120 100 80 60 40 心拍数 [bpm ] 160 140 120 100 80 60 40 500 1000 心拍数 [bpm ] 8:00 12:00 16:00 20:00 0:00 4:00 8:00 時刻 睡眠感得 点 [点 ] 40 50 60 70 80 睡眠中心拍数(平均)[bpm] 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 9:00 15:00 21:00 3:00 9:00 時刻

*

正しい文 字入力 数 唾液中コ ルチゾ ール 濃度 [μ g/d L ] 40 50 60 70 80 睡眠中心拍数(平均)[bpm] * * * 夏 冬

(6)

で就寝前の濃度が高くなっていた. 図‐20 に日中(実験室到着後(9:30),昼食後(13:30), 帰宅前(17:00))の唾液中メラトニン濃度の和を示す. なお,季節差を見るため,夏季,冬季両実験に参加し た7 名の結果を示しており,有意差の有無は Wilcoxon の符号順位検定で確認した.Case1 を比較すると,冬 季実験で濃度の和が小さくなった.夏季実験では, Case2 と比較して曝露光量が多い Case4 で濃度の和が 有意に小さくなった(p<0.05).冬季実験では,Case1 (既製器具)と比較して曝露光量の少ないCase5,Case6 (いずれも開発器具)で濃度の和が小さくなる傾向が 見られた. 4.9 睡眠効率と入眠までの時間 図‐21 に各条件に曝露された日の夜間の睡眠効率 と入床から入眠までに要した時間を示す.なお,季節 差を見るため,夏季,冬季両実験に参加した7 名の結 果を示している.常時一定照度のCase0,Case1 を比べ ると季節差は見られなかったが,夏季実験,冬季実験 共に曝露光量が多いCase0 の方が睡眠効率は高く,入 眠までの時間も短くなった.曝露光量が等しいCase1 ~3 を比較すると,照度・相関色温度を変化させた Case2, Case3 で睡眠効率がやや高くなる傾向が見られ た.机上面照度は異なるが,室全体の明るさ感がほぼ 等しいCase2(既製器具,積算曝露光量 4000lx・h)と Case5(開発器具,積算曝露光量 3100lx・h)を比較す ると,曝露光量の多いCase2 の方が睡眠効率はやや高 くなったが,Case2 と Case6(開発器具,積算曝露光量 3130lx・h)を比較すると,曝露光量の少ない Case6 の 方が睡眠効率は高く,入眠までの時間も短くなった. 日中の曝露光量が少ない場合においても,明るさ感を 確保することで,睡眠への悪影響を緩和できる可能性 が示唆された. 5. まとめ 無線による調光・調色が可能で,低照度でも明るさ 感を確保できる照明制御システムを開発した.開発し た照明制御システムを用い,照度・相関色温度を変化 させた場合の被験者の作業性,サーカディアン・リズ ムに対する効果を検証した.サーカディアン・リズム に配慮し,一日を通して照度・相関色温度を変化させ ることで,作業性や睡眠効率の向上が見られた.また, 机上面照度が低い場合であっても,室全体の明るさ感 を確保できれば,作業性や睡眠効率は低下しない可能 性が示唆された. 【謝辞】本研究の一部は,平成 26 年科学研究費補助金(基 盤研究(C),課題番号 26420589)による.照明システムの開発 には(株)村田製作所 根崎洋充氏,コイズミ照明(株)小泉一 弘氏,開発PJ メンバーの皆様,被験者実験には千葉工業大 学(当時)の段野下昌志氏,松浦友紀氏,被験者の皆様,その 他多くの方にご協力頂いた.記して謝意を示す. 【参考文献】1)渡邉他:VDT 作業空間における好ましい周辺 度について:日本建築学会大会学術講演梗概集(環境工学) pp.549-550(2014) 2)下田他:プロダクティビティ改善のため の照明制御に関する実験研究,ヒューマンインタフェースシ ンポジウム2007(2007) 3)石井他:照度・色温度の変化が視覚 疲労・作業効率に与える影響,第 45 回照明学会全国大会講演 論文集 講演 No.8-22(2012) 図‐19 唾液中メラトニン濃度(被験者 E) 図‐20 日中の唾液中メラトニン濃度の和 図‐21 睡眠効率と入眠までの時間 Case1(冬) Case5 Case6

最大値 中央値 最小値 * :p<0.05 最大値 中央値 最小値睡眠効率 ◆入眠までの時間 Case0 (夏 ) Case0 (冬 ) Case1 (夏 ) Case1 (冬 )

Case2 Case3 Case4 Case5 Case6

20 10 0 35 30 25 20 15 10 5 0 唾液中メ ラトニ ン濃度 (9:30+13 :30+17: 00) [pg/m L ]

Case1(夏) Case1(冬) Case2 Case4 Case5 Case6

100 90 80 70 睡眠効率 [% ] 30 20 10 0 入眠まで の時間 [分 ] 9:00 15:00 21:00 3:00 9:00 時刻 * 夏 冬 夏 冬 唾液中メ ラトニ ン濃度 [pg/m L ]

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