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技術資料編の見方 使い方 警告表示マークについてこのカタログでは 次の 2 種類の警告表示マークを用いて重要事項を告知していますので 必ずご一読をお願いします ガラス破損などによる事故防止のために 安全にかかわる特に重要な事項が説明されています また 取扱いを誤った場合には ガラスの破片で人が重傷を

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A

G

C

このカタログの印刷には、印刷 インキ工業連合会認定の植物 油インクを使用しています。 11010-002100 2018.7 DS

技 術 資 料 編

A G C

ARCHI TECTURAL GLASS

G E N E R A L C A T A L O G

A G C 板 ガラス 建 材 総 合カタログ

ビルディング・産業ガラスカンパニー

(2)

技術資料編の見方・使い方

警告表示マークについて

このカタログでは、次の2種類の警告表示マークを用いて重要

事項を告知していますので、必ずご一読をお願いします。

ガラス破損などによる事故防止のために、安全にかかわ る特に重要な事項が説明されています。また、取扱いを 誤った場合には、ガラスの破片で人が重傷を負ったり、 時には死亡したりすることがあります。ガラス周辺の設 計に際しては、破損事故の危険性を最小限にするため、 十分なご検討をお願いいたします。 商品の劣化などを防止するための、品質保持に関する 事項が説明されています。

第1章には、ガラスを安全に末永くお使いいただくため、板ガ

ラス製品全般に関係する注意事項を掲載していますので、必ず

ご一読をお願いします。

各商品グループ・商品に特有の注意事項については、総合カ

タログ商品編の当該商品ページでご説明しておりますので、合

わせてご確認をお願いします。

カタログ掲載のデータについて

・‌‌板ガラス商品は、材料組成やガラス厚さなどである程度のばらつきが避 けられないため、商品の性能にも若干のばらつきが生じます。 ・‌‌本カタログに掲載している各種の性能データは、実測値に基づく計算値 を代表的な数値として示したものです。本数値は各商品の性能を保証す るものではなく、また予告なく変更する場合がございますので、あらかじ めご了承ください。

呼び厚さの定義

このカタログでは、板ガラスの厚さの種類を表すために、各種板ガラスの JISに規定されている「厚さによる種類」または「種類」の名称の数字を用 いて「呼び厚さ(ミリ)」として表示しています。AGC製品の実際の厚さにつ いては、「9-3‌板ガラス製品の厚さと重量」をご参照ください。

SI単位系

1993年11月に新計量法が施行され、計量単位にSI系(国際単位系)が採 り入れられました。非SI単位系は一部の例外を除き、1999年9月30日を もって廃止されております。このカタログでは、SI単位系による表示を用い ており、非SI単位系は参考として表記しています。

記載内容について

この技術資料編は、2015年11月現在の情報について掲載しておりま す。予告なしに品揃え・仕様・その他内容の変更などを行う場合がござ いますので、あらかじめご了承ください。

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CONTENTS

技術資料編の見方・使い方

  目 次

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ガラスを安全に末永くお使い頂くために

2

建築用板ガラスの一般的な話

2‌-‌1  板ガラスの特徴 2‌-‌2  板ガラスの製造法・加工法 2‌-‌3  板ガラスの物理的・機械的性質 2‌-‌4  板ガラスと関連法規(法規・規格・指針)

3

光・熱・省エネルギー

3‌-‌1  板ガラスの断熱・遮熱のしくみ 3‌-‌2  板ガラスの熱・光学性能値 3‌-‌3  板ガラスの日射遮蔽データ 3‌-‌4  板ガラスの分光光学特性 3‌-‌5  板ガラスの入射角度別光学特性 3‌-‌6  板ガラスと省エネルギー 3‌-‌7  板ガラスの結露 3‌-‌8  快適性、健康、窓の心理的効果 3‌-‌9  各種データの算出根拠

4

強度・安全

4‌-‌1  板ガラスの耐風圧設計 4‌-‌2  特殊条件下のガラスの強度 4‌-‌3  板ガラスの衝撃強度 4‌-‌4  板ガラスの安全、防犯、防弾基準 4‌-‌5  板ガラス開口部の安全設計 4‌-‌6  板ガラスの熱割れ強度 4‌-‌7  板ガラスと耐震性 4‌-‌8  板ガラスと水圧

5

防 音

5‌-‌1  音に関する基礎事項 5‌-‌2  ガラスの遮音性能 5‌-‌3  窓の遮音性能 5‌-‌4  室内騒音の許容値 5‌-‌5  屋外騒音の音圧レベル 5‌-‌6  ガラスの遮音設計

6

電 波

6‌-‌1  ガラスの電波特性

7

防火・防災関連

7‌-‌1  板ガラスと防火性 7‌-‌2  板ガラスと防災

8

商品関連

8‌-‌1‌‌‌‌‌‌強化ガラス 8‌-‌2‌‌‌‌‌‌フレームレスガラスファサードシステムの標準構成 8‌-‌3‌‌‌‌‌‌大板ガラス開口部 グラサード® 8‌-‌4‌‌‌‌‌‌強化ガラス自立手摺‌‌テンパライト®SS工法

9

技術サポート

9‌-‌1  環境シミュレーション技術 9‌-‌2  SI単位 9‌-‌3  板ガラス製品の厚さと重量 9‌-‌4  板ガラス製品および窓製品のJISによる特性・性能区分

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ガラスを安全に末永くお使い頂くために

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ガラスの強度検討 外力によるガラスの破損を防止するために、必 要に応じて次の(1)〜(5)の強度検討を実施の 上、ガラスの品種・呼び厚さをご選定ください。 (1)風圧に対する強度検討 例えば、窓や外部ドア等、風圧を受ける部位に ガラスを使用される場合は、強風によるガラス の破損を防止するため、耐風圧強度をご検討の 上、ガラスの品種・呼び厚さをご選定ください。 <4-1参照> (2)衝撃に対する強度検討 例えば、住宅のテラス窓・学校の窓・公共施設の 玄関ホール等、人体または飛来物による衝撃が 予想される部位にガラスを使用される場合は、 ガラス破損による事故を防止するために、「所定 の衝突力に対して割れないガラス」または「割れ ても安全なガラス(合わせガラス、強化ガラス)」 をご選定ください。 <4-3、4-4、4-5参照>

ガラスを安全に末永くお使い頂くために、板ガラス製品全般に関係する注意事項をまとめました。

カタログをご利用になる際、是非ご確認ください。また、各商品グループ・商品に特有の注意事項に関しては、

板ガラス建材総合カタログ商品編、第16章「技術サポート・ご注意」でも詳細にご説明しています。

併せてご確認をお願いいたします。

警告マークを付した項目は、ガラス破損等による事故防止のために、特に重要な 事項が説明されています。必ずご一読いただきますようお願いいたします。 注意マークを付した項目は、商品の劣化などを防止するための品質保持に関する 事項が説明されています。

ガラスの品種・呼び厚さ・納まりのご設計にあたっては、

下記事項をご考慮ください。

●‌‌‌商品仕様を十分ご確認の上、商品を選択して ください。 ●‌‌‌省エネ・安全・防火・意匠など、求められる機 能からガラスの「品種」をお選びください。 ●‌‌‌ガラスの使用部位・寸法などの条件から、必 要な技術検討を実施頂き「呼び厚さ」をお選 びください。 ●‌‌‌呼び厚さ・最大寸法などの品揃えは、ガラス の品種ごとに異なりますので、総合カタログ 商品編各商品の「バリエーション」欄および 第16章の「製品の種類と寸法一覧表」を今一 度ご確認ください。 ●‌‌‌ガラスを安全に末永くお使い頂くため、「納ま り」などガラス周辺のご検討も合わせてお願 いいたします。 ●‌‌‌商品の仕様によって、その商品独自のご注意 のみならず、商品を構成するガラス素板それ ぞれのご注意にも合わせて配慮いただく必要 があります。

設計上のご注意

(3)傾斜面でガラスを使用する際の強度検討 例えば、トップライトや傾斜面の窓等、垂直以 外の角度でガラスを使用される場合は、風圧・ 積雪荷重・ガラス自重の組み合わせによるガラ スの破損を防止するため、特別な強度検討を実 施の上、ガラスの品種・呼び厚さをご選定くださ い。また、万一破損した場合のガラス破片落下 による事故を防止するため、合わせガラスの使 用・飛散防止フィルム貼付・網入板ガラスの使用 等、落下防止措置を必ず講じてください。 <4-2参照> (4)特殊な荷重を受ける場合の強度検討 例えば、棚板や床等、特殊な集中荷重を受ける 部位にガラスを使用される場合は、特殊支持条 件のもとでの強度検討を実施の上、ガラスの品 種・呼び厚さ等をご選定ください。また、床材と してガラスをご使用になる場合は、ガラス破損 時の人体落下事故を防止するため、必ず合わせ ガラスをご使用頂き、万一、ガラスが1枚破損し た場合でも、非破壊のガラスで設計荷重に耐え られるようにご設計ください。<4-2参照> ガラスを安全に 末永くお使い頂くために

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(5)水圧に対する強度検討 例えば、水槽やプールののぞき窓のように、長 期にわたって水圧を受ける部位にガラスを使用 される場合には、万一のガラス破損時でも二次 的損害を防止できるように特別な考え方に基づ く強度検討を必ず実施の上、ガラスの品種・呼 び厚さ等をご選定ください。<4-8参照> 熱割れを防止するための検討 例えば、熱線吸収板ガラス・熱線反射ガラス等 の日射吸収率の高いガラス、網入板ガラス・呼 び厚さの厚いガラス等のエッジ強度の比較的小 さいガラスをご使用になる場合、網入板ガラス を用いた複層ガラス等※をご使用になる場合は、 日射によるガラスの熱応力破壊(熱割れ)を防止 するため、熱割れ強度をご検討の上、ガラスの 品種・呼び厚さ・窓枠の種類・窓枠への納まり・ カーテンやブラインドの種類等をご選定くださ い。また飛散防止や遮熱・遮光等の機能を持っ たフィルム等を貼る場合は、必ずフィルムメー カーにて熱割れ計算を行ってください。 ※・‌‌サンルックス、サンカットΣと網入板ガラスを用 いた合わせガラス・複層ガラス  ・‌‌Low-Eガラスと網入板ガラスからなるサンバラ ンス  ・‌‌フロート板ガラスと網入板ガラスからなるペアガ ラス <4-6参照> 地震時のガラス破損を防止する ための納まり検討‌ 地震時の建物の変形(層間変位)によって窓枠が 変形する場合、はめ込み枠とガラスとのエッジ クリアランスによって変形を吸収して、ガラスの 破損を防ぎます。窓枠の変形量に対して十分な エッジクリアランスを確保してください。 <4-7参照> 日本建築学会ではエッジクリアランス等の標準 的な寸法について、「建築工事標準仕様書17番 ガラス工事(JASS17)」に基準を定めています。 <総合カタログ商品編第16章の「板ガラスの納 まり寸法標準」参照> また、硬化性パテを用いたグレイジングでは、 はめ込み枠とガラスとの変形を拘束して破損の 原因となります。弾性シーリング材、またはグレ イジングガスケットによるグレイジングをご採用 ください。 雨水などによるガラスの品質低下 を防止するための納まり検討‌ 網入・線入板ガラス、複層ガラス、合わせガラ スを使用される場合には、雨水等による下記の 品質低下を防止するため、止水性・排水性が確 保できる納まりとしてください。特に、ガラス小 口を露出するような納まりや、水抜き孔のない サッシ、ビード、ガスケットの使用は避けてくだ さい。 <総合カタログ商品編第16章の「板ガラスの 納まり」、「板ガラスの品種ごとの標準納まり」、 「設計・施工上のご注意」参照> (1)網入・線入板ガラス→線材が錆びてエッジ 強度を低下させ、錆割れや熱割れの原因となり ます。 (2)複層ガラス→封着材が劣化して内部結露の 原因となります。 (3)合わせガラス→特殊フィルムが劣化して「シ ミ」や膜剥離の原因となります。 ガラスの加工に関するご注意‌ (1)切り欠き加工、孔明け加工   切り欠き・孔明け加工をすると、切り欠きの入 り隅部・孔部の強度が著しく低下する場合があ ります。外力のかかる部位にはご使用にならな いでください。止むを得ずご使用になる場合は、 強化ガラス・強化合わせガラス等をご使用くだ さい。 (2)フロスト加工  フロート板ガラスの表面をフロスト加工すると、 曲げ強度は型板ガラスと同程度の水準に低下し ます。耐風圧設計にあたっては、型板ガラスの 強度係数を用いてください。 (3)強化加工、倍強度加工、合わせ加工、複層加工 ガラスの品種によって、加工できないものがあり ます。 総合カタログ商品編のテンパライト(強化)、HS ライト(倍強度)、ラミセーフ(合わせ)、ペアガラ ス(複層)の各商品ページをご覧ください。 その他のご注意‌ (1)水掛かり部分にガラスをご使用になる場合 噴水、浴室、冷却塔周辺など、ガラス表面で水 分の濡れと乾燥が繰り返されるような部位に使 用しますと、ガラスからの溶出成分と空気中の 炭酸ガスが反応固着するなどして、ガラス表面 を白濁させてしまいます。固着物を取り除くた めには、表面を機械的に研磨するしか方法はな く、状況によっては取れなくなる場合もありま す。 (2)ガラスを傾斜面でご使用になる場合 トップライトなどでガラスを傾斜面で使用する 場合、夏場日中など太陽高度の高い時間帯の日 射が、水平に近い角度で反射した場合、周囲の 人の目に入り眩しさを感じさせる可能性があり ます。太陽の反射光が周囲の建物などに影響を 与える場合、設計段階からメーカー、施工業者 とも相談の上、周辺の迷惑にならないよう、ご 検討頂くようお願いいたします。なお、AGCアメ ニテック(株)では、反射光軌跡シミュレーショ ンを有料でお受けいたしております。 <9-1参照> (3)その他の特殊なご使用方法については、そ の都度安全性をご確認ください。 1-1-2 ガラスを安全に 末永くお使い頂くために

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ひび(クラック)の生じたガラスは 放置しないでください。‌ ガラスに生じたクラックは、それが小さいもので あっても強度を著しく低下させます。 クラックの生じたガラスは、手で軽く押したり、 比較的弱い風が吹いただけで破損する事があり ますので、放置せずにできるだけ早い時期にガ ラスをお取り替えになることをお薦めいたしま す。また、ガラステーブル天板・強化ガラスドア の周辺部などの特殊な面取り加工を施したもの を除いて、一般にガラスのエッジ部分は非常に 鋭利で危険です。ガラスのお取り替えにあたっ ては、専門の工事業者様へご用命ください。 トップライト等のガラスの上には、 絶対に乗らないでください。‌ トップライト等に使用されているガラスは、通 常、人体による集中荷重に対する強度検討は実 施されていません。例えば、トップライトガラス を清掃する際など、ガラスには絶対に乗らない でください。 網入板ガラスや合わせガラスを使用している場 合でも、絶対に乗らないでください。 ガラスの熱割れにご注意ください。‌ 次のようなことをすると、ガラスに熱をこもらせ て「熱割れ」の原因となります。 ・‌‌飛散防止や遮熱・遮光等の機能をもったフィル ム等を貼ること ・‌‌ガラス面に密接して物を置いたり、立て掛けた り、衣類、クッション類を干したりすること ・‌‌段ボール箱などを室内ガラス面に近づけて置 くこと(一時的な仮置きも含む) ・‌‌ロッカーやパーティション、家具などをガラス 面に近づけて設置すること ・‌‌カーテンやブラインド等をガラスの全面もしく は一部に密接させること(束ねたときも) ・‌‌冷暖房の吹き出し空気や熱を直接ガラス面に 当てたり、強い照明を当てること ・‌‌窓ガラスの内側に紙などを貼ったり、ペンキな どをぬること ・‌‌窓ガラスに特殊な影を落とすこと(設計段階で 考慮されたものを除く) 熱線反射ガラスの傷‌ 熱線反射ガラスなどのコート面を、硬いもので こすりますと傷になります。一度ついた傷は補 修ができませんのでご注意ください。 ●‌‌‌ガラスの清掃方法について ガラスの清掃方法については、総合カタログ商 品編<第16章の「板ガラスの汚れと清掃方法」 >をご参照ください。 ●‌‌‌おことわり ガラス表面のキズ、泡などを含め製品品質につ いてはJIS規定の範囲内で生産管理されており ます。規定の範囲内で許容される出現事象につ いてはガラスの性能に支障ありませんので安心 してお使いください。(建築用以外の特殊な用途 についてはこの限りではありません) 納まりの確認‌ 施工されるガラス品種・呼び厚さに適した納ま りになっているかどうか、下記事項に関してご確 認をお願いします。<総合カタログ商品編第16 章の「板ガラスの納まり」、「設計・施工上のご 注意」、「板ガラスの納まり寸法標準」参照> (1)ガラス品種に応じた構法となっているかどうか。 (2)所定のかかりしろ、クリアランスが確保でき ているかどうか。 (3)セッティングブロック、バックアップ材、シー リング材、グレイジングガスケットなどが適切に 選定されているか。 採寸・ご発注   次のガラスは現場切断が不可能または困難なた め、正確な寸法で原寸発注をお願いします。 強化ガラス、倍強度ガラス、複層ガラス、合わせ ガラス、呼び厚さの厚いガラス(8ミリ以上)。 切断、面取りなどをされる場合‌ (1)ガラスは、できるだけきれいに切断(クリー ンカット)してください。 (2)糸面取りや切り口修正などでサンダーを使 用する場合は、#120以上のできるだけ細かい 番手のものをご使用ください。また、グラサー ド用ガラス、熱線反射ガラス、二辺支持のガラ スなど、エッジ強度を確保するために特別な面 取り加工を施してある製品の小口を損傷してし まった場合の修正は、当該面取り加工と同等の 加工が必要となります。 はめ込み溝の確認‌ はめ込み溝内部に、地震時にガラスエッジに接 触するビスなどの突起物がないかどうか、また、 水抜き孔が塞がっていないかどうかをご確認く ださい。 養生‌ (1)ガラスに「ガラス注意」などの貼り紙を貼る 場合には、マスキングテープなどをご使用くだ さい。でんぷん質系の糊は、ガラス表面剥離の 原因になりますので使わないでください。 (2)ガラスのはめ込み後、吹き付け材などの汚 れが付く恐れのある場合には、塩ビシートなど をガラス面に貼り付けて養生してください。 (3)ガラスのはめ込み後、溶接火花がかかる恐 れのある場合は、薄鋼板または合板などで必ず 養生をしてください。溶接火花による傷は補修 できません。

使用・メンテナンス上のご注意

施工上のご注意

ガラスを安全に 末永くお使い頂くために

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強化ガラス 強化ガラス(耐熱強化ガラスを含む)は、一部に 破損が起こると応力のバランスがくずれて瞬間 に全面破砕します。これにより、ガラスが脱落し て開口部が開放状態となることがあります。 また、ガラス表面の傷やガラス中の引張り応力 層に残存する不純物の体積変化に起因し、外力 が加わっていない状態で不意に破損することが あります。強化ガラス(耐熱強化ガラスを含む) の性質を十分ご理解の上、使用部位をご決定く ださい。また、必要に応じ、合わせガラス加工・ 飛散防止フィルム貼付等の飛散防止処理を講じ てご使用ください。 <「8-1‌強化ガラス」参照> 倍強度ガラス 倍強度ガラスは、ガラス表面の傷やガラス中の 引張り応力層に残存する不純物の体積変化に起 因し、外力が加わっていない状態で不意に破損 する可能性があります。 倍強度ガラスの性質を十分に理解の上、使用部 位をご決定ください。 網入・線入板ガラス 網入・線入板ガラスをご使用になる場合、例え ば、エッジを露出して使用したり、排水機構が 機能しない等の理由によって、雨水等がガラス エッジ部に滞留すると、エッジ部分の線材を錆 びさせ、その体積膨張によってガラスエッジ付 近に微小なクラック(ひび割れ)を生じさせるこ とがあります。このクラックは、熱割れの原因に なります。網入・線入板ガラスのご使用にあたっ ては、サッシの排水機構など納まりについて十 分ご検討ください。また、グレイジングチャンネ ルなど、排水が難しい納まりでのご使用は、な るべくお避けください。AGCは、網入・線入板 ガラス製品エッジ部全周に防錆処理を施してい ます。お客様がこれらの製品を切断されてご使 用になる場合、切断した全てのガラスエッジ部 に防錆処理を必ず施してください。 複層ガラス、合わせガラス 複層ガラス、合わせガラスを使用される場合に は、雨水等による下記の品質低下を防止するた め、はめ込み枠下辺に水抜き孔を設けたり、弾 性シーリング材によるグレイジングを行うなど して止水性・排水性を確保してください。また、 ガラス小口を露出するような納まりは避けてく ださい。 複層ガラス→封着材が劣化して内部結露の原因 となります。 合わせガラス→中間膜が劣化して「シミ」や膜 剥離の原因となります。 ミラー・壁装ガラス・装飾ガラス ミラー・壁装ガラス・装飾ガラスの一部などは、 内装専用となっています。外装使用した場合、日 射によって変退色・剥離・熱割れなどの品質低 下を生じることがあります。また、内装に使用す る場合でも、直射日光が当たる部分にはなるべ くご使用にならないでください。

次のガラスをご使用になる場合は、特にご注意ください。詳しくは総合カタログ商品編第16章の「設計・施工上のご注意」をご参照ください。

ガラス施工店、 販売店の皆様へ (1)‌強化ガラスおよび倍強度ガラスの注意すべき性質 について、お客様に十分ご説明をお願いいたしま す。 (2)‌使用予定部位をご確認頂き、必要に応じて飛散防 止処理をお客様にお薦めして頂くようお願いいた します。 1-1-4 ガラスを安全に 末永くお使い頂くために

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板ガラスの特徴

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●建築と板ガラス ガラスが初めて建築に使われたのは、ローマ時 代といわれています。紀元前79年、ベスビオス 火山の噴火で埋没したポンペイの住宅に使われ ていました。その時代から、ガラスの基本的な 材質はさほど変化はありませんが、現在では技 術の進歩により、いろいろな種類の板ガラスや、 非常に大きい面積の板ガラスが造れるようにな りました。 今やガラスは鉄・コンクリートとともに、現代建 築を支える重要な建築材料となっています。 ●ガラスの透明性 一般的に、天然の固体物質は固有の結晶構造を 持っています。例えば食塩(NaCl)はナトリウム (+イオン)と塩素(−イオン)の結合で規則的に 安定した構造を形成しています。 これに対しガラスの構造は結晶のような規則 性を持ちません。これをモデル的に表したのが 図 1です。物体に光(可視光線)が当たると反 射、吸収、透過のいずれかをしますが、ガラスは その表面で可視光線を反射することが少なく、 また、内部で吸収することなく、結晶がなくて方 向性もないので乱反射もせずまっすぐに通すため 「透明」なのです。 ●光・熱と板ガラス 光とは、太陽から届く電磁波のことで、人の住 む地上にはその一部、波長の短い紫外線から可 視光線、および波長の長い赤外線までが届いて います。この太陽光に含まれるエネルギーが、 地球の生物を育て養っています。 ガラスは、300nmから2700nmまでの波長をよ く透過させるので、太陽の光を屋内に取り込む には良い材料です。(図 2参照) ガラスとは何なのでしょう。アメリカ工業規格協 会では、「結晶を析出することなく、溶融体が冷 却固化した無機物」と定義されています。無限 に大きい粘性を持った液体ともいわれています。 結晶を析出しない均質等方性材料であり、結晶 粒の境界での光の拡散がなく、ガラスの特徴で ある高い透光性を持っています。このガラスの 表面を平行で平滑にすることで高い透視性を持 たせることが可能です。逆に、板ガラスの表面を 粗くすることで、高い透光性を保ったまま、透視 性に変化をつけることもできます。(図 3参照) ガラスの原料に微量の金属類を添加することで 着色し、光の吸収率を制御することもできます。 また、ガラス表面に金属や金属酸化物などの非 常に薄い膜をコートすることで光の反射率を制 御することもできます。このようにして、光の透 過・反射・吸収をコントロールした板ガラスを 造ることができます。 ガラスの熱伝導率は、金属の数十分の一以下 で、それらに比べて熱を伝えにくい材料ですが、 断熱性の高い乾燥空気等を挟み込みユニット化 (複層ガラス)することで、さらに窓としての熱 性能を向上させることも可能です。 ●ガラスのひずみと応力 グラスのマークが、小包の注意書記号にも使わ れるほど、ガラスは壊れやすい物の代表とされ ています。 一般的に、金属などの材料は外部から力が作用 すると、その力に応じてわずかに変形し、同時に その力に対抗するように、材料内部に力が生じ ます。工学的には、変形の割合を「ひずみ」と呼 び、単位面積当たりの内部の力を「応力」と呼ん でいます。外部からの力が小さいときには、応力 とひずみの値は小さく、外部の力が大きくなる ほど、ひずみと応力は大きくなって、最終的にあ る限界を超えると、この材料は破壊してしまい ます。金属やプラスチックは、ひずみと応力の関 係が比例する部分と、比例しない部分からなり ます。一方、ガラスは破壊するまでひずみと応力 が、ほぼ比例関係にあります。つまり、力を加え 続けると、ある時不意に破壊する性質があるこ とを示しています‌。 図 4に各材料のひずみと応力の関係を示しま す。 16 14 12 10 8 6 4 2 0 200 300400500 1000 2000 3000 4000 5000 100000 100% 50% フロート板ガラス10ミリ フロート板ガラス3ミリ 透過率(%) 太陽光 分光エネルギー分布 (左目盛) 紫外線 可視光線 近赤外線 遠赤外線 波長(nm) 透過率 太陽光線の分光エネルギー W/m2・μm ×100 図 2 図 1 図 3 図 4 ひずみと応力の関係 太陽光 太陽光 鋼鉄 ←破壊 ひずみ ガラス プラスチック 応力 太陽光 太陽光 鋼鉄 ←破壊 ひずみ ガラス プラスチック 応力 結晶状態のモデル図 (−)イオン (+)イオン 反射 ガラス状態のモデル図 (−)イオン (+)イオン 光 透過 建築用板ガラスの一般的な話

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●ガラスの実用強度 ガラスの破壊は、ガラスを構成する原子と原子 の結び付きを引き離すことで起こります。原子 と原子との間に働く引力(原子間力)から理論 的に計算された強度は、約29,420N/mm(約2 300,000kgf/cm2)にもなります。これをガラス の理論強度といいます。しかし、建築に使われ る板ガラスの実用的な強度は、49〜98N/mm2 (500〜1,000kgf/cm2)程度しかありません。 なぜこのように理論強度と大きな差があるので しょうか。これは、ガラスの表面に無数にある、 目にみえない微小な傷が原因です。このような 微小な傷は、ガラスの破壊現象を理論付けた A.A.Griffithにちなんで、グリフィス・クラック(グ リフィスの傷)と呼ばれています。(図 5参照) ガラスに力が作用すると、ガラス表面に理論強 度よりもはるかに小さい応力しか生じさせない 力でも、それら微小な傷の先端では応力集中に より大きな応力となります。継続的に応力が作 用するとその傷は深く成長して大きな亀裂とな り、ついには破壊にいたります。このような破壊 のメカニズムから、ガラスの割れは、引張り応力 によって表面から発生し、理論強度よりはるか に小さな力でも、通常のガラスは割れてしまい ます。 ●板ガラスの強度特性 ガラス強度の特徴として、バラツキが非常に大 きいこと(図 6参照)、荷重速度や荷重時間、ガ ラスサイズによっても破壊強度が変化すること がわかっています。 バラツキが非常に大きい理由は、ガラス表面に 存在する微小な傷の大きさ・方向・分布が不規 則なためです。 荷重速度や荷重時間による強度の変化は一般的 にガラスの疲労と呼ばれており、荷重速度が小 さいほど、また荷重時間が長いほど、強度は小 さくなります。(表 1 表 2参照) ガラスサイズによる強度変化は寸法効果と呼ば れるものであり、ガラスサイズが大きくなるほ ど、強度は小さくなります(図 7参照)。これは ガラスサイズが大きくなると、相対的に大きな 微小な傷を含む確率が増すためと考えられま す。 そのため、同じ生産工程でつくられたガラスを 同じ条件で試験をしても、得られる結果は同じ にはなりません。また、ガラス製造後の取扱い 状態や保存状態も、強度に影響を及ぼします。 特に、エッジ部分や孔周りは、表面より傷が付 きやすいため、ガラス面内での強度より弱くな ります。 0 6 8 10 12 14 16 18 5 10 15 20 25 30 破壊試料数 強度(100kg/cm2 140 130 120 110 100 90 80 0  2  4  6  8  10  12 試料の幅(cm) 破壊応力(N/mm 2) 化学処理法による 表面欠陥の検出 イオン交換法によるGriffith-crackの分布の検出(ひびわれ の数を減少させるために適当 にHF処理を行った表面) グリフィスの傷 図 5 破壊強度のバラツキ 図 6 図 7 強度のサイズ効果 (引用文献:A.J.Holland‌and‌W.E.S.Turner: J.Soc.Glass‌Technol.,20,1936) 図 5‌〜‌図 7 表 1 表 2 参考文献/森谷他:ガラス工学ハンドブック,朝倉書店, P194−203,1963 2-1-2 建築用板ガラスの一般的な話

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より高い強度が必要な場合には、引張り応力の 一部を打ち消す圧縮応力を、物理的または化学 的にガラス表面に導入して、より強いガラスとす ることも可能です。強化ガラスや倍強度ガラス などは、この原理を応用しています。 ●板ガラスの破壊と設計強度 ガラスは傷の状態で強度が変るために、ある特 定の板ガラスの強度を正確に予測することはと ても難しいことです。強度を推定する方法の1つ として、実大の試験体に荷重をかけて何枚も破 壊試験を行い、その結果を統計処理することが 挙げられます。これにより実用上ほとんど破壊 しない荷重(または応力)を得ることができます。 しかし何十枚の破壊試験を行っても、100%破 壊しないという荷重をその結果から得ることは できません。あくまでも、破壊の発生する確率 がより小さい荷重(または応力)が示されるだけ です。 一般的に、建築用板ガラスでは、その強度の設 計値(許容値)には、約1/1000の破壊確率とな る荷重または応力を採用しています。これは、設 計値とした荷重の負荷のもとで1000枚のなか の1枚が破壊する可能性があるということです。 ガラスの技術資料等に示される破壊荷重や許 容荷重のデータは、窓ガラスとして実際に使用 される取扱い状況や大きさ等を考慮した試験体 を用い、実際の風荷重の継続時間を考慮した破 壊試験を数多く実施して得られた結果を基本に しています。近年では、数多くの同心円曲げ試験 (図 8参照)によりガラスの各品種の強度係数 を求め、数値シミュレーションからガラスの応力 分布を解析し、強度係数と応力分布を破壊確率 式に代入して許容荷重を算定する新しい方法が 開発され、平成12年建設省告示第1458号では この技術から得られた結果が反映されています。 板ガラスの強度は、荷重が作用する形態、継続 時間、支持される方法等によっても変ってきま す。特に、支持条件によってはガラスエッジに大 きな応力が発生する場合がありますので、エッ ジ強度についても荷重の負荷時間や強度のバラ ツキを考慮して許容応力を定めています。 特殊な場合のガラスの強度設計では、許容応力 (または許容荷重)と、材料力学の計算または 数値シミュレーションによる解析から得られる 発生応力(または発生荷重)から決められていま す。 強度の荷重速度の効果 表 1 強度の荷重時間の効果 表 2 (引用文献:L.V.Black:Bull.Am.Ceram.Soc.,15,1936) 厚さ(mm) 荷重速度(N/s) 破壊応力(N/mm2 2.97 2.92 2.97 2.97 2.97 2.90 15.7 5.2 1.8 0.6 0.21 0.07 74.0 62.3 53.0 48.1 47.1 44.6 (引用文献:R.E.Mould‌and‌R.D.Southwick:Am.Ceram.Soc.,42,1959) 荷重時間(s) 破壊応力(N/mm2) A B C 0.0025 0.012 0.05 0.226 0.82 4.0 15 60 600 66.7 63.3 58.3 53.0 49.5 46.1 41.2 37.3 32.9 − 96.1 89.7 81.9 80.4 66.7 58.8 51.0 42.7 56.9 53.4 47.1 42.7 36.3 32.4 30.4 26.0 22.1 支持リング 荷重リング 同心円曲げ試験 図 8 建築用板ガラスの一般的な話

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●外力と破砕模様 窓ガラスを破壊する外力としては、風・雪・地 震・太陽熱のような自然の力と、人や物がぶつ かるような人工的な力があります。外力が作 用した場合の、ガラスの破砕状況を示します。 (図 9〜図12参照) ガラスは使用方法を間違えると、その破片によ り人を傷つける恐れのあるものですが、正しく 使用すれば、快適な環境を提供してくれるもの です。 建築用板ガラスを正しく安全にお使い頂くため に、考慮して頂きたい事柄をまとめた、巻頭の 「ガラスを安全に末永くお使い頂くために」を 必ずご参照ください。 また、強化ガラスを使用するうえで、考慮して 頂きたい事柄をまとめた、「8-1‌強化ガラス」の ページも合わせてご参照ください。 分布荷重 図 9 集中荷重(集中度強い場合) 図 11 集中荷重(集中度弱い場合) 図 10 衝撃荷重(高速) 図 12 2-1-4 建築用板ガラスの一般的な話

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板ガラスの製造法・加工法

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1製造法 ●フロート板ガラス 熔解したガラスを溶融した金属の上に浮かべて 製板する方法。 熔解槽内で熔解された高温ガラス素地を一定 温度に調節、連続的にフロートバスに流し込み ます。この約1600度の熱で熔解されたガラスは 熔融金属(すず)の上を浮かびながら広がり、流 れていく過程で温度降下とともに固化、均一な 板幅と厚みを持った帯状の板ガラスになります。 <図 1参照> ●型板ガラス(ロールアウト法) 2本の水冷ロールの間に、直接熔解したガラス を通して製板する方法。 製板の際、下ロールに彫刻した模様で、ガラス 面に型板ガラスの模様を刻み込み、連続した帯 状で徐冷窯に送ります。そして、その出口で一定 の寸法に切断し、製品化します。 <図 2 図 3参照> ● 網入板ガラス、線入板ガラス (ロールアウト法+金属網・線の挿入) ガラスの溶融生地を2本のロール間を通過する 過程で成型する際に、厚みの中に金属網や金 属線を挿入する方法。挿入したままでは表面の 平滑性がなく、製造後に両面を平滑に磨く工程 を加えると、網・線入磨き板ガラスとなります。‌ <図 4参照> ●磨き板ガラス 連続式片面磨方式:研磨によって平行平面を 持った板ガラスをつくる方法。 ロールアウト法によって製板した素板を、連結 した鉄製のテーブルに石膏で連続して貼り付け、 一定のスピードで進行させながら、粗ずり工程 で鋳鉄製の回転研磨盤にケイ砂、アランダムな どの研磨材と水を供給してガラスを平らに削り ます。次に研磨工程に入り、フェルト製の回転 研磨盤に酸化セリウムと水を供給しながら細か い凹凸を取り去って平滑面に仕上げます。こうし て片面を仕上げたガラスは、テーブルからはぎ 取り、反転してもう一方の面を仕上げ、製品化 します。 <図 5参照> 熔解窯 フロートバス 切断 製品 徐冷窯 熔融金属 原料 雰囲気ガス ヒーター 原料 熔解窯 徐冷窯 製品 切断 ロールアウト法 ロールアウト 製板機 型ロール フロート法 熔解窯 フロートバス 切断 製品 徐冷窯 熔融金属 原料 雰囲気ガス ヒーター 原料 熔解窯 徐冷窯 製品 切断 ロールアウト法 ロールアウト 製板機 型ロール フロート法 石膏 PLASTER 貼付 SETTING 戻り線 RETURN LINE アランダム ALUNDUM 酸化セリウム CERIUM OXIDE ポリッシャー POLISHERS 台車 TABLE 板取 TAKE OFF 洗浄 WASHING グラインダー GRINDERS 素板 ROUGH PLATE 検査 INSPECTION 切断 CUTTING 包装 PACKING 出荷 SHIPPING RETURN LINE 戻り線 ケイ砂 SILICA SAND フロート板ガラス製造工程図 図 1 型板ガラス製造工程図 図 2 圧ロール 圧ロール 型模様 ロール 金属網 成形部の断面<型板ガラス> 図 3 圧ロール 圧ロール 型模様 ロール 金属網 成形部の断面<網入板ガラス> 図 4 磨き板ガラス製造工程図 図 5 建築用板ガラスの一般的な話

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高遮蔽性能熱線反射ガラス、Low-Eガラス製造工程図 図 6 建築用強化ガラス製造工程図 図 10 複層ガラス製造工程図 図 8 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ← ← ← ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 素板受入 洗浄/乾燥 板   組 二次封着 二次封着材受入 乾燥/養生 検  査 マーク打ち 包   装 出   荷 スペーサー加工 スペーサー組立 吸湿剤封入 一次封着材塗布 スパッタリング模式図 図 7 ターゲット材 板ガラス 衝突 イオン化 コーティング膜 ターゲット元素 Ar Ar Ar Ar Ar Ar Ar Ar 検査 切断 出荷 スパッタチャンバー (真空室) 入口チャンバー (真空調整室) 出口チャンバー(真空調整室) スパッタリング パレット詰め バルブ バルブ ・フロート板ガラス ・網入磨き板ガラス 素板受入れ 建築用合わせガラス製造工程図 図 9 素板受入れ 切   断 面   取 → → → → 本圧着 (オートクレーブ)圧力窯 検   査 マーク打ち 包   装 出   荷 → → → → 積層 洗浄・乾燥 予備圧着 ガラスの間に 中間膜を挿入 素板受入れ 切   断 面   取 洗 浄 ・ 乾燥 → → → → → 検   査 (ノンソーク品の場合) マーク打ち   装 出   荷 → → 平面・強化炉 加熱・保温 ヒートソーク処理 加熱 急冷 ●高遮蔽性能熱線反射ガラス スパッタリング法により、ガラスの表面に特殊な 金属を薄くコーティングしてつくる方法。スパッ タリング法とは、大きな容器の中を真空にし、 特殊ガスを極微量注入後、電圧をかけることで 製膜する方法です。チタン・ステンレスなど、金 属の組み合わせと厚み構成によって、異なった 性能・色調がつくれます。スパッタリングされた ガラスは、注文に応じて、切断・面取り加工工 程を通って製品化します。<図 6 図 7参照> ●Low-Eガラス 低放射複層ガラス「サンバランス」を構成する Low-Eガラスは、スパッタリング法により、ガラ ス表面に銀や酸化スズ等の金属を薄くコーティ ングします。<図 6 図 7参照> ●複層ガラス 通常2枚(特殊な場合は数枚)の板ガラスをス ペーサーで一定間隔に保ち、その周囲を封着材 で密封します。スペーサーに封入した吸湿剤で、 内部の空気が乾燥状態に保たれるようになって います。<図 8参照> ●建築用合わせガラス 2枚またはそれ以上のガラスの間に、透明で接 着力の強い樹脂中間膜をはさみ、油圧または空 気圧のオートクレーブ(圧力窯)に入れ、120〜 130℃、1.47N/mm(約15kgf/cm2 2)で圧着し 製品化します。<図 9参照> ●建築用強化ガラス 板ガラスを強化炉に入れ、ガラスの軟化温度近 くの650〜700℃まで加熱し、その後、ガラス両 面に空気を一様に吹き付けて急冷します。表面 が先に固化し、安定した圧縮応力層ができ、耐 風圧強度が同じ呼び厚さのフロート板ガラスの 約3倍になります。 <図 10参照> 2-2-2 建築用板ガラスの一般的な話

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●ミラー ガラスの表面に、銀・銅の金属膜、さらにその上 に塗料をコーティングする方法。研磨材とブラ シを使って表面をクリーニングし、錫溶液をスプ レーして表面の活性化処理を施し、銀溶液をス プレーして銀メッキを施します。さらに耐久性を より高めるため、銅溶液をスプレーして銅メッキ を施しこれらの金属膜を保護し、耐久性を持た せるための塗料を上からコーティングします。そ の後、ヒーターで塗料を乾燥させ、洗浄して汚 れを落とし、検査工程を経てパレットにつめら れて製品化します。<図11参照> 2加工法 ①表面加工 a)サンドブラスト 金剛砂を吹き付けてガラス表面を粗くしたり、 彫り込んだりする加工です。図柄の彫り込み、つ や消し加工、さらに孔明けや切り欠き加工にも 応用します。 b)エッチング/フロスト(タペストリー)加工 いずれもフッ酸によって、ガラス表面を腐蝕させ 凸凹面を作り出す加工です。 エッチング:サンドブラストで彫り込んだ模様 をなめらかに仕上げます。一般に、彫りの深い 彫刻的な模様を主体とした、店舗や住宅の装飾 ガラスに用います。 フロスト(タペストリー)加工:サンドブラストで ガラス表面を一様に細かく粗くしてすりガラス 状にしたものを、フッ酸によって半透明にする加 工です。 c)Vカット ガラス表面に、彫刻刀で彫ったようなV字型の 溝をつくる加工です。研磨部分がV字型に突き 出したペンシル型ホイールで研削し、V型の溝 幅、深さ、角度およびカットの配置によって、ガ ラスを何枚も段積みしたような視覚効果が得ら れます。ただし、溝の深さや方向によって、ガラ スの強度が著しく低下するため、外窓やテーブ ルトップなどガラス強度を期待して使用する用 途には向きません。 d)シルク印刷 ガラス表面への印刷技術として代表的なもの で、シルク版によってサイン、商標なども印刷で きます。 e)セラミックプリント フロート板ガラスにセラミックのインキをシルク スクリーン印刷し、熱処理の過程で同時に焼き つけたものです。セラミックインキの使用により 耐久性に優れ、また熱処理を行うため、強化ガ ラス・倍強度ガラスと同等の強度となるタイプ があります。 f)シート貼り カッティングシートを貼り、シルク印刷と同様の 視覚効果を得ることができます。 g)その他 金属膜をコーティングする特殊加工があります。 銀引き加工によるミラー、スパッタリングによる サンルックス、サンカットΣ、Low-Eガラスなど が加工の代表例です。 ②切断 ガラスの切断は、紙や木などと異なり「折る」ま たは「割る」というのに近い方法で行われます。 この切断の原理は昔からのもので、現在も使わ れている代表的な切断方法、切削方法には次の ようなものがあります。 a)カッターによる切断 ダイヤモンド・カッターやホイール・カッターで 割れ目(にゅう)を入れて、そこに力を加えて折り ます。 b)ダイヤモンド・ソウによる切断 ダイヤモンドを埋め込んだ一種のグラインダー を用い、ガラスを少しずつ削り取りながら切り 離していきます。主に厚いガラスやガラスの塊の 切断に適しています。 c)サンドブラスト 金剛砂を圧縮空気によってガラス面に吹き付け、 ガラスを切削しながら切断します。カッターによ る切断が難しい場合(角孔明け等)に適していま す。<図12参照> d)ウォータージェット 金剛砂を混ぜた水をガラス面に高速で吹き付 け、ガラスを切断します。厚いガラスや複雑な形 状の切断に適しています。 ③孔明け・切り欠き加工 a)丸孔明け 加工手段にもよりますが、最低直径3mm以上 からできます。ただし、ガラスエッジに極端に近 接する加工はできません。 b)角孔明け コンセントなどのための加工です。ただし、孔の コーナーは、強度上必ず若干R角に仕上げます。 c)切り欠き 梁などを避けるために、ガラスを切り込む加工 です。しかし、この加工を行わず、割り付け施工 した方が、ガラス強度を損なわず、コスト面でも 好ましい結果が得られます。 孔明け・切り欠き加工 についてのご注意 孔明け・切り欠き加工をすると、切り欠きコー ナー部・孔部の強度が、著しく低下する場合が あります。外力のかかる部位には、ご使用になら ないでください。やむを得ずご使用になる場合、 強化ガラスをご使用ください。 ガラス素板 銀 銅 下塗り塗装 上塗り塗装 ミラー構造図 図 11 図 1、図 2出典:「日本の板ガラス」板硝子協会 直線切り 曲線切り 丸切り(150 以上)φ 図 12 建築用板ガラスの一般的な話

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④周辺(エッジ)加工 ガラスの周辺(エッジ)加工とは、ガラスの切り 口を研磨または研削することです。これは、ガラ スのエッジや小口を露出して使用する場合の化 粧を目的とするほか、エッジを切断したままの 鋭利な状態では危険なことや、板ガラスの強度 低下につながる切断面のハマ欠けなどを防止す るために行います。加工には、①単に切断面を 磨くだけの場合(コバ磨き)、②切断面をある形 状に研削する場合(面取り加工)があり、それぞ れについて次のような分類があります。(A)研磨 の仕上げ程度による分類、(B)断面形状による 分類<表 1参照>‌ ⑤曲げ加工 AGCでは曲げ加工を受注しておりません。各商 品の曲げ加工につきましてはガラス工事店にご 相談ください。 ガラスを軟化温度付近(約620〜630℃)に加熱 して、型に沿って曲げるものです。さまざまな曲 げの種類がありますが、フレームの取り合いな ど、事前の打合わせが特に重要になります。一 般的には、生曲げ加工品ですが、このほかに強 化曲げ加工、合わせ曲げ加工があります。 ⑥強化加工 板ガラスを軟化点近くまで加熱してから、常温 空気を均一に吹き付けて急冷し、強度を増大す る加工です。強化されたガラスは、耐衝撃強度 が未加工のものの3〜5倍、等分布荷重も同様に 3〜5倍になります。また万一割れた場合には、 破片は粒状になります。さらに温度の急変にも 耐えます。 ⑦合わせ加工 2枚の板ガラスの間に、柔軟で強靭な樹脂中間 膜をはさむ加工です。破片が飛び散らない、衝 撃物が貫通しにくいなどの特性があります。 表 1 周辺加工の分類      ◎通常使用される仕上程度 ○あまり使用されない仕上程度 研磨の仕上げ程度による分類 断面形状による分類 粗ずり (ダイヤ磨き) ♯80〜♯200 つや消し (砥石磨き) ♯200〜♯500 つや出し (バフ磨き) ♯600以上 1.糸面取り 切断面の両角を45°に小さく削り取るもので、ガラスのエッジを露出させない場合でも、 危険防止と強度低下防止のために、粗ずり程度の糸面取りを行うことがあります。糸面幅 を広く取ったものに、1分糸面や2分糸面があります。 ◎ ○ ○ 2.平磨き 小口面全体を平らか、やや丸めに磨き、角に小さく糸面を取るものです。この加工は、各 種ガラス仕器やテンパライトドアなど、非常に広範囲に用いられています。仕上げの程度 は、ガラス同士の突き合わせ部分に粗ずりあるいはつや消し、ショーケースにはつや出し というように用途によって異なります。 ◎ ◎ ◎ 3.カマボコ 一般に糸面を取らず、小口をカマボコ状に丸く研磨するもので、昔は蛇腹とも呼ばれてい ました。自動車用ガラスやテーブルトップなど、手でガラスのエッジにさわることが多いも のに加工されます。通常は、つや消しまたはつや出し仕上げを行います。 ○ ◎ ◎ 4.斜面取り 切断面を斜めに削り取り、頂点に糸面を取るものです。ガラスをある角度で斜めに突き合 わせる場合などには、斜面取りの傾斜角度で調整します。たとえば、120°の角度で突き合 わせる場合、斜面取りの角度は120÷2=60にします。通常はつや消し、あるいはつや出し 仕上げを行います。 ◎ ◎ ◎ 5.幅広面取り 斜面取りの傾斜を浅くし面取り幅を広く取るもので、一般的には傾斜10〜45°程度です。 形状を指定する場合は、ガラスの板厚、面取り幅、そしてコバに残る厚さで表します。た とえば「6ミリ厚の板ガラスで、10mmの面を取り、コバを2mm残す」という具合になり ます。装飾用に使われることが多く、一般的にはつや出し仕上げをします。 ○ ○ ◎ 6.面取り小口磨き 面取りをした後に残った小口を丸く磨くもので、取り付け鏡に多く用いられます。鏡はビ ス止めにしろツメ止めにしろ、ガラスの小口が露出するので、この加工が必要です。通常 は、つや消しあるいはつや出し仕上げを行います。 ○ ◎ ◎ 7.特殊形状の面取り 1.〜6.までを応用して、複雑な形状のものや、両面からの面取り、半カマボコ状の面取り など、さまざまな面取りができます。特殊な研磨装置あるいは、手作業による高度な研磨 技術が必要で、加工メーカーが限られます。 ○ ◎ ◎ 糸面 糸面取り 1分糸面 斜面取り 120゜ 60゜ 60゜ カマボコ 平磨き コバ面全体を磨く 面取り小口磨き 特殊形状の面取り 幅広面取り 2ミリ 6ミリ 1 0ミ 1分= 約3.3mm 糸面 糸面取り 1分糸面 斜面取り 120゜ 60゜ 60゜ カマボコ 平磨き コバ面全体を磨く 面取り小口磨き 特殊形状の面取り 幅広面取り 2ミリ 6ミリ 1 0ミ 1分= 約3.3mm 糸面 糸面取り 1分糸面 斜面取り 120゜ 60゜ 60゜ カマボコ 平磨き コバ面全体を磨く 面取り小口磨き 特殊形状の面取り 幅広面取り 2ミリ 6ミリ 1 0ミ 1分= 約3.3mm 糸面 糸面取り 1分糸面 斜面取り 120゜ 60゜ 60゜ カマボコ 平磨き コバ面全体を磨く 面取り小口磨き 特殊形状の面取り 幅広面取り 2ミリ 6ミリ 1 0ミ 1分= 約3.3mm 糸面 糸面取り 1分糸面 斜面取り 120゜ 60゜ 60゜ カマボコ 平磨き コバ面全体を磨く 面取り小口磨き 特殊形状の面取り 幅広面取り 2ミリ 6ミリ 1 0ミ 1分= 約3.3mm 糸面 糸面取り 1分糸面 斜面取り 120゜ 60゜ 60゜ カマボコ 平磨き コバ面全体を磨く 面取り小口磨き 特殊形状の面取り 幅広面取り 2ミリ 6ミリ 1 0ミ リ 1分= 約3.3mm 糸面 糸面取り 1分糸面 斜面取り 120゜ 60゜ 60゜ カマボコ 平磨き コバ面全体を磨く 面取り小口磨き 特殊形状の面取り 幅広面取り 2ミリ 6ミリ 1 0ミ 1分= 約3.3mm 2-2-4 建築用板ガラスの一般的な話

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板ガラスの物理的・機械的性質

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表 1 板ガラスの物理的・機械的性質 項 目 数 値 屈折率 約1.52   反射率(垂直入射)*1 片面で約4% 比熱 837J/kg・K‌{0.2cal/g℃}‌(0〜50℃) 軟化温度*2 720〜730℃ 熱伝導率 1W/m・K‌{0.86kcal/mh℃} 線膨張率 8.5〜9.0×10−6/℃(常温〜350℃)=1/K 比重 約2.5   硬さ*3 約6度(10段階)、約6.5度(15段階)  ヤング率 7.16×104‌MPa‌{730,000kgf/cm2 ポアソン比 0.23 平均破壊応力*4 約49MPa‌{約500kgf/cm2}   耐候性*5 変化なし 表 2 建築用板ガラスの主成分(ソーダ石灰ガラス) 成 分 含有率 備 考 ケイ酸 Si02 69〜74% 主成分 アルミナ Aℓ203 0〜3% 弾性率と硬度を増加させる 石灰 Ca0 5〜14% 水に溶けにくくする マグネシア Mg0 0〜6% ソーダ Na20 10〜16% 融点を下げる 表 4 屈折率(無単位) ガラス 水 ベンジン 水晶 ダイヤモンド 1.52 1.33 1.50 1.54 2.42 表 6 比 重(無単位) ガラス 鋼 ダイヤモンド ポリカーボネートシート(レキサン) 松・杉 2.5 7.9 3.5 1.2 0.5 表 8 線膨張率(×10-6/℃) ガラス ポリカーボネート シート(レキサン)アルミニウム 銅 鋼 木材 8.5〜9.0 68 23 16 11 5〜8 表 3 ガラスの種類 品  種 用  途 ソーダ石灰ガラス 一般建築用板ガラス、車輌用板ガラス、ガラスビン類 カリガラス 光学機器、理化学機器 ホウケイ酸ガラス(パイレックス) 光学機器、理化学機器、耐熱食器 石英ガラス(バイコール) 耐熱食器、耐熱機器 鉛ガラス 医療機器‌ 表 5 熱伝導率(W/m・K) ガラス アルミニウム 鋼 ゴム 1 {0.86kcal/mh℃} 221 {190kcal/mh℃} 48 {41kcal/mh℃} 0.38 {0.33kcal/mh℃} 表 7 比 熱(J/kg・K) ガラス 鋼 花崗岩 アルミニウム ポリカーボネートシート(レキサン) 水 837 {0.2cal/g℃} 460 {0.11cal/g℃} 837 {0.2cal/g℃} 921 {0.22cal/g℃} 1088〜1172 {0.26〜0.28cal/g℃} 4186 {1.0cal/g℃} 表 9 ヤング率(MPa) ガラス 鋼 アルミニウム コンクリート ポリカーボネート シート(レキサン) 7.16×104 {730,000kgf/cm2 2.1×105 {2,100,000kgf/cm2 6.9×104 {700,000kgf/cm2 2.0×104 {200,000kgf/cm2 2.1〜2.5×103 {21,000〜25,000kgf/cm2 *1‌ ‌‌光は、ガラスの両表面で反射されます。片面での反 射率は約4%です。したがって、透明板ガラスの場合 はガラスの中での吸収がほとんどないため、1枚当 たりの反射率は約8%となります。なお、斜入射では 反射率が増大します。 *2‌ ‌‌ASTM‌C338-57による測定値 ‌ ‌‌ガラスには、明確な融点はなく、温度の上昇と共に 連続的に粘度が低下します。この数値は4.5×107‌ Poiseの粘度を示す温度です。 *3‌ ‌‌モース硬度(10段階) 5度:燐灰石、6度:正長石、7 度:水晶(石英) ‌ ‌修正モース硬度(15段階) 5度:燐灰石、6度:正長 石、7度:溶融石英、8度:水晶(石英) *4‌ ‌‌ガラスはつねに表面の引張り応力によって破壊され ます。 *5‌ ‌‌ガラスは表面のきず、風化などは皆無とはいえませ ん。しかし、内部の実質は事実上変化することはあ りません。 (注)‌ ‌‌本表の値は、物理的・機械的性質を示す一般的数値 であり、各商品の性能を保証するものではありませ ん。    建築用板ガラスの一般的な話

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板ガラスと関連法規(法規・規格・指針)

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1耐風圧設計とガラス 平成12年建設省告示1458号、1454号等に示さ れた方法を基本に、板ガラスの耐風圧設計を行 います。関連法規に基づいた耐風圧設計の詳細 は、「4-1‌板ガラスの耐風圧設計」のページをご 参照ください。 2防火とガラス 建設基準法や同施行令等では、建築物の火災に 対して厳しい規定が設けられています。詳細は、 「7-1‌ 板ガラスと防火性」のページをご参照く ださい。 3省エネルギーとガラス 「エネルギーの使用の合理に関する法律」通称 「省エネ法」に基づき、住宅や事務所ビル等の 省エネルギーに関するさまざまな基準が定めら れています。詳細は、「3-6‌板ガラスと省エネル ギー」のページをご参照ください。 4エレベーターとガラス  (建築基準法第34条) (1) エレベーターの昇降路とガラス (建築基準法施行令第129条の7第1号、 平成20年12月国土交通省告示第1454 号) 国土交通大臣が定める基準に適合する壁又は囲 い及び出入口の戸を設ける必要があり、ガラス を用いる場合は次の通りです。昇降路外の人又 は物が、かご又は釣合おもりに触れるおそれの ない基準となっています。 ①昇降路の壁又は囲い及び出入口の戸 任意の5cm2の面にこれと直角な方向の300Nの 力が昇降路外から作用した場合に、 ●15mmを超える変形が生じないもの。 ●塑性変形が生じないもの。 ② 昇降路の壁又は囲い及び出入口の戸の全 部又は一部(構造上軽微な部分を除く。) ●合わせガラス(JIS‌R‌3205に適合するもの) ●‌上記の合わせガラスと同等以上の飛散防止性 能を有するもの。 ③ 昇降路の出入口の戸(床面からの高さが 1.1mを超える部分に限る。) ●合わせガラス(JIS‌R‌3205に適合するもの) ●‌厚さ6ミリメートル以上で幅20cm以下の網入 ガラス(JIS‌R‌3204に適合する網入板ガラス) ●‌上記の網入ガラスと同等以上の遮炎性能を有 するもの。 (2) エレベーターのかごとガラス (建築基準法施行令第129条の6第1項第 1号及び第3号、平成20年12月国土交通 省告示第1455号) 国土交通大臣が定めるかごの各部の構造方法、 及び国土交通大臣が定める基準に適合する壁又 は囲い及び出入口の戸を設ける必要があり、ガ ラスを用いる場合は次の通りです。かご内の人 又は物による衝撃に対して安全なかごの各部の 構造方法、及びかご内の人又は物が、かご外の 物に触れるおそれのない基準となっています。 ①かごの壁又は囲い及び出入口の戸 任意の5cm2の面にこれと直角な方向の300Nの 力がかご内から作用した場合に、 ●15mmを超える変形が生じないもの。 ●塑性変形が生じないもの。 ② かごの壁又は囲い、床、天井及び出入口 の戸の全部又は一部(構造上軽微な部分を 除く。) ●合わせガラス(JIS‌R‌3205に適合するもの) ●‌上記の合わせガラスと同等以上の飛散防止性 能を有するもの。 ③ かごの出入口の戸(床面からの高さが1.1m を超える部分に限る。) ●合わせガラス(JIS‌R‌3205に適合するもの) ●‌厚さ6ミリメートル以上で幅20cm以下の網入 ガラス(JIS‌R‌3204に適合する網入板ガラス) ④ かごの壁又は囲い(床面からの高さが1.1m メートル以下の部分に限る。) 手すり(ガラスが用いられる部分以外の部分に 堅固に取り付けられるものに限る。)を床面から 0.8m以上1.1m以下の高さの位置に設けるこ と、その他安全上必要な措置が講じられたもの であること。 (3)小荷物専用昇降機とガラス (建築基準法施行令第129条の13第1号、 平成20年12月国土交通省告示第1446 号) 国土交通大臣が定める基準に適合する壁又は囲 い及び出入口の戸を設ける必要があり、使用で きるガラスは次の通りです。昇降路外の人又は 物が、かご又は釣合おもりに触れるおそれのな い基準となっています。 ①昇降路の壁又は囲い及び出入口の戸 任意の5cm2の面にこれと直角な方向の300Nの 力が昇降路外から作用した場合に、 ●15mmを超える変形が生じないもの。 ●塑性変形が生じないもの。 ② 昇降路の壁又は囲い及び出入口の戸の全 部又は一部(構造上軽微な部分を除く。) ●合わせガラス(JIS‌R‌3205に適合するもの) ●‌上記の合わせガラスと同等以上の飛散防止性 能を有するもの。 法令、告示の他に、「昇降機技術基準の解説 2009年版」(監修:国土交通省住宅局建築指 導課、編集:(財)日本建築設備・昇降機セン ター、(社)日本エレベータ協会)、日本エレベー ター協会標準JEAS-B003「ガラスを使用した展 望用エレベーター等のかご室かご戸に関する標 準」(2003年)もご参照ください。 また昇降路やかごにガラスを用いる際には、強 度や安全等について十分な検討を行ってくださ い。 なお「昇降機技術基準の解説」によると、合わせガラス (JIS‌R‌3205に適合するもの)と同等以上の飛散防止性能 を有するものとは、例えば、単板ガラスにJIS‌A‌5759に規 定される建築窓ガラス用フィルムを施工したものとなりま す。 2-4-1 建築用板ガラスの一般的な話

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5天窓とガラス  (建築基準法施行令第20条2項) 天窓は、外壁に設ける窓に比べて窓面積が3倍 の採光量があるとされています。 6採光面積とガラス ●建築基準法第28条1項 住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他 これらに類する建築物で政令で定めるものの居 室には採光のための窓その他の開口部を設ける ことを規定しています。 ●施行令第20条1項 開口部で採光に有効な部分の面積[採光有効面 積]は、当該居室の開口部ごとの面積に、それぞ れ[採光補正係数]を乗じて得た面積を合計しま す。 採光有効面積=Σ(開口部の面積×採光補正係 数) ●施行令第20条2項 その開口部の直上にある建築物の各部分から、 その部分の隣地境界線又は他の建築物等の対 向部までの[水平距離(d)]を、その部分から開 口部の中心までの[垂直距離(h)]で除した数値 のうちの最も小さい数値(採光関係比率)をもと に[採光補正係数(A)]を求めます。 ●採光補正係数(A) A={(d/h)×a}−b ●Aが3を超えるときは3とします。 ●天窓にあっては3を乗じます。 ●‌外側に幅90cm以上の縁側(ぬれ縁を除く)が ある場合は、0.7を乗じます。 ●‌道路に面する場合、dは反対側の境界までの 距離となります。 ●‌公園、広場等の空き地に面する場合は、それ らの幅の1/2だけ境界線が外側にあるとみな せます。 ●‌用途地域、道路に面しているか、またdの大き さにより決まります。表 2 表 1 居室に必要な採光面積(法第28条第1項、施行令第19条3項) 居室の種類 採光有効面積居室の床面積 - 住宅の居室 1/7以上 1 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、 幼保連携型認定こども園の教室 1/5以上 2 保育所、幼保連携型認定こども園の保育室‌ 3 病院、診療所の病室 1/7以上 4 ・寄宿舎の寝室 ・下宿の宿泊室 5 ・児童福祉施設等の寝室(入所する者の使用するものに限る。) ・‌‌児童福祉施設等(保育所を除く。)の居室のうちこれらに入所し、又は通う者 に対する保育、訓練、日常生活に必要な便宜の供与その他これらに類する目 的のために使用されるものの居室 6 1‌に掲げる学校以外の学校の教室 1/10以上 7 病院、診療所、児童福祉施設等の居室のうち入院患者又は入所する者の談話、娯楽その他これらに類する目的のために使用されるもの 表 2 有効面積の算定に使用する採光補正係数の求めかた(施行令第20条2項) 地域 ‌‌a ‌‌b ‌‌‌d′ 第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、 第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種 住居地域又は準住居地域 6.0 1.4 7 準工業地域、工業地域又は工業専用地域 8.0 1.0 5 近隣商業地域、商業地域又は用途地域の指定のない区域 10 1.0 4 但し上記のa、bを使って計算した当該算定値が次の場合は採光補正係数は下記となります。 条件 開口部 水平距離 当該算定値 採光補正係数 イ 道路に面する − 1.0未満 1.0 ロ 道路に面しない (d′)m以上 1.0未満 1.0 ハ 道路に面しない (d′)m未満 負‌‌数 0‌ 採光補正係数の求めかた 図 2

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対向建物、隣地境界線など 建築用板ガラスの一般的な話

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表 3 日本住宅性能表示基準(新築住宅、抜粋) 適用範囲:一戸建ての住宅又は共同住宅(マンション)等 表示事項 表示の方法 項目・等級の説明 1 ‌ 構造 の 安定 に 関 す る こ と 1-4  耐風等級 (構造躯体の倒壊等 防止及び損傷防止) 等級 2・1 暴風に対する構造躯体の倒壊、崩壊等のしにくさ及び構造躯体の損傷(大規模な修復工事を 要する程度の著しい損傷)の生じにくさ 等級2 極めて稀に(500年に一度程度)発生する暴風による力(建築基準法施行令第87条に 定めるものの1.6倍)の1.2倍の力に対して倒壊、崩壊せず、稀に(50年に一度程度)発 生する暴風による力(同条に定めるもの)の1.2倍の力に対して損傷を生じない程度 等級1 極めて稀に(500年に一度程度)発生する暴風による力(建築基準法施行令第87条に 定めるものの1.6倍)に対して倒壊、崩壊せず、稀に(50年に一度程度)発生する暴風 による力(同条に定めるもの)の1.2倍の力に対して損傷を生じない程度 5 ‌ 温熱環境 ・ エ ネ ル ギ ー消費量 に 関 す る こ と 5-1  断熱等性能等級 等級 4・3・2・1 エネルギーの使用の合理化に関する建築 主等及び特定建築物の所有者の判断の基準 (以下「建築主の判断基準」という。)の地 域区分(1〜8)を併せて明示する。 また等級4にあっては、外皮平均熱貫流率及 び冷房期の平均日射熱取得率を併せて明示 することができる。 外壁、窓等を通しての熱の損失の防止を図るための断熱化等による対策の程度 等級4 熱損失等の大きな削減のための対策(建築主等の判断の基準に相当する程度)が講じられている 等級3 熱損失等の一定程度の削減のための対策が講じられている 等級2 熱損失等の小さな削減のための対策が講じられている 等級1 その他 5-2 一次エネルギー 消費量等級 等級 5・4・1 地域区分を併せて明示する。また等級5に あっては、床面積当たりの一次エネルギー消 費量を併せて明示することができる。 一次エネルギー消費量の削減のための対策の程度 等級5 一次エネルギー消費量のより大きな削減のための対策(建築物に係るエネルギーの 使用の合理化の一層の促進その他の建築物の低炭素化の促進のために誘導すべき基 準に相当する程度)が講じられている 等級4 一次エネルギー消費量の大きな削減のための対策(建築主等の判断の基準に相当す る程度)が講じられている 等級1 その他 8 ‌ 音環境 に 関 す る こ と 8-4  透過損失等級 (外壁開口部) 東面、南面、西面及び北面の 各方位について 等級 3・2・1 居室の外壁に設けられた開口部に方位別に使用するサッシによる空気伝搬音の遮断の程度 等級3 特に優れた空気伝搬音の遮断性能(日本工業規格のRm(1/3)ー25dB相当以上)が確保 されている程度 等級2 特に優れた空気伝搬音の遮断性能(日本工業規格のRm(1/3)ー20dB相当以上)が確保 されている程度 等級1 その他 10‌ 防犯 に 関 す る こ と 10-1  開口部の 侵入防止対策 □‌すべての開口部が侵入防止対策上有効な 措置の講じられた開口部である □‌その他 □‌該当する開口部なし 通常想定される侵入行為による外部からの侵入を防止するための対策 ・5-2については平成27年4月1日施行 7日本住宅性能表示基準  (平成13年国土交通省告示第1346号改正  平成26年国土交通省告示第1号) 住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11 年法律第81号)第三条第一項の規定に基づき、 日本住宅性能表示基準が定められていますが、 ガラスに関係する主な項目は以下の通りです。 2-4-3 建築用板ガラスの一般的な話

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表 3  日本住宅性能表示基準(新築住宅、抜粋)  適用範囲:一戸建ての住宅又は共同住宅(マンション)等 表示事項 表示の方法 項目・等級の説明 1 ‌ 構造 の 安定 に 関 す る こ と 1-4  耐風等級 (構造躯体の倒壊等 防止及び損傷防止) 等級2・1 暴風に対する構造躯体の倒壊、崩壊等のしにくさ及び構造躯体の損傷(大規模な修復工事を要する程度の著しい損傷)の生じにくさ等級2極めて稀に(500年に一度程度)発生する暴風による力(建築基準法施行令第87条に定めるものの1.6倍)の1.2倍の力に対し
表 8  AGCの推奨する商品 AGCの推奨する商品 法律・指針等 スクールテンパセーフィーエコ スクール セーフィーペア スクールテンパエコ スクールテンパセーフィー スクール セーフィー スクールテンパ学校用強化合わせ Low-E複層ガラス 強化合わせ複層ガラス学校用 Low-E複層ガラス学校用強化 強化合わせガラス学校用 合わせガラス学校用 学校用強化ガラス 安全性 安全・安心ガラス設計施工指針 ガラスを用いた開口部の安全設計指針 ○ ○ ○ ○ ○ ○学校におけるガラスの安全設計指針○○○○○○ 小
表 3  単板ガラス(熱線反射ガラス) 一般名 品 種(商品名) 呼び厚さ (ミリ) 光学的性能 熱的性能可視光(%)日射(%)紫外線 透過率(%) (SC値)遮蔽係数 日射熱取得率(η値) W/(m 熱貫流率(U値)2・K){kcal/m2 h℃} 反射率 透過率 反射率 透過率 吸収率 熱線反射ガラス サンカットΣクリア(SKFC) 6 33.5‌ 62.8‌ 23.0‌ 64.8‌ 12.1‌ 44.2‌ 0.78‌ 0.69‌ 5.8  5.0‌833.2‌62.5‌22.2‌62.7‌15.1‌4
表 6  複層ガラス(高遮蔽性能熱線反射ペアガラス<サンルックスペア>) 一般名 品 種(商品名) 呼び厚さ (ミリ) 光学的性能 熱的性能可視光(%)日射(%)紫外線 透過率(%) (SC値)遮蔽係数 日射熱取得率(η値) W/(m 熱貫流率(U値)2・K){kcal/m2 h℃} 反射率 透過率 反射率 透過率 吸収率 高遮蔽性能 熱線反射 複層ガラス サンルックスペ ア SS8ペア SS8‌6+A6+FL6 18 41.7‌ 8.3‌ 35.2‌ 6.4‌ 58.4‌ 3.9‌ 0.20‌ 0.17‌
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参照

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