ドイツにおけ る異文化間教育の諸分野
-5都
市 におけ るユ ース ワー クの状況 と課題 一
社会教育教室
■
田
周
二 *
A Case Study of lntercultural Education in Germany
― Situation and Tasks of lntercultural Youth Work in 5 Cities―
Shu〕
l IKUTA
:よ
じめに
本論文は
,1995年
9月 5日 か ら15日にかけて行 った調査の報告的性格 を持つ。調査の 目的は,ベ
ル リン, ロス トック,ボ
ン,フ
ランクフル ト,フ
ライブルクの各都市 をまわ り,青
少年 の状況 と,それ に対 して どの ようなユース ワー クが行 なわれ てい るか
,特
に異文化 間教育・ ユー ス ワー クInterkulturdle Erzichung/」 ugendarbeitと いう観点で
,そ
の可能性 と課題を追 うことであ った。 各都市での調査対象,時
期は以下の通 りである。ベル リンBerlin(旧 東ベル リン
):
リヒテ ンベルク地区社会救済ユースワークSozialdiakonische」 ugendarbeit Lichtenberg e,V.
インタ ビュー対象 :グ リッタ 。シュル トGritta Schult(ソ ーシャルワーカー)
時期
:9月
5日ロス トックRostock(十 日東独
,現
メク レンブルク・ フォアポメル ン州):
ロス トック地区青年 。社会事業団体 」ugend―und Sozialwerk Region Rostock e.V. インタビュー対象 :ヴ ォルフガンク・ クラウゼWolfgang ttause (教育指導者 Phdagogischer Leiter) ウル リケ 。オ シュヴ ァル トUlrike Oschwald (プロジェク ト子旨導者 PrOjekt―Leiterin) 時期
:9月
7日 プロ・ フ ァミリアPro―Familia インタビュー対象 :ハ ル トムー ト・ オ リヴ ァル トHartmut Orywald
時期:9月
6日生 田月二 :ド イツにおけ る異文化間教育 の諸分野
ボ ン
Bonn(ノ
ル トライン・ ヴェス トフ ァー レン州):
学校外応用 コミュニケーシ ョン研究所Institut Fur angewandte Kommu kationsforschung in der auβerschuhschen Bildung(IKAB)
インタビュー対象 :オ ッテ ン
H.Otten(所
長)及
びセ ミナー指導者時期
:9月
8日オ ッテ ン氏と会見, 9月
11∼ 12日セ ミナー参加 フランクフル トFrankfurt am Main(ヘ
ッセ ン州):
市・ 多文化業務局 Amt fur Multikulturelle Angelegenheiten(AA/1KA) インタビュー対象:アルプ 。オ トマ ン
Alp Otman(課
長) 時期:9月
14日 青少年セ ンター・ コスモス 」ugendzentrum Kosmos
インタビュー対象:ヨーヘ ン・ ホフマ ンJochen Hoffmann(青
少年施設団体指導者)及
び コスモス指導員 時期:9月
14日 フライブルクFreiburg im Breisgau(バ ーデ ン・ ヴュルテ ンベルク州):
市立青少年の家 Haus der Jugend
インタビュー対象:テ ィー レThiele(前青少年助成課長), ク リス トフ・ カ ッセルChristoph Cassel (現青少年助成課長 Jugendarbeit:Abteilung 5-」 ugendfbrderung) 時期
:9月
15日 これ以外に, ロス トック大学教授ニーケW,Nieke氏
(9月 6日)①,ロ
ス トックの歴史学者 コッホI.Koch博 士
(9月6∼
7日),ソ
ーシャルワーク・社会教育研究所
(フランクフル ト
)研
究員
キルプR.Kilb氏
(9月13∼14日)と
も異文化間教育に関 して意見交換 した。 なお,学
校外ユースワークの分野では,対
象 と目標設定に応 じて,次
の様 々な内容 と形態がある。1)ソ
ーシャルワーク :極右的青少年 グループとの「 受容的ユースワークJ2)文
化活動:フ ィルム・ ビデオ活動,写
真,絵
画,工
作,劇
場活動,音
楽 など 地域 における青少年 セ ンターな どを中心 と した活動の中で,「青少年 に, 自己の経験 を コー ド化 した 形 態 で 表 わ し,伝
え る可 能 性 を与 え,ま
た 共 通 の 言 葉 を 見 い 出す の を 可 能 にす るJ(Aucrnheimer,240),ま
た様 々な表現様式 との直面 の中で,異
化作用が期待 され, 自己と自己文 化 との距離を取 り,美
的生産の中で 自己を相対化 させ ることを学ぶ。3)社
会的あるいは政治的行動 :難 民の代父母,難
民の子供 のための遊びの午後,宿
題援助,情
報 スタン ドの設置,新
聞プロジ ェク トなど この活動は,多
少 とも積極的に関わ ろうとす る青少年 とともに行い,問
題意識を発展 させ る教育 的効果がある。4)過
去を想起す る活動 上の社会的・ 政治行動の中で,「青少年が,例
えば地域史の調査の後,ナ
チズムにつ いての展示 を しあるいは地域の強制労働 について新聞記事 を書 く」(Auemheimer,242),あ
るいは様 々な地 域問題の掘 り起 こ しを し,さ
らにモニ ュメ ン ト作 りを行 うことなどをさ している。5)国
際的ユースワーク :青 少年交流プログラム,国
際研究セ ミナー,ワ
ークキ ャンプな ど 事例は,1)に
ついてベル リンとロス トック,2)と
3)についてはフランクフル トとフライブル ク, 5)についてはボ ンがそれぞれ相当す る。以下,第
1章
ではボ ンの国際交流セ ミナーを紹介 し,第
2鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第
1号
(1996) 79
章,第
3章
で,フ
ライブルク,フ
ランクフル トの旧西側 の各都市のユースワー クの状況を紹介 し, 第4章
,第
5章
で旧東独のロス トックとベル リンのユース 。ソーシ ヤルワークを紹介す る。終章で は,異
文化間教育 とユースワークをめ ぐるい くつかの問題 について総括的に応、れ,ま
とめとす る。 第1章
ボ ン:学
校 外 教 育 応 用 コ ミ ユ ニ ケ ー シ ョ ン研 究 所:KAB
IKABは
,学
校外 におけ る教育活動 を実施す る民間団体であ るが,そ
の活動 の一端は,す
でに紹 介 した (生田1995)。 本章では, 9月
11日か ら18日にかけて行 なわれた「 多国籍 トレーエ ングコー ス『理解 し合おう ′理解 し合え るか?』 コミュニケーシ ョンの限界 を認識 し克服す る 一 対立の処 理 一Jを
紹介す る。 この コースでは,交
流 プログラム「 ヨー ロ ッパのための青少年Jの
枠 内での 青少年交流プロジ ェク トヘ向けての準備であ り,実
施機関は「 ヨー ロ ッパのための青少年Jド
イツ 事務所ボ ン,協
力機関はIKAB陶
冶事業である。 なお,参
加者は,後
に紹介す るように,
ヨー ロ ッ パ各国の主にユースワーカーである。 1988年以来実施 されているが,と
りわけ1992∼ 1994年の訓練 コースにおいて,不
利益青少年 と特 に関わ っている教育職員や活動家 との活動の中で,異
文化間学習へのより深い関心が生 じたとされ る。そのため,特
にユースワークの対象 となる青少年 は,「地域的,経
済的あるいは社会的に不利 益を経験 し,い
きなり他の国の青少年 と一緒 になり,そ
の文化的多様性 と知 り合いになることがで きないJた
め,「自分の玄関の前の文化的多様性は,豊
饒化 と してよりも自己の将来の展望の脅威 と して理解」す る青少年であ り,「このような『 脅威性格』 は,青
少年交流 において,多
様 な仕方 で対応 され得 る」 ことが期待 され る。彼等に対す るコミュニケーシ ョン概念の適用 は,ま
ず「青少 年の特有の表現形態 を認識Jし
それを「 まじめに受け止めるJ。 次 に,
コミュニケーシ ョンの広が りの体験機会 を持 ち,青
少年の交流能力 Austauschfahigkeitの 形成をはか る。第三 に,青
少年交 流におけるコミュニケーシ ョンバ リアの中で異文化間対立状況 Konfliktsituationenを 処理で きる コミュニケーシ ョン能力kommunikativer Kompetenzの
形成である。以上の中で, コミュニケー シ ョンが,「青少年間の連帯的,協
力的そ して問題解決的手段 と して認識され る得 る」(資料1)。 セ ミナーの具体的な 目標設定は,次
の5点である。1)不
利益青少年 との交流実践 における,参
加者のそれぞれ異 なった活動の重点 と経験を知 る。2)具
体的な青少年交流へ向けての準備の際の,言
語及び他 のバ リアの位置価値 を認識す る :言 語 アニメーシ ョンや ビジ ュアル化 の技術が どう役立つか。「 見知 らぬものJへ
の好奇心や動機を どう 覚醒できるか。3)異
文化間学習 プロセスにおいて創造的グループ活動の コミュニケーシ ョン的協 同促進的方法を 駆使す る4)コ
ミュニケーシ ョン過程 の間に現れ るコミュニケーシ ョン状況を構成的に処理す る (行動資格 付与)5)交
流状況に向けての青少年の態勢の具体的な要素を (なされた経験を考慮 に入れて)共
同 して 発展 させ る (転移思想Transfergedanke),及び立案の中で具体的な交流プロジェク トを『 ヨー ロッ パのための青少年Ⅲ』プログラムの枠内で導入す る。 参加者は27人 (男13,女 14)で
,そ
の内訳は以下の通 りである。 ドイツ3(男 2,女 1,以
下同llk),イギ リス3(0, 3),オ
ランダ1(0, 1),ポ
ル トガル3生 田周二 :ド インにおける異文化間教育 の諸分野
(2, 1),ス
ペイン6(4, 2),ノ
ルウェー2(1, 1),ス
ウェーデ ン2(0, 2),フ
ィンラ ン ド2(1, 1),ア
イルラン ド2(1, 1),ア
イスラン ド3(2, 1)
参加者のプロフ ィールは,次
の4点
に区分できる。1)「
困難 なJ,「排除されたJあ
るいは他の形態で不利益 を被 っている青少年 との学校外 プロジェ ク ト活動を行 っている者。2)「
ヨーロ ッパのための青少年Jプ
ログラム枠内での交流プロジェク トヘの関心のある者。3)訓
練 コースでの交流 。や り取 りの過程に関わ る心構えを持つ者。つ まり,バ
ランスをとろうと す ること,共
同の学習状況の中で参加者であること及び 自己の教育的 日常に向けて移転活動を行 う ことへの関心。4)将
来的に,「ヨー ロ ッパのための青少年Jプ
ログラムの枠 内で交流 プロジ ェク トのために関わ ろうとす る心構えを持つ者。 セ ミナーの指導チームは, 4人
の経験ある教育職員がチームを形成 しこれにあた る。 ハインリッヒ・ マイアーHeinrich Mtter(ドィッ:IKAB),オー レ・ クリステ ンセ ンOle Kttstensen(デ ンマーク :Station BAF), アン ドレアス・ クラウス Andreas Krauβ (ドイツ:IKAB),
ベア トリス 。ブル クヘル B6atrice Burgherr(ス イス :ユ ースワーカー)。
また
,体
験教育の指導 を,ヘ
ルマ ン・ アネ ンHermann Annen(ド
イツ:Verein Abentoyer e.V.Kδln)が
担当 した。これに加えて
, 4人
の訓練を受けたデ ィプロム通訳が,使
用言語である ドイツ語,英
語,ス
ペイ ン語の同時通訳を行 う。プログラムは以下の通 りである。
9/11 3時
開始 :パ クーアParcours,暗
やみ喫茶dunkle cafる9/12
体験教育 :空 気 ま くら,
日本の魔法の石,壁
など,→
総会 → 基本 グループ分け9/13
総会 :レ ク, 4つ
の活動 グループに分かれ,こ
れまでのプログラムの反省,パ
ー トナーのポー トレイ ト作成のためのインタビュー → ポー トレイ トの紹介 → チーム指導者による活動方法の紹介9/14
総会 :レ ク,活
動方法の反省 → 基本グループでの余暇9/15
総会 :レ ク,作
成 グループ段階への導入,様
々なメデ ィアを用いての作成 グループでの活動 → 作成 グループの反省 → 基本 グループ , → イタリア式夕食9/16
作成 グループでの活動の続 き,作
成 グループでの活動の終了,共
同の作成室の準備 → 発表会9/17
基本 グループ,作
成 。相互食事 グループでの活動 → 全体評価 → 掃除,文
化的夕食の準備 → 異文化間別れの夕食9/18
お別れ鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 38巻 第
1号
(1996) 81
以上のように, このコースには,体
験教育→活動グループに別れてポー トレー ト作 り→製作 グルー プに別れて製作活動 という流れがある。体験教育の実際例の概要は次の通 りである。1)パ
クーア (障害物 コース):目
隠 しを して,綱
につかまりなが ら,様
々な障害物 を経 て,地
下 室に下 りる (視覚以外の,感
覚を活性化 させ る)(写
真1)。2)空
気 ま くらLuFtkissen:5人
一組 になり,
目隠 しを して,巨
大 な空気 ま くらに登 り,感
触 を 楽 しむ (写真2)。3)日
本の魔法の石 :30人 全員が一組 になり,数
枚のタイルを用いて, 2本
の綱で作 られた川の向 こう岸 まで渡 るゲーム。 タイルか ら,体
の一部を離 してはいけない。全員が提案 し,
コミュニケー シ ョンをとることを 目的 とす る (写真3)。4)壁
:1.7m程
の高さに引かれた綱 を,体
が触れず に30人全員が乗 り越 えることができるか とい うゲーム。全員が提案 し, コミュニケーシ ョンをとることを 目的とす る (写真4)。 以上の活動のいずれ もが,活
動後,全
員 による意見交換があ り,ま
さにメタ 。コミュニケーシ ョ ンが実践 されているといえる。 個 々のゼ ミナール段階は,小
グループ活動と総会活動が交互に展開す る。小 グループ活動 も,時
々 反省・ 交流を行 う基幹 グループBaungruppeと
,具
体的な製作を行 うたびに組織 され る作業 グルー プに分かれ る。基幹 グループは,使
用言語により,英
語―スペイン語1グループ,英
語 ― ドイツ語 1グループ,英
語2グ
ループの,そ
れぞれ7∼ 8人
の4グ
ループに分かれた。 また,作
業 グループ 写真1
パ クーア 写真2
空気 まくら 写真3
日本の魔法の石生 田周二 :ド イ ツにおけ る異文化間教育の諸分野 も
,製
作グループProduktionsgruppe,活
動グループArbeitsgruppe,プ ロジェク ト・ 関心グルー プProjekt―u.Interessengruppeの3種
類に目的別に組織されている。IKAB所
長オ ッテ ン氏は,異
文化間教育と異文化間学習について区別 し,孜
育は過程を重視 し, 学校段階で主 に用 い られ,そ
れに対 して学習は突然の,新
しいことであ り,セ
ミナーのように 10日間 の新 しい場面 で,特
に,出
会 い Begegnじngの
中で 問題 設定 Fragestellungと 反 問 HinterfragtttЛungが
生 じると述べている。メタ・ コミュニケーシ ョンと反省的理解が重視され ていると考え られる。 第2章
フ ラ イ ブル ク:青
少 年 の 家まず
,社
会・青少年局Sozia卜und」ugendamtは 8つ
の課Abteilじngenに 分かれる。青少年助成課 」ugendfδrderungに は
,課
長のカッセル氏を始め,30人
の職員がお り,そ
の内訳はソーシャル ワーカー20人,管
理部門 (秘書等)10人
である。なお,青
少年の家には,教
育学的・ 文化的活動に 従事す る4人
の専任職員がいる。主な活動は,以
下の3分
野に分かれる。1)青
少年余日Px施設 」ugendbegegnungsstttten (― freizeitstttten),2)青
少年陶冶事業 」ugendbildungswerk:学 校 との共同事業 サーカス学校 Zirkusschule:期 間1年 (6歳
か ら,定
員50人)3)公
開提供事業offene Angebote:喫茶,デ
ィス コ,青
少年図書館 など 夏休みパスSommer―
FettenPaβ:300の 提供事業が,す
べて無料 (バス取得経費20マルク)キ ャンペー ン活動 :麻 薬防止活動Drogenarbeit,メ デ ィアと暴力
Medien und Gewalt,青
少 年 と権利 」ugend und Recht,暴力と学校 Gewalt und Schule近年の傾 向は
,次
の3点
である。1)青
少年の社会層 による区分よりも,む
しろ社会・ 経済的要因の占める位置の拡大2)ネ
オナチ とともに青少年 の暴力の問題 の深刻化3)財
政状態の逼迫の影響 特 に2番
目の問題 は,活
動分野の最後のキ ャンペー ン活動 に見 られ るように大 きな問題 となって いる。市内に極右青少年が80人,極
左勢力が50人 いるといわれていることか ら,ネ
オナチ,暴
力, 外国人青年は,
ここ2, 3年
重要 なテーマになっていることは確かである。後に見 るフランクフル トのように,青
少年セ ンターが外国人だけの専有物 になっているということはな く,広
範 な提供 を 行 っているといえる。 しか し,セ
ンター来館者の国籍が10∼ 12存在 し,外
国人の少女活動が重要 な ポイン トになっていることは事実である。そのため,外
国人だけの特定の提供 はないが,外
国人青 少年 の占める比率が30∼40%と
なっているものは,語
学 コース,創
造的 コース (絵画,工
作 など) が相当す る。異文化間教育 。多文化教育については,外
国人評議会 Auslanderbeiratの 援助 のもと に,幼
稚園でのモデルプランなどがあるが,ユ
ースヮークでは意識的なものはない。1.施
設 の概 要 1966年10月開設 され,拙
稿「 西 ドイツの児童館Jで
も示 したように,従
来の陶治的性格か ら,社
会教育的性格ヘ シフ トしているが,そ
の傾 向は変わ っていない。資料5の
1991年 9月 のフライブル ク市青少年の家の児童ユースワークヘの概念的構想 により,活
動方針が整理 されてい る。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第
1号
(1996) 83
「 今 日の構造での青少年の家は,と
りわけ次の青少年 に語 りかけている。余暇形成 において継続 的に一定の活動や形態に入ろうと しない,あ
るいはで きない青少年 (たとえば,組
織への関与,趣
味へのこだわ り)。」 こう した勝手気 ままに余H限を送 りたいという青少年 の数の近年の増大に対 して,何
かに関わ り, 責任 を引き受 け,共
同決定す る体験 の重要 さを指摘 してい る。特 に,「そ う した経験 は,関
連 あ る行動様式の中の『 落下Abdriftens』 の危機 (依存Sucht,極
右主義,暴
力)に
対応できる」 と 強調 してい る。 キー ワー ドは,
自立,成
人性Mundigkeit,責
任 を とる覚悟 Verantwortungs― bereitschaftである。言い直せば, 自己決定能力の確立 とも言える。重要 なポイ ン トは,次
の4点
である。1)青
少年のアイデ ンテ ィテ ィ意識形成への援助2)社
会教育的公開ユースワークの基礎 :若 者 と社会教育専門職員 との間の人間的関係 の成立3)様
々な形態での提供構造 :絶 えず,若
者の,
自己と社会的責任,
自立そ して個性発達を 目指す4)公
開性 :相 異 なる関心や発達要求を考慮 (子ども,女
性,外
国人労働者の子 ども,周
辺 グルー プなど)(資
料5, 6)
2.青
少年 の家 の提供構 造 提供構造は,次
の3つ
の レベルに分け られ る。 第 一 に,義
務 的 に何 か を提供す るのでは な く,青
少年 の余暇関心 を受 け入れ る「 開かれ た扉offene TurJと
呼ばれ る館開放的取 り組みであ る。 これは,来
館者 にとって解放的な出会 いの場 的性格 (Trぴfpunktcharakter)を持つ。年齢別 に次の領域 に分かれ る。1)児
童領域 :遊 び 。工作・ 暴れ る空間,外
の領域,卓
球のある地下Tischten skeller2)テ
ィー ン領域:ク ラブ地下室,
ビリヤー ドとキ ッカーのあるフロアー,卓
球のある地下,外
の 領域3)青
年領域 :喫茶,
ビリヤー ドとキ ッカーのあるフロアー,卓
球のある地下,外
の領域 第二 に,予
防Prあventionと 危機介入Kttseninterventionと いう教育学的発想 に基づ く提供活動 である。予防的 な提供は,ク
リー ク援助,特
別活動,公
開提供,余
暇活動,グ
ループであ り,危
機 介入的提供は,個
人的対話,実
践的生活援助,グ
ループである。1)喫
茶店 :約15歳か らの青年対象,計
画・ 実行 に関わ り共 同決定 ・ 空間形成Raumgestaltung
・ プログラム形成 (毎週,会
議Plenじmで
,話
し合われ る :デ ィス コ企画,フ
ィルムのタベ,ス
ライ ド上映,コ
ンサー トなど) 。通常の営業の中での,販
売 Thekenverkaufと 音楽選定2)ク
ラブ地下室 :12∼14歳のテ イー ン対象,週
2回
開かれ る,毎
週 の会議Plenumの
中で計画が 協議 され る3)児
童領域:1階
に2室
・ 遊 び・ 絵画 。作業・ 工作室 と して 。暴れる部屋Tobezimmer:大
きなマ ッ トの山,着
替えてロールプ レイができる,壁
に絵を描け る 水曜午後 :卓球地下室が児童のために確保 され る 夏 :家 の裏の空 き地が使える (芝生,テ
ニス コー ト,滑
り合,小
川) 教育的意図 :包 括的体験,
自立性,責
任性,社
会的共同Soziales Miteinander生田周二:ドイツにおける果文化間荻育の諸分野
4)公
開提供 スポーツ領域 。テ ィーンのためのスポーツ (10∼ 13歳) 。青年のためのスポーツ (15∼ 18歳) ・柔道 タラブ (10歳か ら) 創造的領域 。作業室での児童・ 青少年のための様 々な工作・作業提供 ・児童のための公開料理教室 。児童領域の開かれた扉での公開工作教室 。公開写真室 と写真 クラブ ・ 児童・ 青少年 のための自転車工場 ・ 児童領域の開かれた扉での公開作業教室5)グ
ループ活動 :週 1度定期的開催6∼
10歳の余暇 グループ, 8∼
12歳の児童フ ィルムクラブ 集中的な社会的関係 を体験 し, 自己の関心 とグループの関心 との相互の結合 を学ぶ6)特
別活動 と休暇活動 夏祭 り,ク
リスマス祭,子
どもカーニバル,遊
びの 日,小
屋での滞在,洞
窟探検H6hlenwanderungen,散
策Wandeurngen,改
築活動Umbauaktionen,夏
の余暇第三 に
,付
加的提供である。 これは,
コース,独
自企画,共
同企画,外
部企画に分かれ る。1)コ
ース :柔 道 コース,写
真 コース,学
校活動サー クル2)青
年領域での企画:コ ンサー ト,劇
場,フ
ィルム (自己企画,共
同企画及び外部企画)3)児
童領域での企画 :子 ども映画 と子 ども劇場3.青
少年 の余 暇 関心 :テー マ志 向 と関係 志 向 青少年 の余暇関心は,か
つては,余
暇形成 の一定の形態が個 々の社会 グループに帰された。例え ば,下
層青少年 はサ ッカー,青
少年セ ンターに来 ることが多 く,中
間層青少年の場合は音楽活動や 講演会 に参加す るケースが多いといえた。 しか し,近
年,青
少年の余暇志向は社会階層に帰され得 ない,む
しろ次の3つ
の社会 。経済的要因の存在が青少年 の余暇行動に決定的要因となってきてい る:1)孜
育状態Bildungsstand(自 分 自身あるいは親)2)自
由にできる資金 (自分 自身あるいは親)3)社
会的結び付 きEinbindung(家
族構造,友
人関係,社
会的地位た とえば外国人,失
業者)。 「 とりわけ教育状態は,要
求や関心を認識 し形成す る能力 にとって決定的である一方,社
会的結 び付 きは余暇関心の種類や内容に影響す る。教育状態 と社会的結びつきは物質的資金をどのように 何のために投入す るか というや り方 に影響す る。 こう した資金の量は,余
H限形成の可能性を規定す る」(資料5,26-7)
以上の要因を遮、まえて,テ
ーマ志向的青少年 と関係志向的青少年 に三分 している。 テーマ志向的余暇形成を求める青少年は,高
い教育状態,あ
るいはそ して強い社会的結 び付き, あるいはそ して比較的高い収入を有す る傾向があ り,彼
らは,社
会的接触 有結 び育てる可能性 と し て以下の機会を活用す る。 84鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第
1号
(1996) 85
・ コースヘの参加 (市民大学 AIIIS,青 少年陶冶事業 」BW,青
少年音楽学校JMS,団
体 など) 。ワークシ ョップやプロジェク トヘの参加 :工場,地
域の映画館,闇
市場,AAK,劇
場 。音楽・ フ ィルムグループなど 。企画の訪問 :文化,ス
ポーツ,社
会的,世
界観的 ・ 政治的団体への関与 :政 党,団
体, 自主団体 以上は,次
の特徴を持つ。1)内
容・ 目的が,組
織的枠組条件 と構造を明確 に規定 し,提
示 されている。2)活
動への参加は,拘
束性 と義務を伴 う (規則,継
続的参加,会
員制,会
費 など)。3)参
加者は,特
定のテーマヘの関心・ 要求を意識化できなければな らない。4)不
可避の能力と して,言
語的表現能力,根
気,継
続能力,個
人的パースペ クテ ィブの発展が求 め られ る。 また,テ
ーマ志向的青少年 の場合,近
年商業的,文
化的,政
治的に志向された提供者 により常 に 拡大 されている広範 な内容豊富 な提供 に出会 う可能性が高い。 これ に対 して,関
係志向的余暇形成 を求め る青少年は,一
般的に社会的要因においてハ ンデ ィの ある青少年の場合が多 く,彼
らは,出
会いの場や滞在空間と して使え る,次
のような場 を求めてい る。 ・ スポーツ的・ 遊技的活動への願望 :他 人 と出会え,一
緒に何かを体験で きる可能性 。社交性が中心 :デ ィスコ,パ
ーテ ィ 。余 り拘束性のない義務的でない活動 彼 らにとって,青
少年の家を除けば,商
業提供者 によりつ くられた狭い範囲の提供 に限 られ る可 能性が多 く,青
少年セ ンターの役割は,他
人 と出会え,一
緒 に何かを体験できる可能性の提供であ り,そ
れは酒場やゲームセ ンターには期待できないことである。 以上の2つ
の異 なった志向性モデルの区分を踏 まえ,青
少年セ ンターにおけ る余暇提供 について 次のように述べ られている。 「 関係志向的余暇提供 のこう した欠陥 に基づき,ま
た商業的部門へのオール タナテ ィブと して意 味があるだけではな く必要でもあるのは,公
開ユースワークが,そ
の提供 を通 じて, こう した 日標 グループに向か っていることである。」 (資料5,30)
また,両
者の形態の空間的・ 時間的区分による併存は可能であるが,統
合は不可能であ り, この ため「 教育学的活動は,余
暇をむ しろ 関係志向的に形成す る青少年 に集中 し ているJ(資
料5,30)状
況が示 され ている。 なお,再
統一以前の青少年の家及び 他の施設 の概略は,拙
稿 (生田1989a, 及び1989b)イこ詳 しヤヽ。 写真5
宿題援助の部屋 (フライプル ク)生田周二 :ド イツにおける異文化間教育の諸分野
第
3章
フ ラ ン ク フル ト:市
・ 多 文 化 業 務 局Amt fur Muljkuiturelie
Angelegenhehen(AMKA)及
び 青 少 年 セ ン タ ー ・ コ ス モ スJugendzentrum Kosmos
l.市
の状況 人口約65万人の内,外
国人が占める比率は,1961年
31389人(4.6%),1970年
73012人 (10.4%), 1987年125410人(20.3%),1992年
181611人(27.55%),1994年
185861人(28.4%)と
増加の一途 をたどり,現
在人口の4分
の 1以 上が外国人で占め られている。その内訳は以下の通 りである。 旧ユーゴ47∽8(塑
.8%),
トルコ36062(19,0%),イ
タリア16344(8.6%),モ
ロッコ9479(5.0%),
ギ リシャ8883(4.7%),ス
ペイン6570(3.5%)
特に,10∼
15歳のフランクフル トの青少年の40%以
上は移民であり,ガ
ルスGallus,グ リースハ イムGriesheimな どの地区では,も
っと高い傾向にある。特に トルコ人の70%以
上はこれ らの地区 で育っている。また,児
童昼間施設Kindertagesstatteの児童の42%が
非 ドイツ人,学
校において86%が
非 ドイツ人という結果になっている (参照:生田1995)。 このほかにも,キ
ルプ氏によれば,青
少年犯罪率が19%に
達 し,問
題が起 こるケースを大きく分 けると,旧
東独部から週4日 ほど働きに来る青少年が,外
国人との付き合いに困難が生 じるケース, トルコ人やモロッコ人などが家族内での文化対立か ら家を出て,駅
や繁華街で浮浪 し,宿
泊所Sleepin(彼
らのための宿泊,食
事,洗
濯 などの準備,約
500人)で
寝泊まりし,
ソーシャルワーカーに よる生活指導があるものの,そ
の中で麻薬などに染まっていくケース,多
文化 となっている地域は 新興地など ドイツ的要素が少ない地域で,地
域間格差が大きく分離傾向にあるために起 こるケース などが指摘されている。 外国人の教育状況は,オ
トマン氏によれば,比
較的大きな欠損状態にある。r)低
い レベルの学校に外国人率が高い。1994年度における,低
い レベルの中等教育学校である基 幹学校の58%,養
護学校のゆ%が
外国人である (表 1)。 基幹学校における中退率は,83年
度6.1%,
91年度
9.3%,92年
度 9%(Stadt Frankfurt,Statistisches」 ahrbuch 1994,S.112)と, 1割
近 くが
,中
退 し,そ
の69%が
外国人,62%が
男子である。 しか し,他
方では,外
国人青少年の一部に, 別の傾向も現れている。すなわち,94年
ではギムナジムの22%(1978/79年
には約5%),実
科学校 の46%(1978/79年
には約7%)が
,外
国出自の生徒で しめ られるようになっている。若い移民の 中で社会的差異化が進行 しているともいえる(Otman,36)②
。2)男
女別では,基
幹学校の外国人のうち,54%が
男子,養
護学校の外 国人のうち,63%が
男子 と 男子の比率が比較的高い。外 国人の就学状況 に男女差があ り,特
にイスラム糸の女性は学校で問題 は少 ないが,家
庭 内で世代間の問題 を持つ ことが指摘 されている。つまり,家
庭 内での強い支配 と の均衡を保つため,学
校での成績を上げようとす る。 この結果,進
学 してもいい可能性が生 まれ る と指摘 されている。3)職
業学校義務のある外国人青少年 の10%以
上が職業学校 に行かない傾 向にあ り,職
業生活への スター トヘの機会に恵まれ ない状況が生 まれている。 また,社
会扶助依存率でみ ると, 0∼
21歳全 体では15%で
あるが,そ
の内訳は ドイツ人12%,外
国人19%(表
2,表 3)で
あ り,外
国人は社会 的下層に位置す るケースが多い。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第
1号
(1996) 以上の移民の社会的不利益は,エ
スニ ックによる社会的分離傾 向と政治的共同決定か らの法的排 除により,よ
り確 固なものとなっていることが指摘 されている (Otman,34)。 こう した状況に対 して,オ
トマン氏は,外
国出 自の青少年のアイデ ンテ ィテ ィの確立及び進路 と 展望の確立のため,次
のように述べている。 「 民族的出自の拒絶,同
化の成功及び試行 と並 んで,文
化的独 自性を変えず に守 ろうとす る努力 がある。それ らへのオール タナテ ィブにあるのは,文
化的新創造,文
化的『総合』であ り,そ
れは 自己と別の伝統 とのや り取 りを前提 としている。 移民のアイデ ンテ ィテ ィ活動における自由なオプシ ョンはまた,差
異への権利を承認す ることを 前提 に している。それが意味す るのは,エ
スエ ックな特別 さと文化的多様 さの,法
的平等 の下での 受容であ り,エ
スニシテ ィ呪記ではない。 なぜ な ら,そ
れは反動的に思えるので。文化的差異の民 主主義的概念は,同
権 の政治的問題を排除す るのではな く,む
しろそれを前提にす る。エスニ ック 化を支持あるいは反対す る態度は意味がないように思える。 なぜ ならエスニ ックな出自の拒絶への 強制は,エ
スニ ックな信仰告 白への強制 と同様 に,人
格発達を妨げるか らである。青少年 にとって まさに重要 なのは,彼
らが個人そ してグループと して,
自己の文化を検証 し変えることのできる可 能性を持つ ことである。」(Otman,34)
この意味で,市
の多文化業務局は,行
政の差別 をな くそうとす る試みである。 表1:中
等教育以下の学校の生徒数 1994寄40月 生 徒 数 外国人生徒数 外国人生徒比率 全 体 57,662 20,91536.3%
基 礎 学 校 20,929 7,98037.9%
基 幹 学 校 5,736 3,30757.7%
特 殊 学 校 1,720 83548.6%
実 科 学 校 7,253 3,35246.2%
ギ ム ナ ジ ウ ム 19,149 4,17221,8%
統 合 学 校 2,875 1,31945,9%
資料 :Hessisches Statistisclles Landesamt sowie eigene Zusanlinenstellungen. 表
2:国
籍,性,学
校 タイプ別の外国人生徒 外 国 人 生 徒 総 計 ト ル コ 旧 ユ ー ゴ モ ロ ッ コ 欧地 中海諸国州 そ の 他 基 幹 学 校 3,540 1,075 804 560 567 534 内 男 性 側 54.2 56.0 55,4 52.7 53.7 特 殊 学 校 775 269 107 142 内 男 性 艶 63.0 56.0 62.0 63.0 69.0 72.2 資料 :Statistisches」 ahrbuch,Stadt Frankfurt 1994
生田周二:ドイツにおける異文化間教育の諸分野 表
3:ド
イツ人・非 ドイツ人 の社会扶助 受給者 の年齢別比較 年齢 グ ル ー プ 総
数
%
そ の 内 , ドイ ツ メ、 層 で のそ の 年 齢%
内 , 人 の 国 そ 外 層 % 齢 年 の の そ で7歳
以 下 7,525 18.70 3,638 14.1 3,887 24.07-15歳
5,931 14.44 2,806 11.4 3,125 18.615-18歳
1,866 11.96 738 8.6 1,128 15.818-21歳
2,308 13.03 920 10.2 1,388 15.50-21歳
17,630 15.03 8,102 11.9 9,528 19.4資料 :Angaben des Amtes fur Statist , Wahlen und Einwohnerwesen der Stadt
Frankfurt/A/1.1994
2.市
・多文化業務局 につ いて 1989年に設置 された国内唯―の部局である多文化業務局は,他
の市町村が担当者2∼ 3人
の部署Buroで
あるのに対 して,「他 の部局が移民 と関 る時」 その行政部局 に影響 を行使できる権 限を持 ち,「フランクフル ト・ モデルJと
呼ばれている。地域や行政での対立の相談 (隣近所,教
師 。生 徒間,親
子間,市
民と当局間,青
少年 と警察など)を
通 じて,何
が欠損,対
立の原因なのかを話 し 合 う。12人の職員 Mitarbeiterが 男女同数,
ドイツ人・ 非 ドイツ人が同数勤務 し,そ
れぞれが専 門領域 を持 っている。例えば,児
童ユースワー ク,
ソーシ ャルワー ク,学
校,文
化,宗
教,年
長 の移 民者,住
宅問題,外
国人敵視,人
道主義,1外 国人法 な ど。一つ の問題 でネ ッ トワー クを作 り,
コ ミュニケー シ ョンをと り,議
論す る取 り組み を展開 してい る。 また,100以
上 の移 民団体 Migratenvereineと 関わ り,次
の3つ
の主な活動を行 っている。1)広
報啓発活動Offentlichkeistarbeit:メ デ ィア活動,会
議,展
覧会2)市
役所 内の各部局 との連携,反
差別活動,緊
急援助3)地
方 自治体外国人代表会議(KAV)担
当課 また, この部局の特徴は,次
の14点に整理 されている。1)行
政 と政治における高い位置付け 「 地方の外 国人政策に対 して特有の権限のある部局長の選抜 と,行
政に しっか り根付いた,統
合 と移入について権限のある部局の設立を通 して,地
方 レベルでの統合政策は,問
題設定に応、さわ し い価値を有 している。」(資料7, 9)
2)横
断的課題3)行
政内部 の意識的な反差別活動による,公
的業務 の質の向上 反差別活動 の意味は,第
一 に,様
々な種類の差別の存在を公的に確認す ること,第
二に,行
政 内 部 に構造的に条件づけ られた差別をなくす ことである。 この点では,フ
ランクフル ト市が,関
連す る連邦法の将来可能 な規定を先取 りしたものといわれ る。4)統
合政策 統合問題 を社会 。文化問題 と してのみ捉える見方は,エ
スニ ック化 を進め るという立場か ら,社
会的あるいは文化的政策と して「 だけ」ではない全体的課題 と して取 り扱おうとしている。つ まり, 「地方 自治体における異文化間共生の組織は,市
行政 と市政策のすべての分野に関わ る問題である。」 (資料7, 8)
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第
1号
(1996) 89
5)行
政内での部局の同権的位置付け 他の部局と同様 の権利 と義務を有す る6)独
自の財政 と財政資金 の独 自の執行力7)市
の方針の枠 内での 自由な言明 。発表権Freies Rede一 und Verbffentlichungsrecht「 広報・ 啓発活動Offendichkeitsarbeit」 の課 を持 ち
,移
民 と統合のテーマに公的に働 きかける 権利 と委託を有 している。具体的には,1)情
報・ コミュニケ=シ
ョン活動,2)メ デ ィア活動,3)広
報紙の編集,講
演会,講
演 のタベ,討
論会の組織である。8)様
々な外 国語能力を持つ職員の配置 男女の同割合での配置への配慮,非
ドイツ人の職員の数を半数 にす ることによる様 々な言語知識 (現在14言語)が
可能 となり, この国際的志向性の提供 と部局の形成 により事実上世界 に開かれて いる点 と公的行政の新 しい質をア ピール している。9)職
員の様 々な職業的訓練 と経験 職員の高い専門的資格が前提 となっている。10)チ
ーム活動11)ネ
ッ トワーク活動 外国人・ 難民活動 における諸施設 との,民
間団体,社
団,部
局の活動の出発点 と しての地方外国 人代表部 との共同活動を展開す ることにより,フ
ランクフル トモデルのさ らなるメルクマールとい われ る。12)行
政内部の調整 とコミュニケーシ ョン「 調整・ 特別企画Koordination und Sonderveranstaltungen」 課の設置がなされた。
13)寄
付 とスポ ンサーによる財政の創 出寄付受け入れの特別規定を持 ち
,部
局の多文化企画は,公
益 目的を追求 し,市
内の様 々なエスニ ッ クグループの多文化共生を助成 し,当
然 なが ら自己の経済的 目的を負わ ない非営利的活動 を展開す る。14)反
差別・ 苦情処理課Antidiskriminierungs― und Beschwerdestelleドイツ国内には反差別法はないため
,法
的基礎は,関
連す る連邦共和 国の法,発
令,公
法上の規 則である。 「行政 内部では,職
員はまずいわゆる説得的方法 ― す なわ ち説得活動Uberzeugungsarbeit一 を対立を解消す るために用 いる。それ以外 に,職
員は,現
存 の法的手段を用 いる助言模索や苦情処 理係 を強化 し,紹
介活動を行 っている。 部局は,住
民の委託で訴訟を起 こす ことはできない。」(資料7,10)
3.青
少年 セ ンター ・ コス モス 1995年度か ら開設 された当施設は,
トル コ人 と ドイツ人2人
(女)の
3職
員,及
び兵役代替勤務 者1人
(11時か ら夕方7時
まで,
日給57マルク)が
勤務 している。集合住宅の1階
と地階の一部を 利用 した施設である。比較的きれいで新 しく明るい雰囲気である。喫茶 と台所 は, 2マ
ルク出す ことで
,
自由に使え
,歓
談の場になっている。卓球合,サ ッガーゲーム機なども置かれ
,これ以外に
, 様々な工作ができる作業場,宿
題援助の部屋,デ
ィスコができる部屋,ジ
ム,少
女の部屋などがあ る。また,料
理,デ
ィスコ,少
女,工
作などのグループがある。 センターのあるプッセ ンハイム地区 (Sossennheimer Weg 176)と ま,60,70年
代の大規模集合住生 田周二 :ド イツにおけ る異文化間教育の諸分野 宅地で
,以
前仮宿泊住宅 に住んでいた人 々が一部移住 してきている。そのため,
トル コ人を始め, ドイツ出自の東欧か らの移住者 などが多い。家庭でのイスラム文化 と現実社会での ドイツ文化の違 いの中で,父
親の権威が家庭で強いが,父
親が失業の場合,複
雑 な親子関係が指摘 されている。 そう した多文化社会の中で,施
設が中心 となり,昼
食会を開催 し,
日頃フ ァース トフー ドで済ま す ことの多い青少年 に, 自分達で料理 をつ くりあい,そ
の中でお互いの文化的背景の違いと共通性 に気づ くきっかけ作 りを している。(資料9) また,デ
リケー トな問題heikle Frageで はあるが,
トルコ出自の青少年は,
ドイツ語 も トル コ語 もうま くしゃべれ ない問題や トル コについて余 り知 らない問題 (靴磨 きなどの児童労働 など)カ ミあ り, 自分の国の理解 を深めるため,
ドイツ青少年 と一緒 に トル コ旅行が企画され ている。期間は2 週間で,参
加者は,世
話人を含めて24人程度,年
齢は14歳か らで,
トル コ3人
,ボ
スニア3人
(ド イツ語が うま く統合問題は少ない), ロシア,イ
タ リア,ア
メ リカ,
ドイツな どの出自の青少年達 が参加 した。 オ トマ ン氏は,青
少年政策分野について,公
開青少年施設における活動の活性化 について次の提 案を しているが, コスモスにその一端を見 ることができる。1)外
国出自の資格ある職員の数の強化2)外
国出自の青少年が「 自文化 の要素」を再発見 し受容的に感 じることの重要性3)異
なった機関 (学校 と青少年局),施
設,
自発的団体,親,青
少年間の地 区志 向的多文化的共 同の重要性4)ソ
ーシャルワーク的構造 と方法の適応の重要性 (動的カウンセ リング提供 と結びついたス トー リー トワー ク,家
出 した青少年 のための宿泊可能性,「何度 も行 うもの」 とその家族 の 目標 を持 っ た世話)5)財
政的理 由か らの,青
少年セ ンターの閉鎖の危険性 と部屋の解約等の阻止6)目
標 グループ志向的余H限提供 の重要性 :市 内及び弱い社会構造の地区7)潜
在 的 に危 険 のあ るグルー プ との革新 的 な,多
文化 ユ ース ワー クの プ ロジ ェク トの助成 (Otmann,38)。 なお市 内には,全
体で,21施
設(9青
少年施設, 7児
童施設, 2自
発団体施設, 3体
験教育学 (余暇教育)施
設)が
ある。 写真6 コスモス内カフェーラウンジ: 壁 に トル コ旅行の様子が掲示 されている鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第
1号
(1996) 91
第
4章
ロス トック地 区青少 年 ・社 会 事 業 団体 」
SW,及
び プロ・ フ ァ
ミ リ;7 PrO Familia
ロス トックは,ベ
ル リンか ら約200キロ北部 のバル ト海沿岸の旧ハ ンザ都市である。当地では, 1992年 8月22日か ら26日にかけて, リヒテ ンハーゲ ンLichtenhagen地区において難民収容施設へ の襲撃 。放火事件が起 きている。ち ょうどこの事件 の2カ月ほ ど前 の1992年 6月 3日 の国際子 ど もの 日に,
ロス トック市 郊外 の グラール・ ミュー リッツ Graal一Muritzに
お い て養 護施 設 (Kinderheim)を 中心 とす る当団体が設立された。呼びかけ人は,Henry Lchmann,Claudia Stoll,Frank Luttgerding,Audrも
Trader,wOlfgang Krauseの 5氏
である。設立の意図は,「東独の政 治的変化に基づいて,西
独の団体 による,ま
わ りで始 まった包括的な,社
会施設や他 の不動産 の引 き取 りUbernahmeや
尋問Einvernahmeに対 して, Kinderheim Graal一 Mutttzの領域 に統一を求 めることであ ったJ。 設立の概念 と して, コルチ ャックJanusz Korczakの 養護教育思想,ペ
ス タロッチPestalozziの教育学的伝統
,特
に現代教育学ではア リス・ ミラーAlice Millerの 思想 に基づ くとさヤLている。1.」
SWの
課題 設 定」
SWの
保 護 の下 にあ る児童・ 青少年 は,生
物学 的・ 心理学 的 。社会 的能 力・ 達成 力Fぬhi併 lteiten und Fertigkeitenにおいて明確 な欠損があ り,社
会的編入能力Eingliederungsvermёgenが危険にさらされていると分析 されている。そ こか ら
,課
題 と して,親
の家に代わ り,そ
う した能力・ 達成 を「 これ まで に達 成 され た教 育 的発 達 状 態 の継 続 」 を意 味す る概 念 で あ る「 統 合 の鎖 IntegrationsketteJな い しは「 統合的ネ ッ トワーク」による訓練が前面に出る。重点は,「青少年 自身が,
自己の発達 に対す る自己の創造性 と責任 を体験 し習得す ることを促す社会教育的概念 と, 個人的に同一化す ることJで
ある。 この点について,次
のように述べ られている。 「 我 々の教育学的概念の中心点は,体
験 された ことへの人間の情緒的反応を認め るだけで な く, それを促進す ることである。我 々が確信す るのは,
ヒューマ ンな発達の阻害は,こ
う した反応的情 緒の抑圧 に帰され るべ きである一 体験それ 自体が阻害 を引き起 こすわけではない一。 人間の情緒的傷害 とそれへの反応形式 は,人
間の成長Werden,
自明性,そ
れ とともに彼 の価値 を規定す る。一 我 々が子供 とクライア ン トに向か う際に達成 され る接近 は,こ
う した点で我 々を 強化す る。」 「 その際有効 なのは,既
に存在 している欠損 を認識 し,受
け止め(r),そ
れ とともに行動 的 handlungsfahigに 処理できるようにす ることである。」(資料14) 以上のように,青
少年の体験の受容,反
省的理解,行
動的・ コミュニケーシ ョン的処理能力の形 成がキーワー ドとなっている。 クライアン トの受け入れの決定は,地
域青少年局の教育会議 において,学
際的に行 なわれ,原
則 は 自発性である。 ここでの特徴は,「体験教育学的活動,公
開的ユースワークの提供や他 の近似 の 可能性,及
びカウンセ リング提供 と職業専門的準備を通 じて,施
設 内外の青少年間の総合 的接触が 生み 出され ること」,「施設の地平を越えた,子
ども,親,単
独児童扶養者,学
校教育者 (反暴カプ ロジェク ト,学
校 ソーシャルワーク,青
少年 の船)と
の体糸的な活動 も総合的な要素」 とな ってい る。生 田周二 :ド イツにおけ る異文化間教育の諸分野
次節では
,学
校 と協力 した ソーシャルワークschulbegleitende Sozialarbeitで あ り,ゼ
ミナール ヘの教師 と青少年の参加 を促 し,暴
力や攻撃性を深い情緒的な傷emotionale A/erletztheitの 表現 と把握 す るパ イ ロ ッ トプ ロジ ェク ト「 直面 を通 して統 合 ヘ ー 学 校 にお け る暴 力 に抗 してJ“Durch Konfrontation zur lntegration― ―Gegen Gewalt und Aggression an Schulen― " を中心 に検討す る。
2.パ
イ ロ ッ トプ ロジ ェク ト:「直面 を通 して統 合 へ」学校 における暴 力 と攻撃 に抗 して 教師,親,教
育者,生
徒 を対象と し,ゼ
ミナール形式で「 隠された,オ
ープンな暴力と攻撃 の形 態 (構造的暴力)と
の付 き合いにおける新た な準備J(資
料15)を
目指 して,力
動的集 中的グルー プ活動,例
えばグループ会話,相
互活動訓練,身
体訓練,
コミュニケーシ ョン トレーエ ング,攻
撃 訓練,役
割演技・ 方法 などが行 なわれ る。 これ らを通 して,「暴力の原因とのより深いや り取 リヘ と向かうJこ
と,つ
まリセ ミナー参加者が,児
童期 。青年期 についての反省を含めて,
自己の暴力 要素 Gewaltanteilに ついて追思惟 し,対
応す ることが期待 され ている。1991年か ら94年 の間 に約 600人の教師,約
200人の生徒 の参加があ った。 青少年 の場合,彼
らの反応が押さえ込 まれ ると,逆
に攻撃潜在力 Aggressionpotenzialが 高まる ため,攻
撃性の受容 Aggression akzeptierenが 重要 な要素 となる。泣 くWeinen,怒
るWut,悲
し む Traurigkeit,嘆 くThuschung,こ
う した情動を認め ることが不可欠である。 特 に,教
師グルー プとの活動での配慮 と して,「全教師の,及
び生徒 の教育構造 を暴 き,そ
して 教師 。生徒,教
師・ 教師関係 におけるそう した古い役割像を暴 き打ち破 ることJが
目指 され る。教 師の場合 の困難点は,分
か ったような顔Kog t e Fassadeを 示す傾 向が多い面 と,彼
らは国内で 一定の地位Machtpositionを保 っているため,微
慢 な面があ り,教
師を批判す ることは全人格 を 否定されたように彼 らが受け取 り,そ
れが コミュニケーシ ョンを妨げる要因ともなっているとクラ ウゼ氏はインタビューで指摘 している。 それぞれのグループでの活動の後 に,生
徒 と教 師が合流 し,役
割 を交換 Rollentauschenし,相
互にコミュニケーシ ョンの中で矛盾を作 り上げる段階 に入 る。「 彼 らが新 しいよリオー プンな付 き 合い形態 を発見 した時,教
師 と生徒は相互に異質体験を し,現
在の絶えざる障害 をます ます回避す るJよ
うになり,偏
見の克服へ と一歩進む。 ゼ ミナールは,基
本的に不安を解消 し,教
師の 自己理解 を助ける提供であ り,14日 間の コース と 3日 間の コースがあ り,参
加定員は10-15人
で,こ
の間帰宅は許 され ない。参加は全 く自発的であ るが,州
文部省か ら70.000マルク,費
用の約50%の
負担がある。1995年に入 り, 9月 までで,53人
参加があ った。教師に宣伝 した り,電
話で紹介 した りす るが,教
師はこう したプロジ ェク トを知 ら ないケースが多い。 日常的 には,学
校 ソー シ ャル ワー クが展 開 され てい る。 グー ラル・ ミュー リッツには4つ
の 学校,す
なわ ち基幹 。実科 学校,基
礎 学校,学
習 障害学 校,身
体 障害学校 が あ り,「学 校 ソ ー シ ャル ワー クは,青
少 年 の人格 発 達 に促 進 的 に 向 き合 うた め,学
習 障害,行
動 特 異 性 Al‐erhaltensauFfhlligkeiten,余 暇形成,学
校外陶冶 に影響 を持つ可能性を示す」 ものと位置づけ ら れている。学校・ 成人陶冶「 学校での暴力への対抗」プロジェク トの中に含 まれ,そ
の活動発想 は, 第一に,学
校でのソーシヤルワークと して理解 され,第
二 に,ソ
ーシャルワークの方法的基礎 に基 づ くとされ る。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第
1号
(1996) 98
なお,」
SWは
,上
記のプロジ ェク ト以外 に,下
記の事業 を展開 している。養護施設 Kinderheim Graal一 Mむ 五
tz,住
居の世話Betreutes Wohnen,青 少年の家Das
SozialpadagOgische Haus in Blakenhagen(SP【I)des」SヽV,Kinder― und Jugendstation des JSW,
青少年の船。
│¥―
a:│ ヤ ei Wi マ´ :=爛
︻
. 慈 ・.・ 瞬 ● 写真7 JSW内
:各 種セ ミナーの掲示3.
プロ・フ ァ ミ リア プ ロ 。フ ァミ リア0は
,州
政 府,郡
政府 な どか ら財 政援 助 を受 け,家
庭 支 援 と暴 力抑 止 GewaltpraventiOnに貢献 している団体で, ロス トック市以外 の郡部 Landkreisを オ リヴ ァル ト氏 が担当 している。4つ
の重点 と問題点は,次
の通 りである。1)青
少年指導 :村 へ行 って,青
少年 とスポーツを した りす るが,青
少年 クラブや施設が少ない。2)青
少年施設で働 く指導者への指導 :最 も重要 な活動であ り,25カ
所約80人の関係職員は,ほ
と ん どが特別の資格を持 ってお らず,90%は
労働創 出職ABMと
して この職 につ いた ものである。2 つのゼ ミナール (体験教育学, 2日
あるいは 3日 のコース)が
あるが,さ
らに10月か ら, 1カ
月の ゼ ミナールを した いとい う希望 を持 ってい る。特 に少女活動 (性教 育 な ど)が
重視 され,怒
りWut,攻
撃性 Aggressionへ の対応 を」SWと
ともに実施す る予定である。3)学
校 。親 とユースワークを統合す る試み4)社
会活動 :青 少年 と一緒 に政治家 (市長 など)の
ところへ行 く 問題点は,こ
の地域 は,統
一後2つ
の郡 Kreisが 一緒 になったので,統
計資料が少 ない上に,交
通上の問題 もあ り,交
流が難 しい。 また,存
在不安 と して,ソ
ーシャルワーカー 自体が安定 した職 でないという点である。 第5章
ベ ル リ ン:リ
ヒ テ ン ペ ル ク 地 区 社 会 救 済 ユ ー ス ワ ー クSozialdiakonische」
ugendarbeit Lichtenberg ei V.
東ベル リン新教 ユ ース ワー ク
Evang
sche Jugendarbeit Berlin Ostの 一部でもある当団体 は,現
在,13人
の青 少年 が お り,ハ
イニ ッシ ュMichael Heinisch氏
が全 団体 の業務 指導 者 畿schaftsfむhrerである。 当団体が行 った反暴カプロジェク トAktionsprogramm gegen Aggression生 田周二 :ド イツにおけ る異文化間教育の諸分野
und Gewalt(AGAG)に
ついては,拙
論 (生田1994)に
おいて一部紹介 している。 この団体の 目的は,「失業 な ど,困
難で危険にさ らされ ている」青少年 に対す るソーシ ャルワー クである。具体的には,「青少年 の破壊的 な生活感情への傾 向性への対応」 と して,生
活克服への 寄与,個
々人への生活助成 を通 じて 自立への力の形成が 目指 され る。「 団体規則」では,次
のよう に述べ られている。 『 とりわけ地区の青少年 に対す る公開余暇・ クラブ活動の提供 により,失
業 していた り,失
業の 危険のある青少年 に対す る活動 プログラムの発展 と実施 によ り,及
び青少年 と若い成人に対す る住 居の準備により。その際,団
体 にとって重要 なのは,青
少年 とともに文化 を発展させ ることであり, その文化を通 じて社会内部 において実際の意味で「 生活」でき,将
来を形成す ることがで きよるよ うになる。』(資料16) 活動の領域は,次
の3点
に分かれている。1)住
居 (」ugendwohnhaus)の
提供2)職
業指導 (WerkShop)3)柔
軟 な教育指導援助 (Flexible Erzichungshilfe)の 機会提供 :生 活指導,グ
ループホーム まず,こ
の地域の状況について触れ,次
に,事
業の概要を述べ る。1.リ
ヒテ ンペル ク・キー ツLichtenberger Kiezの
状 況 この地域 は,キ
ー ツ (ス ラム街)と
呼ばれ,旧
地域Rummelsburgと
新 興地域 Frankfurter Allee Sudと が属す る。旧地 域 は,19世
紀 末 に建 設 され,
この時 代 に施 設 の あ る プフ ァール街 Pfarrstraβe lllが由来 し,主
に労働者家庭が居住 している。東独時代 には,全
く願み られず,廃
屋が多 く,そ
の中心 にPfarrstraβ e l■があ り,この間,多
くの家が 占拠 され,建
設的共存 か ら暴 力的対決までの様 々なシー ンが見 られ,一
般 に強 く社会的な不利益 によって特徴づけ られ,様
々な 傾向の青少年 グループが存在 している。 一方,新
興地域は,旧
地域か ら鉄道の上手で区切 られ,地
下道を通 してのみ行き来できる地域で, 70年代の始め, 3∼ 4室
の部屋 を持つ住宅地域 と して建設 された。旧地域 に住んでいた小 さな子 ど もを持つ家族やEEl家機関 (シュタージ)の
従業者の家族が優先的に入居 し,そ
のため今 日平均以上 に多 くの青少年が居住 しているといわれ る。 当団体は,70年
代半ば以来,エ
ア レーザー Er16ser教 区において,青
少年 のためオールナタテイ ヴな出会いの場「 フ ィッシャー教授の家das Professor― Fischer― Haus」 をつ くっている。統一後
,1991年
1月 1日 か ら1993年 3月31日 まで,
リヒテ ンベル クの新興地域 で育 った20人 の青少年が,居
住施設 プフ ァール衡111番地Wohnhaus Pfarrstrape lll(今
日の青少年居住施設 」ugendwohnhaus)及
び近所 の 自分た ちのための住居の改修 に関わ った。彼 らは,時
代 の変化 の 過程 に強 く影響 され,失
業 し,緊
急に住居を必要 と していた。政治的な「 左翼」,「右翼」,ス
キ ン ヘ ッ ド,フ
ー リガンをそれぞれ名乗 っていたが,「プロジェク トを通 じて,彼
らは,安
定 し,彼
ら にとって新 しい社会 において自らを方 向づけ,手
に資格 をつけ る可能性 を持 った」(資料16, 1∼
2)と
評価 されている。 自立へのステ ップとなったといえるに)。2.事
業 の概 要(1)住
居の提供 1990年10月か ら事業 を開始 し,現
在 の「 青 少年居住施 設 プフ ァール街111」ugendwohnhaus
£取大学教育学部研究報告 教育科学 第 38巻 第
1号
(1996) 95
Pfarrstraβe lllJは
,1993年
5月 2日 か らの入居である。最初,学
校や職場 にも行かず,酒
を飲 み,昼
夜逆の生活 を している8人
の青少年への提供か ら始 ま り,こ
こでは,水
道 も使 え,洗
濯がで き,食
事 もできるというメリッ トか ら,普
通の生活習慣の獲得を 目指 している。 ソーシャルワーカー のシュルツ氏lrolによれば,部
屋をきれいにす ることか ら始め,問
題を一つ一つ片付けてい く中で, 他のこともうま く行 くケースが多いことを指摘 している。 制度 的 には,青
少年・ 児童扶助法K」HG第
35,39,42条
に基 づ いて,青
少年・ 家庭 担 当局 Senatsverwaltung fur」ugend und Familie Berlinと,宿
泊形態の「 特別協定Jを
結んでいる。 日 標設定は,「青少年 は, 自分の社会化経験 に対す る克服形態 を,現
実に即 して見つけ出す ことを学 ぶJ(資
料16, 5)と
いうもので,長
期的な養護Heimerzichungのために9席
(KtHG:§
34),緊
急の個人的危機状況 にある青少年 に対す る保護InObhutnahmeた
めに4席
(K」HG:§
42),そ
の 他,臨
時の即応体制 と して2席
があ り,も
っと滞在す るか,社
会局へ赴 くか,親
と相談す るか2∼
3日 考える場 となる。受け入れ対象は,14∼
17才の青年で,例
外的に若い成人への援助 にも転用す ることがある。常に, 9∼
15人の青年が滞在 しているということである。 青少年 の来訪の経路は,「青少年 シー ン」内部 の紹介,青
少年局の推薦,余
暇教育的,特
に他 の 社会救済的プロジェク トの紹介の大 き く3つ
に分け られ る。彼 らの出自であるが,異
な った生活背 景の青少年が来てお り,例
えば,南
ドイツ豊身の医者の娘,89年
夏に西側 に向か った母親 に置 き去 りにされた少女,市
内のキ リス ト教会従業者の息子,こ
の間い くつのハイムにいたのかわか らない, 絶えず車を盗む14才の子 ども,な
どであるが,共
通点 と して語 られているのは,彼
等 を取 り巻 く社 会的条件 と折 り合わず, どう していいかわか らない状態だといえる。施設は,そ
う した彼等 ととも に,敷
居 を低 くした住居形態を構想 し,彼
らの個人的状況の明確化のための時間と安息を提供 し, 社会化経験のための建設的な克服を 目指 している。 金利用面席が約550ポの施設では,各
青少年が個室を持 ち,「長期 に亘る,対
象,施
設,家
の設備 に対す る異常 な関係喪失」(資料16, 6)と
い う複雑 な青少年の生活状況に対応す るため,世
話係 は必ず一人が24時 間常駐 し青少年 と会話できる体制をとっている。 また各青少年は 自分の担 当の世 話係 を持つ。ケア・ チーム (Erzicher und SozialpadagOgen)は