博 士 (獣 医学 ) 久保田修一
学 位 論 文 題 名
Polymerase chain react10n を 用 い た 小 型 ピ ロ プ ラ ズ マ の DNA 型 別 と 原 虫 集 団 の 動 態 解 析
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
こ れまでThcileria .sergentiのピロプラズム主要表ifii抗原(p32)に対するモノクロー ナ ル 抗 体 お よ びDNAプ 口 ー プ を も ち いp32の 多 型 性 の 解 析 が 行 わ れ て き た 。 その 結 果 日 本 匯I内 の 分離 株 に おい て 遺 伝 子型 お よ び抗 原 性 を興 に す る複 数 の タイ レリ ア原 虫 の 存 在が 確 認 され て き てい る 。 本 研究 で は 圏内 に複数 の遺伝‑f‑lWが祢4iiす るタイ レ リ ア 原 虫 を そ れ ぞ れ 型 特 興的 に 検 出す る 方 法を 開 発 し、 楢 主 体内 で の 原 虫集 団 の 動態を解析した。
ま ずp32遺 伝 予 の 型 別 と そ の 困 内 分 加 状 況 に つ いて の 調 査を 行 っ た 。こ れ ま での 成 績 か ら 、 圏 内 の タ イ レ リ ア は 限 ら れ た 少 数 のp32の型 に 分 けら れ る こ とが 予 想 さ れ た。そこ で、国 内に存在 がritii認されて いる2つの型 、すなわち、池田(I)型、千歳 (C)型 、 な ら び に 存 在 が 疑わ れ る 工buffeli (B)型を 特 異 的 に検 出 で きるpolymerase chain reaction (PCR)の系を確立した。このPCR法を用いて、国内各地(沖‑lrFiT¥を除く)の タ イ レ リア 感 染 牛22rlfiお よ び豪 州 か らの 輸 入 牛6sljiより採 取された 原虫DNAについ て 調 ぺ た。 匡I内の 感 染 牛に お い て は、I、C、Bの3つの型 が同I時にIq ‑牛 から検 出さ れた例3頭、IとCの2つの型が検||iされた例12yjj、1またはClFii!のみの検fn例が7lifiで あ っ た 。輸 人 牛 から は6頭全 て に お いてBとCの2つの2弛が 検凵1された 。しかし 、これ ら3つの攤に属さない原虫は検LI.||されなかった。すなわち、p32遺伝イ・を川いたPCR 法 でu本陲I内に分亦する丁.sergentiは少なくとも3つの!麗に分類され、感染′I:の多く が2な い し3つ の 型 の 混 合 感 染 を お こ し て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 さ ら に 、 感 染 (伝播) 方法な らびに長1l;Hl|J持続感染巾のウシ体内での原虫集剛の勁態について検 おJ.し た。そ の結果、 感染血 液を介した伝播では優位を Ilめる原虫亜!の変化は観察さ れ な か っ た も の の 、 ダ ニ を 介し た 伝 播に お い ては 優 位 をし め る 原虫 型 が 変 わり う る
こ と が 観 察 さ れ た 。 こ の こ と か ら べ ク ター を介 する こと によ り原 虫群 の抗 原性 にも 変 化 が 生 じ て く る こ と が 予 想 さ れ た 。 また 、持 続感 染中 にお いて も優 位を 占め る原 虫 群 の 変 化 が 観 察 さ れ た 。 こ れ ぢ の 実 験感 染系 を用 いて 明ら かに され た原 虫の 動態 が 、 野 外 に お け る ホ 原 虫 感 染 症 に も あ ては まり 、そ の稲 主寄 生体 関係 を複 雑化 させ ているものと考えられる。
次に、翁‖胞内におぃて、籵殊な機 能を布し他の生物l;IIJにおいてもそのアミノ職配 列 に お い て 高 い 衵 同 性 が 報 告 さ れ て い る 熱 シ ョ ッ ク 蛋 白 質(hsp70)の 遺伝 子を 川い て、PCR法 により既匁Iのタイレリア属 原虫の検出が可能か否か検ロ・、J.した。まず、F sc′ 呂即 釘のhsp70遺伝 子の クロ ーニ ング および遺伝子のシークエンスを 行なった。そ し て 、 す で に 報 告 さ れ て い るrannU´afaのhsp70遺 伝予 と の比jI夊 を行 いPCRプ ライ マーを設計し、rparyaおよびrannu´afaをも同時に検f.|.I|できるPCR法の開発を行っ た 。 こ の プ ラ イ マ ー を 用 い てPCRを 行 う こ と に よ りrse曙en打 のI型 とC型 、r 6u′′e〃Warwick株(豪州山来I.C混合型)、rparya、Fannu´afa(Gansu株)の全てのhsp 70遺 伝 子 を 増 幅 す る こ と が 可 能 と な っ た 。 さ ら にPCR産 物 の 制 限 酵素 を用 いた 解析 の 結 果 、hsp70遺 伝 予 に お い て もp32遺 伝子 と同 様に 、複 数の 遺伝 子型 が存 在す るこ とが1明ら かになった。
こ れ ま で 、 複 数 の タ イ レ リ ア 種 を 同 時 に 検 出 す る 方 法 は な く 、PCRを用 いる こと に よ り1度 に 多 検 体 を 処 理 で き 、 さ ら に 必 要 に 応 じ て 特 興 性 の 幅 を広 げて 解析 を進 め る こ と が で き る た め 、hsp70遺 伝 子 を 用 い たPCR法 に よ る 解 析 は 多 種 の タ イ レ リ ア が 混 在 す る 地 域 に お い て 画 期 的 な 原 虫 検 出 法 と な る こ と が 期 待 さ れ る 。 本 研 究 で は 、 丁sergenむ は 多 様 性 に 商ん だ原 虫集 閉と して 啼乳 蝕物 ーダ ニ刪 で伝 播し てお り、 各種 のfl三 物学 的要 凶が その 集団 の構 成比 率に 影響 を与え ることが明ら かに され た。 ワク チ ン等 によ るホ ヲ丙 の防 圧法 を洲 発す る上 で、 原虫集 団の動態解析 はイく.‖J.火であり、ホ研究でじ‖発されたPCR法が、その解析の有カな手段となるであ ろう。
学位論文審査の要旨 主 査 教 授 小 沼 操 副 査 教 授 神 谷 正 男 副 査 教 授 前 出 吉 光 副査 助教授 杉本千尋
学位 論 文 題名
Polymerase chain reaction を 用 いた 小 型ピ ロプラズ マの DNA 型 別 と 原 虫 集 団 の 動 態 解 析
小型ピ口プラズマ病はIheileria sergenti感染に起因する放牧病であり、防除法の開発が 急務 である。丁sergen tiのピロプラズムの主要表面抗原(p32)の解析から日本国内分離株に は遺 伝子型お よび抗原 性を異に する複数 のタイレリ ア原虫の存在が確認されている。本研 究で は国内に 複数の遺 伝子型が 存在する タイレリア 原虫をそれぞれ型特異的に検出する方 法を開発し、宿主体内での原虫集団の動態を解析した。
まずp32遺伝子の 型別とそ の国内分 布状況に ついての調 査を行っ た。国内 に存在が 確認 さ れ て いる2つ の 型、 す な わち 、 池田 (I) 型 、千 歳(C)型 、 な らび に 存 在が 疑 われ るF buffeli(B)型を特異的に検出できるpolymerase chain reaction (PCR)の系を確立し、国内各地 の タ イレ リ ア 感染 牛28頭 か ら採 取 した 原 虫DNAに つ い て調 べた。 その結果 、日本国 内に 分布 する丁sergentiは 少なくと も3つの型 に分類さ れ、感染牛 の多くが2ないし3つ の型の 混合 感染をおこしていることが明らかとなった。さらに、感染(伝播)方法ならびに持続感 染中 のウシ体 内での原 虫集団の 動態につ いて検討し た。その結果、ダニを介した伝播およ び持続感染中において優位を占める原虫型の変化が観察された。
次に 、細胞内 において 、特殊な 機能を有 し他の生物 間においてもそのアミノ酸配列にお いて 高い相同 性が報告 されてい る熱ショ ック蛋白質(hsp 70)の遺伝子 を用いて 、PCR法に より 既知のタ イレリア 属原虫の 検出が可 能か否か検 討した。まず、r sergentiのhsp 70遺 伝子 のクロー ニングお よび遺伝 子のシー クエンスを 行なった。そして、すでに報告されて い る 丁annulataのhsp 70遺 伝 子 との 比 較を 行 いPCRプ ラ イ マーを設計 した。こ のプライ マー を用いてPCRを行うこ とによりFsergenti,Fparva、丁,annulataの 全てのhsp 70遺伝 子が増幅され、夕イレリア属原虫の検出が可能となった。